JP2001072734A - 芳香族ポリカルボジイミド及びこれから得られる撥水性シート - Google Patents

芳香族ポリカルボジイミド及びこれから得られる撥水性シート

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JP2001072734A
JP2001072734A JP28259199A JP28259199A JP2001072734A JP 2001072734 A JP2001072734 A JP 2001072734A JP 28259199 A JP28259199 A JP 28259199A JP 28259199 A JP28259199 A JP 28259199A JP 2001072734 A JP2001072734 A JP 2001072734A
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mmol
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Takami Hikita
貴巳 疋田
Yukie Sakamoto
亨枝 坂本
Sadahito Misumi
貞仁 三隅
Shu Mochizuki
周 望月
Takahiro Fukuoka
孝博 福岡
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Nitto Denko Corp
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    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
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    • C08G73/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a linkage containing nitrogen with or without oxygen or carbon in the main chain of the macromolecule, not provided for in groups C08G12/00 - C08G71/00
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機溶媒への溶解性が高く加工性が良好で、
かつ優れた耐熱性、耐湿性、撥水性を有するポリカルボ
ジイミドを得る。 【解決手段】 本発明は下式(I): 【化1】 (式中、nは2〜300の整数、Rは有機基を意味す
る。)で表される構成単位を有する芳香族ポリカルボジ
イミドである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】本発明は新規な芳香族ポリカルボジイミ
ドに関する。本発明の芳香族ポリカルボジイミドは、高
耐熱性、低吸湿性、低誘電率など種々の優れた特性を有
するシート(フィルム)や接着剤、成形物として用いるこ
とができる。また、本発明のポリカルボジイミドは優れ
た撥水性を有する。
【0002】芳香族ポリカルボジイミドには、従来ジフ
ェニルメタンジイソシアネート(MDI)やトリレンジイ
ソシアネート(TDI)などをモノマーとし、これを重合
したものが知られている。このようなポリカルボジイミ
ドは、その優れた耐熱性により耐炎化フィルムや耐熱性
接着剤として使用されている。
【0003】これらポリカルボジイミドフィルムは、4
00℃以上の高温に曝しても揮発性ガスや分解モノマー
を生成しないという点では耐熱性を有するが、耐湿性が
低かったり、200℃以上で熱処理すると自己保持性が
なく、脆くなり実用に耐えない。また、有機溶媒に対す
る溶解性が乏しく加工性も低い。
【0004】さらに近年耐熱性フィルムは用途に応じた
種々の性能を合わせ持つことが求められている。例えば
プリント配線板やLSI用の層間絶縁膜などでは、低熱膨
張係数、低誘電率が期待され、光通信関係、特に光導波
路のクラッド材には低屈折率が期待されている。また、
安定な物性値を保つには吸水率が小さいことが必要であ
る。さらに湿潤雰囲気で使用する成形品の表面保護材や
耐熱性の離形材料として用いる場合には、撥水性を付与
することが有効である。
【0005】例えばポリイミドは耐熱性に優れているた
め、幅広く使われているが、分子内の極性の大きなイミ
ド基を多く有するため吸水率が大きく、また分子中にフ
ッ素を有する場合水に対する接触角は小さく、充分な撥
水性は得られない。
【0006】撥水性を付与する方法には、例えばフルオ
ロケミカル組成物を添加する方法、ポリマー主鎖にフッ
素原子を導入する方法などがある。フルオロケミカル組
成物を添加する方法の一つとして、例えばカルボジイミ
ド化合物を増量剤として用いた報告もある(特開平8-32
5220)。ここでカルボジイミド化合物はコストダウンの
ためにフルオロケミカル化合物の増量剤として用いられ
ており、単独で撥水性や撥油性を発揮するものではな
い。
【0007】ポリマー主鎖にフッ素原子を導入したポリ
マーとしてはポリテトラフルオロエチレン(PTFE)がよ
く知られているが、加工性にやや劣る。またポリイミド
分子の末端にトリフルオロメチル基を多く含む置換基を
導入する方法もあるがコスト面から不利である(特開平
11-21350号)。
【0008】
【発明の目的及び概要】本発明者らは、このような従来
の課題について検討し種々の原料モノマー、芳香族カル
ボジイミドポリマーについて鋭意研究を行った。その結
果、下記の新規な骨格を有するポリカルボジイミドによ
り前記課題が解決し得るとの知見を得て本発明を完成す
るに至った。即ち、本発明は下式(I):
【0009】
【化2】 (式中、nは2〜200の整数、Rは有機基を意味す
る。)で表される構成単位を有する芳香族ポリカルボジ
イミドを提供するものである。
【0010】このポリマーは新規な高分子化合物であ
り、優れた溶解性と共に非常に高い耐熱性を有し、また
接着性、低温加工性及び耐湿性にも優れる。また、容易
に有機溶媒に溶解してポリカルボジイミド溶液を与え、
撥水性のシートを製造することができる。このポリカル
ボジイミドはポリイミド並みの高い耐熱性を有するが、
分子内に極性基が無いことから、一般に吸水率が低く、
ポリイミドと比べて大きな撥水性が得られると考えられ
る。
【0011】なお、本願発明のポリカルボジイミドに関
連し、特開平2-292316号、特開平4-279618号には下式
(II):
【0012】
【化3】
【0013】で表される芳香族ポリカルボジイミドが記
載されており、式中Rはメチル基、メトキシ基のよう
な低級アルキル基または低級アルコシキ基であり耐久性
に乏しい。従来、本発明のように、側鎖にエーテル結合
を介して炭素数の多い有機基を導入したポリカルボジイ
ミドについては報告例がない。
【0014】
【発明の詳細な開示】本発明のポリカルボジイミドは、
モノマーとして下式(III):
【0015】
【化4】 (式中、Rは有機基を意味する。)で表されるジイソシ
アネートを用い、これをリン系触媒の存在下、それ自体
は公知の方法で重合することにより得られる。
【0016】式中Rに含まれる有機基としては脂肪族
基、フッ素含有脂肪族基、芳香族基などが挙げられる
が、この中でも特に脂肪族基、フッ素含有脂肪族基が好
ましい。脂肪族基は安定で非極性な好ましくは飽和の一
価脂肪基で、直鎖、枝分かれ、環式、またはそれらの組
み合わせであってよい。したがって脂肪族基の具体例と
しては、以下のものが挙げられる。
【0017】
【化5】
【0018】Rは炭素数3以上であり、好ましくは3〜2
0である。20を越えるような炭素数の著しく大きい場合
には、ポリカルボジイミドの耐熱性が低下し、炭素数が
3未満の場合には、ポリカルボジイミド表面に撥水性を
表現する効果が低下するため不適当である。フッ素含有
脂肪基とは、前記脂肪族基の水素原子の一部をフッ素原
子で置換したものを指す。そのフッ素含有量はR中10〜
80重量%(以下、単に%という)、好ましくは50〜70%
である。90%を超える場合では、通常の有機溶媒に溶解
しなくなる可能性がある。フッ素含有脂肪族基の代表例
としては下記のものが挙げられる。
【0019】−CH2(CF2)2CF3、−CH2CH2(CF2)7CF3、−
(CH2)3(CF2)5CF3、−(CH2)6(CF2)5CF 3、−CH2CH2(CF2)4
CF(CF3)CF3、−(CF2)4CF(CF3)CF3、−CH2(CF2)5CF3、−
CH2CF 2CHFCF3、−CH(CF3)2、−CH2CFH2、−CH2(CH3)C(C
F3)2、−CH2(CF2)3CHF2、−CH 2(CF2)5CHF2、−CH2CF2CH
F2、−CH2(CF2)7CHF2
【0020】(ジイソシアネートからのポリカルボジイ
ミドの製造)本発明のポリカルボジイミドを製造するに
は、前記式(III)のジイソシアネートモノマーを単独で
用いてもよく、本発明のポリカルボジイミドの特性を損
なわない範囲で他の有機ジイソシアネート、例えば4,
4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,6−トリ
レンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネ
ート、1−メトキシフェニル−2,4−ジイソシアネー
ト、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ジフェニルメタンジ
イソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシ
アネート、3,3'−ジメチル−4,4'−ジフェニルエー
テルジイソシアネート、o−トリレンジイソシアネー
ト、2,2-ビス[4−(4−イソシアネートフェノキシ)
フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−
(4−イソシアネートフェノキシ)フェニル]プロパンな
どと共重合してもよい。
【0021】共重合比は式(III)で表されるジイソシア
ネートモノマーに対し、1〜90mol%、より好ましく
は1〜70mol%、最も好ましくは1〜50mol%であ
る。共重合比が90mol%を超えると、撥水性などの本
発明のポリカルボジイミドの特性が失われる可能性があ
る。また、本発明のポリカルボジイミドに対して1/1
00〜100/1の割合で他のポリカルボジイミドをワ
ニス状態で混合して用いてもよい。
【0022】重合温度は40〜150℃が好ましく、5
0〜140℃がより好ましい。反応温度が40℃より低
いと反応時間が長くなりすぎ実用的でない。また150
℃を越える反応温度は溶媒の選択が困難である。
【0023】ポリカルボジイミド合成におけるジイソシ
アネートモノマー濃度は5〜70重量%(以下、単に%
という)、好ましくは15〜50%である。モノマー濃
度が5%より低いとカルボジイミド化が進行しない場合
がある。また70%を越えると反応の制御が困難になる
可能性がある。
【0024】ポリカルボジイミドの合成時及びポリカル
ボジイミド溶液に用いられる有機溶媒は、従来公知のも
のであってよい。具体的にはテトラクロロエチレン、
1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、ジクロロメタ
ン、フルオロフラン、フルオロキシレンなどのハロゲン
化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイ
ソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶
媒、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどの環状エーテ
ル系溶媒、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系
溶媒が挙げられる。これらは単独で用いてもよく、2種
以上を混合して用いてもよい。
【0025】カルボジイミド化に用いる触媒としては公
知のリン系触媒がいずれも好適に用いられ、例えば1−
フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド、3−メチル
−2−ホスホレン−1−オキシド、1−エチル−2−ホ
スホレン−1−オキシド、3−メチル−1−フェニル−
2−ホスホレン−1−オキシド、あるいはこれらの3−
ホスホレン異性体などのホスホレンオキシドが挙げられ
る。
【0026】また重合反応の末期、中期、初期のいずれ
か、もしくは全般にわたり、モノイソシアネートを加え
て末端封鎖処理をしてもよい。このようなモノイソシア
ネートとしては、フェニルイソシアネート、p−ニトロ
フェニルイソシアネート、p−及びm−トリルイソシア
ネート、p−ホルミルフェニルイソシアネート、p−イ
ソプロピルフェニルイソシアネート、1−ナフチルイソ
シアネートなどを用いることができる。このようにして
得られたポリカルボジイミド溶液は、溶液の保存安定性
に優れている。
【0027】また、反応終了後にメタノール、エタノー
ル、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、イソプロピルアル
コールなどの貧溶媒に反応液を投入し、ポリカルボジイ
ミドを沈澱として析出させ、未反応のモノマーや触媒を
取り除いてもよい。ポリカルボジイミドの溶液を調製す
るには、沈殿として析出したポリマーを所定の操作によ
り洗浄、乾燥を行い、再度有機溶媒に溶解する。このよ
うな操作を行うことにより、ポリカルボジイミドの溶液
安定性を向上させることができる。
【0028】また、ポリマー溶液中に含まれる副生成物
を、適当な吸着剤などに吸着させ、精製してもよい。吸
着剤としては例えばアルミナゲル、シリカゲル、活性
炭、ゼオライト、活性酸化マグネシウム、活性ボーキサ
イト、フラースアース、活性白土、分子ふるいカーボン
などを単独もしくは併用して用いることができる。
【0029】本発明のポリカルボジイミドの重合度n
は、2〜300であり、好ましくは4〜100である。
ポリカルボジイミドの分子量がこれより大きいと、常温
での放置においても数分から数時間で容易にゲル化し実
用上好ましくない。また、分子量がこれより低いと皮膜
の信頼性に欠け好ましくない。
【0030】(モノマー)つぎに本発明ポリカルボジイ
ミドのモノマーの製法について説明する。本発明ポリカ
ルボジイミドの原料であるジイソシアネート化合物(前
記式(III))は、その前駆体であるエーテル化ジアミン
(IV)を、それ自体は公知の方法でジイソシアネート化
することにより製造することができる。
【0031】
【化6】 (式中、Rは前記に同じ。)
【0032】(ジアミンからのジイソシアネートの製
造)このようなジアミンからジイソシアネートを得る方
法としては、ホスゲン、ジフェニルカーボネート、又は
カルボニルジイミダゾールを作用させる方法、ジカルボ
ン酸からクルチウス転位により合成する方法が挙げられ
る。さらに、他の方法として、ジアミン化合物にハロゲ
ン化アルキルホルメートまたはハロゲン化アリールホル
メートを作用させてジカーバメートを合成し、これに活
性化試薬としてクロロシランなどのハロゲン化ケイ素を
用いて熱分解してジイソシアネート化する方法(G. Greb
er. et. al., Angew. Chem. Int. Ed., Vol. 17, No.1
2, 941(1968))やカテコールボランを用いてジイソシア
ネート化する方法(V.L.K.Valli.et.al.,J.Org.Chem.,Vo
l.60,257(1995))があり、これらの方法は収率及び安全
性の点からより好ましい。カーバメートを合成するにあ
たっては、ジアミンに三級アミンの存在下で直接ハロゲ
ン化ホルメートを反応させてもよいし、ジアミンをシリ
ル化ジアミンとして活性化した後にハロゲン化ホルメー
トを反応させてもよい。
【0033】(側鎖基を有するジアミンの合成)前記ジ
アミンの合成は、1−フルオロ−2,4−ジニトロベン
ゼンを原料としてアルコールを作用させてフッ素原子を
アルコキシ基で置換した後、これを酸存在下、塩化すず
(II)二水和物により還元してエーテル化ジアミンを合成
する方法により行われる。
【0034】このようにして合成したジアミンを上記の
方法でジイソシアネート化することにより、モノマーで
あるジイソシアネート化合物(III)を得る。
【0035】なお、ジアミンのジカーバメート化、ジイ
ソシアネート化、カルボジイミド化は、それぞれの工程
で単離、精製を行い段階的に進めてもよく、1つの反応
容器中でこれらの工程を続けて一連の反応として行って
もよい。
【0036】(フィルム及び接着シートの製造)本発明
のポリカルボジイミドフィルム(又はシート)は、ポリカ
ルボジイミドワニスを公知の方法(キャスティング、ス
ピンコーティング、ロールコーティングなど)を用いて
適当な厚さに製膜することにより得られる。このフィル
ムは、通常、溶媒の除去に必要な温度で乾燥すればよ
く、硬化反応をあまり進行させずに乾燥させるよう、塗
工温度は例えば20〜350℃、好ましくは50〜30
0℃である。乾燥温度が20℃より低いと、フィルム中
に溶剤が残存し、フィルムの信頼性が乏しくなり好まし
くない。また乾燥温度が350℃より高いと、フィルム
の熱硬化が進みやすい。
【0037】本発明のポリカルボジイミド樹脂組成物に
は、その加工性、耐熱性を損なわない範囲で微細な無機
充填剤を配合してよい。また表面平滑性を出すための平
滑剤、レベリング剤、脱泡剤などの各種添加剤を必要に
応じて添加してもよい。
【0038】本発明のポリマーをフィルム状に成形した
成形物は、耐熱性接着シートとして用いることができ
る。フィルム、又は接着シートに成形することができる
シート厚としては、一般には1〜200μmであるが、
これに限定されるものではなく目的に応じて適宜選択す
ることができる。またシートの形状や大きさについて
も、リードフレームや半導体チップなど、被着体に応じ
て適宜に決定することができる。
【0039】接着シートを製造する場合、導電性の付与
や熱伝導性の向上、弾性率の調節、特に高弾性率化など
をはかるため、例えばアルミニウム、銅、銀、金、ニッ
ケル、クロム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム、半田などの
金属、あるいは合金、アルミナ、シリカ、マグネシア、
窒化ケイ素などのセラミック、その他カーボンなどから
なる種々の無機粉末を必要に応じ1種または2種以上配
合してもよい。
【0040】さらに、これらのフィルムを支持体上に形
成して接着シートとしてもよい。このような構成の接着
シートを製造するには、シート状の支持体にワニスを塗
工し、乾燥してもよく、あらかじめポリカルボジイミド
のフィルムを形成し、これをプレスなどによりラミネー
トして製造してもよい。
【0041】ここで用いられる支持体としては金属箔、
絶縁性フィルムなどが挙げられる。金属箔としてはアル
ミニウム、銅、銀、金、ニッケル、インジウム、クロ
ム、鉛、錫、亜鉛、パラジウム等がいずれも用いられて
よく、これらを単独で、あるいは合金として用いてもよ
い。また、絶縁性フィルムとしては、ポリイミド、ポリ
エステル、ポリエチレンテレフタレートなど、耐熱性や
耐薬品性を有するフィルムであればいずれも用いること
ができる。
【0042】また金属箔と絶縁性フィルムは、それぞれ
単独で用いてもよく、また両者を2層以上積層した、例
えば金属箔/絶縁性フィルムなどの2層基材を用いても
よい。このような2層基材としては、例えば銅/ポリイ
ミド2層基材などが挙げられる。
【0043】本発明のシート状接着剤は、加熱処理によ
り熱硬化して強固な接着力を発現すると共に、低吸湿性
の硬化物となる。加熱処理を行うには、例えばヒータ
ー、超音波、紫外線などの適宜の方法が用いられてよ
い。従って本発明の接着シートは、種々の材料の接着処
理に好ましく、特に高信頼性の固着処理が要求され、そ
のため低吸湿性であることを要する半導体チップやリー
ドフレームなどで代表される電気・電子部品の固着処理
に好ましい。本発明の接着シートは低吸湿性であるこ
と、可撓性に富み取り扱いやすいこと、半導体素子に対
して接着性がよいこと、保存安定性がよいことなどの点
で優れている。また、特に側鎖が長鎖アルキルエーテル
またはフッ素化アルキルエーテルのものは、側鎖を持た
ないものや側鎖が低級アルキル基のものと比較すると低
弾性率であり、接着性の向上が期待される。このように
して製造されたポリカルボジイミド樹脂は、その耐熱性
を利用して電子部品用の接着剤として用いることもでき
る。
【0044】(撥水シート)本発明の撥水シートを作製
するには接着シートと同様に、シート状の支持体表面に
本発明の撥水性ポリカルボジイミドからなるワニスを塗
布・乾燥して得る方法、シート状の支持体とポリカルボ
ジイミドのシート状成形物とを積層する方法等が挙げら
れる。積層方法に特に制限はなく、例えば熱や圧力によ
り貼り付けるラミネート方法などが一般的である。この
時、支持体とポリカルボジイミドシート間に接着層を介
してもよい。
【0045】撥水シートの支持体としては金属箔、樹脂
フィルム等が挙げられる。金属箔としては例えば銅箔、
ステンレス箔、アルミ箔、鉄−ニッケルアロイ箔等が挙
げられる。樹脂フィルムとしてはシリコーン系重合体、
オレフィン系重合体、アクリル系重合体、ポリエーテル
スルホン系重合体、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ポリ
イミド樹脂、ポリカーボネート樹脂等が用いられる。こ
れらの支持体は単独で用いてもよく、また2層以上積層
されていてもよい。
【0046】また本発明の撥水性ポリカルボジイミドを
支持体にコーティングし、成形物に撥水性を付与するこ
ともできる。支持体の具体例としては例えば金属、コン
クリート、セラミックなどの無機材料、木材、プラスチ
ックなどの有機材料など種々の材質が挙げられる。支持
体の形状は特に制限されず、板、棒、柱体、角体、錐
体、球体、楕円体など種々の形状が挙げられる。
【0047】コーティング方法は支持体表面に本発明の
撥水性ポリカルボジイミドからなるワニスを塗布あるい
は噴霧した後に乾燥する方法や、本発明の撥水性ポリカ
ルボジイミドからなるシートで支持体を被覆した後、熱
プレスなどによって支持体に密着させる方法等が挙げら
れる。
【0048】
【実施例】つぎに本発明を実施例及び比較例によりさら
に具体的に説明する。反応はすべて窒素気流下で行っ
た。なお、得られたポリカルボジイミドの特性は次のよ
うにして測定した。
【0049】IR 日本電子製FT/IR−230を用いて測定した。
【0050】熱硬化温度(Tc) DSC−200((株)セイコー電子工業製)を用いて測定
し、三量体化の発熱ピークを熱硬化温度とした。
【0051】熱分解開始温度(Td) TG/DTA300((株)セイコー電子工業製)を用いて
測定し、5%重量減少温度をTdとした。
【0052】数平均分子量(Mn) 装置としてHLC8120((株)東ソー製)、カラムにGMH
HR-H+GMHHR-H+G2000HHR ((株)東ソー製)を用い、テトラ
ヒドロフランを展開溶媒として測定した。
【0053】接着強度 島津オートグラフAGS−100Dを用いて180°ピ
ール強度を測定した。
【0054】誘電率 200℃×60分でキュアして作製したフィルムに電極
をつけ、横河ヒューレット・パッカード(株)製HP4284Aプ
レシジョンLCRメーターにより誘電率を測定した。
【0055】弾性率(E’) DMS100(セイコー電子工業製)を用いて測定した。
【0056】接触角 協和界面科学(株)製接触角計CA-X型を用いて測定した。
測定は蒸留水を使用した。
【0057】ガラス転移温度(Tg) TMA/ss100(セイコー電子工業製)を用いて測定
した。
【0058】[実施例1]ジアミンの製造 フラスコに1−フルオロ−2,4−ジニトロベンゼン(4
0.94g、0.22mo1)、トリエチルアミン(24.29
g、0.24mo1)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10
−ヘプタデカフルオロデシルアルコール(102.1g、
0.22mo1)、N,N−ジメチルアセトアミド220gを仕
込み、窒素雰囲気下室温で22時間撹拌した。生成した
エーテル化物を撹拌しながら水中に投入した。析出した
固体を回収し、減圧下40℃で乾燥して、黄色結晶の4
−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカ
フルオロデシルオキシ)−1,3−ジニトロベンゼン9
7.22g(収率72%)を得た。
【0059】三つ口フラスコ(1L)に上記ジニトロ化合
物(33.02g、52.4mmol)、35%塩酸(163.90
g、1.57mo1)、酢酸(46.25g、0.77mo1)、塩化すず
(81.22g、0.36mo1)を仕込み、室温で1時間撹拌し
た後、100℃で昇温後10時間撹拌した。反応液を室
温まで冷却後、20wt%NaOH水溶液で中和し、酢酸
エチル(2L)に抽出した。有機相を無水硫酸マグネシウ
ムにより乾燥後、溶媒留去して粗生成物を得た。粗生成
物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、小豆色結晶
の4−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプ
タデカフルオロデシルオキシ)−1,3−ベンゼンジアミ
ン(V)20.9g(収率70%)を得た。
【0060】ジアミンのポリカルボジイミド化 三つ口フラスコ(200mL)に4−(3,3,4,4,5,5,6,6,
7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルオキ
シ)−1,3−ベンゼンジアミン(10.00g、17.5mmo
1)、トリエチルアミン(3.55g、35.lmmo1)、トリメ
チルクロロシラン(3.81g、35.1mmo1)、トルエン5
1gを仕込み、窒素雰囲気下80℃で3時間撹拌した。
【0061】室温まで冷却後、滴下漏斗にフェニルクロ
ロホルメート(5.49g、35.1mmo1)を入れ、水浴中で
30分かけて滴下し、室温で一晩撹拌した。生成したト
リエチルアミン塩酸塩を水洗により除去し、得られたジ
カーバメート化合物を酢酸エチルに抽出した。有機相を
無水硫酸マグネシウムにより乾燥後、減圧下にて濃縮し
てn−へキサン中へ撹拌しながら投入した。析出した固
体を回収し、減圧下40℃で乾燥して、赤褐色結晶の4
−(3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデ
カフルオロデシルオキシ)−1,3−フェニレンビス(フ
ェニルカーバメート)11.40g(収率81%)を得た。
【0062】続いて、三つ口フラスコに4−(3,3,4,4,
5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデ
シルオキシ)−1,3−フェニレンビス(フェニルカーバ
メート)(11.43g、14.1mmo1)、トリエチルアミン
(2.95g、28.2mmol)、トリメチルクロロシラン(3.
06g、28.2mmo1)、カルボジイミド化触媒(3−メチル
−1−フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)(0.
14g、0.7mmo1)、THF53gを仕込み、窒素雰囲気
下5時間還流してイソシアネート化及び重合を行い、4
−イソプロピルフェニルイソシアネート(0.68g、4.
2mmo1)を添加し、3時間還流した。IRスペクトルによ
りカルボジイミド化を確認した(図1)。生成したトリエ
チルアミン塩酸塩を瀘過により除去し、褐色ワニスを得
た。ワニスをn−ヘキサン中へ撹拌しながら投入した。
沈澱したボリマーを集めて乾燥し、赤褐色粉末のポリカ
ルボジイミド7.00g(収率86%)を得た。
【0063】次にこのポリカルボジイミドをTHFに再
溶解して35wt%ベースのワニスを調製した。このワニ
スの保存安定性は、室温で30日以上であった。このワ
ニスをガラス板上に塗工し、200℃で30分間乾燥す
ると、Tg=161℃、Tc=350℃、Td=301℃
の良好なフィルムが得られた。このポリカルボジイミド
の数平均分子量(Mn)は、5600(n=10)であっ
た。
【0064】[実施例2]ジアミンの製造 フラスコ(1L)に1−フルオロ−2,4−ジニトロベン
ゼン(40.94g、0.22mo1)、トリエチルアミン(24.
29g、0.24mol)、1−デカノール(34.82g、0.22
mo1)、N,N−ジメチルアセトアミド220gを仕込
み、窒素雰囲気下室温で24時間撹拌した。生成したエ
ーテル化物を酢酸エチル(1L)に抽出した。有機相を無
水硫酸マグネシウムにより乾燥後、溶媒留去して粗生成
物を得た。これをシリカゲルクロマトグラフィーにて目
的物を分離精製し、黄色結晶の4−デシルオキシ−1,
3−ジニトロベンゼン57.80g(収率81%)を得
た。
【0065】三つ口フラスコ(2L)に前記ジニトロ化合
物(64.88g、0.20mo1)、35%塩酸(597.96
g、6.06mo1)、酢酸(182.21g、3.03mo1)、塩化す
ず(318.14g、1.41mo1)を仕込み、室温で2時間撹
拌した後、100℃まで昇温後9時間撹拌した。反応液
を室温まで冷却後、20wt%NaOH水溶液で中和し、
酢酸エチル(2L)に抽出した。有機相を無水硫酸マグネ
シウムにより乾燥後、溶媒留去して粗生成物を得た。粗
生成物をカラムクロマトグラフィーにて精製し、褐色結
晶の4−デシルオキシ−1,3−ベンゼンジアミン59.
70g(収率75%)を得た。
【0066】ジアミンのポリカルボジイミド化 三つ口フラスコに前記4−デシルオキシ−1,3−べン
ゼンジアミン(10.00g、37.8mmol)、トリエチルア
ミン(7.65g、75.6mmol)、トリメチルクロロシラン
(8.23g、75.6mmol)、トルエン109gを仕込み、
窒素雰囲気下80℃で3時間撹拌してシリル化ジアミン
を得た。
【0067】室温まで冷却後、滴下漏斗にフェニルクロ
ロホルメート(11.87g、75.6mmol)を入れ、水浴中
でおよそ30分かけて滴下し、室温で一晩撹拌した。生
成したトリエチルアミン塩酸塩を水洗により除去し、得
られたジカーバメート化化合物を酢酸エチルに抽出し
た。有機相を無水硫酸マグネシウムにより乾燥後、減圧
下溶媒を留去して、褐色結晶の4−デシルオキシ−1,
3−フェニレンビス(フェニルカーバメート)11.40
g(収率96%)を得た。
【0068】続いて、三つ口フラスコに4−デシルオキ
シ−1,3−フェニレンビス(フェニルカーバメート)(1
0.00g、19.8mmol)、トリエチルアミン(4.00g、
39.6mmol)、トリメチルクロロシラン(4.30g、39.6m
mo1)、カルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニ
ル−2−ホスホレン−1−オキシド)0.19g(1.Ommo
l)、トルエン57gを仕込み、窒素雰囲気下80℃で8
時間撹拌してイソシアネート化及び重合を行い、4−イ
ソプロピルフェニルイソシアネート(1.60g、9.9mmo
1)を添加し、80℃で2時間撹拌した。IRスペクトル
によりカルボジイミド化を確認した(図2)。生成したト
リエチルアミン塩酸塩を瀘過により除去し、褐色ワニス
を得た。ワニスをイソプロピルアルコール中へ撹拌しな
がら投入した。沈澱したポリマーを集めて乾燥し、褐色
粘性固体のポリカルボジイミド3.91g(収率72%)
を得た。
【0069】次にこのポリカルボジイミドをトルエンに
再溶解して50wt%ベースのワニスを調製した。このワ
ニスの保存安定性は、室温で30日以上であった。この
ワニスをガラス板上に塗工し、200℃で30分間乾燥
すると、Tg=123℃、Tc=378℃、Td=297
℃の良好なフィルムが得られた。このポリカルボジイミ
ドの数平均分子量(Mn)は、2700(n=10)であっ
た。
【0070】[比較例1]2,4−トリレンジイソシア
ネート12.02g(69.01mmol)をテトラヒドロフラ
ン89g中でカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−
フェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)0.248
g(1.29mmol)とともに60℃で4時間攪拌し、4−イ
ソプロピルフェニルイソシアネート(2.23g、13.8
3mmol)を添加し、更に68℃で2時間攪拌した。IR
スペクトルによりカルボジイミド化を確認した。この溶
液をn−ヘキサン中に投入し、沈殿したポリマーを回収
し、乾燥して白色結晶のポリカルボジイミド7.55g
(収率84%)を得た。このポリマーの数平均分子量は
6700(n=52)であった。
【0071】ポリマー溶液をガラス板上にキャスティン
グし、200℃で30分間乾燥して厚さ17μm、Tc
=347℃、Tg=150℃、Td=426℃のフィル
ムを作製した。このフィルムを250℃で1時間熱処理
を行うと変色し、可撓性を失った。
【0072】[実施例3]実施例1で製造したワニスを
厚さ105μmの銅箔上に塗工し、90℃×10分間、
次いで250℃×10分間で乾燥して接着剤層の厚みが
10μmの接着シートを得た。これを42アロイ板に貼
り付け、300℃、50kg/cmの圧力で1秒間プ
レスして貼り合わせた。接着力を測定したところ100
0g/cmの接着力を示した。この基材の半田耐熱試験
を行ったところ、良好な接着性を示した。接着剤層のT
gは142℃で、室温における弾性率は0.24GP
a、吸水率は0.1%であった。
【0073】[実施例4]実施例1、2及び比較例1で
得られたフィルムの1MHzにおける誘電率、並びに室
温における弾性率は以下の通りであった。
【0074】[表1]
【0075】[実施例5]攪拌装置、滴下漏斗、還流冷
却器を取り付けた四つ口フラスコに実施例1にて製造し
た下式(V)の化合物(10.00g、17.5mmol)、トリエ
チルアミン(3.55g、35.1mmol)、トリメチルクロロシ
ラン(3.81g、35.1mmol)、THF52gを仕込み、80℃で
3時間攪拌してシリル化ジアミンを得た。室温まで冷却
後、滴下漏斗にフェニルクロロホルメート(5.49g、3
5.1mmol)を入れ、水浴中でおよそ10分かけて滴下し、
室温で一晩攪拌した。カーバメートの生成をIRで確認し
た後、トリメチルクロロシラン(1.91g、17.6mmol)、
トリエチルアミン(5.32g、52.6mmol)を仕込み、80℃
で3時間攪拌して、イソシアネート化を行った。IRによ
りイソシアネートの生成を確認した後、室温まで冷却し
てカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フェニル−2
−ホスホレン−1−オキシド)(0.17g、0.9mmol)と末端
封止剤(p−イソプロピルフェニルイソシアネート)
(0.85g、5.26mmol)を仕込み、80℃、6時間、さらに
90℃、2時間重合した。
【0076】IRスペクトルにより反応を確認したとこ
ろ、カルボジイミド基に特有な2120cm−1の吸収を確
認した。この反応溶液をメタノールに攪拌しながら投入
した。得られた沈殿物を回収し、ポリマー粉末を収量8.
60g(収率85%)で得た。このポリカルボジイミドの数
平均分子量(Mn)は、4600(n=8)であった。このポ
リカルボジイミド粉末をフッ素系溶媒に再溶解させ、ベ
ース30%のワニスを調製した。このワニスをガラス板上
にキャスティングし、90℃にて30分間、さらに200℃で6
0分間乾燥すると、Tg=187℃のフィルムが得られた。
このフィルムを用いて接触角測定を行った。その特性を
表2に示した。また、このフィルムを250℃、1時間熱
処理しても可撓性のある良好なフィルムであった。
【0077】
【化7】
【0078】[実施例6]攪拌装置、滴下漏斗、還流冷
却器を取り付けた四つ口フラスコに実施例2にて製造し
た下式(VI)の化合物(10.00g、37.8mmol)、トリエ
チルアミン(7.65g、75.6mmol)、トリメチルクロロシ
ラン(8.22g、75.6mmol)、トルエン100gを仕込み、8
0℃で3時間攪拌してシリル化ジアミンを得た。室温ま
で冷却後、滴下漏斗にフェニルクロロホルメート(11.8
4g、75.6mmol)を入れ、水浴中でおよそ10分かけて滴
下し、室温で一晩攪拌した。カーバメートの生成をIRで
確認した後、トリメチルクロロシラン(4.11g、37.8mm
ol)、トリエチルアミン(11.48g、113.5mmol)を仕込
み、80℃で、3時間攪拌して、イソシアネート化を行っ
た。IRによりイソシアネートの生成を確認した後、室温
まで冷却してカルボジイミド化触媒(3−メチル−1−フ
ェニル−2−ホスホレン−1−オキシド)(0.36g、1.9m
mol)と末端封止剤(p−イソプロピルフェニルイソシ
アネート)(1.83g、11.4mmol)を仕込み、80℃、6時
間、さらに90℃、2時間重合した。
【0079】IRスペクトルにより反応を確認したとこ
ろ、カルボジイミド基に特有な2120cm−1の吸収を確
認した。この反応溶液をメタノールに攪拌しながら投入
した。得られた沈殿物を回収し、ポリマー粉末を収量7.
16g(収率70%)で得た。このポリカルボジイミドの数
平均分子量(Mn)は2700(n=10)であった。次にポリ
カルボジイミド粉末をフッ素系溶媒に再溶解させ、ベー
ス30%のワニスを調製した。このワニスをガラス板上に
キャスティングし、90℃にて30分間、さらに200℃で60
分間乾燥するとTg=135℃のフィルムが得られた。この
フィルムを用いて接触角測定を行った。その特性を表2
に示した。また、このフィルムを250℃、1時間熱処理
しても可撓性のある良好なフィルムであった。
【0080】
【化8】
【0081】[実施例7]3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,
9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルアルコールのか
わりにシクロヘキシルアルコールを用いた以外は、実施
例1と同様にして下記のジアミン(VII)を合成した。こ
のジアミンを用いて実施例5と同様にしてポリカルボジ
イミドを合成し(図3)、収率70%でポリマーを得た。
このポリカルボジイミドの数平均分子量はMn=143
0(n=7)で、1MHzにおける誘電率は2.82であ
った。
【0082】
【化9】
【0083】[実施例8]3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,
9,10,10,10−ヘプタデカフルオロデシルアルコールのか
わりに2−エチルヘキシルアルコールを用いた以外は、
実施例1と同様にして下記のジアミン(VIII)を合成し
た。このジアミンを用いて実施例5と同様にしてポリカ
ルボジイミドを合成し、収率84%でポリマーを得た。
ポリマー溶液をガラス板上にキャスティングし、200
℃で30分間乾燥すると厚さ15μm、Tg=113℃
のフィルムが得られた。このポリカルボジイミドの数平
均分子量はMn=2230(n=10)で、1MHzにお
ける誘電率は3.06であった。
【0084】
【化10】
【0085】[比較例2]比較例1で作製したフィルム
を用いて接触角測定を行った。その特性を表2に示し
た。
【0086】[比較例3]三角フラスコにピロメリット
酸二無水物(2.18g、10.0mmol)と4,4’−オキシジアニ
リン及びN−メチルピロリドン(NMP)50gを加えた。こ
の混合物を窒素雰囲気下、室温で3日間攪拌し、ポリア
ミド酸のNMP溶液を得た。次にこのワニスをガラス板上
にキャステイングし、窒素雰囲気下、150℃で1時間、2
00℃で30分、250℃で30分さらに、360℃で15分加熱キュ
アすると、Tg=420℃、Td=550℃のフィルムが得られ
た。このフィルムを用いて接触角測定を行った。このフ
ィルムのIRスペクトルを確認するとイミド基特有の1740
および1790cm−1の吸収が観測された。その特性を表
2に示した。
【0087】 [表2] ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 実施例5 実施例6 比較例2 比較例3 ─────────────────────────────────── 水に対する 105.5 101.2 87.5 74.4 接触角() ─────────────────────────────────── 吸水率(%) 0.1 0.1 0.5 2.9 ─────────────────────────────────── 可撓性(%) ○ ○ × ○ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 可撓性:250℃、1時間の熱処理後
【0088】
【発明の効果】本発明のポリカルボジイミドは、加工性
が良好で、かつ優れた耐熱性、耐湿性、低誘電率特性を
示す。また特に側鎖に長鎖アルキルエーテル基や長鎖フ
ッ素化アルキルエーテル基を有するポリカルボジイミド
は、低弾性率で接着性に優れており、電子部品製造時の
ハンダ付け工程における耐熱性被覆材料などとして用い
ることができる。本発明のカルボジイミドは、従来のポ
リカルボジイミドにないそれ単独で優れた撥水性を有す
ることから、電子部品や光学部品の保護材料や離形材料
として極めて有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1にて得られたポリカルボジイミドの
赤外吸収スペクトルである。
【図2】 実施例2にて得られたポリカルボジイミドの
赤外吸収スペクトルである。
【図3】 実施例7にて得られたポリカルボジイミドの
赤外吸収スペクトルである。
【図4】 実施例8にて得られたポリカルボジイミドの
赤外吸収スペクトルである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 三隅 貞仁 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 望月 周 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 (72)発明者 福岡 孝博 大阪府茨木市下穂積1丁目1番2号 日東 電工株式会社内 Fターム(参考) 4F071 AA58 AF04 AH12 AH13 BA02 BB02 BC01 4J034 AA05 HA01 HA07 HB11 HB17 HC12 HC61 HC71 JA02 KA01 KD14 QB19 QC08 RA06 RA08 RA13 RA14

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下式(I): 【化1】 (式中、nは2〜300の整数、Rは有機基を意味す
    る。)で表される構成単位を有する芳香族ポリカルボジ
    イミド。
  2. 【請求項2】 Rが炭素数3〜20のアルキル基又はフ
    ッ素化アルキル基である請求項1の芳香族ポリカルボジ
    イミド。
  3. 【請求項3】 請求項1の芳香族ポリカルボジイミドを
    有機溶媒に溶解してなるポリカルボジイミド溶液。
  4. 【請求項4】 請求項1の芳香族ポリカルボジイミドか
    らなる撥水性シート。
  5. 【請求項5】 シート状物質の少なくとも一面に、請求
    項1又は2の撥水性ポリカルボジイミドからなる撥水層
    を設けた撥水シート。
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JP2018109139A (ja) * 2016-12-29 2018-07-12 大東樹脂化学股▲ふん▼有限公司 芳香族カルバメートを利用してイソシアネートを前駆体とする触媒される熱反応経路を経由してアミド或いはポリアミドを調製する方法及び芳香族アミンから芳香族カルバメート前駆体を調製する方法。

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