JPH09118566A - 炭化珪素繊維構造体の製造方法 - Google Patents

炭化珪素繊維構造体の製造方法

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JPH09118566A
JPH09118566A JP7277812A JP27781295A JPH09118566A JP H09118566 A JPH09118566 A JP H09118566A JP 7277812 A JP7277812 A JP 7277812A JP 27781295 A JP27781295 A JP 27781295A JP H09118566 A JPH09118566 A JP H09118566A
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dimensional
silicon
activated carbon
temperature
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JP7277812A
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English (en)
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Keihachirou Nakajima
慶八郎 中嶋
Kaoru Okada
薫 岡田
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Oji Paper Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二次元もしくは三次元からなる炭化珪素繊維
構造体の強度を顕著に向上させる製造方法の提供。 【解決手段】 比表面積が100〜2500m2/gの
繊維状活性炭からなる二次元もしくは三次元構造体を作
製し、次いで該構造体を構成する繊維状活性炭と、一酸
化珪素ガスとを温度800℃〜2000℃で反応させ、
得られる炭化珪素繊維からなる二次元もしくは三次元の
構造体に、有機珪素化合物を含有させた後、乾燥し、続
いて102Pa以下の真空中もしくは実質的に酸素を含
まないガス雰囲気中で温度800〜2000℃に加熱す
る。炭化珪素繊維からなる二次元もしくは三次元の構造
体は、炭化珪素化後、実質的に酸素を含まない雰囲気或
いはガス雰囲気中で800〜2000℃で加熱処理す
る。繊維状活性炭に、金属酸化物を担持させる。有機珪
素化合物がポリカルボラン、ポリチタノカルボシラン、
ポリシランから少なくとも一種選ばれる。有機珪素化合
物と炭化珪素の粉末とを一緒に用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、複合材料の強化繊
維、断熱材、フィルター材料等として好適な、優れた強
度を有する炭化珪素繊維構造体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】炭化珪素質の繊維の製造方法としては、
ポリカルボシランを溶融紡糸した後、これを酸素を含む
雰囲気で不融化し、さらにこの繊維を不活性雰囲気中で
1200乃至1500℃で焼成することからなる繊維を
得る方法が特公昭59−33681号公報に開示されて
いる。この方法で製造された炭化珪素繊維は、優れた強
度を示すが、繊維が剛直であるため繊維の絡み合いによ
るフェルト化が難しく、また、自己結合性が無いため、
バインダーを用いることなくしては、公知の抄紙法によ
るシート化が困難である。また、同様の理由により簡便
な方法で三次元の構造体を形成することも困難である。
したがって、この方法で製造された炭化珪素繊維から二
次元もしくは三次元の構造体を製造するためには、布に
織るか、プリプレグ化して積層するか、或いはフィラメ
ントワインディングのような高度な加工法を用いる必要
があり、生産性を高めて炭化珪素繊維構造体を製造する
ことが困難であった。
【0003】特開平6−192917号公報には、微細
孔を繊維内部に含む比表面積が100〜2500m2
gで繊維径が5〜100μmの多孔質炭素繊維と一酸化
珪素ガスとを800〜2000℃で反応させるという炭
化珪素繊維の製造方法が開示されている。また、特開平
7ー18520号公報には、比表面積が100〜250
0m2/gの多孔質炭素繊維と、一酸化珪素ガスとを、
800〜2000℃で反応させ炭化珪素繊維を生成させ
た後、前記炭化珪素繊維を、さらに800〜2000℃
で酸化性ガスを含むガス雰囲気中で熱処理を行うという
炭化珪素繊維の製造法が開示されている。
【0004】さらに、特開平7ー97281号公報に
は、比表面積が100〜3000m2/gのシート状又
は三次元構造体多孔質炭素材料に、一酸化珪素ガスを8
00〜2000℃の温度で反応させるという炭化珪素材
料の製造方法が開示されている。これらは、いずれも繊
維状、シート状又は三次元構造体の炭化珪素材料を容易
に製造することを目的としたもので、炭化珪素繊維の強
度を向上させるため反応条件や熟成のような後処理に工
夫を凝らしている。しかしながら、この方法で得られる
炭化珪素構造体においては、炭化珪素繊維同士は結合し
ていないため、構造体には一体性がなく剛性に乏しい。
このように、炭化珪素化のための反応条件や熟成のよう
な後処理に工夫を凝らしても、構造体への強度付与の改
善には限度があり、構造体が応力を受けるような用途に
対しては実用上まだ不十分な強度を有するものしか得ら
れないのが現状である。
【0005】一方、特開昭57−34080号公報に
は、炭素又は黒鉛材料、炭素繊維強化炭素材料、黒鉛繊
維強化黒鉛材料並びに炭素繊維、黒鉛繊維、炭化珪素繊
維又は耐熱セラミック繊維より構成されたストランド、
トウ、フェルト、マット又は編織物の内から選ばれたフ
ィラー材料に炭素と珪素を主な骨格成分とする有機珪素
高分子化合物を含浸した後、酸化性雰囲気で100〜3
00℃に加熱処理して、有機珪素高分子化合物を不融化
し、次いで不活性雰囲気で、必要により加圧下で800
〜1800℃に熱処理して焼結することからなる焼結体
の製造方法が開示されている。しかしながら、この方法
では、強度の高い焼結体を得ることはできるが、前述の
ように繊維素材として硬くて、加工の難しい炭化珪素繊
維を使うために、生産性良く二次元或いは三次元の構造
体を得ることが難しいという問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明者等は、かかる
現状に鑑み、炭化珪素材料からなる二次元もしくは三次
元構造体の強度を改善する方法について鋭意検討した結
果、比表面積の大きい、加工性の優れた繊維状の活性炭
からなる炭素材料を用いて予め二次元もしくは三次元炭
素材料からなる構造体を作製しておいて、次いでこの構
造体を構成する炭素材料と一酸化珪素ガスと反応させ、
炭化珪素化された二次元もしくは三次元構造体とし、こ
の構造体に、さらに炭化珪素を生成する有機珪素化合物
を含有させた後乾燥し、続いて加熱して反応させ、前記
構造体を構成している炭化珪素材料の表面に、新たに炭
化珪素を生成させると、炭化珪素繊維の表面と、構造体
における炭化珪素繊維同士の結合点を補強でき、ひいて
は二次元もしくは三次元構造体の強度、とりわけ圧縮強
度を顕著に向上させることを見出し本発明を完成するに
至った。本発明の目的は、二次元もしくは三次元からな
る炭化珪素繊維構造体の強度を顕著に向上させることが
できる製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の第一は、比表面
積が100〜2500m2/gの繊維状活性炭からなる
二次元もしくは三次元構造体を作製し、次いで該構造体
を構成する繊維状活性炭と、一酸化珪素ガスとを温度8
00〜2000℃で反応させ、得られる炭化珪素繊維か
らなる二次元もしくは三次元の構造体に、有機珪素化合
物を含有させた後、乾燥し、続いて102Pa以下の真
空中もしくは実質的に酸素を含まないガス雰囲気中で温
度800〜2000℃で加熱することを特徴とする炭化
珪素繊維構造体の製造方法である。本発明の第二は、炭
化珪素繊維からなる二次元もしくは三次元構造体が、炭
化珪素化後、実質的に酸素を含まない雰囲気或いはガス
雰囲気中で、800〜2000℃で加熱処理してなるこ
とを特徴とする本発明第一に記載の炭化珪素繊維構造体
の製造方法である。本発明の第三は、繊維状活性炭が金
属酸化物を担持することを特徴とする本発明第一又は第
二記載の炭化珪素繊維構造体の製造方法である。本発明
の第四は、有機珪素化合物が、ポリカルボシラン、ポリ
チタノカルボシラン、ポリシランから選ばれた少なくと
も一種であることを特徴とする本発明第一乃至第三に記
載の炭化珪素繊維構造体の製造方法である。本発明の第
五は、有機珪素化合物に炭化珪素の粉末を添加すること
を特徴とする本発明第一乃至第四に記載の炭化珪素繊維
構造体の製造方法である。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明で用いる繊維状活性炭は、
比表面積が100〜2500m2/g、好ましくは50
0〜1500m2/gである。比表面積が100未満で
は、一酸化珪素との炭化珪素化反応が十分起こらず、繊
維表面が炭化珪素で被覆されるだけであり、繊維内部ま
で完全に炭化珪素化されないので適さない。比表面積が
2500m2/gを越えると、炭素繊維を賦活して活性
炭とする時活性炭の収率が著しく低くなって不経済であ
るばかりではなく、炭化珪素化繊維の強度が著しく弱く
なり、ハンドリング性が著しく悪くなる。
【0009】本発明で用いる繊維状活性炭は、その原料
となる物質の種類に特に制限はなく、フェノール樹脂、
ポリアクリロニトリル、石油ピッチ、セルロース等を原
料として公知の方法で製造されるが、フェノール樹脂と
ポリアクリロニトリルを原料としたものが好適である。
本発明で用いる二次元構造体には、前記の繊維状活性炭
を湿式或いは乾式法によりフェルト、シート、織物等に
加工したものを含み、三次元構造体には繊維状活性炭、
或いは前記二次元構造体を用いて立体的な構成物に加工
したものを含む。これらの構造体は、繊維状活性炭の原
料となる高分子繊維を二次元もしくは三次元の構造体に
加工したものを炭化、賦活して、活性炭としたものでも
よい。
【0010】本発明において、繊維状活性炭からなる二
次元もしくは三次元構造体を炭化珪素化するために、温
度800〜2000℃で繊維状活性炭と一酸化珪素とを
反応させる。一酸化珪素は、この温度範囲において気体
状(ガス)であるが、ガス状の一酸化珪素を発生させる
手段としては、一酸化珪素や二酸化珪素の塊又は粉末、
或いは珪素と一酸化珪素又は珪素と二酸化珪素の微粒子
をよく混合したものを、10 -6〜10Pa(パスカル)
に減圧するか、もしくはヘリウム、アルゴン等の不活性
ガス雰囲気中で500〜2000℃に加熱する方法があ
る。一酸化珪素と繊維状活性炭を反応させるには、内加
熱式、外加熱式、又は誘導加熱式で、減圧下もしくは常
圧下のガス気流中で焼成が可能な加熱炉を使用すること
ができる。炉材は、アルミナ、ムライト、炭素、モリブ
デン、タングステン等の中から選ばれて用いられる。
【0011】一酸化珪素ガスの供給源から発生した一酸
化珪素ガスは、800〜2000℃、好ましくは110
0〜1500℃を保ちながら、繊維状活性炭からなる二
次元もしくは三次元構造体が載置されている炉内に導か
れ、炭化珪素化反応が行われる。一酸化珪素ガスの温度
が800℃より低くなると、一酸化珪素が固体として炉
内に凝固して繊維状活性炭にまで到達せず、一酸化珪素
ガスの温度が2000℃より高いと一酸化珪素が分解す
るので所望の結果が得られない。一酸化珪素を発生する
物質の重量は、繊維状活性炭の重量に対して、1.5〜
30倍量、好ましくは2〜10倍量である。一酸化珪素
ガスと繊維状活性炭とを反応させる温度が800℃より
低いと、繊維状活性炭と一酸化珪素との反応が不十分で
繊維の内部まで十分に炭化珪素化されず、所望の性質を
備えた製品が得られない。又、温度が2000℃を越え
て高くなると、生成した炭化珪素が粒成長して繊維強度
が著しく低下するため適さない。
【0012】加熱炉における昇温速度は、50〜150
0℃/時間が好適である。炭化珪素化における最高温度
での保持時間は1分〜20時間、好ましくは30分〜1
0時間の範囲で適宜選択して行われる。保持時間が、1
分未満の様に短いと反応が不十分となり、繊維状活性炭
の内部まで十分に炭化珪素化されず、保持時間が20時
間を越えて長いと、反応温度が高過ぎた場合と同様に、
生成した炭化珪素が粒成長して、繊維の強度、ひいては
構造体の強度が低下するので適さない。このようにして
製造した炭化珪素繊維からなる構造体に、必要に応じて
実質的に酸素を含まない雰囲気或いはガス雰囲気中で加
熱処理を施すと、強度の向上が得られる。実質的に酸素
を含まない雰囲気或いはガス雰囲気とは、102Pa 以
下の減圧、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガス雰囲気及
び窒素ガス雰囲気から選ばれた、酸素の含有量が0.1
容量%以下の雰囲気のことをいう。前記ガス雰囲気にて
加熱処理を行う場合、所定温度に加温した炉内に炭化珪
素繊維からなる構造体を置き、前記ガスを炉内に流す。
この際のガスの流量は、外気が逆流しないような流量を
維持することが必要である。この加熱処理により炭化珪
素の焼結が進行し、炭化珪素繊維の強度が向上するた
め、炭化珪素繊維からなる構造体の強度も向上する。
【0013】又、前記の炭化珪素化反応を行う前の繊維
状活性炭には、必要に応じて金属酸化物を含有させ、次
いで炭化珪素化反応を行わせてもよい。金属酸化物を含
有させると、炭化珪素化の間に炭化珪素と金属酸化物と
の間である種の結合が生じ、この結合により炭化珪素繊
維の強度がより向上する。金属酸化物としては、硼素、
アルミニウム、珪素、チタン、イットリウム、マグネシ
ウム、カルシウム等の酸化物を挙げることができ、この
中から選ばれて少なくとも一種が用いられる。これらの
金属の酸化物の中で、特に強度向上に顕著な効果を示す
チタンの酸化物が好適に用いられる。金属酸化物を坦持
させる方法としては、例えばこれらの金属のハロゲン化
物、アルコキシド等で蒸気圧を有し、かつ容易に酸化物
に転換し得る化合物の蒸気を繊維状活性炭に吸着させた
後に、該化合物を酸化物に変える方法、或いは酸化物に
転換し得る金属化合物の水又は有機溶媒溶液に繊維状活
性炭を浸漬した後、取り出し、次いで過剰の溶液を取り
除いた後に金属化合物を酸化物に転換させる方法が挙げ
られる。
【0014】本発明では、以上に述べた方法で製造した
炭化珪素繊維からなる二次元或いは三次元構造体に、さ
らに有機珪素化合物を含有させた後、実質的に酸素を含
有しない雰囲気或いはガス雰囲気中で温度800〜20
00℃で加熱する。有機珪素化合物としては、ポリカル
ボシラン、ポリカルボシラスチレン、ポリチタノカルボ
シラン、ポリシラン等を挙げることができ、これらの中
から適宜選択して少なくとも一種が用いられる。これら
の有機珪素化合物を炭化珪素繊維からなる構造体に含有
させるには、これらの化合物を適当な溶媒、例えば、ヘ
キサン、トルエン、ベンゼン、テトラヒドロフラン等に
溶解し、その溶解液に前記構造体を浸漬した後、取り出
して、余分の溶液を除去して化合物の含有量を調整する
方法が好適である。この場合、有機珪素化合物溶液の濃
度としては、1〜50重量%、好ましくは5〜30重量
%である。有機珪素化合物の濃度が1重量%未満では、
加熱焼成後に、構造体に用いられている炭化珪素繊維を
結合するだけの炭化珪素の量が不足し、炭化繊維構造体
の強度の向上が十分得られない。又、濃度が50重量%
をこえて高くなると構造体への含浸が不均一になり、ひ
いては製品の品質のばらつきの原因となるので好ましく
ない。
【0015】炭化珪素繊維の構造体への有機珪素化合物
の含有量は、全重量当り5〜60重量%である。含有量
が5重量%未満では、前記焼成構造体に十分な強度が付
与できず、含有量が60重量%を越えて多いと、加熱焼
成時に有機珪素化合物に由来する炭化珪素が過度に収縮
し、構造体にひび割れが著しく発生し、補強効果が得ら
れない。構造体を多量の炭化珪素で補強したい場合は、
一度に多量の有機珪素化合物を含有させて加熱焼成する
よりも、有機珪素化合物からの炭化珪素を構造体に少し
づつ含有させて加熱焼成する工程を複数回繰り返すこと
により、より強度の高い二次元或いは三次元構造体の炭
化珪素繊維構造体を得ることができる。有機珪素化合物
を含有させる際に、補強効果を高める意味で骨材を添加
することもできる。即ち、骨材として炭化珪素、窒化珪
素、炭化チタン、アルミナ、ジルコニア、カルシア、グ
ラファイト等の微細粉末から選ばれた一種以上を前記有
機珪素化合物の溶液に添加して懸濁液とし、この懸濁液
に炭化珪素構造体を含浸することで骨材を構造体に含有
させることができる。この際に必要に応じて、通常用い
られる界面活性剤や分散剤を添加して用いてもよい。
【0016】以上のようにして有機珪素化合物を含浸に
より含有させた炭化珪素繊維構造体は、必要に応じて乾
燥により溶媒を除去する。ここで用いられる乾燥は、公
知のの加熱乾燥、減圧乾燥等の方法を用いることができ
る。加熱乾燥を行う場合、乾燥温度を高くし過ぎて品質
に影響を及ぼさないような温度で行うことが望ましい。
乾燥は、炭化珪素繊維からなる構造体に有機珪素化合物
を含浸により含有させた後、構造体は、酸素を含む雰囲
気中、好ましくは空気中で100〜300℃の温度で加
熱処理して行うと、これに続く炭化珪素化後における補
強効果を増大させることができる。その後、乾燥された
有機珪素化合物を含有する炭化珪素繊維構造体は、10
2Pa以下の真空中もしくは実質的に酸素を含まないガ
ス雰囲気中で温度800〜2000℃で加熱して、有機
珪素化合物を炭化珪素に転換する。ここで、実質的に酸
素を含まないガス雰囲気とは、窒素、アルゴン、ヘリウ
ム、一酸化炭素、水素等の本質的に酸素を含まないガス
の中から選ばれた少なくとも一種の気流中のことをい
う。
【0017】この加熱処理をバッチ式で行う場合には加
熱炉の昇温速度は、10〜500℃/1時間、好ましく
は50〜200℃/1時間であり、最高温度での保持は
必ずしも必要ではないが、10分〜10時間の範囲の最
高温度保持間を設けてもよい。以上説明したようにし
て、炭化珪素繊維からなる二次元或いは三次元構造体の
強度、とりわけ圧縮強度が顕著に向上させることができ
る。この強度の発現は、有機珪素化合物が構造体の中に
浸透し、そこで炭化珪素に転換されることで炭化珪素繊
維自体と構造体の結合部が炭化珪素により被覆されるこ
とによるものである。本発明によれば強度の高い炭化珪
素繊維からなる二次元或いは三次元の構造体を生産性よ
く製造することが可能である。
【0018】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に
説明するが、勿論本発明はこれらによって限定されるも
のではない。
【0019】実施例1 (炭化珪素化)比表面積が1000m2/gのフェノー
ル系活性炭繊維からなる目付200g/m2のフェルト
(商品名:クラクティブ:クラレケミカル製)を50m
m×50mmの大きさに断裁したものを、内寸法が60
mm×60mm×20mmの黒鉛製蓋付き容器に、塊状
の一酸化珪素(試薬:和光純薬工業製)5gと共に入れ
た。この容器を内径80mmφのアルミナ製炉心管を備
えた管状炉に入れ、油回転式真空ポンプで100リット
ル/分の排気速度で排気しながら、室温から1300℃
まで4時間で昇温し、その温度を2時間保持し、6時間
かけて室温まで冷却し、炭化珪素化されたフェルトを作
製した。 (含浸)有機珪素化合物としてポリカルボシランを用
い、この10gをテトラヒドロフラン90gに溶解し、
濃度がポリカルボシラン10重量%の溶液を作成した。
この溶液に炭化珪素化フェルトを浸漬し、取り出した
後、温度60℃で送風し、乾燥した。続いて、このフェ
ルトをオーブンに入れ、空気中で室温から190℃まで
30℃/時間で昇温し、190℃において30分間保持
し、ポリカルボシランを不融化させた。
【0020】(焼成)さらに、得られたフェルトを内径
70mmφのアルミナ製炉心管を備えた管状炉を用い
て、2リットル/分の窒素気流中で室温から1300℃
まで100℃/時間で昇温し、1300℃の最高温度で
1時間保持し、ポリカルボシランを炭化珪素に転換した
フェルトを得た。 (強度試験)フェルトの圧縮強度を測定した。20mm
×20mmの大きさの正方形を有する厚さ2mmのステ
ンレス製板2枚の間にフェルト試料を挟み、材料試験機
(テンシロン、東洋ボールドウィン製)を用いて圧縮荷
重をかけた。無荷重時の厚さの1/2の厚さに減少した
時の荷重の読み値を圧縮強度とした。
【0021】実施例2 (炭化珪素化)実施例1と同じ方法で炭化珪素化フェル
トを準備した。 (熱処理)得られた炭化珪素化フェルトを黒鉛製の容器
に入れて、内径100mmφの管状グラファイト炉内に
置き、窒素ガスを2リットル/分で流しながら1600
℃まで1時間で昇温し、その温度で1時間保持し、炭化
珪素化フェルトの加熱処理を行った。 (含浸)実施例1と同じ方法で炭化珪素化フェルトに有
機珪素化合物としてポリカルボシランを含有させ、乾燥
し、不融化させた。 (焼成)実施例1と同じ方法で含有される有機珪素化合
物を炭化珪素に転換したフェルトを得た。 (強度試験)実施例1と同様にしてフェルトの圧縮強度
を測定した。
【0022】実施例3 (金属酸化物の坦持)比表面積が1000m2/gのフ
ェノール系活性炭繊維からなる目付200g/m2のフ
ェルト(商品名:クラクティブ:クラレケミカル製)の
50mm×50mmの大きさに断裁したものを、500
ml容のガラス製セパラブルフラスコの底に置き、その
上にガラス製シャーレを載せて蓋をした。次いで、蓋に
取り付けたゴム製のセプタムから、四塩化チタン(試
薬:和光純薬工業製)3mlをシリンジを用いて注入し
た。この状態で容器を20℃で2時間静置し、四塩化チ
タンの蒸気をフェルトに吸着させた後、フェルトを取り
出し、イオン交換水100mlを入れたビーカーと共に
1000mlのセパラブルフラスコに密閉し、この状態
で20℃で1時間静置し、水蒸気をフェルトに吸着さ
せ、四塩化チタンの加水分解を行い、チタン酸化物を含
有するフェルトを取り出して乾燥した。この試料を空気
中で900℃で1時間灰化して求めたチタン酸化物の含
有量は10%であった。
【0023】(炭化珪素化)前記フェルトを実施例1と
同様にして炭化珪素化した。 (熱処理)得られたフェルトを実施例2と同様にして加
熱処理を行った。 (含浸)加熱処理されたチタン化合物含有炭化珪素化フ
ェルトに、実施例1と同様にして有機珪素化合物として
ポリカルボシランを含有させ、乾燥し、更に不融化させ
た。 (焼成)さらに、実施例1と同様にして含有される有機
珪素化合物を炭化珪素に転換したフェルトを得た。 (強度試験)実施例1と同様にしてフェルトの圧縮強度
を測定した。
【0024】実施例4 (炭化珪素化)実施例1と同じ条件で炭化珪素化された
フェルトを用意した。 (熱処理)このフェルトを前記黒鉛製の容器に入れて、
内径100mmφの管状グラファイト炉内に置き、窒素
ガスを2リットル/分で流しながら1600℃まで1時
間で昇温し、その温度を1時間保持し、2時間かけて室
温まで冷却した。 (含浸)有機珪素化合物としてポリカルボシランを用
い、この10gをテトラヒドロフラン90gに溶解し、
これにβ−SiCの10gと界面活性剤(エマルゲン9
06:花王製)1gとを一緒に加えて、ナイロン製のボ
ールミルで一昼夜混合して、懸濁液を得た。この懸濁液
に炭化珪素化されたフェルトを浸漬し、取り出した後、
60℃で送風乾燥した。この時のフェルトの重量は、懸
濁液に浸漬する前の重量に比べて20%増加していた。
続いて、このフェルトをオーブンに入れ、空気中で室温
から190℃まで30℃/時間で昇温し、190℃にお
いて30分保持し、乾燥して溶剤を完全に除去し、ポリ
カルボシランを不融化させた。 (焼成)更に、得られたフェルトを内径70mmφのア
ルミナ製炉心管を備えた管状炉に入れ、2リットル/分
の窒素気流中で室温から1300まで100℃/時間で
昇温し、1300℃の最高温度で1時間保持し、ポリカ
ルボシランを炭化珪素に転換したフェルトを得た。 (強度試験)実施例1と同様にしてフェルト圧縮強度を
測定した。
【0025】実施例5 (ハニカムの作製)フェノール樹脂チョップド繊維(K
F−0251、51mm長、日本カイノール製)からな
る200g/m2のシートから、一辺が5mmの六角ハ
ニカム構造体(厚み2cm×幅10cm×長さ15c
m)を、フェノール樹脂(レゾール)の60%溶液を接
着剤として用いて作製し、次いでこの構造体を200℃
の恒温オーブン中に入れ、30分間加熱してフェノール
樹脂を硬化させた。 (炭化)このハニカム構造体を炉内寸法が30cm×3
0cm×30cmの電気炉に入れ、5リットル/分の窒
素気流中で300℃/時間の昇温速度で900℃まで加
熱し、900℃において5リットル/分で70℃の蒸留
水中を通過させた窒素ガスを15分間流した後、再び5
リットル/分で窒素ガスを流しながら室温まで冷却し
た。前記と同じ方法で作製したハニカム構造体を粉砕し
て窒素によるBET吸着法で比表面積を測定したところ
960m2/gであった。
【0026】(炭化珪素化)炭化したハニカム構造体を
内径が20cmの炭素発熱体を備えた炉に、50gの一
酸化珪素と共に入れ、油回転式真空ポンプで400リッ
トル/分の排気速度で排気しながら、室温から1300
℃まで4時間で昇温し、その温度を2時間保持した後、
6時間かけて室温まで冷却し、炭化珪素化したハニカム
構造体を作製した。 (含浸)有機珪素化合物としてポリカルボシランを用
い、実施例1と同様にして、濃度が10重量%の溶液を
作製し、この溶液に炭化珪素化したハニカム構造体を浸
漬し、取り出した後、温度60℃で送風し、乾燥した。
続いて、このハニカム構造体をオーブンに入れ、空気中
で室温から190℃まで30℃/時間で昇温し、190
℃で30分間保持し、ポリカルボシランを不融化させ
た。
【0027】(焼成)次いで、この構造体を炉内寸法が
30cm×30cm×30cmの電気炉に入れ、2リッ
トル/分の窒素気流中で室温から1300℃まで100
℃/時間で昇温し、1300℃の最高温度で1時間保持
し、ポリカルボシランを炭化珪素に転換した構造体を得
た。 (強度試験)三次元構造体の六角ハニカム構造体の圧縮
強度を測定した。厚さ20mm×幅20mm×長さ20
mmの大きさの立方形を有する試料を20mm×20m
mの正方形のステンレス製板2枚の間に挟み、実施例1
と同様にして圧縮荷重をかけ破壊を生じた時の荷重の読
み値を圧縮強度とした。
【0028】比較例1 有機珪素化合物の含浸と焼成を行わなかったこと以外
は、実施例1と同様にして炭化珪素繊維フェルトを調製
した。 (強度試験)実施例1と同様にしてフェルトの圧縮強度
を測定した。
【0029】実施例及び比較例で得られた圧縮強度を表
1に示した。
【0030】
【表1】
【0031】表1から分かるように、本発明の方法によ
り炭化珪素で補強された炭化珪素繊維からなるフェルト
は、圧縮強度が1.2kg以上と高い(実施例1〜4)
のに対し、炭化珪素で補強しない従来法による炭化珪素
からなるフェルトの圧縮強度は半分(0.6kg)程度
しかなく、低い(比較例1)。又、ハニカム構造体(実
施例5)では、圧縮強度がきわめて顕著に改善されてい
る。
【0032】
【発明の効果】本発明は、二次元もしくは三次元からな
る炭化珪素構造体の強度を顕著に向上させることができ
る製造方法を提供するという効果を奏する。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 比表面積が100〜2500m2/gの
    繊維状活性炭からなる二次元もしくは三次元構造体を作
    製し、次いで該構造体を構成する繊維状活性炭と、一酸
    化珪素ガスとを温度800〜2000℃で反応させ、得
    られる炭化珪素繊維からなる二次元もしくは三次元の構
    造体に、有機珪素化合物を含有させた後、乾燥し、続い
    て102Pa以下の真空中もしくは実質的に酸素を含ま
    ないガス雰囲気中で温度800〜2000℃で加熱する
    ことを特徴とする炭化珪素繊維構造体の製造方法。
  2. 【請求項2】 炭化珪素繊維からなる二次元もしくは三
    次元構造体が、炭化珪素化後、実質的に酸素を含まない
    雰囲気或いはガス雰囲気中で、800〜2000℃で加
    熱処理してなることを特徴とする請求項1記載の炭化珪
    素繊維構造体の製造方法。
  3. 【請求項3】 繊維状活性炭が金属酸化物を担持するこ
    とを特徴とする請求項1又は2記載の炭化珪素繊維構造
    体の製造方法。
  4. 【請求項4】 有機珪素化合物が、ポリカルボシラン、
    ポリチタノカルボシラン、ポリシランから選ばれた少な
    くとも一種であることを特徴とする請求項1乃至3記載
    の炭化珪素繊維構造体の製造方法。
  5. 【請求項5】 有機珪素化合物に炭化珪素の粉末を添加
    することを特徴とする請求項1乃至4記載の炭化珪素繊
    維構造体の製造方法。
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