JP3979311B2 - 炭化ケイ素系セラミックス繊維及びその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高温・酸化雰囲気でも安定な炭化ケイ素系セラミックス繊維及びその製造方法に関する。また、本発明は、前記炭化ケイ素系セラミックス繊維で強化された、高温での耐酸化性が優れたセラミックス基複合材料に関する。
【0002】
【従来の技術】
セラミックス繊維で強化されたセラミックス基複合材料は金属にはない優れた耐熱性と従来の単相のセラミックスにはない損傷許容性から次世代の耐熱材料として開発が進められている。この中でも炭化ケイ素を炭化ケイ素系セラミックス繊維で強化した複合材料(以降SiC/SiC複合材料と記す)は特に注目されている。
このSiC/SiC複合材料においては強化繊維とマトリックスとの界面の結合を界面層により制御し、材料の破壊時に亀裂がこの界面で偏向し、繊維がプルアウトしながら破壊が進行し、大きな破壊エネルギーを示すことが大きな特徴である。この界面層としては主に炭素Cが用いられていたが、近年では、この炭素界面に替わり、より耐熱性の高い窒化ホウ素BNや酸化物を界面に適応する研究が盛んに行われている。
【0003】
一方、強化繊維の炭化ケイ素系セラミックス繊維としては従来のアモルファス構造の繊維から耐熱性等を改良した結晶質の炭化ケイ素セラミックス繊維が開発されている(例えば、特許文献1参照)。
この結晶質の炭化ケイ素セラミックス繊維で強化された炭化ケイ素基セラミックス複合材料の高温・酸化性雰囲気での特性が、炭化ケイ素セラミックス繊維表面に存在する厚さ10〜40nm程度のカーボンリッチ層が原因で低下することが指摘されている(非特許文献1参照)。
これによれば、高温・酸化性雰囲気では、炭化ケイ素セラミックス繊維表面のカーボンリッチ層が酸化により消失して酸素の拡散経路が形成される。これから拡散した酸素が炭化ケイ素セラミックス繊維と、強化繊維とマトリックスとの界面の結合を制御するため、繊維とマトリックスの界面に設けた窒化ホウ素の界面層と反応して繊維同士あるいは繊維と窒化ホウ素の界面層が接着してしまうため繊維のプルアウトが起らなくなり、複合材料が脆化して強度低下を引き起こすとされている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−36142号公報
【非特許文献1】
Ceram.Eng.Sci.Proc.,23(3)(2002)p.571−580
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題点を解決し、繊維表面に存在するカーボンリッチ層が除去されており、高温・酸化雰囲気でも安定な炭化ケイ素系セラミックス繊維及びその製造方法、さらにこの炭化ケイ素系セラミックス繊維で強化された、高温での耐酸化性が優れたセラミックス基複合材料を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、密度が2.7〜3.2g/cm3であり、重量割合で、Si:50〜70%、C:28〜45%、Al:0.06〜3.8%、及びB:0.06〜0.5%からなり、SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケイ素系繊維であって、繊維表面におけるCの原子比率が50%〜75%、Oの原子比率が0〜25%であり、かつC及びOの原子比率は繊維内部に向かって減少傾向にあり、Cの原子比率が55%以下になる繊維表面からの深さ、及びOの原子比率が5%以下になる繊維表面からの深さがともに0〜5nm(SiO2換算)であることを特徴とする炭化ケイ素系セラミックス繊維に関するものである。
【0007】
また、本発明は、密度が2.7〜3.2g/cm3であり、重量割合で、Si:50〜70%、C:28〜45%、Al:0.06〜3.8%及びB:0.06%〜0.5%からなり、SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケイ素系繊維であって、繊維表面におけるCの原子比率が90〜100%で、Cの原子比率は内部に向かって減少傾向にあり、Cの原子比率が55%以下になる繊維表面からの深さが20nm(SiO2換算)以上である結晶性炭化ケイ素系繊維を大気中500℃から1500℃の温度で熱処理することを特徴とする前記炭化ケイ素系セラミックス繊維の製造方法に関するものである。
【0008】
さらに、本発明は、上記炭化ケイ素系セラミックス繊維を強化繊維とし、セラミックスをマトリックスとするセラミックス基複合材料に関するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の炭化ケイ素系セラミックス繊維は、密度が2.7〜3.2g/cm3であり、重量割合で、Si:50〜70%、C:28〜45%、Al:0.06〜3.8%、、好ましくは、0.13〜1.25%、及びB:0.06〜0.5%、好ましくは、0.06〜0.19%からなり、SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケイ素系繊維であって、繊維表面におけるCの原子比率が50%〜75%、Oの原子比率が0〜25%であり、かつC及びOの原子比率は繊維内部に向かって減少傾向にあり、Cの原子比率が55%以下になる繊維表面からの深さ、及びOの原子比率が5%以下になる繊維表面からの深さがともに0〜5nm(SiO2換算)である。尚、深さ方向の厚みは、SiO2膜のアルゴンイオンによるエッチング速度を基準に算出された値である。
【0010】
通常、特許文献1に記載されている結晶性炭化ケイ素系繊維は、その製造過程において繊維表面に厚さ10〜40nm程度の余剰の炭素を含むカーボンリッチ層が生成しているが、本発明の炭化ケイ素系セラミックス繊維は、繊維表面に存在するカーボンリッチ層の余剰の炭素が効果的に除去されており、また、その除去処理の際に混入する酸素等の不純物も少ない。なお、余剰の炭素とは、繊維中に含有されるSiに対してSiCとして存在し得る化学量論的組成量を超えて存在する炭素を意味する。
【0011】
本発明の炭化ケイ素系セラミックス繊維は、密度が2.7〜3.2g/cm3であり、重量割合で、Si:50〜70%、C:28〜45%、Al:0.06〜3.8%及びB:0.06%〜0.5%からなり、SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケイ素系繊維であって、繊維表面におけるCの原子比率が90〜100%で、Cの原子比率は内部に向かって減少傾向にあり、Cの原子比率が55%以下になる繊維表面からの深さが10nm(SiO2換算)以上である結晶性炭化ケイ素系繊維を大気中500℃から1500℃の温度で熱処理することにより製造することができる。
【0012】
前記繊維表面に余剰の炭素を含むカーボンリッチ層を有する結晶性炭化ケイ素系繊維は、Alを0.05〜3重量%、及びBを0.05〜0.4重量%含有し、さらにSiに対して余剰の炭素を1重量%以上含有する非晶質の炭化ケイ素繊維を、1600〜2100℃の範囲の温度に加熱することによって調製される。この加熱処理は、アルゴン、ヘリウムのような不活性ガス雰囲気下に行われる。
【0013】
非晶質炭化ケイ素繊維中のアルミニウムの割合が3重量%を超えると、焼結後の繊維において、多くのアルミニウムが焼結SiC結晶の粒界に遍在するために、粒界破壊が優勢に起こるようになって、高い強度が得られないと共に、高温における力学的特性の低下が顕著になる。この繊維中のアルミニウムの割合が0.05重量%未満であると、充分に焼結した結晶性繊維が得られなくなる。非晶質炭化ケイ素繊維中のホウ素の割合が0.4重量%を超えると、得られる結晶性炭化ケイ素繊維の耐アルカリ性が極端に低下し、逆にその割合が0.05重量%より少ないと、充分に焼結した結晶性繊維が得られなくなる。
【0014】
また、非晶質炭化ケイ素繊維は、酸素を8〜16重量%含むことが好ましい。非晶質炭化ケイ素繊維を加熱する際に、この酸素は前述の余剰の炭素をCOガスとして脱離させる。
【0015】
上記の非晶質炭化ケイ素繊維は、カルボシラン(−Si−CH2 −)結合単位、及びポリシラン(−Si−Si−)結合単位から主としてなり、ケイ素の側鎖に水素原子、低級アルキル基、アリ−ル基、フェニル基及びシリル基からなる群から選択される基を有する有機ケイ素重合体に、前記金属原子のアルコキシド、アセチルアセトキシ化合物、カルボニル化合物、シクロペンタジエニル化合物及びアミン化合物からなる群から選択される化合物を加熱反応して金属含有有機ケイ素重合体を調製し、次いで金属含有有機ケイ素重合体を溶融紡糸し、得られた紡糸繊維を酸素含有雰囲気中で不融化し、得られた不融化繊維を不活性雰囲気中で予備加熱後、不活性ガス雰囲気あるいは還元性ガス雰囲気で高温焼成することにより得られる。
【0016】
本発明の炭化ケイ素系セラミックス繊維は、上記繊維表面に余剰の炭素を含むカーボンリッチ層を有する結晶性炭化ケイ素系繊維を大気中500℃から1500℃の温度で熱処理することにより製造される。
熱処理条件は、結晶性炭化ケイ素系繊維の処理方法に依存する。繊維束あるいは所望の形状に製織した織物をバッチ処理する場合には、大気中500〜1000℃で2時間から10分間熱処理することが好ましい。繊維束を連続的に熱処理する場合には1200〜1500℃の温度で5分から1秒間熱処理することが好ましい。大気中での熱処理により繊維表面のカーボンリッチ層は大気中の酸素と反応してCO2となり繊維表面から離脱し、カーボンリッチ層が除去できる。
【0017】
なお、熱処理の際に、同時に炭化ケイ素も反応するため繊維表面に酸素が混入する。大量の酸素は高温で繊維同士や界面層との接着を引き起こし複合材料の劣化の原因となるので、繊維表面の酸素の原子比率は、25%以下、さらに好ましくは10%以下とし、繊維内部に向かって減少傾向にあり、酸素の原子比率が5%以下になる深さが0〜5nm(SiO2換算)になるように熱処理条件を設定することが好ましい。さらに、繊維表面の酸素量を低減するため、熱処理後にフッ酸等に繊維を浸せきすることにより、酸素を除去することもできる。
【0018】
また、本発明によれば、上記の表面カーボンリッチ層除去炭化ケイ素系セラミックス繊維を強化繊維とし、セラミックスをマトリックスとするセラミックス基複合材料が得られる。
この表面カーボンリッチ層除去炭化ケイ素系セラミックス繊維の形態については特に制限はなく、平織、朱子織等の2次元あるいは3次元織物、又は一方向シート状物又はその積層物であってもよい。また、連続繊維を切断したチョップ状短繊維を使用した不織布であってもよい。複合材料中の表面カーボンリッチ層除去炭化ケイ素系セラミックス繊維の体積率については特別の制限はないが、20〜50%が一般的である。また界面層としては窒化ホウ素が望ましい。
【0019】
本発明のセラミックマトリックスとしては、結晶質又は非晶質の酸化物セラミックス、結晶質又は非晶質の非酸化物セラミックス、ガラス、結晶化ガラス、これらの混合物、これらのセラミックスを粒子分散したものが好ましい。
【0020】
酸化物セラミックスの具体例としては、アルミニウム、マグネシウム、ケイ素、イットリウム、インジウム、ウラン、カルシウム、スカンジウム、タンタル、ニオブ、ネオジウム、ランタン、ルテニウム、ロジウム、ベリリウム、チタン、錫、ストロンチウム、バリウム、亜鉛、ジルコニウム、鉄のような元素の酸化物、これら金属の複合酸化物が挙げられる。
【0021】
非酸化物セラミックスの具体例としては、炭化物、窒化物、硼化物を挙げることができる。炭化物の具体例としては、ケイ素、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、ウラン、タングステン、タンタル、ハフニウム、ホウ素、鉄、マンガンのような元素の炭化物、これら元素の複合炭化物が挙げられる。この複合炭化物の例としては、ポリチタノカルボシラン又はポリジルコノカルボシランを加熱焼成して得られる無機物が挙げられる。
【0022】
窒化物の具体例としては、ケイ素、ホウ素、アルミニウム、マグネシウム、モリブデンにような元素の窒化物、これらの元素の複合酸化物、サイアロンが挙げられる。
硼化物の具体例としては、チタン、イットリウム、ランタンのような元素の硼化物、CeCoB2,CeCo4B4,ErRh4B4のような硼化白金族ランタノイドが挙げられる。
【0023】
ガラスの具体例としては、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラスのような非晶質ガラスが挙げられる。結晶化ガラスの具体例としては、主結晶相がβ−スプジューメンであるLiO2−Al2O3−MgO−SiO2系ガラス及びLiO2−Al2O3−MgO−SiO2−Nb2O5系ガラス、主結晶相がコージェライトであるMgO−Al2O3−SiO2系ガラス、主結晶相がバリウムオスミライトであるBaO−MgO−Al2O3−SiO2系ガラス、主結晶相がムライト又はヘキサセルシアンであるBaO−Al2O3−SiO2系ガラス、主結晶相がアノーサイトであるCaO−Al2O3−SiO2系ガラスが挙げられる。これらの結晶化ガラスの結晶相にはクリストバライトが含まれることがある。本発明におけるセラミックスとして、上記の各種セラミックスの固溶体を挙げることができる。
【0024】
セラミックスを粒子分散強化した具体例としては、上記のセラミックスマトリックス中に、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、チタン酸カリウム、硼酸マグネシウム、酸化亜鉛、硼化チタン及びムライトから選択される無機物質の球状粒子、多面体粒子、板状粒子、棒状粒子、ウイスカを0.1〜60体積%均一分散したセラミックスが挙げられる。球状粒子及び多面体粒子の粒径は0.1μm〜1mm、板状粒子、棒状粒子及びウイスカのアスペクト比は一般に1.5〜1000である。
【0025】
複合化方法としては、特に制限はないが、セラミックスの前駆体重合体、たとえば、ポリカルボシラン、ポリメタロカルボシラン、ポリシラザン等を窒化ホウ素被覆炭化ケイ素系セラミックス繊維の成形体に含浸した後に加熱焼成することにより複合化を行うポリマー含浸・焼成法、マトリックスの原料粉末のスラリーを含浸し、ホットプレス等で高温で加圧燒結する方法やマトリックス元素のアルコキシドを原料にしたゾルゲル法、又は反応ガスを用いた化学蒸着法や溶融金属を含浸させ、反応によりセラミックス化させる反応燒結法がある。
【0026】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明する。
実施例1
炭化ケイ素系繊維として、化学組成が、Si:67%、C:31%、O:0.3%、Al:0.8%、B:0.06%(原子比Si:C:O:Al=1:1.08:0.008:0.012)の結晶性炭化ケイ素系繊維の長繊維(平均直径:7.5μm、1600本/繊維束)を3次元織物(繊維割合は、X:Y:Z=1:1:0.2)に製織した。この織物を大気中600℃で1時間熱処理を行った。図1に熱処理前の繊維表面から深さ方向のオージェ分析結果、図2に熱処理後の繊維表面から深さ方向のオージェ分析結果を示す。熱処理前では繊維表面は95%以上はカーボンで40nm程度(SiO2換算)のカーボンリッチ層が認められるが、熱処理後には表面のカーボンの原子比率は約65%で、カーボンリッチ層は約5nm(SiO2換算)と非常に薄くなっていることがわかる。熱処理により酸素が認められるが、最表面での原子比率で約20%、5%以下になる厚さも5nm以下と低く抑えられていることがわかる。
【0027】
実施例2
実施例1と同じ結晶性炭化ケイ素系繊維の長繊維の3次元織物を大気中1000℃で10分間熱処理を行った。ついで10%のフッ酸溶液に30分間浸せきした。水洗したのち80℃で乾燥した。図3に乾燥後の繊維表面から深さ方向のオージェ分析結果を示す。表面のカーボンの原子比率は約70%で、カーボンリッチ層は約5nm(SiO2換算)と非常に薄くなっていることがわかる。フッ酸溶液に30分間浸せきしたことから、実施例1(図2)に比べ、酸素は最表面でも原子比率で約7%と低くなっていることが特徴で、5%以下になる厚さも5nm以下と低く抑えられていることがわかる。
【0028】
実施例3
1400℃に加熱した管状炉の前後に繊維の送り出しと巻き取り装置を設置し、実施例1と同じ結晶性炭化ケイ素系繊維の長繊維を炉内に送り込み、連続的に熱処理を行った。繊維の1400℃での滞留時間は5秒とした。図4に熱処理後の繊維表面から深さ方向のオージェ分析結果を示す。実施例1とほとんど同じ結果が得られていることがわかる。
【0029】
実施例4
実施例1の結晶性炭化ケイ素系繊維を3次元織物(繊維割合は、X:Y:Z=1:1:0.2)に界面層として窒化ホウ素を1000℃、原料ガスとして三塩化ホウ素とアンモニアを用いて化学気相蒸着法により形成させた。
ついで、ポリチタノカルボシラン100部をキシレン100部に溶解させた溶液に浸漬し、アルゴン雰囲気中5気圧で含浸させた。さらに、アルゴン気流中に150℃に加熱してキシレンを蒸発除去した後、1200℃で焼成し、無機化を行った。引き続き、前記浸漬、含浸、焼成を8回繰り返して、繊維体積率40%の結晶性炭化ケイ素強化複合材料を得た。比較材として熱処理をしない結晶性炭化ケイ素系繊維を3次元織物を用いて同様に結晶性炭化ケイ素強化複合材料を得た。
得られた複合材料の室温での引張強度はいずれも350MPaであった。これらの複合材料の高温、大気中における耐久性を評価するため、大気中で一定応力を加え破断するまでの時間を測定した。得られた結果を表1に示す。
表1から本発明の複合材料の高温、大気中での耐久性が比較材に比べきわめて優れており、本発明の表面カーボンリッチ層除去炭化ケイ素系セラミックス繊維で強化することより、高温、大気中での耐久性が大きく改善できることがわかる。
【0030】
【表1】
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、繊維表面に存在するカーボンリッチ層が除去されており、高温・酸化雰囲気でも安定な炭化ケイ素系セラミックス繊維及びその製造方法が提供できる。この繊維でセラミックスを強化することにより、高温での耐酸化性が優れたセラミックス基複合材料が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1の処理前の炭化ケイ素系繊維のAESによる繊維表面から深さ方向の元素プロファイルを示す図である。
【図2】図2は、実施例1の処理後の炭化ケイ素系繊維のAESによる繊維表面から深さ方向の元素プロファイルを示す図である。
【図3】図3は、実施例2の処理後の炭化ケイ素系繊維のAESによる繊維表面から深さ方向の元素プロファイルを示す図である。
【図4】図4は、実施例3の処理後の炭化ケイ素系繊維のAESによる繊維表面から深さ方向の元素プロファイルを示す図である。
Claims (4)
- 密度が2.7〜3.2g/cm3であり、重量割合で、Si:50〜70%、C:28〜45%、Al:0.06〜3.8%、及びB:0.06〜0.5%からなり、SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケイ素系繊維であって、繊維表面におけるCの原子比率が50%〜75%、Oの原子比率が0〜25%であり、かつC及びOの原子比率は繊維内部に向かって減少傾向にあり、Cの原子比率が55%以下になる繊維表面からの深さ、及びOの原子比率が5%以下になる繊維表面からの深さがともに0〜5nm(SiO2換算)であることを特徴とする炭化ケイ素系セラミックス繊維。
- 密度が2.7〜3.2g/cm3であり、重量割合で、Si:50〜70%、C:28〜45%、Al:0.06〜3.8%及びB:0.06%〜0.5%からなり、SiCの焼結構造からなる結晶性炭化ケイ素系繊維であって、繊維表面におけるCの原子比率が90〜100%で、Cの原子比率は内部に向かって減少傾向にあり、Cの原子比率が55%以下になる繊維表面からの深さが10nm(SiO2換算)以上である結晶性炭化ケイ素系繊維を大気中500℃から1500℃の温度で熱処理することを特徴とする請求項1記載の炭化ケイ素系セラミックス繊維の製造方法。
- 請求項1又は2記載の炭化ケイ素系セラミックス繊維を強化繊維とし、セラミックスをマトリックスとするセラミックス基複合材料。
- 炭化ケイ素系セラミックス繊維の形態が2次元あるいは3次元織物、又は一方向シート状物又はその積層物、又は不織布であることを特徴とする請求項3記載のセラミックス基複合材料。
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