JPH10511580A - 尿を収集する前部および糞便を収集する後部を備えた吸収製品 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 おむつ、失禁防具などのような吸収製品であって；製品の上面シート（１）が、製品を後部（４）と前部（５）に分割して、上面シートの後部に排泄された糞便が上面シートの前部に移動するのを防止することを目的とする横バリヤー（１１）を備えている。吸収体（３）中に、上面シートバリヤー（１１）に対しほぼ向かい合って液体バリヤー（２１）が配置され、この液体バリヤー（２１）は、少なくとも、着用時、着用者に近接して位置している吸収体の層（１８）において、吸収体中の液体が、製品の前部から後部へ移動するのを、完全にまたは部分的に防止する。

Description

【発明の詳細な説明】 尿を収集する前部および糞便を収集する後部を備えた吸収製品技術分野 本発明は、おむつ、パンツ型おむつ、失禁防具などのような吸収製品に関し、 これら吸収製品は、液体透過性の上面シート、液体不透過性の底面シートおよび これら両シートの間に封入された吸収体で構成され、その上面シートは吸収製品 を前部と後部に分割しかつ製品の後部に排泄された糞便が前部に移動するのを防 止するのを目的とする横バリヤーを備えている。発明の背景 糞便がおむつの前部へ広がるのを防止するのを目的として、横バリヤーを、お むつの上面シートに設置することは知られている。ヨーロッパ特許願公開第ＥＰ −Ａ−０３５５７４０号にはこのような横バリヤーが教示されており、そのバリ ヤーは、上面シートにプラスチック発泡体製のひも状物(string)を固定するか、 または、おむつの股領域で縦方向に延びて、上面シートのその領域にギャザーを 作る弾性部材によって横断する折目またはプリーツを作ることによって作製され ている。国際特許願公開第ＷＯ ９４／１４３９５号にも外側シート材料に対応 するタイプの横バリヤーが教示されている。 これら横バリヤーは、おむつの後部に排泄された糞便がおむつの前部へ広がっ て着用者の皮膚や性器を汚すのを防止することを目的としている。これら横バリ ヤーは、尿と糞便がおむつ表面で混合することも防止している。というのは、皮 膚が、尿と糞便の混合物に対し、これらの二つの各要素単独よりはるかに敏感で あることが知られているからである。糞便は、ある種の酵素を含有し、その酵素 は皮膚が刺激される際の重要な因子であると考えられている。また尿は糞便の存 在下でアンモニアを発生し易いのでｐＨを上昇させ、その結果、前記酵素の酵素 活性を増大させる。 しかし、かような横バリヤーは、尿が、下側に配置されている吸収体を通じて おむつの後部に広がって糞便と混合し、皮膚刺激の問題を起こし易い前記分解生 成物を生成するのを防止できない。本発明の目的および本発明の最も重要な独特の特徴 本発明の目的は、尿と糞便が、上面シートおよび下側の吸収体の両者に最も効 果的に別個に保持されるおむつまたは失禁防具のような吸収製品を提供すること である。この目的は、吸収体中の液体が吸収製品の前部から後部へ、完全にもし くは部分的に、そして少なくとも着用者に近接して位置している吸収体の上部に 移動するのを防止する液体バリヤーを、吸収体中の、上面シートバリヤーとほぼ 向かい合った位置に設置することによって達成されたのである。図面の簡単な説明 本発明を、その例示実施態様および添付図面によってより詳細に説明する。 図１は、着用者に近接している側から見た場合のおむつの平面図である。 図２は、別の実施態様のおむつの対応する平面図である。 図３は、図２に示すおむつの概略縦断面図である。 図４と図５は二つの実施態様の吸収体の概略縦断面図である。実施態様の説明 図１に示すおむつは、例えば不織布または穴あきプラスチックフィルム製の液 体透過性ケーシングシート１、例えばプラスチックフィルムまたは疎水性不織布 製の液体不透過性ケーシングシート２、およびこれら二つのケーシングシート１ と２の間に封入されている吸収体３で構成されている。 このおむつは、着用者の躯幹の下部のまわりに１組の吸収パンツとして着用す るのを目的とするものである。またこのおむつは、使用時、着用者の後方に位置 する後部４、使用時、着用者の前方に延びる前部、および後部４と前部５の間に 位置して着用者の大腿部の間の股に配置するための幅狭の股部６を備えている。 このおむつを望ましいパンツ様形態で固定できるように、ファスナーテープ７が おむつの腰後部の端縁８の近くに設けられている。使用時、このファスナーテー プもしくはタブ７は、おむつ前部５の外面で、腰前部の端縁９の近くに取り付け られ、おむつが着用者の腰のまわりに保持される。当然のことであるが、他の固 定器具、例えばVelcro（登録商標）ファスナー、ホックと留め穴などが考えられ る。 また図１に示すおむつは予め伸張された（pre−tensioned）弾性用具１０を備 え、これは、弾性発泡体、弾性リボン、バンドまたは被覆弾性系のような適切な 材料で構成されていてもよい。便宜上、上記弾性用具は図１には伸長された状態 で示した。しかし、この弾性用具は、その伸長を緩めると、直ちに収縮しておむ つの脚部開口のまわりに弾性端縁を形成する。 上記図に示すおむつは本発明を単に例示する実施態様であり本発明を限定する ものではないと解される。例えば、上記おむつの形態と構造は一般に変えること ができる。例えば特別のぴったり合ったパンツの中に支持するようにしたおむつ の場合、ファスナー用具類すなわちファスナーテープ７は省くことができ、また 弾性用具１０も省略できる。これら固定用具は、いわゆるパンツ型おむつまたは トレイニングパンツ（training pants）でも省略される。 横バリヤー１１は、おむつの股部に設置され、おむつの縦方向に対して一般に 横方向に延びている。このバリヤーは、着用者の方に上方に延びる延出部分（高 さ）を有し、糞便がおむつ後部４からおむつ前部５へ広がるのを防止し、かつ尿 が上面シート１にそって前記前部から前記後部へ広がるのを防止するのを目的と するものである。 上面シートバリヤー１１は、おむつを横方向に横切って直線または曲線で延出 していてもよく、そして公知の方法で製造することができる。例えばこのバリヤ ー１１は、上面シートに折目を作って作製するかまたは上面シート上に別個の帯 状物を取り付けて作製される。その帯状物としては、プラスチック発泡体の帯状 物か、または帯状物に持上げ効果を与えるためその外側自由端縁にそって弾性用 具を任意に設けた帯状体または不織布がある。 図２と図３に示す実施態様は、スエーデン特許願第９４００９１６−４号に対 応する製品であり、使用時、着用者に近接して位置している吸収体３の側に二重 ケーシングシート１ａと１ｂを備えている。すなわち吸収体３に近接して位置し ている内側ケーシングシート１ａと使用時に着用者に近接して位置する外側上面 シート１ｂを備えている。その上面シート１ｂは、液体透過性または液体不透過 性の皮膚に優しい材料で構成されている。このおむつは脚部弾性体１０も備えて いる。 この上面シートは、おむつの縦方向に細長く延びた開口１２と１３を有してい る。開口１２と１３の間に位置する、上面シート１ｂの領域１４は、糞便排泄点 と排尿点の中間に位置し、すなわちおむつが正しく配置されている場合、糞便と 尿はおむつのその領域に送られる。 弾性系１５，１６が伸張状態で上面シート１ｂに取り付けられ、おむつ前部か らおむつ後部へかけて開口１２と１３の側縁にそって、スエーデン特許願第９４ ００９１６−４で詳細に説明されている方式で延びている。 管状体１７が、上面シート１ｂと内側ケーシングシート１ａの間で上面シート の領域１４に平坦な状態で取り付けられ、上面シート１ｂが底部シート２と内側 ケーシングシート１ａに結合されている部位の間を横方向に延びている。管状体 １７の頂部側と底部側はそれぞれ、例えば超音波溶接法または類似の手段によっ て、接着ビーズ（glue bead）を用いて、上面シート１ｂと内側ケーシングシー ト１ａに固定されている。 管状体１７は、液体透過性または液体不透過性の材料で構成され、底部シート 、内側ケーシングシートまたは上面シートと同じ材料で製造することが好ましい 。あるいは、管状体１７を使用する代わりに、開口１２と１３の間のバリヤーは 、内側ケーシングシートと上面シートの間に折り畳まれた状態で取り付けられか つ管状体１７の取付け法に相当する方法で前記シートに固定される可撓性材料製 の単一壁で構成されていてもよい。 そのバリヤーはあるいは、スエーデン特許願第９４００９１６−４に記載され ているように、内側ケーシングシートまたは上面シートに形成されたプリーツま たは折目で作ることができる。 一般にバリヤー１１および１７それぞれに対し向かい合って、吸収体３の中に 、液体バリヤーが設けられ、この液体バリヤーが、吸収体の上部シートから液体 が吸収体の前部を通って吸収体後部に広がるのを完全にまたはかなりな程度防止 する。 図４と図５に示す実施態様は、三つの異なるシートまたは層、すなわち上部収 集層１８、中間貯留層１９および底部液体分散層２０を含んでなる吸収体３を備 えている。上記収集層１８は通常、微細孔の大きさが比較的大で湿潤レジリエン スが高くかつ液体分散性が低い吸収材料で構成され、その材料としては、例えば セルロースフラフ機械パルプ（mechanical cellulose fluff pulp）、セルロ ースフラフの熱機械パルプ（thermomechanical pulp）もしくは化学熱機械パル プ（chemi−thermomechanical pulp）（ＣＴＭＰ）、化学的に強化されたセル ロース繊維、合成繊維、吸収発泡体材料などがある。 貯留槽１９の吸収材料の主要部分は、微細孔の容積が比較的小さくかつ液体分 散容量が高いフラフパルプまたは他のある種の繊維材料で構成されている。化学 的に製造されたフラフパルプは、ほとんど純粋のセルロースの細い繊維で構成さ れているが、一般に液体分散性が高い。フラフパルプ例えばＣＴＭＰパルプは、 約０．１２ｇ／ｃｍ³より高い密度まで圧縮されたものでも比較的優れた液体分 散性を有している。優れた液体分散性を示す他の材料は、例えばＣＴＭＰまたは 化学パルプを圧縮し乾燥成形したシートパルプである。このような材料は国際特 許願公開第ＷＯ ８９／００６０５号に記載されている。吸収性発泡体の材料も 使用できる。 分散層中の繊維材料は、大部分が、上記のような化学フラフパルプの乾燥成形 されたシートパルプまたは優れた分散特性を有するある種の他の繊維材料で構成 されていることが好ましい。 収集層と貯留槽は特定量の高吸収材（superabsorbent）を含有していてもよい が、分散層は高吸収材を含有していないかまたはごく少量含有していることが好 ましい。 図４と図５に示す実施態様では、収集層１８の前部１８ａはその後部１８ｂよ り薄い。図４の実施態様では、この厚みの増大は一段階で行われているが、図５ の実施態様では、収集層の厚みは、おむつの予想排尿場所のすぐ後部に位置する 領域から逐次増大している。薄い前部１８ａは厚い後部１８ｂより密度が高い。 高密度の薄い前部１８ａは、下側の貯留槽１９と厚みの関係が逆になっているの で、貯留槽１９の方が収集層１８より耐圧縮性が高いならば、吸収体を圧縮する と自動的に得られる。フラフパルプ体の耐圧縮性は、とりわけ、関与しているパ ルプの種類と含有されている高吸収材の量によって決まる。 前部１８ａの密度が高いので、前記前部は、微細孔の平均の大きさが後部１８ ｂより小さい。毛管力は微細孔の大きさが小さくなるにつれて増大するので、受 入れ層の前部１８ａに排泄された液体は後部１８ｂには大きく広がらず、直ちに 下側の貯留槽１９に運ばれる。収集層の後部１８ｂはほとんど乾燥したままであ る。 図４と図５に示すように、物理的な液体バリヤー２１は、微細孔の大きさの差 異を補足するものとして、例えばプラスチック製帯状体または他のある種の液体 不透過性もしくは疎水性の材料製の帯状体の形態で、収集層１８の前部１８ａと 後部１８ｂの間に設置されている。このような物理的な液体バリヤー２１は、万 一前部１８ａが一時的に飽和しても、受入れ層の後部１８ｂに液体が漏洩するの を防止する。この液体バリヤー２１は上面シートのバリヤー１１または１７から 分離していても一体になっていてもよい。 物理的液体バリヤー２１を収集層１８に使用すれば、液体が前部１８ａと後部 １８ｂの間を移動するのを防止するためにこれら両部分の微細孔の大きさに差を つける必要はない。しかし、後部１８ｂが、下側の貯留槽１９からの液体で再び 濡れるのを防止するため、微細孔の大きさが比較的大きい材料で構成されていれ ば有利である。さらに、後部１８ｂが緩い糞便を有効に吸収できれば有利である 。 上記のように、収集層の前部１８ａと後部１８ｂの微細孔の大きさの差はこれ ら両部分の間の密度の差で得ることができるが、微細孔の大きさの差は、異なる 部分に異なるタイプの繊維材料を用いることによって１種類の同じ密度で得るこ ともできる。微細孔の大きさが異なるポリマーの発泡体も、繊維ベースの吸収材 料に加えて使用できる。 液体バリヤーは、収集層１８中に、その材料で、帯状体を、圧縮して作ること によって設置することも可能である。 液体バリヤーは、吸収体の厚み全体にわたって延ばさずにその上部のシートま たは層までに限定することが好ましい。このようにすれば、液体は、さらに、吸 収体の底部の層すなわち貯留槽と分散層の中に広げることができる。着用者に近 接した吸収体の上面が乾燥状態で保持されていることが重要である。 本発明によって提案されているように、糞便がおむつの後部から前部へ広がる のを防止するバリヤーを上面シートに設け、かつ吸収体の上層に、液体が該上層 の前部から後部へ広がるのを防止する液体バリヤーを設けることによって、尿と 糞便がおむつの中で極めて有効に分離されて、他の方法で、尿と糞便が混合する ときに生成するある種の皮膚刺激性分解生成物が生成することが防止される。 おむつの後部の吸収体の上層を乾燥状態に保持することによって得ることがで きるもう一つの利点は、異なるタイプの上面シートを、おむつの前部と後部それ ぞれに用いることができるようになることである。例えば、通常のケーシング材 料を前部用に選択することができるが、この材料は皮膚を吸収体中の液体から隔 離し、一方、後部用に親水性で吸収性のケーシング材料を選択できるが、この材 料は緩い糞便を吸収するのに適しており、例えばレーヨン、綿または他の親水性 天然繊維からなる布地または不織布がある。 本発明は、後記特許請求の範囲の範囲内でいくつもの変形が考えられるので、 勿論、上記実施態様に限定されない。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．液体透過性の上面シート（１）、液体不透過性の底部シート（２）および これら両シートの間に封入された吸収体（３）を備えてなるおむつ、パンツ型お むつ、失禁防具などのような吸収製品であって、上面シート（１）が、吸収製品 を前部（５）と後部（４）に分割しかつ製品後部（４）に排泄された糞便が製品 前部（５）に移動するのを防止する横バリヤー（１１，１７）を備え； さらに、上面シート（１）の上記バリヤー（１１，１７）にほぼ向かい合って 配置され、かつ少なくとも、着用者に近接して位置している吸収体の上部におい て、吸収体中の液体が製品の前部から後部に移動するのを完全にまたは部分的に 防止する液体バリヤー（２１）を、吸収体（３）が備えていることを特徴とする 吸収製品。 ２．前記液体バリヤーが吸収材料内の微細孔の平均の大きさの差によって製造 され、その結果、少なくとも、前部が液体で飽和されていないならば、少なくと も、着用者に近接している吸収体（３）の上層（１８）において、液体が上層の 前部（１８ａ）から後部（１８ｂ）に全体もしくは一部分が広がるのを毛管作用 で防止することを特徴とする請求の範囲１記載の吸収製品。 ３．前記液体バリヤーが、液体不透過性材料製の帯状体（２１）で構成され、 かつ上面シートのバリヤー（１１，１７）と別個にまたは一体になっていること を特徴とする請求の範囲１または２に記載の吸収製品。 ４．液体バリヤーが、上面シートのバリヤー（１１，１７）と別個にまたは一 体になっている、疎水性材料製の帯状体（２１）で構成されていることを特徴と する請求の範囲１〜３のいずれか一つに記載の吸収製品。 ５．前記液体バリヤーが吸収性材料の圧縮帯状体で構成されていることを特徴 とする請求の範囲１記載の吸収製品。 ６．吸収体（３）が、着用者に近接して位置する収集層（１８）および一つ以 上の下側の貯留槽（１９）と分散層（２０）を備えてなり、前記液体バリヤー（ ２１）が、ほとんど収集層（１８）だけを貫通して延びていることを特徴とする 請求の範囲１〜５のいずれか一つに記載の吸収製品。 ７．収集層（１８）の前部（１８ａ）の密度が、収集層の後部（１８ｂ）より 高いことを特徴とする請求の範囲６記載の吸収製品。 ８．収集層の後部（１８ｂ）の密度が、後方に向かって逐次低下することを特 徴とする請求の範囲７記載の吸収製品。 ９．収集層（１８）の前部（１８ａ）と後部（１８ｂ）が、微細孔の大きさが 異なっている異なる種類の吸収構造体で構成されていることを特徴とする請求の 範囲６記載の吸収製品。 10．使用時、着用者に近接して位置している液体透過性の上面シート（１）が 、製品の前部（５）と後部（４）において相互に異なる種類の材料製であり、上 面シートの後部が、緩い糞便を吸収するのに適した親水性材料、例えばレーヨン 、綿または他のある種の親水性天然繊維で製造された布地または不織布製であり 、一方、上面シートの前部が、着用者の皮膚を、吸収体（３）に吸収された液体 から隔離するよう構成されていることを特徴とする請求の範囲１〜９のいずれか 一つに記載の吸収製品。