JPH1044A

JPH1044A - 魚釣用スピニングリール

Info

Publication number: JPH1044A
Application number: JP15434596A
Authority: JP
Inventors: Akira Yamaguchi; 明山口; Masatoshi Katayama; 真敏片山; Eiji Shinohara; 英二篠原
Original assignee: Daiwa Seiko Co Ltd
Current assignee: Globeride Inc
Priority date: 1996-06-14
Filing date: 1996-06-14
Publication date: 1998-01-06
Anticipated expiration: 2016-06-14
Also published as: JP3358783B2

Abstract

(57)【要約】【課題】本発明は魚釣用スピニングリールに関し、釣
糸の巻取り操作時に於ける糸撚れの蓄積を防止し、併せ
て釣糸のダメージの軽減を図った魚釣用スピニングリー
ルを提供することを目的とする。【解決手段】ハンドルに連動回転するロータの支持ア
ームに装着した支持部材に、釣糸案内部を設けたライン
ローラを回転可能に支持した魚釣用スピニングリールに
於て、上記ラインローラの釣糸案内部の一側部に、巻取
り操作時に於ける釣糸のラインローラ軸方向への移動を
規制するガイド部を設けると共に、当該ガイド部をライ
ンローラの他側部側よりも大径に形成し、その釣糸接触
面を略平面状としたことを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、釣糸の巻取り操作
時に於ける糸撚れの蓄積を防止し、併せて釣糸のダメー
ジの軽減を図った魚釣用スピニングリールに関する。

【０００２】

【従来の技術】従来周知のように、魚釣用スピニングリ
ールは、ロータに設けた一対の支持アームの先端に、半
環状のベールが一対の支持部材を介して釣糸巻取位置側
と釣糸放出位置側に夫々反転自在に取り付き、又、釣糸
をスプールに案内するラインローラが一方の支持部材に
回転可能に支持されている。

【０００３】そして、ベールを釣糸巻取位置へ倒してハ
ンドルの操作でロータを釣糸巻取り方向へ回転させる
と、ロータの回転に連動して前後方向へトラバース運動
するスプールに釣糸が巻回され、又、ベールを釣糸放出
位置側へ倒して仕掛けを投擲すると、スプールに巻回さ
れた釣糸がスパイラル状に繰り出されるようになってい
る。

【０００４】ところで、従来、この種の魚釣用スピニン
グリールにあっては、スプールの周囲を回転するロータ
に装着したラインローラによって釣糸をスプールに案内
する構造上、釣竿ガイドに対するラインローラの位置の
変化やスプールに巻回される釣糸の巻径の変化、更には
前後方向へトラバース運動するスプールの位置の変化等
の影響でラインローラの釣糸案内部に於ける糸道が安定
せず、スプールへの釣糸の巻取りに伴い、釣糸がライン
ローラの軸方向に移動して釣糸に糸撚れが発生すること
が知られている。

【０００５】そして、釣糸に糸撚れが蓄積されると、魚
釣操作中に糸絡みが発生し、又、長期に亘る使用によっ
て糸切れ等のトラブルが発生してしまう虞があった。そ
こで、斯かる不具合を解決するため、昨今、図２２及び
図２３に示すように、ラインローラ１，３の釣糸案内部
１ａ，３ａの外周面上に案内周溝５，７を設けた魚釣用
スピニングリールが、実開平６−４６４６７号公報及び
実用新案登録第３０２０７９８号公報に夫々開示されて
いる。

【０００６】而して、これらの魚釣用スピニングリール
によれば、案内周溝５，７が釣糸の不要な軸方向（各図
中、矢印方向）の移動を規制して糸道を安定させるた
め、従来に比し糸撚れを減少させることが可能となる。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】然し乍ら、上記各従来
例にあっては、釣糸をスプールに案内する案内周溝５，
７の側面の接触面積が小さく、然も、実際の巻取り操作
時に於ける釣糸の張力変動の影響もあって、当該側面と
の摺接抵抗で釣糸に局部的な変形やしごきが加わり、釣
糸がダメージを受けて寿命が低下してしまうといった課
題が残されていた。

【０００８】本発明は斯かる実情に鑑み案出されたもの
で、釣糸の巻取り操作時に於ける糸撚れの蓄積を防止
し、併せて釣糸のダメージの軽減を図った魚釣用スピニ
ングリールを提供することを目的とする。

【０００９】

【課題を解決するための手段】斯かる目的を達成するた
め、請求項１に係る発明は、ハンドルに連動回転するロ
ータの支持アームに装着した支持部材に、釣糸案内部を
設けたラインローラを回転可能に支持した魚釣用スピニ
ングリールに於て、上記ラインローラの釣糸案内部の一
側部に、巻取り操作時に於ける釣糸のラインローラ軸方
向への移動を規制するガイド部を設けると共に、当該ガ
イド部をラインローラの他側部側よりも大径に形成し、
その釣糸接触面を略平面状としたことを特徴とする。

【００１０】そして、請求項２に係る発明は、請求項１
記載の魚釣用スピニングリールに於て、釣糸案内部がロ
ータの釣糸巻取り回転方向へ順次大径に成形されている
ことを特徴とし、請求項３に係る発明は、請求項１記載
の魚釣用スピニングリールに於て、釣糸案内部を、ガイ
ド部の基部に設けた釣糸の案内周溝と、当該案内周溝に
釣糸を誘導する傾斜誘導面とで構成したことを特徴とす
る。

【００１１】（作用）各請求項に魚釣用スピニングリー
ルで釣りを行う場合、従来と同様、ベールを釣糸巻取り
位置へ反転させてハンドルの操作でロータを釣糸巻取り
方向へ回転させると、ラインローラを介して釣糸がスプ
ールに巻回される。そして、このとき、スプールの周囲
をロータと共にラインローラが回転するため、釣竿ガイ
ドに対するラインローラの位置の変化やスプールに巻回
される釣糸の巻径の変化、更には前後方向へトラバース
運動するスプールの位置の変化等の影響で、釣糸がライ
ンローラの軸方向に移動しようとするが、ガイド部の釣
糸接触面が釣糸のラインローラ軸方向の移動を規制して
糸道を安定させることとなる。

【００１２】そして、請求項２に係る発明によれば、ラ
インローラは、ロータの釣糸巻取り回転方向へ向け順次
大径に形成されているため、ラインローラと釣糸との摩
擦はラインローラの大径側に於いて強く、その結果、そ
の形状の作用により、ロータ巻取り回転方向と逆方向、
つまり、投擲時に生じる糸撚れと反対方向の糸撚れが釣
糸に発生してスプールに巻回されることとなる。そし
て、斯様に生じた釣糸の糸撚れは、投擲時に発生する糸
撚れと相殺されて解消される。

【００１３】又、請求項３に係る発明によれば、釣糸巻
取り位置へのベールの反転操作によって、釣糸が傾斜誘
導面を介して案内周溝に案内されることとなる。

【００１４】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づき詳細に説明する。

【００１５】図１乃至図４は請求項１及び請求項２に係
る魚釣用スピニングリールの第一実施形態を示し、図１
に於て、１１は魚釣用スピニングリール（以下、「スピ
ニングリール」という）１３のリール本体で、当該リー
ル本体１１の前端にロータ１５が回転可能に軸着されて
おり、ロータ１５には図２に示すようにこれと一体に一
対の支持アーム１７，１９がリール本体１１の前後方向
に形成されている。

【００１６】そして、支持アーム１７，１９の先端に、
一対のベール支持部材２１，２３が釣糸巻取り位置と釣
糸放出位置とに反転自在に装着されており、両ベール支
持部材２１，２３間に半環状のベール２５が取り付き、
又、一方のベール支持部材２１にラインローラ２７が回
転可能に支持されている。図３に示すようにベール支持
部材２１は、支持アーム１７に反転自在に取り付くベー
ルアーム２９と、ベール２５の取付部として機能する断
面略Ｔ字状のラインスライダー３１とからなり、ライン
スライダー３１はその軸部３１ａがベールアーム２９に
ボルト締めされている。そして、当該軸部３１ａとベー
ルアーム２９との間に挟持されたボールベアリング３３
を介して、ラインローラ２７が回転可能に支持されてい
る。

【００１７】ラインローラ２７は、図３及び図４に示す
ようにその釣糸案内部２７ａが、ベールアーム２９側か
らラインスライダー３１側、即ち、ロータ１５の釣糸巻
取り回転方向（図４中、矢印Ａ方向）へ順次大径となる
テーパ状に成形されている。又、釣糸案内部２７ａのベ
ールアーム２９側周縁部には、釣糸の巻取り操作時に釣
糸が当接して、そのラインローラ軸方向（図４中、矢印
方向）への移動を規制し糸道を安定させる略円盤状のガ
イド部３５が一体に設けられている。そして、ガイド部
３５はラインローラ２７の他側部２７ｂ側よりも大径に
形成されると共に、巻取り操作時に釣糸が接触するその
釣糸接触面３５ａが平面状に成形された構造となってい
る。

【００１８】尚、ガイド部３５の外径Ｌ₁ は、ラインロ
ーラ２７の他側部２７ｂの外径Ｌ₂よりも１ｍ／ｍ以上
大きく設定するのが好ましく、これを２ｍ／ｍ以上大き
く設定すると、釣糸接触面３５ａでの釣糸への摺接が優
しくより好ましいものとなることが試験結果から明らか
となっている。そして、図３中、２９ａ，３１ｂは、夫
々、上記ガイド部３５とラインローラ２７の他側部２７
ｂの外周を覆ってベールアーム２９とラインスライダー
３１の周縁部に設けた糸噛み防止用の環状突起で、上述
したようにガイド部３５に比しラインローラ２７の他側
部２７ｂ側を小径とした結果、ベールアーム２９側の環
状突起２９ａの外径Ｌ₃ に比しラインスライダー３１側
の環状突起３１ｂの外径Ｌ₄ を小さくすることができ、
この結果、ラインスライダー３１の小型，軽量化によっ
てロータ１５全体の軽量化が図られると共に、前方への
重量偏倚が少なくなってロータ１５の回転バランスが良
好となる副次的な効果が得られる。

【００１９】又、従来と同様、リール本体１１にはロー
タ１５と同軸上にスプール３７が装着されており、図示
しないがスプール３７は、リール本体１１にトラバース
運動可能に取り付くスプール軸の先端に取付ナットを介
して螺着されている。そして、リール本体１１には釣糸
巻取用のハンドル３９が装着されており、ハンドル３９
の回転軸とロータ１５は、図示しない従来周知の駆動歯
車やピニオンからなるギヤ機構を介して連繋され、又、
スプール軸は、その後端部に固着した摺動子やトラバー
スカム軸からなる従来周知のトラバース機構により、ロ
ータ１５の回転に連動してリール本体１１の前後方向へ
トラバース運動するようになっている。

【００２０】従って、従来のスピニングリールと同様、
ベール２５を釣糸放出位置へ倒して仕掛けを投擲する
と、スプール３７に巻回された釣糸がスパイラル状に繰
り出され、又、ベール２５を釣糸巻取り位置へ反転させ
てハンドル操作でロータ１５を釣糸巻取り方向へ回転さ
せると、これに連動してリール本体１１の前後方向へト
ラバース運動するスプール３７に、ラインローラ２７を
介して釣糸が巻回されることとなる。

【００２１】尚、図１に示すように上記スプール３７
も、従来と同様、前側鍔部３７ａと釣糸巻回胴部３７ｂ
と後側鍔部３７ｃとで構成されている。そして、一般に
スプールの釣糸巻回胴部は、スプール軸方向前方に向か
って順次小径となるテーパ状（正テーパ）に成形されて
いるが、本実施形態では、スプール３７の釣糸巻回胴部
３７ｂを従来と逆方向のテーパ形状（逆テーパ）に成形
して、釣糸放出時に於ける釣糸の糸崩れの防止を図って
いる。

【００２２】更に又、本実施形態では、上記釣糸巻回胴
部３７ｂを従来に比し大口径化すると共に、後側鍔部３
７ｃの後部３７ｄ側を内方へ向けて折曲形成したことを
特徴としており、斯様に後側鍔部３７ｃの後部３７ｄ側
を内方へ折曲させることで、ロータ１５を大口径化する
ことなくスプール３７の大口径化が可能となり、この結
果、糸巻量の増加，釣糸の放出性の向上等といったスプ
ールの大口径化の利点を活かし乍ら、釣糸放出時の糸崩
れの防止を図り、更にリール全体の小型，軽量化が可能
となる尚、一般にラインローラの材質としては種々のセラミッ
クスや銅合金に硬質メッキ処理を施した硬質材が多く使
用されるが、上記ラインローラ２７もこのような硬質材
によって成形されている。

【００２３】本実施形態に係るスピニングリール１３は
このように構成されているから、ベール２５を釣糸放出
位置へ倒して仕掛けを投擲すると、スプール３７に巻回
された釣糸はスパイラル状に繰り出され、そして、スプ
ール３７の釣糸巻回胴部３７ｂは逆テーパに成形されて
いるため、釣糸放出時に於ける釣糸の糸崩れが防止され
る。

【００２４】又、ベール２５を釣糸巻取り位置へ反転さ
せてハンドルの操作でロータ１５を釣糸巻取り方向へ回
転させると、これに連動してリール本体１１の前後方向
へトラバース運動するスプール３７に、ラインローラ２
７を介して釣糸が巻回される。そして、このとき、スプ
ール３７の周囲をロータ１５と共にラインローラ２７が
回転するため、釣竿ガイドに対するラインローラ２７の
位置の変化やスプール３７に巻回される釣糸の巻径の変
化、更には前後方向へトラバース運動するスプール３７
の位置の変化等の影響で、釣糸がラインローラ２７の軸
方向に移動しようとするが、釣糸がガイド部３５の釣糸
接触面３５ａに接触し乍らスプール３７に案内され、釣
糸の移動が規制されて糸道が安定することとなる。

【００２５】然も、上述したようにラインローラ２７
は、ロータ１５の釣糸巻取り回転方向へ向け順次大径と
なるテーパ状に形成されているため、ラインローラ２７
と釣糸との摩擦はラインローラ２７の大径側に於いて強
く、その結果、投擲時に生じる糸撚れと反対方向の糸撚
れが釣糸に発生してスプール３７に巻回されることとな
る。そして、斯様に生じた釣糸の糸撚れは、投擲時に発
生する糸撚れと相殺されて解消される。

【００２６】このように、本実施形態によれば、釣糸の
巻取り操作時にガイド部３５が釣糸のラインローラ軸方
向への移動を規制してその糸道を安定させると共に、巻
取りに伴い、投擲時に発生する糸撚れと逆方向の糸撚れ
を釣糸に発生させて、これを釣糸の繰出し時に相殺させ
るようにしたので、釣糸に糸撚れが蓄積されることがな
くなり、因って、糸撚れの蓄積による糸絡みや糸切れ等
のトラブルの発生を防止することが可能となった。

【００２７】又、本実施形態によれば、ガイド部３５の
外径をラインローラ２７の他側部２７ｂよりも大径とし
てその釣糸接触面３５ａの接触面積を大きくすると共
に、その釣糸接触面３５ａを平面状に成形したので、図
２２及び図２３に示す従来例に比し釣糸に局部的な変形
やしごきが加わることがなくなり、釣糸に与えるダメー
ジが減少することとなった。

【００２８】更に又、上述したように本実施形態は、ガ
イド部３５に比しラインローラ２７の他側部２７ｂ側を
小径とした結果、ベールアーム２９側の環状突起２９ａ
の外径Ｌ₃ に比しラインスライダー３１側の環状突起３
１ｂの外径Ｌ₄ を小さくすることができるので、ライン
スライダー３１の小型，軽量化によってロータ１５全体
の軽量化が図られると共に、前方への重量偏倚が少なく
なってロータ１５の回転バランスが良好となった。

【００２９】加えて、本実施形態によれば、スプール３
７の釣糸巻回胴部３７ｂを従来と逆方向のテーパ形状
（逆テーパ）に成形したため、釣糸放出時に於ける釣糸
の糸崩れの防止が図れると共に、スプール３７の後側鍔
部３７ｃの後部３７ｄ側を内方へ折曲させることで、ロ
ータ１５を大口径化することなくスプール３７の大口径
化が可能となるので、スプールの大口径化の利点を活か
し乍らリール全体の小型，軽量化が可能となった。

【００３０】図５は請求項１及び請求項２の第二実施形
態に係るスピニングリールに用いるラインローラ、そし
て、図６は請求項１及び請求項２の第三実施形態に係る
スピニングリールに用いるラインローラを示し、図５の
ラインローラ４１は、平面状に成形した上記釣糸接触面
３５ａに代え、ガイド部３５と同様に設けたガイド部４
３の釣糸接触面４３ａを略平面状の緩やかな曲面形状と
したものであり、図６に示すラインローラ４５は、テー
パ状に成形したラインローラ７の釣糸案内部２７ａに代
え、釣糸案内部４５ａをロータ１５の釣糸巻取り回転方
向へ順次大径なラッパ状に成形したもので、各ガイド部
３５，４３やラインローラ４１，４５の他側部４１ａ，
４５ｂ側の寸法を始め、その他の構成は上記第一実施形
態と同様である。

【００３１】而して、これらの実施形態によっても、上
記実施形態と同様、所期の目的を達成することが可能で
ある。以下、ラインローラの形状を種々代えた各実施形
態を図７以下で説明するが、ラインローラを除く構成は
上記第一実施形態と同様であるので、同一のものには同
一符号を付してそれらの説明は省略する。

【００３２】図７は請求項１及び請求項２の第四実施形
態に係るスピニングリールに装着するラインローラに係
り、本実施形態は、ラインローラ４７の釣糸案内部４７
ａをテーパ角度の異なる第一テーパ部４７ａ′と第二テ
ーパ部４７ａ″とで構成して、釣糸案内部４７ａをロー
タ１５の釣糸巻取り回転方向へ順次大径に成形したもの
で、ガイド部３５側の第一テーパ部４７ａ′は第二テー
パ部４７ａ″に比しテーパ角度が小さく設定されてい
る。

【００３３】そして、細糸を使用したとき、釣糸は第一
テーパ部４７ａ′によって案内され、太糸を使用したと
き、釣糸は第二テーパ部４７ａ″で案内されるように各
テーパ部４７ａ′，４７ａ″は設定されている。而し
て、本実施形態によれば、上述した各実施形態と同様の
効果を得ることができることは勿論、一つのラインロー
ラ４７で糸径の異なる２種類の釣糸に対応することが可
能となる。

【００３４】図８は請求項１及び請求項２の第五実施形
態に係るスピニングリールに用いるラインローラを示
し、図４に示すラインローラ２７は、釣糸案内部２７ａ
の略全域に亘ってこれをテーパ状に成形したが、本実施
形態では、ラインローラ４９の釣糸案内部４９ａのう
ち、ガイド部３５近傍のみをロータ１５の釣糸巻取り回
転方向へ順次大径なテーパ状に成形したものである。

【００３５】そして、図９は請求項１及び請求項２の第
六実施形態に係るスピニングリールに用いるラインロー
ラを示し、本実施形態は図８の構成に加え、ラインロー
ラ５１の他側部５１ａ側周縁部に糸噛み防止用の環状フ
ランジ５３を設けたことを特徴とする。而して、これら
のラインローラ４９，５１を用いることで、第一実施形
態と同様の効果を得ることができるが、図９のラインロ
ーラ５１によれば、釣糸の巻取り操作時に於て釣糸を若
干繰り出すような場合、環状フランジ５３によってライ
ンローラ５１とラインスライダー３１との間に釣糸が絡
まることがなくなるので、釣糸の糸噛みが防止できる利
点を有する。

【００３６】図１０は請求項１の第一実施形態に係るス
ピニングリールに用いるラインローラを示し、本実施形
態に於けるラインローラ５５は、その釣糸案内部５５ａ
が円筒形状に成形されている。そして、釣糸案内部５５
ａのベールアーム２９側周縁部には、既述したガイド部
３５と同様、巻取り操作時に釣糸が当接して、そのライ
ンローラ軸方向への移動を規制して糸道を安定させる略
円盤状のガイド部５７が一体に設けられている。

【００３７】又、ガイド部５７と反対側、即ち、釣糸案
内部５５ａのラインスライダー３１側周縁部には、糸噛
み防止用の環状フランジ５９が設けられている。そし
て、ガイド部５７は環状フランジ５９よりも大径に形成
されると共に、巻取り操作時に釣糸が接触するその釣糸
接触面５７ａが平面状に形成された構造となっている。
そして、ラインローラ５５は、図９に示すラインローラ
５１と同一寸法Ｌ₅ を以って成形されているが、ガイド
部５７と環状フランジ２９はラインローラ５１に設けた
ガイド部３５と環状フランジ５３に比し夫々肉厚に成形
されて、釣糸案内部５５ａが既述した各実施形態に比し
幅狭な寸法となっている。

【００３８】尚、本実施形態に於ても、ガイド部５７の
外径Ｌ₆ は、環状フランジ５９の外径Ｌ₇ よりも１ｍ／
ｍ以上大きい構造が好ましく、ガイド部５７の外径Ｌ₆
が２ｍ／ｍ以上大きいと、釣糸接触面５７ａでの釣糸へ
の摺接が優しくより好ましいものとなる。

【００３９】而して、本実施形態によっても、上記各実
施形態と同様、所期の目的を達成することが可能である
が、本実施形態の如く釣糸案内部５５ａを幅狭に成形す
ることで、釣糸の不要なラインローラ軸方向への移動が
より確実に防止できる利点を有する。図１１は請求項１
の第二実施形態に係るスピニングリールに装着するライ
ンローラを示し、本実施形態に於けるラインローラ６１
は、図１０に示す構造に加え、ガイド部５７の隅部に座
ぐり６３を設けて、糸撚れの原因となる不要な釣糸の転
がりを防止したものである。

【００４０】図４乃至図９で既述した各ラインローラに
あっても、夫々、各ガイド部の隅部に座ぐりを設けた構
成となっており、巻取り操作中に釣糸が図１０に示すガ
イド部５７の隅部に接触案内されたとき、当該隅部がア
ール状に大きく成形されていると、糸撚れの原因となる
不要な釣糸の転がりが発生する虞がある。そこで、本実
施形態は、図１０の構造に加えてガイド部５７の隅部に
座ぐり６３を設けたもので、糸撚れの原因となる不要な
釣糸の転がりを防止することが可能となる。

【００４１】図１２は請求項１及び請求項２の第七実施
形態に係るスピニングリールに用いるラインローラを示
し、本実施形態は図１０の釣糸案内部５５ａに代え、ラ
インローラ６５の釣糸案内部６５ａをロータ１５の釣糸
巻取り回転方向へ向け順次大径となるテーパ状に形成し
たもので、斯かる構成によれば、図１０に示すラインロ
ーラ５５に比し、より確実に糸撚れの蓄積による糸絡み
や糸切れ等のトラブルの発生を防止することが可能とな
る。

【００４２】尚、図４では、ガイド部３５の隅部に上記
座ぐり６３と同様な座ぐりを設けたラインローラ２７を
図示したが、図１３に示すラインローラ６７のように、
ガイド部３５の隅部に座ぐりを敢えて設ける必要はな
く、斯かる隅部のアール形状を極力小さくすることで、
糸撚れの原因となる不要な釣糸の転がりを防止すること
が可能である。

【００４３】図１４は請求項１及び請求項３の第一実施
形態に係るスピニングリールに装着するラインローラに
係り、本実施形態のラインローラ６９は、釣糸案内部６
９ａのベールアーム２９側周縁部に、上記ガイド部３５
と同様、巻取り操作時に釣糸のラインローラ軸方向への
移動を規制して糸道を安定させるガイド部７１を環状に
成形し、そして、その釣糸接触面７１ａをベールアーム
２９の周縁部側に傾斜する平滑な傾斜面とすると共に、
釣糸案内部６９ａを、ガイド部７１の基部に設けた案内
周溝６９ａ′と、当該案内周溝６９ａ′に釣糸を誘導す
る傾斜誘導面６９ａ″とで構成したものである。

【００４４】上記傾斜誘導面６９ａ″は、ロータ１５の
釣糸巻取り回転方向へ向け順次大径となるテーパ状に形
成され、又、案内周溝６９ａ′の底部はラインローラ６
９の軸方向と平行に形成されて、当該底部から上記釣糸
接触面７１ａが斜め方向に形成されている。尚、本実施
形態に於ても、上記ガイド部７１はラインローラ６９の
他側部６９ｂよりも大径に形成され、ガイド部７１の外
径Ｌ₈ はラインローラ６９の他側部６９ｂの外径Ｌ₉ よ
り１ｍ／ｍ以上大きい構造が好ましい。

【００４５】そして、図１５は請求項１及び請求項３の
第二実施形態に係るスピニングリールに用いるラインロ
ーラに係り、本実施形態は、テーパ状に成形した上記傾
斜誘導面６９ａ″に代えて、傾斜誘導面７３ａ″をロー
タ１５の釣糸巻取り回転方向へ向け順次大径となるラッ
パ状に成形すると共に、上記案内周溝６９ａ′と同一形
状からなる案内周溝７３ａ′をガイド部７１の基部に設
けて、これらでラインローラ７３の釣糸案内部７３ａを
構成したものである。

【００４６】又、図１６乃至図１８の各ラインローラ７
５，７７，７９は、夫々、請求項１及び請求項３の第三
乃至第五実施形態に係るスピニングリールに用いるライ
ンローラを示し、これらの各実施形態は、図１４の案内
周溝６９ａ′に代えて、その軸方向規制面７５ａ′を垂
直面とした案内周溝７５ａや断面略Ｕ字状の案内周溝７
７ａ、或いは断面略Ｖ字状の案内周溝７９ａとしたこと
を特徴とする。

【００４７】更に又、図１９は請求項１及び請求項３の
第六実施形態に係るスピニングリールに装着するライン
ローラを示し、この実施形態は、図１４のガイド部７１
に代えて、ラインローラ８１のベールアーム２９側周縁
部に設けたガイド部８３の釣糸接触面８３ａを垂直な平
滑面としたものであり、図２０に示すラインローラ８５
は、ガイド部８３の隅部に座ぐり８７を設けた請求項１
及び請求項３の第七実施形態である。

【００４８】而して、図１４以下に示すこれらの各実施
形態によれば、釣糸巻取り位置へのベール２５の反転操
作によって、釣糸が各傾斜誘導面６９ａ″，７３ａ″を
介して案内周溝６９ａ′，７３ａ′，７５ａ，７７ａ，
７９ａに案内され、当該各案内周溝６９ａ′，７３
ａ′，７５ａ，７７ａ，７９ａとガイド部７１，８３の
釣糸接触面７１ａ，８３ａによって釣糸のラインローラ
軸方向への移動を規制し乍ら、釣糸をスプール３７に案
内することとなる。

【００４９】そして、これらの各実施形態にあっても、
ガイド部７１，８３の外径をラインローラ６９，７３，
７５，７７，７９，８１，８５の他側部よりも大径とし
てその釣糸接触面７１ａ，８３ａの接触面積を大きくす
ると共に、当該釣糸接触面７１ａ，８３ａを平面状に成
形したので、図２２及び図２３に示す従来例に比し釣糸
に局部的な変形やしごきが加わることがなくなり、釣糸
に与えるダメージが減少することとなった。

【００５０】更に又、上述したように各実施形態にあっ
ても、ガイド部７１，８３に比しラインローラ６９，７
３，７５，７７，７９，８１，８５の他側部側を小径と
した結果、ベールアーム２９側の環状突起２９ａの外径
に比しラインスライダー３１側の環状突起３１ｂの外径
を小さくすることができるので、ラインスライダー３１
の小型，軽量化によってロータ１５全体の軽量化が図ら
れると共に、前方への重量偏倚が少なくなってロータ１
５の回転バランスが良好となる。

【００５１】そして、図１９の如くガイド部８３の釣糸
接触面８３ａを垂直な平滑面としたことで、ベール反転
操作による糸すくい時等に於て、図１４のラインローラ
６９に比し案内周溝６９ａ′からの釣糸のはみ出しや乗
り上がりを確実に防止することができる。尚、図１４の
ガイド部７１に代え、図２１に示すラインローラ８９の
ように、ガイド部９１の釣糸接触面９１ａを緩やかな曲
面形状からなる略平面状の釣糸接触面９１ａとしてもよ
く、斯かる実施形態によっても、同様の効果を得ること
が可能である。

【００５２】

【発明の効果】以上述べたように、各請求項に係るスピ
ニングリールによれば、釣糸の巻取り操作時に於ける糸
道が安定すると共に、釣糸に局部的な変形やしごきが加
わることがなくなって釣糸のダメージが減少することと
なった。然も、本発明によれば、ガイド部に比しライン
ローラの他側部側を小径とした結果、ベール取付部側の
小型，軽量化か可能となるので、ロータ全体の軽量化が
図られると共に、前方への重量偏倚が少なくなってロー
タの回転バランスが良好となる。

【００５３】又、請求項２に係る発明によれば、巻取り
に伴い、釣糸案内部の形状の作用によりロータ巻取り回
転方向と逆方向、つまり、投擲時に発生する糸撚れと逆
方向の糸撚れを釣糸に発生させてこれを釣糸の繰出し時
に相殺させることができるので、釣糸に糸撚れが蓄積さ
れることがなくなり、因って、糸撚れの蓄積による糸絡
みや糸切れ等のトラブルの発生をより確実に防止するこ
とが可能である。

【図面の簡単な説明】

【図１】請求項１及び請求項２の第一実施形態に係るス
ピニングリールの正面図である。

【図２】図１に示すスピニングリールの側面図である。

【図３】ラインローラとこれを支持するベール支持部材
の断面図である。

【図４】図１のスピニングリールに用いるラインローラ
の断面図である。

【図５】請求項１及び請求項２の第二実施形態に係るス
ピニングリールに用いるラインローラの断面図である。

【図６】請求項１及び請求項２の第三実施形態に係るス
ピニングリールに用いるラインローラの断面図である。

【図７】請求項１及び請求項２の第四実施形態に係るス
ピニングリールに用いるラインローラの断面図である。

【図８】請求項１及び請求項２の第五実施形態に係るス
ピニングリールに用いるラインローラの断面図である。

【図９】請求項１及び請求項２の第六実施形態に係るス
ピニングリールに用いるラインローラの断面図である。

【図１０】請求項１の第一実施形態に係るスピニングリ
ールに用いるラインローラの断面図である。

【図１１】請求項１の第二実施形態に係るスピニングリ
ールに用いるラインローラの断面図である。

【図１２】請求項１及び請求項２の第七実施形態に係る
スピニングリールに用いるラインローラの断面図であ
る。

【図１３】請求項１及び請求項２の第八実施形態に係る
スピニングリールに用いるラインローラの断面図であ
る。

【図１４】請求項１及び請求項３の第一実施形態に係る
スピニングリールに用いるラインローラの断面図であ
る。

【図１５】請求項１及び請求項３の第二実施形態に係る
スピニングリールに用いるラインローラの断面図であ
る。

【図１６】請求項１及び請求項３の第三実施形態に係る
スピニングリールに用いるラインローラの断面図であ
る。

【図１７】請求項１及び請求項３の第四実施形態に係る
スピニングリールに用いるラインローラの断面図であ
る。

【図１８】請求項１及び請求項３の第五実施形態に係る
スピニングリールに用いるラインローラの断面図であ
る。

【図１９】請求項１及び請求項３の第六実施形態に係る
スピニングリールに用いるラインローラの断面図であ
る。

【図２０】請求項１及び請求項３の第七実施形態に係る
スピニングリールに用いるラインローラの断面図であ
る。

【図２１】請求項１及び請求項３の第八実施形態に係る
スピニングリールに用いるラインローラの断面図であ
る。

【図２２】従来のラインローラとこれを支持するベール
支持部材の断面図である。

【図２３】従来の他のラインローラとこれを支持するベ
ール支持部材の断面図である。

【符号の説明】

１１リール本体１３スピニングリール１５ロータ１７，１９支持アーム２１，２３ベール支持部材２５ベール２７，４１，４５，４７，４９，５１，５５，６１，６
５，６７，６９，７３，７５，７７，７９，８１，８
５，８９ラインローラ２７ａ，４５ａ，４７ａ，４９ａ，５５ａ，６５ａ，６
９ａ，７３ａ釣糸案内部２９ベールアーム３１ラインスライダー３５，４３，５７，７１，８３，９１ガイド部３５ａ，４３ｂ，５７ａ，７１ａ，８３ａ，９１ａ釣
糸接触面３７スプール４７ａ′ 第一テーパ部４７ａ″ 第二テーパ部５３，５９環状フランジ６９ａ′，７３ａ′，７５ａ，７７ａ，７９ａ案内周
溝６９ａ″，７３ａ″ 傾斜誘導面

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】ハンドルに連動回転するロータの支持ア
ームに装着した支持部材に、釣糸案内部を設けたライン
ローラを回転可能に支持した魚釣用スピニングリールに
於て、上記ラインローラの釣糸案内部の一側部に、巻取り操作
時に於ける釣糸のラインローラ軸方向への移動を規制す
るガイド部を設けると共に、当該ガイド部をラインロー
ラの他側部側よりも大径に形成し、その釣糸接触面を略
平面状としたことを特徴とする魚釣用スピニングリー
ル。
【請求項２】釣糸案内部は、ロータの釣糸巻取り回転
方向へ順次大径に成形されていることを特徴とする請求
項１記載の魚釣用スピニングリール。
【請求項３】釣糸案内部を、ガイド部の基部に設けた
釣糸の案内周溝と、当該案内周溝に釣糸を誘導する傾斜
誘導面とで構成したことを特徴とする請求項１記載の魚
釣用スピニングリール。