JPH1058833A - 感熱記録材料 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱応答性、発色画像の保存安定性、すなわち
耐可塑剤性、耐湿度性に優れ、地肌のかぶり、白化の少
ない感熱記録材料を提供する。 【解決手段】 常温で無色又は淡色のロイコ染料と加熱
により該ロイコ染料と反応して発色させる有機酸性物質
とを含有する感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記
録材料において、有機酸性物質として、下記一般式
（１）で表される少なくとも１種の化合物を含み、か
つ、増感剤として、下記一般式（２）で表される少なく
とも１種の化合物を含むことを特徴とする感熱記録材
料。 【化１】 （式中、Ｘは酸素又は硫黄原子を表し、Ｚは無置換の芳
香族基、又は低級アルキル基若しくはハロゲン原子で置
換された芳香族基を表し、Ａは２価以上の価数の基を表
し、ｎは２以上の整数を表す） 【化２】 （式中、Ｒ₁ 、Ｒ₂ は水素原子又は低級アルキル基を表
す） 【効果】 本発明における有機酸性物質と増感剤の組み
合わせは、感熱記録材料として優れた熱応答性を有し、
画像の保存安定性、白化を著しく改善できる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、感熱記録材料に関
し、さらに詳しくは、記録像の熱応答性が優れ、保存安
定性、すなわち耐湿性、耐可塑剤性が優れ、地肌のかぶ
りや白化を抑える感熱記録材料に関する。

【０００２】

【従来の技術】近年、情報の多用化に伴って情報量が増
大し、これらの情報を記録するための情報記録の分野に
おいても、種々の記録方式及び記録材料が研究され実用
に供されている。なかでも、感熱記録方式は、感熱記
録材料を単に加熱するだけで記録画像を得ることがで
き、繁雑な現像工程を必要としない、感熱記録材料の
製造や保存管理は他の記録材料に比較して容易かつ安価
である、感熱記録材料の支持体として多くの場合に安
価な紙が使用されるが、この場合には、得られた記録材
料が普通紙に近い感触になるなどの利点があり、コンピ
ューターのアウトプット、電卓などのプリンター、各種
計測機器のレコーダー、ファクシミリ、自動発券機、感
熱複写機、ラベルなどの多くの分野で採用されている。

【０００３】しかし、これらのＯＡ機器の普及に伴い、
最近では感熱紙の販売競争が激化し、感熱紙メ−カ−は
コスト切下を強いられるようになった。また、ＯＡ機器
メ−カ−にとっては、一般家庭へのワ−ドプロセッサの
普及がほぼ一段落し、複数台数を普及させるために、従
来の機能と差別化した高機能が求められるようになっ
た。その一つとして、従来の感熱記録材料を、ＰＯＳシ
ステム用のラベルなどに利用される場合、特にス−パ−
マ−ケットなどで使用されるラベルは、水、ラップフィ
ルム類、油類に接触することが多く、記録画像が著しく
褪色してしまうという欠陥があった。このため、従来ど
おりに熱応答性が良く、安価で印字画像の安定化ができ
る薬剤が望まれるようになった。

【０００４】そこで、このような従来の感熱記録材料に
おける問題点を解決するための試みとして、その感熱発
色層中に種々の物質を添加して記録画像の保存安定性の
向上を図ることが提案されている。例えば、特公昭６３
−４６０６７号公報では、顕色剤としてフェノ−ル骨格
を持つジフェニルスルホン誘導体と増感剤としてフタル
酸類のジベンジルエステルを含有せしめる方法が、特開
昭５９−７３９９０号公報、特開昭６１−１６０２９２
号公報、特開昭６０−１７６７９４号公報、特開平１−
２０９１８４号公報、特開平４−３７５８９号公報で
は、増感剤としてスルホン酸エステルを含有せしめる方
法が提案されている。しかしながら、いずれの技術にお
いても保存安定性は僅かに向上するものの満足のゆくも
のではなく、各薬剤の性能を充分引き出しているとは言
えなかった。また特開平５−１４７３５７号公報、特開
平５−１４８２２０号公報では、顕色剤としてスルホニ
ルウレア化合物を含有させる方法が提案されている。し
かしながら、本技術においては、印字画像の安定性は著
しく向上するものの、発色感度が充分ではなかった。さ
らに、特開平５−１６９８３６号公報では、前述のスル
ホニルウレア化合物に増感剤としてｐ−トルエンスルホ
ン酸フェニルエステル等を組み合わせ、感度の向上させ
る方法が提案されている。しかしながら、本技術におい
ては、印字部分に白化が生じるなど、保存安定性、感度
以外の性能面で満足のゆくものではなかった。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】本発明は、かかる観点
に鑑みて創案されたもので、その目的とするところは、
優れた熱応答性を有し、画像の保存安定性、すなわち耐
湿度、耐可塑剤を有するとともに、地肌のかぶりや白化
を抑える、安価な感熱記録材料を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、常
温で無色又は淡色のロイコ染料と加熱により該ロイコ染
料と反応して発色させる有機酸性物質とを含有する感熱
発色層を支持体上に設けてなる感熱記録材料において、
有機酸性物質として、下記一般式（１）で表される少な
くとも１種の化合物を含み、かつ、増感剤として、下記
一般式（２）で表される少なくとも１種の化合物を含む
ことを特徴とする感熱記録材料である。

【０００７】

【化４】

【０００８】（式中、Ｘは酸素又は硫黄原子を表し、Ｚ
は無置換の芳香族基、又は低級アルキル基若しくはハロ
ゲン原子で置換された芳香族基を表し、Ａは２価以上の
価数の基を表し、ｎは２以上の整数を表す）

【０００９】

【化５】

【００１０】（式中、Ｒ₁ 、Ｒ₂ は水素原子又は低級ア
ルキル基を表す）

【００１１】本発明において、発色剤として使用される
ロイコ染料は、常温において無色又は淡色であり、加熱
下に酸性物質と反応して発色する物質であり、例えば
３，３−ビス（ｐ−ジメチルアミノフェニル）−６−ジ
メチルアミノフタリド等のトリアリルメタン系染料や、
例えば４，４’−ビスジメチルアミノベンズヒドリドベ
ンジルエーテル等のジフェニルメタン系染料や、例えば
ベンゾイルロイコメチレンブルー等のチアジン系染料
や、例えば３−メチルスピロジナフトピラン等のスピロ
系染料や、例えば７’−アニリノ−３’−（ジブチルア
ミノ）−６’−メチルフルオラン等のフルオラン系染
料、その他のロイコオーラミン系、インドリン系、イン
ジゴ系等の各染料などを挙げることができる。これらの
発色剤は、１種でもよいし、２種以上を併用してもよ
い。

【００１２】さらに、本発明は、有機酸性物質として、
前記一般式（１）で表される少なくとも１種の化合物を
感熱発色層に配合する。ここで、Ｘ、Ｚ、Ａ及びｎは、
前記のものを表すが、好ましくはＸが酸素原子であり、
Ｚがフェニル基又は低級アルキル置換フェニル基であ
り、そして低級アルキル置換フェニル基の場合、炭素数
３以下のアルキル置換のものが好ましい。また、Ｚがハ
ロゲン置換の場合、ハロゲン原子としては、フッ素、塩
素、臭素などがある。また、Ａで表される２価以上の価
数を有する基は２価の基が好ましく、ｎは２が好まし
い。

【００１３】Ａで表される基の好ましい具体例として
は、Ｃ_n Ｈ_2n（ｎは１〜８）で表される脂肪族炭化水素
基や、カルボニル基、チオカルボニル基、スルホニル基
等の有機官能基や、下記のような両末端が芳香族環であ
る２価の芳香族基であることが好ましい。

【００１４】

【化６】

【化７】

【化８】

【化９】

【化１０】

【化１１】

【化１２】

【化１３】

【００１５】好ましい有機酸性物質としては、下記一般
式（３）で表される少なくとも１種の化合物がある。

【００１６】

【化１４】

【００１７】（式中、Ｒは水素、低級アルキル基又はハ
ロゲン原子を表し、Ｘは酸素又は硫黄原子を表し、Ａは
２価の基を表す）

【００１８】一般式（３）で、Ｒ、Ｘ及びＡは前記のも
のを表すが、好ましくはＲは、水素又は低級アルキル基
であり、そして低級アルキル基の場合、炭素数３以下の
アルキル基が好ましい。また、Ｒがハロゲン原子の場
合、ハロゲン原子としてはフッ素、塩素、臭素などがあ
る。また、Ａで表される基の好ましい具体例としては、
前記と同様なものを挙げることができる。

【００１９】最も好ましい有機酸性物質の一例として
は、下記の化合物１が挙げられる。 化合物１（融点１６０〜１６４℃）

【００２０】

【化１５】

【００２１】そして、使用に際しては、これらのうち選
ばれた１種又は２種以上を用いることができる。また、
これらの使用量については、使用するロイコ染料、増感
剤の種類などによって異なるが、ロイコ染料１重量部に
対して通常１〜６重量部、好ましくは１．５〜２．５重
量部がよい。

【００２２】さらに、本発明は、増感剤として、前記一
般式（２）で表される少なくとも１種の化合物、好まし
くは融点が６０〜１６０℃の化合物を感熱発色層中に配
合する。増感剤の好ましい具体例としては、下記の化合
物２、化合物３などが挙げられる。

【００２３】化合物２（融点７９〜８０℃）

【００２４】

【化１６】

【００２５】化合物３（融点８１〜８２℃）

【００２６】

【化１７】

【００２７】これらの化合物は、ピリジン中において２
−フェノキシエタノ−ル誘導体と各種酸クロライド化合
物を反応することにより合成することができる。例え
ば、２−フェノキシエタノ−ルをピリジンに溶解してお
き、氷水浴で冷却しながらベンゼンスルホニルクロライ
ドを少量づつ滴下し、塩化メチレン等の溶媒で抽出分離
することにより化合物２が得られる。

【００２８】そして、使用に際しては、これらのうち選
ばれた１種又は２種以上を用いることができる。また、
これらの使用量については、使用するロイコ染料、有機
酸性物質の種類などによって異なるが、ロイコ染料１重
量部に対して１〜６重量部、好ましくは１．５〜２．５
重量部がよい。

【００２９】また、これらの他、発色部の更なる保存安
定性を図ることを目的に添加されるもので、熱応答性が
やや劣るが、エポキシ樹脂、ステアリン酸亜鉛、サリチ
ル酸亜鉛等の有機酸性物質の金属塩を併用してもよい。

【００３０】さらに、本発明の感熱記録材料には、その
用途などに応じて種々の添加剤を添加することができ
る。このような添加剤としては、微粒子状に分散したロ
イコ染料と有機酸性物質とを互いに隔離した状態で固着
させる結着剤、例えばポリビニルアルコ−ル（ＰＶ
Ａ）、ラテックス、メチルセルロース、カルボキシメチ
ルセルロース、ポリアクリル酸カゼイン、ゼラチン、デ
ンプン又はこれらの誘導体などや、感熱発色層の白色
度、筆記具の滑り性、スティッキングなどを改善する白
色顔料、例えば炭酸カルシウム、カオリン、クレー、タ
ルク、酸化チタンなどがある。これらの添加剤は、混合
されて又は別個に、紙フィルムなどの支持体上に塗布さ
れて感熱発色層を形成する。また、この感熱発色層は、
保護層などの他の層を有していてもよい。

【００３１】本発明の感熱記録材料においては、この感
熱発色層を構成するロイコ染料、有機酸性物質、増感剤
の相互作用が、優れた熱応答性、画像の堅牢性を生じさ
せ、地肌のかぶり、白化を抑えているものと考えられ
る。

【００３２】

【実施例】以下、実施例及び比較例に基づいて、本発明
を具体的に説明する。

【００３３】実施例１ （１）Ａ液の調製 上記有機酸性物質として化合物１を１１．５重量部、増
感剤として化合物２を１１．５重量部、１０重量％−Ｐ
ＶＡ水溶液４６重量部とをサンドミルを用いて粉砕混合
し、平均粒径１．０μｍのＡ液を調製した。

【００３４】（２）Ｂ液の調製 ロイコ染料として７’−アニリノ−３’−（ジブチルア
ミノ）−６’−メチルフルオラン５．５重量部及び１０
重量％−ＰＶＡ水溶液４９．５重量部をペイントシェー
カーを用いて粉砕混合し、平均粒径１．０μｍのＢ液を
調製した。

【００３５】（３）感熱記録紙の調製 Ａ液２０重量部、Ｂ液１０重量部、パラフィンワックス
エマルジョン（中京油脂製：ハイドリンＺ−７）１重量
部、パラフィンワックスエマルジョン（中京油脂製：ハ
イドリンＰ−７）４重量部、５０％炭酸カルシウム分散
液１０重量部及び１０重量％−ＰＶＡ水溶液１１．５重
量部を混合して塗液を調製し、この塗液を基紙上に塗布
して乾燥し、乾燥後の塗布量６ｇ／ｍ² の感熱記録紙を
得た。

【００３６】（４）発色試験 このようにして得られた感熱記録紙について、動的発色
試験を行った。動的発色試験は、印字試験機（大倉電気
製）を使用し、感度評価及び耐湿度性試験用に２４Ｖ、
１．０ｍｓで耐可塑剤性試験用に２７Ｖ、１．９ｍｓで
印字を行い、発色濃度をマクベス反射濃度計ＲＤ−９１
４を使用して測定する方法で行った。結果を表１及び表
２に示す。

【００３７】（５）耐湿度性試験方法 動的発色試験を行った感熱記録紙（２４Ｖ、１．０ｍ
ｓ）を恒温恒湿器（４０℃、相対湿度９０％）に１０時
間保存し、その後、印字部の発色濃度をマクベス反射濃
度計ＲＤ−９１４を使用して測定する方法で行った。

【００３８】残存率は下記数式（１）により算出した。 残存率＝（Ａ−Ｂ）／Ｃ （１） （式中、Ａは耐湿度性試験後の動的発色濃度を示し、Ｂ
は耐湿度性試験後の地肌の発色濃度から耐湿度性試験前
の地肌の発色濃度を差し引いた値を示し、Ｃは耐湿度性
試験前の動的発色濃度を示す）

【００３９】（６）耐可塑剤性試験方法 動的発色試験を行った感熱記録紙（２７Ｖ、１．９ｍ
ｓ）に塩化ビニルラップを印字面全面に密着させる。こ
の試験用感熱記録紙を乾燥器（５０℃）に１０時間保存
した後、印字部の発色濃度をマクベス反射濃度計ＲＤ−
９１４を使用して測定する方法で行った。

【００４０】残存率は下記数式（２）により算出した。 残存率＝（Ｄ−Ｅ）／Ｆ （２） （式中、Ｄは耐可塑剤試験後の動的発色濃度を示し、Ｅ
は耐可塑剤性試験後の地肌の発色濃度から耐可塑剤性試
験前の地肌の発色濃度を差し引いた値を示し、Ｆは耐可
塑剤性試験前の動的発色濃度を示す）

【００４１】（７）白化性試験方法 得られた感熱記録紙を２００℃にて発色した後、室温で
３日間放置し、印字部分の白化の程度を観察した。観察
結果を表３に示す。印字は大栄科学精器製アイロンテス
タ−を用いて行った。

【００４２】実施例２ 実施例１のＡ液の調製の際に、化合物２に代えて化合物
３を使用する以外は、実施例１と全く同様にして感熱記
録紙を調製し、実施例１の場合と同様に発色試験を行っ
た。感度及び耐湿度性試験の結果を表１に、耐可塑剤性
試験の結果を表２に、白化性試験の結果を表３に示す。

【００４３】比較例１ 実施例１のＡ液の調製の際に、化合物１に代えてビスフ
ェノ−ルＡを使用する以外は、実施例１と全く同様にし
て感熱記録紙を調製し、実施例１の場合と同様様に発色
試験を行った。感度及び耐湿度性試験の結果を表１に、
耐可塑剤性試験の結果を表２に、白化性試験の結果を表
３に示す。

【００４４】比較例２ 実施例１のＡ液の調製の際に、化合物２に代えてパラベ
ンジルビフェニルを使用する以外は、実施例１と全く同
様にして感熱記録紙を調製し、実施例１の場合と同様に
発色試験を行った。感度及び耐湿度性試験の結果を表１
に、耐可塑剤性試験の結果を表２に、白化性試験の結果
を表３に示す。

【００４５】比較例３ 実施例１のＡ液の調製の際に、化合物２に代えてｐ−ト
ルエンスルホン酸フェニルエステルを使用する以外は、
実施例１と全く同様にして感熱記録紙を調製し、実施例
１の場合と同様に発色試験を行った。感度及び耐湿度性
試験の結果を表１に、耐可塑剤性試験の結果を表２に、
白化性試験の結果を表３に示す。

【００４６】

【表１】

【００４７】

【表２】

【００４８】

【表３】

【００４９】

【発明の効果】本発明における有機酸性物質と増感剤の
組み合わせは、感熱記録材料として優れた熱応答性を有
し、画像の保存安定性、白化を著しく改善できる。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 常温で無色又は淡色のロイコ染料と加熱
   により該ロイコ染料と反応して発色させる有機酸性物質
   とを含有する感熱発色層を支持体上に設けてなる感熱記
   録材料において、有機酸性物質として、下記一般式
   （１）で表される少なくとも１種の化合物を含み、か
   つ、増感剤として、下記一般式（２）で表される少なく
   とも１種の化合物を含むことを特徴とする感熱記録材
   料。 【化１】 （式中、Ｘは酸素又は硫黄原子を表し、Ｚは無置換の芳
   香族基、又は低級アルキル基若しくはハロゲン原子で置
   換された芳香族基を表し、Ａは２価以上の価数の基を表
   し、ｎは２以上の整数を表す） 【化２】 （式中、Ｒ₁ 、Ｒ₂ は水素原子又は低級アルキル基を表
   す）
2. 【請求項２】 有機酸性物質が、下記一般式（３）で表
   される少なくとも１種の化合物である請求項１記載の感
   熱記録材料。 【化３】 （式中、Ｒは水素、低級アルキル基又はハロゲン原子を
   表し、Ｘは酸素又は硫黄原子を表し、Ａは２価の基を表
   す）