JPH1160946A - 熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物 - Google Patents

熱硬化性樹脂組成物およびその硬化物

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JPH1160946A
JPH1160946A JP22558897A JP22558897A JPH1160946A JP H1160946 A JPH1160946 A JP H1160946A JP 22558897 A JP22558897 A JP 22558897A JP 22558897 A JP22558897 A JP 22558897A JP H1160946 A JPH1160946 A JP H1160946A
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JP
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polycarbodiimide
resin composition
compound
thermosetting resin
aromatic
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JP22558897A
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Atsushi Shioda
淳 塩田
Kiyoshi Murata
清 村田
Hozumi Sato
穂積 佐藤
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Original Assignee
JSR Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硬化特性、各種溶媒への溶解性および溶液と
しての保存安定性に優れるとともに、ポリカルボジイミ
ド本来の耐熱性、機械的特性、化学的安定性、電気絶縁
性等を損うことなく、主要な構成成分間の相溶性に優れ
た硬化物をもたらしうるポリカルボジイミド系熱硬化性
樹脂組成物を提供する。 【解決手段】 熱硬化性樹脂組成物は、(A)カルボン
酸無水物基を有するポリカルボジイミド、並びに(B)
分子中に2つ以上のシアン酸エステル基を有する芳香族
シアン酸エステル化合物を含有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の官能基を有
するポリカルボジイミドを含有し、硬化特性、各種溶媒
への溶解性、溶液としての保存安定性、透明性、耐熱
性、機械的特性等に優れた新規な熱硬化性樹脂組成物お
よびその硬化物に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカルボジイミドを含有する組成物
は、耐熱性の高い硬化物を与えることが知られており、
その例として特開平2−218751号公報に、芳香族
ポリカルボジイミドと分子中に2つ以上のシアン酸エス
テル基を有する芳香族シアン酸エステル化合物より成る
熱硬化性の積層材料用組成物が開示されている。しかし
ながらその一方で、ポリカルボジイミドは溶剤や他の樹
脂との相溶性が悪く、ポリカルボジイミドを含有する熱
硬化性組成物は、加工特性に劣るという欠点があった。
この欠点を克服する方法として、特開平8−81545
号公報に、グラフト反応性基とカルボン酸無水物基とを
有する化合物の1種以上をポリカルボジイミドにグラフ
トさせた樹脂(変性ポリカルボジイミド)が、ポリカル
ボジイミドの溶剤への溶解性や反応性を改良しうること
が開示されており、その具体例として、該変性ポリカル
ボジイミドとエポキシ樹脂より成る組成物が提案されて
いる。しかしながら、前記変性ポリカルボジイミドとエ
ポキシ樹脂より成る組成物は他の成分との相溶性、反応
性に優れるものの、耐熱性の点では、ポリカルボジイミ
ドとシアン酸エステル化合物より成る組成物に劣るとい
う問題点があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、硬化
特性、各種溶媒への溶解性および溶液としての保存安定
性に優れるとともに、ポリカルボジイミド本来の耐熱
性、機械的特性、化学的安定性、電気絶縁性等を損うこ
となく、主要な構成成分間の相溶性に優れた硬化物をも
たらしうるポリカルボジイミド系熱硬化性樹脂組成物を
提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、第一に、
(A)カルボン酸無水物基を有するポリカルボジイミ
ド、並びに(B)分子中に2つ以上のシアン酸エステル
基を有する芳香族シアン酸エステル化合物を含有するこ
とを特徴とする熱硬化性樹脂組成物、からなる。
【0005】本発明は、第二に、(A)カルボン酸無水
物基を有するポリカルボジイミド、並びに(B)分子中
に2つ以上のシアン酸エステル基を有する芳香族シアン
酸エステル化合物を含有する熱硬化性樹脂組成物を加熱
してなる硬化物、からなる。
【0006】以下、本発明を詳細に説明する。(A)変性ポリカルボジイミド 本発明における(A)成分は、カルボン酸無水物基を有
するポリカルボジイミド(以下、「変性ポリカルボジイ
ミド」という。)からなる。このような変性ポリカルボ
ジイミドは、例えば、ポリカルボジイミドに、反応性基
とカルボン酸無水物基とを有する化合物(以下、「反応
性化合物」という。)を反応させることにより製造する
ことができる。 〈ポリカルボジイミド〉変性ポリカルボジイミドの製造
に使用されるポリカルボジイミドの合成法は特に限定さ
れるものではないが、例えば、有機ポリイソシアネート
を、イソシアネート基のカルボジイミド化反応を促進す
る触媒(以下、「カルボジイミド化触媒」という。)の
存在下で重合することにより、ポリカルボジイミドを合
成することができ、具体的には、例えば、D.J.Lyman ら
によるDie Makromol. Chem.,67,1(1963)、E.Deyer らに
よるJ. Am. Chem. Soc.,80,5495(1958) に開示されてい
る方法を採用することができる。また、得られるポリカ
ルボジイミドの分子量を規制する方法としては、例え
ば、ポリカルボジイミド形成触媒の存在下で有機ポリイ
ソシアネートを重合したのち、得られたイソシアナート
末端ポリカルボジイミドをアルコールと反応させること
によってウレタン末端ポリカルボジイミドを得る方法
( T.W.Campbell によるJ. Org. Chem.,28,2069(1963)
参照)、有機モノイソシアナートを用いて重合を停止さ
せる方法( L.M.Alberion らによるJ. Appl. Polym. Sc
i.,21,1999(1977)や特公昭52−16579号公報等参
照)、特定の混合溶媒を用いて分子量を規制しつつゲル
化させないで安定的にポリカルボジイミドを得る方法
(特開平2−202906号公報参照)、ジフェニルメ
タンジイソシアナートおよびフェニルイソシアナート
を、カルボジイミド化触媒の存在下、芳香族炭化水素溶
媒中で加熱重合後、反応液を冷却することによりポリマ
ーを析出させて、低分子成分と高分子量成分とを分別す
る方法(特開平4−261428号公報参照)等を採用
することができる。
【0007】ポリカルボジイミドの合成に用いられる有
機ポリイソシアネートとしては、有機ジイソシアネート
が好ましい。このような有機ジイソシアネートとして
は、例えば、フェニレン−1,3−ジイソシアネート、
フェニレン−1,4−ジイソシアネート、1−メトキシ
フェニレン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルフ
ェニレン−2,4−ジイソシアネート、2,4−トリレ
ンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネー
ト、1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キ
シリレンジイソシアネート、ビフェニレン−4,4’−
ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニレン
−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビ
フェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニル
メタン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタ
ン−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキ
シジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、
3,3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイ
ソシアネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネー
ト、シクロブチレン−1,3−ジイソシアネート、シク
ロペンチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキ
シレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン
−1,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシ
レン−2,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘ
キシレン−2,6−ジイソシアネート、1−イソシアネ
ート−3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメ
チルシクロヘキサン、シクロヘキサン−1,3−ビス
(メチルイソシアネート)、シクロヘキサン−1,4−
ビス(メチルイソシアネート)、イソホロンジイソシア
ネート、ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシ
アネート、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソ
シアネート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレ
ン−1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,
6−ジイソシアネート、ドデカメチレン−1,12−ジ
イソシアネート、リジンジイソシアネートメチルエステ
ル等や、これらの有機ジイソシアネートの化学量論的過
剰量と2官能性活性水素含有化合物との反応により得ら
れる両末端イソシアネートプレポリマー等を挙げること
ができる。前記有機ジイソシアネートは、単独でまたは
2種以上を混合して使用することができる。
【0008】また、場合により前記有機ジイソシアネー
トと共に使用される他の有機ポリイソシアネートとして
は、例えば、フェニル−1,3,5−トリイソシアネー
ト、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネ
ート、ジフェニルメタン−2,5,4’−トリイソシア
ネート、トリフェニルメタン−2,4’,4”−トリイ
ソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−
トリイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4,
2’,4’−テトライソシアネート、ジフェニルメタン
−2,5,2’,5’−テトライソシアネート、シクロ
ヘキサン−1,3,5−トリイソシアネート、シクロヘ
キサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネー
ト)、3,5−ジメチルシクロヘキサン−1,3,5−
トリス(メチルイソシアネート)、1,3,5−トリメ
チルシクロヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソ
シアネート)、ジシクロヘキシルメタン−2,4,2’
−トリイソシアネート、ジシクロヘキシルメタン−2,
4,4’−トリイソシアネート等の3官能以上の有機ポ
リイソシアネートや、これらの3官能以上の有機ポリイ
ソシアネートの化学量論的過剰量と2官能以上の多官能
性活性水素含有化合物との反応により得られる末端イソ
シアネートプレポリマー等を挙げることができる。前記
他の有機ポリイソシアネートは、単独でまたは2種以上
を混合して使用することができ、その使用量は、有機ジ
イソシアネート100重量部当たり、通常、0〜40重
量部、好ましくは0〜20重量部である。
【0009】さらに、ポリカルボジイミドの合成に際し
ては、必要に応じて有機モノイソシアネートを添加する
ことにより、有機ポリイソシアネートが前記他の有機ポ
リイソシアネートを含有する場合、得られるポリカルボ
ジイミドの分子量を適切に規制することができ、また有
機ジイソシアネートを有機モノイソシアネートと併用す
ることにより、比較的低分子量のポリカルボジイミドを
得ることができる。このような有機モノイソシアネート
としては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソ
シアネート、n−プロピルイソシアネート、n−ブチル
イソシアネート、ラウリルイソシアネート、ステアリル
イソシアネート等のアルキルモノイソシアネート類;シ
クロヘキシルイソシアネート、4−メチルシクロヘキシ
ルイソシアネート、2,5−ジメチルシクロヘキシルイ
ソシアネート等のシクロアルキルモノイソシアネート
類;フェニルイソシアネート、o−トリルイソシアネー
ト、m−トリルイソシアネート、p−トリルイソシアネ
ート、2−メトキシフェニルイソシアネート、4−メト
キシフェニルイソシアネート、2−クロロフェニルイソ
シアネート、4−クロロフェニルイソシアネート、2−
トリフルオロメチルフェニルイソシアネート、4−トリ
フルオロメチルフェニルイソシアネート、ナフタレン−
1−イソシアネート等のアリールモノイソシアネート類
を挙げることができる。前記有機モノイソシアネート
は、単独でまたは2種以上を混合して使用することがで
き、その使用量は、ポリカルボジイミドの所望の分子
量、前記他の有機ポリイソシアネートの有無等により変
わるが、全有機ポリイソシアネート成分100重量部当
り、通常、0〜40重量部、好ましくは0〜20重量部
である。
【0010】また、カルボジイミド化触媒としては、例
えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、
1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキ
シド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−スルフィ
ド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−
スルフィド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシ
ド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オ
キシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−スルフィ
ド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−ス
ルフィド、1−メチル−2−ホスホレン−1−オキシ
ド、1−メチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オ
キシド、1−メチル−2−ホスホレン−1−スルフィ
ド、1−メチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−ス
ルフィドや、これらの3−ホスホレン異性体等のホスホ
レン化合物;ペンタカルボニル鉄、ノナカルボニル二
鉄、テトラカルボニルニッケル、ヘキサカルボニルタン
グステン、ヘキサカルボニルクロム等の金属カルボニル
錯体;ベリリウム、アルミニウム、ジルコニウム、クロ
ム、鉄等の金属のアセチルアセトン錯体;トリメチルホ
スフェート、トリエチルホスフェート、トリイソプロピ
ルホスフェート、トリ−t−ブチルホスフェート、トリ
フェニルホスフェート等の燐酸エステルを挙げることが
できる。前記カルボジイミド化触媒は、単独でまたは2
種以上を混合して使用することができ、その使用量は、
全有機イソシアネート成分100重量部当たり、通常、
0.001〜30重量部、好ましくは0.01〜10重
量部である。
【0011】ポリカルボジイミドの合成反応は、無溶媒
下でも適当な溶媒中でも実施することができる。前記溶
媒としては、合成反応中の加熱によりポリカルボジイミ
ドを溶解しうるものであればよく、例えば、1,1−ジ
クロロエタン、1,2−ジクロロエタン、1,1,1−
トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、
1,1,1,2−テトラクロロエタン、1,1,2,2
−テトラクロロエタン、ペンタクロロエタン、ヘキサク
ロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、1,2−ジク
ロロエチレン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチ
レン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン、m−ジ
クロロベンゼン、p−ジクロロベンゼン、1,2,4−
トリクロロベンゼン、トリクロロメチルベンゼン等のハ
ロゲン化炭化水素系溶媒;ジオキサン、アニソール、テ
トラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、ジエチレング
リコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエ
チルエーテル、ジエチレングリコールジ−n−プロピル
エーテル、ジエチレングリコールジ−n−ブチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールモノ−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコー
ルモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコール
モノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;シクロヘキサ
ノン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−メチルシク
ロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチ
ルシクロヘキサノン、シクロヘプタノン、1−デカロ
ン、2−デカロン、2,4−ジメチル−3−ペンタノ
ン、4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2−メチル−
3−ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘ
プタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチ
ル−3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、
2,6−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、
3−オクタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノ
ナノン、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン等
のケトン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチ
ルベンゼン、クメン等の芳香族炭化水素系溶媒;N−メ
チル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリド
ン、N−ベンジル−2−ピロリドン、N−メチル−3−
ピロリドン、N−アセチル−3−ピロリドン、N−ベン
ジル−3−ピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホル
ムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチル
ホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセト
アミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルア
セトアミド、N−メチルプロピオンアミド等のアミド系
溶媒;ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶
媒;2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチ
ルアセテート、2−n−プロポキシエチルアセテート、
2−n−ブトキシエチルアセテート、2−フェノキシエ
チルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエー
テルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエー
テルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−プロ
ピルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−
n−ブチルエーテルアセテート等のアセテート系溶媒を
挙げることができる。前記溶媒は、単独でまたは2種以
上を混合して使用することができ、その使用量は、全有
機イソシアネート成分の濃度が、通常、0.5〜60重
量%、好ましくは5〜50重量%となる割合である。全
有機イソシアネート成分の濃度が高過ぎると、生成され
るポリカルボジイミドが合成反応中にゲル化するおそれ
があり、また全有機イソシアネート成分の濃度が低すぎ
ても、反応速度が遅くなり、生産性が低下する。
【0012】ポリカルボジイミドの合成反応の温度は、
有機イソシアネート成分やカルボジイミド化触媒の種類
に応じて適宜選定されるが、通常、20〜200℃であ
る。ポリカルボジイミドの合成反応に際して、有機イソ
シアネート成分は、反応前に全量を添加しても、あるい
はその一部または全部を反応中に、連続的あるいは段階
的に添加してもよい。また本発明においては、イソシア
ネート基と反応しうる化合物を、ポリカルボジイミドの
合成反応の初期から後期に至る適宜の反応段階で添加し
て、ポリカルボジイミドの末端イソシアネート基を封止
し、得られるポリカルボジイミドの分子量を調節するこ
ともでき、またポリカルボジイミドの合成反応の後期に
添加して、得られるポリカルボジイミドの分子量を所定
値に規制することもできる。このようなイソシアネート
基と反応しうる化合物としては、例えば、メタノール、
エタノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等
のアルコール類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ベ
ンジルアミン等のアミン類等を挙げることができる。以
上のようにして合成されたポリカルボジイミドは、必要
に応じて溶液から分離される。この場合、ポリカルボジ
イミドの分離法としては、例えば、ポリカルボジイミド
溶液を、該ポリカルボジイミドに対して不活性な非溶媒
中に添加し、生じた沈澱物あるいは油状物をろ過または
デカンテーションにより分離・採取する方法;噴霧乾燥
により分離・採取する方法;得られたポリカルボジイミ
ドの合成に用いた溶媒に対する温度による溶解度変化を
利用して分離・採取する方法、即ち、合成直後は該溶媒
に溶解しているポリカルボジイミドが系の温度を下げる
ことにより析出する場合、その混濁液からろ過等により
分離・採取する方法等を挙げることができ、さらに、こ
れらの分離・採取方法を適宜組合せて行うこともでき
る。本発明におけるポリカルボジイミドのゲルパーミエ
ーションクロマトグラフィー(GPC)により求めたポ
リスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」とい
う。)は、通常、400〜500,000、好ましくは
1,000〜200,000、特に好ましくは2,00
0〜100,000である。
【0013】〈反応性化合物〉次に、変性ポリカルボジ
イミドの合成に使用される反応性化合物は、芳香族化合
物、脂肪族化合物あるいは脂環族化合物であることがで
き、環式化合物では炭素環式化合物でも複素環式化合物
でもよい。反応性化合物における反応性基とは、ポリカ
ルボジイミドと反応して、カルボン酸無水物基を有する
反応性化合物残基が結合した変性ポリカルボジイミドを
もたらす基を意味する。このような反応性基としては、
活性水素を有する官能基であればよく、例えば、カルボ
キシル基または第一級もしくは第二級のアミノ基を挙げ
ることができる。反応性化合物において、反応性基は同
一のあるいは異なる基が1個以上存在することができ、
またカルボン酸無水物基は1個以上存在することができ
る。
【0014】このような反応性化合物としては、例え
ば、トリメリット酸無水物、ベンゼン−1,2,3−ト
リカルボン酸無水物、ナフタレン−1,2,4−トリカ
ルボン酸無水物、ナフタレン−1,4,5−トリカルボ
ン酸無水物、ナフタレン−2,3,6−トリカルボン酸
無水物、ナフタレン−1,2,8−トリカルボン酸無水
物、4−(4−カルボキシベンゾイル)フタル酸無水
物、4−(4−カルボキシフェニル)フタル酸無水物、
4−(4−カルボキシフェノキシ)フタル酸無水物等の
芳香族トリカルボン酸無水物類:ピロメリット酸一無水
物モノメチルエステル、3,3’,4,4’−ベンゾフ
ェノンテトラカルボン酸一無水物モノメチルエステル、
3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸一無
水物モノメチルエステル等の芳香族テトラカルボン酸一
無水物モノアルキルエステル類;3−カルボキシメチル
グルタル酸無水物、ブタン−1,2,4−トリカルボン
酸−1,2−無水物、プロパン−1,2,3−トリカル
ボン酸−1,2−無水物等の脂肪族トリカルボン酸無水
物類;3−アミノ−4−シアノ−5−メチルフタル酸無
水物、3−アミノ−4−シアノ−5,6−ジフェニルフ
タル酸無水物、3−メチルアミノ−4−シアノ−5−メ
チルフタル酸無水物、3−メチルアミノ−4−シアノ−
5,6−ジフェニルフタル酸無水物等のアミノ芳香族ジ
カルボン酸無水物類;アミノコハク酸無水物、4−アミ
ノ−1,2−ブタンジカルボン酸無水物、4−アミノヘ
キサヒドロフタル酸無水物、N−メチルアミノコハク酸
無水物、4−メチルアミノ−1,2−ブタンジカルボン
酸無水物、4−メチルアミノヘキサヒドロフタル酸無水
物等のアミノ脂肪族ジカルボン酸無水物類等を挙げるこ
とができる。これらの反応性化合物のうち、特にトリメ
リット酸無水物が好ましい。前記反応性化合物は、単独
でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0015】〈変性ポリカルボジイミドの合成〉次に、
変性ポリカルボジイミドの合成法について説明する。変
性ポリカルボジイミドは、ポリカルボジイミドに、反応
性化合物の少なくとも1種を、適当な触媒の存在下ある
いは不存在下で、適宜温度で反応(以下、「変性反応」
という。)させることによって合成することができる。
この場合、ポリカルボジイミドは、単独でまたは2種以
上を混合して使用することができる。変性反応における
反応性化合物の使用量は、ポリカルボジイミドや該化合
物の種類、得られる熱硬化性樹脂組成物の用途等に応じ
て適宜調節されるが、カルボジイミド単位1モルに対
し、反応性化合物中の反応性基が0.01〜1モル、好
ましくは0.02〜0.8モルとなる割合で使用する。
この場合、反応性基の割合が0.01モル未満では、得
られる熱硬化性樹脂組成物を硬化させるのに長時間の加
熱が必要となったり、該樹脂組成物の溶液としての保存
安定性の改善効果が不十分となるおそれがあり、また1
モルを超えると、ポリカルボジイミド本来の特性が損な
われるおそれがある。前記変性反応においては、反応性
化合物中の反応性基とポリカルボジイミドとの反応は定
量的に進行し、該反応性化合物の使用量に見合う反応率
が達成される。変性反応は、無溶媒下でも実施すること
ができるが、適当な溶媒中で実施することが好ましい。
このような溶媒は、ポリカルボジイミドおよび反応性化
合物に対して不活性であり、かつこれらを溶解しうる限
り、特に限定されるものではなく、その例としては、ポ
リカルボジイミドの合成に使用される前記エーテル系溶
媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族炭化水素系溶
媒、非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。こ
れらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用す
ることができる。また変性反応に、ポリカルボジイミド
の合成時に使用された溶媒が使用できるときは、その合
成により得られるポリカルボジイミド溶液をそのまま使
用することもできる。変性反応における溶媒の使用量
は、反応原料の合計100重量部当たり、通常、10〜
10,000重量部、好ましくは50〜5,000重量
部である。変性反応の温度は、ポリカルボジイミドおよ
び反応性化合物の種類に応じて適宜選定されるが、通
常、100℃以下、好ましくは−10〜+80℃であ
る。
【0016】以上のようにして得られる変性ポリカルボ
ジイミドのMnは、通常、500〜1,000,00
0、好ましくは1,000〜400,000、さらに好
ましくは2,000〜200,000である。変性ポリ
カルボジイミドは、通常、溶液として本発明の熱硬化性
樹脂組成物の調製に使用されるが、溶液から分離して使
用してもよい。その合成時に溶液として得られた変性ポ
リカルボジイミドを溶媒から分離する方法としては、前
述したポリカルボジイミドの分離法と同様の方法を挙げ
ることができる。
【0017】本発明における変性ポリカルボジイミド
は、反応性化合物中の反応性基がポリカルボジイミドと
反応して、該化合物のカルボン酸無水物基を有する残基
が結合した構造を有するものであり、変性反応前のポリ
カルボジイミドとは本質的に異なる構造を有するもので
ある。そのため、変性ポリカルボジイミドは、変性反応
前のポリカルボジイミドとはその性状が異なっており、
後述する芳香族シアン酸エステル化合物と混合して加熱
することにより、変性ポリカルボジイミド中のカルボン
酸無水物基の作用によって硬化触媒を用いなくても、通
常、100〜350℃、好ましくは150〜300℃の
温度で容易に硬化する特性を有する。しかも、変性ポリ
カルボジイミドは、各種溶媒に対して容易に溶解すると
ともに、芳香族シアン酸エステル化合物の共存下でも、
溶液としての保存安定性が極めて優れたものとなる。こ
のような変性ポリカルボジイミドおよび芳香族シアン酸
エステル化合物を含有する樹脂組成物の硬化特性、並び
に変性ポリカルボジイミドあるいはそれと芳香族シアン
酸エステル化合物との混合物の溶液としての保存安定性
は、従来のポリカルボジイミド系熱硬化性樹脂組成物に
おける重大な欠点を解消するものであって、工業上多大
の寄与をなすものである。
【0018】(B)芳香族シアン酸エステル化合物本発
明における(B)成分は、分子中に2つ以上のシアン酸
エステル基(即ち 、−OCN)を有する芳香族シアン酸エステル化合物か
らなる。この芳香族シアン酸エステル化合物は、一般的
に、下記式で表すことができる。
【0019】Ar(−OCN)n
【0020】(式中、Arはn価の芳香族基を示し、シ
アン酸エステル基は芳香環に直接結合しており、nは2
以上の整数で、通常10以下である。) このような芳香族シアン酸エステル化合物は、例えば、
対応する多価のフェノール系化合物をハロゲン化シアン
と反応させる公知の方法、例えば特公昭41−1928
号公報に示された方法によって合成することができる。
芳香族シアン酸エステル化合物の具体例としては、1,
3−ジシアナートベンゼン、1,4−ジシアナートベン
ゼン、1,3,5−トリシアナートベンゼン等のポリシ
アナートベンゼン類;1,3−ジシアナートナフタレ
ン、1,4−ジシアナートナフタレン、1,6−ジシア
ナートナフタレン、1,8−ジシアナートナフタレン、
2,6−ジシアナートナフタレン、2,7−ジシアナー
トナフタレン、1,3,6−トリシアナートナフタレン
等のポリシアナートナフタレン類;2,2’−ジシアナ
ートビフェニル、4,4’−ジシアナートビフェニル等
のポリシアナートビフェニル類;2,2’−ジシアナー
トベンゾフェノン、4,4’−ジシアナートベンゾフェ
ノン等のポリシアナートベンゾフェノン類;ビス(4−
シアナートフェニル)メタン、1,1−ビス(4−シア
ナートフェニル)エタン、1,2−ビス(4−シアナー
トフェニル)エタン、2,2−ビス(4−シアナートフ
ェニル)プロパン、2,2ビス(3,5−ジクロロ−
4−シアナートフェニル)プロパン、1,1,1,3,
3,3−ヘキサフルオロ−2,2−ビス(4−シアナー
トフェニル)プロパン、1,4−ビス(4−シアナート
フェニル)シクロヘキサン等のビス(4−シアナートフ
ェニル)アルカン類や、ビス(4−シアナートフェニ
ル)エーテル、ビス(4−シアナートフェニル)チオエ
ーテル、ビス(4−シアナートフェニル)スルホン、ト
リス(4−シアナートフェニル)ホスファイト、トリス
(4−シアナートフェニル)ホスフェート、、フェノー
ル樹脂とハロゲン化シアンとの反応より得られるベンゼ
ン多核体のポリイソシアネート化合物(例えば、特公昭
45−11712号公報、特公昭55−9433号公報
等参照)等を挙げることができる。また、これらの芳香
族シアン酸エステル化合物は、それらの芳香族環の適宜
の位置に、水酸基、ハロゲン原子、カルボキシル基、カ
ルボン酸エステル基、アシルオキシ基、、アルキル基、
シアノ基、ニトロ基、アミノ基、ジアルキルアミノ基、
スルホン酸基、スルホン酸エステル基等の置換基を1種
以上有することができる。さらに、前記芳香族シアン酸
エステル化合物を香油、ルイス酸、塩(例えば、炭酸ナ
トリウム、塩化リチウム等)、りん酸エステル等の触媒
の存在下に重合して得られるプレポリマーを使用するこ
ともできる。このプレポリマーは、シアン酸エステル基
の3量化によって形成されたs−トリアジン環を有して
おり、その平均分子量は、通常、400〜6,000程
度である。これらの芳香族シアン酸エステル化合物のう
ち、入手が容易であり、かつ成形性および最終硬化物に
良好な性質を与えるという観点から、2,2−ビス(4
−シアナートフェニル)プロパンのようなビスフェノー
ル類から誘導された2価のシアン酸エステル化合物が特
に好ましい。また、フェノールおよび/またはクレゾー
ルとホルムアルデヒドとの初期縮合物にハロゲン化シア
ンを反応させて得られるポリシアナート化合物も有用で
ある。前記芳香族シアン酸エステル化合物は、単独でま
たは2種以上を混合して使用することができる。芳香族
シアン酸エステル化合物の使用量は、変性ポリカルボジ
イミド100重量部当り、通常、5〜500重量部、好
ましくは10〜300重量部である。この場合、シアン
酸エステル化合物の使用量が5重量部未満では、硬化速
度の改善効果が低下する傾向があり、また500重量部
を超えると、硬化物の耐熱性が低下する傾向がある。
【0021】熱硬化性樹脂組成物の調製 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、前記変性ポリカルボジ
イミドおよび芳香族シアン酸エステル化合物を必須成分
とするものであるが、必要に応じて、各種の添加剤を配
合することができる。このような添加剤としては、例え
ば、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、難燃剤、着色
剤、滑剤、防曇剤、接着性改善剤、防カビ剤等を挙げる
ことができる。さらに、クレー、ゼオライト、タルク、
マイカ、シリカ、グラファイト、アルミナ、炭酸カルシ
ウム、ワラストナイト等の充填剤や、ガラス、カーボ
ン、アルミナ、チタン酸カリウム、ほう酸アルミニウ
ム、炭化けい素、窒化けい素、芳香族ポリアミド、ポリ
アミドイミド、ポリイミド、全芳香族ポリエステル、超
高分子量ポリエチレン、高強度ポリアクリロニトリル、
高強力ポリビニルアルコール等の繊維あるいはウイスカ
ー等の補強材を配合することもできる。また前記補強材
を織布、不織布、編み物等の布帛の形で用い、これらの
布帛に本発明の熱硬化性樹脂組成物を含浸させて使用す
ることもできる。また、本発明の熱硬化性樹脂組成物
は、それ自体優れた硬化特性を有するものであるが、所
望により、変性ポリカルボジイミド中のカルボジイミド
基および/または酸無水物基との反応性を有するか、あ
るいはシアン酸エステル基の3量化反応を促進する、硬
化触媒、硬化促進剤、硬化助剤等をさらに配合してもよ
い。
【0022】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、変性ポリ
カルボジイミドおよび芳香族シアン酸エステル化合物
を、場合により使用される各種添加剤と共に、適当な溶
媒中で混合する方法や、溶媒から分離して固体として採
取した変性ポリカルボジイミドと芳香族シアン酸エステ
ル化合物を、場合により使用される各種添加剤と共に、
必要に応じて加熱しつつ、無溶媒下で混練する方法等に
より調製することができる。熱硬化性樹脂組成物の調製
に際して使用される前記溶媒は、変性ポリカルボジイミ
ドおよびシアン酸エステル化合物に対して不活性であ
り、かつこれらを溶解しうる限り、特に制約されるもの
ではなく、その例としては、ポリカルボジイミドの合成
に使用される前記エーテル系溶媒、アミド系溶媒、ケト
ン系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、非プロトン性極性溶
媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、単独でま
たは2種以上を混合して使用することができる。熱硬化
性樹脂組成物を調製する際の溶媒の使用量は、変性ポリ
カルボジイミドと芳香族シアン酸エステル化合物との合
計100重量部当り、10〜10,000重量部が好ま
しく、さらに好ましくは20〜5,000重量部であ
る。本発明の熱硬化性樹脂組成物は、溶液として使用し
てもよいし、また無溶媒下で混合したものをそのまま使
用してもよい。
【0023】熱硬化性樹脂組成物の特性および用途 本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化特性、各種溶媒へ
の溶解性および溶液としての保存安定性に優れるのみな
らず、該組成物を加熱して得られる硬化物は、透明性、
耐熱性、機械的特性、化学的安定性、電気絶縁性等に優
れている。したがって、本発明の熱硬化性樹脂組成物
は、特に、各種の電気機器や電子部品等の保護膜、電気
絶縁膜等として極めて好適に使用することができるほ
か、耐熱性が要求される接着剤や塗料としても有用であ
る。また、本発明の熱硬化性樹脂組成物を適当な基体に
塗布して、熱硬化性膜を成形し、該膜を硬化前に基体か
ら強制的に剥離することによって、熱硬化性膜を取得す
ることができる。該熱硬化性膜は、電気機器や電子部品
等の耐熱性接着フィルム等として有用である。あるいは
前記基体から強制的に剥離された熱硬化性膜を加熱して
硬化させるか、または適当な基体上で熱硬化性膜を加熱
して硬化させたのち、該硬化膜を基体から強制的に剥離
することによって、硬化膜を取得することができる。さ
らに、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、その溶液をガラ
スクロス等の適当な布帛に含浸させたのち乾燥したプリ
プレグ、あるいは無溶媒の該樹脂組成物をガラスクロス
等の適当な布帛に含浸させたプリプレグとして、銅張り
積層板等の積層材等に有用であり、また粉末、ペレット
等の形態で、熱硬化性成形材料としても有用である。本
発明の熱硬化性樹脂組成物から熱硬化性膜あるいは硬化
膜を成形する際に使用される基体は、特に限定されるも
のではなく、例えば、鉄、ニッケル、ステンレス、チタ
ン、アルミニウム、銅、各種合金等の金属;窒化けい
素、炭化けい素、サイアロン、窒化アルミニウム、窒化
ほう素、炭化ほう素、酸化ジルコニウム、酸化チタン、
アルミナ、シリカや、これらの混合物等のセラミック;
Si、Ge、SiC 、SiGe、GaAs等の半導体; ガラス、陶磁器
等の窯業材料;芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、
ポリイミド、全芳香族ポリエステル等の耐熱性樹脂等を
挙げることができる。また、これらの基体には、所望に
より、予め離型処理を施しておくことができ、あるいは
シランカップリング剤、チタンカップリング剤等による
薬品処理や、プラズマ処理、イオンプレーティング、ス
パッタリング、気相反応法、真空蒸着の如き適宜の前処
理を施すこともできる。本発明の熱硬化性樹脂組成物を
前記基体に塗布する際には、該樹脂組成物を、必要に応
じて溶液に調製して、回転塗布法、ロール塗布法、流延
塗布法、浸漬塗布法、噴霧塗布法等の適宜の塗布手段を
採用することができる。また、塗布厚さは、塗布手段の
選択、組成物溶液の固形分濃度や粘度を調節することに
より、適宜制御することができる。また、本発明の熱硬
化性樹脂組成物から形成される熱硬化性膜あるいは硬化
膜の厚さは、適宜選定することができるが、通常、0.
1〜10,000μm、好ましくは1〜1,000μm
である。さらに、本発明の熱硬化性樹脂組成物は、無溶
媒下で混合したもの、あるいは溶媒から分離・採取した
ものを、射出成形法、トランスファー成形法、押出し成
形法、圧縮成形法等の成形法により成形して、各種の工
業製品や工業部品等として使用することもできる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて、本発明の
実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明
は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に何ら制
約されるものではない。実施例および比較例における部
は、重量基準である。実施例および比較例における曲げ
強度および曲げ弾性率は、ASTM D−790に準拠
し、また熱変形温度は、ASTM D−648に準拠し
て評価した。 合成例1ポリカルボジイミドの合成 ジフェニルメタンー4、4’ージイソシアネート(MDI)
50gとフェニルイソシアネート2.6gを、トルエン
200g中で、1ーフェニルー3ーメチルー2ーホスホ
レンー1ーオキシド0.044gの存在下、110℃、
還流下で5時間反応して、ポリカルボジイミドの溶液を
得た。次いで、この溶液を室温まで冷却して、ポリカル
ボジイミドを析出させたのち、ろ過して分離・採取し、
Mnが9,800のポリカルボジイミド(P-MDI)の粉末
を得た。変性ポリカルボジイミドの合成 P-MDI の粉末30gを、加熱下でトルエン120gに溶
解し、反応性化合物としてアセトン12gに溶解したト
リメリット酸無水物(TMAH) 2.8gを、反応系の温度
を80℃に保持して、30分かけて滴下した。その後、
さらに30分反応させたのち、室温まで冷却して、反応
生成物を析出させ、ろ過して分離・採取し、変性ポリカ
ルボジイミド(Mn=4,500)の粉末を得た。この
変性ポリカルボジイミドを赤外線分光測定法により分析
したところ、カルボジイミド単位に特有の赤外線吸収
(波数2,150〜2,100cm-1)およびカルボン酸
無水物に特有の赤外線吸収(波数1,850〜1,78
0cm-1)を有することが確認された。この変性ポリカル
ボジイミドを、P-MDI/TMAHとする。
【0025】合成例2ポリカルボジイミドの合成 トリレンジイソシアネート(TDI) 50gとフェニルイソ
シアネート3.8gを、シクロヘキサノン200g中
で、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−
オキシド0.031gの存在下、80℃で4時間反応し
て、Mnが3,800のポリカルボジイミド(P-TDI)の
溶液を得た。変性ポリカルボジイミドの合成 P-TDI の溶液に、反応性化合物としてトリメリット酸無
水物5.5gを添加し、20℃で3時間反応して、変性
ポリカルボジイミド(Mn=4,300)の溶液を得
た。この変性ポリカルボジイミドを赤外線分光測定法に
より分析したところ、カルボジイミド単位に特有の赤外
線吸収(波数2,150〜2,100cm-1)およびカル
ボン酸無水物に特有の赤外線吸収(波数1,850〜
1,780cm-1)を有することが確認された。この変性
ポリカルボジイミドを、P-TDI/TMAHとする。
【0026】
【実施例】
実施例1 P-MDI/TMAH100部と2,2−ビス(4−シアナトフェ
ニル)プロパン50部とを十分に混合し、130℃で溶
解したのち、230℃の金型中、20kgf/cm2の圧力で
1時間熱プレス成形を行って、1.5mm厚のシートを得
た。このシートは、 曲げ強度 :155MPa 曲げ弾性率:2.1GPa 熱変形温度:232℃ であった。また、このシートは透明であり、変性ポリカ
ルボジイミドと芳香族シアン酸エステル化合物とが良く
相溶していることが認められた
【0027】比較例1 P-MDI/TMAHの代わりにP-MDI を用いた以外は、実施例1
と同様に処理して、1.5mm厚のシートを得た。このシ
ートは、 曲げ強度 :105MPa 曲げ弾性率:2.6GPa 熱変形温度:243℃ であった。また、このシートは不透明で所々に粒状塊が
見られ、ポリカルボジイミドと芳香族シアン酸エステル
化合物との相溶性が不十分であることが認められた。
【0028】実施例2 P-TDI/TMAH100部とビス(4−シアナトフェニル)メ
タン100部とを十分に混合し、150℃で溶解したの
ち、230℃金型中、20kgf/cm2 の圧力で1時間熱プ
レス成形を行って、1.5mm厚のシートを得た。このシ
ートは、 曲げ強度 :140MPa 曲げ弾性率:2.6GPa 熱変形温度:224℃ であった。また、このシートは透明であり、変性ポリカ
ルボジイミドと芳香族シアン酸エステル化合物とが良く
相溶していることが認められた。
【0029】比較例2 P-TDI/TMAHの代わりにP-TDI を用いた以外は、実施例2
と同様に処理して、1.5mm厚のシートを得た。このシ
ートは、 曲げ強度 :96MPa 曲げ弾性率:2.8GPa 熱変形温度:240℃ であった。また、このシートは不透明で所々に粒状塊が
見られ、ポリカルボジイミドと芳香族シアン酸エステル
化合物との相溶性が不十分であることが認められた。
【0030】
【発明の効果】本発明の熱硬化性樹脂組成物は、硬化特
性、各種溶媒への溶解性および溶液としての保存安定性
に優れており、また当該組成物の硬化物は、変性ポリカ
ルボジイミドと芳香族シアン酸エステル化合物とが良く
相溶しており、しかもポリカルボジイミド本来の優れた
耐熱性、機械的特性、化学的安定性、電気絶縁性等を保
持している。したがって、本発明の熱硬化性樹脂組成物
は、電気機器や電子部品等の保護膜、電気絶縁膜等に極
めて好適に使用することができるほか、接着剤、塗料、
熱硬化性膜、硬化膜、プリプレグ、硬化成形品等にも有
用である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)カルボン酸無水物基を有するポリ
    カルボジイミド、並びに(B)分子中に2つ以上のシア
    ン酸エステル基を有する芳香族シアン酸エステル化合物
    を含有することを特徴とする熱硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (A)カルボン酸無水物基を有するポリ
    カルボジイミド、並びに(B)分子中に2つ以上のシア
    ン酸エステル基を有する芳香族シアン酸エステル化合物
    を含有する熱硬化性樹脂組成物を加熱してなる硬化物。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2016132889A1 (ja) * 2015-02-20 2016-08-25 株式会社日本触媒 硬化性樹脂組成物及びそれを用いてなる封止材
JP2016156002A (ja) * 2015-02-20 2016-09-01 株式会社日本触媒 硬化性樹脂組成物及びそれを用いてなる封止材

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