JPH1043448A - 接着剤を用いたシートの製造方法と加熱型 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 トリコット、モケット等の毛の長い表皮材で
あっても、接着剤を用いたシートに適用できる接着剤を
用いたシートの製造方法及び加熱型を提供。 【解決手段】 クッションパッドＰに接着剤Ａを塗布す
る塗布工程と、クッションパッドＰの接着剤塗布面側か
ら表皮材Ｈを被覆して仮組み付けする工程と、仮組み付
けした表皮材ＨとクッションパッドＰを配置型２０上に
配置する配置工程と、表皮材Ｈ側の面にセル個数が１０
〜３０個／２５ｍｍのオープンセル構造を有するフォー
ム材１０を配設した加熱型３０によって前記配置型２０
上に配置された表皮材ＨとクッションパッドＰに対して
表皮材Ｈ側から加熱する加熱工程と、から構成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明はクッションパッドと
表皮材とを接着剤で一体に形成した接着剤を用いたシー
トの製造方法と加熱型に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来から、表皮材とクッションパッドと
を接着剤を用いて接合した車両用シート等においては、
接着剤として接着フィルム状のホットメルト型接着剤や
溶剤型接着剤を用いており、上下型の間に表皮材及びク
ッションパッドを配置して、上記接着剤をこれら表皮材
及びクッションパッドの間に介在させ、上下型を加圧加
熱して一体に接合していた。

【０００３】つまり表皮材とクッションパッドとの接合
においては、上下型を用いて、表皮材を一方の型に沿わ
せて配置し、他方の型にクッションパッドを対向して配
置し、これらクッションパッド及び表皮材の対向面の少
なくとも一方に接着剤を塗布し、クッションパッドと表
皮材を合わせて加圧及び加熱し、さらに表皮材側から冷
却をして製造していた。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】上述のように、クッシ
ョンパッドと表皮材を合わせて加圧及び加熱すると、型
のスチーム吹き出し口と近接する部分は、吹き出したス
チームが直に表皮材にあたるため、局所的な加熱となる
と共に、加圧型による表皮材の加熱により、トリコッ
ト，モケット等の毛の長い表皮材においては、局所的な
毛倒れが生じてしまうという不都合がある。従って、こ
のような表皮材は、接着剤を用いたシートには適さない
という不都合があった。

【０００５】本発明の目的は、トリコット、モケット等
の毛の長い表皮材であっても、接着剤を用いたシートに
適用できる接着剤を用いたシートの製造方法及び加熱型
を提供することにある。

【０００６】

【課題を解決するための手段】請求項１に係る発明は、
表皮材とクッションパッドとをホットメルト接着剤によ
り互いに接着させてなるシートの製造方法において、ク
ッションパッドに接着剤を塗布する塗布工程と、クッシ
ョンパッドの接着剤塗布面側から表皮材を被覆して仮組
み付けする工程と、仮組み付けした表皮材とクッション
パッドを配置型上に配置する配置工程と、表皮材側の面
にセル個数が１０〜３０個／２５ｍｍのオープンセル構
造を有するフォーム材を配設した加熱型によって前記配
置型上に配置された表皮材とクッションパッドに対して
表皮材側から加熱する加熱工程と、を備えてなることを
特徴とする。このときオープンセル構造を有するフォー
ム材はポリエーテル系ウレタンフォームであると好まし
い。

【０００７】また請求項３に係る加熱型は、表皮材とク
ッションパッドとを反応型ホットメルト接着剤により互
いに接着させてなるシートの製造に用いられる加熱型に
おいて、前記加熱型の表皮材側の面には、セル個数が１
０〜３０個／２５ｍｍであるオープンセル構造を有する
フォーム材を配設したことを特徴とする。このとき、フ
ォーム材は、ポリエーテル系ウレタンフォームであると
好ましい。

【０００８】

【発明の実施の形態】本発明は、表皮材Ｈとクッション
パッドＰとをホットメルト接着剤Ａにより互いに接着さ
せてなるシートＳの製造方法である。

【０００９】そして、本例では、クッションパッドＰに
接着剤Ａを塗布する塗布工程と、クッションパッドＰの
接着剤塗布面側から表皮材Ｈを被覆して仮組み付けする
工程と、仮組み付けした表皮材ＨとクッションパッドＰ
を配置型２０上に配置する配置工程と、表皮材Ｈ側の面
にセル個数が１０〜３０個／２５ｍｍのオープンセル構
造を有するフォーム材１０を配設した加熱型３０によっ
て前記配置型２０上に配置された表皮材Ｈとクッション
パッドＰに対して表皮材Ｈ側から加熱する加熱工程と、
から構成される。

【００１０】上記加熱型３０は、加熱と共に加圧も行う
ものであり、表皮材Ｈ側の面に配設されるオープンセル
構造を有するフォーム材１０は、密度が３０＋／−３
（Ｋｇ／ｍ³）で、セル個数が１０〜３０個／２５ｍｍ
を有するポリエステル系ウレタンフォームや、同じくセ
ル個数が１０〜３０個／２５ｍｍを有するポリエーテル
系ウレタンフォームが好ましい。特に、スチームによる
加熱において好適なのは、耐湿熱老化性に富んだポリエ
ーテル系ウレタンフォームであるが、スチーム以外にも
熱風等の加熱手段を用いることができる。

【００１１】またセル個数は増加するにしたがって圧力
損失が高くなるため、加熱スチーム量との関係から、セ
ル個数が１０〜３０個／２５ｍｍが好適であり、特にセ
ル個数は２０＋／−４程度の個数が良い。これは１０個
／２５ｍｍより少ないと、フォーム材によるスチームの
直当たりを防止できず、また圧力損失不足になってしま
い、セル個数が３０個／２５ｍｍより多いと、逆にフォ
ーム材によるスチーム拡散の障害となると共に、圧力損
失が大きく充分な加圧ができにくいことによる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づいて説
明する。なお、以下に説明する部材，配置等は本発明を
限定するものでなく、本発明の趣旨の範囲内で種々改変
することができるものである。

【００１３】図１乃至図３は本発明の実施例を示すもの
であり、図１は加熱型の概略断面図、図２は加熱工程を
示す概略構成断面図、図３配置型に据え付けた状態を示
す概略構成断面図である。

【００１４】本例の加熱型３０は、中空箱体をしてお
り、加熱型３０の型面は、シートＳの表面形状（クッシ
ョンパッドＰ及び表皮材Ｈ側の形状）に沿う型面形状を
しており、この型面にはスチームを吹き出すための多数
の孔３１が形成されている。また加熱型３０の側方の所
定位置には、連結管３２取着されており、この連結管３
２から加熱型３０へスチーム或は熱風が導入されるよう
に構成されている。

【００１５】本例の加熱型３０は、図１で示すように、
スチームによる加熱と共に加圧も行うものであり、表皮
材Ｈ側の面にオープンセル構造を有するフォーム材１０
を配設している。本例のフォーム材１０は、５〜１０ｍ
ｍの厚さのポリエーテル系ウレタンフォームを用いてお
り、密度が３０＋／−３（Ｋｇ／ｍ³）で、セル個数が
２０＋／−４個／２５ｍｍのものを用いている。

【００１６】加熱型３０にフォーム材１０を取り付ける
には、図示しないクリップ等の挾持部材を用いて、加熱
型３０に取り付けることもできるし、加熱型３０の側面
に取付用の係合凸部を形成し、この係合凸部に引っかけ
るように、フォーム材１０に孔等を形成してもよい。な
お孔の周囲には補強部材を取り付ける等の手段を用いる
こともできる。

【００１７】本例における接着剤Ａを用いたシートＳの
製造方法は次の工程を備えている。即ち、クッションパ
ッドＰに接着剤Ａを塗布する塗布工程と、クッションパ
ッドＰの接着剤塗布面側から表皮材Ｈを被覆して仮組み
付けする工程と、仮組み付けした表皮材Ｈとクッション
パッドＰを配置型２０上に配置する配置工程と、配置型
２０上に配置された表皮材ＨとクッションパッドＰに対
して表皮材Ｈ側から加熱型３０によって加熱すると共に
加圧する加熱工程と、表皮材Ｈの表面から冷却する冷却
工程である。

【００１８】本例におけるクッションパッドＰは、下端
側が開放された中空の袋状をしており、クッションパッ
ドＰに接着剤Ａを塗布する塗布工程は、溶融したホット
メルトの接着剤Ａを、専用のスプレーガンでクッション
パッドＰにおける表皮材Ｈの接合面に均一に塗布する。

【００１９】本例で用いるホットメルト接着剤Ａとして
は、例えばホットメルト接着中に活性二重結合を有し
て、紫外線，電子線等によって硬化するもの、エポキシ
基及び潜在性硬化材を有して熱硬化するもの、ＮＣＯ
基，Ｓｉ（ＯＲ）3 基を有して水分によって硬化するも
の、ＳＨ基及び金属酸化物触媒を有し酸素によって硬化
するもの、スチーム温度によって溶融して硬化するもの
等を挙げることができ、特にウレタン系の湿式硬化形の
接着剤Ａが好ましい。具体的には、ポリエステル系イソ
シアネートプレポリマーを主成分とする湿気硬化型ホッ
トメルト接着剤であり、上市されているものを用いるこ
とができる（例えば「ハイボン４８３２」登録商標，日
立化成ポリマー株式会社）。

【００２０】このようにクッションパッドＰにホットメ
ルト接着剤Ａを塗布すると、塗布後すぐに接着剤Ａが冷
却固化するため、接着剤Ａが接着作用をせず、搬送の場
合に容易となり、クッションパッドＰに表皮材Ｈを被覆
してもクッションパッドＰと表皮材Ｈとが接合しないの
で、仮り組み付けが可能となる。また、接着剤Ａの塗布
については、クッションパッドＰの全面に塗布する必要
はなく、クッションパッドＰの逆Ｒ（アール）部（即ち
凹部）のみや、深い凹部のみに塗布するだけでも良い。

【００２１】上記のようにクッションパッドＰの表面に
接着剤Ａを塗布した後に、表皮材Ｈを被覆するが、本例
のような接着剤Ａは、塗布したクッションパッドＰの接
着剤Ａ塗布面は、塗布後すぐに接着剤Ａが冷却固化して
いるので、表皮材Ｈを被覆しても、直ちに表皮材Ｈとク
ッションパッドＰとが接合することがなく、被覆した表
皮材Ｈの配置等を適宜クッションパッドＰの位置と整合
させて移動させることができる。なお本例の表皮材Ｈ
は、クッションパッドＰの形状に適合するように予め形
成しているが、予備形成しない表皮材Ｈであっても良
い。

【００２２】次に前記した加熱型３０を用いて加熱加圧
工程を行なう。即ち、上記したように、表皮材Ｈとクッ
ションパッドＰを仮組み付けして配置型２０上に配置
し、表皮材Ｈ側から加熱型３０によって加熱すると共に
加圧する。

【００２３】仮組み付けされたクッションパッドＰ及び
表皮材Ｈに、加熱型３０を押し付けるようにして加熱及
び加圧させることにより、表皮材Ｈ側から加熱すること
ができ、クッションパッドＰに塗布したホットメルト接
着剤Ａを再活性化させ溶融させることができる。なお本
例の加熱型３０を表皮材Ｈに加圧させる手段は、加熱型
３０，配置型２０のいずれか或は両方を周知の手段によ
って移動して行なう。

【００２４】このときフォーム材１０により表皮材Ｈに
対してスチームの直当たりを防止し、また適度な圧力損
失を得て表皮材Ｈの局所的な起毛倒れを防止する。この
ようにしてホットメルト接着剤Ａを溶融した後、加熱型
３０のスチーム或は熱風を停止し、冷却し、配置型２０
から取り出す。

【００２５】

【発明の効果】以上のように本発明によれば、表皮材側
の面にセル個数が１０〜３０個／２５ｍｍのオープンセ
ル構造を有するフォーム材を配設した加熱型を用いてい
るので、表皮材に対してスチームの直当たりを防止で
き、また適度な圧力損失を得て表皮材の局所的な起毛倒
れを防止することができ、トリコット、モケット等の毛
の長い表皮材であっても局所的な毛倒れのない接着剤を
用いたシートの製造ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一例を示す加熱型の概略断面図であ
る。

【図２】加熱工程を示す概略構成断面図である。

【図３】配置型に据え付けた状態を示す概略構成断面図
である。

【符号の説明】

１０ フォーム材 ２０ 配置型 ３０ 加熱型 Ｈ 表皮材 Ｐ クッションパッド Ａ ホットメルト接着剤 Ｓ シート

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 表皮材とクッションパッドとをホットメ
   ルト接着剤により互いに接着させてなるシートの製造方
   法において、クッションパッドに接着剤を塗布する塗布
   工程と、クッションパッドの接着剤塗布面側から表皮材
   を被覆して仮組み付けする工程と、仮組み付けした表皮
   材とクッションパッドを配置型上に配置する配置工程
   と、表皮材側の面にセル個数が１０〜３０個／２５ｍｍ
   のオープンセル構造を有するフォーム材を配設した加熱
   型によって前記配置型上に配置された表皮材とクッショ
   ンパッドに対して表皮材側から加熱する加熱工程と、を
   備えてなることを特徴とする接着剤を用いたシートの製
   造方法。
2. 【請求項２】 前記オープンセル構造を有するフォーム
   材はポリエーテル系ウレタンフォームであることを特徴
   とする請求項１記載の接着剤を用いたシトの製造方法。
3. 【請求項３】 表皮材とクッションパッドとをホットメ
   ルト接着剤により互いに接着させてなるシートの製造に
   用いられる加熱型において、前記加熱型の表皮材側の面
   には、セル個数が１０〜３０個／２５ｍｍであるオープ
   ンセル構造を有するフォーム材を配設したことを特徴と
   する加熱型。
4. 【請求項４】 前記フォーム材は、ポリエーテル系ウレ
   タンフォームであることを特徴とする請求項３に記載の
   加熱型。