JP3100851B2 - 魚釣用スピニングリ−ル - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】この発明は、釣糸をスプ−ルに案
内する装置を改善した魚釣用スピニングリ−ルに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来一般に魚釣用スピニングリ−ルは、
スプ−ルにベ−ル及び釣糸案内部のラインロ−ラ−を有
するロ−タ−を回転させて釣糸を巻回するタイプであ
る。しかし、スプ−ルの外側を回転するロ−タ−の釣糸
案内部のラインロ−ラ−を介してスプ−ルに釣糸を巻回
する場合に縒りながらスプ−ルに巻回された釣糸は、ベ
−ルを起こして釣糸を螺旋状に放出することにより、蓄
積された縒れは、解かれて解消されると考えられるが、
釣糸が巻回されるスプ−ル巻取り径は、釣糸の繰り出し
又は巻取り量の変化により、小さくなったり、大きくな
ったりし、巻取り径が大きくなると、鼓状のラインロ−
ラ−が使用された時、釣糸はラインロ−ラ−を右側（反
ベ−ル側）に移動してスプ−ル側へ案内されることにな
るので、釣糸放出方向と同方向の縒れが作り出されてし
まい、巻取り時の縒れを放出時に解消されず、巻取り径
の影響により、逆に発生して蓄積してしまう問題があ
る。更に実際上は、釣糸の巻取りと放出操作の繰り返し
に伴い、釣糸の張力、海水、砂、ゴミ等が付着した釣糸
とラインロ−ラ−との摩擦抵抗、ラインロ−ラ−の形
状、釣糸の種類及び太さ等々の影響により、巻取りの際
に、釣糸放出時の縒れを解消する方向に作用しきれず、
この縒れが蓄積されて巻取りや放出操作時に糸絡みとし
て発生したり、釣糸が切断し易くなったり等のトラブル
が発生している。

【０００３】このような不具合を改善するために、実公
平３−17661 号公報で鼓状のラインロ−ラ−の中心より
スプ−ル側に釣糸を寄せるための突起状の制御部材をラ
インロ−ラ−ア−ムに取り付けて放出時と同方向の縒れ
を生じさせずに放出時と反対方向の打ち消す方向の縒れ
を巻取り時に生じさせて縒れを解消するようにしたもの
が知られているが、釣糸放出状態から釣糸巻取状態への
反転操作時や巻取操作時における釣糸の張力変化、風、
糸グセ等により、釣糸が制御部材を乗り越えて反対側に
位置してしまうことがあり、本来の目的である糸縒れ防
止の効果が得られない。又、部分的に外方へ制御部材が
突出しているため、釣糸が絡みつき易く、巻取操作を支
障なく円滑に行えない等の課題が残されている。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】解決しようとする問題
点は、前記のように不具合を改善しても、釣糸放出状態
から釣糸巻取状態への反転操作時や巻取操作時における
釣糸の張力変化、風、糸グセ等により、釣糸が制御部材
を乗り越えて反対側に位置してしまうことがあり、本来
の目的である糸縒れ防止の効果が得られない。又、部分
的に外方へ制御部材が突出しているため、釣糸が絡みつ
き易く、巻取操作を支障なく円滑に行えない等の課題が
残されていることである。

【０００５】本発明の目的は前記欠点に鑑み、巻取りの
際の糸縒れが、釣糸放出時においての糸縒れ発生の解消
を図りながら、巻取操作時における釣糸の絡みを防止
し、安定した釣糸の案内操作が行える魚釣用スピニング
リ−ルを提供することである。

【０００６】

【問題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、ハンドルの回転に連動回転するロ−タ
−の支持腕の先端部に釣糸巻取位置と釣糸放出位置に反
転自在に支持されて先端に支持部と連結部とベール取付
部とを一体に形成したベ−ル支持部材にスプ−ルに釣糸
を案内するラインロ−ラ−を備え、前記ベ−ル支持部材
に該ラインロ−ラ−へ案内する釣糸の軸方向位置を規制
する糸道制御部を設けた魚釣用スピニングリ−ルにおい
て、前記ベ−ル支持部材の連結部の上側に突出しないよ
うに段部で釣糸の軸方向位置を規制する糸道制御部を形
成すると共に、該糸道制御部に隣接する両側面を糸道制
御部側へ向けて低くなる傾斜面に形成して前記糸道制御
部への釣糸の誘導案内を容易としたことを要旨とするも
のである。

【０００７】

【作用】一方のベ−ル支持部材４の釣糸巻取状態で、ロ
−タ−２が回転されると一方のベ−ル支持部材４が図２
で時計方向に回転されて釣糸13が糸道制御部4h、14に当
接されて方向が変えられ、ラインロ−ラ−７で案内され
てスプ−ル３に巻回される。釣糸13は釣糸13に掛かる張
力でラインロ−ラ−７、７′、７″に当接し、かつ釣糸
13でラインロ−ラ−をベ−ル取付部4c方向に押すように
当接され、巻取り径が大きくなっても、釣糸13のライン
ロ−ラ−との当接位置は反ベ−ル側に移動することなく
スプ−ル３側へ案内されることになるので、釣糸放出時
の縒れを解消する方向に巻取り径変化に影響されずにス
プ−ル３に巻回される。釣糸13の巻取動作で釣糸13は糸
道制御部4h、14に当接されて方向が変えられ、糸道制御
部4h、14に隣接する両側面に傾斜面が形成されているか
ら、糸道制御部4h、14への釣糸13の誘導案内を容易に
し、釣糸13は常に糸道制御部4h、14に当接されてライン
ロ−ラ−との当接位置が反ベ−ル側となることがないの
で、釣糸放出時の縒れを解消する方向に巻取り径変化に
影響されずにスプ−ル３に巻回される。更に糸道制御部
4h、14はベ−ル支持部材４の上側に突出していないの
で、釣糸13の絡みを防止できる。

【０００８】

【実施例】以下、図示の実施例によって本発明を説明す
ると、図１から図５は第１実施例で、図１は魚釣用スピ
ニングリ−ルの側面図と一部拡大側面図、図２は魚釣用
スピニングリ−ルの正面図と一部拡大正面図、図３は一
方のベ−ル支持部材の要部断面側面図、図４は一方のベ
−ル支持部材の側面図、図５は一方のベ−ル支持部材の
正面図である。

【０００９】図１、図２で魚釣用スピニングリ−ルはリ
−ル本体１の前面に図示しない回転筒軸にロ−タ−２が
固定されてロ−タ−２の前側に図示しないスプ−ル軸に
スプ−ル３が取り付けられている。ロ−タ−２はハンド
ル10の回転で図示しない駆動機構を介して回転され、ス
プ−ル３はハンドル10の回転で図示しないオシレ−ト機
構を介して前後に往復動される。ロ−タ−２の一対のベ
−ル支持腕2a、2bの先端部外側にベ−ル支持部材４、５
がビス11で図１の実線の釣糸巻取位置と２点鎖線の釣糸
放出位置に反転自在に軸承されている。

【００１０】図３で一方のベ−ル支持部材４の先端には
支持部4aと連結部4bとベ−ル取付部4cがコ字形に一体に
形成されている。支持部4aには大径の透孔4dとそれより
小径の透孔4eと段部4fが穿設されて保持部６が嵌合され
ている。ベ−ル取付部4cには軸部4gが保持部６方向に向
けて形成されている。保持部６には透孔6aと凹部6bが穿
設されて凹部6bに軸部4gの先端が嵌合され、透孔6aに挿
入された螺子12で、凹部6bに嵌合された軸部4gが取り付
けられている。軸部4g外周にスプ−ル３に釣糸13を案内
するラインロ−ラ−７が回転自在に嵌合されている。ベ
−ル取付部4cと他方のベ−ル支持部材５にはベ−ルア−
ム８が夫々取り付けられている。

【００１１】連結部4bの上側には図１、図２、図４、図
５のように、段部でラインロ−ラ−７へ案内する釣糸13
の軸方向位置を規制する糸道制御部4hが形成され、糸道
制御部4hの両側は糸道制御部4h位置が低くなる糸道制御
部4hへの釣糸13の誘導案内を容易とする傾斜面4i、4jが
形成されている。ラインロ−ラ−７の形状は、外周面が
鼓状に両端の大径部7a、7bと谷部7cで形成されている。

【００１２】ロ−タ−２の回転による釣糸13の巻取動作
は、一方のベ−ル支持部材４の釣糸巻取状態で、ロ−タ
−２が回転されると一方のベ−ル支持部材４が図２で時
計方向に回転されて釣糸13が糸道制御部4hに当接されて
方向が変えられ、ラインロ−ラ−７で案内されてスプ−
ル３に巻回される。釣糸13はラインロ−ラ−７の谷部7c
から大径部7a側に釣糸13に掛かる張力で当接し、かつ釣
糸13でラインロ−ラ−７をベ−ル取付部4c方向に押すよ
うに当接され、巻取り径が大きくなっても、釣糸13のラ
インロ−ラ−７との当接位置は鼓状のラインロ−ラ−７
の大径部7b方向の右側（反ベ−ル側）に移動することな
くスプ−ル３側へ案内されることになるので、釣糸放出
時の縒れを解消する方向に巻取り径変化に影響されずに
スプ−ル３に巻回される。

【００１３】釣糸13の巻取動作で釣糸13は糸道制御部4h
に当接されて方向が変えられ、糸道制御部4hの両側に傾
斜面4i、4jが形成されているから、糸道制御部4hへの釣
糸13の誘導案内を容易にし、釣糸13は常に糸道制御部4h
に当接されてラインロ−ラ−７との当接位置が谷部7cか
らベ−ル支持部材４の支持部4a側の大径部7bとなること
がないので、釣糸放出時の縒れを解消する方向に巻取り
径変化に影響されずにスプ−ル３に巻回される。更に糸
道制御部4hは連結部4bの上側に突出していないので、釣
糸13の絡みを防止できる。

【００１４】前記のように魚釣用スピニングリ−ルが構
成されると、釣糸13は糸道制御部4hに当接されて方向が
変えられてラインロ−ラ−７で案内されてスプ−ル３に
巻回され、釣糸13はラインロ−ラ−７の谷部7cから大径
部7a側に釣糸13に掛かる張力で当接し、かつ釣糸13でラ
インロ−ラ−７をベ−ル取付部4c方向に押すように当接
されるので、巻取り径が大きくなっても、釣糸13のライ
ンロ−ラ−７との当接位置は鼓状のラインロ−ラ−７の
大径部7b方向の右側（反ベ−ル側）に移動することなく
スプ−ル３側へ案内されることになるので、釣糸放出時
の縒れを解消する方向に巻取り径変化に影響されずに作
用し、釣糸の糸縒れ発生・蓄積を極力抑えることができ
る。又、糸道制御部4hの両側に傾斜面4i、4jが形成され
ているから、糸道制御部4hへの釣糸13の誘導案内を容易
にし、釣糸13は常に糸道制御部4hに当接されてラインロ
−ラ−７との当接位置が谷部7cからベ−ル支持部材４の
支持部4a側の大径部7bとなることがないので、釣糸放出
時の縒れを解消する方向に巻取り径変化に影響されずに
作用し、釣糸の糸縒れ発生・蓄積を極力抑えることがで
きる。更に糸道制御部4hは連結部4bの上側に突出してい
ないので、釣糸13の絡みを防止し、安定した釣糸の案内
操作が行える。

【００１５】図６は傾斜面の第１変形例で、図６は一方
のベ−ル支持部材の正面図である。

【００１６】第１変形例では、一方のベ−ル支持部材４
が釣糸放出状態から釣糸巻取状態に反転される時、ベ−
ルア−ム８で釣糸13がすくい上げられるベ−ル取付部4c
側の連結部4bの上側にのみ傾斜面4jが形成されている。
支持部4a側の連結部4bの上側は平面4kに形成されてい
る。他の構成・作用効果は前記第１実施例と略同一であ
る。

【００１７】図７は傾斜面の第２変形例で、図７は一方
のベ−ル支持部材の正面図である。

【００１８】第２変形例では、支持部4a側の連結部4bの
上側に傾斜面4iが形成され、ベ−ル取付部4c側の連結部
4bの上側には段部で平面4mに形成されている。他の構成
・作用効果は前記第１実施例と略同一である。

【００１９】図８から図10は第２実施例で、図８は一方
のベ−ル支持部材の要部断面側面図、図９は一方のベ−
ル支持部材の側面図、図10は一方のベ−ル支持部材の正
面図である。

【００２０】第２実施例では、支持部4aと支持部4a側の
連結部4bの上側にカバ−体９が固定され、カバ−体９に
傾斜面9aが形成されている。連結部4bとカバ−体９には
夫々凹部4n、9bが形成されて丸ピンからなる糸道制御部
14が取り付けられている。ラインロ−ラ−７′の形状
は、一端の外周7dの外径に対して他端の外周7eの外径が
一方のベ−ル支持部材４の支持部4a側からベ−ル取付部
4c側に順次大径になるように傾斜面7fの円錐台に形成さ
れている。他の構成・作用効果は前記第１実施例と略同
一である。

【００２１】図11から図13は第３実施例で、図11は一方
のベ−ル支持部材の要部断面側面図、図12は一方のベ−
ル支持部材の側面図、図13は一方のベ−ル支持部材の正
面図である。

【００２２】第３実施例では、連結部4bの上側に支持部
4a側からベ−ル取付部4c側に突出部4oが形成されて突出
部4oの上側に傾斜面4iが、連結部4bの上側に傾斜面4jが
形成されている。突出部4oには透孔4pが穿設され、透孔
4pの下方の連結部4bに凹部4nが形成されて丸ピンからな
る糸道制御部14が透孔4pに圧入するように取り付けられ
ている。ラインロ−ラ−７″の形状は、外周面がＶ字状
に両端の大径部7g、7hと谷部7iで形成されている。他の
構成・作用効果は前記第１実施例と略同一である。

【００２３】前記説明のラインロ−ラ−７、７′、７″
は何れの実施例にも実施してもよい。

【００２４】

【発明の効果】本発明は前述のように構成されたから、
ロ−タ−と一方のベ−ル支持部材が釣糸巻取回転方向に
回転されると、釣糸は糸道制御部に当接されて方向が変
えられてラインロ−ラ−で案内されてスプ−ルに巻回さ
れ、釣糸はラインロ−ラ−に釣糸に掛かる張力で当接
し、かつ釣糸でラインロ−ラ−をベ−ル取付部の方向に
押すように当接されるので、巻取り径が大きくなって
も、釣糸のラインロ−ラ−との当接位置はラインロ−ラ
−の反ベ−ル側に移動することなくスプ−ル側へ案内さ
れることになり、不必要な釣糸の軸方向移動による釣糸
の糸縒れ発生・蓄積を極力抑えることができる。又、糸
道制御部の両側に隣接する両側面を糸道制御部への釣糸
の誘導案内を容易とする傾斜面に形成されたので、ベ−
ルア−ムの反転操作及び釣糸の巻取操作時に釣糸は確実
に糸道制御部に当接される。更に糸道制御部はベ−ル支
持部材の上側に突出していないので、釣糸の絡みを防止
し、安定した釣糸の案内操作が行える等優れた効果を奏
する魚釣用スピニングリ−ルを提供することが出来る。

【図面の簡単な説明】

【図１】第１実施例で、魚釣用スピニングリ−ルの側面
図と一部拡大側面図である。

【図２】同魚釣用スピニングリ−ルの正面図と一部拡大
正面図である。

【図３】同一方のベ−ル支持部材の要部断面側面図であ
る。

【図４】同一方のベ−ル支持部材側の側面図である。

【図５】同一方のベ−ル支持部材の正面図である。

【図６】傾斜面の第１変形例で、一方のベ−ル支持部材
の正面図である。

【図７】傾斜面の第２変形例で、一方のベ−ル支持部材
の正面図である。

【図８】第２実施例で、一方のベ−ル支持部材の要部断
面側面図である。

【図９】同一方のベ−ル支持部材の側面図である。

【図１０】同一方のベ−ル支持部材の正面図である。

【図１１】第３実施例で、一方のベ−ル支持部材の要部
断面側面図である。

【図１２】同一方のベ−ル支持部材の側面図である。

【図１３】同一方のベ−ル支持部材の正面図である。

【符号の説明】

２ ロ−タ− 2a、2b ベ−ル支持腕 ３ スプ−ル ４、５ ベ−ル支持部材 4h、14 糸道制御部 4i、4j、9a 傾斜面 ７、７′、７″ ラインロ−ラ− 10 ハンドル 13 釣糸

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ハンドルの回転に連動回転するロ−タ−
   の支持腕の先端部に釣糸巻取位置と釣糸放出位置に反転
   自在に支持されて先端に支持部と連結部とベール取付部
   とを一体に形成したベ−ル支持部材にスプ−ルに釣糸を
   案内するラインロ−ラ−を備え、前記ベ−ル支持部材に
   該ラインロ−ラ−へ案内する釣糸の軸方向位置を規制す
   る糸道制御部を設けた魚釣用スピニングリ−ルにおい
   て、前記ベ−ル支持部材の連結部の上側に突出しないよ
   うに段部で釣糸の軸方向位置を規制する糸道制御部を形
   成すると共に、該糸道制御部に隣接する両側面を糸道制
   御部側へ向けて低くなる傾斜面に形成して前記糸道制御
   部への釣糸の誘導案内を容易としたことを特徴とする魚
   釣用スピニングリ−ル。