JPH1060518A - 高清浄度溶鋼の製造方法 - Google Patents

高清浄度溶鋼の製造方法

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JPH1060518A
JPH1060518A JP21557696A JP21557696A JPH1060518A JP H1060518 A JPH1060518 A JP H1060518A JP 21557696 A JP21557696 A JP 21557696A JP 21557696 A JP21557696 A JP 21557696A JP H1060518 A JPH1060518 A JP H1060518A
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gas
molten steel
steel
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ladle
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JP21557696A
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Manabu Iguchi
学 井口
Shinya Kitamura
北村信也
Mitsutaka Matsuo
松尾充高
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Original Assignee
Nippon Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 取鍋精錬装置による高清浄度溶鋼の製造方法
に関し、特に、スラグと鋼浴との界面を強攪拌しスラグ
を溶鋼中に激しくエマルジョンされることと、溶鋼に懸
濁したスラグや脱酸生成物を短時間で浮上分離させるこ
とを、同一精錬炉で簡易に成し遂げる精錬方法を提供す
る。 【解決手段】 直径dのノズルによりガス攪拌された、
内直径D、浴深Hなる取鍋精錬装置において、ガス攪拌
期を実施した後、引き続いて、ガス攪拌用ノズルの浴表
面での垂直投影点を中心とした0.25Dの半径を有す
る円内に、直径d以上0.15D以下の耐火物製ロッド
を0.2H以下の深さに浸漬させることにより、気泡塔
の旋回を迅速に停止する。浸漬ランスによりガス攪拌さ
れた取鍋精錬装置において、ランスの浸漬深さを気泡塔
旋回開始深さHfに対して0.9Hf以下として気泡塔
を旋回させるスラグ改質期と、1.1Hf以上として気
泡塔の旋回を停止する清浄化期とを設ける。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高清浄度溶鋼の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に転炉や電炉で溶製された溶鋼から
高清浄度鋼を溶製するには、転炉や電炉で生成した酸化
鉄濃度の高いスラグの一部が、出鋼時に溶鋼とともに取
鍋へ流出するため、この取鍋内スラグの酸化鉄濃度を低
下させる、いわゆるスラグ改質処理が必要となる。
【0003】スラグ改質処理としては、特開平2−30
711号公報に記載されているように、スラグ上に脱酸
材を投入する方法が知られているが、短時間で効率良く
実施するには、スラグと鋼浴の反応を促進させるため、
ガス攪拌によりスラグと鋼浴との界面を激しく攪拌する
必要がある。
【0004】しかし、改質処理後、溶鋼中に懸濁したス
ラグを浮上分離させた上で、必要量のAl、Si等の脱
酸材を添加し、脱酸生成物を浮上分離させる工程が続
く。この場合には、スラグと鋼浴の反応は極力抑制する
必要がある一方、浮上促進のためには大きな攪拌エネル
ギーが必要である。従って、ガス流量を低下させてスラ
グと鋼浴の反応を抑制する方法では、充分な浮上効果が
得られない。そこで、鉄と鋼,第61巻(1975
年),第4号,S135ページに開示されているよう
に、吹き込まれたガスの浴表面への浮上領域へ浸漬管を
浸漬し、ガス攪拌される溶鋼表面とスラグとを遮断す
る、いわゆるCASと称される技術が用いられている。
【0005】このように、スラグ改質処理はスラグと鋼
浴との界面を強攪拌する必要があるが、その後、懸濁ス
ラグや脱酸生成物を浮上分離させるには、攪拌エネルギ
ーを高くした状態でスラグと溶鋼の反応を抑制する必要
がある。この相反する2つの目的を満足させるために
は、従来は2つの工程が必要となり設備建設費、固定費
が大きいという問題を生じていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、スラグ改質
処理はスラグと鋼浴との界面を強攪拌する必要がある
が、その後、懸濁スラグや脱酸生成物を浮上分離させる
には、鋼浴のみに与える攪拌エネルギーのみを高くした
状態でスラグと鋼浴との攪拌・混合に伴う反応を抑制す
る必要があるという、相反する2つの目的を満足させる
ためには、従来は2つの工程が必要となり設備建設費、
固定費が大きいという問題を解決し、同一精錬炉での簡
易なる高清浄度溶鋼の製造技術を示すことを目的とす
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、取鍋をカ
ズ攪拌するに際し気泡塔が旋回運動をする条件と、旋回
運動をしない条件があり、旋回運動した場合にはスラグ
と鋼浴との界面が強攪拌され、スラグが溶鋼中に激しく
エマルジョンされるのに対して、旋回運動を停止させた
場合には溶鋼に懸濁したスラグや脱酸生成物が短時間で
浮上分離できることを見いだした。
【0008】本発明の要旨は、以下の各方法にある。
【0009】(1)取鍋底に設けた直径dのガス吹き込
み孔からガスを吹き込んで鋼浴をガス攪拌しながら精錬
を行うための、鋼浴直径D(m)、鋼浴の浴深H(m)
なる取鍋精錬装置に関し、前記ガス吹き込み孔の鋼浴表
面での垂直投影点を中心として0.25Dの半径を有す
る円形成領域内に、その直径がd以上0.15D以下の
棒体を0.2H以下の深さに鋼浴上方から挿入し鋼浴に
浸漬させることにより、気泡塔の旋回を迅速に停止せし
めることを特徴とする高清浄度溶鋼の製造方法。
【0010】(2)棒体を浸漬しないガス攪拌期を実施
し、引き続いて、棒体を浸漬することを特徴とする
(1)に記載の高清浄度溶鋼の製造方法。
【0011】(3)(1)又は(2)において、H/D
を0.6〜0.7とし、ガス流量を1.5〜4.5Nl
/(min・ton)とし気泡旋回期間を設けることを
特徴とする高清浄度溶鋼の製造方法。
【0012】(4)取鍋内溶鋼中に浸漬させた浸漬ラン
ス先端から吹き込むガスにより溶鋼をガス攪拌しながら
精錬を行うための取鍋精錬装置において、前記浸漬ラン
スの浸漬深さを気泡塔旋回開始深さHfに対して0.9
Hf以下とする気泡旋回期間と、1.1Hf以上とする
非旋回期間とを設けることを特徴とする高清浄度溶鋼の
溶製方法 Hf=D×exp {0.115−4.2(X+6)/[ex
p (X+5)]} ここで、Hfは気泡塔旋回開始深さ(m)、Dは取鍋内
直径(m)、Xは次式で計算されるパラメータ X=log (Q2 /D3 )−4.845 Qはガス流量(Nl/min) (5)(4)において、気泡旋回期間には鋼浴面上のス
ラグ改質処理のみを実施し、非旋回期間には鋼浴の清浄
化処理のみを行うことを特徴とする高清浄度溶鋼の溶製
方法。
【0013】(6)(4)又は(5)において、気泡旋
回期間に炉底からのガス吹き込みを併せて実施すること
を特徴とする高清浄度溶鋼の溶製方法。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】鋼浴中に吹き込まれた気泡は鋼浴全体に広
がるのではなく、吹き込み孔を頂点とした逆円錐状に広
がりながら上昇する。この気泡が含まれる領域を気泡塔
(あるいはプルーム)と呼ばれる。通常は、図1(a)
に示すように、気泡塔4はガス吹き込み孔を頂点として
24度の立体角を持った逆円錐状に広がりながら垂直上
方に向かって上昇する。これに対して、旋回現象とは、
図1(b)に示したように、気泡塔4が吹き込み孔を頂
点として円周方向に旋回運動をする現象である。図中1
は取鍋、2は溶鋼、3はガス吹き込みノズルを示す。
【0016】気泡の旋回現象が起こる条件は、攪拌用ガ
ス流量や浴の形状で決まるが、通常の溶鋼取鍋でも、攪
拌ガスを500Nl/分程度にすると旋回現象が観察さ
れる。
【0017】これに対して、本発明者らは、旋回中の気
泡塔に対して、ガス吹き込み位置の浴表面への投影点近
傍に棒体(以下ではロッドと称する)を浸漬させること
で旋回が短時間で停止でき、この方法により高清浄度鋼
が溶製できることを見いだした。この原理は、気泡塔の
旋回は、吹き込まれたガス気泡が表面で破泡する時に、
浴表面を部分的に上方へ持ち上げる力が作用することに
より引き起こされる現象であり、ロッドにより浴の上下
運動が妨げられるためと旋回が停止すると考えられる。
【0018】本発明の実施形態の模式図を図2に示す。
本発明の構成要件における数値その他の限定理由は以下
のとおりである。
【0019】直径dのノズルによりガス攪拌された、内
直径D、浴深Hなる取鍋精錬装置において、ガス攪拌用
ノズルの浴表面での垂直投影点Aを中心とした0.25
Dの半径を有する円内に耐火物製ロッド5を浸漬する理
由は、図3に示すように、0.25Dの半径を有する円
よりも外側にロッドを浸漬しても旋回運動が停止しない
ため清浄鋼の溶製に時間がかかるためである。また、ロ
ッドの形状が、直径がd以上0.15D以下でなくては
ならない理由は、dよりも小さい場合には旋回運動が停
止するために長時間を要するためであり、0.15Dよ
りも大きい場合には、旋回運動は停止するものの、表面
溶鋼の自由な流動が妨害されるため、図4のように浴の
攪拌状況が悪化し均一混合時間が長くなる。また、ロッ
ドの浸漬により溶鋼温度の低下が大きくなるため実用的
ではない。ロッドの浸漬深さを0.2H以下とした理由
は、0.2Hよりも深くした場合には、図5のように旋
回運動の停止に時間がかかる上、ロッドの浸漬により溶
鋼温度の低下が大きくなるため実用的ではない。
【0020】尚、ロッドとしてはアルミナ等の不定形耐
火物製のものや、マグネシウム等の定形耐火物製のもの
が望ましい。また、ロッドは中実であっても円管であっ
ても良く、形状も円柱であっても角柱であっても良い。
ガス攪拌用のノズルは単管パイプ、ポーラス煉瓦、もし
くは、多数のパイプを埋め込んだ煉瓦であり、dは単管
パイプの場合にはパイプの外直径、ポーラス煉瓦や多数
のパイプを埋め込んだ煉瓦の場合は煉瓦外直径に相当す
る。また、ランスを浸漬してガスを吹き込む場合には、
dはランス径とする。
【0021】耐火物製ロッドを浸漬しないガス攪拌期を
実施し、引き続いて、耐火物製ロッドを浸漬する理由
は、ガス攪拌期で気泡塔を旋回運動させることにより、
スラグが溶鋼中に激しくエマルジョンさせ、スラグと溶
鋼の反応を促進した後で、引き続いて、耐火物製ロッド
を浸漬することで旋回運動を停止させることにより、溶
鋼に懸濁したスラグや脱酸生成物を短時間で浮上分離さ
せるためである。
【0022】また、気泡旋回を容易に実現する条件とし
ては、H/Dを0.6〜0.7とし、ガス流量を1.5
〜4.5Nl/(min・ton)とする必要がある。
H/Dが0.6よりも小さい場合には気泡旋回は起こり
易いものの気泡塔の旋回径が取鍋直径よりも著しく小さ
くなるためスラグと溶鋼の反応が起こりにくくなり、H
/Dが0.7よりも大きい場合には気泡旋回のために多
量のガス流量が必要となり実用的ではない。ガス流量が
1.5Nl/(min・ton)よりも少ない場合には
気泡旋回が起こり難く、4.5Nl/(min・to
n)よりも大きい場合には激しい旋回により溶鋼が取鍋
外へ飛散するため実用的ではない。
【0023】さらに、本発明者らは詳細な実験と理論検
討に基づき、浸漬深さを制御することによっても旋回現
象が制御できることを見いだした。つまり、旋回はイン
ジェクションランスを気泡塔旋回開始深さHf以下の場
合に発生し、Hfが以下の式で計算できることを明かと
した。
【0024】Hf=D×exp {0.115−4.2(X
+6)/[exp (X+5)]} ここで、Hfは気泡塔旋回開始深さ(m)、Dは取鍋内
直径(m)、Xは次式で計算されるパラメータである。
【0025】X=log (Q2 /D3 )−4.845 ここで、Qはガス流量(Nl/min)を示す。
【0026】吹き込み深さが浅い場合に旋回が起こるの
は、気泡塔の旋回は、前述のように吹き込まれたガス気
泡が表面で破泡する時に、浴表面を部分的に上方へ持ち
上げる力が作用することにより引き起こされる現象であ
り、吹き込み深さが深い場合には、ガスの浮力のエネル
ギーが溶鋼の循環流の形成に消費され浴の上下運動には
使われなくなるため旋回が停止すると考えられる。
【0027】本発明の実施形態の模式図を図6に示す。
本発明の構成要件における数値その他の限定理由は以下
のとおりである。
【0028】浸漬ランス7によりガス攪拌される取鍋精
錬装置において、気泡旋回期間にランスの浸漬深さを気
泡塔旋回開始深さHfに対して0.9Hf以下とする理
由は、図7に示すように、0.9Hfよりも深くした場
合には気泡塔の旋回が充分な速度ではおこらず、スラグ
がメタルに充分にエマルジョンできないためスラグの改
質速度が遅く、(T・Fe)が低下しないためである。
一方、非旋回期間に浸漬深さを1.1Hf以上とする理
由は、1.1Hfよりも浅い場合にはスラグとメタルの
界面が充分に鎮静化せず、気泡旋回により鋼浴に巻き込
まれたスラグが充分にトップスラグ層に吸収除去できな
いため、図7に示すように清浄鋼が溶製できないためで
ある。
【0029】ここで、気泡旋回期間には鋼浴面上のスラ
グ改質処理のみを実施し、非旋回期間には鋼浴の清浄化
処理のみを行う。
【0030】また、気泡旋回期間に炉底よりガス攪拌を
実施する理由は、当該期間にはガス吹き込み深さが浅い
ため鋼浴の均一混合時間が長くなることを抑制するため
である。炉底より供給されるガス流量は、ランスから供
給されるガス流量Qに対して、0.1Q〜0.5Qであ
ることが望ましい。0.1Qよりも少ない場合には、鋼
浴の均一混合時間の改善が小さく、0.5Qよりも大き
い場合には、ランスより吹き込まれたガス気泡塔の旋回
を阻害するためである。
【0031】
【実施例】実施例1、2と比較例1、2は、8トン規模
の取鍋精錬装置で実施した。ガス攪拌は取鍋炉底に設置
したポーラス煉瓦(d=5cm)からArガスを吹き込
んだ。取鍋の内直径Dは100cm、浴深Hは130c
mであった。
【0032】実施例1 8トン転炉を出鋼した、炭素:350ppm、酸素:5
80ppmの溶鋼に対して、金属Alを約50%含み残
部がAl2 3 、SiO2 からなるAl灰を約1kg/
ton添加した後、Arガスを15Nl/分の流量で供
給しガス攪拌した。取鍋には転炉スラグが約5kg/t
on流出したが、2分間のガス攪拌により(T・Fe)
が18%から4%へ低下した。攪拌中は気泡の旋回運動
が観測された。引き続き、15Nl/分の攪拌ガスを供
給したまま、直径8cmの耐火物製ロッドを、ガス攪拌
用ノズルの浴表面での垂直投影点に10cmの深さまで
浸漬した。浸漬後、脱酸材としてAlを添加し2分間ガ
ス攪拌を継続した結果、酸素濃度は14ppmへと低下
した。
【0033】実施例2 8トン転炉を出鋼した、炭素:0.48%、酸素:21
0ppmの溶鋼に対してArガスを15Nl/分の流量
で供給しガス攪拌した。取鍋には転炉スラグが約5kg
/ton流出したが、2分間のガス攪拌により(T・F
e)が10%から2%へ低下した。この場合には、Al
灰は添加していないが溶鋼中の炭素濃度が高いため、炭
素によりスラグの(T・Fe)が還元された。攪拌中は
気泡の旋回運動が観測された。引き続き、15Nl/分
の攪拌ガスを供給したまま、直径8cmの耐火物製ロッ
ドを、ガス攪拌用ノズルの浴表面での垂直投影点に10
cmの深さまで浸漬した。浸漬後、脱酸材としてAlを
添加し2分間ガス攪拌を継続した結果、酸素濃度は7p
pmへと低下した。
【0034】比較例1 8トン転炉を出鋼した、炭素:365ppm、酸素:5
70ppmの溶鋼に対して、金属Alを約50%含み残
部がAl2 3 、SiO2 からなるAl灰を約0.9k
g/ton添加した後、Arガスを15Nl/分の流量
で供給しガス攪拌した。取鍋には転炉スラグが約5kg
/ton流出したが、2分間のガス攪拌により(T・F
e)が17%から4%へ低下した。攪拌中は気泡の旋回
運動が観測された。引き続き、15Nl/分の攪拌ガス
を供給したまま、ロッドを浸漬することなしに、脱酸材
としてAlを添加し2分間ガス攪拌を継続した。その結
果、酸素濃度は27ppmであった。
【0035】比較例2 8トン転炉を出鋼した、炭素:365ppm、酸素:5
70ppmの溶鋼に対して、金属Alを約50%含み残
部がAl2 3 、SiO2 からなるAl灰を約0.9k
g/ton添加した後、Arガスを15Nl/分の流量
で供給しガス攪拌した。取鍋には転炉スラグが約5kg
/ton流出したが、2分間のガス攪拌により(T・F
e)が17%から4%へ低下した。攪拌中は気泡の旋回
運動が観測された。引き続き、攪拌ガスを5Nl/分へ
低下した状態で供給したまま、ロッドを浸漬することな
しに、脱酸材としてAlを添加し2分間ガス攪拌を継続
した。その結果、酸素濃度は23ppmであった。
【0036】実施例3〜5と比較例3は、300トン規
模の取鍋精錬装置で実施した。ガス攪拌は耐火物製ラン
スを浸漬してArガスを吹き込んだ。取鍋の内直径Dは
400cm、浴深Hは300cmであった。
【0037】実施例3 300トン転炉を出鋼した、炭素:350ppm、酸
素:580ppmの溶鋼に対して、金属Alを約50%
含み残部がAl2 3 、SiO2 からなるAl灰を約1
kg/ton添加した後、浸漬ランスを140cmの深
さへ浸漬しArガスを200Nl/分の流量で供給しガ
ス攪拌した。この場合のHfは188cmであるため、
これは0.75Hfに相当する。取鍋には転炉スラグが
約5kg/ton流出したが、2分間のガス攪拌により
(T・Fe)が18%から4.5%へ低下した。攪拌中
は気泡の旋回運動が観測された。引き続き、200Nl
/分の攪拌ガスを供給したまま、浸漬深さを250cm
に変更した。変更後、脱酸材としてAlを添加し2分間
ガス攪拌を継続した結果、酸素濃度は15ppmへと低
下した。この場合は気泡塔の旋回現象は観察されなかっ
た。
【0038】実施例4 300トン転炉を出鋼した、炭素:360ppm、酸
素:540ppmの溶鋼に対して、金属Alを約50%
含み残部がAl2 3 、SiO2 からなるAl灰を約1
kg/ton添加した後、浸漬ランスを140cmの深
さへ浸漬しArガスを200Nl/分の流量で供給する
とともに、取鍋底部に設けたポーラス煉瓦よりArガス
を50Nl/分の流量で攪拌した。この場合のHfは1
88cmであるため、これは0.75Hfに相当する。
取鍋には転炉スラグが約5kg/ton流出したが、2
分間のガス攪拌により(T・Fe)が18%から3%へ
低下した。攪拌中は気泡の旋回運動が観測された。引き
続き、200Nl/分の攪拌ガスを供給したまま、浸漬
深さを250cmに変更した。変更後、脱酸材としてA
lを添加し2分間ガス攪拌を継続した結果、酸素濃度は
13ppmへと低下した。この場合は気泡塔の旋回現象
は観察されなかった。
【0039】実施例5 300トン転炉を出鋼した、炭素:0.48%、酸素:
210ppmの溶鋼に対して浸漬ランスを85cmの深
さへ浸漬しArガスを100Nl/分の流量で供給しガ
ス攪拌した。取鍋には転炉スラグが約5kg/ton流
出したが、2分間のガス攪拌により(T・Fe)が10
%から2%へ低下した。この場合のHfは117cmで
あるため、これは0.75Hfに相当する。また、Al
灰は添加していないが溶鋼中の炭素濃度が高いため、炭
素によりスラグの(T・Fe)が還元された。攪拌中は
気泡の旋回運動が観測された。引き続き、攪拌ガスを2
00Nl/分に増加させ、浸漬深さを250cmに変更
した。変更後、脱酸材としてAlを添加し2分間ガス攪
拌を継続した結果、酸素濃度は7ppmへと低下した。
【0040】比較例3 300トン転炉を出鋼した、炭素:365ppm、酸
素:570ppmの溶鋼に対して、金属Alを約50%
含み残部がAl2 3 、SiO2 からなるAl灰を約
0.9kg/ton添加した後、浸漬ランスを200c
mの深さへ浸漬しArガスを200Nl/分の流量で供
給しガス攪拌した。この場合のHfは188cmである
ため、これは約1.1Hfに相当する。取鍋には転炉ス
ラグが約5kg/ton流出したが、2分間のガス攪拌
では(T・Fe)が17%から8%まで低下するに留ま
った。攪拌中は気泡の旋回運動が観測されなかった。引
き続き、200Nl/分の攪拌ガスを供給したまま、浸
漬深さを250cmに変更した。変更後、脱酸材として
Alを添加し2分間ガス攪拌を継続したが、酸素濃度は
27ppmであった。
【0041】
【発明の効果】本発明により、同一精錬炉での簡易なる
高清浄度溶鋼の製造が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】気泡の旋回現象を表す模式図で、(a)は旋回
しない場合、(b)は旋回する場合を示す。
【図2】本発明の実施形態の模式図。
【図3】ロッド浸漬位置と酸素濃度との関係を示す実験
結果を示す図。
【図4】ロッド直径と均一混合時間との関係を示す実験
結果を示す図。
【図5】ロッド浸漬深さと旋回停止までに要する時間と
の関係を示す実験結果を示す図。
【図6】本発明の実施形態の模式図。
【図7】ランス浸漬深さと(T・Fe)との関係を示す
実験結果を示す図。
【図8】ランス浸漬深さと酸素濃度の関係を示す実験結
果を示す図。
【符号の説明】
1…取鍋 2…溶鋼 3…ガス吹き込みノズル 4…気泡塔 5…上下方向に移動可能なロッド 6…スラグ d…ノズル直径 D…取鍋の内直
径 H…浴深 A…ガス攪拌用ノズルの浴表面での垂直投影点 7…上下方向の移動可能なガス吹き込み用浸漬ランス Hf…旋回開始深さ

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取鍋底に設けた直径dのガス吹き込み孔
    からガスを吹き込んで鋼浴をガス攪拌しながら精錬を行
    うための、鋼浴直径D(m)、鋼浴の浴深H(m)なる
    取鍋精錬装置に関し、前記ガス吹き込み孔の鋼浴表面で
    の垂直投影点を中心として0.25Dの半径を有する円
    形成領域内に、その直径がd以上0.15D以下の棒体
    を0.2H以下の深さに鋼浴上方から挿入し鋼浴に浸漬
    させることにより、気泡塔の旋回を迅速に停止せしめる
    ことを特徴とする高清浄度溶鋼の製造方法。
  2. 【請求項2】 棒体を浸漬しないガス攪拌期を実施し、
    引き続いて、棒体を浸漬することを特徴とする請求項1
    に記載の高清浄度溶鋼の製造方法。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、H/Dを0.
    6〜0.7とし、ガス流量を1.5〜4.5Nl/(m
    in・ton)とし気泡旋回期間を設けることを特徴と
    する高清浄度溶鋼の製造方法。
  4. 【請求項4】 取鍋内溶鋼中に浸漬させた浸漬ランス先
    端から吹き込むガスにより溶鋼をガス攪拌しながら精錬
    を行うための取鍋精錬装置において、前記浸漬ランスの
    浸漬深さを気泡塔旋回開始深さHfに対して0.9Hf
    以下とする気泡旋回期間と、1.1Hf以上とする非旋
    回期間とを設けることを特徴とする高清浄度溶鋼の溶製
    方法 Hf=D×exp {0.115−4.2(X+6)/[ex
    p (X+5)]} ここで、Hfは気泡塔旋回開始深さ(m)、Dは取鍋内
    直径(m)、Xは次式で計算されるパラメータ X=log (Q2 /D3 )−4.845 Qはガス流量(Nl/min)
  5. 【請求項5】 請求項4において、気泡旋回期間には鋼
    浴面上のスラグ改質処理のみを実施し、非旋回期間には
    鋼浴の清浄化処理のみを行うことを特徴とする高清浄度
    溶鋼の溶製方法。
  6. 【請求項6】 請求項4又は5において、気泡旋回期間
    に炉底からのガス吹き込みを併せて実施することを特徴
    とする高清浄度溶鋼の溶製方法。
JP21557696A 1996-08-15 1996-08-15 高清浄度溶鋼の製造方法 Withdrawn JPH1060518A (ja)

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JP2002079069A (ja) * 2000-09-07 2002-03-19 Hokkaido Technology Licence Office Co Ltd 攪拌装置および融雪装置

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JP2002079069A (ja) * 2000-09-07 2002-03-19 Hokkaido Technology Licence Office Co Ltd 攪拌装置および融雪装置
JP4710070B2 (ja) * 2000-09-07 2011-06-29 学 井口 攪拌装置

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