JP4068264B2 - 芳香族ポリカルボジイミド及びそのシート - Google Patents

芳香族ポリカルボジイミド及びそのシート Download PDF

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Description

【0001】
【発明の背景】
本発明は新規な芳香族ポリカルボジイミドに関する。本発明の芳香族ポリカルボジイミドは、高耐熱性、低吸湿性、低誘電率など種々の優れた特性を有するシート(フィルム)や接着剤、成形物として用いることができる。
【0002】
芳香族ポリカルボジイミドには、従来ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)やトリレンジイソシアネート(TDI)などをモノマーとし、これを重合したものが知られている。このようなポリカルボジイミドは、その優れた耐熱性により耐炎化フィルムや耐熱性接着剤として使用されている。
【0003】
【発明の目的及び概要】
これらポリカルボジイミドフィルムは、400℃以上の高温に曝しても揮発性ガスや分解モノマーを生成しないという点では耐熱性を有するが、耐湿性が低かったり、200℃以上で熱処理すると自己保持性がなく、脆くなり実用に耐えない。また、有機溶媒に対する溶解性が乏しく加工性も低い。
【0004】
本発明者らは、このような従来のポリカルボジイミドの欠点を解消すべく種々の検討を重ねた。その結果、下記の新規な骨格を有するポリカルボジイミドにより前記課題が解決し得るとの知見を得て本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は下式(I):
【化2】
Figure 0004068264
(式中、nは2〜300の整数を意味する。)
で表される構成単位を有する芳香族ポリカルボジイミドを提供するものである。
【0006】
このポリマーは新規な高分子化合物であり、優れた溶解性と共に高い耐熱性を有し、また接着性、低温加工性及び耐湿性にも優れる。
【0007】
【発明の詳細な開示】
本願発明のポリカルボジイミドは、下式(II):
【化3】
Figure 0004068264
で表されるジイソシアネートをモノマーとし、これをリン系触媒の存在下、それ自体は公知の方法で重合することにより得られる。なお、本発明のポリカルボジイミドの原料となるモノマー式(II)は新規化合物である。
【0008】
本発明のポリカルボジイミドは、特開平3−90052号に開示の下式(III)で示されるジアミンを原料とし、これを公知の方法によりイソシアネート化し、ついで重合を行い製造できる。
【0009】
【化4】
Figure 0004068264
【0010】
(モノマーの製造)
このようなジアミンから前記式(II)で表されるジイソシアネートを得る方法としては、対応するジアミンにホスゲン、ジフェニルカーボネート、又はカルボニルジイミダゾールを作用させる方法、あるいはジカルボン酸からクルチウス転位により製造する方法が挙げられる。
さらに、他の方法として、ジアミン化合物にハロゲン化アルキルホルメートまたはハロゲン化アリールホルメートなどのハロゲン化ホルメートを作用させてジカーバメートを合成し、これに活性化試薬としてクロロシランなどのハロゲン化ケイ素化合物を用いて熱分解によりジイソシアネート化する方法(特開平10-158394号、G. Greber. et. al., Angew. Chem. Int. Ed., Vol. 17, No.12, 941(1968))やカテコールボランを用いてジイソシアネート化する方法(V.L.K.Valli.et.al.,J.Org.Chem.,Vol.60,257(1995))があり、これらの方法は収率及び安全性の点からより好ましい。
【0011】
(カーバメートの製造)
まず、カーバメートを製造するにあたっては、ジアミンに三級アミンの存在下で直接ハロゲン化ホルメートを反応させてもよいし、ジアミンをシリル化ジアミンとして活性化した後にハロゲン化ホルメートを反応させてもよい。以下では、シリル化ジアミンを活性中間体としてイソシアネートを得る方法についてさらに詳細に述べる。
【0012】
(シリル化ジアミンの合成)
かかるジアミン化合物のシリル化方法としては、塩基性化合物の存在下において、対応するジアミンに有機ハロゲン化ケイ素化合物を作用させる方法が用いられる(Oishi, et. al. Macromoleculesx, 21, 547 (1988)、Oishi, et. al. J. of Polym. Sci., Part A, 25, 2493 (1987)、Oishi, et. al. Macromol. Chem., Rapid Commun., 12, 465 (1991))。
即ち、対応するジアミン化合物に有機ハロゲン化ケイ素化合物、具体的にはトリメチルクロロシラン、トリエチルクロロシラン、トリメトキシクロロシランなどのクロロシラン類などを作用させることにより合成されるが、扱いやすさや経済性の面から、トリメチルクロロシランが最も好適である。また、ヘキサメチルジシラザンを用いる方法を採用することもできる。
【0013】
これらの有機ハロゲン化ケイ素化合物は単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。有機ハロゲン化ケイ素化合物の使用量はジアミンのモル数の1.5〜3.4倍がよく、1.8〜3.0倍がより好ましい。使用量がこれより少ないと、反応が完全に進行しないため好ましくない。一方、前記範囲より多いと未反応の有機ハロゲン化ケイ素化合物を反応終了後に除去するのが困難であり好ましくない。
【0014】
これら反応に用いられる溶媒はジアミンを溶解させるものであればよい。例えばテトロヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテルなどのエーテル系化合物;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系化合物;酢酸エチルなどのエステル系化合物;トルエン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系溶媒;クロロホルム、塩化メチレン、テトラクロロエチレンなどのハロゲン化炭化水素などが挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上混合して用いてもよい。
【0015】
反応混合物中のジアミン濃度は1〜50%、好ましくは5〜40%、最適には10〜30%である。上記濃度が低すぎると反応に時間を要し、実用的でない。濃度が高すぎると好ましくない副反応を招いたり、反応の制御が困難になる恐れがある。
反応温度は0〜150℃、好ましくは20〜130℃である。反応温度がこれより低いと反応が進行しにくく実用的でない。また、これより高い反応温度は溶剤の選択が困難であり、縮合などの副反応を生ずる可能性がある。
【0016】
反応により生成する塩化水素をトラップする塩基性化合物としては、用いた溶媒に溶解し反応を阻害しないものであればよく、有機塩基、無機塩基をいずれも用いることができる。溶媒に溶解しやすいという点から有機塩基が好ましい。反応を阻害しない点から特にトリエチルアミン、ピリジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、コリジン、ピコリン、ルチジンなどの三級アミンが好ましい。塩基の使用量はジアミンの使用モル数の1.5〜3.4倍がよく、1.8〜3.0倍がより好ましい。
【0017】
(シリル化ジアミンからジイソシアネートの合成)
次にシリル化ジアミンにハロゲン化ホルメートを反応させ、カーバメート化合物とする。ハロゲン化ホルメートとしては、メチルクロロホルメート、エチルクロロホルメート、フェニルクロロホルメート、p−ニトロフェニルクロロホルメートなどが用いられるが、ポリカルボジイミドを得るための充分に活性化したウレタンを得るためには、フェニルクロロホルメートまたはp−ニトロフェニルクロロホルメートがより適している。これらのハロゲン化ホルメート類は単独で用いてもよいし、2種以上を用いてもよい。あるいは2種以上のハロゲン化クロロホルメートを用いることにより、片方がイソシアネート化に対し不活性な非対称のウレタン化合物を予め生成させておき、これを末端封止剤の代替化合物として用いることもできる。
【0018】
反応温度は−40℃〜100℃、好ましくは−20℃〜80℃であるが、副反応を防ぐために、氷浴等で適宜冷却しながら反応を行ってもよい。ハロゲン化ホルメート類の使用量はジアミンのモル数の1.5〜3.4倍がよく、最適には1.8〜3.0倍がよい。使用量が少なすぎると、系中に未反応ジアミンまたはシリル化ジアミンが残存し、次いで生成するイソシアネートと尿素生成などの副反応を引き起こすため、好ましくない。多すぎると反応終了後に系中から取り除くことが困難である。
シリル化ジアミンとハロゲン化ホルメートの反応が進行するに伴い、有機ハロゲン化ケイ素化合物が再生する。ここで再生した有機ハロゲン化ケイ素化合物は、次のイソシアネート化反応の活性化試薬として作用する。
カーバメート化合物からイソシアネートを生成する際に反応を促進する塩基性化合物としては、トリエチルアミンなど比較的塩基性の高い3級アミンがより好ましい。イソシアネート化の反応温度は0℃〜160℃、好ましくは20℃〜140℃である。0℃以下の低温では反応が進行しない場合があり、160℃以上の高温では反応生成物が分解するなどの副反応が生じたりする場合がある。塩基の使用量は用いるジアミンのモル数の1.5〜3.4倍がよく、最適には1.8〜3.0倍がよい。つぎにこのように合成したジイソシアネートを単離、精製するか、またはそのまま重合してポリカルボジイミドを得る。
【0019】
(ジイソシアネートからのポリカルボジイミドの製造)
本発明のポリカルボジイミドを製造するには、前記式(II)で表されるジイソシアネートモノマーを単独で用いてもよく、本発明のポリカルボジイミドの特性を損なわない範囲で他の有機ジイソシアネート、例えば4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネート、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、o−トリレンジイソシアネート、2,2−ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]プロパンなどと共重合してもよい。
【0020】
共重合比は式(II)で表されるジイソシアネートモノマーに対し、1〜90mol%、より好ましくは1〜70mol%、最も好ましくは1〜50mol%である。共重合比が90mol%を超えると、本発明のポリカルボジイミドの特性が失われる可能性がある。また、本発明のポリカルボジイミドに対して1/100〜100/1の割合で他のポリカルボジイミドをワニス状態で混合して用いてもよい。
【0021】
重合温度は40〜150℃が好ましく、50〜140℃がより好ましい。反応温度が40℃より低いと反応時間が長くなりすぎ実用的でない。また150℃を越える反応温度は溶媒の選択が困難である。
【0022】
ポリカルボジイミド合成におけるジイソシアネートモノマー濃度は1〜70重量%(以下、単に%という)、好ましくは5〜60%、最も好ましくは15〜50%である。モノマー濃度が1%より低いとカルボジイミド化が進行しない場合がある。また70%を越えると反応の制御が困難になる。
【0023】
ポリカルボジイミドの合成時及びポリカルボジイミド溶液に用いられる有機溶媒は、従来公知のものであってよい。具体的にはテトラクロロエチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタンなどのハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
【0024】
カルボジイミド化に用いる触媒としては公知のリン系触媒がいずれも好適に用いられ、例えば1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、あるいはこれらの3−ホスホレン異性体などのホスホレンオキシドが挙げられる。
【0025】
なお、前記のジアミンのカーバメート化、ジイソシアネート化及びカルボジイミド化にあたっては、それぞれの工程で単離、精製を行い、段階的に進めてもよく、1つの反応容器中でこれらの工程を続けて一連の反応として行ってもよい。
【0026】
また重合反応の末期、中期、初期のいずれか、もしくは全般にわたり、モノイソシアネートを加えて末端封鎖処理をしてもよい。このようなモノイソシアネートとしては、フェニルイソシアネート、p−ニトロフェニルイソシアネート、p−及びm−トリルイソシアネート、p−ホルミルフェニルイソシアネート、p−イソプロピルフェニルイソシアネート、1−ナフチルイソシアネートなどを用いることができる。このようにして得られたポリカルボジイミド溶液は、溶液の保存安定性に優れている。
【0027】
また、反応終了後にメタノール、エタノール、イソプロピルアルコールなどの低級アルコール、ヘキサン、ヘプタン、ペンタンなどの低級炭化水素等貧溶媒に反応液を投入し、ポリカルボジイミドを沈澱として析出させ、未反応のモノマーや触媒を取り除いてもよい。ポリカルボジイミドの溶液を調製するには、沈殿として析出したポリマーを所定の操作により洗浄、乾燥を行い、再度有機溶媒に溶解する。このような操作を行うことにより、ポリカルボジイミドの溶液安定性を向上させることができる。
【0028】
また、ポリマー溶液中に含まれる副生成物を、適当な吸着剤などに吸着させ、精製してもよい。吸着剤としては例えばアルミナゲル、シリカゲル、活性炭、ゼオライト、活性酸化マグネシウム、活性ボーキサイト、フラースアース、活性白土、分子ふるいカーボンなどを単独もしくは併用して用いることができる。
【0029】
本発明のポリカルボジイミドの重合度nは2〜300、好ましくは4〜100である。nがこれより大きいと、常温での放置においても数分から数時間で容易にゲル化し実用上好ましくない。また、分子量がこれより小さいと皮膜の信頼性に欠け好ましくない。
【0030】
(フィルム及び接着シートの製造)
本発明のポリカルボジイミドフィルム(又はシート)は、ポリカルボジイミドワニスを公知の方法(キャスティング、スピンコーティング、ロールコーティングなど)を用いて適当な厚さに製膜することにより得られる。このフィルムは、通常、溶媒の除去に必要な温度で乾燥すればよく、硬化反応をあまり進行させずに乾燥させるよう、塗工温度は例えば20〜350℃、好ましくは50〜300℃である。乾燥温度が20℃より低いと、フィルム中に溶剤が残存し、フィルムの信頼性が乏しくなり好ましくない。また乾燥温度が350℃より高いと、フィルムの熱硬化が進みやすい。
【0031】
本発明のポリカルボジイミド樹脂組成物には、その加工性、耐熱性を損なわない範囲で微細な無機充填剤を配合してよい。また表面平滑性を出すための平滑剤、レベリング剤、脱泡剤などの各種添加剤を必要に応じて添加してもよい。
【0032】
本発明のポリマーをフィルム状に成形した成形物は、耐熱性接着シートとして用いることができる。フィルム、又は接着シートに成形することができるシート厚としては、一般には1〜200μmであるが、これに限定されるものではなく目的に応じて適宜選択することができる。またシートの形状や大きさについても、リードフレームや半導体チップなど、被着体に応じて適宜に決定することができる。
【0033】
接着シートを製造する場合、導電性の付与や熱伝導性の向上、弾性率の調節、特に高弾性率化などをはかるため、例えばアルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田などの金属、あるいは合金、アルミナ、シリカ、マグネシア、窒化ケイ素などのセラミック、その他カーボンなどからなる種々の無機粉末を必要に応じ1種または2種以上配合してもよい。
【0034】
さらに、これらのフィルムを支持体上に形成して接着シートとしてもよい。このような構成の接着シートを製造するには、支持体上にワニスを塗工してもよく、あらかじめフィルムを形成し、これをプレスなどによりラミネートして製造してもよい。
【0035】
ここで用いられる支持体としては金属箔、絶縁性フィルムなどが挙げられる。金属箔としてはアルミニウム、銅、銀、金、ニッケル、インジウム、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム等がいずれも用いられてよく、これらを単独で、あるいは合金として用いてもよい。また、絶縁性フィルムとしては、ポリイミド、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレートなど、耐熱性や耐薬品性を有するフィルムであればいずれも用いることができる。
【0036】
また金属箔と絶縁性フィルムは、それぞれ単独で用いてもよく、また両者を2層以上積層した、例えば金属箔/絶縁性フィルムなどの2層基材を用いてもよい。このような2層基材としては、例えば銅/ポリイミド2層基材などが挙げられる。
【0037】
本発明のシート状接着剤は、加熱処理により熱硬化して強固な接着力を発現すると共に、低吸湿性の硬化物となる。加熱処理を行うには、例えばヒーター、超音波、紫外線などの適宜の方法が用いられてよい。従って本発明の接着シートは、種々の材料の接着処理に好ましく、特に高信頼性の固着処理が要求され、そのため低吸湿性であることを要する半導体チップやリードフレームなどで代表される電気・電子部品の固着処理に好ましい。本発明の接着シートは低吸湿性であること、可撓性に富み取り扱いやすいこと、半導体素子に対して接着性がよいこと、保存安定性がよいことなどの点で優れている。
【0038】
(用途)
このようにして製造されたポリカルボジイミド樹脂は、その耐熱性を利用して電子部品用の接着剤や被覆材料として用いることもできる。
【0039】
【実施例】
つぎに本発明を実施例及び比較例によりさらに具体的に説明する。反応はすべて窒素気流下で行った。なお、得られたポリカルボジイミドの特性は次のようにして測定した。
【0040】
IR
日本電子製FT/IR−230を用いて測定した。
熱硬化温度及びガラス転移温度 ( Tg )
DSC−200((株)セイコー電子工業製)を用いて測定し、三量体化の発熱ピークを熱硬化温度とした。
【0041】
数平均分子量 ( Mn )
装置としてHLC8120((株)東ソー製)、カラムにGMHHR-H+GMHHR-H+G2000HHR((株)東ソー製)を用い、テトラヒドロフランを展開溶媒として測定した。
弾性率 ( ')
DMS210((株)セイコー電子工業製)を用いて測定した。
接着力
島津オートグラフAGS−100Dを用いて180°ピール強度を測定した。
【0042】
【実施例1】
攪拌装置、滴下漏斗、還流冷却器を取り付けた四つ口フラスコに下式(IV)のジアミン(11.25g,20.0mmol)、トリエチルアミン(4.05g,40.0mmol)、トリメチルクロロシラン(4.35g,40.0mmol)、トルエン58gを仕込み、80℃で3時間攪拌してシリル化ジアミンを得た。
【化5】
Figure 0004068264
室温まで冷却後、滴下漏斗にフェニルクロロホルメート(6.26g,40.0mmol)を入れ、水浴中でおよそ10分かけて滴下し、室温で一晩攪拌した。カーバメートの生成をIRで確認した後、トリメチルクロロシラン(0.87g、8mmol)、トリエチルアミン(4.87g、48mmol)を仕込み、80℃で、3時間攪拌して、イソシアネート化を行った。IRによりイソシアネートの生成を確認した(図1)後、室温まで冷却してカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)(0.19g、1.00mmol)と末端封止剤(p−イソプロピルフェニルイソシアネート)(0.74g、4.60mmol)を仕込み、80℃、3時間重合した。
【0043】
IRスペクトルによりカルボジイミド化を確認し(図2)、生成したトリエチルアミン塩酸塩を濾過により除去し、ワニスを得た。このポリカルボジイミドの数平均分子量(Mn)は、4170(n=7)であった。上記ワニスの保存安定性は、10日以上であり、ワニスをガラス板上にキャスティングし、90℃にて30分間、さらに200℃で60分間乾燥したところ、かとう性を有するフィルムが得られた。また、ワニスをイソプロピルアルコールで再沈殿し、析出した固体を集めて乾燥して得られた粉末はTg=216℃、Tc=320℃であった。
【0044】
【実施例2】
実施例1で製造したワニスを厚さ105μmの銅箔上に塗工し、90℃で30分、次いで250℃で30分乾燥して接着剤層の厚みが30μmの接着シートを得た。これを42アロイ板に貼り付け、300℃、50kg/cm2の圧力で1秒間プレスして貼り合わせた。接着力は1200g/cmであった。この基材の半田耐熱試験(260℃×10分)を行ったところ、良好な接着性を示した。接着剤層のTgは150℃で、240℃における弾性率は0.80Gpa、吸水率は0.1%であった。
【0045】
[比較例1]
2,4−トリレンジイソシアネート/2,6−トリレンジイソシアネート混合物(混合割合90:10)5g(28.7mmol)をテトラヒドロフラン20g中でカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)43mg(0.22mmol)とともに60℃で15時間攪拌し、ポリカルボジイミド溶液を得た。このポリマーの数平均分子量は6,700(n=52)であった。
ワニスをガラス板上にキャスティングし、90℃にて30分間乾燥、次いで250℃で30分間乾燥したところ得られたフィルムは黒色の非常に脆いフィルムであった。このフィルムの熱的特性を評価したところ、Tc=300℃、Tg=227℃であった。
【0046】
【発明の効果】
本発明のポリカルボジイミドは有機溶媒への溶解性が高く加工性が良好で、優れた耐熱性、耐湿性を示し、電子部品製造時のハンダ付け工程における耐熱性被覆材料などとして用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1で得られたジイソシアネートの赤外吸収スペクトルである。
【図2】 実施例1で得られたポリカルボジイミドの赤外吸収スペクトルである。

Claims (3)

  1. 下式(I):
    Figure 0004068264
    (式中、nは2〜300の整数を意味する。)
    で表される構成単位を有する芳香族ポリカルボジイミド。
  2. 請求項1の芳香族ポリカルボジイミドを有機溶媒に溶解してなるポリカルボジイミド溶液。
  3. 請求項1の芳香族ポリカルボジイミドからなるポリカルボジイミドシート。
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