JPH1070796A - 立体音響処理装置 - Google Patents

立体音響処理装置

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JPH1070796A
JPH1070796A JP8227933A JP22793396A JPH1070796A JP H1070796 A JPH1070796 A JP H1070796A JP 8227933 A JP8227933 A JP 8227933A JP 22793396 A JP22793396 A JP 22793396A JP H1070796 A JPH1070796 A JP H1070796A
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distance
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    • H04SSTEREOPHONIC SYSTEMS 
    • H04S1/00Two-channel systems
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    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04SSTEREOPHONIC SYSTEMS 
    • H04S1/00Two-channel systems
    • H04S1/002Non-adaptive circuits, e.g. manually adjustable or static, for enhancing the sound image or the spatial distribution
    • H04S1/005For headphones
    • HELECTRICITY
    • H04ELECTRIC COMMUNICATION TECHNIQUE
    • H04SSTEREOPHONIC SYSTEMS 
    • H04S2420/00Techniques used stereophonic systems covered by H04S but not provided for in its groups
    • H04S2420/01Enhancing the perception of the sound image or of the spatial distribution using head related transfer functions [HRTF's] or equivalents thereof, e.g. interaural time difference [ITD] or interaural level difference [ILD]

Abstract

(57)【要約】 【課題】 音像を定位させて立体的な音響効果を提供す
る立体音響処理装置に関し、音像の定位特性を向上させ
ることを課題とする。 【解決手段】 強調手段1が、原音場における両耳のイ
ンパルスレスポンスを基に、それらの差を強調する。強
調された2つのインパルスレスポンスを基にして、音源
の位置毎に、音像定位フィルタ3において使用される係
数値群を決定して、音源の位置毎に、記憶手段2に記憶
しておく。音像定位フィルタ3では、音像位置に応じて
記憶手段2から係数値群を読み出して、自己の各係数と
して設定して原音に原音場の音響特性の付加を行う。ま
た、これとは別に、再生音場の音響特性の逆特性に基づ
いた係数設定を行い、原音から再生音場の音響特性の除
去を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、立体音響処理装置
に関し、特に、音像を定位させて立体的な音響効果を提
供する立体音響処理装置に関する。
【0002】一般に、音像を正確に再現し若しくは定位
させるには、まず、原音場における音源から聴取者まで
の頭部伝達関数(HRTF; Head-Related Transfer Fu
nction)で示される音響特性と、再生音場におけるスピ
ーカやヘッドホン等の音響出力機器から聴取者までの音
響特性とを、測定等により求める必要がある。そして再
生音場において、原音にそうした原音場の音響特性を付
加し、かつ原音から再生音場の音響特性を除去し、こう
して得られた信号を、スピーカやヘッドホン等を用いて
聴取者に聴かせる。これによって、再生音場において、
原音場の音源位置に音像を定位させることができる。
【0003】
【従来の技術】図14は音源と聴取者とからなる原音場
の一例を示す図である。図中、音源(S)101から聴
取者102の左右の耳(L,R)の各鼓膜に至る2つの
音響空間経路が存在し、それらの音響特性が頭部伝達関
数SL ,SR でそれぞれ表されるとする。
【0004】図15は、ヘッドホンを用いた再生音場の
従来の一例を示す図である。フィルタ(SL ,SR )1
03,104は、原音場における音源101から聴取者
102までの音響特性を付加し、フィルタ(h-1
-1)105,106は、再生音場におけるヘッドホン
107a,107bから聴取者108の耳までの音響特
性を除去する。音源101の原音と同一である入力信号
を左右に分けて、こうしたフィルタ103〜106を通
過させた上で、ヘッドホン107a,107bから出力
した場合、これを聴いた聴取者108は、図14の音源
101に相当する位置に音像109を得ることができ
る。
【0005】フィルタ103〜106には、図16に示
すようなFIR(Finite Impulse Response)フィルタが
用いられる。FIRフィルタは、フリップフロップ等か
らなる遅延器110〜112、乗算器113〜116、
合算器117、加算器118から構成される。乗算器1
13〜116で乗算される係数a0〜anには、下記の
ようにして得られるインパルスレスポンスの値が使用さ
れる。すなわち、このFIRフィルタがフィルタ
(SL ,SR )103,104に使用される場合には、
図14の原音場の2つの音響空間経路の音響特性を測定
することにより得られるインパルスレスポンスの値を用
いる。また、このFIRフィルタがフィルタ(h-1,h
-1)105,106に使用される場合には、図15に示
すヘッドホン107a,107bから聴取者108の左
右の耳の各鼓膜までの各音響空間経路の音響特性(伝達
関数h,hで表される)を測定し、それらの逆特性
-1,h-1を求め、それらを表すインパルスレスポンス
の値を用いる。つまり、図15に示すヘッドホン107
a,107bから聴取者108の左右の耳の各鼓膜まで
の各音響空間経路の音響特性を測定することによって得
られるインパルスレスポンスを、周波数領域に変換し
て、ここで逆特性を求め、それを時間領域に逆変換する
ことによって得られる。
【0006】ところで、音像の距離感を制御するには、
従来、音の大きさと響きとを調整している。響きを調整
するには、響きを表すインパルスレスポンスを係数とす
るFIRフィルタが用いられる。
【0007】また、音像の移動感を制御するには、従
来、音の大きさと高さとを調整している。すなわち、音
の高さを調整してドップラ効果を表し、例えば音を高く
することにより音源が近づいてくることを表し、音を低
くすることにより音源が遠ざかっていることを表す。具
体的には、図17に示すような所定のメモリ容量からな
るリングバッファ119が使用され、音声データがリン
グバッファ119内に、動作速度一定の書き込みポイン
タのアドレス指示に従い、書き込まれる。一方、読み出
しポインタは、音を高くしたいときには速く、音を低く
したいときには遅く動作するように制御され、この読み
出しポインタのアドレス指示に従い、音声データが読み
出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、こうした音像
定位を行う従来の立体音響処理装置では音像定位特性に
問題があった。
【0009】一般に、音源位置を特定する人間の能力
は、左右に対しては優れているが、前後や上下に対して
は鈍感である。そのため、特に、音源が前後方向のどこ
に位置するかが不明な場合、通常、音源を視覚に頼って
探したり、頭を左右に捩じることによって得られる音響
特性の違いから判断をするようにしている。
【0010】ところが、再生音場には音源が実際に存在
する訳ではないので視覚に頼ることはできず、また、再
生音場でヘッドホンを使用した場合には、頭を捩じって
も音響特性の違いは発生しない。なお、再生音場でスピ
ーカを使用している場合でも、頭を2つのスピーカに対
して所定角度に置くことを条件に音像定位が行われるの
であるから、頭を捩じる方法は、そうした条件を満たさ
ないことになり、これも前後の音像定位には使用できな
い。
【0011】したがって、従来の立体音響処理装置で
は、前後の音像定位が難しいという問題があった。ま
た、本願と同一の出願人による特願平7−231705
号の明細書に示されるように、原音場の音響特性を表す
インパルスレスポンスの周波数特性の1つである振幅ス
ペクトルの極(山)と零点(谷)とを近似的に表す係数
を求め、これらの係数を持ったタップ数の少ないIIR
(Infinite Impulse Response)フィルタおよびFIRフ
ィルタを用いて、原音場の音響特性の付加を行い、これ
により、従来の原音場の音響特性を付加するためののF
IRフィルタのデータ処理量を減らし、またフィルタの
メモリを小型化している。しかし、こうしたタップ数を
減らした装置では、前後の音像定位特性が低下すること
がある。
【0012】さらに、音像の距離感を制御するために、
従来、音の大きさと響きとを調整しているが、特に響き
を調整するには、響きを表すインパルスレスポンスを係
数とするFIRフィルタが用いられる。このFIRフィ
ルタは多くのデータ処理量と大きなメモリ量を必要とす
るという問題点があった。
【0013】さらにまた、音像の移動感を制御するため
に、従来、図17のリングバッファ119が使用される
が、音像の移動が速い場合には、読み出しポインタの動
作速度が、書き込みポインタの動作速度に比べ、非常に
速くなるか(音像が近づく場合)、または非常に遅くな
る(音像が遠ざかる場合)。その場合、読み出しポイン
タが書き込みポインタに追いつくことや、書き込みポイ
ンタが読み出しポインタに追いつくことが発生する。こ
れを防ぐためにリングバッファ119のメモリ容量を大
きくしなければならないという問題点があった。
【0014】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、音像の定位特性を向上させた立体音響処理装
置を提供することを第1の目的とする。また、少ないデ
ータ処理量および小さなメモリ容量で、音像の距離感お
よび移動感の制御を行うことを可能とする立体音響処理
装置を提供することを第2の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明では上記第1の目
的を達成するために、図1に示すように、原音場におけ
る音源から聴取者の左右の耳の鼓膜までの、インパルス
レスポンスで示される2つの音響特性を基に、これらの
両特性の差を強調した2つのインパルスレスポンスを作
成する強調手段1と、音源の位置毎に、強調手段1で作
成された2つのインパルスレスポンスを基にして係数値
群を決定して、音源の位置毎に、当該決定された係数値
群を記憶する記憶手段2と、音像位置に応じて記憶手段
2から係数値群を読み出して、自己の各係数として設定
して原音に原音場の音響特性の付加を行うとともに、原
音から再生音場の音響特性の除去を行う音像定位フィル
タ3とを有することを特徴とする立体音響処理装置が提
供される。
【0016】また、上記第2の目的を達成するために、
図1に示すように、再生音場における聴取者と音像との
距離を算出する距離算出手段4と、距離算出手段4で算
出された距離に応じて係数値を決定する係数値決定手段
5と、係数値決定手段5で決定された係数値を係数と
し、原音の高い周波数成分を抑制するローパスフィルタ
6とを有することを特徴とする立体音響処理装置が提供
される。
【0017】さらにまた、上記第2の目的を達成するた
めに、図1に示すように、距離算出手段4で算出される
距離の時間的変化を基に、音像の移動速度および移動方
向を算出する速度方向算出手段7と、速度方向算出手段
7で算出された移動速度および移動方向に応じて係数値
を決定する係数値決定手段8と、係数値決定手段8で決
定された係数値を係数とし、原音の低いまたは高い周波
数成分を抑制するフィルタ9とを有することを特徴とす
る立体音響処理装置が提供される。
【0018】以上のような構成において、原音場におけ
る音源から聴取者の左右の耳の鼓膜までの、予めの測定
等によって得られたインパルスレスポンスを基にして、
強調手段1が、これらのインパルスレスポンスの差を強
調する。この強調によって結果的に音像の前後の定位特
性が向上する。こうした強調を、音源の位置毎に行い、
強調された2つのインパルスレスポンスを基にして、音
源の位置毎に、音像定位フィルタ3において使用される
係数値群を決定して、音源の位置毎に、記憶手段2に記
憶しておく。
【0019】音像定位フィルタ3では、音像位置に応じ
て記憶手段2から係数値群を読み出して、自己の各係数
として設定して原音に原音場の音響特性の付加を行う。
また、これとは別に、再生音場の音響特性の逆特性に基
づいた係数設定を行い、原音から再生音場の音響特性の
除去を行う。
【0020】このように、強調手段1が、原音場におけ
る両耳に至る経路のインパルスレスポンスの差を強調す
ることにより、音像の前後の定位特性を向上させること
が可能となる。
【0021】また、距離算出手段4が、再生音場におけ
る聴取者と音像との距離を算出し、係数値決定手段5
が、距離算出手段4で算出された距離に応じてローパス
フィルタ6の係数値を決定する。
【0022】一般に、空気中を音が伝播する場合、周波
数が高い程、振幅が速く減衰する性質がある。つまり、
音像が遠くにあればある程、高い周波数成分が抑制され
て籠もった音が聞こえることになる。これを模擬するた
めに、ローパスフィルタ6を使用するとともに、再生音
場における音像から聴取者までの距離に応じて、ローパ
スフィルタ6の高周波成分の抑制の度合いを変化させる
ようにする。その距離が遠くなる程、高周波成分の抑制
の度合いを深めるように、ローパスフィルタ6の係数値
を決定する。ここで使用されるローパスフィルタ6は1
次のIIRフィルタで十分である。
【0023】かくして、少ないデータ処理量および小さ
なメモリ容量で、音像の距離感の制御を行うことが可能
となる。さらにまた、速度方向算出手段7が、距離算出
手段4で算出される距離の時間的変化を基に、音像の移
動速度および移動方向を算出し、係数値決定手段8が、
算出された移動速度および移動方向に応じてフィルタ9
の係数値を決定する。
【0024】一般に、音源が近づくときには、対数表示
の音の周波数スペクトルが高域へシフトし、音源が遠ざ
かるときには、対数表示の音の周波数スペクトルが低域
へシフトする。これを近似的に模擬するために、音像が
近づくときには、フィルタ9をハイパスフィルタとして
使用して低い周波数成分を抑制し、音像が遠ざかるとき
には、フィルタ9をローパスフィルタとして使用して高
い周波数成分を抑制するようにする。しかも、音像の移
動速度に応じて、フィルタ9の抑制の度合いを変化させ
るようにする。その移動速度が速くなる程、抑制の度合
いを深めるように、フィルタ9の係数値を決定する。こ
こで使用されるフィルタ9は1次のIIRフィルタで十
分である。
【0025】かくして、少ないデータ処理量および小さ
なメモリ容量で、音像の移動感の制御を行うことが可能
となる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。まず、第1の実施の形態の原理構
成を、図1を参照して説明する。第1の実施の形態は、
原音場における音源から聴取者の左右の耳の鼓膜まで
の、インパルスレスポンスで示される2つの音響特性を
基に、これらの両特性の差を強調した2つのインパルス
レスポンスを作成する強調手段1と、音源の位置毎に、
強調手段1で作成された2つのインパルスレスポンスを
基にして係数値群を決定して、音源の位置毎に、当該決
定された係数値群を記憶する記憶手段2と、音像位置に
応じて記憶手段2から係数値群を読み出して、自己の各
係数として設定して原音に原音場の音響特性の付加を行
うとともに、原音から再生音場の音響特性の除去を行う
音像定位フィルタ3とから構成される。
【0027】さらに、第1の実施の形態は、再生音場に
おける聴取者と音像との距離を算出する距離算出手段4
と、距離算出手段4で算出された距離に応じて係数値を
決定する係数値決定手段5と、係数値決定手段5で決定
された係数値を係数とし、原音の高い周波数成分を抑制
するローパスフィルタ6とを含む。
【0028】さらにまた、第1の実施の形態は、距離算
出手段4で算出される距離の時間的変化を基に、音像の
移動速度および移動方向を算出する速度方向算出手段7
と、速度方向算出手段7で算出された移動速度および移
動方向に応じて係数値を決定する係数値決定手段8と、
係数値決定手段8で決定された係数値を係数とし、原音
の低いまたは高い周波数成分を抑制するフィルタ9とを
含む。
【0029】こうした第1の実施の形態の具体的構成
を、図2〜図6を参照して説明する。なお、図1に示し
た構成と図2〜図6に示す構成との対応関係について
は、具体的構成を説明した後に説明する。
【0030】図2は第1の実施の形態に係る立体音響処
理装置の全体構成図である。図中、音源の原音と同一の
音が、再生音場において、距離感制御フィルタ11、移
動感制御フィルタ12、可変増幅部13、音像定位フィ
ルタ14を経由して、左右のヘッドホン15a,15b
から聴取者16へ送られる。距離感制御フィルタ11に
は距離感制御フィルタ係数計算部17が接続され、距離
感制御フィルタ係数計算部17には距離計算部18が接
続される。距離計算部18は音像位置に関する情報を貰
うと、音像位置と聴取者16との距離lengthを算出す
る。距離感制御フィルタ係数計算部17は、算出された
距離lengthを基に、後述する手順により係数 coeff- le
ngthを算出し、距離感制御フィルタ11に送る。距離感
制御フィルタ11は、図4に示す内部構成となってお
り、後述するようにローパスフィルタとしての動作を行
い、音像の距離感を制御する。
【0031】移動感制御フィルタ12には移動感制御フ
ィルタ係数計算部19が接続され、移動感制御フィルタ
係数計算部19には距離計算部18が接続される。移動
感制御フィルタ係数計算部19は、距離計算部18で算
出された距離lengthの時間的変化を基に、後述する手順
により係数 coeff- moveを算出し、移動感制御フィルタ
12に送る。移動感制御フィルタ12は、図5に示す内
部構成となっており、後述するようにローパスフィルタ
またはハイパスフィルタとしての動作を行い、音像の移
動感を制御する。
【0032】可変増幅部13にはゲイン計算部20が接
続され、ゲイン計算部20には距離計算部18が接続さ
れる。ゲイン計算部20は、距離計算部18で算出され
た距離lengthを基に下記式(1)に従い、増幅度g(ゲ
イン)を算出し、可変増幅部13へ送る。
【0033】
【数1】 g=a/(1+b* length) ・・(1) ここで、a,bは正の定数である。
【0034】増幅度gは、距離lengthが大きくなる程、
小さくなるように設定され、可変増幅部13は、この増
幅度gに従って増幅を行って、先の距離感制御フィルタ
11とともに、音像の距離感の制御を行う。
【0035】音像定位フィルタ14は、原音場の音響特
性を付加するためのフィルタ(SL,R )14a,14
bと、再生音場のヘッドホン15a,15bに係る音響
特性を除去するためのフィルタ(h-1 , -1)14c,
14dとから構成され、それぞれFIRフィルタからな
る。フィルタ14c,14dの係数は、予め測定等によ
り求められたインパルスレスポンスを基に逆特性に相当
するインパルスレスポンスを算出し、それに基づき設定
されるもので、固定値である。一方、フィルタ14a,
14bの係数には、係数記憶部22に格納された複数の
係数値群から、音像位置に応じて選択された係数値群が
使用される。それらの係数値群は音像位置に応じて各値
が変化する。係数記憶部22には、後述する手順により
予め得られた音源位置毎の複数の係数値群が格納されて
いる。格納に際しては、音源位置毎の係数値が纏められ
て、連続するアドレスが与えられる。したがって、ポイ
ンタ計算部21が、音像位置に応じて、連続するアドレ
スの先頭アドレスを指定するだけで、音源位置毎の係数
値群が纏まって読み出される。
【0036】図3は、係数記憶部22に格納される複数
の係数値群を作成するためのフィルタ係数強調装置を示
す図である。フィルタ係数強調装置は、左耳用の高速フ
ーリエ変換装置(FFT)23、高速フーリエ逆変換装
置(IFFT)24、右耳用の高速フーリエ変換装置
(FFT)25、高速フーリエ逆変換装置(IFFT)
26、および両耳間差強調部27から構成される。
【0037】予め、原音場において、音源の各位置毎
に、音源から聴取者の左右の耳の鼓膜に至る各経路の音
響特性を表すインパルスレスポンスが測定される。それ
らのうちの左耳のインパルスレスポンスが左耳用の高速
フーリエ変換装置23に入力され、高速フーリエ変換装
置23が、周波数特性としての位相スペクトルと振幅ス
ペクトルとを作成する。同様に、右耳のインパルスレス
ポンスが右耳用の高速フーリエ変換装置25に入力さ
れ、高速フーリエ変換装置25が、周波数特性としての
位相スペクトルと振幅スペクトルとを作成する。
【0038】両耳間差強調部27には、同一音源位置に
係わる左耳の振幅スペクトルと右耳の振幅スペクトルと
が入力される。ここで左耳の振幅スペクトルをAL
(ω)、右耳の振幅スペクトルをAR(ω)とする。ω
は角速度であり、その値の範囲は0≦ω≦πである。両
耳間差強調部27は、下記式(2)に従い、振幅スペク
トルAR(ω)を基準にして、振幅スペクトルAL
(ω)を、振幅スペクトルAL(ω)と振幅スペクトル
AR(ω)との差分だけ対数軸において強調した第1の
振幅スペクトルAL1 ( ω)を算出する。
【0039】
【数2】 log AL1(ω) =log AL(ω) +α|log AL( ω) -log AR(ω) |・・(2) ここで、αは正の定数である。
【0040】このlog AL1(ω) を、下記式(3)により
線形軸に変換する。
【0041】
【数3】 AL1(ω) =exp(log AL1(ω) ) ・・・(3) さらに、第1の振幅スペクトルAL1 ( ω)のレベル調
整を下記式(4)により行い、第2の振幅スペクトルA
2 ( ω)を得て高速フーリエ逆変換装置24へ出力す
る。また、このレベル調整は、高速フーリエ逆変換後、
時間領域で行なってもよい。
【0042】
【数4】 AL2(ω) =AL1(ω) * (MAX AL(ω) / MAX AL1(ω) ) ・・・(4) ここで、関数 MAX AL(ω) は、AL( ω) の0≦ω≦πに
おける最大値を示し、関数MAX AL1(ω) は、AL1(ω) の
0≦ω≦πにおける最大値を示す。
【0043】振幅スペクトルAR(ω)に関しては、下
記式(5)に従い、そのまま両耳間差強調部27から高
速フーリエ逆変換装置26へ第2の振幅スペクトルAR
2 (ω)として出力される。
【0044】
【数5】 AR2(ω) =AR( ω) ・・・(5) 高速フーリエ逆変換装置24は、高速フーリエ変換装置
23から送られた位相スペクトルと両耳間差強調部27
から送られた第2の振幅スペクトルAL2 ( ω)とを基
にして時間軸へのフーリエ逆変換を行う。同様に、高速
フーリエ逆変換装置26は、高速フーリエ変換装置25
から送られた位相スペクトルと両耳間差強調部27から
送られた第2の振幅スペクトルAR2 ( ω)とを基にし
て時間軸へのフーリエ逆変換を行う。
【0045】こうした強調の処理を音源位置毎に行い、
得られた強調後のインパルスレスポンスが図2の係数記
憶部22へ送られ、音源位置毎に格納される。以上の両
耳間差強調部27による振幅スペクトルの差の強調を、
図7および図8を参照して別の観点から説明する。
【0046】図7は、例えば前方左60°の位置に音源
がある場合に得られる振幅スペクトルAL(ω),AR
(ω)を示す。これらの振幅スペクトルAL(ω),A
R(ω)を使用して両耳間差強調部27が上述の手順に
より第2の振幅スペクトルAL2 ( ω)を算出した場
合、第2の振幅スペクトルAL2 ( ω)は図8に示すよ
うになる。図8には、比較のために強調前の振幅スペク
トルAL(ω)も示す。図8で分かるように、特に角速
度の高い領域において、強調後の第2の振幅スペクトル
AL2 ( ω)が強調前の振幅スペクトルAL(ω)より
も大きくなっている。これは、一般に、高い周波数の音
が、音の前後の方向感に大きな影響を与える性質があ
り、そうした性質に合致した強調となっている。こうし
た強調により、結果的に前後の定位特性が向上してい
る。
【0047】なお、両耳間差強調部27は、振幅スペク
トルAR(ω)を基準にして、振幅スペクトルAL
(ω)を、振幅スペクトルAL(ω)と振幅スペクトル
AR(ω)との差分だけ対数軸において強調するように
しているが、これに代わって、振幅スペクトルAL
(ω)と振幅スペクトルAR(ω)とを入れ替えて、振
幅スペクトルAL(ω)を基準にして、振幅スペクトル
AR(ω)を、振幅スペクトルAR(ω)と振幅スペク
トルAL(ω)との差分だけ対数軸において強調するよ
うにしてもよい。さらには、角速度ω毎に、振幅スペク
トルAL(ω)と振幅スペクトルAR(ω)との平均値
を算出し、この平均値を基準にして、振幅スペクトルA
L(ω)と振幅スペクトルAR(ω)との両方の値を変
更するようにしてもよい。
【0048】さらにまた、前述と同じように、上記式
(2)〜(5)に基づき、振幅スペクトルAR(ω)を
基準にして、振幅スペクトルAL(ω)を、振幅スペク
トルAL(ω)と振幅スペクトルAR(ω)との差分だ
け対数軸において強調するが、その際、上記式(2)の
αを定数にはせず、例えば図9に示すように、角速度ω
に応じて変化する値α(ω)とする。こうした値α
(ω)を上記式(2)に使用した場合に得られる強調後
の第2の振幅スペクトルAL2 ( ω)を図10に示す。
【0049】図6は係数記憶部22の内部のメモリ配置
状態を示す図である。例えば、聴取者の真正面を0°と
し、後正面を180°として、音源が30°ずつ移動し
て、各音源位置で音響特性の測定が行われたとする。こ
の場合、係数記憶部22には、0°用係数群の格納場所
22a、30°用係数群の格納場所22b、・・180
°用係数群の格納場所22cが設けられる。各格納場所
には連続するアドレスが付され、各格納場所の先頭アド
レス22d,22e,22fをポインタにより指定する
ことにより、対応の格納場所の係数群が読み出され、図
2のフィルタ14a,14bへ送られる。これにより、
音像定位フィルタ14は定位特性の優れた音像定位を行
うことが可能となる。
【0050】つぎに、距離感制御フィルタ係数計算部1
7の処理内容について説明する。距離感制御フィルタ係
数計算部17には、距離計算部18から距離lengthが送
られる。これを使用して下記式(6)に基づき、係数 c
oeff- lengthを算出する。
【0051】
【数6】 coeff- length=α1 * 1.0-1.0/(1.0+β1* length) ・・(6) ここで、α1 およびβ1 は定数であり、0.0 <α1 <1.
0, 0.0 <β1 である。
【0052】この式では、距離lengthの値が大きくなる
と係数 coeff- lengthが値α1 に近づき、また、距離le
ngthの値が小さくなると係数 coeff- lengthが値0に近
づく。こうした係数 coeff- lengthが距離感制御フィル
タ11へ送られる。
【0053】図4は距離感制御フィルタ11の内部構成
を示す図である。距離感制御フィルタ11は、係数補間
用フィルタ11aおよび距離感付加用フィルタ11bか
ら構成される。係数補間用フィルタ11aおよび距離感
付加用フィルタ11bはいずれも、1次のIIR形ロー
パスフィルタである。係数補間用フィルタ11aは、係
数 coeff- lengthの急峻な変化を滑らかな変化に変える
ためのものである。すなわち、立体音響処理装置が、例
えばコンピュータグラフィック処理を行うパーソナルコ
ンピュータと連動して使用された場合などは、コンピュ
ータグラフィック処理での処理量が多いために、音像位
置データが立体音響処理装置へ送られる頻度が少なく、
その結果、距離感制御フィルタ係数計算部17から出力
される係数 coeff- lengthの値が、時間的に不連続に変
化することがあり得る。係数補間用フィルタ11aは、
こうした係数 coeff- lengthを受け取って、ローパスフ
ィルタによってその値の変化を滑らかにするものであ
る。乗算器11aaは、高周波成分の抑制の程度を決め
る定数γ(0<γ<1.0)を乗算する。乗算器11a
bは、このフィルタがゲインを持ってしまうことを避け
るために、値(1−γ)を乗算している。このように出
力補間を行った係数補間用フィルタ11aの出力を係数
coeff- length' とする。
【0054】距離感付加用フィルタ11bでは係数 coe
ff- length' を受けて、乗算器11baが係数 coeff-
length' の乗算を行い、入力した原音に対して、この係
数 coeff- length' の値に応じた高周波成分の抑制を行
う。すなわち、前述のように距離lengthが大きくなる
と、係数 coeff- lengthの値が値α1 に近づき、入力原
音に対する高周波成分の抑制の程度が大きくなる。反対
に、距離lengthが小さくなると、係数 coeff- lengthの
値が値0に近づき、入力原音に対する高周波成分の抑制
の程度が小さくなる。一般に、空気中を音が伝播する場
合、周波数が高い程、振幅が速く減衰する性質がある。
つまり、音像が遠くにあればある程、高い周波数成分が
抑制されて音が聞こえることになる。距離感付加用フィ
ルタ11bは、この性質を模擬していることになる。
【0055】なお、乗算器11bbは、このフィルタが
ゲインを持ってしまうことを避けるために、値(1− c
oeff- length' )を乗算している。距離感制御フィルタ
11は1次のIIRフィルタで十分であり、そのため、
少ないデータ処理量および小さなメモリ容量で、音像の
距離感の制御を行うことが可能となる。
【0056】つぎに、移動感制御フィルタ係数計算部1
9の処理内容について説明する。移動感制御フィルタ係
数計算部19には、距離計算部18から距離lengthが送
られる。まず、今回送られた距離lengthと、前回送られ
た距離(length- old)との差、つまり音像の移動速度を
算出し、この移動速度の正負に従い、下記式(7a),
(7b)に基づき、係数 coeff- moveを算出する。
【0057】
【数7】length- length- old >0 ならば coeff- move=α2 * 1.0-1.0/(1.0+β2* length- length -old ) ・・(7a) length- length- old <0 ならば coeff- move=−α2 * 1.0-1.0/(1.0+β2* length -old -length ) ・(7b) ここで、α2 およびβ2 は定数であり、0.0 <α2 <1.
0, 0.0 <β2 である。
【0058】これらの式では、移動速度(length- leng
th -old )の絶対値が大きくなると、length- length-
old >0 ならば(音像が遠ざかっている場合)、係数 c
oeff - moveが値α2 に近づき、length- length- old <
0 ならば(音像が近づいている場合)、係数 coeff- mo
veが値(−α2 )に近づき、また、移動速度(length-
length -old )の絶対値が小さくなると係数 coeff- mo
veが値0に近づく。こうした係数 coeff- moveが移動感
制御フィルタ12へ送られる。
【0059】図5は移動感制御フィルタ12の内部構成
を示す図である。移動感制御フィルタ12は、係数補間
用フィルタ12aおよび移動感付加用フィルタ12bか
ら構成される。係数補間用フィルタ12aは1次のII
R形ローパスフィルタであり、移動感付加用フィルタ1
2bは、1次のIIR形ハイパスフィルタまたはローパ
スフィルタである。移動感付加用フィルタ12bのII
R形フィルタは、与えられる係数の値が正ならばローパ
スフィルタとして機能し、負ならばハイパスフィルタと
して機能する。係数補間用フィルタ12aは、係数 coe
ff- moveの急峻な変化を滑らかな変化に変えるためのも
のである。すなわち、図4の係数補間用フィルタ11a
と同様に、移動感制御フィルタ係数計算部19から出力
される係数 coeff- moveの値が、時間的に不連続に変化
することがあり得るので、係数補間用フィルタ12a
は、こうした係数 coeff- moveを受け取って、ローパス
フィルタ(乗算器12aaで乗算される係数γ’の値が
0<γ’<1.0)によってその値の変化を滑らかに
し、係数 coeff- move' を出力する。
【0060】移動感付加用フィルタ12bでは係数 coe
ff- move' を受けて、乗算器12baが係数 coeff- mo
ve' の乗算を行い、入力した原音に対して、この係数 c
oeff - move' の値に応じた高周波成分または低周波成分
の抑制を行う。すなわち、前述のように、移動速度(le
ngth- length -old )の絶対値が大きくなり、しかもle
ngth- length- old >0 ならば(音像が遠ざかっている
場合)、係数 coeff-moveが値α2 に近づき、このとき
は、入力原音に対する高周波成分の抑制の程度が大きく
なる。また、移動速度(length- length -old )の絶対
値が大きくなり、しかもlength- length- old <0 なら
ば(音像が近づいている場合)、係数 coeff- moveが値
(−α2 )に近づき、このときは、入力した原音に対す
る低周波成分の抑制の程度が大きくなる。反対に、移動
速度(length- length -old )の絶対値が小さくなる
と、係数 coeff- moveの値が値0に近づき、入力した原
音に対する高周波成分または低周波成分の抑制の程度が
小さくなる。言い換えれば、移動感付加用フィルタ12
bは、音像が遠ざかっている場合には、高周波成分の抑
制を行い、しかもその抑制程度を、音像の移動速度が大
きい程大きくしている。反対に、音像が近づいている場
合には、低周波成分の抑制を行い、しかもその抑制程度
を、音像の移動速度が大きい程大きくしている。
【0061】一般に、音源が遠ざかるときには、対数表
示の音の周波数スペクトルが低域へシフトし、音源が近
づくときには、対数表示の音の周波数スペクトルが高域
へシフトする。移動感付加用フィルタ12bは、この性
質を模擬していることになる。
【0062】なお、乗算器12bbも、このフィルタが
ゲインを持ってしまうことを避けるために、値(1− c
oeff- move' )を乗算している。移動感制御フィルタ1
2は1次のIIRフィルタで十分であり、そのため、少
ないデータ処理量および小さなメモリ容量で、音像の移
動感の制御を行うことが可能となる。
【0063】なお、図1に示した強調手段1は図3に示
したフィルタ係数強調装置に対応し、図1に示した記憶
手段2は図2の係数記憶部22に対応し、図1に示した
音像定位フィルタ3は図2の音像定位フィルタ14に対
応し、図1に示した距離算出手段4は図2の距離計算部
18に対応し、図1に示した係数値決定手段5は図2の
距離感制御フィルタ係数計算部17に対応し、図1に示
したローパスフィルタ6は図2の距離感制御フィルタ1
1に対応し、図1に示した速度方向算出手段7は図2の
移動感制御フィルタ係数計算部19に対応し、図1に示
した係数値決定手段8は図2の移動感制御フィルタ係数
計算部19に対応し、図1に示したフィルタ9は図2の
移動感制御フィルタ12に対応する。
【0064】つぎに、第2の実施の形態を説明する。第
2の実施の形態の構成は、基本的に第1の実施の形態の
構成と同じであるので、第2の実施の形態の説明では第
1の実施の形態の構成を流用し、異なる部分だけを以下
に説明する。
【0065】第2の実施の形態では、第1の実施の形態
のフィルタ係数強調装置のあとに、図11に示すフィル
タ係数計算装置を付加する。また、図2に示したフィル
タ14a,14bの内部構成が異なる。
【0066】図11は第2の実施の形態のフィルタ係数
計算装置を示す図である。このフィルタ係数計算装置
は、図3のフィルタ係数強調装置の出力である2つのイ
ンパルスレスポンスを個々に処理する装置である。図
中、線形予測解析部28には、予め測定等により求めら
れた原音場における左右の耳に係る2つのインパルスレ
スポンスのうちのいずれか一方が入力される。線形予測
解析部28は、インパルスレスポンスに対して自己相関
関数値の計算を行い、それを用いて線形予測係数bp1, b
p2, ・・bpm を算出する。線形予測係数の計算は、例え
ばLevinson-Durbin法を使用する。この算出された線形
予測係数bp1, bp2, ・・bpm は、インパルスレスポンス
の振幅スペクトルの極(山)を表すものである。
【0067】つぎに、IIR形の合成フィルタ29を用
意し、この合成フィルタ29の係数に、線形予測解析部
28により求められた線形予測係数bp1, bp2, ・・bpm
を設定する。そして、合成フィルタ29にインパルスを
印加すると、合成フィルタ29からは、極の特性を付加
されたインパルスレスポンスが出力される。このインパ
ルスレスポンスxと、線形予測解析部28に入力された
インパルスレスポンスaとを、誤差最小二乗法解析部3
0へ入力する。
【0068】誤差最小二乗法解析部30は、線形予測解
析部28に入力されたインパルスレスポンスの振幅スペ
クトルの零点(谷)を表すFIRフィルタの係数bz0, b
z1,・・bzk を算出するものである。
【0069】インパルスレスポンスx(要素x0,x
1,・・xqで表す。ただしq≧1)と、インパルスレ
スポンスa(要素a0,a1,・・aqで表す)と、係
数bz0,bz1, ・・bzk との間には下記式(8)で示す関
係がある。
【0070】
【数8】
【0071】この式(8)の左辺のインパルスレスポン
スxの行列をX、係数bz0, bz1, ・・bzk のベクトルを
B、右辺のベクトルをAとすると、式(8)は次のよう
になる。
【0072】
【数9】 XB=A ・・・(9) 両辺にXT を乗算して
【0073】
【数10】 XT XB=XT A ・・・(10) したがって、
【0074】
【数11】 B=(XT X)-1T A ・・・(11) 誤差最小二乗法解析部30では、上記式(11)に基づ
き、係数bz0, bz1, ・・bzk を算出する。また、誤差最
小二乗法解析部30で、最急降下法によって係数bz0, b
z1, ・・bzk を算出するようにしてもよい。
【0075】フィルタ係数計算装置は、図3のフィルタ
係数強調装置の出力である2つのインパルスレスポンス
のうちの残りの一方に対しても上記の処理を行い、線形
予測係数bp1, bp2, ・・bpm および係数bz0, bz1, ・・
bzk を算出する。
【0076】図12は、第1の実施の形態のフィルタ1
4a,14bに代わってそれぞれに使用する、第2の実
施の形態のフィルタの内部構成を示す図である。両方と
も同一の構成であるので、一方のみを示す。
【0077】すなわち、IIR形のフィルタ31とFI
R形のフィルタ32との直列回路からなり、フィルタ3
1の係数に、線形予測解析部28で求められた線形予測
係数bp1, bp2, ・・bpm が設定され、フィルタ32の係
数に、誤差最小二乗法解析部30で求められた係数bz0,
bz1, ・・bzk が設定される。
【0078】以上のように、第1の実施の形態のフィル
タ14a,14bに代わって、図12で示すフィルタを
それぞれ使用することにより、フィルタのタップ数を数
百〜数千から大幅に減少させることができる。なお、こ
の第2の実施の形態は、第1の実施の形態に、本願と同
一の出願人による特願平7−231705号の発明を組
み合わせたものとなる。
【0079】つぎに、第3の実施の形態を説明する。図
13は、第3の実施の形態に係る立体音響処理装置の全
体構成図である。第3の実施の形態の構成は、基本的に
は第1の実施の形態の構成と同じであるので、同一構成
部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略す
る。
【0080】第3の実施の形態では、再生音場において
スピーカ33,34を使用する。この場合、音像定位フ
ィルタ36は2つのフィルタ36a,36bから構成さ
れ、それらの各伝達関数TL ,TR は下記式(12
a),(12b)で表される。ただし、2つのスピーカ
33,34が聴取者35に対して対称な位置にあるとす
る。
【0081】
【数12】 TL =(SL L −SR R )/(LL 2 −LR 2 ) ・・・(12a) TR =(SR L −SL R )/(LL 2 −LR 2 ) ・・・(12b) ここで、SL ,SR は、第1の実施の形態と同様に、原
音場における音源から左右の耳の鼓膜までの各経路の音
響特性を表す頭部伝達関数である。また、LL,L
R は、Lchスピーカ33から聴取者35の左右の耳の
鼓膜までの各経路の音響特性を表す頭部伝達関数であ
る。
【0082】伝達関数TL ,TR の中の頭部伝達関数S
L ,SR に対して、第1の実施の形態と同じフィルタ係
数強調装置で作成された係数群が、音像位置に応じて係
数記憶部22から読み出されて設定される。
【0083】第3の実施の形態のような、スピーカ3
3,34を使用した再生音場でも、フィルタ係数強調装
置で作成された係数群がフィルタ36a,36bに設定
されることにより、第1の実施の形態と同じように、音
像の前後の定位特性を向上させることができる。
【0084】また、第1〜3の実施の形態で、頭部伝達
関数の両耳間差の強調の程度を音像定位の位置によって
変えるようにしてもよい。例えば、図9のdMAX の値を
音像位置によって変化させればよい。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、強調手
段が、原音場における両耳に至る経路のインパルスレス
ポンスの差を強調する。これにより、音像の前後の定位
特性を向上させることが可能となる。
【0086】また、係数値決定手段が、再生音場におけ
る聴取者と音像との距離に応じてローパスフィルタの係
数値を決定する。つまり、音像が遠くにあればある程、
高い周波数成分が抑制されて音が聞こえるので、これを
模擬するために、ローパスフィルタを使用するととも
に、音像から聴取者までの距離に応じて、ローパスフィ
ルタの高周波成分の抑制の度合いを変化させるようにす
る。ここで使用されるローパスフィルタは1次のIIR
フィルタで十分である。かくして、少ないデータ処理量
および小さなメモリ容量で、音像の距離感の制御を行う
ことが可能となる。
【0087】さらにまた、係数値決定手段が、音像の移
動速度および移動方向に応じてフィルタの係数値を決定
する。音像が近づくときには、このフィルタをハイパス
フィルタとして使用して低い周波数成分を抑制し、音像
が遠ざかるときには、このフィルタをローパスフィルタ
として使用して高い周波数成分を抑制するようにする。
しかも、音像の移動速度が速くなる程、抑制の度合いを
深めるように、フィルタの係数値を決定する。ここで使
用されるフィルタは1次のIIRフィルタで十分であ
る。かくして、少ないデータ処理量および小さなメモリ
容量で、音像の移動感の制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】第1の実施の形態に係る立体音響処理装置の全
体構成図である。
【図3】係数記憶部に格納される複数の係数値群を作成
するためのフィルタ係数強調装置を示す図である。
【図4】距離感制御フィルタの内部構成を示す図であ
る。
【図5】移動感制御フィルタの内部構成を示す図であ
る。
【図6】係数記憶部の内部のメモリ配置状態を示す図で
ある。
【図7】前方左60°に音源がある場合の振幅スペクト
ルAL(ω),AR(ω)を示す図である。
【図8】強調された第2の振幅スペクトルAL2 ( ω)
を示す図である。
【図9】角速度ωに応じて変化する値α(ω)を示す図
である。
【図10】変数α(ω)を使用した場合に得られる強調
後の第2の振幅スペクトルAL2( ω)を示す図であ
る。
【図11】第2の実施の形態のフィルタ係数計算装置を
示す図である。
【図12】原音場の音響特性を付加するための第2の実
施の形態のフィルタの内部構成を示す図である。
【図13】第3の実施の形態に係る立体音響処理装置の
全体構成図である。
【図14】音源と聴取者とからなる原音場の一例を示す
図である。
【図15】ヘッドホンを用いた再生音場の従来の一例を
示す図である。
【図16】FIR形フィルタの構成を示す図である。
【図17】音声データを記憶するリングバッファを示す
図である。
【符号の説明】
1 強調手段 2 記憶手段 3 音像定位フィルタ 4 距離算出手段 5 係数値決定手段 6 ローパスフィルタ 7 速度方向算出手段 8 係数値決定手段 9 フィルタ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成9年4月2日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 立体音響処理装置
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、立体音響処理装置
に関し、特に、音像を定位させて立体的な音響効果を提
供する立体音響処理装置に関する。
【0002】一般に、音像を正確に再現し若しくは定位
させるには、まず、原音場における音源から聴取者まで
の頭部伝達関数(HRTF; Head-Related Transfer Fu
nction)で示される音響特性と、再生音場におけるスピ
ーカやヘッドホン等の音響出力機器から聴取者までの音
響特性とを、測定等により求める必要がある。そして再
生音場において、原音にそうした原音場の音響特性を付
加し、かつ原音から再生音場の音響特性を除去し、こう
して得られた信号を、スピーカやヘッドホン等を用いて
聴取者に聴かせる。これによって、再生音場において、
原音場の音源位置に音像を定位させることができる。
【0003】
【従来の技術】図14は音源と聴取者とからなる原音場
の一例を示す図である。図中、音源(S)101から聴
取者102の左右の耳(L,R)の各鼓膜に至る2つの
音響空間経路が存在し、それらの音響特性が頭部伝達関
数SL ,SR でそれぞれ表されるとする。
【0004】図15は、ヘッドホンを用いた再生音場の
従来の一例を示す図である。フィルタ(SL ,SR )1
03,104は、原音場における音源101から聴取者
102までの音響特性を付加し、フィルタ(h-1
-1)105,106は、再生音場におけるヘッドホン
107a,107bから聴取者108の耳までの音響特
性を除去する。音源101の原音と同一である入力信号
を左右に分けて、こうしたフィルタ103〜106を通
過させた上で、ヘッドホン107a,107bから出力
した場合、これを聴いた聴取者108は、図14の音源
101に相当する位置に音像109を得ることができ
る。
【0005】フィルタ103〜106には、図16に示
すようなFIR(Finite Impulse Response)フィルタが
用いられる。FIRフィルタは、フリップフロップ等か
らなる遅延器110〜112、乗算器113〜116、
合算器117、加算器118から構成される。乗算器1
13〜116で乗算される係数a0〜anには、下記の
ようにして得られるインパルスレスポンスの値が使用さ
れる。すなわち、このFIRフィルタがフィルタ
(SL ,SR )103,104に使用される場合には、
図14の原音場の2つの音響空間経路の音響特性を測定
することにより得られるインパルスレスポンスの値を用
いる。また、このFIRフィルタがフィルタ(h-1,h
-1)105,106に使用される場合には、図15に示
すヘッドホン107a,107bから聴取者108の左
右の耳の各鼓膜までの各音響空間経路の音響特性(伝達
関数h,hで表される)を測定し、それらの逆特性
-1,h-1を求め、それらを表すインパルスレスポンス
の値を用いる。つまり、図15に示すヘッドホン107
a,107bから聴取者108の左右の耳の各鼓膜まで
の各音響空間経路の音響特性を測定することによって得
られるインパルスレスポンスを、周波数領域に変換し
て、ここで逆特性を求め、それを時間領域に逆変換する
ことによって得られる。
【0006】ところで、音像の距離感を制御するには、
従来、音の大きさと響きとを調整している。響きを調整
するには、響きを表すインパルスレスポンスを係数とす
るFIRフィルタが用いられる。
【0007】また、音像の移動感を制御するには、従
来、音の大きさと高さとを調整している。すなわち、音
の高さを調整してドップラ効果を表し、例えば音を高く
することにより音源が近づいてくることを表し、音を低
くすることにより音源が遠ざかっていることを表す。具
体的には、図17に示すような所定のメモリ容量からな
るリングバッファ119が使用され、音声データがリン
グバッファ119内に、動作速度一定の書き込みポイン
タのアドレス指示に従い、書き込まれる。一方、読み出
しポインタは、音を高くしたいときには速く、音を低く
したいときには遅く動作するように制御され、この読み
出しポインタのアドレス指示に従い、音声データが読み
出される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、こうした音像
定位を行う従来の立体音響処理装置では音像定位特性に
問題があった。
【0009】一般に、音源位置を特定する人間の能力
は、左右に対しては優れているが、前後や上下に対して
は鈍感である。そのため、特に、音源が前後方向のどこ
に位置するかが不明な場合、通常、音源を視覚に頼って
探したり、頭を左右に捩じることによって得られる音響
特性の違いから判断をするようにしている。
【0010】ところが、再生音場には音源が実際に存在
する訳ではないので視覚に頼ることはできず、また、再
生音場でヘッドホンを使用した場合には、頭を捩じって
も音響特性の違いは発生しない。なお、再生音場でスピ
ーカを使用している場合でも、頭を2つのスピーカに対
して所定角度に置くことを条件に音像定位が行われるの
であるから、頭を捩じる方法は、そうした条件を満たさ
ないことになり、これも前後の音像定位には使用できな
い。
【0011】したがって、従来の立体音響処理装置で
は、前後の音像定位が難しいという問題があった。ま
た、本願と同一の出願人による特願平7−231705
号の明細書に示されるように、原音場の音響特性を表す
インパルスレスポンスの周波数特性の1つである振幅ス
ペクトルの極(山)と零点(谷)とを近似的に表す係数
を求め、これらの係数を持ったタップ数の少ないIIR
(Infinite Impulse Response)フィルタおよびFIRフ
ィルタを用いて、原音場の音響特性の付加を行い、これ
により、従来の原音場の音響特性を付加するためののF
IRフィルタのデータ処理量を減らし、またフィルタの
メモリを小型化している。しかし、こうしたタップ数を
減らした装置では、前後の音像定位特性が低下すること
がある。
【0012】さらに、音像の距離感を制御するために、
従来、音の大きさと響きとを調整しているが、特に響き
を調整するには、響きを表すインパルスレスポンスを係
数とするFIRフィルタが用いられる。このFIRフィ
ルタは多くのデータ処理量と大きなメモリ量を必要とす
るという問題点があった。
【0013】さらにまた、音像の移動感を制御するため
に、従来、図17のリングバッファ119が使用される
が、音像の移動が速い場合には、読み出しポインタの動
作速度が、書き込みポインタの動作速度に比べ、非常に
速くなるか(音像が近づく場合)、または非常に遅くな
る(音像が遠ざかる場合)。その場合、読み出しポイン
タが書き込みポインタに追いつくことや、書き込みポイ
ンタが読み出しポインタに追いつくことが発生する。こ
れを防ぐためにリングバッファ119のメモリ容量を大
きくしなければならないという問題点があった。
【0014】本発明はこのような点に鑑みてなされたも
のであり、音像の定位特性を向上させた立体音響処理装
置を提供することを第1の目的とする。また、少ないデ
ータ処理量および小さなメモリ容量で、音像の距離感お
よび移動感の制御を行うことを可能とする立体音響処理
装置を提供することを第2の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明では上記第1の目
的を達成するために、図1に示すように、原音場におけ
る音源から聴取者の左右の耳の鼓膜までの、インパルス
レスポンスで示される2つの音響特性を基に、これらの
両特性の差を強調した2つのインパルスレスポンスを作
成する強調手段1と、音源の位置毎に、強調手段1で作
成された2つのインパルスレスポンスを基にして係数値
群を決定して、音源の位置毎に、当該決定された係数値
群を記憶する記憶手段2と、音像位置に応じて記憶手段
2から係数値群を読み出して、自己の各係数として設定
して原音に原音場の音響特性の付加を行うとともに、原
音から再生音場の音響特性の除去を行う音像定位フィル
タ3とを有することを特徴とする立体音響処理装置が提
供される。
【0016】また、上記第2の目的を達成するために、
図1に示すように、再生音場における聴取者と音像との
距離を算出する距離算出手段4と、距離算出手段4で算
出された距離に応じて係数値を決定する係数値決定手段
5と、係数値決定手段5で決定された係数値を係数と
し、原音の高い周波数成分を抑制するローパスフィルタ
6とを有することを特徴とする立体音響処理装置が提供
される。
【0017】さらにまた、上記第2の目的を達成するた
めに、図1に示すように、距離算出手段4で算出される
距離の時間的変化を基に、音像の移動速度および移動方
向を算出する速度方向算出手段7と、速度方向算出手段
7で算出された移動速度および移動方向に応じて係数値
を決定する係数値決定手段8と、係数値決定手段8で決
定された係数値を係数とし、原音の低いまたは高い周波
数成分を抑制するフィルタ9とを有することを特徴とす
る立体音響処理装置が提供される。
【0018】以上のような構成において、原音場におけ
る音源から聴取者の左右の耳の鼓膜までの、予めの測定
等によって得られたインパルスレスポンスを基にして、
強調手段1が、これらのインパルスレスポンスの差を強
調する。この強調によって結果的に音像の前後の定位特
性が向上する。こうした強調を、音源の位置毎に行い、
強調された2つのインパルスレスポンスを基にして、音
源の位置毎に、音像定位フィルタ3において使用される
係数値群を決定して、音源の位置毎に、記憶手段2に記
憶しておく。
【0019】音像定位フィルタ3では、音像位置に応じ
て記憶手段2から係数値群を読み出して、自己の各係数
として設定して原音に原音場の音響特性の付加を行う。
また、これとは別に、再生音場の音響特性の逆特性に基
づいた係数設定を行い、原音から再生音場の音響特性の
除去を行う。
【0020】このように、強調手段1が、原音場におけ
る両耳に至る経路のインパルスレスポンスの差を強調す
ることにより、音像の前後の定位特性を向上させること
が可能となる。
【0021】また、距離算出手段4が、再生音場におけ
る聴取者と音像との距離を算出し、係数値決定手段5
が、距離算出手段4で算出された距離に応じてローパス
フィルタ6の係数値を決定する。
【0022】一般に、空気中を音が伝播する場合、周波
数が高い程、振幅が速く減衰する性質がある。つまり、
音像が遠くにあればある程、高い周波数成分が抑制され
て籠もった音が聞こえることになる。これを模擬するた
めに、ローパスフィルタ6を使用するとともに、再生音
場における音像から聴取者までの距離に応じて、ローパ
スフィルタ6の高周波成分の抑制の度合いを変化させる
ようにする。その距離が遠くなる程、高周波成分の抑制
の度合いを深めるように、ローパスフィルタ6の係数値
を決定する。ここで使用されるローパスフィルタ6は1
次のIIRフィルタで十分である。
【0023】かくして、少ないデータ処理量および小さ
なメモリ容量で、音像の距離感の制御を行うことが可能
となる。さらにまた、速度方向算出手段7が、距離算出
手段4で算出される距離の時間的変化を基に、音像の移
動速度および移動方向を算出し、係数値決定手段8が、
算出された移動速度および移動方向に応じてフィルタ9
の係数値を決定する。
【0024】一般に、音源が近づくときには、対数表示
の音の周波数スペクトルが高域へシフトし、音源が遠ざ
かるときには、対数表示の音の周波数スペクトルが低域
へシフトする。これを近似的に模擬するために、音像が
近づくときには、フィルタ9をハイパスフィルタとして
使用して低い周波数成分を抑制し、音像が遠ざかるとき
には、フィルタ9をローパスフィルタとして使用して高
い周波数成分を抑制するようにする。しかも、音像の移
動速度に応じて、フィルタ9の抑制の度合いを変化させ
るようにする。その移動速度が速くなる程、抑制の度合
いを深めるように、フィルタ9の係数値を決定する。こ
こで使用されるフィルタ9は1次のIIRフィルタで十
分である。
【0025】かくして、少ないデータ処理量および小さ
なメモリ容量で、音像の移動感の制御を行うことが可能
となる。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。まず、第1の実施の形態の原理構
成を、図1を参照して説明する。第1の実施の形態は、
原音場における音源から聴取者の左右の耳の鼓膜まで
の、インパルスレスポンスで示される2つの音響特性を
基に、これらの両特性の差を強調した2つのインパルス
レスポンスを作成する強調手段1と、音源の位置毎に、
強調手段1で作成された2つのインパルスレスポンスを
基にして係数値群を決定して、音源の位置毎に、当該決
定された係数値群を記憶する記憶手段2と、音像位置に
応じて記憶手段2から係数値群を読み出して、自己の各
係数として設定して原音に原音場の音響特性の付加を行
うとともに、原音から再生音場の音響特性の除去を行う
音像定位フィルタ3とから構成される。
【0027】さらに、第1の実施の形態は、再生音場に
おける聴取者と音像との距離を算出する距離算出手段4
と、距離算出手段4で算出された距離に応じて係数値を
決定する係数値決定手段5と、係数値決定手段5で決定
された係数値を係数とし、原音の高い周波数成分を抑制
するローパスフィルタ6とを含む。
【0028】さらにまた、第1の実施の形態は、距離算
出手段4で算出される距離の時間的変化を基に、音像の
移動速度および移動方向を算出する速度方向算出手段7
と、速度方向算出手段7で算出された移動速度および移
動方向に応じて係数値を決定する係数値決定手段8と、
係数値決定手段8で決定された係数値を係数とし、原音
の低いまたは高い周波数成分を抑制するフィルタ9とを
含む。
【0029】こうした第1の実施の形態の具体的構成
を、図2〜図6を参照して説明する。なお、図1に示し
た構成と図2〜図6に示す構成との対応関係について
は、具体的構成を説明した後に説明する。
【0030】図2は第1の実施の形態に係る立体音響処
理装置の全体構成図である。図中、音源の原音と同一の
音が、再生音場において、距離感制御フィルタ11、移
動感制御フィルタ12、可変増幅部13、音像定位フィ
ルタ14を経由して、左右のヘッドホン15a,15b
から聴取者16へ送られる。距離感制御フィルタ11に
は距離感制御フィルタ係数計算部17が接続され、距離
感制御フィルタ係数計算部17には距離計算部18が接
続される。距離計算部18は音像位置に関する情報を貰
うと、音像位置と聴取者16との距離lengthを算出す
る。距離感制御フィルタ係数計算部17は、算出された
距離lengthを基に、後述する手順により係数 coeff- le
ngthを算出し、距離感制御フィルタ11に送る。距離感
制御フィルタ11は、図4に示す内部構成となってお
り、後述するようにローパスフィルタとしての動作を行
い、音像の距離感を制御する。
【0031】移動感制御フィルタ12には移動感制御フ
ィルタ係数計算部19が接続され、移動感制御フィルタ
係数計算部19には距離計算部18が接続される。移動
感制御フィルタ係数計算部19は、距離計算部18で算
出された距離lengthの時間的変化を基に、後述する手順
により係数 coeff- moveを算出し、移動感制御フィルタ
12に送る。移動感制御フィルタ12は、図5に示す内
部構成となっており、後述するようにローパスフィルタ
またはハイパスフィルタとしての動作を行い、音像の移
動感を制御する。
【0032】可変増幅部13にはゲイン計算部20が接
続され、ゲイン計算部20には距離計算部18が接続さ
れる。ゲイン計算部20は、距離計算部18で算出され
た距離lengthを基に下記式(1)に従い、増幅度g(ゲ
イン)を算出し、可変増幅部13へ送る。
【0033】
【数1】 g=a/(1+b* length) ・・(1) ここで、a,bは正の定数である。
【0034】増幅度gは、距離lengthが大きくなる程、
小さくなるように設定され、可変増幅部13は、この増
幅度gに従って増幅を行って、先の距離感制御フィルタ
11とともに、音像の距離感の制御を行う。
【0035】音像定位フィルタ14は、原音場の音響特
性を付加するためのフィルタ(SL,R )14a,14
bと、再生音場のヘッドホン15a,15bに係る音響
特性を除去するためのフィルタ(h-1 , -1)14c,
14dとから構成され、それぞれFIRフィルタからな
る。フィルタ14c,14dの係数は、予め測定等によ
り求められたインパルスレスポンスを基に逆特性に相当
するインパルスレスポンスを算出し、それに基づき設定
されるもので、固定値である。一方、フィルタ14a,
14bの係数には、係数記憶部22に格納された複数の
係数値群から、音像位置に応じて選択された係数値群が
使用される。それらの係数値群は音像位置に応じて各値
が変化する。係数記憶部22には、後述する手順により
予め得られた音源位置毎の複数の係数値群が格納されて
いる。格納に際しては、音源位置毎の係数値が纏められ
て、連続するアドレスが与えられる。したがって、ポイ
ンタ計算部21が、音像位置に応じて、連続するアドレ
スの先頭アドレスを指定するだけで、音源位置毎の係数
値群が纏まって読み出される。
【0036】図3は、係数記憶部22に格納される複数
の係数値群を作成するためのフィルタ係数強調装置を示
す図である。フィルタ係数強調装置は、左耳用の高速フ
ーリエ変換装置(FFT)23、高速フーリエ逆変換装
置(IFFT)24、右耳用の高速フーリエ変換装置
(FFT)25、高速フーリエ逆変換装置(IFFT)
26、および両耳間差強調部27から構成される。
【0037】予め、原音場において、音源の各位置毎
に、音源から聴取者の左右の耳の鼓膜に至る各経路の音
響特性を表すインパルスレスポンスが測定される。それ
らのうちの左耳のインパルスレスポンスが左耳用の高速
フーリエ変換装置23に入力され、高速フーリエ変換装
置23が、周波数特性としての位相スペクトルと振幅ス
ペクトルとを作成する。同様に、右耳のインパルスレス
ポンスが右耳用の高速フーリエ変換装置25に入力さ
れ、高速フーリエ変換装置25が、周波数特性としての
位相スペクトルと振幅スペクトルとを作成する。
【0038】両耳間差強調部27には、同一音源位置に
係わる左耳の振幅スペクトルと右耳の振幅スペクトルと
が入力される。ここで左耳の振幅スペクトルをAL
(ω)、右耳の振幅スペクトルをAR(ω)とする。ω
は角速度であり、その値の範囲は0≦ω≦πである。両
耳間差強調部27は、下記式(2)に従い、振幅スペク
トルAR(ω)を基準にして、振幅スペクトルAL
(ω)を、振幅スペクトルAL(ω)と振幅スペクトル
AR(ω)との差分だけ対数軸において強調した第1の
振幅スペクトルAL1 ( ω)を算出する。
【0039】
【数2】 log[AL1(ω)]=log[AL(ω)] +α|log[AL(ω)]-log[AR(ω)]| ・・・(2) ここで、αは正の定数である。
【0040】このlog AL1(ω) を、下記式(3)により
線形軸に変換する。
【0041】
【数3】 AL1(ω) =exp(log[AL1(ω) ]) ・・・(3) さらに、第1の振幅スペクトルAL1 ( ω)のレベル調
整を下記式(4)により行い、第2の振幅スペクトルA
2 ( ω)を得て高速フーリエ逆変換装置24へ出力す
る。また、このレベル調整は、高速フーリエ逆変換後、
時間領域で行なってもよい。
【0042】
【数4】
AL2(ω) =AL1(ω) * (MAX[AL(ω)]/ MAX[AL1(ω)]) ・・・(4) ここで、関数 MAX AL(ω) は、AL( ω) の0≦ω≦πに
おける最大値を示し、関数MAX AL1(ω) は、AL1(ω) の
0≦ω≦πにおける最大値を示す。
【0043】振幅スペクトルAR(ω)に関しては、下
記式(5)に従い、そのまま両耳間差強調部27から高
速フーリエ逆変換装置26へ第2の振幅スペクトルAR
2 (ω)として出力される。
【0044】
【数5】 AR2(ω) =AR( ω) ・・・(5) 高速フーリエ逆変換装置24は、高速フーリエ変換装置
23から送られた位相スペクトルと両耳間差強調部27
から送られた第2の振幅スペクトルAL2 ( ω)とを基
にして時間軸へのフーリエ逆変換を行う。同様に、高速
フーリエ逆変換装置26は、高速フーリエ変換装置25
から送られた位相スペクトルと両耳間差強調部27から
送られた第2の振幅スペクトルAR2 ( ω)とを基にし
て時間軸へのフーリエ逆変換を行う。
【0045】こうした強調の処理を音源位置毎に行い、
得られた強調後のインパルスレスポンスが図2の係数記
憶部22へ送られ、音源位置毎に格納される。以上の両
耳間差強調部27による振幅スペクトルの差の強調を、
図7および図8を参照して別の観点から説明する。
【0046】図7は、例えば前方左60°の位置に音源
がある場合に得られる振幅スペクトルAL(ω),AR
(ω)を示す。これらの振幅スペクトルAL(ω),A
R(ω)を使用して両耳間差強調部27が上述の手順に
より第2の振幅スペクトルAL2 ( ω)を算出した場
合、第2の振幅スペクトルAL2 ( ω)は図8に示すよ
うになる。図8には、比較のために強調前の振幅スペク
トルAL(ω)も示す。図8で分かるように、特に角速
度の高い領域において、強調後の第2の振幅スペクトル
AL2 ( ω)が強調前の振幅スペクトルAL(ω)より
も大きくなっている。これは、一般に、高い周波数の音
が、音の前後の方向感に大きな影響を与える性質があ
り、そうした性質に合致した強調となっている。こうし
た強調により、結果的に前後の定位特性が向上してい
る。
【0047】なお、両耳間差強調部27は、振幅スペク
トルAR(ω)を基準にして、振幅スペクトルAL
(ω)を、振幅スペクトルAL(ω)と振幅スペクトル
AR(ω)との差分だけ対数軸において強調するように
しているが、これに代わって、振幅スペクトルAL
(ω)と振幅スペクトルAR(ω)とを入れ替えて、振
幅スペクトルAL(ω)を基準にして、振幅スペクトル
AR(ω)を、振幅スペクトルAR(ω)と振幅スペク
トルAL(ω)との差分だけ対数軸において強調するよ
うにしてもよい。さらには、角速度ω毎に、振幅スペク
トルAL(ω)と振幅スペクトルAR(ω)との平均値
を算出し、この平均値を基準にして、振幅スペクトルA
L(ω)と振幅スペクトルAR(ω)との両方の値を変
更するようにしてもよい。
【0048】さらにまた、前述と同じように、上記式
(2)〜(5)に基づき、振幅スペクトルAR(ω)を
基準にして、振幅スペクトルAL(ω)を、振幅スペク
トルAL(ω)と振幅スペクトルAR(ω)との差分だ
け対数軸において強調するが、その際、上記式(2)の
αを定数にはせず、例えば図9に示すように、角速度ω
に応じて変化する値α(ω)とする。こうした値α
(ω)を上記式(2)に使用した場合に得られる強調後
の第2の振幅スペクトルAL2 ( ω)を図10に示す。
【0049】図6は係数記憶部22の内部のメモリ配置
状態を示す図である。例えば、聴取者の真正面を0°と
し、後正面を180°として、音源が30°ずつ移動し
て、各音源位置で音響特性の測定が行われたとする。こ
の場合、係数記憶部22には、0°用係数群の格納場所
22a、30°用係数群の格納場所22b、・・180
°用係数群の格納場所22cが設けられる。各格納場所
には連続するアドレスが付され、各格納場所の先頭アド
レス22d,22e,22fをポインタにより指定する
ことにより、対応の格納場所の係数群が読み出され、図
2のフィルタ14a,14bへ送られる。これにより、
音像定位フィルタ14は定位特性の優れた音像定位を行
うことが可能となる。
【0050】つぎに、距離感制御フィルタ係数計算部1
7の処理内容について説明する。距離感制御フィルタ係
数計算部17には、距離計算部18から距離lengthが送
られる。これを使用して下記式(6)に基づき、係数 c
oeff- lengthを算出する。
【0051】
【数6】 coeff- length=α1 * [1.0-1/(1.0+ β1* length)] ・・・(6) ここで、α1 およびβ1 は定数であり、0.0 <α1 <1.
0, 0.0 <β1 である。
【0052】この式では、距離lengthの値が大きくなる
と係数 coeff- lengthが値α1 に近づき、また、距離le
ngthの値が小さくなると係数 coeff- lengthが値0に近
づく。こうした係数 coeff- lengthが距離感制御フィル
タ11へ送られる。
【0053】図4は距離感制御フィルタ11の内部構成
を示す図である。距離感制御フィルタ11は、係数補間
用フィルタ11aおよび距離感付加用フィルタ11bか
ら構成される。係数補間用フィルタ11aおよび距離感
付加用フィルタ11bはいずれも、1次のIIR形ロー
パスフィルタである。係数補間用フィルタ11aは、係
数 coeff- lengthの急峻な変化を滑らかな変化に変える
ためのものである。すなわち、立体音響処理装置が、例
えばコンピュータグラフィック処理を行うパーソナルコ
ンピュータと連動して使用された場合などは、コンピュ
ータグラフィック処理での処理量が多いために、音像位
置データが立体音響処理装置へ送られる頻度が少なく、
その結果、距離感制御フィルタ係数計算部17から出力
される係数 coeff- lengthの値が、時間的に不連続に変
化することがあり得る。係数補間用フィルタ11aは、
こうした係数 coeff- lengthを受け取って、ローパスフ
ィルタによってその値の変化を滑らかにするものであ
る。乗算器11aaは、高周波成分の抑制の程度を決め
る定数γ(0<γ<1.0)を乗算する。乗算器11a
bは、このフィルタがゲインを持ってしまうことを避け
るために、値(1−γ)を乗算している。このように出
力補間を行った係数補間用フィルタ11aの出力を係数
coeff- length' とする。
【0054】距離感付加用フィルタ11bでは係数 coe
ff- length' を受けて、乗算器11baが係数 coeff-
length' の乗算を行い、入力した原音に対して、この係
数 coeff- length' の値に応じた高周波成分の抑制を行
う。すなわち、前述のように距離lengthが大きくなる
と、係数 coeff- lengthの値が値α1 に近づき、入力原
音に対する高周波成分の抑制の程度が大きくなる。反対
に、距離lengthが小さくなると、係数 coeff- lengthの
値が値0に近づき、入力原音に対する高周波成分の抑制
の程度が小さくなる。一般に、空気中を音が伝播する場
合、周波数が高い程、振幅が速く減衰する性質がある。
つまり、音像が遠くにあればある程、高い周波数成分が
抑制されて音が聞こえることになる。距離感付加用フィ
ルタ11bは、この性質を模擬していることになる。
【0055】なお、乗算器11bbは、このフィルタが
ゲインを持ってしまうことを避けるために、値(1− c
oeff- length' )を乗算している。距離感制御フィルタ
11は1次のIIRフィルタで十分であり、そのため、
少ないデータ処理量および小さなメモリ容量で、音像の
距離感の制御を行うことが可能となる。
【0056】つぎに、移動感制御フィルタ係数計算部1
9の処理内容について説明する。移動感制御フィルタ係
数計算部19には、距離計算部18から距離lengthが送
られる。まず、今回送られた距離lengthと、前回送られ
た距離(length- old)との差、つまり音像の移動速度を
算出し、この移動速度の正負に従い、下記式(7a),
(7b)に基づき、係数 coeff- moveを算出する。
【0057】
【数7】 (length- length - old )>0 ならば coeff- move=α2 * [1.0-1/(1.0+β2*[length- length -old])] ・・・(7a) (length- length - old ) <0 ならば coeff- move=−α2 *[1.0-1/(1.0+ β2*[length -old -length]) ] ・・・(7b) ここで、α2 およびβ2 は定数であり、0.0 <α2 <1.
0, 0.0 <β2 である。
【0058】これらの式では、移動速度(length- leng
th -old )の絶対値が大きくなると、length- length-
old >0 ならば(音像が遠ざかっている場合)、係数 c
oeff - moveが値α2 に近づき、length- length- old <
0 ならば(音像が近づいている場合)、係数 coeff- mo
veが値(−α2 )に近づき、また、移動速度(length-
length -old )の絶対値が小さくなると係数 coeff- mo
veが値0に近づく。こうした係数 coeff- moveが移動感
制御フィルタ12へ送られる。図5は移動感制御フィル
タ12の内部構成を示す図である。移動感制御フィルタ
12は、係数補間用フィルタ12aおよび移動感付加用
フィルタ12bから構成される。係数補間用フィルタ1
2aは1次のIIR形ローパスフィルタであり、移動感
付加用フィルタ12bは、1次のIIR形ハイパスフィ
ルタまたはローパスフィルタである。移動感付加用フィ
ルタ12bのIIR形フィルタは、与えられる係数の値
が正ならばローパスフィルタとして機能し、負ならばハ
イパスフィルタとして機能する。係数補間用フィルタ1
2aは、係数 coeff- moveの急峻な変化を滑らかな変化
に変えるためのものである。すなわち、図4の係数補間
用フィルタ11aと同様に、移動感制御フィルタ係数計
算部19から出力される係数 coeff- moveの値が、時間
的に不連続に変化することがあり得るので、係数補間用
フィルタ12aは、こうした係数 coeff- moveを受け取
って、ローパスフィルタ(乗算器12aaで乗算される
係数γ’の値が0<γ’<1.0)によってその値の変
化を滑らかにし、係数 coeff- move' を出力する。
【0059】移動感付加用フィルタ12bでは係数 coe
ff- move' を受けて、乗算器12baが係数 coeff- mo
ve' の乗算を行い、入力した原音に対して、この係数 c
oeff - move' の値に応じた高周波成分または低周波成分
の抑制を行う。すなわち、前述のように、移動速度(le
ngth- length -old )の絶対値が大きくなり、しかもle
ngth- length- old >0 ならば(音像が遠ざかっている
場合)、係数 coeff-moveが値α2 に近づき、このとき
は、入力原音に対する高周波成分の抑制の程度が大きく
なる。また、移動速度(length- length -old )の絶対
値が大きくなり、しかもlength- length- old <0 なら
ば(音像が近づいている場合)、係数 coeff- moveが値
(−α2 )に近づき、このときは、入力した原音に対す
る低周波成分の抑制の程度が大きくなる。反対に、移動
速度(length- length -old )の絶対値が小さくなる
と、係数 coeff- moveの値が値0に近づき、入力した原
音に対する高周波成分または低周波成分の抑制の程度が
小さくなる。言い換えれば、移動感付加用フィルタ12
bは、音像が遠ざかっている場合には、高周波成分の抑
制を行い、しかもその抑制程度を、音像の移動速度が大
きい程大きくしている。反対に、音像が近づいている場
合には、低周波成分の抑制を行い、しかもその抑制程度
を、音像の移動速度が大きい程大きくしている。
【0060】一般に、音源が遠ざかるときには、対数表
示の音の周波数スペクトルが低域へシフトし、音源が近
づくときには、対数表示の音の周波数スペクトルが高域
へシフトする。移動感付加用フィルタ12bは、この性
質を模擬していることになる。
【0061】なお、乗算器12bbも、このフィルタが
ゲインを持ってしまうことを避けるために、値(1− c
oeff- move' )を乗算している。移動感制御フィルタ1
2は1次のIIRフィルタで十分であり、そのため、少
ないデータ処理量および小さなメモリ容量で、音像の移
動感の制御を行うことが可能となる。
【0062】なお、図1に示した強調手段1は図3に示
したフィルタ係数強調装置に対応し、図1に示した記憶
手段2は図2の係数記憶部22に対応し、図1に示した
音像定位フィルタ3は図2の音像定位フィルタ14に対
応し、図1に示した距離算出手段4は図2の距離計算部
18に対応し、図1に示した係数値決定手段5は図2の
距離感制御フィルタ係数計算部17に対応し、図1に示
したローパスフィルタ6は図2の距離感制御フィルタ1
1に対応し、図1に示した速度方向算出手段7は図2の
移動感制御フィルタ係数計算部19に対応し、図1に示
した係数値決定手段8は図2の移動感制御フィルタ係数
計算部19に対応し、図1に示したフィルタ9は図2の
移動感制御フィルタ12に対応する。
【0063】つぎに、第2の実施の形態を説明する。第
2の実施の形態の構成は、基本的に第1の実施の形態の
構成と同じであるので、第2の実施の形態の説明では第
1の実施の形態の構成を流用し、異なる部分だけを以下
に説明する。
【0064】第2の実施の形態では、第1の実施の形態
のフィルタ係数強調装置のあとに、図11に示すフィル
タ係数計算装置を付加する。また、図2に示したフィル
タ14a,14bの内部構成が異なる。
【0065】図11は第2の実施の形態のフィルタ係数
計算装置を示す図である。このフィルタ係数計算装置
は、図3のフィルタ係数強調装置の出力である2つのイ
ンパルスレスポンスを個々に処理する装置である。図
中、線形予測解析部28には、予め測定等により求めら
れた原音場における左右の耳に係る2つのインパルスレ
スポンスのうちのいずれか一方が入力される。線形予測
解析部28は、インパルスレスポンスに対して自己相関
関数値の計算を行い、それを用いて線形予測係数bp1, b
p2, ・・bpm を算出する。線形予測係数の計算は、例え
ばLevinson-Durbin法を使用する。この算出された線形
予測係数bp1, bp2, ・・bpm は、インパルスレスポンス
の振幅スペクトルの極(山)を表すものである。
【0066】つぎに、IIR形の合成フィルタ29を用
意し、この合成フィルタ29の係数に、線形予測解析部
28により求められた線形予測係数bp1, bp2, ・・bpm
を設定する。そして、合成フィルタ29にインパルスを
印加すると、合成フィルタ29からは、極の特性を付加
されたインパルスレスポンスが出力される。このインパ
ルスレスポンスxと、線形予測解析部28に入力された
インパルスレスポンスaとを、誤差最小二乗法解析部3
0へ入力する。
【0067】誤差最小二乗法解析部30は、線形予測解
析部28に入力されたインパルスレスポンスの振幅スペ
クトルの零点(谷)を表すFIRフィルタの係数bz0, b
z1,・・bzk を算出するものである。
【0068】インパルスレスポンスx(要素x0,x
1,・・xqで表す。ただしq≧1)と、インパルスレ
スポンスa(要素a0,a1,・・aqで表す)と、係
数bz0,bz1, ・・bzk との間には下記式(8)で示す関
係がある。
【0069】
【数8】
【0070】この式(8)の左辺のインパルスレスポン
スxの行列をX、係数bz0, bz1, ・・bzk のベクトルを
、右辺のベクトルをとすると、式(8)は次のよう
になる。
【0071】
【数9】 XB=a ・・・(9) 両辺にXT を乗算して
【0072】
【数10】 T Xb=XT ・・・(10) したがって、
【0073】
【数11】 b=(XT X)-1T ・・・(11) 誤差最小二乗法解析部30では、上記式(11)に基づ
き、係数bz0, bz1, ・・bzk を算出する。また、誤差最
小二乗法解析部30で、最急降下法によって係数bz0, b
z1, ・・bzk を算出するようにしてもよい。
【0074】フィルタ係数計算装置は、図3のフィルタ
係数強調装置の出力である2つのインパルスレスポンス
のうちの残りの一方に対しても上記の処理を行い、線形
予測係数bp1, bp2, ・・bpm および係数bz0, bz1, ・・
bzk を算出する。
【0075】図12は、第1の実施の形態のフィルタ1
4a,14bに代わってそれぞれに使用する、第2の実
施の形態のフィルタの内部構成を示す図である。両方と
も同一の構成であるので、一方のみを示す。
【0076】すなわち、IIR形のフィルタ31とFI
R形のフィルタ32との直列回路からなり、フィルタ3
1の係数に、線形予測解析部28で求められた線形予測
係数bp1, bp2, ・・bpm が設定され、フィルタ32の係
数に、誤差最小二乗法解析部30で求められた係数bz0,
bz1, ・・bzk が設定される。
【0077】以上のように、第1の実施の形態のフィル
タ14a,14bに代わって、図12で示すフィルタを
それぞれ使用することにより、フィルタのタップ数を数
百〜数千から大幅に減少させることができる。なお、こ
の第2の実施の形態は、第1の実施の形態に、本願と同
一の出願人による特願平7−231705号の発明を組
み合わせたものとなる。
【0078】つぎに、第3の実施の形態を説明する。図
13は、第3の実施の形態に係る立体音響処理装置の全
体構成図である。第3の実施の形態の構成は、基本的に
は第1の実施の形態の構成と同じであるので、同一構成
部分には同一の参照符号を付して、その説明を省略す
る。
【0079】第3の実施の形態では、再生音場において
スピーカ33,34を使用する。この場合、音像定位フ
ィルタ36は2つのフィルタ36a,36bから構成さ
れ、それらの各伝達関数TL ,TR は下記式(12
a),(12b)で表される。ただし、2つのスピーカ
33,34が聴取者35に対して対称な位置にあるとす
る。
【0080】
【数12】 TL =(SL L −SR R )/(LL 2 −LR 2 ) ・・・(12a) TR =(SR L −SL R )/(LL 2 −LR 2 ) ・・・(12b) ここで、SL ,SR は、第1の実施の形態と同様に、原
音場における音源から左右の耳の鼓膜までの各経路の音
響特性を表す頭部伝達関数である。また、LL,L
R は、Lchスピーカ33から聴取者35の左右の耳の
鼓膜までの各経路の音響特性を表す頭部伝達関数であ
る。
【0081】伝達関数TL ,TR の中の頭部伝達関数S
L ,SR に対して、第1の実施の形態と同じフィルタ係
数強調装置で作成された係数群が、音像位置に応じて係
数記憶部22から読み出されて設定される。
【0082】第3の実施の形態のような、スピーカ3
3,34を使用した再生音場でも、フィルタ係数強調装
置で作成された係数群がフィルタ36a,36bに設定
されることにより、第1の実施の形態と同じように、音
像の前後の定位特性を向上させることができる。
【0083】また、第1〜3の実施の形態で、頭部伝達
関数の両耳間差の強調の程度を音像定位の位置によって
変えるようにしてもよい。例えば、図9のαMAX の値を
音像位置によって変化させればよい。
【0084】
【発明の効果】以上説明したように本発明では、強調手
段が、原音場における両耳に至る経路のインパルスレス
ポンスの差を強調する。これにより、音像の前後の定位
特性を向上させることが可能となる。
【0085】また、係数値決定手段が、再生音場におけ
る聴取者と音像との距離に応じてローパスフィルタの係
数値を決定する。つまり、音像が遠くにあればある程、
高い周波数成分が抑制されて音が聞こえるので、これを
模擬するために、ローパスフィルタを使用するととも
に、音像から聴取者までの距離に応じて、ローパスフィ
ルタの高周波成分の抑制の度合いを変化させるようにす
る。ここで使用されるローパスフィルタは1次のIIR
フィルタで十分である。かくして、少ないデータ処理量
および小さなメモリ容量で、音像の距離感の制御を行う
ことが可能となる。
【0086】さらにまた、係数値決定手段が、音像の移
動速度および移動方向に応じてフィルタの係数値を決定
する。音像が近づくときには、このフィルタをハイパス
フィルタとして使用して低い周波数成分を抑制し、音像
が遠ざかるときには、このフィルタをローパスフィルタ
として使用して高い周波数成分を抑制するようにする。
しかも、音像の移動速度が速くなる程、抑制の度合いを
深めるように、フィルタの係数値を決定する。ここで使
用されるフィルタは1次のIIRフィルタで十分であ
る。かくして、少ないデータ処理量および小さなメモリ
容量で、音像の移動感の制御を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図である。
【図2】第1の実施の形態に係る立体音響処理装置の全
体構成図である。
【図3】係数記憶部に格納される複数の係数値群を作成
するためのフィルタ係数強調装置を示す図である。
【図4】距離感制御フィルタの内部構成を示す図であ
る。
【図5】移動感制御フィルタの内部構成を示す図であ
る。
【図6】係数記憶部の内部のメモリ配置状態を示す図で
ある。
【図7】前方左60°に音源がある場合の振幅スペクト
ルAL(ω),AR(ω)を示す図である。
【図8】強調された第2の振幅スペクトルAL2 ( ω)
を示す図である。
【図9】角速度ωに応じて変化する値α(ω)を示す図
である。
【図10】変数α(ω)を使用した場合に得られる強調
後の第2の振幅スペクトルAL2( ω)を示す図であ
る。
【図11】第2の実施の形態のフィルタ係数計算装置を
示す図である。
【図12】原音場の音響特性を付加するための第2の実
施の形態のフィルタの内部構成を示す図である。
【図13】第3の実施の形態に係る立体音響処理装置の
全体構成図である。
【図14】音源と聴取者とからなる原音場の一例を示す
図である。
【図15】ヘッドホンを用いた再生音場の従来の一例を
示す図である。
【図16】FIR形フィルタの構成を示す図である。
【図17】音声データを記憶するリングバッファを示す
図である。
【符号の説明】 1 強調手段 2 記憶手段 3 音像定位フィルタ 4 距離算出手段 5 係数値決定手段 6 ローパスフィルタ 7 速度方向算出手段 8 係数値決定手段 9 フィルタ

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 音像を定位させて立体的な音響効果を提
    供する立体音響処理装置において、 原音場における音源から聴取者の左右の耳の鼓膜まで
    の、インパルスレスポンスで示される2つの音響特性を
    基に、これらの両特性の差を強調した2つのインパルス
    レスポンスを作成する強調手段と、 音源の位置毎に、前記強調手段で作成された2つのイン
    パルスレスポンスを基にして係数値群を決定して、音源
    の位置毎に、当該決定された係数値群を記憶する記憶手
    段と、 音像位置に応じて前記記憶手段から係数値群を読み出し
    て、自己の各係数として設定して原音に原音場の音響特
    性の付加を行うとともに、原音から再生音場の音響特性
    の除去を行う音像定位フィルタと、 を有することを特徴とする立体音響処理装置。
  2. 【請求項2】 前記強調手段は、原音場における音源か
    ら聴取者の左右の耳の鼓膜までの各経路に係る2つのイ
    ンパルスレスポンスの各振幅スペクトルの差に応じた強
    調を行うことを特徴とする請求項1記載の立体音響処理
    装置。
  3. 【請求項3】 前記音像定位フィルタは、 前記強調手段で作成された2つのインパルスレスポンス
    を基にして、線形予測解析を用いて決定された極を表す
    線形予測係数値を係数とするIIRフィルタと、誤差最
    小二乗法を用いて決定された零点を表す係数値を係数と
    するFIRフィルタとの直列回路を含み、 当該直列回路により、原音に原音場の音響特性の付加を
    行うことを特徴とする請求項1記載の立体音響処理装
    置。
  4. 【請求項4】 再生音場における聴取者と音像との距離
    を算出する距離算出手段と、 前記距離算出手段で算出された距離に応じて係数値を決
    定する係数値決定手段と、 前記係数値決定手段で決定された係数値を係数とし、原
    音の高い周波数成分を抑制するローパスフィルタと、 を更に有することを特徴とする請求項1記載の立体音響
    処理装置。
  5. 【請求項5】 前記係数値決定手段は、前記距離算出手
    段で算出された距離が長い程、前記ローパスフィルタに
    よる高域抑制の程度が大きくなるように、前記係数値を
    決定することを特徴とする請求項4記載の立体音響処理
    装置。
  6. 【請求項6】 再生音場における聴取者と音像との距離
    を算出する距離算出手段と、 前記距離算出手段で算出される距離の時間的変化を基
    に、前記音像の移動速度および移動方向を算出する速度
    方向算出手段と、 前記速度方向算出手段で算出された移動速度および移動
    方向に応じて係数値を決定する係数値決定手段と、 前記係数値決定手段で決定された係数値を係数とし、原
    音の低いまたは高い周波数成分を抑制するフィルタと、 を更に有することを特徴とする請求項1記載の立体音響
    処理装置。
  7. 【請求項7】 前記係数値決定手段は、前記速度方向算
    出手段で算出された移動方向が、音像が聴取者に近づく
    方向である場合には、前記フィルタが原音の低い周波数
    成分を抑制するように、前記係数値を決定することを特
    徴とする請求項6記載の立体音響処理装置。
  8. 【請求項8】 前記係数値決定手段は、前記速度方向算
    出手段で算出された移動方向が、音像が聴取者から遠ざ
    かる方向である場合には、前記フィルタが原音の高い周
    波数成分を抑制するように、前記係数値を決定すること
    を特徴とする請求項6記載の立体音響処理装置。
  9. 【請求項9】 前記係数値決定手段は、前記速度方向算
    出手段で算出された移動速度が速い程、前記フィルタに
    よる抑制の程度を大きくすることを特徴とする請求項6
    記載の立体音響処理装置。
  10. 【請求項10】 音像を定位させて立体的な音響効果を
    提供する立体音響処理装置において、 再生音場における聴取者と音像との距離を算出する距離
    算出手段と、 前記距離算出手段で算出された距離に応じて係数値を決
    定する係数値決定手段と、 前記係数値決定手段で決定された係数値を係数とし、原
    音の高い周波数成分を抑制するローパスフィルタと、 を有することを特徴とする立体音響処理装置。
  11. 【請求項11】 音像を定位させて立体的な音響効果を
    提供する立体音響処理装置において、 再生音場における聴取者と音像との距離を算出する距離
    算出手段と、 前記距離算出手段で算出される距離の時間的変化を基
    に、前記音像の移動速度および移動方向を算出する速度
    方向算出手段と、 前記速度方向算出手段で算出された移動速度および移動
    方向に応じて係数値を決定する係数値決定手段と、 前記係数値決定手段で決定された係数値を係数とし、原
    音の低いまたは高い周波数成分を抑制するフィルタと、 を有することを特徴とする立体音響処理装置。
  12. 【請求項12】 音像を定位させて立体的な音響効果を
    提供する立体音響処理装置において、 音源の位置毎に、所定の係数値群を記憶する記憶手段
    と、 音像位置に応じて前記記憶手段から係数値群を読み出し
    て、自己の各係数として設定して原音に原音場の音響特
    性の付加を行うとともに、原音から再生音場の音響特性
    の除去を行う音像定位フィルタと、 を有することを特徴とする立体音響処理装置。
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