JP5668550B2 - 繊維束用無機繊維、及びその繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束、並びにその繊維束で強化されたセラミックス基複合材料 - Google Patents

繊維束用無機繊維、及びその繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束、並びにその繊維束で強化されたセラミックス基複合材料 Download PDF

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Description

本発明は、繊維束用無機繊維、及びその繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束、並びにその繊維束で強化されたセラミックス基複合材料に関するものである。
無機繊維で強化されたセラミックス基複合材料は金属にはない優れた耐熱性と従来の単相のセラミックスにはない損傷許容性から次世代の耐熱材料として開発が進められている。セラミックス基複合材料においては強化繊維とマトリックスとの界面の結合を制御し、材料の破壊時に亀裂がこの界面で偏向し、繊維がプルアウトしながら破壊が進行するため、大きな破壊エネルギーを示すことが大きな特徴である。中でも非酸化物系の炭化ケイ素や窒化ケイ素をマトリックスとして、炭化ケイ素系繊維で強化したセラミックス基複合材料は特に注目されている。これらのセラミックス基複合材料の期待されている用途としては、ガスタービン分野等があり、高温・酸化性雰囲気下での耐久性が要求されている。
セラミックス基複合材料の製造方法としては、強化材である無機繊維の織物等を所望の形状に成形したプリフォームを製作する。ついで、繊維束の収束に使用されているサイジング剤を600℃以上の高温、アルゴンや窒素等の不活性雰囲気中で分解除去した後、マトリックスとの界面の結合を制御するための界面層を、化学気相蒸着法(CVD法、CVI法)により繊維表面に形成する。界面層としては、主に炭素や窒化ホウ素が選択される。次いで、マトリックスを、同様に、化学気相蒸着法や、あるいは、マトリックス原料となる無機あるいは有機高分子の融液、あるいは溶液に含浸させた後、焼成し、必要であればこの工程を繰り返す方法(含浸・焼成法)により形成させ、セラミックス基複合材料を得る方法等がある。
この製造過程において、繊維束中の各繊維が接触すると接触点では、均一な界面層が形成されず、複合材料の特性に悪影響を及ぼす問題が指摘されている。例えば、非特許文献1には、炭化ケイ素系繊維で強化された炭化ケイ素マトリックスのセラミックス基複合材料において、繊維束中の繊維の接触点では、窒化ホウ素の界面層が均一に形成されず、材料が高温・酸化雰囲気下で応力を受けた際に、この繊維接触点が優先的に酸化されて、酸化物のガラス層が形成されることが示されている。このガラス層により繊維同士が強固に結合して、応力集中の原因となり、脆性的な破壊を起こし、期待される耐久性が得られないことが指摘されている。したがって、繊維束中の各繊維を、界面層を繊維表面に均一に形成できるように離すことが、セラミックス基複合材料の耐久性を確保する上で重要であるとしている。このような問題を解決するため、繊維表面に耐熱性物質の短繊維、粉末、あるいはウイスカを付着させることが提案されている(特許文献1及び2、非特許文献2)。
特開昭63−59473号公報 特開昭62−299568号公報
J.Am.Ceram. Soc.,83[6] 1441−49(2000) Mater.Trans.,44[6] 1172−80(2003)
しかしながら、これらの耐熱性物質を繊維表面に付着させることにより、繊維束中の繊維同士の接触は回避できるが、耐熱性物質は、サイジング剤除去工程、界面層形成工程およびマトリックス形成工程においても分解しないため、複合材料中に残存する。特に、界面層形成工程において、耐熱性物質が繊維表面に付着した箇所では、繊維表面には界面層が形成されず、破壊時に繊維のプルアウトが抑制されるため、得られる複合材料が十分な破壊エネルギーを示さない。さらに、耐熱性物質は無機繊維同様に高硬度であり、また異形状でエッジ状の形状もあるため、繊維表面への付着工程、あるいは、繊維を織物等に製織する工程で、ガイド、ローラー等との摩擦により、耐熱性物質が繊維にダメージを与えて繊維強度が低下するため、得られる複合材料の強度も低下する問題があった。
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みて、十分な強度と破壊エネルギー、および高温・酸化雰囲気下で応力を受けた際に優れた耐久性を示すセラミックス基複合材料を得るため、複合材料用無機繊維束の製造中の繊維の損傷による繊維強度の低下を抑制し、かつ、複合材料製造中の繊維束中の繊維同士の接触を回避して、繊維の表面全体にマトリックスとの界面層を形成できる繊維束用無機繊維、及びその繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束、並びにその繊維束で強化されたセラミックス基複合材料を提供することを目的とする。
本発明者等は、このような条件を満たす複合材料用無機繊維束について鋭意検討した結果、繊維直径が長手方向に変化しており、特定の最大直径と最小直径の差を有する炭化ケイ素系繊維からなる繊維束とすることにより、上記の本発明の目的を達成できることを見出した。
すなわち本発明は、複合材料用無機繊維束を構成する繊維束用無機繊維において、直径が長手方向に変化しており、最大直径と最小直径の差が、2〜6μmで、変化のピッチが、10〜200mmであることを特徴する繊維束用無機繊維に関する。
また、本発明は、元素組成が、Si:45〜60質量%、Ti又はZr:0.2〜5質量%、C:20〜45質量%、O:0.1〜20.0質量%を含むことを特徴とする前記繊維束用無機繊維に関する。
また、本発明は、密度が2.7g/cm以上、引張強度が2GPa以上、弾性率が250GPa以上であり、Si:50〜70質量%、C:28〜45質量%、Al:0.06〜3.8質量%及びB:0.06〜0.5質量%を含み、SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケイ素繊維であることを特徴とする前記繊維束用無機繊維に関する。
また、本発明は、前記繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束に関する。
また、本発明は、前記複合材料用無機繊維束を強化繊維とし、セラミックスをマトリックスとすることを特徴とするセラミックス基複合材料に関する。
また、本発明は、前記複合材料用無機繊維束の形態が2次元若しくは3次元織物又は一方向シート状物、又はそれらの積層物であることを特徴とする前記セラミックス基複合材料に関する。
本発明に係る繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束は、無機繊維束中の繊維にダメージを与えることなく繊維同士の接触を回避して、各繊維の表面全体に界面層を形成できるため、本発明に係る複合材料用無機繊維束を用いることにより十分な強度と破壊エネルギー、および高温・酸化雰囲気下で応力を受けた際に優れた耐久性を示すセラミックス基複合材料を得ることができる。
繊維長手方向の直径の変化の測定結果の一例である。 (a)実施例1、(b)比較例1、(c)実施例2、(d)比較例2、(e)実施例3、(f)比較例3の各繊維束の断面の光学顕微鏡写真である。
本発明に係る繊維束用無機繊維は、耐熱性、耐酸化性から炭化ケイ素系繊維が好ましい。本発明に係る繊維束用無機繊維は、直径が長手方向に変化しており、最大直径と最小直径の差が、2〜6μmで、さらに好ましくは、3〜5μmであり、変化のピッチが、10〜200mmで、さらに好ましくは、30〜150mmとすることにより、繊維束中の各繊維間に繊維直径の変化による空間ができ、繊維束中の繊維同士の接触をほぼ回避することができ、繊維の表面全体にマトリックスとの界面層を形成できる。最大直径と最小直径の差が、2μm未満では、繊維直径の変化による空間が不十分になり、繊維束中の繊維同士の接触が増加し、好ましくない。また、繊維強度は、最小径部に依存するため、最大直径と最小直径の差が、6μmより大きくなると、最小径部が小さくなって、低荷重で破断するため、複合材料の力学特性を低下させ、好ましくない。炭化ケイ素系繊維の平均直径は、11〜20μm、さらに好ましくは、13〜17μmが好ましい。11μmより細くなると、繊維直径に対する、直径の長手方向の変化が大きくなりすぎ、繊維強度が低下する。20μmより大きくなると、繊維のしなやかさが損なわれ、繊維束の製織等の加工が困難になる。
ここで、本発明に係る繊維束用無機繊維において、最大直径と最小直径の差は、光学顕微鏡で長さ300mmの5本の繊維をそれぞれ長手方向に10mm間隔で撮影し、その光学顕微鏡写真から繊維径を測定し、それぞれの繊維の最大値と最小値の差を求め、その平均値から求めることができる。変化のピッチは、それぞれの繊維について、測定箇所の繊維径が両側の繊維径より大きい箇所間の間隔の平均値を求め、その平均値から求められる。
本発明に係る繊維束用無機繊維は、元素組成が、Si:45〜60質量%、Ti又はZr:0.2〜5質量%、C:20〜45質量%、O:0.1〜20.0質量%を含むことが好ましい。このような炭化ケイ素系繊維としては、宇部興産(株)製のZMI繊維、LoxM繊維(登録商標)がある。Ti又はZrを添加することにより、耐熱性が改善され、特にZrを添加することにより耐酸化性、アルカリ性も改善することができる。この繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束を強化繊維とすることにより、優れた特性のセラミックス基複合材料が得られる。
また、本発明に係る繊維束用無機繊維は、密度が2.7g/cm以上、引張強度が2GPa以上、弾性率が250GPa以上であり、Si:50〜70質量%、C:28〜45質量%、Al:0.06〜3.8質量%、好ましくは0.13〜1.25質量%、及びB:0.06〜0.5質量%、好ましくは0.06〜0.19質量%を含み、SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケイ素繊維であることが好ましい。このような結晶性炭化ケイ素繊維としては、宇部興産(株)製のSA繊維(登録商標)がある。アルミニウムの割合が過度に少ないと、結晶性炭化ケイ素繊維の耐アルカリ性が低下し、その割合が過度に高くなると高温における力学的特性が低下するようになる。ホウ素の割合が過度に少ないと、充分に焼結した結晶性繊維とならず、繊維の密度が低下するようになり、逆に、その割合が過度に高いと、繊維の耐アルカリ性が低下するようになる。結晶性とすることにより得られる優れた耐熱性と高い強度及び弾性率、さらにアルミニウムの存在により、優れた耐アルカリ性を示す、結晶性炭化ケイ素繊維が得られ、この繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束を強化繊維とすることにより、優れた特性のセラミックス基複合材料が得られる。
本発明に係る繊維束用無機繊維の製造方法は、有機ケイ素重合体を紡糸する紡糸工程と、得られた紡糸繊維を酸化性雰囲気中での熱処理あるいは電子線照射により不融化する不融化工程と、得られた不融化繊維を不活性雰囲気あるいは還元性雰囲気中で焼成する焼成工程とを備える。
紡糸工程は、先ず、カルボシラン(−Si−CH2−)結合単位、及びポリシラン(−Si−Si−)結合単位から主としてなり、ケイ素の側鎖に水素原子、低級アルキル基、アリール基、フェニル基及びシリル基からなる群から選択される基を有する有機ケイ素重合体に、Ti又はZrのアルコキシド、アセチルアセトキシ化合物、カルボニル化合物、シクロペンタジエニル化合物及びアミン化合物からなる群から選択される化合物を加熱反応してTi又はZr含有有機ケイ素重合体を調製する。次いで、このTi又はZr含有有機ケイ素重合体を溶融紡糸することによって行なわれる。この紡糸時の速度を100〜300m/分とすることが好ましい。さらに好ましくは、紡糸ノズルにポリマーを供給するギアポンプに、突出の脈動の大きなポンプの選択や、回転数を周期的に変化されることにより、紡糸ノズルに供給するポリマー量を変動させることにより、紡糸の過程で、繊維の直径を長手方向に変化させることができる。300m/分より早くすると、紡糸時の繊維にかかる張力が高くなって、直径の変化が小さくなり、好ましくない。100m/分より遅くすると、直径の変化が大きくなり、生産性も低下するため、好ましくない。
不融化工程は、例えば、得られた紡糸繊維を不融化することによって行なわれる。不融化は、それ自体公知の方法を採用でき、酸化性雰囲気中での不融化温度は、50〜300℃で行われ、電子線照射は、2〜4MVの加速電圧で、2〜15KGy/秒dose、10〜20MGydoseで行われる。
焼成工程は、得られた不融化繊維を、不活性雰囲気中で、好ましくは1100〜1600℃の範囲が好ましい。焼成の際、無機化する過程で重量減少と体積減少を伴うが、紡糸の工程で導入された、直径の長手方向に変化は、相似形で変化するため、ほぼ維持することができる。
本発明に係る繊維束用無機繊維は、不活性雰囲気中の焼成後、ボビンに巻き替え、複合材料用無機繊維束として実用に供することができる。この際、繊維束のハンドリング性向上のため、樹脂性サイジング剤を溶解させた、水、有機溶媒又は両者の混合液に浸漬し、乾燥させながら巻き取ることが好ましい。
樹脂性サイジング剤としては、それ自体公知の樹脂を全て使用することができ、その具体例としては、ポバール樹脂、ポリエチレンオキサイド、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコン樹脂、フェノキシ樹脂、ポリフェニレンサルファイド、フッ素樹脂、炭化水素系樹脂、含ハロゲン系樹脂、アクリル酸系樹脂及びABS樹脂が挙げられる。特に、ポバール樹脂、ポリエチレンオキサイドは、市販されている無機繊維に使用されており、特に好ましい。付着量としては、特に、制限はないが、無機繊維に対して、0.01〜10質量%、特に、0.1〜5質量%が好ましい。0.01質量%未満では、繊維束が収束せず、10質量%より多くしても収束の程度は変わらず、サイジング剤を無駄に使用することになる。
また、本発明に係る繊維束用無機繊維が、前記SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケイ素繊維である場合、繊維束用無機繊維は、Alを0.05〜3質量%、Bを0.05〜0.4質量%、及び余剰の炭素を1〜3質量%含有する非晶質炭化ケイ素系繊維を1600〜2100℃の範囲内の温度及び不活性雰囲気中で焼成処理し、結晶化させることによって得ることができる。前記非晶質炭化ケイ素系繊維は、酸素を8〜16質量%含むことが好ましい。非晶質炭化ケイ素系繊維を加熱する際に、この酸素は前述の余剰の炭素をCOガスとして脱離させ、SiとCの比をSiCの化学量論比に近づけて、結晶性炭化ケイ素繊維を得ることができる。
この非晶質炭化ケイ素系繊維は、例えば、以下のような方法で調製することができる。まず、例えば、「有機ケイ素化合物の化学」化学同人(1972年)に記載の方法に従って、1種類以上のジクロロシランをナトリウムによって脱塩素反応させて鎖状又は環状のポリシランを調製する。ポリシランの数平均分子量は通常300〜1000である。本明細書において、ポリシランは、上記の鎖状又は環状のポリシランを400〜700℃の範囲の温度に加熱することにより、あるいは上記の鎖状又は環状のポリシランにフェニル基含有ポリボロシロキサンを添加して250〜500℃の範囲の温度に加熱することによって得られる、一部にカルボシラン結合を有するポリシランも包含する。ポリシランは、ケイ素の側鎖として、水素原子、低級アルキル基、アリール基、フェニル基あるいはシリル基を有することができる。
次いで、ポリシランに対して、アルミニウムのアルコキシド、アセチルアセトキシド化合物、カルボニル化合物、又はシクロペンタジエニル化合物の所定量を添加し、不活性ガス中、通常250〜350℃の範囲の温度で1〜10時間反応することにより、紡糸原料であるアルミニウム含有有機ケイ素重合体を調製する。アルミニウムの化合物の使用量は、ポリシラン1g当たり、通常0.14〜0.86ミリモルである。
アルミニウム含有有機ケイ素重合体を、溶融紡糸により紡糸繊維を調製する。この紡糸時の速度を100〜300m/分とすることが好ましい。さらに好ましくは、紡糸ノズルにポリマーを供給するギアポンプに、突出の脈動の大きなポンプの選択や、回転数を周期的に変化されることにより、紡糸ノズルに供給するポリマー量を変動させることにより、紡糸の過程で、繊維の直径を長手方向に変化させることができる。300m/分より早くすると、紡糸時の繊維にかかる張力が高くなって、直径の変化が小さくなり、好ましくない。100m/分より遅くすると、直径の変化が大きくなり、生産性も低下するため、好ましくない。次に、この紡糸繊維を酸化性雰囲気で不融化処理して不融化繊維を調製し、次いで、窒素、アルゴンのような不活性ガス中、1100〜1600℃の範囲の温度で焼成して、非晶質炭化ケイ素系繊維が調製される。本焼成と、これに続く、前記した1600〜2100℃の範囲内の温度及び不活性雰囲気中で焼成する過程で重量減少と体積減少を伴うが、紡糸の過程で導入された、直径の長手方向に変化はほぼ維持することができる。
本発明に係るセラミックス基複合材料は、上記のようにして得られた複合材料用無機繊維束を強化繊維とし、セラミックスをマトリックスとすることを特徴とする。この複合材料用無機繊維束の形態には特に制限はなく、平織、朱子織等の2次元若しくは3次元織物又は一方向シート状物、又はそれらの積層物であってもよい。複合材料中の無機繊維の体積率については特別の制限はないが、10〜50%が一般的である。
複合化方法としては、特に制限はないが、無機繊維を製織したプリフォームに、界面層として窒化ホウ素、あるいは炭素を被覆させた後、セラミックスの前駆体重合体、たとえば、ポリカルボシラン、ポリメタロカルボシラン、ポリシラザン等をキシレン等の溶媒に溶解させた溶液に含浸・乾燥した後に加熱焼成することにより複合化を行うポリマー含浸・焼成法、マトリックスの原料粉末のスラリーを含浸し、ホットプレス等により高温で加圧焼結する方法、マトリックス元素のアルコキシドを原料にしたゾルゲル法、又は高温で反応ガスの反応によりマトリックスを形成させる化学気相蒸着法、及び高温で溶融金属を含浸させ反応によりセラミックス化させる反応焼結法が利用できる。また、化学気相蒸着法でマトリックスの一部を形成させた後、残りの空間を反応焼結法やポリマー含浸・焼成法により緻密化する方法もある。
本発明のセラミックスマトリックスとしては、結晶質又は非晶質の酸化物セラミックス、結晶質又は非晶質の非酸化物セラミックス、ガラス、結晶化ガラス、これらの混合物、これらのセラミックスを粒子分散したものが好ましい。
酸化物セラミックスの具体例としては、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、イットリウム、インジウム、ウラン、カルシウム、スカンジウム、タンタル、ニオブ、ネオジウム、ランタン、ルテニウム、ロジウム、ベリリウム、チタン、錫、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、ジルコニウム、鉄のような元素の酸化物、これら金属の複合酸化物が挙げられる。
非酸化物セラミックスの具体例としては、炭化物、窒化物、硼化物を挙げることができる。炭化物の具体例としては、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ウラン、タングステン、タンタル、ハフニウム、ホウ素、鉄、マンガンのような元素の炭化物、これら元素の複合炭化物が挙げられる。この複合炭化物の例としては、ポリチタノカルボシラン又はポリジルコノカルボシランを加熱焼成して得られる無機物が挙げられる。窒化物の具体例としては、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、マグネシウム、モリブデン等の元素の窒化物、これらの元素の複合酸化物、サイアロンが挙げられる。硼化物の具体例としては、チタン、イットリウム、ランタンのような元素の硼化物、CeCoB、CeCo、ErRhのような硼化白金族ランタノイドが挙げられる。
ガラスの具体例としては、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラスのような非晶質ガラスが挙げられる。結晶化ガラスの具体例としては、主結晶相がβ−スプジューメンであるLiO−Al−MgO−SiO系ガラス及びLiO−Al−MgO−SiO−Nb系ガラス、主結晶相がコージェライトであるMgO−Al−SiO系ガラス、主結晶相がバリウムオスミライトであるBaO−MgO−Al−SiO系ガラス、主結晶相がムライト又はヘキサセルシアンであるBaO−Al−SiO系ガラス、主結晶相がアノーサイトであるCaO−Al−SiO系ガラスが挙げられる。これらの結晶化ガラスの結晶相にはクリストバライトが含まれることがある。本発明におけるセラミックスとして、上記の各種セラミックスの固溶体を挙げることができる。
セラミックスを粒子分散強化したものの具体例としては、上記のセラミックスマトリックス中に、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、硼酸マグネシウム、酸化亜鉛、硼化チタン及びムライトから選択される無機物質の球状粒子、多面体粒子、板状粒子、棒状粒子、ウイスカを0.1〜60体積%均一分散したセラミックスが挙げられる。球状粒子及び多面体粒子の粒径は0.1μm〜1mm、板状粒子、棒状粒子及びウイスカのアスペクト比は一般に1.5〜1000である。
次に、本発明をさらに具体的に説明するために実施例を挙げるが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
ポリジメチルシラン100質量部にポリボロジフェニルシロキサン0.5質量部を加え、この混合物を窒素雰囲気中、380℃で10時間加熱反応し、重量平均分子量1000のポリカルボシラン約70質量部を合成した。このポリカルボシランにジルコニウムアセチルアセトナートを5質量部添加し、窒素雰囲気中、300℃で3時間加熱反応し、ポリジルコノカルボシランを得た。このポリジルコノカルボシランを400個のマルチホールノズルにより、約250℃で、ポリマーを供給するギアポンプの回転数を20−24rpmの間で周期的に増減させながら、200m/分の速度で、ドラムに連続に巻取りながら溶融紡糸を行った。ついで、空気中、180℃で5時間熱処理することにより不融化を行った。その後、窒素雰囲気中1450℃で連続焼成を行いながら、ポリエチレンオキサイドを1質量%添加した水溶液に浸漬し200℃で乾燥させながらボビンに巻取り、直径が長手方向に変化した繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束を作製した。
得られた複合材料用無機繊維束は、化学組成が、質量割合で、Si:55.5%、O:9.8%、C:34.1%、Zr:0.6%の炭化ケイ素系繊維(平均直径:15.5μm、400本/繊維束、収束剤:ポリエチレンオキサイド)であった。300mmの長さの繊維の直径を10mm間隔で測定し、繊維の長手方向の直径の変化を測定した。図1に測定結果の一例を示す。繊維直径が長手方向で、変化していることがわかる。前記した方法により求めた、最大径と最小径とその差、及び変化のピッチを表1に示す。
また、このようにして得られた複合材料用無機繊維束中の断面を光学顕微鏡により観察した。その顕微鏡写真を図2の(a)に示す。また、得られた繊維束の引張強度をJISR7601樹脂含浸ストランド法により測定し、その結果を表1に示す。
比較例1
実施例1において、ポリマーを供給するギアポンプの回転数を20rpmと一定にし、紡糸速度を400m/分とした以外は、同様にして、複合材料用無機繊維束を作製した。
得られた複合材料用無機繊維束は、化学組成が、質量割合で、Si:55.5%、O:9.8%、C:34.1%、Zr:0.6%の炭化ケイ素系繊維(平均直径:14μm、400本/繊維束、収束剤:ポリエチレンオキサイド)であった。実施例1と同じ方法で測定した、繊維直径の最大径と最小径とその差、及び変化のピッチを表1に示す。
また、このようにして得られた複合材料用無機繊維束中の断面を光学顕微鏡により観察した。その顕微鏡写真を図2の(b)に示す。また、得られた繊維束の引張強度をJISR7601樹脂含浸ストランド法により測定し、その結果を表1に示す。
実施例2
ポリジメチルシラン100質量部にポリボロジフェニルシロキサン0.5質量部を加え、この混合物を窒素雰囲気中、380℃で10時間加熱反応し、重量平均分子量1000のポリカルボシラン約70質量部を合成した。このポリカルボシランにテトラブチルチタネートを10質量部添加し、窒素雰囲気中、300℃で3時間加熱反応し、ポリチタノカルボシランを得た。このポリチタノカルボシランを400個のマルチホールノズルにより、約270℃で、ポリマーを供給するギアポンプの回転数を20−22rpmの間で周期的に増減させながら、250m/分の速度で、ドラムに連続に巻取りながら溶融紡糸を行った。ついで、空気中、180℃で5時間熱処理することにより不融化を行った。その後、窒素雰囲気中1350℃で連続焼成を行いながら、ポリエチレンオキサイドを1質量%添加した水溶液に浸漬し200℃で乾燥させながらボビンに巻取り、直径が長手方向に変化した繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束を作製した。
得られた複合材料用無機繊維束は、化学組成が、質量割合で、Si:54.4%、O:10.2%、C:33.9%、Ti:1.5%の炭化ケイ素系繊維(平均直径:15μm、400本/繊維束、収束剤:ポリエチレンオキサイド)であった。繊維直径の最大径と最小径とその差、及び変化のピッチを測定した結果を表1に示す。
また、このようにして得られた複合材料用無機繊維束中の断面を光学顕微鏡により観察した。その顕微鏡写真を図2の(c)に示す。また、得られた繊維束の引張強度をJISR7601樹脂含浸ストランド法により測定し、その結果を表1に示す。
比較例2
実施例2おいて、紡糸速度を80m/分とした以外は、同様にして、複合材料用無機繊維束を作製した。
得られた複合材料用無機繊維束は、化学組成が、質量割合で、Si:54.4%、O:10.2%、C:33.9%、Ti:1.5%の炭化ケイ素系繊維(平均直径:21.5μm、400本/繊維束、収束剤:ポリエチレンオキサイド)であった。繊維直径の最大径と最小径とその差、及び変化のピッチを測定した結果を表1に示す。
また、このようにして得られた複合材料用無機繊維束中の断面を光学顕微鏡により観察した。その顕微鏡写真を図2の(d)に示す。また、得られた繊維束の引張強度をJISR7601樹脂含浸ストランド法により測定し、その結果を表1に示す。
実施例3
ポリジメチルシラン100質量部にポリボロジフェニルシロキサン0.5質量部を加え、この混合物を窒素雰囲気中、380℃で10時間加熱反応し、重量平均分子量1000のポリカルボシラン約70質量部を合成した。このポリカルボシランにアルミニウムトリセカンダリーブトキシドを4質量部添加し、窒素雰囲気中、300℃で3時間加熱反応し、ポリアルミノカルボシランを得た。このポリアルミノカルボシランを400個のマルチホールノズルにより、約250℃で、ポリマーを供給するギアポンプの回転数を20−24rpmの間で周期的に増減させながら、150m/分の速度で、ドラムに連続に巻取りながら、溶融紡糸を行った。ついで、空気中、180℃で5時間熱処理することにより不融化を行った。その後、窒素雰囲気中1400℃で連続焼成を行い、ポリエチレンオキサイドを1質量%添加した水溶液に浸漬し200℃で乾燥させながらボビンに巻取った。これにより、Alを1.0質量%、Bを0.2質量%、及び余剰の炭素を1.5質量%含有する非晶質炭化ケイ素系繊維を得た。ついで、アルゴン中1800℃で連続的に熱処理して、結晶化させ、ポリエチレンオキサイドを1質量%添加した水溶液に浸漬し200℃で乾燥させながらボビンに巻取り、直径が長手方向に変化した繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束を作製した。
得られた複合材料用無機繊維束は、化学組成が、質量割合で、Si:67.8%、C:31%、O:0.3%、Al:0.84%、B:0.06%(原子比Si:C:O:Al=1:1.07:0.008:0.013)の結晶性炭化ケイ素繊維(平均直径:15.2μm、400本/繊維束、収束剤:ポリエチレンオキサイド)であった。繊維直径の最大径と最小径とその差、及び変化のピッチを測定した結果を表1に示す。
また、このようにして得られた複合材料用無機繊維束中の断面を光学顕微鏡により観察した。その顕微鏡写真を図2の(e)に示す。また、得られた繊維束の引張強度をJISR7601樹脂含浸ストランド法により測定し、その結果を表1に示す。
比較例3
実施例3において、ポリマーを供給するギアポンプの回転数を20rpmと一定にし、紡糸速度を450m/分とした以外は、同様にして、複合材料用無機繊維束を作製した。
得られた複合材料用無機繊維束は、化学組成が、質量割合で、Si:67.8%、C:31%、O:0.3%、Al:0.84%、B:0.06%(原子比Si:C:O:Al=1:1.07:0.008:0.013)の結晶性炭化ケイ素繊維(平均直径:12.5μm、400本/繊維束、収束剤:ポリエチレンオキサイド)であった。繊維直径の最大径と最小径とその差、及び変化のピッチを測定した結果を表1に示す。
このようにして得られた複合材料用無機繊維束中の断面を光学顕微鏡により観察した。その顕微鏡写真を図2の(f)に示す。また、得られた繊維束の引張強度をJISR7601樹脂含浸ストランド法により測定し、その結果を表1に示す。
Figure 0005668550
実施例1、2、3、および比較例1、2、3で得られた結果について、以下説明する。図2から、実施例1、2、3はそれぞれ比較例1、3と比較して、繊維束は広がっており、繊維直径を長手方向に、本発明の最大直径と最小直径の差を付与する効果が認められる。一方、比較例1、3から、長手方向に直径を変化させても、本発明の範囲外では、ほとんど繊維束は広がっておらず、効果のないことがわかる。比較例2では、繊維束は広がっているものの、繊維強度は大きく低下している。このように、本発明では、繊維強度を維持しつつ、繊維束中の繊維間隔を大きくかつ適度に広げることが可能であることがわかる。
実施例4
実施例1の複合材料用無機繊維束を3次元織物(繊維割合は、X:Y:Z=1:1:0.1)に製織した。ついで、アルゴン中、1000℃でサイジング剤を分解除去後、化学気相蒸着法により窒化ホウ素の界面層、および炭化ケイ素のマトリックスを形成して、セラミックス基複合材料を作製した。界面層は、三塩化ホウ素とアンモニアを原料ガス、アルゴンをキャリアガスとして、減圧下、1000℃で約0.5μmの厚さとした。マトリックスはメチルトリクロロシランを原料ガス、ヘリウムをキャリアガスとして、減圧下、1000℃で緻密化を行った。マトリックス形成後の空隙率は約10%であった。
複合化する前の3次元織物の一部をほぐして、繊維束を抽出し、JISR7601樹脂含浸ストランド法により引張強度を測定した。また、作製したセラミックス基複合材料から引張試験片を加工して、室温での引張強度と破断ひずみを測定した。また、大気中1000℃で、室温での引張強度の60%の応力をかけて破断までの時間を測定し、耐久性を評価した。表2に3次元織物から抽出した繊維の引張強度、作製したセラミックス基複合材料の室温での引張強度と破断ひずみ、及び、室温での引張強度の60%の応力をかけた状態で、大気中1000℃での破断までの時間を示す。
実施例5
実施例2の複合材料用無機繊維束を用いて、実施例5と同じ方法で、セラミックス基複合材料を作製した。
表2に3次元織物から抽出した繊維の引張強度、作製したセラミックス基複合材料の室温での引張強度と破断ひずみ、及び、室温での引張強度の60%の応力をかけた状態で、大気中1000℃での破断までの時間を示す。
実施例6
実施例3の複合材料用無機繊維束を用いて、実施例5と同じ方法で、セラミックス基複合材料を作製した。
表2に3次元織物から抽出した繊維の引張強度、作製したセラミックス基複合材料の室温での引張強度と破断ひずみ、及び、室温での引張強度の60%の応力をかけた状態で、大気中1000℃での破断までの時間を示す。
比較例4
比較例1の複合材料用無機繊維束を用いて、実施例4と同じ方法で、セラミックス基複合材料を作製し、評価を行った。表2に3次元織物から抽出した繊維の引張強度、作製したセラミックス基複合材料の室温での引張強度と破断ひずみ、及び、室温での引張強度の60%の応力をかけた状態で、大気中1000℃での破断までの時間を示す。
比較例5
比較例2の複合材料用無機繊維束を用いて、実施例5と同じ方法で、セラミックス基複合材料を作製し、評価を行った。表2に3次元織物から抽出した繊維の引張強度、作製したセラミックス基複合材料の室温での引張強度と破断ひずみ、及び、室温での引張強度の60%の応力をかけた状態で、大気中1000℃での破断までの時間を示す。
比較例6
比較例3の複合材料用無機繊維束を用いて、実施例6と同じ方法で、セラミックス基複合材料を作製し、評価を行った。表2に3次元織物から抽出した繊維の引張強度、作製したセラミックス基複合材料の室温での引張強度と破断ひずみ、及び、室温での引張強度の60%の応力をかけた状態で、大気中1000℃での破断までの時間を示す。
Figure 0005668550
Figure 0005668550
実施例4、5、6と比較例4、5、6で得られた結果について以下説明する。比較例5を除いて、繊維の引張強度については、いずれも低下は認められず、長手方向に、直径を特定の範囲で変化させて、3次元織物のような複雑な製織を行っても、繊維の引張強度は低下しないことがわかる。しかし、比較例5から、直径を大きく変化させた場合には、更に強度低下が認められる。
セラミックス基複合材料の室温での引張強度と破断ひずみについては、実施例4、5、6のセラミックス基複合材料は引張強度、破断ひずみともに、それぞれ比較例4、5、6よりも高い値を示している。破面観察から、実施例4、5、6では、繊維束中の繊維同士の接触はなく、窒化ホウ素の界面層も各繊維表面に均一に形成されていることが確認され、繊維のプルアウトも顕著に観察され、界面層が有効に機能していることが確認された。これが、高い強度、破断ひずみが得られた原因と考えられる。実施例5は、実施例2の繊維束の広がりが実施例1、3の繊維束の広がりよりも小さくなっているため、実施例4、6に比べ、繊維束中の一部に繊維同士の接触が認められた。これらの接触箇所では、窒化ホウ素の界面層が形成されておらず、繊維のプルアウトも少なくなっており、やや低い値となった原因と考えられる。
比較例4、6においては、繊維束中のほとんどの繊維同士が互いに接触しており、接触箇所では界面層が形成されていなかった。また、繊維のプルアウトも少なく、繊維の破断が繊維同士の接触点から発生しており、接触点が応力集中の原因であることが確認された。このように、3次元織物に加工するまでの繊維強度の低下はないが、繊維同士の接触点による応力集中と不均一な界面層が、低い強度と破断ひずみを示す原因と考えられる。比較例5では、繊維束中の繊維同士の接触はなく、窒化ホウ素の界面層も各繊維表面に均一に形成されていることが確認され、繊維のプルアウトも顕著に観察され、界面層が有効に機能していることが確認された。しかし、繊維強度は大きく低下しているため、低い引張強度と破断ひずみを示すと考えられる。
セラミックス基複合材料の室温での引張強度の60%の応力をかけた状態で、大気中1000℃での破断までの時間については、実施例4、5、6のセラミックス基複合材料は、実施例5でやや低い値となっているが、それぞれ比較例4、5、6よりも長い破断時間を示している。実施例4、6の破面観察では、繊維のプルアウトが、室温での引張試験後の破面に比べて少ないものの、顕著に観察され、繊維や界面層の酸化によるガラス層形成はわずかであった。実施例5では、実施例4、6に比べ、繊維同士の接触により、ガラス層がやや多く観察され、これが、やや低い値となった原因と考えられる。なお、破断時間は、実施例の中では、実施例6が最も長くなっている。これは、繊維自身の耐熱性に依存しているためで、実施例3の繊維の耐熱性が最も優れているためである。
比較例4、6の破面観察では、繊維束中のほとんどの繊維同士が接触しており、接触点近傍にガラス層が顕著に観察された。これらの大量の優先的なガラス層の形成により、繊維同士が強固に結合して、応力集中の原因となり、脆性的な破壊を起こし、破断時間を短くした原因と考えられる。比較例5の破面観察では、繊維のプルアウトが、室温での引張試験後の破面に比べて少ないものの、顕著に観察され、繊維や界面層の酸化によるガラス層形成はわずかであった。このため破断時間は長くなっているが、繊維強度が低いため、室温の引張強度の60%の応力値は、非常に小さい値となっている。
本発明は、セラミックス基複合材料の強化繊維用の無機繊維束とこの繊維で強化されたセラミックス基複合材料の製造に利用することが可能である。

Claims (6)

  1. 複合材料用無機繊維束を構成する繊維束用無機繊維において、直径が長手方向に変化しており、最大直径と最小直径の差が、2〜6μmで、変化のピッチが、10〜200mmであることを特徴する繊維束用無機繊維。
  2. 元素組成が、Si:45〜60質量%、Ti又はZr:0.2〜5質量%、C:20〜45質量%、O:0.1〜20.0質量%を含むことを特徴とする請求項1記載の繊維束用無機繊維。
  3. 密度が2.7g/cm以上、引張強度が2GPa以上、弾性率が250GPa以上であり、Si:50〜70質量%、C:28〜45質量%、Al:0.06〜3.8質量%及びB:0.06〜0.5質量%を含み、SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケイ素繊維であることを特徴とする請求項1記載の繊維束用無機繊維。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項記載の繊維束用無機繊維から構成される複合材料用無機繊維束。
  5. 請求項4記載の複合材料用無機繊維束を強化繊維とし、セラミックスをマトリックスとすることを特徴とするセラミックス基複合材料。
  6. 前記複合材料用無機繊維束の形態が2次元若しくは3次元織物又は一方向シート状物、又はそれらの積層物であることを特徴とする請求項5記載のセラミックス基複合材料。
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