JPH1053924A - 炭化ケイ素繊維の製造方法 - Google Patents

炭化ケイ素繊維の製造方法

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JPH1053924A
JPH1053924A JP8203443A JP20344396A JPH1053924A JP H1053924 A JPH1053924 A JP H1053924A JP 8203443 A JP8203443 A JP 8203443A JP 20344396 A JP20344396 A JP 20344396A JP H1053924 A JPH1053924 A JP H1053924A
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silicon carbide
fiber
oxide
silicon
temperature
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JP8203443A
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Keihachirou Nakajima
慶八郎 中嶋
Hitoshi Kato
均 加藤
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 炭化ケイ素繊維の酸素雰囲気の高温下での耐
酸化性に優れた炭化ケイ素繊維の製造方法の提供 【解決手段】 比表面積が100〜2500m2/gの
繊維状活性炭を、減圧下で一酸化ケイ素ガスと温度80
0〜2000℃で反応させて得られる炭化ケイ素繊維
に、酸化物を少なくとも一種含む被覆層を形成させる。
前記炭化ケイ素繊維を、窒素を成分として含む雰囲気中
で、800〜2000℃で加熱処理し、更に加熱処理済
みの炭化ケイ素繊維に酸化物を少なくとも一種含む被覆
層を形成させる。前記酸化物が酸化ケイ素である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、高温下において耐酸化
性に優れた炭化ケイ素繊維の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】特開平6―192917号公報には、簡
便な方法で強度の高い炭化ケイ素繊維を製造する方法と
して、多孔質炭素繊維と一酸化ケイ素(SiO)ガスを、
800〜2000℃で反応させる方法が開示されてい
る。特開平7−97281号公報には、比表面積が10
0〜3000m2/gのシート状又は三次元構造体多孔
質炭素材料に、一酸化ケイ素ガスを800〜2000℃
の温度で反応させることにより、炭化ケイ素材料を得る
方法及び前記温度で反応させた後、更に800〜200
0℃の温度で、酸素を含有するガス雰囲気中で加熱処理
する炭化ケイ素材料の製造方法が開示されている。
【0003】又、特開平7―27719号公報には、比
表面積が100〜2500m2/gの多孔質炭素繊維、
多孔質炭素繊維シート或いは多孔質炭素の三次元構造体
からなる多孔質炭素材料と、一酸化ケイ素ガスとを、8
00〜2000℃の温度で反応させ、炭化ケイ素材料を
生成させ、更にその炭化ケイ素材料を800〜2000
℃の温度で、実質的に酸素を含まない、窒素を含むガス
雰囲気中で加熱処理を行うことで強度の高い炭化ケイ素
材料を得る方法が開示されている。これらの方法では、
いずれも簡便な方法で強度の高い炭化ケイ素繊維を製造
することが可能であるが、酸素を含む雰囲気、とりわけ
大気中でこれらの繊維を高い温度下に加熱すると、炭化
ケイ素繊維が酸化されてしまい、強度や弾性率が低下す
るという問題を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、簡便な方法で、酸素を含む雰囲気中の高温
下において耐酸化性に優れた炭化ケイ素繊維を製造する
方法について、特に強度を付与する観点から鋭意検討し
た結果、比表面積の大きい繊維状活性炭を、減圧下で一
酸化ケイ素ガスと反応させて得られる炭化ケイ素繊維或
いは該炭化ケイ素繊維を窒素を成分として含む雰囲気中
で加熱処理したものに、更に酸化物を一成分として含む
被覆層を形成させることで、高温下の耐酸化性を著しく
向上させることが可能であることを見い出し、本発明を
完成させるに至った。本発明の目的は、高温下における
耐酸化性の優れた炭化ケイ素繊維の製造方法を提供する
ことにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、比表面
積が100〜2500m2/gの繊維状活性炭を、減圧
下で一酸化ケイ素ガスと温度800〜2000℃で反応
させて得られる炭化ケイ素繊維に、酸化物を少なくとも
一種含む被覆層を形成させることを特徴とする炭化ケイ
素繊維の製造方法である。本発明の第二は、比表面積が
100〜2500m2/gの繊維状活性炭を、減圧下で
一酸化ケイ素ガスと温度800〜2000℃で反応させ
て得られる炭化ケイ素繊維を、窒素を成分として含む雰
囲気中で、800〜2000℃で加熱処理し、更に加熱
処理済みの炭化ケイ素繊維に酸化物を少なくとも一種含
む被覆層を形成させることを特徴とする炭化ケイ素繊維
の製造方法である。本発明の第三は、前記酸化物が酸化
ケイ素であることを特徴とする本発明第一又は第二に記
載の炭化ケイ素繊維の製造方法である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明で用いる繊維状活性炭の比
表面積は100〜2500m2/g、好ましくは500
〜1500m2/gである。比表面積が100m2/g未
満では、一酸化ケイ素との炭化ケイ素化反応が十分に起
こらず、反応後も未反応の炭素が繊維に残るため、酸化
物を含む被覆層を繊維表面に形成しても、十分な高温に
おける耐酸化性が発現しない。比表面積が2500m2
/gを超えると、繊維を原料として炭化して、賦活する
際の活性炭の収率が著しく低くなって不経済であるばか
りでなく、炭化ケイ素繊維の強度が著しく低くなり、酸
化ケイ素を含む被覆層を繊維表面に形成しても十分な強
度が発現しない。本発明で用いる繊維状活性炭は、フェ
ノール樹脂、ポリアクリロニトリル、ピッチ、セルロー
ス等を成分とする繊維を原料として公知の方法で製造さ
れる。即ち、これらの繊維を不活性ガス雰囲気中で80
0〜1200℃に加熱することにより炭化し、更に水蒸
気、炭酸ガス等の賦活ガスを含む雰囲気中で加熱するこ
とにより活性炭化(賦活)する工程を経て製造される。こ
れらの中で、特に好適な原料は、フェノール樹脂、ポリ
アクリロニトリル及びピッチを原料とする繊維状活性炭
である。
【0007】繊維状活性炭の直径は、1〜20μm、好
ましくは5〜15μmである。直径が1μm未満では、
ハンドリング性が悪くなる他に、原料繊維を炭化して、
賦活する際の比表面積の調節が困難となる。又、直径が
20μmを超えると、原料繊維を炭化して、賦活する際
に繊維の断面方向の均一性が保たれなくなり、結果とし
て、炭化ケイ素化反応が均一に行われなくなる。又、前
記繊維状活性炭の長さは1mm以上、好ましくは5mm
以上である。この中には実質的に長さに制限のないフィ
ラメント(連続系)や紡績したものも含まれる。長さが1
mmより短いと繊維としてのハンドリングが不可能にな
り、炭化ケイ素化反応を行わせるために活性炭を反応装
置へ充填する際に充填率が高くなり過ぎ、結果として炭
化ケイ素化が十分に行われないという不具合が生じる。
【0008】本発明において、前記の比表面積を有する
繊維状活性炭を炭化ケイ素化するためには、温度800
〜2000℃で一酸化ケイ素と反応させる。一酸化ケイ
素は、この温度範囲において気体状であるが、気体状の
一酸化ケイ素を発生させる手段としては、固体の一酸化
ケイ素、二酸化ケイ素と炭素の混合物、二酸化ケイ素と
ケイ素の混合物等を10-2〜10Paの減圧下で800
〜2000℃で加熱する方法がある。繊維状活性炭と一
酸化ケイ素を前記の条件下で反応させるには、公知の方
法で用いられる真空炉を用いる。このような真空炉は、
減圧下での加熱が可能なように耐火材、高融点金属、炭
素等で構築された炉で、炭素、高融点金属、金属化合物
等を抵抗発熱体とするものや、誘導加熱方式を採用する
炉である。
【0009】炭化ケイ素化反応を行う際には、繊維状活
性炭と一酸化ケイ素源を炉内の同一の個所に置くことも
差し支えないし、これらを炉内の異なった個所に置き、
異なった加熱条件下に置くことも差し支えない。一酸化
ケイ素源と繊維状活性炭間のの炉内の温度は800〜2
000℃、好ましくは1000〜1700℃に維持され
る。この温度が、800℃未満では、一酸化ケイ素が固
体として炉内に凝固して繊維状活性炭まで到達せず、
又、2000℃を超えると、一酸化ケイ素が分解して反
応が十分に起こらない。一酸化ケイ素と繊維状活性炭と
を反応させる温度は、800〜2000℃である。反応
温度が800℃未満では、炭化ケイ素化反応が十分に行
われず、反応後も未反応の炭素が繊維に残るため、酸化
物を含む被覆層を炭化ケイ素繊維の表面に形成しても、
高温下での十分な耐酸化性が発現しない。又、反応温度
が2000℃を超えると、生成した炭化ケイ素が粒成長
を起こして繊維の強度が著しく低くなり、酸化物を含む
被覆層を繊維表面に形成させても十分な耐酸化性が得ら
れない。
【0010】炭化ケイ素化反応のための炉の昇温速度
は、50〜1500℃/時間が好適で、最高温度での保
持時間は、1分から20時間、好ましくは30分から1
0時間の範囲で適宜選択する。反応は高い温度では速く
進行するため、最高温度を高く設定した場合は、短い保
持時間で反応が完結し、低い温度では長くする必要があ
る。不必要に長い保持時間を設けることは、不経済であ
るばかりではなく、繊維の炭化ケイ素が粒成長を起こし
て炭化ケイ素繊維の強度が低下するため好ましくない。
このようにして製造した炭化ケイ素繊維は、酸化物を少
なくとも一種含む被覆層をその繊維表面に形成させる前
に、必要に応じて窒素を成分として含む雰囲気中で、8
00〜2000℃で加熱処理して繊維の強度を向上させ
ることができる。この窒素を成分として含む雰囲気と
は、窒素、アンモニア等の窒素元素を含む化合物のガス
であり、かつ実質的に酸素を含まない雰囲気である。こ
の窒素元素を含むガスの分圧は0.5〜1.0気圧、好
ましくは0.9〜1.0気圧で、酸素の分圧は0.00
1気圧以下であることが好ましい。窒素元素を含むガス
以外の成分としては、アルゴン、ヘリウム等の不活性ガ
ス、水素等が好適である。
【0011】前記加熱処理時の温度が800℃未満で
は、炭化ケイ素繊維の緻密化が十分に進行せず、結果と
して炭化ケイ素繊維の強度が十分に向上せず、温度が2
000℃を超えて高くなると、炭化ケイ素繊維を構成す
る結晶が粗大に粒成長して、この場合も繊維強度の低下
を招く。前記温度を維持した加熱炉内に炭化ケイ素繊維
を置き、前記の分圧を有する窒素元素を含むガスが他の
キャリヤーガスと一緒に大気圧より少し高い圧力で炉内
を通過させられる。大気圧より少し高い圧力で前記ガス
を炉内に流入させる場合には、炉の容積によってガス流
量は変わるが、炉内のガスが一時間当り、0.1回〜数
十回入れ替わるようにすることが好ましい。内容積が1
3以下の炉であれば、毎分2〜10リットルのガスを
流すことが通常行われる。前記ガス中で加熱処理を行う
場合の処理時間は、処理温度、窒素を含むガスの濃度、
流量、圧力等の条件の組み合わせによって異なり一概に
限定できないが、処理温度に到達後、1分から数十時間
が用いられる。また、加熱炉における昇温速度は特に限
定されないが、50〜1500℃/時間の範囲から選択
して選ばれる。
【0012】本発明の方法では、前記のようにして製造
された炭化ケイ素繊維の表面には酸化物を少なくとも一
種含む被覆層を形成して設ける。本発明の目的に好適な
酸化物としては、酸化リチウム、酸化ベリリウム、酸化
ホウ素、酸化ナトリウム、酸化マグネシウム、酸化アル
ミニウム、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化チタン、
酸化クロム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ハ
フニウム等が挙げられ、これらの中から適宜選択して少
なくとも一種が用いられる。これらの酸化物の中で特に
好適なものは、酸化ホウ素、酸化アルミニウム及び酸化
ケイ素で、これらの一種或いは二種以上が用いられるの
が望ましい。又、これらの酸化物を成分とするムライ
ト、コーディエライト等の化合物を用いることもでき
る。 被覆を施す方法は特に限定されないが、ケイ酸ナ
トリウム、アルミン酸ナトリウム、ホウ酸等の酸化物の
水溶性前駆体を成分として含む水溶液、シリコンテトラ
エトキシド、ボロンブトキシド等のアルコキシドを成分
として含む水溶液、コロイダルシリカのような酸化物の
コロイド溶液等に炭化ケイ素繊維を含浸させる方法、前
記水溶液をスプレー塗布する方法等が好適に用いられ
る。
【0013】ケイ酸ナトリウムを成分として含む水溶液
(水ガラス)に、前記のようにして製造された炭化ケイ素
繊維を含浸させる方法では、通常市販されている水ガラ
スを含浸液として用いることができるが、本発明の目的
のために特に好適なものは、JIS K-1408に記
載される3号ケイ酸ナトリウムで、比重が40ボーメ以
上、酸化ケイ素含有率が28〜30重量%、酸化ナトリ
ウム含有率が9〜10重量%ものである。炭化ケイ素繊
維を水ガラスに含浸させる場合或いは水ガラスを炭化ケ
イ素繊維にスプレー塗布する場合、水ガラスは適宜水で
稀釈して用いることが望ましい。好適な稀釈倍率は、水
ガラス(JIS3号ケイ酸ナトリウム)の場合、10〜
1000倍である。水ガラスの濃度が低すぎると、炭化
ケイ素繊維の表面が十分な酸化物の層で被覆されず、所
望の効果が得られない。又、水ガラスの濃度が高すぎる
と炭化ケイ素繊維の表面に形成される被覆が厚くなり過
ぎ、不均一になるため、加熱時に被覆層に容易にクラッ
クが入る、或いは被覆が剥離する等の問題が生じ、やは
り所望の効果が得られない。
【0014】上記の方法において、必要に応じて水ガラ
スに他の酸化物前駆体を任意に添加することができる。
例えば、ホウ酸、アルミン酸ナトリウム等を水ガラスに
添加した水溶液に繊維を浸漬したり、そのような水溶液
を繊維に塗布することもできる。この場合、酸化物の総
量中に占める酸化ケイ素の割合は、10〜90重量%、
好ましくは20〜80重量%であることが望ましい。こ
の酸化物の前駆体水溶液を炭化ケイ素繊維に含有させる
方法としては、前記したように、そのような水溶液に炭
化ケイ素繊維を浸漬したり、水溶液を繊維に塗布する
が、特に含浸させる場合、繊維に含有された液の量が多
過ぎる時には、浸漬後自然滴下、吸引濾過、遠心脱水等
の方法で余剰の液を取り除くことが望ましい。このよう
な浸漬或いは塗布は一回の処理でもよいが、必要に応じ
て複数回繰り返し、その間に乾燥工程を設けて処理を行
ってもよい。
【0015】コロイダルシリカのような酸化物のコロイ
ド溶液を用いて炭化ケイ素繊維を処理する場合も、水溶
性の酸化物の前駆体の水溶液を用いる場合と同様にして
処理を行うことができる。酸化物の前駆体としてアルコ
キシドを含む溶液を用いて炭化ケイ素繊維を処理する場
合には、シリコンテトラエトキシド、シリコンテトラメ
トキシド、アルミニウムイソプロポキシド、チタンイソ
プロポキシド、マグネシウムエトキシド、ボロントリブ
トキシド等のアルコキシドを含む溶液が水ガラスの場合
と同様にして用いられる。これらのアルコキシドの内、
シリコンテトラエトキシドのように液体のものは、その
ままで、或いは溶媒で稀釈して用いることができるが、
アルミニウムイソプロポキシドのように固体のものは、
溶媒に溶解して用いる。溶媒としては、メタノール、エ
タノール、イソプロパノール等のアルコール類が適して
いるが、他の適当な溶媒を用いてもよい。
【0016】又、これらのアルコキシドの溶液を予備縮
重合させておき、被覆層の形成を促進させることもでき
る。この場合、アルコキシドと溶媒に水を添加し、更に
必要に応じて酸やアルカリの触媒を添加し、所定温度で
所定時間反応させたものを用いる。アルコキシドの溶媒
に対する割合は、アルコキシド:溶媒が10〜150:
100である。このアルコキシドの溶液重量当り、10
〜50重量%の水を添加し、必要に応じて更に0.1〜
5重量%の触媒が添加される。好適な触媒は、塩酸、硝
酸等の酸、水酸化アルカリ、アミン等のアルカリ類であ
る。この溶液を炭化ケイ素繊維へ含有させる方法は、前
記の水溶性前駆体の場合と同様にして行うことができ
る。
【0017】以上のようにして酸化物を含有させた炭化
ケイ素繊維は、15〜30℃の室温、続いて70〜12
0℃の範囲に上げた状態で乾燥し、次いで300〜10
00℃で加熱処理を施すことで被覆層の耐久性を向上さ
せる。アルコキシドを酸化物の前駆体として用いる場
合、乾燥工程を設けずにいきなり加熱処理を施す方が好
ましい結果を生む場合もある。このような被覆処理にお
いて、含浸する酸化物前駆体もしくはその溶液に、必要
に応じて骨材として、酸化マグネシウム、酸化アルミニ
ウム、酸化ケイ素、酸化カルシウム、酸化チタン、酸化
クロム、酸化ジルコニウム、酸化ハフニウム、ムライ
ト、コーディエライト、グラファイト、炭化ケイ素、窒
化ケイ素等の粉末を添加することもできる。この場合、
骨材の添加量は被覆された酸化物重量当り10〜100
重量%が好適である。
【0018】以上に述べたようにして炭化ケイ素繊維の
表面に形成する酸化物の被覆層の量は、被覆前の繊維重
量当り1〜20重量%の範囲から適宜選択する。被覆層
は、用いる酸化物の種類によって密度が異なるので、被
覆層の厚みが0.1〜2.5μm、好ましくは0.5〜
2.2μmの範囲となるように調整される。被覆量が少
ないと炭化ケイ素繊維の十分な耐酸化性が得られず、又
多過ぎると高温下で被覆層にクラックが入り易くなり、
やはり十分な耐酸化性が得られない。本発明では、繊維
状活性炭を一酸化ケイ素ガスと反応させて得られた炭化
ケイ素繊維、及び更にこの繊維を加熱処理した炭化ケイ
素繊維に酸化物を少なくとも一種含む被覆層を形成させ
て炭化ケイ素繊維表面を補強することにより酸素雰囲気
の高温下における炭化ケイ素繊維の強度を劣化を防ぐこ
とができるが、繊維状活性炭を用いてフェルト、シー
ト、織物等の二次元構造体としたもの或いは前記の繊維
状活性炭を用いてコルゲート加工したもの、ハニカム等
のように三次元構造体としたものと、一酸化ケイ素ガス
とを反応させて生成される炭化ケイ素繊維からなる二次
元構造体或いは三次元構造体を、炭化ケイ素繊維の場合
と同様にして酸化物を少なくとも一種含む液で処理して
被覆層を形成させ、それによって酸素雰囲気の高温度下
における耐酸化性を顕著に改善できることはいうまでも
ない。
【0019】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明
するが、勿論本発明はこれらによって限定されるもので
はない。なお、実施例及び比較例における%は重量%を
示す。
【0020】実施例1 比表面積が1000m2/gのトウ(束)状フェノール系
活性炭繊維(クラレケミカル社製、商品名:クラクティ
ブFR―10、直径10μm、長さ50mm)1gを、
塊状一酸化ケイ素(和光純薬工業社製、試薬)5gとと
もに黒鉛製の蓋付き容器に入れた。この容器を内径80
mmのアルミナ製炉心管を備えた管状炉に入れ、油回転
式真空ポンプで100リットル/分の排気速度で排気し
ながら、室温から1300℃まで4時間で昇温し、その
温度を2時間保持し、次いで6時間かけて室温まで冷却
し、炭化ケイ素化した。次に、JIS3号ケイ酸ソーダ
(トクヤマ社製)を100倍に希釈した溶液に、得られ
た炭化ケイ素化繊維を25℃で5分間浸漬した後、これ
を取り出して、ろ紙の上に広げて過剰の溶液を吸い取ら
せた。この繊維を25℃で24時間放置して乾燥させた
後、105℃熱風循環式の乾燥器に1時間入れ乾燥さ
せ、続いて500℃の電気炉内で10時間乾燥させた。
乾燥後の繊維に対して蛍光X線分析を行った結果、この
繊維の被覆層に含まれる酸化ケイ素(Si02)の量
は、処理前の繊維重量当り3%であることが判明した。
【0021】この繊維の断面を走査型電子顕微鏡で観察
した結果、直径10μmの繊維の表面に厚さ1μmの被
覆層が形成されていた。得られた被覆処理済みの炭化ケ
イ素繊維を以下の試験法によりそのままの引張強度及び
酸化雰囲気の高い温度下に長時間曝し、耐熱試験した後
の引張強度を測定した。この繊維の引張強度はそのまま
の状態で120kg/mm2で、この繊維を空気中11
00℃で50時間加熱した後の引張強度は100kg/
mm2であった。 試験法 (1)繊維の引張強度 材料試験機(東洋ボールドウィン社製、テンシロン)を
用いて、JIS R−7601の方法に準じて行った。 (2)耐熱試験 試料をアルミナ製のボートに入れ、電気炉において大気
中で1100℃に加熱し、その温度を50時間保持した
後、冷却し、(1)により引張試験を行った。更に、引
張り強度の減少率を式(1)から求めた 引張り強度の減少率(%)={(A―B)/A}×100・・・(1) 但し、A=高温度で処理する前の炭化ケイ素繊維の引張
り強度 B=大気中で1100℃、50時間処理後の炭化ケイ素
繊維の引張強度
【0022】実施例2 実施例1と同様にして炭化ケイ素化した繊維を、黒鉛製
の容器に入れて、内径100mmの管状グラファイト炉
内に置き、窒素ガスを2リットル/分で流しながら16
00℃まで2時間で昇温し、その温度で1時間保持した
後冷却し、炭化ケイ素繊維を得た。この繊維を実施例1
と同様にしてケイ酸ソーダ溶液による被覆処理を行っ
た。得られた被覆処理済みの炭化ケイ素繊維を前記の試
験法によりそのままの引張り強度及び酸化雰囲気の高い
温度下に長時間曝し、耐熱試験した後の引張強度を測定
した。この繊維の引張強度はそのままの状態で140k
g/mm2で、この繊維を空気中1100℃で50時間
加熱した後の引張強度は120kg/mm2であった。
【0023】実施例3 シリコンテトラエトキシド(和光純薬工業社製、試薬9
5%)をエタノールと混合し、更に蒸留水と塩酸(和光
純薬工業社製、試薬35%)とを加えて混合液50ml
を作成した。混合割合は、重量比でシリコンテトラエト
キシド:エタノール:蒸留水:塩酸が25:38:2
4:0.3であった。この混合液に、実施例1と同様に
して炭化ケイ素化した繊維を5分間浸漬した後、これを
取り出して、ろ紙の上に広げて過剰の溶液を吸い取らせ
た。この繊維を25℃で1時間乾燥させた後、更に電気
炉において500℃で1時間乾燥させた。乾燥後の繊維
に対して蛍光X線分析を行った結果、この繊維の被覆層
に含まれる酸化ケイ素(SiO2)の量は、処理前の繊
維重量当り5%であることが判明した。この繊維の断面
を走査型電子顕微鏡で観察した結果、直径10μmの繊
維の表面に厚さ1μmの被覆層が形成されていた。得ら
れた被覆処理済みの炭化ケイ素繊維を前記の試験法によ
りそのままの引張強度及び酸化雰囲気の高い温度下に長
時間曝し、耐熱試験した後の引張強度を測定した。この
繊維の引張強度はそのままの状態で120kg/mm2
で、この繊維を空気中1100℃で50時間加熱した後
の引張強度は100kg/mm2であった。
【0024】実施例4 コロイダルシリカ溶液(商品名:スノーテックス-S、
日産化学工業社製)を水で1対1に稀釈したものに、実
施例1と同様にして得られた炭化ケイ素化した繊維を5
分間浸漬した後これを取り出して、ろ紙の上に広げて過
剰の溶液を吸い取らせた。この繊維を25℃で24時間
乾燥させた後、更に電気炉において500℃で1時間乾
燥させた。乾燥後の繊維に対して蛍光X線分析を行った
結果、この繊維の被覆層に含まれる酸化ケイ素(SiO
2)の量は、処理前の繊維重量当り5%であることが判
明した。この繊維の断面を走査型電子顕微鏡で観察した
結果、直径10μm繊維の表面に厚さ2μmの被覆が形
成されていた。得られた被覆処理済みの炭化ケイ素繊維
を前記の試験法によりそのままの引張強度及び酸化雰囲
気の高い温度下に長時間曝し、耐熱試験した後の引張強
度を測定した。この繊維の引張強度はそのままの状態で
120kg/mm2で、この繊維を空気中1100℃で
50時間加熱した後の引張強度は90kg/mm2であ
った。
【0025】実施例5 シリコンテトラエトキシド(和光純薬工業社製、試薬9
5%)とボロントリブトキシドをエタノールで稀釈し、
更に蒸留水と塩酸(和光純薬工業社製、試薬95%)と
を加えて混合液50mlを作成した。混合割合は、重量
比でシリコンテトラエトキシド:ボロントリブトキシ
ド:エタノール:蒸留水:塩酸が10:10:50:2
3:0.3であった。この混合液に、実施例1と同様に
して炭化ケイ素化した繊維を5分間浸漬した後、これを
取り出して、ろ紙の上に広げて過剰の溶液を吸い取らせ
た。この繊維を25℃で1時間乾燥させた後、更に電気
炉において500℃で1時間乾燥させた。乾燥後の繊維
に対して蛍光X線分析を行った結果、この繊維の被覆層
に含まれる酸化ケイ素(SiO2)の量は、処理前の繊
維重量当り4%であることが判明した。又、この測定結
果と処理前後の重量変化から、この繊維の被覆層に含ま
れる酸化ホウ素(B23)の量は、処理前の繊維重量当
り1%であることが判明した。この繊維の断面を走査型
電子顕微鏡で観察した結果、直径10μmの繊維の表面
に厚さ1μmの被覆層が形成されていた。得られた被覆
処理済みの炭化ケイ素繊維を前記の試験法によりそのま
まの引張強度及び酸化雰囲気の高い温度下に長時間曝
し、耐熱試験した後の引張強度を測定した。この繊維の
引張強度はそのままの状態で120kg/mm2で、こ
の繊維を空気中1100℃で50時間加熱した後の引張
強度は120kg/mm2であった。
【0026】比較例1 実施例1において作製した炭化ケイ素化した繊維を、金
属酸化物で被覆することなく、空気中1100℃で50
時間加熱した後、引張強度を測定した。引張強度は60
kg/mm2であった。
【0027】比較例2 JIS3号ケイ酸ソーダ(トクヤマ社製)を水で9倍に
希釈した溶液に、実施例1と同様にして作製した炭化ケ
イ素化繊維を室温で5分間浸漬した後、これを取り出し
て、ろ紙の上に広げて過剰の溶液を吸い取らせた。この
繊維を25℃で24時間乾燥させた後、熱風循環式のオ
ーブンにおいて105℃で1時間乾燥させ、更に500
℃で10時間乾燥させた。乾燥後の繊維に対して蛍光X
線分析を行った結果、この繊維の被覆層に含まれる酸化
ケイ素(SiO2)の量は、処理前の繊維重量当り20
%であることが判明した。この繊維の断面を走査型電子
顕微鏡で観察した結果、直径10μm繊維の表面に厚さ
5μmの被覆が形成されていた。得られた被覆処理済み
の炭化ケイ素繊維を前記の試験法によりそのままの引張
強度及び酸化雰囲気の高い温度下に長時間曝し、耐熱試
験した後の引張強度を測定した。この繊維の引張強度は
そのままの状態で120kg/mm2で、この繊維を空
気中1100℃で50時間加熱した後の引張強度は60
kg/mm2であった。
【0028】実施例及び比較例で得られた結果を表1に
示した。
【0029】
【表1】
【0030】表1から明らかなように、本発明の方法の
酸化物を成分とする被覆をほどこされた炭化ケイ素繊維
は、空気中1100℃で50時間加熱するという高い温
度下に曝されても強度の低下が無いか、もしくは極めて
少ない強度の低下(実施例4、25%)があるのみで優
れた耐熱性を有するようになる(実施例1〜5)。一
方、酸化物を成分とする被覆を全く行わない炭化ケイ素
繊維は、同様の高い温度下に曝して加熱を行った場合、
その強度が著しく低下し(比較例1、50%)、又大量
の被覆層を形成させた場合も、高い温度下に曝すと強度
が著しく低下した(比較例2、50%)。
【0031】
【発明の効果】本発明は、炭化ケイ素繊維の酸素雰囲気
での高い温度下における耐熱性を著しく向上させること
ができる炭化珪素繊維の製造方法を提供するという効果
を奏する。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比表面積が100〜2500m2/gの
    繊維状活性炭を、減圧下で一酸化ケイ素ガスと温度80
    0〜2000℃で反応させて得られる炭化ケイ素繊維
    に、酸化物を少なくとも一種含む被覆層を形成させるこ
    とを特徴とする炭化ケイ素繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 比表面積が100〜2500m2/gの
    繊維状活性炭を、減圧下で一酸化ケイ素ガスと温度80
    0〜2000℃で反応させて得られる炭化ケイ素繊維
    を、窒素を成分として含む雰囲気中で、800〜200
    0℃で加熱処理し、更に加熱処理済みの炭化ケイ素繊維
    に酸化物を少なくとも一種含む被覆層を形成させること
    を特徴とする炭化ケイ素繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記酸化物が酸化ケイ素であることを特
    徴とする特許請求の範囲第一項又は第二項記載の炭化ケ
    イ素繊維の製造方法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6316051B2 (en) 1997-12-26 2001-11-13 Oji Paper Co., Ltd. Process for producing silicon carbide fiber
EP1172468A4 (en) * 1999-11-24 2002-11-27 Ube Industries ORGANIC SILICONE POLYMER, INORGANIC FIBER MADE OF SILICON CARBIDE AND METHOD FOR THE PRODUCTION THEREOF
CN105256407A (zh) * 2015-11-03 2016-01-20 西北工业大学 基于同轴静电纺丝工艺的“核-壳”结构的碳-碳化硅复合纳米纤维及制备方法

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CN105256407A (zh) * 2015-11-03 2016-01-20 西北工业大学 基于同轴静电纺丝工艺的“核-壳”结构的碳-碳化硅复合纳米纤维及制备方法
CN105256407B (zh) * 2015-11-03 2017-08-08 西北工业大学 基于同轴静电纺丝工艺的“核‑壳”结构的碳‑碳化硅复合纳米纤维及制备方法

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