JPH1036668A - 水性分散体およびその製造方法 - Google Patents

水性分散体およびその製造方法

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JPH1036668A
JPH1036668A JP8214036A JP21403696A JPH1036668A JP H1036668 A JPH1036668 A JP H1036668A JP 8214036 A JP8214036 A JP 8214036A JP 21403696 A JP21403696 A JP 21403696A JP H1036668 A JPH1036668 A JP H1036668A
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JP
Japan
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polycarbodiimide
aqueous dispersion
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solution
meth
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JP8214036A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Ito
信幸 伊藤
Misayo Tokunaga
操代 徳永
Hideetsu Fujiwara
秀悦 藤原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリカルボジイミド本来の耐熱性、電気絶縁
性、機械的特性、電着性等を損うことなく、水性分散体
としての保存安定性に優れ、しかもその硬化物が耐湿
性、透明性、各種基体に対する接着性等にも優れた水性
分散体を提供する。 【解決手段】 (A)ポリカルボジイミドおよび/また
は変成ポリカルボジイミドと(B)水溶性ポリマーとを
同一粒子内に含み、平均粒子径が0.03〜5μmであ
る粒子からなる水性分散体。前記水性分散体は、好まし
くは、(A)ポリカルボジイミドおよび/または変性ポ
リカルボジイミドと(B)水溶性ポリマーとを溶液状態
で混合したのち、この混合溶液と水性媒体とを混合する
ことにより製造される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ポリカルボジイミ
ドおよび/または変性ポリカルボジイミドを含有し、水
性分散体としての保存安定性に優れるとともに、その硬
化物が耐湿性、透明性、耐熱性、電気絶縁性、機械的特
性、電着性等に優れた熱硬化性樹脂水性分散体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ポリカルボジイミドは、ポリイソシアネ
ート化合物の脱炭酸縮合により得られる樹脂であり、そ
の製造方法は、例えば D.J.LymanらによるDie Makromo
l. Chem.,67,1(1963)、E.Deyer らによるJ. Am. Chem.
Soc.,80,5495(1958) 、L.M.AlberionらによるJ. Appl.
Polym. Sci., 21,1999(1977) 、T.W.CampbellによるJ.
Org. Chem.,28,2069(1963) 、特開昭51−61599
号公報等に開示されている。このようなポリカルボジイ
ミドは、加熱により、分子中のカルボジイミド基が架橋
しうる樹脂であり、電子材料等の分野において、耐熱性
に優れた熱硬化性樹脂としての応用が期待されている。
しかしながら、ポリカルボジイミドは各種溶媒に対する
溶解性が低く、しかも溶液状態では冷暗所においても徐
々にポリマーの凝集が進行し、安定な状態で長期保存す
ることが困難であり、しかもポリカルボジイミドを十分
硬化させるためには、高温でも相当の長時間を要すると
いう問題があり、その熱硬化性樹脂としての優れた特性
が実用面で十分活用されているとはいえないのが現状で
ある。また近年、特に環境保全に対する社会的意識の高
まりから、電子材料についても、媒質を有機溶剤系から
水系に変更することが要求されており、その場合は、ポ
リカルボジイミドの水系媒質に対する難溶解性のため、
分散体の形態をとらざるをえないが、ポリカルボジイミ
ドの場合、水性分散体としての十分な保存安定性を確保
することが極めて困難であった。一方、ポリカルボジイ
ミドに種々の化合物を混合して、硬化速度を改良する方
法も試みられており、例えば、特開昭61−23541
4号公報には、ポリカルボジイミドに活性水素含有化合
物を混合した熱硬化性樹脂組成物が提案され、また特開
平4−161426号公報には、ポリカルボジイミドに
ポリイソシアネート化合物を混合した熱硬化性樹脂組成
物が提案されている。しかしながら、前者の組成物では
ポリカルボジイミド本来の耐熱性が損なわれるという欠
点があり、また後者の組成物も、硬化温度が依然として
250℃程度と高く、硬化特性の改善効果の面では不十
分である。しかも、これらの組成物では、水性分散体と
したときの保存安定性は実質的に改善されない。即ち、
従来のポリカルボジイミドあるいはそれを主成分とする
熱硬化性樹脂組成物は、耐熱性、電気絶縁性、機械的特
性等と水性分散体としての保存安定性とを総合した特性
バランスの面で必ずしも満足できるものではなく、また
硬化特性の面でも問題があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、ポリ
カルボジイミド本来の耐熱性、電気絶縁性、機械的特
性、電着性等を損うことなく、水性分散体としての保存
安定性に優れたポリカルボジイミド系水性分散体を提供
することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、第一
に、(A)一般式(1) −N=C=N-R1− ・・・(1) (但し、R1は2価の有機基を示す。)で表される繰返し
単位を有するポリカルボジイミドおよび/または変性ポ
リカルボジイミドと(B)水溶性ポリマーとを同一粒子
内に含み、平均粒子径が0.03〜5μmである粒子か
らなる水性分散体、からなる。
【0005】本発明の要旨は、第二に、(A)ポリカル
ボジイミドおよび/または変性ポリカルボジイミドと
(B)水溶性ポリマーとを溶液状態で混合したのち、こ
の混合溶液と水性分散媒とを混合することを特徴とする
前記水性分散体の製造方法、からなる。以下、本発明を
詳細に説明する。
【0006】(A)成分 本発明における(A)成分は、前記一般式で表される繰
返し単位を有するポリカルボジイミドおよび/または変
性ポリカルボジイミドからなる。本発明でいう変性ポリ
カルボジイミドとは、前記ポリカルボジイミドに対し
て、該ポリカルボジイミドとの反応性を有する基と官能
基とを有する化合物(以下、「反応性化合物」とい
う。)を反応させることによって変性された樹脂であっ
て、該ポリカルボジイミドの分子鎖に該官能基を有する
樹脂を意味する。 〈ポリカルボジイミド〉ポリカルボジイミドの合成法は
特に限定されるものではないが、例えば、有機ポリイソ
シアネートを、イソシアネート基のカルボジイミド化反
応を促進する触媒(以下、「カルボジイミド化触媒」と
いう。)の存在下で反応させることにより、ポリカルボ
ジイミドを合成することができる。このポリカルボジイ
ミドの合成に用いられる有機ポリイソシアネートとして
は、有機ジイソシアネートが好ましい。このような有機
ジイソシアネートとしては、例えば、フェニレン−1,
3−ジイソシアネート、フェニレン−1,4−ジイソシ
アネート、1−メトキシフェニレン−2,4−ジイソシ
アネート、1−メチルフェニレン−2,4−ジイソシア
ネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−
トリレンジイソシアネート、1,3−キシリレンジイソ
シアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、ビ
フェニレン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−
ジメトキシビフェニレン−4,4’−ジイソシアネー
ト、3,3’−ジメチルビフェニレン−4,4’−ジイ
ソシアネート、ジフェニルメタン−2,4’−ジイソシ
アネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネ
ート、3,3’−ジメトキシジフェニルメタン−4,
4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルジフェニ
ルメタン−4,4’−ジイソシアネート、ナフチレン−
1,5−ジイソシアネート、シクロブチレン−1,3−
ジイソシアネート、シクロペンチレン−1,3−ジイソ
シアネート、シクロヘキシレン−1,3−ジイソシアネ
ート、シクロヘキシレン−1,4−ジイソシアネート、
1−メチルシクロヘキシレン−2,4−ジイソシアネー
ト、1−メチルシクロヘキシレン−2,6−ジイソシア
ネート、1−イソシアネート−3,3,5−トリメチル
−5−イソシアネートメチルシクロヘキサン、シクロヘ
キサン−1,3−ビス(メチルイソシアネート)、シク
ロヘキサン−1,4−ビス(メチルイソシアネート)、
イソホロンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン
−2,4’−ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタ
ン−4,4’−ジイソシアネート、エチレンジイソシア
ネート、テトラメチレン−1,4−ジイソシアネート、
ヘキサメチレン−1,6−ジイソシアネート、ドデカメ
チレン−1,12−ジイソシアネート、リジンジイソシ
アネートメチルエステル等や、これらの有機ジイソシア
ネートの化学量論的過剰量と2官能性活性水素含有化合
物との反応により得られる両末端イソシアネートプレポ
リマー等を挙げることができる。これらの有機ジイソシ
アナートはいずれも好適に使用することができるが、ポ
リカルボジイミドを後述する水溶性ポリマーとともに水
性分散体としたときの保存安定性の点では、特に2,4
−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソ
シアネートが好ましい。前記有機ジイソシアネートは、
単独でまたは2種以上を混合して使用することができ
る。
【0007】また、場合により有機ジイソシアネートと
ともに使用される他の有機ポリイソシアネートとして
は、例えば、フェニル−1,3,5−トリイソシアネー
ト、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネ
ート、ジフェニルメタン−2,5,4’−トリイソシア
ネート、トリフェニルメタン−2,4’,4”−トリイ
ソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−
トリイソシアネート、シクロヘキサン−1,3,5−ト
リイソシアネート、シクロヘキサン−1,3,5−トリ
ス(メチルイソシアネート)、3,5−ジメチルシクロ
ヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネー
ト)、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン−1,
3,5−トリス(メチルイソシアネート)、ジシクロヘ
キシルメタン−2,4,2’−トリイソシアネート、ジ
シクロヘキシルメタン−2,4,4’−トリイソシアネ
ート等のトリイソシアネート類;ジフェニルメタン−
2,4,2’,4’−テトライソシアネート、ジフェニ
ルメタン−2,5,2’,5’−テトライソシアネート
等のテトライソシアネート類等の3官能以上の有機ポリ
イソシアネートや、これらの3官能以上の有機ポリイソ
シアネートの化学量論的過剰量と2官能以上の多官能性
活性水素含有化合物との反応により得られる末端イソシ
アネートプレポリマー等を挙げることができる。前記他
の有機ポリイソシアネートは、単独でまたは2種以上を
混合して使用することができ、その使用量は、有機ジイ
ソシアネート100重量部当たり、通常、0〜40重量
部、好ましくは0〜20重量部である。さらに、ポリカ
ルボジイミドの合成に際しては、必要に応じて有機モノ
イソシアネートを添加することにより、有機ポリイソシ
アネートが前記他の有機ポリイソシアネートを含有する
場合、得られるポリカルボジイミドの分子量を適切に規
制することができ、また有機ジイソシアネートを有機モ
ノイソシアネートと併用することにより、比較的低分子
量のポリカルボジイミドを得ることができる。このよう
な有機モノイソシアネートとしては、例えばメチルイソ
シアネート、エチルイソシアネート、n−プロピルイソ
シアネート、n−ブチルイソシアネート、ラウリルイソ
シアネート、ステアリルイソシアネート等のアルキルモ
ノイソシアネート類;シクロヘキシルイソシアネート、
4−メチルシクロヘキシルイソシアネート、2,5−ジ
メチルシクロヘキシルイソシアネート等のシクロアルキ
ルモノイソシアネート類;フェニルイソシアネート、o
−トリルイソシアネート、m−トリルイソシアネート、
p−トリルイソシアネート、2−メトキシフェニルイソ
シアネート、4−メトキシフェニルイソシアネート、2
−クロロフェニルイソシアネート、4−クロロフェニル
イソシアネート、2−トリフルオロメチルフェニルイソ
シアネート、4−トリフルオロメチルフェニルイソシア
ネート、ナフタレン−1−イソシアネート等のアリール
モノイソシアネート類を挙げることができる。前記有機
モノイソシアネートは、単独でまたは2種以上を混合し
て使用することができ、その使用量は、ポリカルボジイ
ミドの所望の分子量、前記他の有機ポリイソシアネート
の有無等により変わるが、全有機ポリイソシアネート成
分100重量部当り、通常、0〜40重量部、好ましく
は0〜20重量部である。
【0008】また、カルボジイミド化触媒としては、例
えば1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、1
−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシ
ド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−スルフィド、
1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−スル
フィド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、
1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシ
ド、1−エチル−2−ホスホレン−1−スルフィド、1
−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−スルフィ
ド、1−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−
メチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、
1−メチル−2−ホスホレン−1−スルフィド、1−メ
チル−3−メチル−2−ホスホレン−1−スルフィド
や、これらの3−ホスホレン異性体等のホスホレン化合
物;ペンタカルボニル鉄、ノナカルボニル二鉄、テトラ
カルボニルニッケル、ヘキサカルボニルタングステン、
ヘキサカルボニルクロム等の金属カルボニル錯体;ベリ
リウム、アルミニウム、ジルコニウム、クロム、鉄等の
金属のアセチルアセトン錯体;トリメチルホスフェー
ト、トリエチルホスフェート、トリ−i−プロピルホス
フェート、トリ−t−ブチルホスフェート、トリフェニ
ルホスフェート等の燐酸エステルを挙げることができ
る。前記カルボジイミド化触媒は、単独でまたは2種以
上を混合して使用することができ、その使用量は、全有
機イソシアネート成分100重量部当たり、通常、0.
001〜30重量部、好ましくは0.01〜10重量部
である。
【0009】ポリカルボジイミドの合成反応は、無溶媒
下でも適当な溶媒中でも実施することができる。前記溶
媒としては、合成反応中の加熱によりポリカルボジイミ
ドを溶解しうる限り特に限定されるものではなく、例え
ば、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロロエタ
ン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリ
クロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエタン、
1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタクロロエ
タン、ヘキサクロロエタン、1,1−ジクロロエチレ
ン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレン、
テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジクロロ
ベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベンゼ
ン、1,2,4−トリクロロベンゼン、トリクロロメチ
ルベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジオキサ
ン、アニソール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピ
ラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチ
レングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコー
ルジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチル
エーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、
ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレン
グリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメ
チルエーテル等のエーテル系溶媒;シクロヘキサノン、
2−アセチルシクロヘキサノン、2−メチルシクロヘキ
サノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシク
ロヘキサノン、シクロヘプタノン、1−デカロン、2−
デカロン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、4,4
−ジメチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−ヘキサ
ノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘプタノン、
3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−3−ヘ
プタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2,6−ジメ
チル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オクタノ
ン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノナノン、2−
デカノン、3−デカノン、4−デカノン等のケトン系溶
媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、
クメン等の芳香族炭化水素系溶媒;N−メチル−2−ピ
ロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N−ベンジ
ル−2−ピロリドン、N−メチル−3−ピロリドン、N
−アセチル−3−ピロリドン、N−ベンジル−3−ピロ
リドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,
N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、
N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メ
チルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N
−メチルプロピオンアミド等のアミド系溶媒;ジメチル
スルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;2−メトキシ
エチルアセテート、2−エトキシエチルアセテート、2
−プロポキシエチルアセテート、2−ブトキシエチルア
セテート、2−フェノキシエチルアセテート、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレ
ングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレ
ングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジエチ
レングリコールモノブチルエーテルアセテート等のアセ
テート系溶媒を挙げることができる。前記溶媒は、単独
でまたは2種以上を混合して使用することができる。ポ
リカルボジイミドの合成反応における溶媒の使用量は、
全有機イソシアネート成分の濃度が、通常、0.5〜6
0重量%、好ましくは5〜50重量%となる量である。
この場合、全有機イソシアネート成分の濃度が高過ぎる
と、生成されるポリカルボジイミドが合成反応中にゲル
化するおそれがあり、また全有機イソシアネート成分の
濃度が低すぎても、反応速度が遅くなり、生産性が低下
する。
【0010】ポリカルボジイミドの合成反応の温度は、
有機イソシアネート成分やカルボジイミド化触媒の種類
に応じて適宜選定されるが、通常、20〜200℃であ
る。ポリカルボジイミドの合成反応に際して、有機イソ
シアネート成分は、反応前に全量を添加しても、あるい
はその一部または全部を反応中に、連続的あるいは段階
的に添加してもよい。また本発明においては、イソシア
ネート基と反応しうる化合物を、ポリカルボジイミドの
合成反応の初期から後期に至る適宜の反応段階で添加し
て、ポリカルボジイミドの末端イソシアネート基を封止
し、得られるポリカルボジイミドの分子量を調節するこ
ともでき、またポリカルボジイミドの合成反応の後期に
添加して、得られるポリカルボジイミドの分子量を所定
値に規制することもできる。このようなイソシアネート
基と反応しうる化合物としては、例えば、メタノール、
エタノール、i−プロパノール、シクロヘキサノール等
のアルコール類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ベ
ンジルアミン等のアミン類を挙げることができる。本発
明において、ポリカルボジイミドは、溶液としてあるい
は溶液から分離した固体として、水性分散体の調製に使
用される。ポリカルボジイミドを溶液から分離する方法
としては、例えば、ポリカルボジイミド溶液を、該ポリ
カルボジイミドに対して不活性な非溶媒中に添加し、生
じた沈澱物あるいは油状物をろ過またはデカンテーショ
ンにより分離・採取する方法;噴霧乾燥により分離・採
取する方法;得られたポリカルボジイミドの合成に用い
た溶媒に対する温度による溶解度変化を利用して分離・
採取する方法、即ち、合成直後は該溶媒に溶解している
ポリカルボジイミドが系の温度を下げることにより析出
する場合、その混濁液からろ過等により分離・採取する
方法等を挙げることができ、さらに、これらの分離・採
取方法を適宜組合せて行うこともできる。本発明におけ
るポリカルボジイミドのゲルパーミエーションクロマト
グラフィー(GPC)により求めたポリスチレン換算数
平均分子量(以下、「Mn」という。)は、通常、40
0〜500,000、好ましくは1,000〜200,
000、特に好ましくは2,000〜100,000で
ある。
【0011】〈反応性化合物〉変性ポリカルボジイミド
の合成に使用される反応性化合物は、ポリカルボジイミ
ドとの反応性を有する基(以下、単に「反応性基」とい
う。)と官能基とを有する化合物からなる。この反応性
化合物は、芳香族化合物、脂肪族化合物あるいは脂環族
化合物であることができ、また芳香族化合物および脂環
族化合物における環構造は、炭素環でも複素環でもよ
い。反応性化合物における反応性基としては、活性水素
を有する基であればよく、例えば、カルボキシル基ある
いは第一級もしくは第二級のアミノ基を挙げることがで
きる。これらの反応性基は、反応性化合物中に同一のあ
るいは異なる基が1個以上存在することができる。ま
た、反応性化合物における官能基とは、ポリカルボジイ
ミドおよび/または変性ポリカルボジイミドの硬化反応
を促進する作用あるいはポリカルボジイミドおよび/ま
たは変性ポリカルボジイミドとの反応性を有する基を意
味する。このような官能基としては、例えば、カルボン
酸無水物基および第三級アミノ基のほか、前記グラフト
反応性基と同様のカルボキシル基および第一級もしくは
第二級のアミノ基等を挙げることができる。これらの官
能基は、反応性化合物中に同一のあるいは異なる基が1
個以上存在することができる。
【0012】このような反応性化合物としては、例え
ば、トリメリット酸無水物、ベンゼン−1,2,3−ト
リカルボン酸無水物、ナフタレン−1,2,4−トリカ
ルボン酸無水物、ナフタレン−1,4,5−トリカルボ
ン酸無水物、ナフタレン−2,3,6−トリカルボン酸
無水物、ナフタレン−1,2,8−トリカルボン酸無水
物、4−(4−カルボキシベンゾイル)フタル酸無水
物、4−(4−カルボキシフェニル)フタル酸無水物、
4−(4−カルボキシフェノキシ)フタル酸無水物等の
芳香族トリカルボン酸無水物類:ピロメリット酸一無水
物モノメチルエステル、3,3’,4,4’−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸一無水物モノメチルエステル、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸一無
水物モノメチルエステル等の芳香族テトラカルボン酸一
無水物モノアルキルエステル類;3−カルボキシメチル
グルタル酸無水物、ブタン−1,2,4−トリカルボン
酸−1,2−無水物、プロペン−1,2,3−トリカル
ボン酸−1,2−無水物等の脂肪族トリカルボン酸無水
物類;3−アミノ−4−シアノ−5−メチルフタル酸無
水物、3−アミノ−4−シアノ−5,6−ジフェニルフ
タル酸無水物、3−メチルアミノ−4−シアノ−5−メ
チルフタル酸無水物、3−メチルアミノ−4−シアノ−
5,6−ジフェニルフタル酸無水物等の第一級もしくは
第二級のアミノ基を有する芳香族ジカルボン酸無水物
類;アミノコハク酸無水物、4−アミノ−1,2−ブタ
ンジカルボン酸無水物、4−アミノヘキサヒドロフタル
酸無水物、N−メチルアミノコハク酸無水物、4−メチ
ルアミノ−1,2−ブタンジカルボン酸無水物、4−メ
チルアミノヘキサヒドロフタル酸無水物等の第一級もし
くは第二級のアミノ基を有する脂肪族ジカルボン酸無水
物類;ニコチン酸、ジメチルアミノ安息香酸、ジエチル
アミノ安息香酸等の第三級アミノ基を有するカルボン酸
類等を挙げることができる。これらの反応性化合物のう
ち、特にトリメリット酸無水物、ニコチン酸が好まし
い。前記反応性化合物は、単独でまたは2種以上を混合
して使用することができる。
【0013】〈変性ポリカルボジイミド〉次に、変性ポ
リカルボジイミドの製造方法について説明する。変性ポ
リカルボジイミドは、前記一般式(1)で表される繰返
し単位を有するポリカルボジイミドの少なくとも1種
に、反応性化合物の少なくとも1種を、適当な触媒の存
在下あるいは不存在下で、適宜温度で反応(以下、「変
性反応」という。)させることによって製造することが
できる。変性反応における反応性化合物の使用量は、ポ
リカルボジイミドや反応性化合物の種類、水性分散体の
用途等に応じて適宜調節されるが、ポリカルボジイミド
の一般式(1)で表される繰返し単位1モルに対する反
応性化合物中の反応性基の割合が、好ましくは0.01
〜1モル、さらに好ましくは0.02〜0.8モルとな
る量である。この場合、反応性基の割合が0.01モル
未満では、得られる変性ポリカルボジイミドを硬化させ
るのに長時間の加熱が必要となったり、変性ポリカルボ
ジイミドを溶液としたときの保存安定性が低下するおそ
れがあり、また1モルを超えると、ポリカルボジイミド
本来の特性が損なわれるおそれがある。前記変性反応に
おいては、反応性化合物中の反応性基とポリカルボジイ
ミドの一般式(1)で表される繰返し単位との反応は定
量的に進行し、該反応性化合物の使用量に見合う官能基
が変性ポリカルボジイミド中に導入される。変性反応
は、無溶媒下でも実施することができるが、適当な溶媒
中で実施することが好ましい。このような溶媒は、ポリ
カルボジイミドおよび反応性化合物に対して不活性であ
り、かつこれらを溶解しうる限り、特に限定されるもの
ではなく、その例としては、ポリカルボジイミドの合成
に使用される前記エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ケト
ン系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、非プロトン性極性溶
媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独でま
たは2種以上を混合して使用することができる。また変
性反応に、ポリカルボジイミドの合成時に使用された溶
媒が使用できるときは、その合成により得られるポリカ
ルボジイミド溶液をそのまま使用することもできる。変
性反応における溶媒の使用量は、反応原料の合計100
重量部当たり、通常、10〜10,000重量部、好ま
しくは50〜5,000重量部である。変性反応の温度
は、ポリカルボジイミドや反応性化合物の種類に応じて
適宜選定されるが、通常、100℃以下、好ましくは−
10〜+80℃である。本発明における変性ポリカルボ
ジイミドのMnは、通常、500〜1,000,00
0、好ましくは1,000〜400,000、さらに好
ましくは2,000〜200,000である。
【0014】変性ポリカルボジイミドは、ポリカルボジ
イミドの分子鎖に前記官能基を有する構造をもつもので
あり、変性反応前のポリカルボジイミドとは本質的に異
なる構造を有するものである。しかも、変性ポリカルボ
ジイミドは、各種溶媒に対して容易に溶解する特性を有
し、かつ後述する水溶性ポリマーとともに水性分散体と
したときの保存安定性が極めて優れている。また、変性
ポリカルボジイミドは、分子量が大きすぎると、水性分
散体としたとき一般に凝集しやすくなるが、前記官能基
を有することにより、その必要とされる分子量を適度の
抑えることができ、保存安定性に優れた水性分散体が得
られることとなる。したがって、本発明における(A)
成分としては、変性ポリカルボジイミドが特に好まし
い。本発明において、変性ポリカルボジイミドは、溶液
としてあるいは溶液から分離した固体として、水性分散
体の調製に使用される。その製造時に溶液として得られ
る変性ポリカルボジイミドを分離する方法としては、例
えば、前述したポリカルボジイミドの分離法と同様の方
法を挙げることができる。本発明において、(A)成分
は、単独でまたは2種以上を混合して使用することがで
きる。
【0015】(B)成分 本発明における(B)成分は、親水性基、例えば、アミ
ノ基、カルボキシル基、水酸基、スルホン酸基、アミド
基等を有し、後述する親水性溶媒への20℃の溶解度が
1g/100g以上、好ましくは10g/100g以上
であり、かつ水への20℃の溶解度が0.01g/10
0g以上、好ましくは0.1g/100g以上である水
溶性ポリマーからなる。このような水溶性ポリマーは、
前記ポリカルボジイミドおよび/または変性ポリカルボ
ジイミドとともに同一粒子内に混在して、該粒子を水性
分散媒中に安定した状態で分散させる作用を示すものと
考えられる。本発明における水溶性ポリマーとしては、
親水性基を有するモノビニル単量体(以下、「親水性単
量体」という。)の単独重合体、あるいは親水性単量体
単位を、通常、0.1〜80重量%、好ましくは1〜6
0重量%、さらに好ましくは3〜50重量%含有する共
重合体が好ましく、特に親水性単量体の共重合体が好ま
しい。
【0016】前記親水性単量体のうち、アミノ基含有単
量体としては、例えば、2−ジメチルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、2−ジエチルアミノエチル(メタ)
アクリレート、2−ジメチルアミノプロピル(メタ)ア
クリレート、3−ジメチルアミノプロピル(メタ)アク
リレート等のアミノアルキル基含有(メタ)アクリレー
ト類;2−(ジメチルアミノエトキシ)エチル(メタ)
アクリレート、2−(ジエチルアミノエトキシ)エチル
(メタ)アクリレート、2−(ジメチルアミノエトキ
シ)プロピル(メタ)アクリレート、3−(ジメチルア
ミノエトキシ)プロピル(メタ)アクリレート等のアミ
ノアルコキシアルキル基含有(メタ)アクリレート類;
N−(2−ジメチルアミノエチル)(メタ)アクリルア
ミド、N−(2−ジエチルアミノエチル)(メタ)アク
リルアミド、N−(2−ジメチルアミノプロピル)(メ
タ)アクリルアミド、N−(3−ジメチルアミノプロピ
ル)(メタ)アクリルアミド等のアミノアルキル基含有
(メタ)アクリルアミド類;p−ジメチルアミノメチル
スチレン、p−ジエチルアミノメチルスチレン、p−ジ
メチルアミノメチル−α−メチルスチレン、p−(2−
ジメチルアミノエチル)スチレン、p−(2−ジエチル
アミノエチル)スチレン、p−(2−ジメチルアミノエ
チル)−α−メチルスチレン、2−ビニルピリン、4−
ビニルピリン等のアミノ基含有芳香族ビニル化合物;グ
リシジル(メタ)アクリレートと第一級または第二級の
アミンとの付加物等や、これらの単量体中のアミノ基を
中和あるいは第四級化した塩等を挙げることができる。
【0017】カルボキシル基含有単量体としては、例え
ば(メタ)アクリル酸、クロトン酸、けい皮酸、マレイ
ン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸類や
これらの塩;マレイン酸モノメチルエステル、マレイン
酸モノエチルエステル、フマル酸モノメチルエステル、
フマル酸モノエチルエステル等の不飽和ポリカルボン酸
の遊離カルボキシル基含有エステル類やこれらの塩;こ
はく酸のモノ(2−(メタ)アクリロイルオキシエチ
ル)エステル、フタル酸のモノ(2−(メタ)アクリロ
イルオキシエチル)エステル等の非重合性ジカルボン酸
のモノ(2−(メタ)アクリロイルオキシアルキル)エ
ステル類やこれらの塩等を挙げることができる。
【0018】水酸基含有単量体としては、例えば、2−
ヒドロキエチル(メタ)アクリレート、N−メチロール
(メタ)アクリルアミド、フタル酸の1−(メタ)アク
リロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルエステル
等を挙げることができ、前記スホン酸基含有ビニル系単
量体としては、例えば、p−スチレンスルホン酸、p−
スチレンスルホン酸ナトリウム、p−スチレンスルホン
酸アンモニウム、スルホン化イソプレン等を挙げること
ができ、前記アミド基含有単量体としては、例えば、
(メタ)アクリルアミド、クロトン酸アミド、けい皮酸
アミド、マレイン酸ジアミド、フマル酸ジアミド等を挙
げることができる。前記親水性単量体は、単独でまたは
2種以上を混合して使用することができる。
【0019】また、前記親水性基を有するモノビニル単
量体とともに共重合しうる他のモノビニル単量体として
は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メ
タ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレー
ト、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル
(メタ)アクリルレート、i−ブチル(メタ)アクリル
レート、sec−ブチル(メタ)アクリルレート、t−
ブチル(メタ)アクリルレート、2−エチルヘキシル
(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレー
ト、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル
(メタ)アクリレート等の(シクロ)アルキル(メタ)
アクリレート類;2−メトキシエチル(メタ)アクリレ
ート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−
メトキシプロピル(メタ)アクリレート、3−メトキシ
プロピル(メタ)アクリレート、2−メトキシブチル
(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)ア
クリレート、4−メトキシブチル(メタ)アクリレー
ト、p−メトキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート
等のアルコキシ(シクロ)アルキル(メタ)アクリレー
ト類;(メタ)アクリロニトリル、クロトンニトリル、
2−シアノエチル(メタ)アクリレート、2−シアノプ
ロピル(メタ)アクリレート、3−シアノプロピル(メ
タ)アクリレート等のシアノ基含有単量体類;N−メト
キシメチル(メタ)アクリルアミド、N−エトキシメチ
ル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチ
ル)(メタ)アクリルアミド、N−(3−メトキシプロ
ピル)(メタ)アクリルアミド、N−(4−メトキシブ
チル)(メタ)アクリルアミド等の前記アミド基含有単
量体のN−アルコキシアルキル置換誘導体類;スチレ
ン、o−ビニルトルエン、m−ビニルトルエン、p−ビ
ニルトルエン、p−エチルスチレン、α−メチルスチレ
ン、α−フルオロスチレン等のモノビニル芳香族化合
物;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン化ビニル
類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステ
ル類;エチレン、ブタジエン、イソプレン等の不飽和脂
肪族炭化水素類のほか、シリコン変性モノマー、マクロ
モノマー等を挙げることができる。前記他のモノビニル
単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用するこ
とができる。
【0020】さらに、例えば、ジビニルベンゼン、ジイ
ソプロペニルベンゼン等のポリビニル芳香族化合物;エ
チレンビス(メタ)アクリルアミド、トリメチレンビス
(メタ)アクリルアミド、テトラメチレンビス(メタ)
アクリルアミド等のビス(メタ)アクリルアミド類;エ
チレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレン
グリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリ
コールジアクリレート、プロピレングリコールジ(メ
タ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)ア
クリレート、1,6−ヘキシレングリコールジ(メタ)
アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アク
リレート、2,2−ビス(4−(メタ)アクリロキシプ
ロピオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−
(メタ)アクリロキシジエトキシフェニル)プロパン等
のジ(メタ)アクリレート類;グリセリントリ(メタ)
アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)ア
クリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリ
レート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレ
ート、ジ−トリメチロールプロパンテトラアクリレート
等の3個以上の(メタ)アクリロキシ基を有する単量体
等の1種以上の架橋性単量体を、得られる共重合体の水
溶性を損なわない範囲の量で共重合させることもでき
る。
【0021】本発明における水溶性ポリマーは、例え
ば、ラジカル重合開始剤を用い、必要に応じて連鎖移動
剤の存在下における公知の溶液重合等により製造するこ
とができる。前記溶液重合に用いる重合媒体としては、
例えば水、親水性溶媒、水と親水性溶媒との混合媒体等
を挙げることができる。前記親水性溶媒としては、例え
ばエチレングリコール、1,3−プロピレングリコー
ル、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール
200、ポリエチレングリコール400、ポリエチレン
グリコール600、ポリエチレングリコール1500、
グリセリン、N−メチロールピロリドン、エチレングリ
コールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエ
チルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテ
ル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレ
ングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコー
ルジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチル
エーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、メ
タノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル等を
挙げることができる。前記親水性溶媒は、単独でまたは
2種以上を混合して使用することができる。また、本発
明における水溶性ポリマーとしては、親水性溶媒および
水への前記溶解度条件を満たす公知の水溶性ポリマー、
例えば、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、
ポリスチレンやスチレン−イソプレン共重合体等の芳香
族ビニル化合物の(共)重合体のスルホン化物等を使用
することもできる。本発明における水溶性ポリマーのM
nは、通常、1,000〜100,000、好ましくは
5,000〜10,000である。前記水溶性ポリマー
は、単独でまたは2種以上を混合して使用することがで
きる。本発明において、水溶性ポリマーは、溶液あるい
は固体として水性分散体の調製に使用される。
【0022】水性分散体 本発明の水性分散体は、前記ポリカルボジイミドおよび
/または変性ポリカルボジイミドと前記水溶性ポリマー
とを同一粒子内に含み、平均粒子径が0.03〜5μm
である粒子を、水性分散媒中に分散させてなるものであ
る。本発明の水性分散体におけるポリカルボジイミドお
よび/または変性ポリカルボジイミドと水溶性ポリマー
との使用割合は、両成分の合計量を100重量部とし
て、ポリカルボジイミドおよび/または変性ポリカルボ
ジイミドが、通常、30〜90重量部、好ましくは50
〜80重量部であり、水溶性ポリマーが、通常、70〜
10重量部、好ましくは50〜20重量部である。この
場合、ポリカルボジイミドおよび/または変性ポリカル
ボジイミドが30重量部未満で、水溶性ポリマーが70
重量部を超えると、水性分散体から得られる硬化物の電
気絶縁性が低下する傾向があり、またポリカルボジイミ
ドおよび/または変性ポリカルボジイミドが90重量部
を超え、水溶性ポリマーが10重量部未満では、得られ
る水性分散体の保存安定性が低下する傾向がある。本発
明の水性分散体における水性分散媒とは、水を主成分と
する媒体を意味する。この場合、水性分散媒中における
水の含有率は、通常、40重量%以上、好ましくは60
重量%以上である。場合により水とともに使用される他
の媒体としては、例えば、前記水溶性ポリマーの合成に
使用される親水性溶媒等を挙げることができる。本発明
の水性分散体の製造方法としては、前記所定の水性分散
体が得られる限り特に限定されるものではないが、例え
ば、(イ)ポリカルボジイミドおよび/または変性ポリ
カルボジイミドと水溶性ポリマーとを溶液状態で混合し
たのち、この混合溶液を水性媒体中に分散させ、必要に
応じて水以外の溶媒あるいは媒体の少なくとも1部を除
去する方法、(ロ)溶液から分離されたポリカルボジイ
ミドおよび/または変性ポリカルボジイミドと水溶性ポ
リマーとを、固体状態で混合して、所定の平均粒子径の
粉末としたのち、水性媒体中に分散させる方法等を挙げ
ることができるが、特に(イ)の方法が好ましい。これ
らの方法は、必要に応じて加熱下で実施することができ
る。
【0023】以下、本発明の水性分散体の製造方法を、
前記(イ)の方法を中心としてさらに説明する。ポリカ
ルボジイミドおよび/または変性ポリカルボジイミドと
水溶性ポリマーとを溶液状態で混合する方法としては、
例えば、(i)別々に調製したポリカルボジイミドおよ
び/または変性ポリカルボジイミドの溶液と水溶性ポリ
マーの溶液とを混合する方法、(ii)ポリカルボジイミ
ドおよび/または変性ポリカルボジイミドと水溶性ポリ
マーのいずれか一方の溶液に、他方を固体として添加し
て混合溶解する方法、(iii)ポリカルボジイミドおよび
/または変性ポリカルボジイミドと水溶性ポリマーをと
もに固体として溶媒に添加して、混合溶解する方法等を
挙げることができるが、特に(i)の方法好ましい。ポ
リカルボジイミドおよび/または変性ポリカルボジイミ
ドと水溶性ポリマーとを溶液状態で混合する際に使用さ
れる溶媒としては、ポリカルボジイミド、変性ポリカル
ボジイミドおよび水溶性ポリマーに対して不活性であ
り、かつこれらを溶解しうる限り、特に限定されるもの
でないが、例えば、ポリカルボジイミドおよび変性ポリ
カルボジイミドの合成に使用される前記エーテル系溶
媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族炭化水素系溶
媒、非プロトン性極性溶媒や、水溶性ポリマーの合成に
使用される前記親水性溶媒等を挙げることができる。こ
れらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用す
ることができる。また、前記(i)の方法の場合、ポリ
カルボジイミドおよび/または変性ポリカルボジイミド
の溶液と水溶性ポリマーの溶液に使用される溶媒は、同
一でも異なってもよい。ポリカルボジイミドおよび/ま
たは変性ポリカルボジイミドと水溶性ポリマーとの混合
溶液の濃度は、両成分の合計量として、好ましくは10
〜60重量%、さらに好ましくは30〜50重量%であ
る。ポリカルボジイミドおよび/または変性ポリカルボ
ジイミドと水溶性ポリマーとを溶液状態で混合する際に
は、例えば、攪拌翼、リボン、スクリュウ等の適宜の混
合手段を採用することができる。また、混合条件は、回
転数が、通常、10〜50,000rpm、好ましくは
20〜5,000rpmである。また、ポリカルボジイ
ミドおよび/または変性ポリカルボジイミドと水溶性ポ
リマーとを溶液状態で混合する際には、必要に応じて界
面活性剤を適量併用することもできる。但し、水性分散
体を絶縁材として使用する場合は、界面活性剤が絶縁耐
久性を阻害する要因となるため、その使用量を極力少な
くすることが好ましい。
【0024】さらに、本発明においては、得られる水性
分散体のpHを、好ましくは4〜10、さらに好ましく
は5〜9とすることが望ましく、それにより、保存安定
性が特に優れた水性分散体を得ることができる。このよ
うなpH調整は、例えば、(iv)ポリカルボジイミドお
よび/または変性ポリカルボジイミドと水溶性ポリマー
との混合溶液に、必要量のpH調整剤を添加したのち、
水性分散媒中に分散させる方法、(v)該混合溶液を,
必要量のpH調整剤を添加した水性分散媒中に分散させ
る方法、(vi)該混合溶液を水性分散媒中に分散させな
がら、必要量のpH調整剤を添加する方法等により実施
することができるが、特に(iv)の方法が好ましい。な
お、前記(ロ)の方法でpH調整する際には、水性分散
媒中に予め必要量のpH調整剤を添加しておけばよい。
pH調整に使用されるpH調整剤としては、特に限定さ
れるものではなく、例えば、アンモニア、水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、アルカノール
アミン等の有機または無機の塩基;酢酸、ぎ酸、塩酸、
硫酸等の有機または無機のプロトン酸等を挙げることが
できる。これらのpH調整剤は、変性ポリカルボジイミ
ド中の官能基あるいは水溶性ポリマー中の親水性基の種
類や組み合せに応じて使い分けられる。
【0025】次に、ポリカルボジイミドおよび/または
変性ポリカルボジイミドと水溶性ポリマーとの混合溶液
を水性媒体中に分散させる際には、該混合溶液に水性媒
体を添加しても、あるいは該混合溶液を水性媒体に添加
してもよいが、特に前者の分散法が好ましい。ポリカル
ボジイミドおよび/または変性ポリカルボジイミドと水
溶性ポリマーとの混合溶液を水性媒体中に分散させる際
には、例えば、攪拌翼、リボン、スクリュウ等の適宜の
混合手段を採用することができる。また、混合条件は、
水性分散体の固形分濃度、分散粒子の所望の平均粒子径
等によって変わるが、回転数が、通常、10〜50,0
00rpm、好ましくは20〜5,000rpmであ
る。水性分散体を調製する際に、水以外の溶媒あるいは
媒体を除去する方法としては、例えば、蒸留、限外ろ過
等を挙げることができる。本発明の水性分散体における
水性分散媒の使用量は、ポリカルボジイミドおよび/ま
たは変性ポリカルボジイミドと水溶性ポリマーとの合計
100重量部に対して、好ましくは10〜10,000
重量部、さらに好ましくは20〜5,000重量部であ
る。本発明の水性分散体における粒子の平均粒子径は、
0.03〜5μm、好ましくは0.05〜2μm、特に
好ましくは0.1〜1μmである。この場合、粒子の平
均粒子径が0.03μm未満では、水性分散体としたと
きの粘度が高くなりすぎ、また5μmを超えると、水性
分散体としての保存安定性が低下して、粒子が沈降しや
すくなる。この平均粒子径は、公知の光学的方法や電子
顕微鏡により求めることができる。
【0026】添加剤 本発明の水性分散体には、必要に応じて各種の添加剤を
配合することができる。このような添加剤としては、例
えば、クレー、ゼオライト、タルク、マイカ、シリカ、
カーボンブラック、グラファイト、アルミナ、炭酸カル
シウム、ワラストナイト等の充填剤や、ガラス、カーボ
ン、アルミナ、チタン酸カリウム、ほう酸アルミニウ
ム、炭化ケイ素、窒化ケイ素、芳香族ポリアミド、ポリ
アミドイミド、ポリイミド、全芳香族ポリエステル、超
高分子量ポリエチレン、高強度ポリアクリロニトリル、
高強力ポリビニルアルコール等の繊維あるいはウイスカ
ー等の補強材を挙げることができる。また前記補強材
は、例えば、織布、不織布、編み物等の布帛の形で用
い、該布帛に水性分散体を含浸させて使用することもで
きる。前記充填剤および補強材は、それぞれ単独でまた
は2種以上を混合して使用することができる。他の添加
剤としては、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸
収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、着色剤、滑剤、
防曇剤、接着性改善剤、防カビ剤等を挙げることができ
る。また必要に応じて、少量の乳化剤や水溶性分散剤を
併用することもできる。さらに、本発明の水性分散体を
構成するポリカルボジイミドおよび/または変性ポリカ
ルボジイミドは、それ自体硬化特性を有するものである
が、所望により、ポリカルボジイミドおよび/または変
性ポリカルボジイミド中のカルボジイミド基や官能基あ
るいは水溶性ポリマー中の親水性基との反応性を有する
硬化触媒、硬化促進剤、硬化助剤等をさらに配合するこ
ともできる。前記添加剤は、本発明の水性分散体を製造
する適宜の段階で配合することができる。
【0027】水性分散体の特性および用途 本発明の水性分散体は、優れた保存安定性を有するのみ
ならず、その硬化物は、透明性、電気絶縁性、耐熱性、
機械的特性、電着性等に優れ、また吸水性が低く耐湿性
に優れ、かつ各種基体に対する接着性等にも優れてい
る。さらに、変性ポリカルボジイミドを含有する水性分
散体は、硬化特性が著しく優れている。したがって、本
発明の水性分散体は、特に、各種の電気機器や電子部品
等の保護膜、電気絶縁膜等として極めて好適に使用する
ことができるほか、耐熱性が要求される接着剤や塗料と
しても有用である。また、本発明の水性分散体を予め離
型処理した適当な基体に塗布して、熱硬化性薄膜を成形
し、該薄膜を硬化前に基体から強制的に剥離することに
よって、熱硬化性フィルムを取得することができ、該熱
硬化性フィルムは、電気機器や電子部品等の耐熱性接着
フィルム等として有用である。あるいは、前記基体から
強制的に剥離された熱硬化性薄膜を硬化させるか、また
は予め離型処理した適当な基体上で熱硬化性薄膜を加
熱、硬化させたのち、得られた硬化薄膜を基体から強制
的に剥離することによって、硬化フィルムを取得するこ
とができる。さらに、本発明の水性分散体を構成する粒
子を適当な溶媒に溶解した溶液をガラスクロス等の適当
な布帛に含浸させたのち乾燥したプリプレグ、あるいは
無溶媒の該粒子をガラスクロス等の適当な布帛に含浸さ
せたプリプレグは、銅張り積層板等の積層材等としても
有用である。なお、例えば前記(ロ)の方法によりポリ
カルボジイミドおよび/または変性ポリカルボジイミド
と水溶性ポリマーとを固体状態で混合したもの、あるい
は本発明の水性分散体から分離・採取されたポリカルボ
ジイミドおよび/または変性ポリカルボジイミドと水溶
性ポリマーとからなる粒子は、1種の熱硬化性樹脂組成
物をなし、例えば、粉末、ペレット等の形態で、例え
ば、射出成形法、トランスファー成形法、押出し成形
法、圧縮成形法等の既知の成形法により成形して、各種
の工業製品や工業部品等として使用することもできる。
本発明の水性分散体から熱硬化性フィルムあるいは硬化
フィルムを成形する際に使用される基体は、特に限定さ
れるものではなく、例えば鉄、ニッケル、ステンレス、
チタン、アルミニウム、銅、各種合金等の金属;窒化ケ
イ素、炭化ケイ素、サイアロン、窒化アルミニウム、窒
化ほう素、炭化ほう素、酸化ジルコニウム、酸化チタ
ン、アルミナ、シリカや、これらの混合物等のセラミッ
ク;Si、Ge、SiC 、SiGe、GaAs等の半導体; ガラス、陶
磁器等の窯業材料;芳香族ポリアミド、ポリアミドイミ
ド、ポリイミド、全芳香族ポリエステル等の耐熱性樹脂
等を挙げることができる。前記基体には、所望により、
予め離型処理を施しておくことができ、また、シランカ
ップリング剤、チタンカップリング剤等による薬品処理
や、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリ
ング、気相反応法、真空蒸着の如き適宜の前処理を施す
こともできる。本発明の水性分散体を前記基体に塗布す
る際には、回転塗布法、ロール塗布法、流延塗布法、浸
漬塗布法、噴霧塗布法、電着法等の適宜の塗布手段を採
用することができる。また、塗布厚さは、塗布手段の選
択、水性分散体の固形分濃度や粘度を調節することによ
り、適宜制御することができる。本発明の水性分散体か
ら形成される熱硬化性フィルムあるいは硬化フィルムの
厚さは、適宜選定することができるが、通常、0.1〜
10,000μm、好ましくは1〜1,000μmであ
る。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて、本発明の
実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明
は、その要旨を越えない限り、これらの実施例に何ら制
約されるものではない。。以下の記載において、「部」
および「%」は重量基準である。実施例および比較例中
の各測定・評価は、次のようにして行なった。平均粒子径 水性分散体を蒸留水で固形分濃度0.01重量%に希釈
し、動的光散乱測定装置LPA3000(大塚電子
(株)製)を用いて測定した。分散安定性(I) 調製直後の水性分散体をガラス板上に1滴落とし、凝集
物の有無を目視にて観察し、下記基準で評価した。 ○・・・凝集物なし. △・・・局部的に凝集物が存在する. ×・・・全体的に凝集する.分散安定性(II) 容量250ccのプラスチックビンに水性分散体を入
れ、5℃の冷暗保存所で30日間および20℃で1
0日間保存したときの分散状態を、粘度と目視にて観察
し、下記基準で評価した。 ○・・・変化なし. △・・・2層に分離しないが、粘度がかなり上昇する. ×・・・2層に分離する.熱硬化性フィルム、硬化フィルムおよび硬化薄膜の物性
評価 水性分散体を用い、下記塗布法により薄膜を形成し、下
記物性を評価した。 回転塗布法: 予め離型処理したガラス基体上に、スピ
ンナーを用いて回転塗布して、熱硬化性薄膜を形成させ
たのち、250℃で30分間加熱して硬化させて、硬化
薄膜を得た。次いで、前記熱硬化性薄膜および硬化薄膜
を基体から強制的に剥離して、膜厚55μmの熱硬化性
フィルムおよび膜厚50μmの硬化フィルムを得た。 カチオン電着法: 希酸で洗浄した銅基体を用い、定電
圧法により陰極側銅基体に熱硬化性薄膜を形成させたの
ち、250℃で30分間加熱して硬化させて、銅基体に
密着した膜厚15μmの硬化薄膜を得た。評価物性 引張り強さ:硬化フィルムについて、JIS K691
1またはC2318に準拠して測定した。 10%重量減少温度:硬化フィルムについて、熱重量分
析装置(TGA)を用い、空気中、20℃/分の昇温速
度で測定した。 耐湿熱性試験:硬化フィルムについて、121℃、湿度
100%、2気圧の条件下で、72時間耐湿熱性試験
(PCT)を行い、試験の前後で赤外線分光測定を実施
して、その変化の有無により、耐湿熱性を下記基準で評
価した。 ○・・・変化がなく耐性が認められる. ×・・・変化が大きく耐性が認められない. 体積抵抗率および表面抵抗率:硬化フィルムについて、
JIS K6911に準拠して測定した。 銅箔剥離強度:熱硬化性フィルムを、厚さ130μmの
ポリイミドフィルム(商品名カプトン;東レ・デュポン
社製)と厚さ0.5mmの銅板との間に挟み、100g
/cm2 の加重をかけて、150℃で30分間、続いて
250℃で30分間加熱した。その後、ポリイミドフィ
ルムの銅面からの剥離強度を、JISH8630および
C6481に準拠し、密着強度試験器(山本鍍金試験器
社製)を用いて測定した。 透明性:硬化フィルムについて、目視にて下記基準で評
価した。 ○・・・透明. ×・・・濁りあり.
【0029】
【実施例】
実施例1ポリカルボジイミドの合成 ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート50部
とフェニルイソシアネート3.1部とを、トルエン20
0部中で、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン
−1−オキシド0.044部の存在下、110℃、還流
下で5時間反応させて、ポリカルボジイミドの溶液を得
た。この溶液を室温まで冷却して、ポリカルボジイミド
を析出させ、ろ過して分離・採取し、Mnが9,800
のポリカルボジイミドの粉末を得た。変性ポリカルボジイミドの合成 前記ポリカルボジイミドの粉末30部を、加熱下でトル
エン12部に溶解し、反応性化合物としてアセトン12
部に溶解したトリメリット酸無水物2.8部を、反応系
の温度を80℃に保持して、30分かけて滴下した。さ
らに30分反応させたのち、室温まで冷却して、反応生
成物を析出させ、ろ過して分離・採取し、Mnが4,5
00の変性ポリカルボジイミドの粉末を得た。この変性
ポリカルボジイミドは、赤外線分光測定の結果、カルボ
ジイミド単位に特有の赤外線吸収(波数2,150〜
2,100cm-1) を有することが確認された。また、
前記変性ポリカルボジイミドの粉末40部を、135℃
でシクロヘキサノン60部に溶解して、変性ポリカルボ
ジイミド(A−1)の溶液を得た。水溶性ポリマーの合成 ジエチレングリコールモノエチルエーテル100部を入
れた反応容器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、
この反応容器に、ブチルアクリレート60部、ジメチル
アミノエチルアクリレート40部およびアゾビスイソブ
チロニトリル1部からなる混合液を5時間かけて連続的
に添加しつつ、攪拌下で溶液重合を行なった。滴下終了
後、85℃でさらに2時間攪拌を続けて、溶液重合を完
結させ、固形分50%の水溶性ポリマー(B−1)の溶
液を得た。水性分散体の製造 前記変性ポリカルボジイミド(A−1)の溶液70部
(固形分)に対して、前記水溶性ポリマー(B−1)の
溶液30部(固形分)を添加して十分混合したのち、酢
酸1.5部を少量ずつ添加して混合し、pH調整を行っ
た。次いで、蒸留水700部を徐々に加えながら強く攪
拌して、凝集物のない水性分散体を得た。得られた水性
分散体の性状および評価結果を、表1に示す。
【0030】実施例2変性ポリカルボジイミド溶液 実施例1と同様にして得た変性ポリカルボジイミドの粉
末40部を、135℃でN−メチル−2−ピロリドン6
0部に溶解して、変性ポリカルボジイミド(A−1)の
溶液を得た。水溶性ポリマーの合成 ジエチレングリコールモノエチルエーテル100部を入
れた反応容器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、
この反応容器に、スチレン40部、ジメチルアミノエチ
ルアクリレート60部およびアゾビスイソブチロニトリ
ル1部からなる混合液を5時間かけて連続的に添加しつ
つ、攪拌下で溶液重合を行なった。滴下終了後、85℃
でさらに2時間攪拌を続けて、溶液重合を完結させ、固
形分50%の水溶性ポリマー(B−2)の溶液を得た。水性分散体の製造 前記変性ポリカルボジイミド(A−1)の溶液80部
(固形分)に対して、前記水溶性ポリマー(B−2)の
溶液20部(固形分)を添加して十分混合したのち、酢
酸8部を少量ずつ添加して混合し、pH調整を行った。
次いで、蒸留水500部を徐々に加えながら強く攪拌し
て、凝集物のない水性分散体を得た。得られた水性分散
体の性状および評価結果を、表1に示す。
【0031】実施例3水溶性ポリマーの合成 ジエチレングリコールモノエチルエーテル100部を入
れた反応容器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、
この反応容器に、ブチルアクリレート70部、アクリル
酸30部およびアゾビスイソブチロニトリル1部からな
る混合液を5時間かけて連続的に添加しつつ、攪拌下で
溶液重合を行なった。滴下終了後、85℃でさらに2時
間攪拌を続けて、溶液重合を完結させ、固形分50%の
水溶性ポリマー(B−3)の溶液を得た。水性分散体の製造 実施例1と同様にして得た変性ポリカルボジイミド(A
−1)の溶液60部(固形分)に対して、前記水溶性ポ
リマー(B−3)の溶液40部(固形分)を添加して十
分混合したのち、アンモニア20部を少量ずつ添加して
混合し、pH調整を行った。次いで、蒸留水400部を
徐々に加えながら強く攪拌して、凝集物のない水性分散
体を得た。得られた水性分散体の性状および評価結果
を、表1に示す。
【0032】実施例4変性ポリカルボジイミドの合成 実施例1と同様にして得たポリカルボジイミドの粉末3
0部を、加熱下でトルエン12部に溶解し、反応性化合
物としてアセトン12部に溶解したニコチン酸1.8部
を、反応系の温度を80℃に保持して、30分かけて滴
下した。さらに30分反応させたのち、室温まで冷却し
て、反応生成物を析出させ、ろ過して、Mnが3,80
0の変性ポリカルボジイミドの粉末を得た。この変性ポ
リカルボジイミドは、赤外線分光測定の結果、カルボジ
イミド単位に特有の赤外線吸収(波数2,150〜2,
100cm-1) を有することが確認された。また、前記変
性ポリカルボジイミドの粉末40部を、135℃でN−
メチル−ピロリドン60部に溶解して、変性ポリカルボ
ジイミド(A−2)の溶液を得た。水溶性ポリマーの合成 エチレングリコールモノブチルエーテル100部を入れ
た反応容器を、窒素ガス雰囲気下で85℃に保持し、こ
の反応容器に、スチレン60部、2−ヒドロキシエチル
メタクリレート5部、メタクリル酸35部およびアゾビ
スイソブチロニトリル1部からなる混合液を5時間かけ
て連続的に添加しつつ、攪拌下で溶液重合を行なった。
滴下終了後、85℃でさらに2時間攪拌を続けて、溶液
重合を完結させ、固形分50%の水溶性ポリマー(B−
4)の溶液を得た。水性分散体の製造 前記変性ポリカルボジイミド(A−2)の溶液90部
(固形分)に対して、前記水溶性ポリマー(B−4)の
溶液10部(固形分)を添加して十分混合したのち、ア
ンモニア3部を少量ずつ添加して混合し、pH調整を行
った。次いで、蒸留水700部を徐々に加えながら強く
攪拌して、凝集物のない水性分散体を得た。得られた水
性分散体の性状および評価結果を、表1に示す。
【0033】実施例5ポリカルボジイミドの合成 2,4−トリレンジイソシアネートと2,6−トリレン
ジイソシアネートの8:2(モル比)混合物10部を、
シクロヘキサノン150部中で、1−フェニル−3−メ
チル−2−ホスホレン−1−オキシド0.044部の存
在下、110℃、還流下で4時間反応させたのち、さら
にi−プロパノール2部を追加し、1時間反応させて末
端封止を行って、Mnが6,000のポリカルボジイミ
ドの溶液を得た。このポリカルボジイミドは、赤外線分
光測定の結果、カルボジイミド単位に特有の赤外線吸収
(波数2,150〜2,100cm-1) を有することが
確認された。また、前記ポリカルボジイミドの溶液か
ら、ロータリーエバポレーターにより溶媒を揮発させ
て、固形分濃度40%に調整し、ポリカルボジイミド
(A−3)の溶液を得た。水性分散体の製造 前記ポリカルボジイミド(A−3)の溶液70部(固形
分)に対して、実施例1と同様にして得た水溶性ポリマ
ー(B−1)の溶液30部(固形分)を添加して十分混
合したのち、酢酸の20%シクロヘキサノン溶液15部
を少量ずつ添加して混合し、pH調整を行った。次い
で、蒸留水700部を徐々に加えながら強く攪拌して、
凝集物のない水性分散体を得た。得られた水性分散体の
性状および評価結果を、表1に示す。
【0034】実施例6変性ポリカルボジイミドの合成 実施例5と同様にして得たポリカルボジイミド(A−
3)の溶液30部(固形分)に対して、反応性化合物と
してアセトン12部に溶解したトリメリット酸無水物
2.8部を、反応系の温度を80℃に保持して、30分
かけて滴下した。さらに30分反応させたのち、室温ま
で冷却して、Mnが4,500の変性ポリカルボジイミ
ド(A−4)の溶液を得た。この変性ポリカルボジイミ
ドは、赤外線分光測定の結果、カルボジイミド単位に特
有の赤外線吸収(波数2,150〜2,100cm-1)
を有することが確認された。水性分散体の製造 前記変性ポリカルボジイミド(A−4)の溶液80部
(固形分)に対して、実施例2と同様にして得た水溶性
ポリマー(B−2)の溶液20部(固形分)を添加して
十分混合したのち、酢酸の20%シクロヘキサノン溶液
35部を少量ずつ添加して混合し、pH調整を行った。
次いで、蒸留水500部を徐々に加えながら強く攪拌し
て、凝集物のない水性分散体を得た。得られた水性分散
体の性状および評価結果を、表1に示す。
【0035】比較例1 実施例1と同様にして得た変性ポリカルボジイミド(A
−1)の溶液100部(固形分)を攪拌しながら、これ
に蒸留水700部を徐々に加えた。その後しばらく放置
すると、透明な上層と下層の沈殿物とに分離して、水性
分散体は得られなかった。
【0036】比較例2 実施例1と同様にして得た変性ポリカルボジイミド(A
−1)の溶液90部(固形分)を攪拌しながら、これ
に、予めラウリル硫酸ナトリウム塩10部を添加した蒸
留水400部を徐々に加えて、強く攪拌した。その後し
ばらく放置すると、多量の沈殿物が生じた。この沈殿物
を200メッシュの金網で取り除いて、比較用の水性分
散体を得た。得られた水性分散体の性状および評価結果
を、表2に示す。なお、この水性分散体の平均粒子径
は、測定結果のばらつきが大きく、測定不可能であっ
た。
【0037】
【表1】
【0038】表1中の反応性化合物の種類および水溶性
ポリマーの構成成分は、下記のとおりである。 (*1)TMAAH :トリメリット酸無水物、NICA:ニコチン
酸。 (*2)BA:n−ブチルアクリレート、DMAEA :2−ジメチ
ルアミノエチルアクリレート、ST:スチレン、AA:アク
リル酸、HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、
MA:メタクリル酸。
【0039】
【表2】
【0040】
【発明の効果】本発明の水性分散体は、ポリカルボジイ
ミド本来の耐熱性、電気絶縁性、機械的特性、電着性等
を損うことなく、水性分散体としての保存安定性に優
れ、しかもその硬化物は、耐湿性、透明性、各種基体に
対する接着性等にも優れている。また特に、変性ポリカ
ルボジイミドを用いた水性分散体は、硬化触媒を用いる
ことなく温和な条件下で容易に硬化することができる。
したがって、本発明の水性分散体は、電気機器や電子部
品等の保護膜、電気絶縁膜等として極めて好適に使用す
ることができるほか、接着剤、塗料、熱硬化性フィル
ム、硬化フィルム、プリプレグ、硬化成形品等にも有用
である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)一般式(1) −N=C=N-R1− ・・・(1) (但し、R1は2価の有機基を示す。)で表される繰返し
    単位を有するポリカルボジイミドおよび/または変性ポ
    リカルボジイミドと(B)水溶性ポリマーとを同一粒子
    内に含み、平均粒子径が0.03〜5μmである粒子か
    らなる水性分散体。
  2. 【請求項2】 (A)ポリカルボジイミドおよび/また
    は変性ポリカルボジイミドと(B)水溶性ポリマーとを
    溶液状態で混合したのち、この混合溶液と水性分散媒と
    を混合することを特徴とする請求項1記載の水性分散体
    の製造方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6214923B1 (en) 1998-07-17 2001-04-10 Jsr Corporation Polyimide-based composite, electronic parts using the composite, and polyimide-based aqueous dispersion
WO2003068703A1 (de) * 2002-02-13 2003-08-21 Basf Aktiengesellschaft Wässrige dispersionen, aufgebaut aus polycarbodiimiden

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