JPH1062977A - 水なし平版印刷版の作成方法 - Google Patents

水なし平版印刷版の作成方法

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JPH1062977A
JPH1062977A JP8221136A JP22113696A JPH1062977A JP H1062977 A JPH1062977 A JP H1062977A JP 8221136 A JP8221136 A JP 8221136A JP 22113696 A JP22113696 A JP 22113696A JP H1062977 A JPH1062977 A JP H1062977A
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JP
Japan
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layer
laser
silicone
printing plate
waterless
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JP8221136A
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English (en)
Inventor
Noribumi Inno
紀文 因埜
Hiroaki Yokoie
弘明 横家
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Publication date
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Publication of JPH1062977A publication Critical patent/JPH1062977A/ja
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    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B41PRINTING; LINING MACHINES; TYPEWRITERS; STAMPS
    • B41CPROCESSES FOR THE MANUFACTURE OR REPRODUCTION OF PRINTING SURFACES
    • B41C2210/00Preparation or type or constituents of the imaging layers, in relation to lithographic printing forme preparation
    • B41C2210/16Waterless working, i.e. ink repelling exposed (imaged) or non-exposed (non-imaged) areas, not requiring fountain solution or water, e.g. dry lithography or driography

Landscapes

  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Manufacture Or Reproduction Of Printing Formes (AREA)
  • Printing Plates And Materials Therefor (AREA)
  • Photosensitive Polymer And Photoresist Processing (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 レーザー記録可能で、インク反発性層の除去
性能(現像性能)、ひいては印刷性能を満足する水なし
平版印刷版の作成方法を提供すること。 【解決手段】 支持体上にレーザー光を熱に変換する第
1層とインキ反発性の表面を有する第2層とをこの順に
積層してなる水なし平版印刷原版に対し、第1層が吸収
可能なレーザー光を照射し画像露光する工程、前記工程
の前もしくは後に第2層表面に接着可能な接着層を有す
る剥離シートを第2層に圧着する工程、剥離シートを剥
離しレーザー光が照射された第2層の少なくとも一部を
除去する工程、および、第2層を擦る工程を有する水な
し平版印刷版の作成方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザー光による
ヒートモード記録によって湿し水を必要としない印刷が
できる水なし平版印刷版の作成方法に関する。なお、本
明細書中では、水なし平版印刷原版(「水なし原版」と
称することがある)とは、インク受容部と非インク受容
部とによる画像パターンが形成されていない状態の画像
記録前の版材を意味し、水なし平版印刷版(「水なし平
版」と称することがある)とは、インク受容部と非イン
ク受容部とによる画像パターンが形成されており、その
まま印刷にかけられる版材を意味する。
【0002】
【従来の技術】印刷を行うための印刷版の手法には、活
版印刷、グラビア印刷および平版オフセット印刷などが
伝統的な手法として知られている。近年、特殊な分野を
除いては平版を用いる印刷が増加している。この平版オ
フセット印刷においては、プレート表面の親水性、親油
性の画像パターンを形成し湿し水を用いる水あり平版
と、プレート表面にインキ反発性、インキ受容性の画像
パターンを形成し湿し水を用いない水なし平版とが知ら
れている。このうち水なし平版は、湿し水を用いないた
めに印刷作業に熟練を要しないこと、インキ濃度が印刷
初期から安定し損紙が少なく少部数の印刷を行う場合に
も経済的であるなど水あり平版に対して有利な特徴を持
っている。
【0003】一方、コンピューター技術の進展により、
従来手作業で行われていた印刷の前工程である製版工程
がデジタル化され、印刷の画像がデジタルデーター化さ
れてきている。このデジタルデーターからリスフイルム
を介さず直接印刷版材料を形成する技術(コンピュータ
ー・ツ−・プレート技術)が近年進展してきている。し
かしこれらの技術は、水あり平版を形成するものが多く
提供されているが、それに対して、水なし平版を形成で
きる技術は極端に少ないのが実状である。
【0004】その少ない技術の中で、レーザー書き込み
により水なし平版を形成できる例としては、特公昭42
−21879号公報にその最も古い開示がある。これに
はインキ反発性のシリコーン層をレーザー照射により一
部除去してインク付着性とし水なし印刷することが記載
されている。しかし、レーザー照射部のシリコーンが版
面全体に飛散し印刷時に不都合を起こしたり、レーザー
照射だけではシリコーン層が十分除去されないため、印
刷が進むに従ってインキ付着部の面積が増大する(ドッ
トゲインする)などの問題があった。さらに、特開昭5
0−158405号公報には、シリコーンゴム表面層を
有する印刷原版に赤外光レーザーであるYAGレーザー
を照射し、溶剤(ナフサ)処理によりレーザー照射部を
除去して水なし平版を形成する方法が開示されている。
また、EP−0573091Bには、シリコーンゴム表
面層を有する版材にYAGレーザーを照射した後、表面
層のレーザー露光部を、無溶媒のドライ条件下で擦りと
るか、シリコーンゴムを膨潤させない溶剤を与えながら
擦りにより除去して水なし平版を形成する方法が開示さ
れている。しかし、これらの方法は、レーザー露光部シ
リコーンゴム除去の際の擦りにより、非画像部シリコー
ンゴムに傷が入る虞がある。さらに、露光部から除去し
たシリコーンゴムを版面から完全に除去することが困難
である。このため、これらの方法により形成した水なし
平版を用いて、印刷を行った場合、非画像部の傷汚れ、
画像部のすぬけ等の不都合を生じるという問題がある。
【0005】さらに、WO−9401280には、シリ
コーン層上にカバーシートを設けた印刷原版を、レーザ
ー照射することより、シリコーン層をカバーシートに転
写させ、その後カバーシートを剥離除去することで水な
し平版を形成する方法が記載されている。この方法にお
いて、カバーシートの剥離工程のみによってシリコーン
層を十分に除去するためには、シリコーン層とカバーシ
ートの間に接着層が設けられる。
【0006】しかし、これらの方法では、ゴミ等の付着
物が、カバーシートあるいは、接着シートとシリコーン
ゴム層表面との間に介在したり、接着の際、カバーシー
トあるいは、接着シートとシリコーンゴム層表面との間
に気泡が混入すると、その部分において、露光部シリコ
ーンゴムが除去されず、シリコーン画像のパターンが形
成されない(現像不良になる)と言う問題がある。さら
に、カバーシートあるいは、接着シート剥離後に、接着
層が非画像部シリコーンゴム層上部に残存して、シリコ
ーン層本来のインキ反発性を損ない、印刷時に非画像部
が汚れるなどの問題がある。また、レーザー光を用い
て、パターンを露光するには、レーザービーム径(1/
e2)に対し、副走査のピッチを十分小さくし、ライン
が重なるように露光するのが通常である(水なし平板印
刷原版の感度にもよるが、副走査のピッチは、通常は、
レーザービーム径(1/e2)の半値程度である。)。
本発明が対象とするヒートモードの水なし平板印刷原版
の場合、レーザー露光部の第1層は、レーザー光を吸収
し、光を熱に変換することで、急速に昇温し、化学的あ
るいは物理的変化を引き起こす。即ち、レーザー露光部
の第1層が、到達する温度が重要である。また、レーザ
ー露光による発熱は、速やかに散逸するため、レーザー
ビームの重なり部分においては、第1層の露光による熱
エネルギーと第2層の露光による熱エネルギーとは積算
されない。このため、レーザー露光条件によっては、レ
ーザービームの重なり部分において、十分な発熱が得ら
れず、第1層と第2層との密着力が十分に低下せず、従
来の第2層除去工程では、現像不良になることがあっ
た。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】レーザーにより水なし
平版印刷板を形成する方法は、従来いくつか提案されて
いるが、露光部シリコーン層の除去性能(現像性)と、
それに伴う印刷性能上の問題を解決するには至っていな
いのが現状である。
【0008】本発明の目的は、シリコーン層のようなイ
ンキ反発性の表面を有する層のレーザー露光部除去によ
る画像形成の際に、印刷時に問題となる非画像部(非露
光部)の汚れ、傷が生じず、また画像部(露光部)のす
ぬけの原因となる気泡や物質がその版面に残存しない水
なし平版印刷版の作成方法を提供することにある。要す
るに、本発明の目的は、レーザー記録可能であって、イ
ンク反発性層の除去性能、ひいては印刷性能を満足する
水なし平版印刷版の作成方法を提供することにある。ま
た、本発明の目的は、第2層除去工程において、レーザ
ービームの重なり部分においても現像不良の発生を防ぐ
ことができ、結果として、副走査ピッチ幅あるいは主走
査書込速度等のレーザー露光条件のラチチュードを広げ
ることができる水なし平版印刷版の作成方法を提供する
ことにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、レーザー
書き込みできる水なし平版印刷板の作成方法について鋭
意検討を行った結果、上記の目的は、下記の本発明の水
なし平版印刷版の作成方法により達成された。
【0010】即ち、本発明は、支持体上にレーザー光を
熱に変換してアブレーションする第1層とインキ反発性
の表面を有する第2層とをこの順に積層してなる水なし
平版印刷原版に対し、第1層が吸収可能なレーザー光を
照射し画像露光する工程(以下「露光工程」と称するこ
とがある)、前記工程の前もしくは後に第2層表面に接
着可能な接着層を有する剥離シートを第2層に圧着する
工程(以下「圧着工程」と称することがある)、剥離シ
ートを剥離しレーザー光が照射された第2層の少なくと
も一部を除去する工程(以下「剥離工程」と称すること
がある)、および、第2層を擦る工程(以下「擦り工
程」と称することがある)を有する、水なし平版印刷版
の作成方法である。
【0011】本発明の水なし平版印刷版の作成方法に
は、前記露光工程、前記圧着工程、前記剥離工程、およ
び前記擦り工程をこの順に行う態様と、前記圧着工程、
前記露光工程、前記剥離工程、および前記擦り工程をこ
の順に行う態様とがある。なお、本発明の水なし平版印
刷版の作成方法においては、これらの各工程の間に必要
に応じて、その他の工程を適宜行ってもよい。本発明に
おいて、「第1層」は、この層に露光された光を熱に変
換し、その熱に基づいて、支持体に対する第2層の密着
性を低下させる機能を有する層である。「第2層」は、
いわゆる水なし平版においてインキが実質的に付着され
ず印刷用非画像部として機能するインク反発性表面を有
する層である。なお、本明細書にいう「支持体に対する
第2層の密着性」とは、第1層等の層を介した、支持体
に対する第2層の間接的な接着性能を含んでいる。
【0012】本発明においては、前記露光工程でのレー
ザー光の露光によって、実質的に第1層の画像露光部上
のみで支持体に対する第2層の密着性が低下する。前記
剥離工程において、前記圧着工程で第2層に圧着した剥
離シートを剥離することによって、前記第1層の画像露
光部上の第2層が剥離シートに付着した状態で剥離さ
れ、除去される。さらに前記擦り工程において、第2層
を擦ることによって、前記第1層の画像露光部上の第2
層が剥離され、除去される。本発明においては、前記剥
離工程で剥離シートを第2層から剥離し、さらに前記擦
り工程で第2層を擦ることによって、即ち、性質の異な
る2度の除去操作を第2層に対して施すことによって、
画像露光部に対応する不要な第2層が十分に剥離・除去
される。
【0013】
【発明の実施の形態】
<露光工程>露光工程では、支持体上にレーザー光を熱
に変換してアブレーションする第1層とインキ反発性の
表面を有する第2層とをこの順に積層してなる水なし平
版印刷原版に対し、第1層が吸収可能なレーザー光を照
射し画像露光する。露光工程において、前記水なし平版
印刷原版に対し、形成すべき画像情報に対応するレーザ
ー光が照射されると、第1層でレーザー光のエネルギー
が吸収され、その部分で、光が熱に変換され、(好まし
くは急速に)昇温し、熱による潜像が形成されると共
に、その部分の第1層の一部もしくは全部の燃焼、融
解、分解、気化、爆発(アブレーション)等の化学反応
や物理変化が引き起こされ、結果として、実質的にレー
ザーを照射した区域内で、且つ、支持体とインク反発性
の第2層の間のいずれかの部分(界面や層内)で、密着
性又は一体性が低下し、支持体に対する第2層の密着性
が低下する。実質的にレーザーを照射した区域のみで、
このような密着性の低下が生じるため、レーザー光が照
射された部分の第2層は、多くの場合、レーザー光の照
射のみによっては破損、飛散せず水なし平版印刷原版に
保持されるものの、後述の工程において外力を付加する
ことによって、容易に且つ選択的に除去される。
【0014】なお、前記水なし平版印刷原版について
は、その素材等について特に限定する意図はないので、
説明の便宜上、後述する。
【0015】露光工程において、前記水なし平版印刷原
版を露光するのに使用するレーザーは、後述の工程で第
2層が剥離除去されるのに十分な密着力の低下が起きる
のに必要な露光量、波長等を与えるものであれば特に制
限はなく、具体的には、Arレーザー、炭酸ガスレーザ
ー等のガスレーザー、YAGレーザー等の固体レーザ
ー、半導体レーザーなどが挙げられる。通常、その出力
が100mWクラス以上のレーザーが必要となる。保守
性、価格などの実用的な面からは、半導体レーザーおよ
び半導体励起の固体レーザー(YAGレーザーなど)が
好適に使用される。レーザーは、主に熱を発生させる目
的で使用するので、記録波長としては赤外線の波長領域
が好ましく利用でき、通常は、800〜1100nmの
発振波長が利用される。また、ビーム径としては、通常
5〜200μm(1/e2)である。レーザー照射は、
水なし平版印刷原版の第2層側から照射することが好ま
しいが、支持体が、照射レーザー光に対し透明な場合に
は、支持体側から照射することもできる。また、特開平
6−186750号公報に記載されているイメージング
装置を用いて露光することも可能である。
【0016】<圧着工程>圧着工程では、第2層表面に
接着可能な表面層を有する剥離シートを第2層に圧着す
る。本発明において、圧着工程は、露光工程の前に行っ
てもよいし、露光工程の後に行ってもよい。圧着工程に
おいて、剥離シートを前記水なし平版印刷原版の第2層
表面に圧着すると、第2層表面と剥離シートの表面層と
が強く接着する。圧着工程の前もしくは後に露光工程を
行うと、レーザー光が照射された第2層の部分は、支持
体に対する密着力よりも剥離シートの接着層に対する密
着力の方が強い状態になる。即ち、剥離シートの接着層
に対する第2層の密着力が、レーザー光の照射により低
下する支持体に対する第2層の密着力よりも強くなる。
【0017】(剥離シート)圧着工程において使用する
剥離シートは、少なくとも支持体および接着層からな
る。接着層は、本発明に使用する水なし平版印刷原版の
第2層表面に対し密着できる表面を有する。支持体は、
接着層を担持できれば任意であるが、可撓性のある支持
体が好ましい。剥離シートの形態は、シート状が通常で
あるが、シートを巻込んだロール状の形態等でもかまわ
ない。可撓性のある支持体としては、プラスチックフイ
ルムもしくは紙などシート状の物質が使用でき、前者と
して、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、塩化ビニルなど公知の各種フイ
ルムが挙げられる。プラスチックシートをラミネートし
た紙、金属を蒸着したプラスチックフイルムなどの複合
支持体も使用できる。支持体の膜厚は、通常10〜50
0μm、好ましくは25〜175μmである。
【0018】接着層は、第2層の表面に密着できる公知
の材質の層がいずれも使用できる。ただし、接着層の密
着性(力)は、剥離シートを剥がす際、レーザー露光部
の第2層を剥離できる程の強さが必要である一方、レー
ザー非露光部の第2層までも剥がす程の強さであっては
ならない。したがって、接着層の適切な材質は、水なし
平板印刷原版の特性に応じて、適宜選択される。接着層
として用いることができる市販品としては、例えば、東
芝シリコーン製から商品名TSR1510,TSR15
11,TSR1515,TSR1520、東レダウコー
ニングシリコーンから商品名SH4280,SD456
0,SD4570,SD4580等として入手可能な、
シリコーン系感圧接着剤が挙げられる。接着層の膜厚
は、1〜200μmが好ましく、より好ましくは5〜1
00μmであり、さらに好ましくは10〜50μmであ
る。また、接着層を可撓性支持体に設けたものが市販さ
れており、これを、本発明にいう剥離シートとして使用
することができる。そのような市販品は、例えば、住友
スリーエムから商品名スコッチテープ#851A,スコ
ッチテープ#5413,スコッチテープ#9396,ス
コッチテープ#5490として、ソニーケミカルズから
商品名ソニーボンドテープT4080として、Beie
rsdorfから商品名tesaテープ#4428,t
esaテープ#4350−1,tesaテープ#414
2,tesaテープ#4331,tesaテープ#43
10として、Permacelから商品名P−366,
P−377,P−904,P904HDとして入手可能
である。剥離シートの接着層と第2層表面との圧着は、
それらを接触させ、例えば、ローラー状の圧着ローラー
を用い接着シート裏面から、および/または、版材裏面
から加圧することにより行うことができる。
【0019】<剥離工程>剥離工程では、剥離シートを
剥離し、レーザー光が照射された第2層の少なくとも一
部を除去する。剥離工程において、剥離シートを剥離す
ると、剥離シートの接着層に対する密着力よりも前記水
なし平版印刷原版の支持体に対する密着力が低下したレ
ーザー露光部のインク反発性の第2層の大部分が、剥離
シートの接着層に接着した状態で剥離される。剥離シー
トの剥離は、接着層と第2層表面との間の密着力が、レ
ーザー光の照射により低下した支持体(第1層を介して
の)と第2層との密着力より大きくなった時点以降の任
意のタイミングで行うことができる。圧着工程におい
て、接着層と第2層表面との間にゴミや気泡等が介在し
た場合、その部分において、接着層と第2層との十分な
密着力が得られないために、剥離シートを剥離しても、
レーザー露光部のインク反発性の第2層が除去されず、
現像不良が生ずることがある。また、剥離シートを剥離
する際、接着層の一部が、非画像部のインク反発性の第
2層表面に残存し、その結果、印刷時に非画像部が汚れ
ることがある。これらは、以下の擦り工程を行うことに
より解消される。
【0020】<擦り工程>擦り工程では、支持体との密
着性が弱まった画像部の第2層表面を、非画像部の第2
層に傷が付かない程度に擦る。擦り工程において、第2
層を擦ると、剥離除去されずに残存したレーザー露光部
の第2層及び第2層表面に残存した接着層が版面上から
完全に除去される。その結果、画像が形成される。
【0021】擦り工程では、インク反発性の第2層表面
を、液体を使用して擦ってもよいし、液体を使用せずに
擦ってもよいが、後者の場合、露光部より除去した第2
層のカスが、非画像部の第2層上、あるいは第2層が除
去された画像部上に付着し易く、非画像部の第2層に傷
が付き易い点で、液体を使用する前者の方が好ましい。
擦る方法としては、例えば、その液体を含む現像用パッ
ドで版面を擦ったり、液体を版面に注いだ後に、ブラシ
で擦るなど、公知の方法が挙げられる。液体を使用する
場合の液体の温度としては、特に制限はないが、好まし
くは10〜50℃である。
【0022】−擦り工程で使用する液体− 第2層表面の擦りに使用する液体としては、水無し平版
の現像液として公知のものが使用できる。安全性の観点
から、水または水を主成分とする水溶性有機溶剤の水溶
液が好ましい。安全性および引火性等を考慮すると水溶
性溶剤の濃度は、40重量%未満であるのが好ましい。
公知のものとしては、例えば、脂肪族炭化水素類(ヘキ
サン、ヘプタン、商品名:”アイソパーE、H、G”
(エッソ化学(株)製)の脂肪族炭化水素あるいはガソ
リン、灯油等)、芳香族炭化水素類(トルエン、キシレ
ン等)、あるいはハロゲン化炭化水素(トリクレン等)
に、以下の極性溶媒を添加したものや極性溶媒そのもの
が挙げられる。前記極性溶媒の例としては、アルコール
類(メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロ
パノール、ベンジルアルコール、エチレングリコールモ
ノメチルエーテル、2−エトキシエタノール、ジエチレ
ングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノヘキシルエーテル、トリエチレングリコールモノ
メチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエー
テル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ポ
リエチレングリコールモノメチルエーテル、ポリプロピ
レングリコール、テトラエチレングリコール等);ケト
ン類(アセトン、メチルエチルケトン等);エステル類
(酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸ブチル、プロピレング
リコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレング
リコールアセテート、ジエチルフタレート等);その他
(トリエチルフォスフェート、トリクレジルフォスフェ
ート等)などが挙げられる。また、上記有機溶剤系現像
液に水を添加したり、上記有機溶剤を界面活性剤等を用
いて水に可溶化したものや、更にその上にアルカリ剤
(例えば、炭酸ナトリウム、ジエタノールアミン、水酸
化ナトリウム等)を添加したものや単に水(水道水、純
水、蒸留水等)等も使用できる。
【0023】本発明においては、レーザー露光部の第2
層の除去を、剥離工程および擦り工程により行うこと
で、レーザー露光部の第2層が確実に除去され、また、
印刷性能に問題となる第2層表面上の残存物も確実に除
去される。こうして、水なし平版印刷原版にインク受容
部を精度よく露出させてなる印刷用の水なし平版印刷版
が作成される。
【0024】以下、本発明において用いる水なし平版印
刷原版について説明する。 (水なし平版印刷原版)水なし平版印刷原版において、
第1層は、支持体とインク反発性の表面を有する第2層
との間に形成されている。また、第1層と第2層との間
や、支持体と第1層との間に、第1層や第2層の機能を
許容可能な範囲で発揮させる限り、任意の層が存在して
もよい。第1層、第2層は、前記特性を有すれば任意の
材質が利用できるが、その好ましい代表例としては、第
1層は、有機顔料や有機色素を含有する層であり、第2
層は、シリコーンゴム層である。
【0025】[支持体]水なし平版印刷原版における支
持体としては、通常オフセット印刷に用いられる公知の
金属、プラスチックフイルム、紙およびこれらの複合化
された形態のすべての支持体が使用できる。用いる印刷
条件下で必要とされる機械的強度、耐伸び特性などの物
理適性能を満たす必要があることは当然である。その例
としてはアルミニウムのような金属支持体、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカ
ーボネートなどのプラスチック支持体、紙もしくは紙に
ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチクフイル
ムがラミネートされた複合シートなどが挙げられる。支
持体の膜厚は、通常25μm〜3mm、好ましくは75
μm〜500μmが適当であるが、用いる支持体の種類
と印刷条件により最適な厚さは変動する。一般には10
0μm〜300μmが最も好ましい。
【0026】これらの支持体は、支持体上に形成される
第1層など隣接する層との密着性向上、印刷特性向上ま
たは高感度化のために、支持体にコロナ処理等の表面処
理を施したり、プライマー層を設けることができる。こ
のプライマー層としては、例えば、特開昭60−229
03号公報に開示されているような種々の感光性ポリマ
ーを感光性樹脂層を積層する前に露光して硬化せしめた
もの、特開昭62−50760号公報に開示されている
エポキシ樹脂を熱硬化せしめたもの、特開昭63−13
3151号公報に開示されているゼラチンを硬膜せしめ
たもの、更に特開平3−200965号公報に開示され
ているウレタン樹脂とシランカップリング剤を用いたも
のや特開平3−273248号公報に開示されているウ
レタン樹脂を用いたもの等が挙げられる。この他、ゼラ
チンまたはカゼインを硬膜させたものも有効である。更
に、前記のプライマー層中に、ポリウレタン、ポリアミ
ド、スチレン/ブタジエンゴム、カルボキシ変性スチレ
ン/ブタジエンゴム、アクリロニトリル/ブタジエンゴ
ム、カルボキシ変性アクリロニトリル/ブタジエンゴ
ム、ポリイソプレン、アクリレートゴム、ポリエチレ
ン、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、塩化
ビニル/酢酸ビニル共重合体、ニトロセルロース、ハロ
ゲン化ポリヒドロキシスチレン、塩化ゴム等のポリマー
を添加してもよい。その添加割合は任意であり、フィル
ム層を形成できる範囲内であれば、添加剤だけでプライ
マー層を形成してもよい。また、これらのプライマー層
には接着助剤(例えば、重合性モノマー、ジアゾ樹脂、
シランカップリング剤、チタネートカップリング剤やア
ルミニウムカップリング剤)や染料等の添加物を含有さ
せることもできる。また、塗布後、露光によって硬化さ
せることもできる。プライマー層は、インク反発性の第
2層除去部のインキ受容層としても有用であり、支持体
として金属支持体のような非インキ受容性の場合、特に
有用である。また、プライマー層は印刷時の第2層への
圧力緩和のためのクッション層としての役割も有してい
る。一般に、プライマー層の塗布量は、乾燥重量で0.
05〜10g/m2 の範囲が適当であり、好ましくは
0.1〜8g/m2 であり、より好ましくは0.2〜5
g/m2 である。
【0027】[第1層]水なし平版印刷原版における第
1層は、書き込みに使用されるレーザー光を熱に変換
(光熱変換)する機能を有する層であり、これらの機能
を有する公知の光熱変換層が使用可能である。光熱変換
材料としては、レーザー光源を赤外線レーザーとした場
合、赤外線吸収色素、赤外線吸収顔料、赤外線吸収性金
属、赤外線吸収金属酸化物など書き込みのレーザーに使
用する波長の光を吸収する各種の有機および無機材料が
使用可能であることが知られており、これらを含めて任
意のレーザー光で光熱変換を起こす材料が利用できる。
これらの材料は単独膜の形態で、もしくはバインダー、
添加剤など他の成分との混合膜の形態で使用される。単
独膜の場合には、アルミニウム、チタン、テルル、クロ
ム、錫、インジウム、ビスマス、亜鉛、鉛等の金属およ
び合金や金属酸化物、金属炭化物、金属窒化物、金属硫
化物、金属ホウ化物、金属ハロゲン化物、有機色素など
を蒸着法およびスパッタリング法等により支持体上に形
成させることができる。また、混合膜の場合には、光熱
変換材料を溶解もしくは分散して他の成分と共に塗布法
により一般に形成することができる。
【0028】−光熱変換材料− 光熱変換材料は、有機顔料としては酸性カーボンブラッ
ク、塩基性カーボンブラック、中性カーボンブラックな
ど各種カーボンブラック、分散性改良等のために表面修
飾もしくは表面コートされた各種カーボンブラック、ニ
グロシン類、有機色素としては「赤外増感色素」(松岡
著 Plenum Press ,New York,NY(1990))、USP483
3124,EP−321923A、USP477258
3,USP4942141、USP4948776、U
SP4948777、USP4948778、USP4
950639、USP4912083、USP4952
552、USP5023229等の明細書に記載の各種
化合物、金属もしくは金属酸化物としてはアルミニウ
ム、インジウムスズ酸化物、酸化タングステン、酸化マ
ンガン、酸化チタン等、この他にポリピロール、ポリア
ニリンなどの導電性ポリマーなども使用可能である。
【0029】−バインダー− 第1層を混合膜として形成する場合に使用されるバイン
ダーとしては、光熱変換材料を溶解もしくは分散する公
知のバインダーが使用される。これらの例としてはニト
ロセルロース、エチルセルロースなどのセルロース、セ
ルロース誘導体類、ポリメチルメタクリレート、ポリブ
チルメタクリレートなどのアクリル酸エステル、メタク
リル酸エステルの単独重合体および共重合体、ポリスチ
レン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマーの
単独重合体もしくは共重合体が挙げられる。イソプレ
ン、スチレン−ブタジエンなどの各種合成ゴム類、ポリ
酢酸ビニルなどのビニルエステル類の単独重合体および
酢酸ビニル−塩化ビニルなどの共重合体、ポリウレア、
ポリウレタン、ポリエステル、ポリカーボネートなどの
縮合系各種ポリマーおよび、「J. Imaging Sci.,P59-64
,30(2), (1986) (Frechet ら)」や「Polymers in E
lectronics (Symposium Series,P11, 242, T.Davidso
n,Ed., ACS Washington,DC(1984)(Ito,Willson )」、
「Microelectronic Engineering,P3-10,13(1991)(E. R
eichmanis,L.F.Thompson)」に記載のいわゆる「化学増
幅系」に使用されるバインダー等が使用可能である。
【0030】−添加剤− 第1層を混合膜として形成する場合には、光熱変換剤と
バインダー以外に添加剤を用いることができる。これら
の添加剤は、第1層の機械的強度を向上させたり、レー
ザー記録感度を向上させたり、光熱変換層中の分散物の
分散性を向上させたり、支持体やプライマー層などの隣
接する層に対する密着性を向上させるなど種々の目的に
応じて添加される。例えば、第1層の機械的強度を向上
させるために第1層を架橋する手段が考えられ、この場
合には各種の架橋剤が添加される。レーザー記録感度を
向上させるために加熱により分解しガスを発生する公知
の化合物を添加することが考えられる。この場合には第
1層の急激な体積膨張によりレーザー記録感度が向上で
きる。(これらの添加剤の例としては、ジニトロソペン
タメチレンテトラミン、N,N’−ジメチル−N,N’
−ジニトロソテレフタルアミド、p−トルエンスルホニ
ルヒドラジド、4、4−オキシビス(ベンゼンスルホニ
ルヒドラジド)、ジアミドベンゼン等を使用することが
出来る)
【0031】また、加熱により分解し酸性化合物を生成
する公知の化合物を添加剤として使用することができ
る。これらを化学増幅系のバインダーと併用することに
より、第1層の構成物質の分解温度を大きく低下させ、
結果としてレーザー記録感度を向上させることが可能で
ある。(これらの添加剤の例としては、各種のヨードニ
ウム塩、スルフォニウム塩、フォスフォニウムトシレー
ト、オキシムスルフォネート、ジカルボジイミドスルフ
ォネート、トリアジンなどを使用することができる) 光熱変換剤にカーボンブラックなどの顔料を用いた場合
には、顔料の分散度がレーザー記録感度に影響を与える
ことがあり、各種の顔料分散剤を添加剤として使用され
る。接着性を向上させるために公知の密着改良剤(例え
ば、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤
等)を添加してもよい。この他にも、塗布性を改良する
ための界面活性剤など必要に応じて各種の添加剤が使用
される。
【0032】−膜厚− 第1層の膜厚は、単独膜の場合には蒸着法およびスパッ
タリング法等にて薄膜が形成できる。この場合の膜厚は
通常50〜1000Å、好ましくは100〜800Åで
ある。混合膜は、塗布により形成される。この場合の膜
厚は、通常0.05〜10μm、好ましくは0.1〜5
μmである。第1層の膜厚は厚すぎるとレーザー記録感
度の低下など好ましくない結果を与える。
【0033】[第2層]水なし平版印刷原版における第
2層は、インク反発性表面を有する任意の材質が使用で
きる。インク反発性表面を有する材質としては、低表面
エネルギーを有するフッ素あるいはシリコーン化合物が
良く知られている。特にシリコーンゴム(シリコーンエ
ラストマー)が水なし平版の第2層に好適に用いられ
る。シリコーンゴムは大別して、(1)縮合型シリコー
ンゴム、(2)付加型シリコーンゴム、(3)放射線硬
化型シリコーンゴムの3種に分類されるが、本発明に用
いる水なし平版印刷原板の第2層のシリコーンゴムとし
ては、これら総ての公知の各種のシリコーンゴムが使用
できる。
【0034】(1)縮合型シリコーンゴム層は、代表的
には、下記組成物Aを硬化して形成した皮膜である。 組成物A (a)ジオルガノポリシロキサン 100重量部 (b)縮合型架橋剤 3〜70重量部 (c)触媒 0.01〜40重量部 前記(a)成分のジオルガノポリシロキサンは、下記一
般式で示されるような繰り返し単位を有するポリマー
で、R1 およびR2 は、炭素数1〜10アルキル基、ビ
ニル基、アリール基、または適切なその他の基(インク
反発性を、妨げない又は許容範囲内におさめる任意の
基)であってもよい(これらの基は、上記のその他の基
と同様な性質の基で置換されていてもよい)。一般的に
はR1 およびR2 の60%以上がメチル基、ハロゲン化
ビニル基、あるいはハロゲン化フェニル基などであるも
のが好ましい。
【0035】
【化1】
【0036】このようなジオルガノポリシロキサンは、
両末端に水酸基を有するものを用いるのが好ましい。ま
た、前記(a)成分の数平均分子量は、通常3,000
〜100,000であり、より好ましくは10,000
〜70,000である。前記(b)成分は、縮合型のも
のであればいずれであってもよいが、次の一般式で示さ
れるようなものが好ましい。
【0037】
【化2】R1 m ・Si・Xn (m+n=4、nは2以上)
【0038】ここでR1 は、先に説明したR1 と同じ意
味であり、Xは、次に示すような置換基である。即ち、
Cl、Br、Iなどのハロゲン;H;OH;又はOCO
3 、OR3
【0039】
【化3】
【0040】などの有機置換基である。ここで、R
3 は、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数6〜20
のアリール基を表す。R4 およびR5 は、炭素数1〜1
0のアルキル基を表す。前記(c)成分は、錫、亜鉛、
鉛、カルシウム、マンガンなどの金属カルボン酸塩、例
えば、ラウリン酸ジブチル、オクチル酸鉛、ナフテン酸
鉛など、あるいは塩化白金酸等のような公知の触媒が挙
げられる。
【0041】(2)付加型シリコーンゴム層は、例え
ば、下記組成物Bを硬化して形成した皮膜である。 組成物B (d)付加反応性官能基を有するジオルガノポリシロキサン 100重量部 (e)オルガノハイドロジェンポリシロキサン 0.1〜25重量部 (f)付加触媒 0.00001〜1重量部 前記(d)成分の付加反応性官能基を有するジオルガノ
ポリシロキサンとは、1分子中にケイ素原子に直接結合
したアルケニル基(より好ましくはビニル基)を少なく
とも2個有するオルガノポリシロキサンで、アルケニル
基は分子量末端、中間いずれにあってもよい。アルケニ
ル基以外にこのポリシロキサンに含まれる有機基として
は、置換もしくは非置換の炭素数1〜10のアルキル
基、アリール基である。また、前記(d)成分は水酸基
を微量有することも任意である。前記(d)成分の数平
均分子量は、通常3,000〜100,000であり、
好ましくは10,000〜70,000である。前記
(e)成分としては、両末端水素基のポリジメチルシロ
キサン、α、ω−ジメチルポリシロキサン、両末端メチ
ル基の(メチルシロキサン)(ジメチルシロキサン)共
重合体、環状ポリメチルシロキサン、両末端トリメチル
シリル基のポリメチルシロキサン、両末端トリメチルシ
リル基のジメチルシロキサン)(メチルシロキサン)共
重合体などが例示される。前記(f)成分としては、公
知のものの中から任意に選ばれるが、特に白金系の化合
物が望ましく、白金単体、塩化白金、塩化白金酸、オレ
フィン配位白金などが例示される。これらの組成物の硬
化速度を制御する目的で、テトラシクロ(メチルビニ
ル)シロキサンなどのビニル基含有のオルガノポリシロ
キサン、炭素−炭素三重結合含有のアルコ−ル、アセト
ン、メチルエチルケトン、メタノ−ル、エタノ−ル、プ
ロピレングリコ−ルモノメチルエ−テルなどの架橋抑制
剤を添加することも可能である。
【0042】(3)放射線硬化型シリコーンゴム層は、
放射線照射により重合可能な官能基を有するシリコーン
ベースポリマーの放射線による架橋反応によって硬化し
て形成した皮膜であり、ベースポリマーを開始剤と共に
溶解した液をコーティング液とし、塗布後に、全面放射
線露光することで形成される。通常、アクリル系の官能
基を有するベースポリマーを使用し紫外線照射により架
橋を生成する。これらのシリコーンゴムについては、
「R&DレポートNo.22 シリコーンの最新応用技
術」(CMC発行、1982年)、特公昭56−231
50号公報、特開平3−15553号公報、特公平5−
1934号公報などに詳しく記載されている。前記シリ
コーンゴム層は、第1層上に直接もしくは間に他の層を
介して塗設され、第2層とされる。
【0043】なお、シリコーンゴム層には必要に応じ
て、シリカ、炭酸カルシウム、酸化チタンなどの無機物
の微粉末、シランカップリング剤、チタネート系カップ
リング剤やアルミニウム系カップリング剤などの接着助
剤や光重合開始剤を添加してもよい。第2層としてのシ
リコーンゴム層は、厚みが小さいとインキ反撥性が低下
し、傷が入り易い等の問題点があり、厚みが大きい場
合、現像性が悪くなるという点から、厚みとしては、通
常0.3〜10μmであり、0.5〜5μmが好ましく、
より好ましくは1〜3μmである。ここに説明した水な
し平版印刷原版において、シリコーンゴム層上に更に種
々のシリコーンゴム層を塗工してもよい。更に、シリコ
ーンゴム層の表面保護のために、シリコーンゴム層上に
透明なフィルム、例えばポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビリニデン、ポリビニル
アルコール、ポリエチレンテレフタレート、セロファン
等をラミネートしたり、ポリマーのコーティングを施し
てもよい。これらのフィルムは延伸して用いてもよい。
また、表面にマット加工を施してもよいが、マット加工
の無いものの方が本発明では好ましい。
【0044】
【実施例】本発明を実施例によりさらに詳細に説明す
る。ただし、本発明は下記の実施例に限定されるもので
はない。
【0045】(実施例1)以下のようにして水なし平版
印刷原版を用意した。 [支持体]厚み175μmのポリエチレンテレフタレー
トフイルムを支持体とし、その上にプライマー層とし
て、乾燥膜厚が0.2μmとなるようにゼラチン下塗り
層を形成した。 [第1層] −カーボンブラック分散液の作成− 以下の混合液をペイントシェーカーにて30分間分散し
た後、ガラスビーズをろ別して、第1層の調製に用いる
カーボンブラック分散液を作成した。 ・カーボンブラック 5.0g (商品名:#40、三菱化学(株)製) ・ポリウレタン 4.0g (商品名:クリスボン3006LV、大日本インキ化学工業(株)製) ・ニトロセルロース 1.3g (2−プロパノール30%含有、重合度80、ナカライテスク製) ・分散剤 (商品名:ソルスパースS27000、ICI社製) ・プロピレングリコールモノメチルエーテル 45g ・ガラスビーズ 160g −第1層の形成− 前記ゼラチン下塗りポリエチレンテレフタレート上に、
以下の塗布液を乾燥膜厚が2μmとなるように塗布し第
1層を形成した。 ・前記カーボンブラック分散液 55g ・ニトロセルロース 4.0g (2−プロパノール30%含有、重合度80、ナカライテスク製) ・プロピレングリコールモノメチルエーテル 45g
【0046】[第2層] −第2層の形成− 以下の塗布液を前記第1層上に塗布し、加熱(110
℃、2分)、乾燥することにより、乾燥膜厚が2μmと
なるように塗布し第2層を形成した。以上のようにして
レーザー記録用の水なし平版印刷原版を得た。 ・α,ω−ジビニルポリジメチルシロキサン 9.00g (重合度:約700) ・(CH3)3-Si-O-(SiH(CH3)-O)8-Si(CH3)3 0.60g ・ポリジメチルシロキサン 0.50g (重合度:約8000) ・オレフィン−塩化白金酸 0.08g ・抑制剤[HC≡C-C(CH3)2-O-Si(CH3)3] 0.07g ・脂肪族炭化水素の溶剤 55g (アイソパーG、エッソ化学(株)製)
【0047】<露光工程>得られた水なし平版印刷原版
に、第2層側から、波長1064nm、ビーム径40μ
m(1/e2) の半導体励起YAGレーザーを用いて連
続線の書き込みを行った。記録エネルギーは、450m
J/cm2 とした。 <圧着工程>次いで、剥離シートとして、住友スリーエ
ム社製のシリコーン用接着テープ、商品名「スコッチテ
ープ#851A」を水なし平版印刷原版の第2層表面に
圧着した。 <剥離工程>剥離シートを剥離した。すると、レーザー
露光部の第2層であるシリコーン層が剥離シートに付着
し、水なし平版印刷原版の表面から容易に除去された。
一方、レーザー未露光部の第2層のシリコーン層は、除
去されずに水なし平版印刷原版の表面に保持された。こ
うして、水なし平版印刷原版の表面にシャープなエッジ
のシリコーン画像が形成された。しかし、剥離シートを
圧着する際に、水なし平版印刷原版と剥離シートの間に
ゴミ又は気泡が介在した部分において、圧着不良によ
り、レーザー露光部の第2層のシリコーン層が除去され
ずに残った。さらに、レーザー未露光部の第2層のシリ
コーン層上に、剥離シートの接着層が一部残存した。 <擦り工程>アイソパーG(エッソ化学(株)製)を含
ませた現像用パッドを用いて、水なし平版印刷原版の版
面を擦った。すると、現像不良部分のレーザー露光部の
第2層のシリコーンゴム層は、完全に版面から除去さ
れ、レーザー未露光部の第2層のシリコーン層上に残存
した剥離シートの接着層も、版面から完全に除去され
た。その結果、よりシャープなエッジのシリコーン画像
が形成された水なし平版印刷版を効率よく作成すること
ができた。
【0048】また、水なし平版印刷原版を、出力110
mW、波長830nm、ビーム径10μm(1/e2)
の半導体レーザーを用いて、主走査速度5m/秒にて、
第2層側から書き込みを行う露光工程を行った後、前記
同様の現像処理、即ち圧着工程、剥離工程および擦り工
程を行ったところ、解像力が8μmでシャープなエッジ
の水なし平版印刷版が作成された。この記録条件および
同様の現像処理にて、200線の網点形成を行ったとこ
ろ、網点面積率2〜98%までのシリコーン画像が版上
に形成できた。こうして作成された水なし平版印刷版
を、印刷機を用いて印刷したところ、非画像部の汚れお
よび画像部のすぬけのない良好な印刷物が2万枚得られ
た。
【0049】(実施例2) <圧着工程>剥離シートとして、以下に示した剥離シー
トを実施例1で用意した水なし平版印刷原版の第2層側
の版面に圧着した。 −剥離シートの作成− 厚み25μmのポリエチレンテレフタレートを支持体と
して、その上に以下の組成の塗布液を塗布し、加熱(1
20℃、2分)、乾燥することにより、乾燥膜厚が30
μmの接着層を形成した。 ・シリコーン系感圧接着剤 (商品名:TSR1510、東芝シリコーン(株)製) A液 30g B液 0.3g ・トルエン 120g <露光工程>次に、この水なし平版印刷原版に対し、実
施例1と全く同様に、半導体励起YAGレーザーを用い
て書き込みを行う露光工程を行った。 <剥離工程>第2層表面から剥離シートを剥離した。す
ると、レーザー露光部の第2層であるシリコーン層が、
剥離シートに付着し、水なし平版印刷原版の表面から容
易に剥離除去された。一方、レーザー未露光部の第2層
のシリコーン層は除去されずに水なし平版印刷原版の表
面に保持され、シャープなエッジのシリコーン画像が形
成できた。しかし、剥離シートを圧着する際に、水なし
平版印刷原版と剥離シートとの間にゴミ又は気泡が介在
した部分において圧着不良が生じ、この部分に相当する
レーザー露光部の第2層のシリコーン層が剥離除去され
ずに残った。さらに、レーザー未露光部の第2層のシリ
コーン層上に、剥離シートの接着層が一部残存した。 <擦り工程>脂肪族炭化水素の溶剤(アイソパーG、エ
ッソ化学(株)製)を含ませた現像用パッドを用いて水
なし平版印刷原版の版面を擦った。すると、現像不良部
分のレーザー露光部の第2層のシリコーンゴム層は、完
全に版面から除去され、レーザー未露光部の第2層のシ
リコーン層上に残存した剥離シートの接着層も、版面か
ら完全に除去された。その結果、よりシャープなエッジ
のシリコーン画像が形成された水なし平版印刷版を効率
よく作成することができた。
【0050】また、作成した剥離シートをあらかじめ圧
着した水なし平版印刷原版を出力110mW、波長83
0nm、ビーム径10μm(1/e2)の半導体レーザ
ーを用いて、主走査速度5m/秒にて、剥離シート側か
ら、書き込みを行う露光工程を行った後、前記同様の現
像処理、即ち圧着工程、剥離工程および擦り工程を行っ
たところ、解像力が7μmでシャープなエッジの水なし
平版印刷版が作成された。この記録条件および同様の現
像処理にて、200線の網点形成を行ったところ、網点
面積率2〜98%までのシリコーン画像が版上に形成で
きた。こうして作成された水なし平版印刷版を、印刷機
を用いて印刷したところ、非画像部の汚れおよび画像部
のすぬけのない良好な印刷物が2万枚得られた。
【0051】(比較例1)実施例1で作成した水なし平
版印刷原版を実施例1と全く同様に、半導体励起YAG
レーザーおよび半導体レーザーにて書き込みを行った
後、脂肪族炭化水素の溶剤(アイソパーG、エッソ化学
(株)製)を含ませた現像用パッドを用いて、レーザー
露光部の第2層のシリコーン層が完全に除去されるまで
版面を擦って現像処理を行い、水なし平版を得た。しか
し、得られた水なし平版は、非画像部の第2層のシリコ
ーン層に傷が付いており、さらに、レーザー露光部から
除去されたシリコーンゴムが、版上に付着していた。こ
れを用いて印刷機で印刷したところ、非画像部の傷の部
分に、インクが着肉し汚れとなった。さらに、画像部に
付着したシリコーンゴムの部分で、インクが着肉せず、
すぬけとなった。
【0052】(実施例3)以下のようにして水なし平版
印刷原版を用意した。 [支持体]厚み100μmのポリエチレンテレフタレー
トを支持体とし、その上に、下記組成の塗布液を塗布
し、加熱(100℃、1分)、乾燥することにより、乾
燥膜厚が0.2μmのプライマー層を形成した。 ・塩素化ポリエチレン 1.0g −(−C24−yCly−)n− y=1.7,n=200 ・メチルエチルケトン 10g ・シクロヘキサン 100g [第1層]この支持体上に、蒸着真空度5×10-5T
orrの条件下に、SnとSnSとを別の蒸発源を用
い、Snは抵抗加熱で、SnSは電子ビームにより同時
に蒸着を行い第1層を形成した。両者の混合率の制限
は、各々の蒸発源に対して水晶振動型の膜厚モニターを
配置し、それにより蒸発速度を制御することにより行っ
た。この時の第1層の厚みは、400Åであり、SnS
の組成比は、体積パーセントで25%に調製した。
【0053】[第2層] −第2層の形成− 下記塗布液を調製し、これを前記第1層上に塗布し、加
熱(110℃、1分)、乾燥することにより、乾燥膜厚
が2μmのシリコーンゴム層(第2層)を形成した。 ・α,ω−ジヒドロキシポリジメチルシロキサン 9.00g (重合度約900) ・メチルトリアセトキシシラン 1.00g ・ジメチルジアセトキシシラン 1.00g ・オクチル酸ジブチルスズ 0.01g ・脂肪族炭化水素の溶剤 120g (アイソパーG、エッソ化学(株)製) 上記のようにして得られたシリコーンゴム層の表面に厚
みが6μmのポリエチレンテレフタレートをラミネート
した。以上のようにしてレーザー記録用の水なし平版印
刷原版を得た。
【0054】<露光工程>得られた水なし平版印刷原版
のカバーフィルムを剥離した後に、第2層側から、波長
1064nm、ビーム径40μm(1/e2)の半導体
励起YAGレーザーを用いて連続線の書き込みを行っ
た。記録エネルギーは、450mJ/cm2とした。 <圧着工程>剥離シートとして、住友スリーエム社製の
シリコーン用接着テープ「スコッチテープ#9396」
を用い、これを水なし平版印刷原版の第2層表面に圧着
した。 <剥離工程>第2層の表面から剥離シートを剥離した。
すると、レーザー露光部の第2層であるシリコーン層
が、接着シートに付着し、水なし平版印刷原版の表面か
ら容易に剥離除去された。一方、レーザー未露光部の第
2層のシリコーン層は、除去されずに水なし平版印刷原
版の表面に保持され、シャープなエッジのシリコーン画
像が形成できた。しかし、剥離シートを圧着する際に、
水なし平版印刷原版と剥離シートとの間にゴミ又は気泡
が介在した部分において、圧着不良が生じ、レーザー露
光部の第2層のシリコーン層が剥離除去されずに残っ
た。さらに、レーザー未露光部のシリコーン層上に、剥
離シートの接着層が一部残存した。 <擦り工程>次いで、下記組成の水溶液を含ませた現像
用パッドを用いて、水なし平版印刷原版の版面を擦っ
た。すると、現像不良部分のレーザー露光部のシリコー
ンゴム層は、完全に版面から除去され、レーザー未露光
部のシリコーン層上に残存した剥離シートの接着層も、
版面から完全に除去された。その結果、シャープなエッ
ジのシリコーン画像が形成された水なし平版印刷版を効
率よく作成することができた。 (水溶液の組成) ・ポリオキシエチレンナフチルエーテル硫酸ナトリウム 3g (界面活性剤、商品名:ニューコールB4SN、日本乳化剤(株)製) ・水 97g
【0055】また、水なし平版印刷原版のカバーフィル
ムを剥離した後に、出力110mW、波長830nm、
ビーム径10μm(1/e2)の半導体レーザーを用い
て、主走査速度5m/秒にて、第2層側から、書き込み
を行った後、同様の現像処理を行ったところ、解像力が
7μmでシャープなエッジの水なし平版印刷版が作成さ
れた。この記録条件および同様の現像処理にて、200
線の網点形成を行ったところ、網点面積率2〜98%ま
でのシリコーン画像が版上に形成できた。こうして作成
された水なし平版印刷版を、印刷機を用いて印刷したと
ころ、非画像部の汚れおよび画像部のすぬけのない良好
な印刷物が2万枚得られた。
【0056】(比較例2)実施例3で用意した水なし平
版印刷版を実施例3と全く同様に、半導体励起YAGレ
ーザーおよび半導体レーザーにて書き込みを行った後、
実施例3と同じ水溶液を含ませた現像用パッドを用い
て、レーザー露光部のシリコーン層が完全に除去される
まで版面を擦って現像処理を行い、水なし平版を得た。
しかし、得られた水なし平版は、非画像部のシリコーン
層に傷が付いており、さらに、レーザー露光部から除去
されたシリコーンゴムが、版上に付着していた。これを
用いて印刷機で印刷したところ、非画像部の傷の部分
に、インクが着肉し汚れとなった。さらに、画像部に付
着したシリコーンゴムの部分で、インクが着肉せず、す
ぬけとなった。
【0057】(実施例4) <露光工程>実施例3で作成した水なし平板印刷原版を
実施例3と全く同様に、半導体励起YAGレーザーを用
いて連続線の書き込みを行った。 <圧着工程>剥離シートとして、住友スリーエム社製の
シリコーン用接着テープ「スコッチテープ#5413」
を用い、これを水ばし平版印刷原版の第2層表面に圧着
した。 <剥離工程>第2層の表面から剥離シートを剥離した。
すると、レーザー露光部の第2層であるシリコーン層
が、接着シートに付着し、水なし平版印刷原版の表面か
ら容易に剥離除去された。一方、レーザー未露光部の第
2層のシリコーン層は、除去されずに水なし平版印刷原
版の表面に保持され、シャープなエッジのシリコーン画
像が形成できた。しかし、剥離シートを圧着する際に、
水なし平版印刷原版と剥離シートとの間にゴミ又は気泡
が介在した部分において、圧着不良が生じ、レーザー露
光部の第2層のシリコーン層が剥離除去されずに残っ
た。さらに、レーザー未露光部のシリコーン層上に、剥
離シートの接着層が一部残存した。 <擦り工程>次いで、液体を用いず、現像用パッドで水
なし平版印刷原版の版面を擦った。すると、現像不良部
分のレーザー露光部のシリコーンゴム層は、完全に版面
から除去され、レーザー未露光部のシリコーン層上に残
存した剥離シートの接着層も、版面から完全に除去され
た。その結果、シャープなエッジのシリコーン画像が形
成された水なし平版印刷版を効率よく作成することがで
きた。
【0058】また、水なし平版印刷原版のカバーフィル
ムを剥離した後に、実施例3と全く同様に半導体レーザ
ーを用いて書き込みを行った後、同様の現像処理を行っ
たところ、解像力が7μmでシャープなエッジの水なし
平版印刷版が作成された。この記録条件および同様の現
像処理にて、200線の網点形成を行ったところ、網点
面積率2〜98%までのシリコーン画像が版上に形成で
きた。こうして作成された水なし平版印刷版を、印刷機
を用いて印刷したところ、非画像部の汚れおよび画像部
のすぬけのない良好な印刷物が2万枚得られた。
【0059】(比較例3)実施例3で用意した水なし平
版印刷原版を実施例4と全く同様に、半導体励起YAG
レーザーおよび半導体レーザーにて書き込みを行った
後、液体を用いず、現像用パッドを用いて、レーザー露
光部のシリコーン層が完全に除去されるまで版面を擦っ
て現像処理を行い、水なし平版を得た。しかし、得られ
た水なし平版は、非画像部のシリコーン層に傷が付いて
おり、さらに、レーザー露光部から除去されたシリコー
ンゴムが、版上に付着していた。これを用いて印刷機で
印刷したところ、非画像部の傷の部分に、インクが着肉
し汚れとなった。さらに、画像部に付着したシリコーン
ゴムの部分で、インクが着肉せず、すぬけとなった。
【0060】(実施例5) <露光工程>実施例3で作成した水なし平板印刷原版を
実施例3と全く同様に、半導体励起YAGレーザーを用
いて連続線の書き込みを行った。 <圧着工程>剥離シートとして、ソニーケミカルズ社製
のシリコーン用接着テープ「ソニーボンドテープT40
80」を用い、これを水なし平版印刷原版の第2層表面
に圧着した。 <剥離工程>第2層の表面から剥離シートを剥離した。
すると、レーザー露光部の第2層であるシリコーン層
が、接着シートに付着し、水なし平版印刷原版の表面か
ら容易に剥離除去された。一方、レーザー未露光部の第
2層のシリコーン層は、除去されずに水なし平版印刷原
版の表面に保持され、シャープなエッジのシリコーン画
像が形成できた。しかし、剥離シートを圧着する際に、
水なし平版印刷原版と剥離シートとの間にゴミ又は気泡
が介在した部分において、圧着不良が生じ、レーザー露
光部の第2層のシリコーン層が剥離除去されずに残っ
た。さらに、レーザー未露光部のシリコーン層上に、剥
離シートの接着層が一部残存した。 <擦り工程>次いで、ベンジルアルコールを含ませた現
像用パッドを用いて、水なし平版印刷原版の版面を擦っ
た。すると、現像不良部分のレーザー露光部のシリコー
ンゴム層は、完全に版面から除去され、レーザー未露光
部のシリコーン層上に残存した剥離シートの接着層も、
版面から完全に除去された。その結果、シャープなエッ
ジのシリコーン画像が形成された水なし平版印刷版を効
率よく作成することができた。
【0061】また、水なし平版印刷原版のカバーフィル
ムを剥離した後に、実施例3と全く同様に半導体レーザ
ーを用いて書き込みを行った後、同様の現像処理を行っ
たところ、解像力が7μmでシャープなエッジの水なし
平版印刷版が作成された。この記録条件および同様の現
像処理にて、200線の網点形成を行ったところ、網点
面積率2〜98%までのシリコーン画像が版上に形成で
きた。こうして作成された水なし平版印刷版を、印刷機
を用いて印刷したところ、非画像部の汚れおよび画像部
のすぬけのない良好な印刷物が2万枚得られた。
【0062】(比較例4)実施例3で用意した水なし平
版印刷原版を実施例5と全く同様に、半導体励起YAG
レーザーおよび半導体レーザーにて書き込みを行った。
その後、ベンジルアルコールを含ませた現像用パッドを
用いて、レーザー露光部の第2層のシリコーン層が完全
に除去されるまで版面を擦って現像処理を行い、水なし
平版を得た。しかし、得られた水なし平版は、非画像部
のシリコーン層に傷が付いており、さらに、レーザー露
光部から除去されたシリコーンゴムが、版上に付着して
いた。これを用いて印刷機で印刷したところ、非画像部
の傷の部分に、インクが着肉し汚れとなった。さらに、
画像部に付着したシリコーンゴムの部分で、インクが着
肉せず、すぬけとなった。
【0063】(実施例6〜10)実施例1と同様の水な
し平板印刷原版を用意し、実施例1と同様の半導体レー
ザーを用いて、表1に示した条件で、ベタの書き込みを
行った。次いで、実施例1と同様の現像処理を行い、ベ
タ露光部(特に、副走査方向のレーザー露光が重なる部
分)のシリコーン層の残存(現像不良)を評価した。そ
の結果を表1に示した。
【0064】(比較例5〜9)比較例2と同様の現像処
理を行った外は、実施例6〜10と全く同様にして、ベ
タ露光部の現像不良を評価した。その結果を表1に示し
た。
【0065】
【表1】
【0066】
【発明の効果】以上のごとく本発明により、印刷時に問
題となる非露光部の汚れ、傷が生ぜず、また露光部のす
ぬけのない水なし平版印刷版の作成が可能となった。要
するに、レーザー露光ができ、第2層の除去が確実に行
えるなど現像性能に優れ、結果的に、印刷性能を十分満
足する水なし平版印刷版の作成方法が実現できた。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G03F 7/34 G03F 7/34 7/36 7/36

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上にレーザー光を熱に変換してア
    ブレーションする第1層とインキ反発性の表面を有する
    第2層とをこの順に積層してなる水なし平版印刷原版に
    対し、第1層が吸収可能なレーザー光を照射し画像露光
    する工程、前記工程の前もしくは後に第2層表面に接着
    可能な接着層を有する剥離シートを第2層に圧着する工
    程、剥離シートを剥離しレーザー光が照射された第2層
    の少なくとも一部を除去する工程、および、第2層を擦
    る工程を有する水なし平版印刷版の作成方法。
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