JPH1036432A - エチレンの三量化触媒およびこれを用いたエチレンの三量化方法 - Google Patents

エチレンの三量化触媒およびこれを用いたエチレンの三量化方法

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JPH1036432A
JPH1036432A JP19640296A JP19640296A JPH1036432A JP H1036432 A JPH1036432 A JP H1036432A JP 19640296 A JP19640296 A JP 19640296A JP 19640296 A JP19640296 A JP 19640296A JP H1036432 A JPH1036432 A JP H1036432A
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chromium
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ethylene
catalyst
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JP19640296A
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Motohiro Oguri
元宏 小栗
Hisanori Okada
久則 岡田
Yasuyuki Koie
泰之 鯉江
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Tosoh Corp
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  • Transition And Organic Metals Composition Catalysts For Addition Polymerization (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エチレンの三量化反応によりLLDPEの原
料コモノマーとして有用な1−ヘキセンを効率よく製造
し、かつ安価なCr原料から調製でき、しかも取り扱い
の容易な工業的に有利な触媒系を提供する。 【解決手段】 (A)クロム化合物を無機酸化物に担持
し、次いで焼成して得られるクロム含有固体物質であっ
て、担持したクロム化合物が酸化物を形成することを特
徴とするクロム含有固体物質と(B)イミド化合物及び
(C)アルキル金属化合物からなるエチレンの三量化触
媒を使用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、クロム含有固体物
質、イミド化合物およびアルキル金属化合物からなるエ
チレンの三量化触媒、およびこれを用いたエチレンの三
量化方法に関する。さらに詳しくは、線状低密度ポリエ
チレン(LLDPE)の原料コモノマーとして有用な1
−ヘキセンを効率よく製造しうるエチレンの三量化触
媒、およびこれを用いたエチレンの三量化方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】エチレンを三量化して1−ヘキセンを製
造する方法において、クロム系触媒を用いることは公知
である。例えば、Journal of Cataly
sis,47,197(1977)及び特開昭62−2
65237号公報には、クロム化合物、アルミノキサン
とジメトキシエタン等のエ−テル化合物類からなる触媒
系が開示されている。また、特開平6−239920号
公報には、クロム化合物、ピロール含有化合物、アルキ
ル金属化合物からなる触媒系が、又特開平8−5973
2号公報には、クロム化合物、イミド化合物及びアルキ
ル金属化合物からなる触媒系が開示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、Jou
rnal of Catalysis,47,197
(1977)および特開昭62−265237号公報に
記載の方法では、触媒活性が十分でなく、またそのクロ
ム系触媒は、前記触媒原料を共通の脂肪族炭化水素溶媒
に溶解混合してなる均一触媒であることから、原料であ
るクロム化合物は溶媒に溶解できることが必須であり、
クロム(III)トリス(2−エチルヘキサノエー
ト)、クロム(III)トリス(アセチルアセトナー
ト)、クロム(IV)テトラブトキシド等の高価な特定
のクロム化合物を必要とするという問題があった。
【0004】また、特開平6−239920号公報およ
び特開平8−59732号公報に記載の方法は、触媒活
性を著しく改善している点では優れているが、前記と同
様に、均一触媒が故に前記のような高価なクロム化合物
を必要とする問題があった。また、これらの触媒は非常
に不安定であるため、その取扱いは容易でなく、触媒調
製方法や触媒の保存安定性の面等、運転管理上問題が多
い。
【0005】一方、クロム系の固体触媒として、特開平
3−128904号公報には、ピロリドとエーテルを配
位子にもつクロム錯体と金属アルキル又はルイス酸とを
予め反応させて得られた生成物をアルミノホスフェート
等の無機酸化物に担持した触媒が開示されている。しか
し、触媒活性が低く、またピロリドとエーテルを配位子
にもつクロム錯体を触媒の一構成成分として使用するた
め、ピロール含有化合物から得られる金属ピロリドとク
ロム化合物との反応工程および得られたクロム錯体の単
離工程を必要とし、操作が煩雑であるばかりか、ピロリ
ドとエーテルを配位子にもつクロム錯体は、酸素や水分
に対して極めて不安定な物質であるため、その取扱いが
容易ではないという問題があった。
【0006】本発明は上記の課題に鑑みてなされたもの
であり、その目的はエチレンの三量化反応によりLLD
PEの原料コモノマーとして有用な1−ヘキセンを効率
よく製造し、かつ安価なCr原料から調製でき、しかも
取り扱いの容易な工業的に有利な触媒系を提供すること
にある。また、上記エチレンの三量化触媒を用いて行う
エチレンの三量化方法に関する。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の課
題を解決するため鋭意検討を行った。その結果、特定の
クロム含有固体物資と特定のイミド化合物およびアルキ
ル金属化合物からなる触媒を用いてエチレンの三量化反
応を行うと非常に高い活性で三量化反応が進行すること
を見い出し、本発明を完成するに至った。
【0008】即ち本発明は、(A)クロム化合物を無機
酸化物に担持し、次いで焼成して得られるクロム含有固
体物質であって、担持したクロム化合物が酸化物を形成
することを特徴とするクロム含有固体物質と(B)下記
一般式(1)
【0009】
【化2】 (1)
【0010】(式中、dは1〜4の整数である。Mは水
素、又は周期律表第IA、IIA、IB、IIB、II
IB若しくはIVB族の置換基含有又は無置換の金属元
素を表す。R1,R2はそれぞれ水素、炭素数1〜10の
アルキル基、ハロゲン原子、アリ−ル基、又はR1,R2
が炭素−炭素結合により結合した環状置換基からなる群
より選ばれた1種以上を表す)で示されるイミド化合物
及び(C)アルキル金属化合物からなるエチレンの三量
化触媒、およびこの触媒の存在下にエチレンを三量化す
る方法に関する。
【0011】次に、本発明について更に詳しく説明す
る。
【0012】本発明において使用されるクロム含有固体
物質は、中圧法のエチレン重合触媒として広く知られて
いる「フィリップス触媒」と称される固体物質であり、
クロム化合物を無機酸化物に担持し、次いで焼成するこ
とにより得ることができる。このフィリップス触媒の例
は、Journal of Catalysis,7
7,348(1982)、ibid,82,98(19
83)、ibid,83,346(1983)、Adv
anced in Catalysis,38,47
(1985)に報告されており、これらは本発明の参考
になる。一般に、フィリップス触媒のクロムは少なくと
も1部が6価の原子価を有する酸化物状態をとってい
る。
【0013】本発明においては、エチレンの重合触媒用
途のクロム含有固体物質、即ち取扱いが容易で、しかも
入手の容易な公知のフィリップス触媒を後記のイミド化
合物およびアルキル金属化合物と組み合わせることによ
り、エチレンの重合ではなく、エチレンの三量化に活性
な触媒になることは非常に興味深いと言える。また、ク
ロム含有固体物質は反応溶媒に不溶であることから、触
媒の分離除去が容易である等の利点もある。
【0014】本発明の無機酸化物としては、特に限定す
るものではないが、例えば、シリカ、アルミナ、チタニ
ア、ジルコニア、マグネシア、酸化スズ、シリカアルミ
ナ、ゼオライト、粘土鉱物あるいはこれらの混合物等の
無機酸化物、フッ化アルミナ等のハロゲン変性無機酸化
物、又はアルミナフォスフェート、フォスフェートシリ
カ、アルミナをリン酸で処理し焼成したもの等の含リン
無機化合物等が挙げられる。これらのうち触媒活性や入
手の面から、シリカが好ましく用いられる。
【0015】また、クロム化合物としては、特に限定す
るものではないが、例えば、クロムのアルキル化物、ア
レーン錯体、アルコラート、β−ジケトナート塩、β−
ケトエステル化物、アミド化物、ハロゲン化物、オキシ
ハロゲン化物、カルボン酸塩、硝酸塩、硫酸塩、過塩素
酸塩、カルボニル化物及び酸化物等が挙げられ、具体的
には、クロム(III)トリス(η−アリル)、二クロ
ム(II)テトラキス(η−アリル)、クロム(IV)
テトラキス(トリメチルシリルメチル)、クロム(0)
ビス(ベンゼン)、クロム(IV)テトラエトキシド、
クロム(IV)テトラプロポキシド、クロム(IV)テ
トラブトキシド、クロム(III)トリス(アセチルア
セトナート)、クロム(III)トリス(トリフルオロ
アセチルアセトナート)、クロム(III)トリス(ヘ
キサフルオロアセチルアセトナート)、クロム(II
I)トリス(2,2,6,6−テトラメチル−3,5−
ヘプタンジオナート)、クロム(III)トリス(1,
3−ブタンジオナート)、クロム(III)トリス(2
−メチル−1,3−ブタンジオナート)、クロム(II
I)トリス(ベンゾイルアセトナート)、クロム(II
I)トリス(アセチルアセテート)、クロム(III)
トリス(ジメチルアミド)、クロム(III)トリス
(ジシクロヘキシルアミド)、フッ化第一クロム、フッ
化第二クロム、塩化第一クロム、塩化第二クロム、臭化
第一クロム、臭化第二クロム、ヨウ化第一クロム、ヨウ
化第二クロム、塩化クロミル、クロム(III)トリス
(アセテート)、クロム(III)トリス(プロピオネ
ート)、クロム(III)トリス(ブチレート)、クロ
ム(III)トリス(2ーエチルヘキサノエート)、ク
ロム(III)トリス(イソオクタネ−ト)、クロム
(III)トリス(オキシ−2−エチルヘキサノエー
ト)、クロム(III)トリス(ネオペンタノエー
ト)、クロム(III)トリス(ラウレート)、クロム
(III)トリス(ステアレート)、クロム(III)
トリス(オレエート)、クロム(II)ビス(オレエー
ト)、クロム(III)トリス(ベンゾエート)、クロ
ム(III)トリス(ナフテネート)、硝酸クロム、硫
酸クロム、過塩素酸クロム、クロムヘキサカルボニル、
三酸化クロム、重クロム酸カリウム、クロム酸アンモニ
ウム、ジ−tert−ブチルクロメート等が挙げられ
る。これらのうち取扱い易さや経済性の面からクロムの
酸化物や酢酸塩が好ましく用いられ、さらに好ましくは
三酸化クロムまたは酢酸クロムが用いられる。また、前
記クロム化合物はそれぞれ単独で使用し得るのみなら
ず、二種以上を混合して用いることも可能である。
【0016】クロム化合物を無機酸化物に担持するに
は、含浸法、イオン交換法、共沈法、沈着法、混練り
法、昇華等の公知の方法で行えばよく、使用するクロム
化合物や無機酸化物の種類によって適当な方法を用いれ
ばよい。担持するクロムの量は、無機酸化物に対するク
ロム原子の重量%で0.01〜10重量%であり、好ま
しくは0.1〜5重量%、さらに好ましくは0.3〜3
重量%である。
【0017】本発明においては、このようにして得られ
たクロム化合物を担持した無機酸化物を、さらに焼成し
て、本発明のクロム含有固体物質を得る。焼成時の雰囲
気は、特に限定されるものではないが、例えば、酸素、
窒素、アルゴン、ヘリウム等のガス雰囲気であり、好ま
しくは酸素を含有する雰囲気中で、より好ましくは空気
中である。酸素を含有する雰囲気中で焼成を行なうと、
担持したクロム化合物が酸化物を形成しやすく、また酸
化物の少なくとも一部が6価状態になりやすい。
【0018】焼成時の温度条件は、特に制限するもので
はないが、400〜1000℃、好ましくは500〜9
00℃で行なう。焼成温度が400℃未満の場合は、担
持したクロム化合物が酸化物を形成しない、あるいは形
成してもその酸化物の一部が6価状態に転化せず、エチ
レンの三量化触媒を構成する活性なクロム含有固体物質
を得ることができない。一方、焼成温度が1000℃を
越える場合にはクロム含有固体物質の調製に用いた無機
酸化物が変質し、活性なクロム含有固体物質を得ること
ができず好ましくない。また、焼成時間は5分〜100
時間、好ましくは30分〜10時間行なう。なお、焼成
のすべての操作は水分を避けて行うことが望ましく、さ
らに流動状態下で行なうのが好ましい。
【0019】このように調製した本発明のクロム含有固
体物質は、担持したクロム化合物が酸化物を形成し、し
かもそのクロムの酸化物の少なくとも一部が6価状態に
あり、さらにクロムが無機酸化物と化学結合により固定
化された構造をとっており、これは後記のエチレン三量
化触媒の構成成分として重要な特徴である。
【0020】本発明においては、上記の如く調製された
クロム含有固体物質は、さらに所望に応じて還元雰囲気
下で処理が行われる。還元雰囲気下での処理により後記
のエチレン三量化触媒は触媒活性がさらに向上する等の
効果が認められる。
【0021】ここで、還元雰囲気下での処理とは、クロ
ム含有固体物質を還元性雰囲気にさらすことを意味し、
例えば、還元性ガスの存在下で、クロム含有固体物質を
気相あるいは液相で処理することを言う。還元性ガスと
しては、還元性をもっていれば特に限定するものではな
いが、例えば一酸化炭素、水素、およびエチレンやプロ
ピレン等のオレフィン類が挙げられる。
【0022】還元雰囲気下での処理として、前記気相処
理においては、還元性ガス流通下での焼成処理が挙げら
れる。焼成処理条件は、特に制限するものではないが、
温度は200〜500℃、好ましくは250〜450℃
で、また時間は5分〜100時間、好ましくは30分〜
10時間行なう。また、還元処理時の圧力は特に制限さ
れない。焼成時は十分に乾燥した還元性のガスを用い、
流動状態下で行なうのが好ましい。
【0023】また、前記の液相処理においては、クロム
含有固体物質を適当な有機溶媒に懸濁して、還元性ガス
下で混合することにより行われる。この混合条件は、特
に制限するものではないが、温度は0〜300℃、好ま
しくは50〜200℃で、また時間は5分〜100時
間、好ましくは30分〜10時間行なう。また、還元処
理時の圧力は特に制限されないが、通常、絶対圧で0〜
100kg/cm2であり、好ましくは0〜70kg/
cm2である。還元性ガスには、還元処理に不活性なガ
ス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等が含まれても何
ら差し支えない。なお、還元雰囲気下での処理のすべて
の操作は、空気及び水分を避けて行うことが望ましい。
これらの条件下で、クロム含有固体物質に含まれる6価
状態のクロムの少なくとも一部はこれより低い原子価状
態に還元され、前記効果を発現する。
【0024】ここで、後記のエチレンの三量化反応条件
は、エチレンが存在することから還元雰囲気下にある。
従って、エチレンの三量化触媒の一構成成分であるクロ
ム含有固体物質は、実質的に還元性雰囲気にさらされて
おり、クロム含有固体物質に含まれる6価状態のクロム
の少なくとも一部はこれより低い原子価状態に還元され
る。故に、必ずしも前記還元処理を行わなくとも高い触
媒活性を示すことができる。
【0025】本発明において使用されるイミド化合物
は、下記一般式(1)
【0026】
【化3】 (1)
【0027】(式中、dは1〜4の整数である。Mは水
素、又は周期律表第IA、IIA、IB、IIB、II
IB若しくはIVB族の置換基含有又は無置換の金属元
素を表す。R1,R2はそれぞれ水素、炭素数1〜10の
アルキル基、ハロゲン原子、アリ−ル基、又はR1,R2
が炭素−炭素結合により結合した環状置換基からなる群
より選ばれた1種以上を表す)で示されるイミド化合物
である。具体的には、マレイミド、1−クロロエテン−
1,2−ジカルボキシイミド、1−ブロモエテン−1,
2−ジカルボキシイミド、1−フルオロエテン−1,2
−ジカルボキシイミド、1−トリフルオロメチルエテン
−1,2−ジカルボキシイミド、1,2−ジクロロエテ
ン−1,2−ジカルボキシイミド、シトラコンイミド、
2−ブテン−2,3−ジカルボキシイミド、1−シクロ
ペンテン−1,2−ジカルボキシイミド、3,4,5,
6−テトラヒドロフタルイミド、N−(メトキシカルボ
ニル)マレイミド、N−(ヒドロキシ)マレイミド、N
−(カルバモイル)マレイミド等のイミド類が挙げられ
る。
【0028】さらに、N−(トリメチルシリル)マレイ
ミド、N−(トリメチルシリル)シトラコンイミド、N
−(トリメチルシリル)−2−ブテン−2,3−ジカル
ボキシイミド、N−(トリメチルシリル)−1−シクロ
ペンテン−1,2−ジカルボキシイミド、N−(トリメ
チルシリル)−3,4,5,6−テトラヒドロフタルイ
ミド、N−(トリエチルシリル)マレイミド、N−(ト
リ−n−プロピルシリル)マレイミド、N−(トリ−n
−ブチルシリル)マレイミド、N−(トリ−n−ヘキシ
ルシリル)マレイミド、N−(トリベンジルシリル)マ
レイミド、N−(n−ブチルジメチルシリル)マレイミ
ド、N−(t−ブチルジメチルシリル)マレイミド、N
−(ジメチルゼキシルシリル)マレイミド、N−(n−
オクチルジメチルシリル)マレイミド、N−(n−オク
タデシルジメチルシリル)マレイミド、N−(ベンジル
ジメチルシリル)マレイミド、N−(メチルジブチルシ
リル)マレイミド、N−(フェニルジメチルシリル)マ
レイミド、N−(p−メトキシフェニルジメチルシリ
ル)マレイミド、N−(p−トルイルジメチルシリル)
マレイミド、N−(トリフェニルシリル)マレイミド、
N−(トリブチルチン)マレイミド、N−(トリオクチ
ルチン)マレイミド、N−(ジイソブチルアルミニウ
ム)マレイミド、N−(ジエチルアルミニウム)マレイ
ミド、水銀マレイミド、銀マレイミド、カルシウムマレ
イミド、カリウムマレイミド、ナトリウムマレイミド、
リチウムマレイミド等の金属イミド類が挙げられる。こ
れらのうち触媒活性や入手の面からイミド類が好ましく
用いられる。より好ましくはマレイミドが用いられる。
また、前記イミド化合物はそれぞれ単独で使用し得るの
みならず、二種以上を混合して用いることも可能であ
る。
【0029】ここで、金属イミドとは、イミドから誘導
される金属イミド、あるいはこれらの混合物であり、具
体的にはイミドとIA族、IIA族、IB族、IIB
族、IIIB族及びIVB族から選択される金属との反
応により得られるイミド化合物である。この金属イミド
化合物の合成法は、特に限定するものではなく、公知の
方法で合成できる。例えば、IA及びIIA族金属のイ
ミド化合物は、リチウム、ブチルリチウム、ナトリウ
ム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、臭化メチルマ
グネシウム、塩化ブチルマグネシウム等のIA及びII
A族金属化合物とイミド化合物を反応させることで合成
できる。又、IB及びIIB金属のイミド化合物は、硝
酸銀、塩化銀、塩化水銀等のIB及びIIB金属化合物
とイミド化合物をアルカリの存在下で反応させることで
合成できる。IIIB及びIVB族金属のイミド化合物
は、トリメチルシリルクロリド、トリブチルシリルクロ
リド、トリブチルチンクロリド、ジエチルアルミニウム
クロリド等のIIIB及びIVB族の金属塩化物とイミ
ド化合物をアルカリの存在下で反応させたり、前記のI
IIB及びIVB族の金属塩化物とIA、IIA、I
B、IIB族の金属イミド化合物を反応させたり、又、
トリブチルチンヒドリド、トリイソブチルアルミニウム
ヒドリド等のIIIB及びIVB族の金属ヒドリドとイ
ミド化合物を反応させることで合成できる。具体的に
は、Polymer Journal,24,679
(1992)によれば、N−(トリアルキルシリル)マ
レイミドは、マレイミド又は銀マレイミドとトリアルキ
ルシリルクロリドを3級アミン化合物存在下で反応さ
せ、次いで蒸留または再結晶して合成される。また、J
ournalof Organic Chemistr
y,39,21(1974)によれば、銀マレイミド
は、マレイミドと硝酸銀をエタノ−ル/ジメチルスルホ
キシド中で苛性ソ−ダ存在下で反応させて合成される。
【0030】イミド化合物の使用量は、クロム含有固体
物質に含有されるクロム原子1モルに対して0.1〜
1,000モル当量であり、好ましくは0.5〜500
モル当量、より好ましくは1〜300モル当量である。
イミド化合物の使用量がクロム原子1モルに対して0.
1モル当量未満の場合は三量化反応活性が十分得られ
ず、多量のポリマーを副生する。一方、使用量がクロム
化合物1モルに対して1,000モル当量を越える場合
には触媒活性が低下する傾向にあり経済的に好ましくな
い。
【0031】本発明において使用されるアルキル金属化
合物は、特に限定するものではないが、例えば、下記一
般式(1) RpMXq (2) (式中、pは0<p≦3の数であり、qは0≦q<3の
数であって、しかもp+qは1〜3の数である。Mはリ
チウム、マグネシウム、亜鉛、ボロン又はアルミニウム
を表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基より選ばれた
1種以上を表し、Xは水素原子、アルコキシ基、アリー
ル基及びハロゲン原子からなる群より選ばれた1種以上
を表す)で示される化合物、又はアルミノキサンが好適
なものとして挙げられる。
【0032】上記一般式(2)において、炭素数1〜1
0のアルキル基としては、特に限定するものではない
が、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル
基、シクロヘキシル基、又はオクチル基等が挙げられ
る。アルコキシ基としては、特に限定するものではない
が、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、又
はフェノキシ基等が挙げられる。アリール基としては、
特に限定するものではないが、例えば、フェニル基等が
挙げられる。ハロゲン原子としては、特に限定するもの
ではないが、例えば、フッ素、塩素、臭素、又はヨウ素
が挙げられる。
【0033】なお、上記一般式(2)において、MがA
lで、pとqがそれぞれ1.5のとき、AlR1.51.5
となる。このような化合物は、理論的には存在しない
が、通常、慣用的にAl233のセスキ体として表現
されており、これらの化合物も本発明に含まれる。
【0034】上記一般式(2)で示されるアルキル金属
化合物としては、例えば、メチルリチウム、エチルリチ
ウム、プロピルリチウム、n−ブチルリチウム、s−ブ
チルリチウム、t−ブチルリチウム、ジエチルマグネシ
ウム、エチルブチルマグネシウム、エチルクロロマグネ
シウム、エチルブロモマグネシウム、ジメチル亜鉛、ジ
エチル亜鉛、ジブチル亜鉛、トリメチルボラン、トリエ
チルボラン、トリメチルアルミニウム、トリエチルアル
ミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘ
キシルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウ
ム、トリシクロヘキシルアルミニウム、ジメチルエチル
アルミニウム、ジエチルアルミニウムヒドリド、ジイソ
ブチルアルミニウムヒドリド、ジエチルアルミニウムエ
トキシド、ジエチルアルミニウムフェノキシド、ジシク
ロヘキシルフェニルアルミニウム、エチルアルミニウム
エトキシクロリド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジ
エチルアルミニウムブロミド、ジイソブチルアルミニウ
ムクロリド、ジシクロヘキシルアルミニウムクロリド、
メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアルミニウ
ムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキクロリ
ド、エチルアルミニウムジクロリド、イソブチルアルミ
ニウムジクロリド等が挙げられる。
【0035】本発明において使用されるアルミノキサン
とは、前記のアルキルアルミニウム化合物と水とを一定
範囲内の量比で反応させて得られる加水分解生成物であ
る。アルキルアルミニウム化合物を加水分解する方法に
ついては、特に限定するものではなく、公知の方法で合
成できる。例えば、(1)アルキルアルミニウム化合物
そのまま、又は有機溶媒の希釈溶液に水を接触させる方
法、(2)アルキルアルミニウム化合物と塩化マグネシ
ウム・6水塩、硫酸鉄・7水塩、硫酸銅・5水塩等の金
属塩の結晶水と反応させる方法、等が採られる。具体的
には、前記特開昭62−265237号公報や特開昭6
2−148491号公報に開示されている。加水分解を
行う際のアルキルアルミニウム化合物と水とのモル比は
1:0.4〜1:1.2、好ましくは1:0.5〜1:
1.0である。
【0036】これらのアルキル金属化合物のうち入手の
容易さ及び活性の面からトリエチルアルミニウムやトリ
イソブチルアルミニウムが好ましく用いられる。これら
のアルキル金属化合物は単独で使用し得るのみならず、
二種以上を混合して用いることも可能である。
【0037】アルキル金属化合物の使用量は、クロム含
有固体物質に含まれるクロム原子1モルに対して0.1
〜10,000モル当量であり、好ましくは3〜3,0
00モル当量、より好ましくは10〜2,000モル当
量である。
【0038】本発明のエチレンの三量化触媒は、前記の
クロム含有固体物質、イミド化合物およびアルキル金属
化合物を原料として、溶媒中で接触させることにより調
製できる。接触方法は特に制限されないが、例えば、三
量化反応原料であるエチレンの存在下にクロム含有固体
物質、イミド化合物およびアルキル金属化合物を接触さ
せて触媒を調製し、接触と同時に三量化反応を開始する
方法、またはクロム含有固体物質、イミド化合物および
アルキル金属化合物を前もって接触させて触媒を調製し
た後、エチレンと接触させて三量化反応を行う方法が採
られる。具体的には、前者の場合は、(1)クロム含有
固体物質、アルキル金属化合物、イミド化合物及びエチ
レンをそれぞれ同時に独立に反応系に導入する、(2)
アルキル金属化合物を含む溶液にクロム含有固体物質、
イミド化合物及びエチレンを導入する、(3)クロム含
有固体物質、イミド化合物を含む懸濁液にアルキル金属
化合物及びエチレンを導入する、(4)アルキル金属化
合物及びイミド化合物を含む溶液にクロム含有固体物質
及びエチレンを導入する、(5)クロム含有固体物質を
含む懸濁液にアルキル金属化合物、イミド化合物及びエ
チレンを導入する、といった方法により触媒を調製する
ことができる。又、後者の場合は、(1)クロム含有固
体物質及びイミド化合物を含む懸濁液にアルキル金属化
合物を導入する、(2)アルキル金属化合物及びイミド
化合物を含む溶液にクロム含有固体物質を導入する、
(3)アルキル金属化合物を含む溶液にクロム含有固体
物質及びイミド化合物を導入する、(4)クロム含有固
体物質を含む懸濁液にイミド化合物とアルキル金属化合
物を導入する、という方法により触媒を調製することが
できる。なお、これらの原料の混合順序は特に制限はさ
れない。
【0039】この触媒系を調製する際の、クロム含有固
体物質の使用量は特に制限されないが、通常溶媒1リッ
トルあたり、クロム含有固体物質に含まれるクロム原子
に換算して0.001マイクロモル〜100ミリモル、
好ましくは0.01マイクロモル〜10ミリモルの濃度
で使用される。またここで用いられる溶媒としては、例
えば、ブタン、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン、イソオクタン、ノナン、デカン、シクロペンタン、
シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、シクロオクタ
ン、デカリン等の脂肪族炭化水素類、ベンゼン、トルエ
ン、キシレン、エチルベンゼン、クメン、クロロベンゼ
ン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類及び塩化メ
チレン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタン等
の塩素化炭化水素類が挙げられる。また反応生成物や副
生成物、例えば、1−ヘキセン、デセン等のオレフィン
類を溶媒として用いることもできる。これらの溶媒はそ
れぞれ単独で使用し得るのみならず、二種以上を混合し
て用いることも可能である。ここで、触媒調製時の触媒
濃度をコントロ−ルする目的で、必要に応じて濃縮や希
釈しても差し支えない。
【0040】また、クロム含有固体物質、イミド化合物
及びアルキル金属化合物を接触させる際の温度は−10
0〜250℃、好ましくは0〜200℃である。触媒系
の調製時間は特に制限されず、0分〜24時間、好まし
くは0分〜2時間である。なお、触媒調製のすべての操
作は、空気と水分を避けて行なうことが望ましい。ま
た、触媒調製原料及び溶媒は十分に乾燥しておくことが
好ましい。
【0041】本発明によれば、上記の如く調製されたク
ロム含有固体物質、イミド化合物及びアルカリ金属化合
物からなる触媒系に、更にハロゲン化物を添加し、エチ
レンの三量化触媒として供される。ハロゲン化物の共存
により触媒活性の向上やポリマーの副生を抑制する等の
効果が認められる。
【0042】本発明において使用されるハロゲン化物
は、特に限定するものではないが、例えば、下記一般式
(3) R’iM’jX’k (3) (式中、iは0〜4の整数であり、jは0〜1の整数で
あり、またkは1〜4の整数である。R’は水素又は炭
素数1〜20の炭化水素を表し、M’は周期律表第I
A、IIA、VIII、IIB、IIIB、IVB若し
くはVB族の元素を表し、X’はハロゲン原子より選ば
れた少なくとも1種以上を表す)で示される化合物が好
適なものとして挙げられる。
【0043】一般式(3)のハロゲン化物としては、例
えば、塩素、臭素、ヨウ素、ブチルクロリド、アミルク
ロリド、ヘキシルクロリド、ヘプチルクロリド、オクチ
ルクロリド、ノニルクロリド、デシルクロリド、ラウリ
ルクロリド、メチルブロミド、プロピルブロミド、ブチ
ルブロミド、アミルブロミド、ヘキシルブロミド、エチ
ルヘキシルブロミド、ノニルブロミド、セチルブロミ
ド、ジブロモメタン、ジクロロエタン、ジブロモエタ
ン、ジクロロブテン、シクロヘキシルブロミド、クロロ
ホルム、四塩化炭化水素、クロロベンゼン、ジクロロベ
ンゼン、ブロモベンゼン、ジブロモベンゼン、塩化ナト
リウム、塩化カリウム、塩化セシウム、塩化マグネシウ
ム、塩化亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、三塩化ホウ素、
三臭化ホウ素、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウ
ム、四塩化ケイ素、四塩化ゲルマニウム、四臭化ゲルマ
ニウム、塩化第一スズ、塩化第二スズ、ヨウ化スズ、三
塩化リン、五塩化リン、三塩化アンチモン、五塩化アン
チモン、三臭化アンチモン、三フッ化アンチモン、五フ
ッ化アンチモン、ジメチルアルミニウムクロリド、ジメ
チルアルミニウムブロミド、ジメチルアルミニウムアイ
オダイド、ジエチルアルミニウムクロリド、ジエチルア
ルミニウムブロミド、ジエチルアルミニウムアイオダイ
ド、エチルアルミニウムジクロリド、エチルアルミニウ
ムジブロミド、エチルアルミニウムジアイオダイド、ジ
イソプロピルアルミニウムクロリド、ジイソブチルアル
ミニウムクロリド、イソブチルアルミニウムジクロリ
ド、ジヘキシルアルミニウムクロリド、ジシクロヘキシ
ルアルミニウムクロリド、ジオクチルアルミニウムクロ
リド、メチルアルミニウムセスキクロリド、エチルアル
ミニウムセスキクロリド、ブチルアルミニウムセスキク
ロリド、トリメチルシリルクロリド、トリメチルシリル
ブロミド、ジメチルシリルジクロリド、メチルシリルト
リクロリド、フェニルシリルトリクロリド、ジフェニル
シリルジクロリド、メチルジクロロシラン、トリブチル
チンクロリド、ジブチルチンジクロリド、ブチルチント
リクロリド、トリフェニルチンクロリド、ジフェニルチ
ンジクロリド、フェニルチントリクロリドが挙げられ
る。これらのうち取扱い易さや経済性の面から塩素化物
が好ましく用いられ、より好ましくはジエチルアルミニ
ウムクロリド、エチルアルミニウムジクロリド、塩化第
二すず、四塩化ゲルマニウム、五塩化アンチモンが用い
られる。これらのハロゲン化物は単独で使用し得るのみ
ならず、二種以上を混合して用いることも可能である。
【0044】ハロゲン化物の添加時期は、クロム含有固
体物質、イミド化合物およびアルキル金属化合物からな
る触媒の調製時に添加してもよいし、またエチレンの三
量化反応系に直接添加してもよい。またこのハロゲン化
物の使用量は、クロム含有固体物質に含まれるクロム原
子1モルに対して0.2〜5,000モル当量であり、
好ましくは0.5〜2,000モル当量、より好ましく
は1〜1,000モル当量である。
【0045】本発明によれば、上記の如く調製されたク
ロム含有固体物質、イミド化合物およびアルキル金属化
合物からなる触媒系に、更にルイス酸を添加し、エチレ
ンの三量化触媒として供される。ルイス酸の共存により
触媒活性の向上の効果が認められる。
【0046】本発明において使用されるルイス酸は、特
に限定するものではないが、例えば、下記一般式(4) M(Ar)l (4) (式中、lは2〜4の整数であり、Mは周期律表第II
B、IIIB又はIVB族の元素を表し、Arはアリー
ル基より選ばれた少なくとも一種以上を表す)で示され
る化合物が好適なものとして挙げられる。
【0047】一般式(4)のルイス酸としては、例え
ば、トリス(2−フルオロフェニル)ボロン、トリス
(3−フルオロフェニル)ボロン、トリス(4−フルオ
ロフェニル)ボロン、トリス(2,4−ジフルオロフェ
ニル)ボロン、トリス(2,5−ジフルオロフェニル)
ボロン、トリス(2,6−ジフルオロフェニル)ボロ
ン、トリス(2,4,5−トリフルオロフェニル)ボロ
ン、トリス(2,4,6−トリフルオロフェニル)ボロ
ン、トリス(ペンタフルオロフェニル)ボロン、トリス
[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボロ
ン、ビス(ペンタフルオロフェニル)亜鉛、トリス(ペ
ンタフルオロフェニル)アルミニウム、テトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)ゲルマニウム、テトラキス(ペ
ンタフルオロフェニル)スズ、トリス(4−トリフルオ
ロメチルフェニル)ボロン等が挙げられる。これらのう
ち入手の容易さおよび活性の面からトリス(ペンタフル
オロフェニル)ボロンが好ましく用いられる。これらの
ルイス酸は単独で使用し得るのみならず、二種以上を混
合して用いることも可能である。また、上記のハロゲン
化物と混合して用いることも可能である。
【0048】ルイス酸の添加時期は、クロム含有固体物
質、イミド化合物およびアルキル金属化合物からなる触
媒の調製時に添加してもよいし、またエチレンの三量化
反応系に直接添加してもよい。またこのルイス酸の使用
量は、クロム含有固体物質に含まれるクロム原子1モル
に対して0.1〜2,000モル当量であり、好ましく
は0.5〜1,500モル当量、より好ましくは1〜
1,000モル当量である。ルイス酸の使用量がクロム
原子1モルに対して0.1モル当量未満の場合はエチレ
ンの三量化活性が十分得られない。一方、使用量がクロ
ム原子1モルに対して2,000モル当量を越える場合
には触媒活性が増加せず経済的に好ましくない。
【0049】このようにして調製されたエチレンの三量
化触媒を用いてエチレンの三量化反応を行なう。本発明
においてクロム含有固体物質の使用量は特に制限されな
いが、通常、前記溶媒で懸濁し、三量化反応液1リット
ルあたり、クロム含有固体物質に含まれるクロム原子で
換算して0.001マイクロモル〜100ミリモル、好
ましくは0.01マイクロモル〜10ミリモルの濃度で
使用される。これより小さい触媒濃度では十分な活性が
得られず、逆にこれより大きい触媒濃度では、触媒活性
が増加せず経済的でない。
【0050】本発明におけるエチレンの三量化反応の温
度は、−100〜250℃であるが、好ましくは0〜2
00℃である。反応圧力は、絶対圧で0〜3,000k
g/cm2であり、好ましくは0〜300kg/cm2
ある。また、反応時間は温度や圧力に左右され、一概に
決めることはできないが、通常、5分〜6時間である。
また、エチレンは、前記の圧力を保つように連続的に供
給してもよいし、反応開始時に前記圧力で封入して反応
させてもよい。原料ガスであるエチレンには、反応に不
活性なガス、例えば窒素、アルゴン、ヘリウム等が含ま
れても何ら差し支えない。なお、三量化反応のすべての
操作は、空気と水分を避けて行うことが望ましい。ま
た、エチレンは十分に乾燥しておくことが好ましい。
【0051】本反応は、回分式、半連続式、連続式のい
ずれでも実施できる。三量化反応終了後、未反応エチレ
ンが分離され、次いで反応液に例えば、水、アルコー
ル、水酸化ナトリウム水溶液等の失活剤を添加して反応
を停止させる。失活したクロム含有固体成分は公知の分
離方法、例えば遠心分離等で除去した後、生成した1−
ヘキセンは、公知の抽出法や蒸留法により反応液より分
離される。また、副生するポリマーは、反応液出口で公
知の遠心分離法や1−ヘキセンの蒸留分離の際の残渣と
して分離除去される。
【0052】
【実施例】以下に、本発明を実施例を用いて更に詳細に
説明するが、これらの実施例は本発明の概要を示すもの
で、本発明はこれらの実施例に限定されるものではな
い。 実施例1 100mlのガラスフラスコに、シリカ(表面積300
2/g、細孔容積1.6ml、300℃で5時間焼
成)20gを入れ、酢酸クロム水溶液をシリカに対し
て、クロム原子の重量が1.0重量%になるように加
え、室温下で1時間攪拌混合した。この懸濁液を蒸発乾
固して、酢酸クロムを含浸担持した固体物質を得た(以
下、この固体物質をCr−1と称する)。
【0053】この固体物質5gを石英管に詰め、800
℃で5時間、空気流通下で焼成処理してクロム含有固体
物質を得た(以下、この固体物質をCr−2と称す
る)。この固体物質に含まれる有機物の定量分析をCH
N分析計により行ったが、有機物は含まれなかった。
【0054】温度計、触媒フィード管および撹拌装置を
備えた内容積1Lのステンレス製耐圧反応容器を120
℃で加熱真空乾燥したのち窒素ガスで十分置換した。前
記のクロム含有固体物質(Cr−2)を50mg、さら
にマレイミド9.7mgと乾燥したシクロヘキサン35
0mlを反応容器胴側に仕込んだ。一方、触媒フィード
管に112mmol/Lのトリイソブチルアルミニウム
/シクロヘキサン溶液5.4mlと乾燥したシクロヘキ
サン62mlを仕込んだ。
【0055】反応容器を120℃に保持したまま、撹拌
速度を1,000rpmに調整後、触媒フィード管にエ
チレンを導入し、エチレン圧によりトリイソブチルアル
ミニウム/シクロヘキサン溶液を反応容器胴側に導入
し、エチレンの三量化を開始した。反応容器内の絶対圧
力を40kg/cm2となるようにエチレンガスを吹き
込み、以後、前記圧力を維持するように導入し続け、こ
れらの反応条件を保った状態で30分反応を行なった。
30分後、反応容器中に水酸化ナトリウム水溶液を窒素
で圧入することによって触媒を失活させて反応を停止し
た。
【0056】反応容器を室温まで冷却し、次いで脱圧し
た。反応液および回収した気体中に含まれる生成物をガ
スクロマトグラフィーにより分析した。また、反応液に
含まれる固体分をろ紙を用いてろ別し、これを風乾後、
減圧下で乾燥(1mmHg、100℃)してその重量を
測定した。結果を表1に示す。
【0057】実施例2 112mmol/Lのトリイソブチルアルミニウム/シ
クロヘキサン溶液を7.0mlに代え、また20mmo
l/Lの四塩化ゲルマニウム/シクロヘキサン溶液1.
0mlを触媒フィード管にさらに加えたこと以外、実施
例1と同様にして反応を行なった。結果を表1に示す。
【0058】比較例1 エチレンの三量化反応において、マレイミドを用いなか
ったこと以外、実施例1と同様にして反応を行なった。
結果を表1に示す。
【0059】
【表1】
【0060】
【発明の効果】本発明者によれば、クロム化合物を無機
酸化物に担持し、次いで焼成して得られるクロム含有固
体物質であって、担持したクロム化合物が酸化物を形成
し、しかもそのクロムの酸化物の少なくとも一部が6価
状態にあることを特徴とするクロム含有固体物質とイミ
ド化合物およびアルキル金属化合物からなる触媒を用い
てエチレンの三量化反応を行うと非常に高い活性で三量
化反応を行うことができると共に、反応終了後、使用し
た触媒のクロム成分の除去を容易に行うことができる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)クロム化合物を無機酸化物に担持
    し、次いで焼成して得られるクロム含有固体物質であっ
    て、担持したクロム化合物が酸化物を形成することを特
    徴とするクロム含有固体物質と(B)下記一般式(1) 【化1】 (1) (式中、dは1〜4の整数である。Mは水素、又は周期
    律表第IA、IIA、IB、IIB、IIIB若しくは
    IVB族の置換基含有又は無置換の金属元素を表す。R
    1,R2はそれぞれ水素、炭素数1〜10のアルキル基、
    ハロゲン原子、アリ−ル基、又はR1,R2が炭素−炭素
    結合により結合した環状置換基からなる群より選ばれた
    1種以上を表す)で示されるイミド化合物及び(C)ア
    ルキル金属化合物からなるエチレンの三量化触媒。
  2. 【請求項2】 アルキル金属化合物が下記一般式(2) RpMXq (2) (式中、pは0<p≦3の数であり、qは0≦q<3の
    数であって、しかもp+qは1〜3の数である。Mはリ
    チウム、マグネシウム、亜鉛、ボロン又はアルミニウム
    を表し、Rは炭素数1〜10のアルキル基より選ばれた
    1種以上を表し、Xは水素原子、アルコキシ基、アリー
    ル基及びハロゲン原子からなる群より選ばれた1種以上
    を表す)で示される化合物、又はアルミノキサンである
    ことを特徴とする請求項1に記載のエチレンの三量化触
    媒。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2に記載されたエチレンの
    三量化触媒の存在下で、エチレンを三量化することを特
    徴とするエチレンの三量化方法。
JP19640296A 1996-07-25 1996-07-25 エチレンの三量化触媒およびこれを用いたエチレンの三量化方法 Pending JPH1036432A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8993822B2 (en) 2004-02-20 2015-03-31 Chevron Phillips Chemical Company Lp Methods of preparation of an olefin oligomerization catalyst
US9550841B2 (en) 2004-02-20 2017-01-24 Chevron Phillips Chemical Company Lp Methods of preparation of an olefin oligomerization catalyst
US9586872B2 (en) 2011-12-30 2017-03-07 Chevron Phillips Chemical Company Lp Olefin oligomerization methods

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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8993822B2 (en) 2004-02-20 2015-03-31 Chevron Phillips Chemical Company Lp Methods of preparation of an olefin oligomerization catalyst
US9550841B2 (en) 2004-02-20 2017-01-24 Chevron Phillips Chemical Company Lp Methods of preparation of an olefin oligomerization catalyst
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