JPH1036469A - 熱硬化性樹脂 - Google Patents

熱硬化性樹脂

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JPH1036469A
JPH1036469A JP8214035A JP21403596A JPH1036469A JP H1036469 A JPH1036469 A JP H1036469A JP 8214035 A JP8214035 A JP 8214035A JP 21403596 A JP21403596 A JP 21403596A JP H1036469 A JPH1036469 A JP H1036469A
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JP
Japan
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polycarbodiimide
solution
group
isocyanate
compound
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Pending
Application number
JP8214035A
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English (en)
Inventor
Masayuki Takahashi
昌之 高橋
Kiyoshi Murata
清 村田
Hideetsu Fujiwara
秀悦 藤原
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JSR Corp
Original Assignee
Japan Synthetic Rubber Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ポリカルボジイミド本来の高い耐熱性や機械
的強度を有し、かつ硬化触媒を用いることなく温和な条
件下で容易に硬化できるのみならず、特に、各種溶媒に
対する溶解性および溶液としての保存安定性に優れたポ
リカルボジイミド系熱硬化性樹脂を提供する。 【解決手段】 ポリカルボジイミドに、グラフト反応性
基と第三級アミノ基とを有する少なくとも1種の化合物
をグラフトさせてなる、数平均分子量が500〜20
0,000の熱硬化性樹脂。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、グラフトされた第
三級アミノ基を有するポリカルボジイミド系熱硬化性樹
脂に関する。
【0002】
【従来の技術】ポリカルボジイミドは、ポリイソシアネ
ート化合物の脱炭酸縮合により得られる樹脂であり、そ
の製造方法は、例えば D.J.LymanらによるDie Makromo
l. Chem.,67,1(1963)、E.Deyer らによるJ. Am. Chem.
Soc.,80,5495(1958) 、L.M.AlberionらによるJ. Appl.
Polym. Sci., 21,1999(1977) 、T.W.CampbellによるJ.
Org. Chem.,28,2069(1963) 、特開昭51−61599
号公報等に開示されている。ポリカルボジイミドは、加
熱により、分子中のカルボジイミド基が架橋しうる樹脂
であり、耐熱性に優れた熱硬化性樹脂としての応用が期
待されている。しかしながら、ポリカルボジイミドを十
分に硬化させるためには、高温でも相当の長時間を要す
るという問題があり、また溶剤に溶解した状態では、冷
暗所においても徐々にポリマーのゲル化が進行し、溶液
として長期保存することが極めて困難であるため、工業
的に利用する上で大きな障害となっている。そこで、例
えば特開平2−29316号公報、特開平4−2796
18公報等に開示されているように、重合溶媒や重合条
件等を工夫して、ポリカルボジイミドの保存安定性を改
善する試みもなされているが、これらの方法において
も、ポリカルボジイミド溶液の保存安定性は、室温で3
週間程度、5℃でも3カ月程度が限界であって、必ずし
も十分とはいえない。しかも、前記各公報に記載された
方法により得られるポリカルボジイミドは、通常の溶媒
に対する溶解性が極めて悪く、また硬化時間も依然とし
て長いという問題があり、これらの点でも、工業的利用
の面で十分とはいえない。一方、ポリカルボジイミドに
対する架橋剤として、分子中に2個以上の活性水素を有
する化合物を使用して、硬化時間を短縮させる試みが、
例えば特公平5−6564号公報、特公平5−6565
号公報等に提案されている。また、ポリカルボジイミド
を、エポキシ化合物(特開昭62−1714号公報)、
シアン酸エステル(特開平2−218751号公報)、
ビニル化合物(特開昭52−146490号公報)等の
重合性モノマーと混合使用する試みも提案されている。
しかしながら、これらの方法はいずれも、ポリカルボジ
イミド自体の溶液としての保存安定性は全く改善されな
いばかりか、活性の高い架橋剤やモノマー成分がポリカ
ルボジイミドと混在することになるため、却って溶液状
態における保存安定性が損なわれるという欠点もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、以上の事情
に鑑み鋭意検討した結果なされたものであり、その課題
は、ポリカルボジイミド本来の高い耐熱性や機械的強度
を何ら損うことなく、硬化触媒を用いることなく温和な
条件下で速やかに硬化できるのみならず、特に、各種溶
媒に対する溶解性および溶液としての保存安定性に優れ
たポリカルボジイミド系熱硬化性樹脂を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、一般式
(1) −N=C=N−R− ・・・(1) (但し、Rは2価の有機基を示す。)で表される繰返し
単位を有するポリカルボジイミドに、グラフト反応性基
と第三級アミノ基とを有する少なくとも1種の化合物を
グラフトさせてなる、ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子
量が500〜200,000の熱硬化性樹脂、からな
る。以下、本発明を詳細に説明する。これにより、本発
明の目的、構成および効果が明確となるであろう。
【0005】〈ポリカルボジイミド〉本発明の熱硬化性
樹脂の製造に使用されるポリカルボジイミドは、前記一
般式(1)で表される繰返し単位を有する限り特に限定
されるものではないが、例えば、有機ポリイソシアネー
トを、イソシアネート基のカルボジイミド化反応を促進
する触媒(以下、「カルボジイミド化触媒」という。)
の存在下で反応させることにより合成することができ
る。このポリカルボジイミドの合成に用いられる有機ポ
リイソシアネートとしては、有機ジイソシアネートが好
ましい。このような有機ジイソシアネートとしては、例
えば、フェニレン−1,3−ジイソシアネート、フェニ
レン−1,4−ジイソシアネート、1−メトキシフェニ
レン−2,4−ジイソシアネート、2,4−トリレンジ
イソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、
1,3−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリ
レンジイソシアネート、ビフェニレン−4,4’−ジイ
ソシアネート、3,3’−ジメトキシビフェニレン−
4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメチルビフ
ェニレン−4,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメ
タン−2,4’−ジイソシアネート、ジフェニルメタン
−4,4’−ジイソシアネート、3,3’−ジメトキシ
ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、3,
3’−ジメチルジフェニルメタン−4,4’−ジイソシ
アネート、ナフチレン−1,5−ジイソシアネート、シ
クロブチレン−1,3−ジイソシアネート、シクロペン
チレン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン
−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキシレン−1,
4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレン−
2,4−ジイソシアネート、1−メチルシクロヘキシレ
ン−2,6−ジイソシアネート、1−イソシアネート−
3,3,5−トリメチル−5−イソシアネートメチルシ
クロヘキサン、シクロヘキサン−1,3−ビス(メチル
イソシアネート)、シクロヘキサン−1,4−ビス(メ
チルイソシアネート)、イソホロンジイソシアネート、
ジシクロヘキシルメタン−2,4’−ジイソシアネー
ト、ジシクロヘキシルメタン−4,4’−ジイソシアネ
ート、エチレンジイソシアネート、テトラメチレン−
1,4−ジイソシアネート、ヘキサメチレン−1,6−
ジイソシアネート、ドデカメチレン−1,12−ジイソ
シアネート、リジンジイソシアネートメチルエステル等
や、これらの有機ジイソシアネートの化学量論的過剰量
と2官能性活性水素含有化合物との反応により得られる
両末端イソシアネートプレポリマー等を挙げることがで
きる。前記有機ジイソシアネートは、単独でまたは2種
以上を混合して使用することができる。
【0006】また、場合により有機ジイソシアネートと
ともに使用される他の有機ポリイソシアネートとして
は、例えば、ベンゼン−1,3,5−トリイソシアネー
ト、ジフェニルメタン−2,4,4’−トリイソシアネ
ート、ジフェニルメタン−2,5,4’−トリイソシア
ネート、トリフェニルメタン−2,4’,4”−トリイ
ソシアネート、トリフェニルメタン−4,4’,4”−
トリイソシアネート、シクロヘキサン−1,3,5−ト
リイソシアネート、シクロヘキサン−1,3,5−トリ
ス(メチルイソシアネート)、3,5−ジメチルシクロ
ヘキサン−1,3,5−トリス(メチルイソシアネー
ト)、1,3,5−トリメチルシクロヘキサン−1,
3,5−トリス(メチルイソシアネート)、ジシクロヘ
キシルメタン−2,4,2’−トリイソシアネート、ジ
シクロヘキシルメタン−2,4,4’−トリイソシアネ
ート等のトリイソシアネート類;ジフェニルメタン−
2,4,2’,4’−テトライソシアネート、ジフェニ
ルメタン−2,5,2’,5’−テトライソシアネート
等のテトライソシアネート類等の3官能以上の有機ポリ
イソシアネートや、これらの3官能以上の有機ポリイソ
シアネートの化学量論的過剰量と2官能以上の多官能性
活性水素含有化合物との反応により得られる末端イソシ
アネートプレポリマー等を挙げることができる。前記他
の有機ポリイソシアネートは、単独でまたは2種以上を
混合して使用することができ、その使用量は、有機ジイ
ソシアネート100重量部当たり、通常、0〜40重量
部、好ましくは0〜20重量部である。
【0007】さらに、ポリカルボジイミドの合成に際し
ては、必要に応じて有機モノイソシアネートを添加する
ことにより、有機ポリイソシアネートが前記他の有機ポ
リイソシアネートを含有する場合、得られるポリカルボ
ジイミドの分子量を適切に規制することができ、また有
機ジイソシアネートを有機モノイソシアネートと併用す
ることにより、比較的低分子量のポリカルボジイミドを
得ることができる。このような有機モノイソシアネート
としては、例えば、メチルイソシアネート、エチルイソ
シアネート、n−プロピルイソシアネート、n−ブチル
イソシアネート、ラウリルイソシアネート、ステアリル
イソシアネート等のアルキルモノイソシアネート類;シ
クロヘキシルイソシアネート、4−メチルシクロヘキシ
ルイソシアネート、2,5−ジメチルシクロヘキシルイ
ソシアネート等のシクロアルキルモノイソシアネート
類;フェニルイソシアネート、o−トリルイソシアネー
ト、m−トリルイソシアネート、p−トリルイソシアネ
ート、2−メトキシフェニルイソシアネート、4−メト
キシフェニルイソシアネート、2−クロロフェニルイソ
シアネート、4−クロロフェニルイソシアネート、2−
トリフルオロメチルフェニルイソシアネート、4−トリ
フルオロメチルフェニルイソシアネート、ナフタレン−
1−イソシアネート等のアリールモノイソシアネート類
を挙げることができる。前記有機モノイソシアネート
は、単独でまたは2種以上を混合して使用することがで
き、その使用量は、ポリカルボジイミドの所望の分子
量、前記他の有機ポリイソシアネートの有無等により変
わるが、全有機ポリイソシアネート成分100重量部当
り、通常、0〜40重量部、好ましくは0〜20重量部
である。
【0008】また、カルボジイミド化触媒としては、例
えば、1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、
1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキ
シド、1−フェニル−2−ホスホレン−1−スルフィ
ド、1−フェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−
スルフィド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシ
ド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オ
キシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−スルフィ
ド、1−エチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−ス
ルフィド、1−メチル−2−ホスホレン−1−オキシ
ド、1−メチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オ
キシド、1−メチル−2−ホスホレン−1−スルフィ
ド、1−メチル−3−メチル−2−ホスホレン−1−ス
ルフィドや、これらの3−ホスホレン異性体等のホスホ
レン化合物;ペンタカルボニル鉄、ノナカルボニル二
鉄、テトラカルボニルニッケル、ヘキサカルボニルタン
グステン、ヘキサカルボニルクロム等の金属カルボニル
錯体;ベリリウム、アルミニウム、ジルコニウム、クロ
ム、鉄等の金属のアセチルアセトン錯体;トリメチルホ
スフェート、トリエチルホスフェート、トリ−i−プロ
ピルホスフェート、トリ−t−ブチルホスフェート、ト
リフェニルホスフェート等の燐酸エステルを挙げること
ができる。前記カルボジイミド化触媒は、単独でまたは
2種以上を混合して使用することができ、その使用量
は、全有機イソシアネート成分100重量部当たり、通
常、0.001〜30重量部、好ましくは0.01〜1
0重量部である。
【0009】ポリカルボジイミドの合成反応は、無溶媒
下でも適当な溶媒中でも実施することができる。前記溶
媒としては、合成反応中の加熱によりポリカルボジイミ
ドを溶解しうるものであれば特に限定されるものではな
く、例えば、1,1−ジクロロエタン、1,2−ジクロ
ロエタン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2
−トリクロロエタン、1,1,1,2−テトラクロロエ
タン、1,1,2,2−テトラクロロエタン、ペンタク
ロロエタン、ヘキサクロロエタン、1,1−ジクロロエ
チレン、1,2−ジクロロエチレン、トリクロロエチレ
ン、テトラクロロエチレン、クロロベンゼン、o−ジク
ロロベンゼン、m−ジクロロベンゼン、p−ジクロロベ
ンゼン、1,2,4−トリクロロベンゼン、トリクロロ
メチルベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジオキ
サン、アニソール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロ
ピラン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエ
チレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコ
ールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチ
ルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテ
ル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチ
レングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリ
コールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモ
ノメチルエーテル等のエーテル系溶媒;シクロヘキサノ
ン、2−アセチルシクロヘキサノン、2−メチルシクロ
ヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチル
シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、1−デカロン、
2−デカロン、2,4−ジメチル−3−ペンタノン、
4,4−ジメチル−2−ペンタノン、2−メチル−3−
ヘキサノン、5−メチル−2−ヘキサノン、2−ヘプタ
ノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、2−メチル−
3−ヘプタノン、5−メチル−3−ヘプタノン、2,6
−ジメチル−4−ヘプタノン、2−オクタノン、3−オ
クタノン、2−ノナノン、3−ノナノン、5−ノナノ
ン、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン等のケ
トン系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベ
ンゼン、クメン等の芳香族炭化水素系溶媒;N−メチル
−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N
−ベンジル−2−ピロリドン、N−メチル−3−ピロリ
ドン、N−アセチル−3−ピロリドン、N−ベンジル−
3−ピロリドン、ホルムアミド、N−メチルホルムアミ
ド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルム
アミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミ
ド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセト
アミド、N−メチルプロピオンアミド等のアミド系溶
媒;ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒;
2−メトキシエチルアセテート、2−エトキシエチルア
セテート、2−プロポキシエチルアセテート、2−ブト
キシエチルアセテート、2−フェノキシエチルアセテー
ト、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテー
ト、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテー
ト、ジエチレングリコールモノプロピルエーテルアセテ
ート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテ
ート等のアセテート系溶媒を挙げることができる。これ
らの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用する
ことができる。ポリカルボジイミドの合成反応における
溶媒の使用量は、全有機イソシアネート成分の濃度が、
通常、0.5〜60重量%、好ましくは5〜50重量%
となる量である。この場合、全有機イソシアネート成分
の濃度が高過ぎると、生成されるポリカルボジイミドが
合成反応中にゲル化するおそれがあり、また全有機イソ
シアネート成分の濃度が低すぎても、反応速度が遅くな
り、生産性が低下する。
【0010】ポリカルボジイミドの合成反応の温度は、
有機イソシアネート成分やカルボジイミド化触媒の種類
に応じて適宜選定されるが、通常、20〜200℃であ
る。ポリカルボジイミドの合成反応に際して、有機イソ
シアネート成分は、反応前に全量を添加しても、あるい
はその一部または全部を反応中に、連続的あるいは段階
的に添加してもよい。また本発明においては、イソシア
ネート基と反応しうる化合物を、ポリカルボジイミドの
合成反応の初期から後期に至る適宜の反応段階で添加し
て、ポリカルボジイミドの末端イソシアネート基を封止
し、得られるポリカルボジイミドの分子量を調節するこ
ともでき、またポリカルボジイミドの合成反応の後期に
添加して、得られるポリカルボジイミドの分子量を所定
値に規制することもできる。このようなイソシアネート
基と反応しうる化合物としては、例えば、メタノール、
エタノール、i−プロパノール、シクロヘキサノール等
のアルコール類;ジメチルアミン、ジエチルアミン、ベ
ンジルアミン等のアミン類を挙げることができる。以上
のようにして合成されたポリカルボジイミドは、必要に
応じて溶液から分離される。この場合、ポリカルボジイ
ミドの分離法としては、例えば、ポリカルボジイミド溶
液を、該ポリカルボジイミドに対して不活性な非溶媒中
に添加し、生じた沈澱物あるいは油状物をろ過またはデ
カンテーションにより分離・採取する方法;噴霧乾燥に
より分離・採取する方法;得られたポリカルボジイミド
の合成に用いた溶媒に対する温度による溶解度変化を利
用して分離・採取する方法、即ち、合成直後は該溶媒に
溶解しているポリカルボジイミドが系の温度を下げるこ
とにより析出する場合、その混濁液からろ過等により分
離・採取する方法等を挙げることができ、さらに、これ
らの分離・採取方法を適宜組み合せて行うこともでき
る。
【0011】本発明におけるポリカルボジイミドのゲル
パーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による
ポリスチレン換算数平均分子量(以下、「Mn」とい
う。)は、通常、400〜100,000、好ましくは
1,000〜50,000、さらに好ましくは1,00
0〜10,000である。
【0012】〈反応性化合物〉次に、本発明の熱硬化性
樹脂の製造に使用されるグラフト反応性基と第三級アミ
ノ基とを有する化合物(以下、「反応性化合物」とい
う。)は、芳香族化合物、脂環族化合物あるいは脂肪族
化合物であることができ、また芳香族化合物および脂環
族化合物における環構造は、炭素環でも複素環でもよ
い。ここでいう「グラフト反応性基」とは、ポリカルボ
ジイミドと反応して、反応性化合物の第三級アミノ基を
有する残基を該ポリカルボジイミドにグラフトさせうる
基を意味する。このようなグラフト反応性基としては、
活性水素を有する基であればよく、例えば、カルボキシ
ル基、第一級もしくは第二級のアミノ基、フェノール性
水酸基、メルカプト基等を挙げることができる。これら
のグラフト反応性基は、反応性化合物中に同一のあるい
は異なる基が1個以上存在することができる。また、反
応性化合物における第三級アミノ基は、アミノ基の2個
の水素原子が芳香族、脂環族あるいは脂肪族の基により
置換された基でも、芳香族あるいは脂環族の第三級窒素
原子を環構成原子とする複素環における第三級アミノ基
でもよい。これらの第三級アミノ基は、反応性化合物中
に同一のあるいは異なる基が1個以上存在することがで
きる。
【0013】このような反応性化合物としては、例え
ば、2−ピリジンカルボン酸、3−ピリジンカルボン酸
(ニコチン酸)、4−ピリジンカルボン酸(イソニコチ
ン酸)、2−キノリンカルボン酸、3−キノリンカルボ
ン酸、4−キノリンカルボン酸、5−キノリンカルボン
酸、2−ピラジンカルボン酸、3−ジメチルアミノ安息
香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸等の第三級アミノ基
を有するカルボン酸類;2−アミノピリジン、3−アミ
ノピリジン、4−アミノピリジン、2−アミノチアゾー
ル、イミダゾール、ベンズイミダゾール、1,2,3−
トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、3−(ジメ
チルアミノ)ピロリジン、ピラゾール、2−ピラゾリン
等の第三級アミノ基を有する第一級もしくは第二級のア
ミン化合物;3−ジメチルアミノフェノール、4−ジメ
チルアミノフェノール、2−キノリノール、4−キノリ
ノール、5−キノリノール、8−キノリノール等の第三
級アミノ基を有するフェノール類;2−メルカプトピリ
ジン、4−メルカプトピリジン、2−メルカプトピリミ
ジン、4−メルカプトピリミジン等の第三級アミノ基を
有するチオール類等を挙げることができる。これらのう
ち、特に第三級アミノ基を有するカルボン酸類が好まし
い。これらの反応性化合物は、単独でまたは2種以上を
混合して使用することができる。
【0014】〈熱硬化性樹脂〉本発明の熱硬化性樹脂
(以下、「変性ポリカルボジイミド」という。)は、前
記一般式(1)で表される繰返し単位を有するポリカル
ボジイミドに、少なくとも1種の前記反応性化合物を、
適当な触媒の存在下あるいは不存在下で、適宜温度でグ
ラフト(以下、「変性反応」という。)させてなるもの
である。変性反応における反応性化合物の使用量は、ポ
リカルボジイミドや該化合物の種類、変性ポリカルボジ
イミドの用途等に応じて適宜調節されるが、ポリカルボ
ジイミドの一般式(1)で表される繰返し単位1モルに
対する該反応性化合物中のグラフト反応性基の割合が、
通常、0.01〜0.99モル、好ましくは0.02〜
0.8モルとなるように量である。この場合、グラフト
反応性基の反応割合が0.01モル未満では、得られる
樹脂を硬化させるのに長時間の加熱が必要となったり、
該樹脂の溶液としての保存安定性の改善効果が不十分と
なるおそれがあり、また0.99モルを超えると、ポリ
カルボジイミド本来の特性が損なわれるおそれがある。
前記変性反応においては、変性化合物中のグラフト反応
性基とポリカルボジイミドの一般式(1)で表される繰
返し単位との反応は定量的に進行し、該反応性化合物の
使用量に見合うグラフト反応が達成される。
【0015】変性反応は、無溶媒下でも実施することが
できるが、適当な溶媒中で実施することが好ましい。こ
のような溶媒は、ポリカルボジイミドおよび反応性化合
物に対して不活性であり、かつこれらを溶解しうる限
り、特に限定されるものではなく、その例としては、ポ
リカルボジイミドの合成に使用される前記エーテル系溶
媒、アミド系溶媒、ケトン系溶媒、芳香族炭化水素系溶
媒、非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。こ
れらの溶媒は、単独でまたは2種以上を混合して使用す
ることができる。また変性反応に、ポリカルボジイミド
の合成時に使用された溶媒が使用できるときは、その合
成により得られるポリカルボジイミド溶液をそのまま使
用することもできる。変性反応における溶媒の使用量
は、反応原料の合計100重量部当たり、通常、10〜
10,000重量部、好ましくは50〜5,000重量
部である。変性反応の温度は、ポリカルボジイミドや反
応性化合物の種類に応じて適宜選定されるが、通常、1
00℃以下、好ましくは−10〜+80℃である。本発
明の変性ポリカルボジイミドのMnは、500〜20
0,000であり、好ましくは1,000〜100,0
00、さらに好ましくは1,000〜50,000であ
る。以上のようにして得られる本発明の変性ポリカルボ
ジイミドは、通常、溶液として使用されるが、溶液から
分離して使用してもよい。その製造時に溶液として得ら
れた変性ポリカルボジイミドを溶媒から分離する方法と
しては、例えば、前述したポリカルボジイミドの分離法
と同様の方法を挙げることができる。
【0016】本発明の変性ポリカルボジイミドは、反応
性化合物中のグラフト反応性基が、ポリカルボジイミド
の有する繰返し単位(−N=C=N−R−)と反応し
て、該化合物の第三アミノ基を有する残基がグラフトし
た構造を有するものであり、変性反応前のポリカルボジ
イミドとは本質的に異なる構造を有するものである。し
たがって、該変性ポリカルボジイミドは、変性反応前の
ポリカルボジイミドとはその性状が著しく異なってお
り、各種溶媒に対して容易に溶解するとともに、溶液状
態における保存安定性が極めて優れている。また、該変
性ポリカルボジイミドは、ポリカルボジイミドにグラフ
トした反応性化合物の残基が第三級アミノ基を有してお
り、該第三級アミノ基自体が該変性ポリカルボジイミド
中のカルボジイミド基の架橋反応を促進する作用を有す
るため、硬化触媒を使用しなくても、通常、100〜3
50℃程度、好ましくは120〜300℃程度の温度で
容易に硬化する特性を有する。このような変性ポリカル
ボジイミドの溶液としての保存安定性および硬化特性
は、従来のポリカルボジイミド系熱硬化性樹脂における
重大な欠点を解消するものであって、工業上重要な寄与
をなすものである。しかも、該変性ポリカルボジイミド
から得られる硬化樹脂は、吸水性が低く、接着性、電気
絶縁性、化学的安定性、耐熱性、耐湿・耐水性、機械的
強度等に優れている。
【0017】添加剤および硬化 本発明の変性ポリカルボジイミドは、必要に応じて各種
の添加剤を配合して、熱硬化性樹脂(組成物)として使
用される。このような添加剤としては、例えば、クレ
ー、ゼオライト、タルク、マイカ、シリカ、カーボンブ
ラック、グラファイト、アルミナ、炭酸カルシウム、ワ
ラストナイト等の充填剤や、ガラス、カーボン、アルミ
ナ、チタン酸カリウム、ほう酸アルミニウム、炭化ケイ
素、窒化ケイ素、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミ
ド、ポリイミド、全芳香族ポリエステル、超高分子量ポ
リエチレン、高強度ポリアクリロニトリル、高強力ポリ
ビニルアルコール等の繊維あるいはウイスカー等の補強
材を挙げることができる。また、前記補強材は、織布、
不織布、編み物等の布帛の形で用い、これらの布帛に変
性ポリカルボジイミドを含浸させて使用することもでき
る。また、他の添加剤としては、例えば、酸化防止剤、
熱安定剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃
剤、着色剤、滑剤、防曇剤、接着性改善剤、防カビ剤等
を挙げることができる。本発明の変性ポリカルボジイミ
ドを、必要に応じて前記添加剤を配合したのち、硬化さ
せる際には、そのまま適宜温度に加熱すればよい。この
場合の硬化温度は、通常、100〜350℃、好ましく
は120〜300℃である。硬化に際しては、本発明の
変性ポリカルボジイミドを単独でまたは2種以上を混合
して使用することができる。
【0018】用途 本発明の変性ポリカルボジイミドは、通常溶液型のワニ
スとして、耐熱性接着剤、耐熱性塗料、電子材料等の耐
熱性保護膜等として極めて有用である。前記ワニスに使
用される溶媒としては、変性ポリカルボジイミドに対し
て不活性であり、かつそれを溶解しうる限り、特に制約
されるものではない。このような溶媒としては、例え
ば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチル
アセトアミド、N−メチル−2−ピロリドン、ジエチレ
ングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、アニソール、シクロヘキサノン等を、ワニ
スの用途に応じて適宜選択して使用される。前記ワニス
における変性ポリカルボジイミドの濃度は、10〜90
重量%の範囲が好ましい。この場合、変性ポリカルボジ
イミドの濃度が10重量%未満では、乾燥フィルムの膜
厚が薄くなって、機械的強度が不十分となるおそれがあ
り、また90重量%を超えると、溶液粘度が高くなり、
塗布性が損なわれる傾向がある。前記ワニスを被接着
物、被塗布物、基体等に塗布する際には、回転塗布法、
ロール塗布法、流延塗布法、浸漬塗布法、噴霧塗布法等
の適宜の塗布手段を採用することができる。また、塗布
厚さは、塗布手段の選択、ワニスの固形分濃度や粘度を
調節することにより、適宜制御することができるが、通
常、0.1〜10,000μmの範囲である。また、前
記ワニスを適宜の基体に塗布、乾燥して、樹脂薄膜を形
成したのち、該薄膜を基体から強制的に剥離することに
よって、熱硬化性フィルムを取得することできる。この
ような熱硬化性フィルムは、電子材料等の耐熱性接着フ
ィルムとして有用であり、例えば、大容量で信頼性の高
い半導体装置を、生産性よくかつ簡便に製造することが
できる。また、前記ワニスを適宜の基体に塗布して硬化
させたのち、該基体から強制的に剥離して得られる硬化
フィルムは、一般の耐熱性フィルムとして有用である。
前記耐熱性接着フィルムあるいは硬化フィルムを形成す
る際に使用される基体としては、特に限定されるもので
はなく、例えば、ガラス板、シリコンウエハー、ステン
レス板、ポリエステルフィルム等を使用することができ
る。これらの基体の表面には、フィルムの剥離を容易に
するため、予め離型処理を施しておくこともできる。さ
らに、本発明の変性ポリカルボジイミドは、実質的に溶
剤を含まない粉末、ペレット等の形態で、耐熱性接着
剤、耐熱性塗料や、耐熱性成形材料等としても有用であ
る。耐熱性成形材料の場合、前記粉末、ペレット等を適
当な型内で加圧加熱することにより、所望形状の硬化成
型品に加工することができ、あるいは発泡剤を配合して
加熱硬化させることにより、硬化発泡体に成形すること
ができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて、本発明の
実施の形態をさらに具体的に説明する。但し、本発明
は、その要旨を越えない限り、これらの実施例に何ら制
約されるものではない。 実施例1 (ポリカルボジイミドの合成)ジフェニルメタン−4,
4’−ジイソシアネート(MDI) 50gとフェニルイソシ
アネート2.6gとを、トルエン200g中で、1−フ
ェニル−3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド
0.044gの存在下、110℃、還流下で4時間反応
させて、ポリカルボジイミド(P-TDI)の溶液を得た。こ
の溶液を室温まで冷却して、ポリカルボジイミドを析出
させ、ろ過して、Mnが9,800のポリカルボジイミ
ドの粉末を得た。 (変性ポリカルボジイミドの合成)前記ポリカルボジイ
ミド粉末30gを、加熱下でシクロヘキサノン120g
に溶解し、反応性化合物としてニコチン酸(NICA) 1.
79gを添加したのち、80℃で3時間反応させて、M
nが4,000の変性ポリカルボジイミドの溶液を得
た。この変性ポリカルボジイミドは、赤外線分光測定の
結果、カルボジイミド単位に特有の吸収(波数2,15
0〜2,100cm-1) およびピリジン環に特有の吸収
(波数1,410〜1,430cm-1) を有することが確
認された。 (硬化膜の形成)前記変性ポリカルボジイミド溶液を、
予め離型処理したガラス基体上に、スピンナーを用いて
回転塗布し、熱硬化性膜を形成したのち、200℃で1
5分間加熱して硬化させ、硬化膜を得た。次いで、該硬
化膜を基体から強制的に剥離して、膜厚50μmの硬化
膜を得た。 (評価)前記変性ポリカルボジイミド溶液の保存安定性
と前記硬化膜の引張強度を、下記の要領で評価した。評
価結果を、表1に示す。 保存安定性: 変性ポリカルボジイミド溶液を、シクロ
ヘキサノンで濃度20重量%に希釈したのち、室温で保
存し、溶液中に不溶分が生じなかった期間を、目視によ
り評価した。 引張強度 : JIS K6911またはC2318に
より評価した。
【0020】実施例2 (変性ポリカルボジイミドの合成)実施例1と同様にし
て得た変性ポリカルボジイミドの溶液を、室温でヘキサ
ン1リットル中に投入して、変性ポリカルボジイミドを
析出させたのち、減圧ろ過して回収した。次いで、40
℃で一夜減圧乾燥して、変性ポリカルボジイミドの粉末
30.2gを得た。この変性ポリカルボジイミドのMn
は4,100であった。 (硬化膜の形成)前記変性ポリカルボジイミド粉末20
gをシクロヘキサノン80gに溶解した溶液を用いた以
外は、実施例1と同様にして、膜厚50μmの硬化膜を
得た。 (評価)前記変性ポリカルボジイミド溶液および硬化膜
について、実施例1と同様にして評価した。評価結果
を、表1に示す。
【0021】実施例3および実施例4 (変性ポリカルボジイミドの合成)ニコチン酸の使用量
を表1に示すように変更した以外は、それぞれ実施例1
と同様にして、それぞれMnが6,400および2,0
00の変性ポリカルボジイミドの溶液を得た。 (硬化膜の形成)前記各ポリカルボジイミド溶液を用い
た以外は、それぞれ実施例1と同様にして、膜厚50μ
mの硬化膜を得た。 (評価)前記各ポリカルボジイミド溶液および各硬化膜
について、それぞれ実施例1と同様にして評価した。評
価結果を、表1に示す。
【0022】実施例5 (変性ポリカルボジイミドの合成)実施例1と同様にし
て得たポリカルボジイミド粉末30gを、加熱下でテト
ラヒドロフラン120gに溶解し、反応性化合物として
ニコチン酸(NICA) 5.36gを添加したのち、還流下
で3時間反応させて、Mnが2,500の変性ポリカル
ボジイミドの溶液を得た。 (硬化膜の形成)前記ポリカルボジイミド溶液を用いた
以外は、実施例1と同様にして、膜厚50μmの硬化膜
を得た。 (評価)前記ポリカルボジイミド溶液および硬化膜を用
い、保存安定性評価時の希釈用溶媒としてテトラヒドロ
フランを用いた以外は、実施例1と同様にして評価し
た。評価結果を、表1に示す。
【0023】実施例6 (変性ポリカルボジイミドの合成)反応性化合物として
イソニコチン酸(i-NICA) を用いた以外は、実施例1と
同様にして、Mnが4,000の変性ポリカルボジイミ
ドの溶液を得た。 (硬化膜の形成)前記各ポリカルボジイミド溶液を用い
た以外は、実施例1と同様にして、膜厚50μmの硬化
膜を得た。 (評価)前記ポリカルボジイミド溶液および硬化膜につ
いて、実施例1と同様にして評価した。評価結果を、表
1に示す。
【0024】実施例7 (変性ポリカルボジイミドの合成)実施例1と同様にし
て得たポリカルボジイミド粉末30gを、加熱下でテト
ラヒドロフラン120gに溶解し、反応性化合物として
4−ジメチルアミノ安息香酸(DMABA)2.39gを添加
したのち、還流下で3時間反応させて、Mnが4,00
0の変性ポリカルボジイミドの溶液を得た。この変性ポ
リカルボジイミドは、赤外線分光測定の結果、カルボジ
イミド単位に特有の吸収(波数2,150〜2,100
cm-1) および芳香族第三級アミンに特有の吸収(波数
1,310〜1,330cm-1) を有することが確認され
た。 (硬化膜の形成)前記ポリカルボジイミド溶液を用いた
以外は、実施例1と同様にして、膜厚50μmの硬化膜
を得た。 (評価)前記ポリカルボジイミド溶液および硬化膜を用
い、保存安定性評価時の希釈用溶媒としてテトラヒドロ
フランを用いた以外は、実施例1と同様にして評価し
た。評価結果を、表2に示す。
【0025】実施例8 (変性ポリカルボジイミドの合成)実施例1と同様にし
て得たポリカルボジイミド粉末30gを、加熱下でシク
ロヘキサノン120gに溶解し、反応性化合物として4
−ジメチルアミノ安息香酸(DMABA)7.18gを添加し
たのち、80℃で3時間反応させて、Mnが2,500
の変性ポリカルボジイミドの溶液を得た。 (硬化膜の形成)前記ポリカルボジイミド溶液を用いた
以外は、実施例1と同様にして、膜厚50μmの硬化膜
を得た。 (評価)前記ポリカルボジイミド溶液および硬化膜につ
いて、実施例1と同様にして評価した。評価結果を、表
2に示す。
【0026】実施例9 (ポリカルボジイミドの合成)トリレンジイソシアネー
ト(TDI) 50gとフェニルイソシアネート1.4gと
を、シクロヘキサノン200g中で、1−フェニル−3
−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド0.29gの
存在下、80℃で5時間反応させて、Mnが6,300
のポリカルボジイミド(P-TDI)の溶液を得た。 (変性ポリカルボジイミドの合成)前記ポリカルボジイ
ミド溶液に、反応性化合物としてニコチン酸(NICA)
3.60gを添加したのち、80℃で3時間反応させ
て、Mnが3,500の変性ポリカルボジイミドの溶液
を得た。この変性ポリカルボジイミドは、赤外線分光測
定の結果、カルボジイミド単位に特有の吸収(波数2,
150〜2,100cm-1) およびピリジン環に特有の吸
収(波数1,410〜1,430cm-1) を有することが
確認された。 (硬化膜の形成)前記ポリカルボジイミド溶液を用いた
以外は、実施例1と同様にして、膜厚50μmの硬化膜
を得た。 (評価)前記ポリカルボジイミド溶液および硬化膜につ
いて、実施例1と同様にして評価した。評価結果を、表
2に示す。
【0027】比較例1 (ポリカルボジイミド溶液の調製)実施例1と同様にし
て得たポリカルボジイミド粉末30gを、加熱下でシク
ロヘキサノン120gに溶解して、ポリカルボジイミド
溶液を得た。 (硬化膜の形成)前記ポリカルボジイミド溶液を用いた
以外は、実施例1と同様にして、膜厚50μmの硬化膜
を得た。 (評価)前記ポリカルボジイミド溶液および硬化膜につ
いて、実施例1と同様にして評価した。評価結果を、表
2に示す。
【0028】比較例2 (ポリカルボジイミド溶液の調製)実施例1と同様にし
て得たポリカルボジイミド粉末30gを、加熱下でテト
ラヒドロフラン120gに溶解して、ポリカルボジイミ
ド溶液を得た。 (硬化膜の形成)前記ポリカルボジイミド溶液を用いた
以外は、実施例1と同様にして、膜厚50μmの硬化膜
を得た。 (評価)前記ポリカルボジイミド溶液および硬化膜を用
いて、実施例1と同様にして評価した。評価結果を、表
2に示す。
【0029】比較例3 (硬化膜の形成)実施例9と同様にして得たポリカルボ
ジイミド溶液を用いた以外は、実施例1と同様にして、
膜厚50μmの硬化膜を得た。 (評価)前記ポリカルボジイミド溶液および硬化膜につ
いて、実施例1と同様にして評価した。評価結果を、表
2に示す。
【0030】
【表1】
【0031】
【表2】
【0032】
【発明の効果】本発明の変性ポリカルボジイミドは、特
に、各種溶媒に対して容易に溶解するとともに、溶液状
態における保存安定性が極めて優れており、かつ硬化触
媒を使用しなくても、温和な条件で容易に硬化する特性
を有する。しかも、該変性ポリカルボジイミドから得ら
れる硬化樹脂は、ポリカルボジイミド本来の耐熱性、機
械的強度等を特性を保持している。したがって、該変性
ポリカルボジイミドは、溶剤型ワニスとして、耐熱性接
着剤、耐熱性塗料、電子材料等の耐熱性保護膜等として
極めて好適に使用することができるほか、耐熱性接着フ
ィルム、耐熱性硬化フィルムや、粉末、ペレット等の形
態で耐熱性接着剤、耐熱性塗料、耐熱性成形材料等にも
有用である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式(1) −N=C=N−R− ・・・(1) (但し、Rは2価の有機基を示す。)で表される繰返し
    単位を有するポリカルボジイミドに、グラフト反応性基
    と第三級アミノ基とを有する少なくとも1種の化合物を
    グラフトさせてなる、ゲルパーミエーションクロマトグ
    ラフィー(GPC)によるポリスチレン換算数平均分子
    量が500〜200,000の熱硬化性樹脂。
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