JPH10502118A - 発泡方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 ハロゲン化発泡剤を用いる必要なしに、独立気泡構造を有する発泡製品の形成方法。この方法において、少なくとも50重量％のスチレン系ポリマー及びこのスチレン系ポリマーの90％未満の平均分子量を有する50重量％以下のアクリル系ポリマーを含むポリマー混合物、及び炭化水素発泡剤が加熱された押出機に供給され、ここで混合物が形成され、発泡剤が混入されて溶融混合物を形成し、この混合物を押出機から取り出すことにより発泡製品が形成される。

Description

【発明の詳細な説明】 発泡方法 本発明は、スチレン系ポリマーと少なくとも１種のアクリル系ポリマーの混合 物から形成される発泡製品の製造方法に関する。 ポリスチレンが、押し出しを含む種々の方法により容易に発泡されることはよ く知られている。そのような工業上製造されるポリスチレンフォーム（特定の処 理をまったく行わないもの）の密度は、通常32kg/m³のオーダーである。 GB 2146941は、押出法によるポリスチレンフォームの製造を開示している。 EP 0411923は、従来のハロゲン化炭化水素発泡剤の代わりに発泡剤として液体 二酸化炭素を用いる押出法により、32〜160kg/m³の密度を有するポリスチレンフ ォームの製造に関するものである。よく知られているように、そのようなハロゲ ン化炭化水素の使用には環境に対する危険性があり、従ってますます許容されな くなっている。しかしながら、発泡剤として二酸化炭素を用いる方法には、液体 二酸化炭素を冷凍する必要性がある。 非ハロゲン化水素でもなく、液体二酸化炭素でもない物理発泡剤を用いて、低 密度ポリスチレンフォーム、すなわち32kg/m³以下の密度を有するフォームを製 造することは困難である。 米国特許第3554932号は、炭化水素発泡剤を用いて、スチレンホモポリマーを 含む種々のポリマーの発泡を改良するために核剤を使用することに関する。スチ レンフォームの密度は約64kg/m³である。そのような材料から通常の密度のフォ ームを製造するため、通常は材料を直接減圧環境に発泡し、材料を制御された再 発泡の形態に することが必要であり、例えば米国特許第4552904号は、押し出されたフォーム を再発泡することにより32kg/m³未満の密度を有するポリスチレンフォームの製 造を開示している。そのような要件はフォーム製造方法を複雑にし、炭化水素に より発泡されたフォームの価格を高めることになる。 本発明の目的は、再発泡もしくは他のそのような手段を用いる必要がなく、炭 化水素発泡剤を用いて従来の押出発泡方法を用いる通常の密度もしくは低密度ポ リスチレンを提供することである。 従って、第一の態様において、本発明は、(a)少なくとも50重量％のスチレン 系ポリマー及びこのスチレン系ポリマーの90％未満の平均分子量を有する50重量 ％以下のアクリル系ポリマーを含むポリマー混合物、及び(b)炭化水素発泡剤を 含む独立気泡構造を有する発泡製品の形成方法であって、スチレン系ポリマー及 びアクリル系ポリマーを加熱された押出機に供給すること、押出機内でスチレン 系ポリマーとアクリル系ポリマーを加熱しかつ混合して溶融したポリマー混合物 を形成すること、押出機内でこの溶融したポリマー混合物に炭化水素発泡剤を混 入し溶融した混合物を形成すること、そして押出機からこの溶融した混合物を取 り出して発泡剤により溶融した混合物を発泡させ、発泡製品を形成することを含 む方法を提供する。 第二の態様において、本発明は、(a)少なくとも50重量％のスチレン系ポリマ ー及びこのスチレン系ポリマーの90％未満の平均分子量を有する50重量％以下の アクリル系ポリマーを含むポリマー混合物、及び(b)炭化水素発泡剤を含む独立 気泡構造を有する発泡製品を提供する。 スチレン系リマーは少なくとも１種のスチレン、メチルスチレン、アクリロニ トリルのホモポリマー又はコポリマーであってよい。 好ましくは、スチレン系ポリマーのモノマーユニットの少なくとも50％はスチレ ン由来のものであり、特に好ましくはこのスチレン系ポリマーはスチレンのホモ ポリマーである。 好適には、このスチレン系ポリマーは180000〜250000、より好ましくは180000 〜230000、例えば約200000の平均分子量を有する。 アクリル系ポリマーは、少なくとも１種のＣ_1-8アルキル（Ｃ₁₄アルキル）ア クリレート、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリ レート、プロピルアクリレート及びブチルアクリレートのホモポリマー又はコポ リマーであってもよい。好ましくは、このアクリル系ポリマーはコポリマーであ り、特に好ましくは、メタクリレート、例えばメチルメタクリレートとアクリレ ート、例えばメチルアクリレートもしくはエチルアクリレートを含むコポリマー である。このアクリル系ポリマーは、メタクリレート、例えばメチルメタクリレ ート由来のモノマーユニットを、好ましくは50〜100重量％、より好ましくは80 〜95重量％、さらに好ましくは90〜95重量％含み、このモノマーユニットの残余 は少なくとも１種のアクリレート由来のものである。 このアクリル系ポリマーは、スチレン系ポリマーの平均分子量の90％未満、好 ましくは80％未満、特に好ましくは75％未満、さらに好ましくは50〜60％の平均 分子量を有する。好適には、このアクリル系ポリマーは50000〜180000、好まし くは50000〜150000、特に好ましくは80000〜140000の平均分子量を有する。 この発泡製品は独立気泡構造を有する。通常、この独立気泡は、1000〜1000μ m、好ましくは100〜900μm、さらに好ましくは100〜600μmのサイズを有する。 この発泡製品の密度は、発泡剤として従来のハロゲン化炭化水素を用いてスチ レン系ポリマーのみから形成された同様の発泡製品以 下である。炭化水素発泡剤はスチレン系ポリマーとよりも混合物中のアクリル系 ポリマーとの相溶性が高く、アクリル系ポリマーを用いることにより、より多く の炭化水素発泡剤を混入させることができ、従ってより低密度のフォームが得ら れるのである。 発泡製品の特性、例えば熱伝導性はスチレン系ポリマーのみより形成された発 泡製品と同等である。製造直後の発泡製品の熱伝導性は通常20〜24mW/mK、例え ば約21mW/mKであり、周囲と平衡になった後に25〜27mW/mK、例えば約26mW/mKに 上昇する。同様に、発泡スチレン系ポリマーも製造直後の約24mW/mKから時間と 共に約27mW/mKに上昇する。 発泡製品の圧縮強さはアクリル系ポリマー含量を高めると低下する。しかしな がら、50％以下のアクリルポリマー含量では、圧縮強さは150〜260kPaに維持さ れるであろう。 使用する場合、発泡製品を好適な基材、例えば石膏板、木材もしくは他のプラ スチックに積層し、断熱建設材料を形成してもよい。 この発泡製品は従来の押出装置で形成してもよい。こうして形成した場合、押 出軸に垂直な発泡製品の断面の密度の変化は通常「バスタブ」曲線を示し、すな わち発泡製品は表面よりも中心において密度が低い。このバスタブ曲線は押出発 泡材料には一般的であるが、観察される密度は従来のスチレン系ポリマーを真空 に発泡押し出しすることにより又は再発泡することにより、例えば空気中もしく は水蒸気中で加熱することによりのみ達成された。この後者の場合、バスタブ曲 線は逆転した。 好適な炭化水素発泡剤は当該分野において一般的なものである。好ましくは、 この発泡剤はプロパン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン及び ヘプタンより選択される。用いられる発泡剤の量は、少なくとも一部は、ポリマ ー混合物の組成及び発泡製 品の所望の密度によってきまる。通常、特定のポリマー混合物においてはハロゲ ン化炭化水素発泡剤よりも少ない炭化水素発泡剤が用いられる。従って、炭化水 素発泡剤はポリマー100kgに対し２〜10kg、好ましくは４〜８kgで用いられる。 以下の実施例は本発明をさらに説明する。 実施例１ この例において、用いられたアクリル系ポリマーは、メチルアクリレートと12 9000の平均分子量を有する５％エチルアクリレート（ＥＡ）のコポリマーであっ た。22％w/wのこのアクリル系ポリマーを78％w/wの、約200000の平均分子量を有 するスチレンのホモポリマーと共に用いてポリマー混合物を形成した。このポリ マー混合物を従来の押出機内で加熱し、ここに発泡剤を加え、次いで３mm×300m mの寸法のダイスロットを通して大気中に押し出した。 密度の差は、発泡剤としてR22を用いて同じ装置でスチレンのホモポリマーよ り製造した発泡製品に関する。 アクリル系ポリマーの混入によりスチレン系ポリマーを改質すれば、通常の密 度のフォームの製造に炭化水素発泡剤を用いることができることが明らかである 。

【手続補正書】特許法第１８４条の８ 【提出日】１９９６年５月２１日 【補正内容】 １）明細書 国際出願明細書第２頁（明細書翻訳文第２頁第20行〜第４頁第２行「第二の態 様において、…得られるのである。」） 第二の態様において、本発明は、(a)少なくとも50重量％のスチレン系ポリマ ー及びこのスチレン系ポリマーの90％未満の平均分子量を有する50重量％以下の アクリル系ポリマーを含むポリマー混合物、及び(b)炭化水素発泡剤を含む独立 気泡構造を有する発泡製品を提供する。 スチレン系ポリマーは、少なくとも１種のスチレン、メチルスチレン、アクリ ロニトリルのホモポリマー又はコポリマーであってもよい。好ましくは、スチレ ン系ポリマーのモノマーユニットの少なくとも50％はスチレン由来のものであり 、特に好ましくはこのスチレン系ポリマーはスチレンのホモポリマーである。 好適には、このスチレン系ポリマーは180000〜250000、より好ましくは180000 〜230000、例えば約200000の平均分子量を有する。 アクリル系ポリマーは、少なくとも１種のＣ_1-8アルキル（Ｃ_1-4アルキル）ア クリレート、例えばメチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリ レート、プロピルアクリレート及びブチルアクリレートのホモポリマー又はコポ リマーである。好ましくは、このアクリル系ポリマーはコポリマーであり、特に 好ましくは、メタクリレート、例えばメチルメタクリレートとアクリレート、例 えばメチルアクリレートもしくはエチルアクリレートを含むコポリマーである。 このアクリル系ポリマーは、メタクリレート、例えばメチルメタクリレート由来 のモノマーユニットを、好ましくは50〜100重量％、より好ましくは80〜95重量 ％、さらに好ましくは90〜95重量％含み、このモノマーユニットの残余は少なく とも１種の アクリレート由来のものである。 このアクリル系ポリマーは、スチレン系ポリマーの平均分子量の90％未満、好 ましくは80％未満、特に好ましくは75％未満、さらに好ましくは50〜60％の平均 分子量を有する。好適には、このアクリル系ポリマーは50000〜180000、好まし くは50000〜150000、特に好ましくは80000〜140000の平均分子量を有する。 この発泡製品は独立気泡構造を有する。通常、この独立気泡は、1000〜1000μ m、好ましくは100〜900μm、さらに好ましくは100〜600μmのサイズを有する。 この発泡製品の密度は、発泡剤として従来のハロゲン化炭化水素を用いてスチ レン系ポリマーのみから形成された同様の発泡製品以下である。炭化水素発泡剤 はスチレン系ポリマーとよりも混合物中のアクリル系ポリマーとの相溶性が高く 、アクリル系ポリマーを用いることにより、より多くの炭化水素発泡剤を混入さ せることができ、従ってより低密度のフォームが得られるのである。 ２）請求の範囲（請求の範囲翻訳文第６頁〜第７頁） 請求の範囲 １．独立気泡構造を有しかつ(a)少なくとも50重量％のスチレン系ポリマー及 び少なくとも１種のＣ_1-8アルキル（Ｃ_1-4アルキル）アクリレートのホモポリマ ーもしくはコポリマーでありかつこのスチレン系ポリマーの90％未満の平均分子 量を有する50重量％以下のアクリル系ポリマーを含むポリマー混合物、及び(b) 炭化水素発泡剤を含む発泡製品の形成方法であって、スチレン系ポリマー及びア クリル系ポリマーを加熱された押出機に供給すること、押出機内でスチレン系ポ リマーとアクリル系ポリマーを加熱しかつ混合して溶融したポリマー混合物を形 成すること、押出機内でこの溶融したポリマー混合物に炭化水素発泡剤を混人し 溶融した混合物を形成すること、そして押出機からこの溶融した混合物を取り出 して発泡剤により溶融した混合物を発泡させ、発泡製品を形成することを含む方 法。 ２．スチレン系ポリマーのモノマーのユニットの少なくとも50％がスチレン由 来のものである、請求項１記載の方法。 ３．スチレン系ポリマーがスチレンのホモポリマーである、請求項２記載の方 法。 ４．スチレン系ポリマーが180000〜250000の平均分子量を有する、請求項１〜 ３のいずれか記載の方法。 ５．アクリル系ポリマーがメタクリレート由来のモノマーユニットを50〜100 重量％含み、モノマーユニットの残余が少なくとも１種のアクリレート由来のも のである、請求項１〜４のいずれか記載の方法。 ６．独立気泡が100〜1000μmのサイズを有する、請求項１〜５のいずれか記載 の方法。 ７．発泡剤がプロパン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン及 びヘプタンより選ばれる、請求項１〜６のいずれか記載の方法。 ８．炭化水素発泡剤がポリマー混合物100kgに対し２〜10kgのレベルで用いら れる、請求項１〜７のいずれか記載の方法。 ９．(a)少なくとも50重量％のスチレン系ポリマー及びこのスチレン系ポリマ ーの90％未満の平均分子量を有する50重量％以下のアクリル系ポリマーを含むポ リマー混合物、及び(b)炭化水素発泡剤を含む、請求項１〜９のいずれか記載の 方法により形成されることのできる、独立気泡を有する発泡製品。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.⁶ 識別記号 庁内整理番号 ＦＩ Ｂ２９Ｋ 105:04 (81)指定国 ＥＰ(ＡＴ，ＢＥ，ＣＨ，ＤＥ， ＤＫ，ＥＳ，ＦＲ，ＧＢ，ＧＲ，ＩＥ，ＩＴ，ＬＵ，Ｍ Ｃ，ＮＬ，ＰＴ，ＳＥ)，ＡＭ，ＡＵ，ＢＢ，ＢＧ，Ｂ Ｒ，ＢＹ，ＣＡ，ＣＮ，ＣＺ，ＦＩ，ＧＥ，ＨＵ，ＪＰ ，ＫＥ，ＫＧ，ＫＰ，ＫＲ，ＫＺ，ＬＫ，ＬＴ，ＬＶ， ＭＤ，ＭＧ，ＭＮ，ＭＷ，ＮＯ，ＮＺ，ＰＬ，ＲＯ，Ｒ Ｕ，ＳＤ，ＳＩ，ＳＫ，ＴＪ，ＴＴ，ＵＡ，ＵＳ，ＵＺ ，ＶＮ (72)発明者 クロス，バーナード ジョン イギリス国，クリーブランド ティーエス ９ ５エイチエフ，ミドルスブロウ，スト ークスレー，ロゼベリー アベニュ 67

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １．独立気泡構造を有しかつ(a)少なくとも50重量％のスチレン系ポリマー及 びこのスチレン系ポリマーの90％未満の平均分子量を有する50重量％以下のアク リル系ポリマーを含むポリマー混合物、及び(b)炭化水素発泡剤を含む発泡製品 の形成方法であって、スチレン系ポリマー及びアクリル系ポリマーを加熱された 押出機に供給すること、押出機内でスチレン系ポリマーとアクリル系ポリマーを 加熱しかつ混合して溶融したポリマー混合物を形成すること、押出機内でこの溶 融したポリマー混合物に炭化水素発泡剤を混入し溶融した混合物を形成すること 、そして押出機からこの溶融した混合物を取り出して発泡剤によりこの溶融した 混合物を発泡させ、発泡製品を形成することを含む方法。 ２．スチレン系ポリマーのモノマーのユニットの少なくとも50％がスチレン由 来のものである、請求項１記載の方法。 ３．スチレン系ポリマーがスチレンのホモポリマーである、請求項２記載の方 法。 ４．スチレン系ポリマーが180000〜250000の平均分子量を有する、請求項１〜 ３のいずれか記載の方法。 ５．アクリル系ポリマーがメタクリレート由来のモノマーユニットを50〜100 重量％含み、モノマーユニットの残余が少なくとも１種のアクリレート由来のも のである、請求項１〜４のいずれか記載の方法。 ６．アクリル系ポリマーがスチレン系ポリマーの平均分子量の90％未満である 平均分子量を有する、請求項１〜５のいずれか記載の方法。 ７．独立気泡が100〜1000μｍのサイズを有する、請求項１〜６ のいずれか記載の方法。 ８．発泡剤がプロパン、ブタン、ペンタン、イソペンタン、シクロペンタン及 びヘプタンより選ばれる、請求項１〜７のいずれか記載の方法。 ９．炭化水素発泡剤がポリマー混合物100kgに対し２〜10kgのレベルで用いら れる、請求項１〜８のいずれか記載の方法。 10．(a)少なくとも50重量％のスチレン系ポリマー及びこのスチレン系ポリマ ーの90％未満の平均分子量を有する50重量％以下のアクリル系ポリマーを含むポ リマー混合物、及び(b)炭化水素発泡剤を含む、請求項１〜９のいずれか記載の 方法により形成されることのできる、独立気泡を有する発泡製品。