JPH1036417A - ビニルエステル樹脂の硬化方法 - Google Patents

ビニルエステル樹脂の硬化方法

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JPH1036417A
JPH1036417A JP8214028A JP21402896A JPH1036417A JP H1036417 A JPH1036417 A JP H1036417A JP 8214028 A JP8214028 A JP 8214028A JP 21402896 A JP21402896 A JP 21402896A JP H1036417 A JPH1036417 A JP H1036417A
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JP
Japan
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curing
peroxide
ester resin
vinyl ester
parts
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JP8214028A
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English (en)
Inventor
Seiichi Kawachi
誠一 河内
Shinichi Fujii
信一 藤井
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Kayaku Akzo Corp
Original Assignee
Kayaku Akzo Corp
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Abstract

(57)【要約】 【目的】ビニルエステル樹脂混合物を硬化成形するにあ
たり、パーオキサイド混合物を樹脂に混合する際発泡が
なく、混合作業時に手間がかからず、硬化成形時室温で
速硬化出来、低温においても短時間で硬化する硬化方法
を開発すること。 【構成】過酸化水素水の含有量が1%未満であるメチル
エチルケトンパーオキサイドやシクロヘキサノンパーオ
キサイド等のケトンパーオキサイドと硬化促進助剤であ
るβ−ジケトンを混合したパーオキサイド混合物を用
い、ビニルエステル樹脂を硬化させる。この方法を用い
ると、混合作業の手間のかからず、低温でも良好な硬化
性を示すビニルエステル樹脂硬化成形物が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ビニルエステル樹
脂を硬化させるにあたり、特定のパーオキサイド混合物
を用いることにより、室温もしくは10℃以下の温度に
おいてビニルエステル樹脂硬化成形物を得る方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ビニルエステル樹脂は、その硬化成形物
が優れた機械的性質、接着性、耐化学薬品性、耐熱性等
を有しており、注目されている。
【0003】ビニルエステル樹脂の室温硬化方法として
は、メチルエチルケトンパーオキサイド(以下MEKP
Oと略す)とコバルト石けんを併用する方法が一般的に
行われているが、この硬化方法では、求められる生産性
向上のための速硬化や、冬期のような低温時における短
時間での硬化を与えることが出来ない。又、ビニルエス
テル樹脂に硬化剤を添加した際、混合時に発泡が起こ
り、泡が消えるまで待つという作業上の問題と、フレー
クライニングでは泡をまき込むため使用できないという
問題がある。
【0004】また、ビニルエステル樹脂の他の室温硬化
方法としては、ベンゾイルパーオキサイド(以下BPO
と略す)とジメチルアニリン(以下DMAと略す)を併
用する方法等も使用されている。BPOは発泡の問題は
ないが、毒性の高いDMAを多量に用いないと短時間で
硬化させることが出来ず、又10℃以下の低温ではこの
方法によるビニルエステル樹脂の硬化は困難である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ビニルエステル樹脂を
室温で速硬化出来、10℃以下の低温においても短時間
で硬化出来、硬化剤またはパーオキサイド混合物添加時
発泡がなく、パーオキサイド混合物の毒性も少なく、更
にビニルエステル樹脂とパーオキサイド混合物の混合作
業性の良好なパーオキサイド混合物を作成し、これを使
用したビニルエステル樹脂の硬化方法を開発する。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、ビニルエ
ステル樹脂の硬化に関し、種々の硬化剤と硬化促進助剤
との組み合わせについて鋭意研究を重ねた結果、特定の
パーオキサイドと特定の硬化促進助剤としてのβ−ジケ
トンをコバルト石鹸と共に使用してビニルエステル樹脂
を硬化させると、従来の硬化方法の問題点を解決出来る
ことを発見し、本発明に至った。
【0007】即ち、本発明は、 (1)硬化促進剤としてコバルト石鹸を、硬化剤として
過酸化水素水含有量が1.0%未満であるケトンパーオ
キサイド及びβ−ジケトンからなるパーオキサイド混合
物を用いることを特徴とするビニルエステル樹脂の硬化
方法 (2)ケトンパーオキサイドがメチルエチルケトンパー
オキサイド又はシクロヘキサノンパーオキサイドである
請求項1記載のビニルエステル樹脂の硬化方法 (3)パーオキサイド99重量部〜40重量部及びβ−
ジケトン1重量部〜60重量部からなるビニルエステル
樹脂硬化用パーオキサイド混合物に関する。
【0008】
【実施の形態】本発明に使用されるケトンパーオキサイ
ド(以下LKPOと略す)は、通常のパーオキサイドの
製造方法に準じて製造することができるが、LKPO中
に残存する過酸化水素水含有量を1%未満にするために
は、酸触媒の使用量を増やしたり、水洗の回数を多くし
たり、過酸化水素水を溶解しにくいパーオキサイド製造
用溶媒を用いる等の方法が必要となる。例えば、パーオ
キサイド製造の際の酸触媒である50%硫酸を、本発明
のLKPO製造には、通常の1.2〜2倍量使用した
り、パーオキサイド製造後の水洗を通常1回行うところ
を、2回、好ましくは3回以上行ったり、通常製造の溶
媒としてジメチルフタレートを用いるところを、ジブチ
ルフタレートを用いたりする方法が挙げられる。
【0009】本発明に使用されるLKPOは、メチルエ
チルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケト
ン等の各種ケトンと過酸化水素水とを酸触媒の存在下に
反応させて得られるシクロヘキサノンパーオキサイド、
メチルエチルケトンパーオキサイド、メチルイソブチル
ケトンパーオキサイド等である。
【0010】本発明に使用されるLKPOには、ジメチ
ルフタレート、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレ
ート、トリエチルホスフェート、プロピオングリコール
モノメチルエーテルアセテート等の可塑剤、溶剤も添加
使用出来る。又、液状のLKPOだけでなく、結晶状の
LKPOでも良い。これらLKPOのビニルエステル樹
脂への添加量は、0.5重量部〜5重量部、好ましくは
0.7重量部〜3重量部の範囲である。
【0011】本発明に使用されるβ−ジケトンの好まし
い例は、化(1)〜化(6)である。
【0012】
【化1】
【0013】
【化2】
【0014】
【化3】
【0015】
【化4】
【0016】
【化5】
【0017】
【化6】
【0018】化(1)〜化(6)において、 R1 ,R3 ,R4 は、炭素数が1〜6のアルキル基又は
シクロアルキル基 R2 は、炭素数が1〜6のアルコキシ基又は置換アルコ
キシ基 n は、1〜5の整数 m は、2〜7の整数を示す。
【0019】一般に硬化剤、硬化促進助剤は、ビニルエ
ステル樹脂に別々に添加混合することが行われている
が、添加混合時の作業が煩雑になることから、硬化剤、
硬化促進助剤を予め混合してから使用することが望まれ
ている。本発明に使用する硬化剤と硬化促進助剤は、予
め混合して一液としておいても安定で、ガスの発生もな
く、一つのパーオキサイド混合物として添加できる点が
作業上の大きな利点である。必要に応じて、この混合物
にターシャリーブチルパーオキシベンゾエートやターシ
ャリーブチルパーオキシ2エチルヘキサノエート等の既
知のパーオキサイドを併用しても良い。
【0020】本発明において硬化促進剤として用いられ
るコバルト石鹸としては、ナフテン酸コバルト、オクテ
ン酸コバルト等が挙げられる。ビニルエステル樹脂10
0重量部に対する添加量は、6%コバルト換算(硬化促
進剤中の金属コバルト含有量をいう)で0.05重量部
〜2重量部の範囲で、好ましくは0.1重量部〜1.0
重量部の範囲で使用出来る。これらのコバルト石鹸は、
予めビニルエステル樹脂に混合しておいても良いし、ハ
ンドレイアップやスプレイアップ等の作業時に混合して
も良い。又、必要に応じてカリウム、ナトリウム、鉄、
銅、すず、亜鉛、カルシウム等の有機酸塩類をコバルト
石鹸と同時に用いることも出来る。
【0021】本発明のパーオキサイド混合物は、硬化剤
であるLKPOを99〜40重量部と硬化促進助剤であ
るβ−ジケトンを1〜60重量部とを混合して得られ
る。
【0022】パーオキサイド混合物の使用量は、ビニル
エステル樹脂100重量部に対して0.1〜5重量部で
あり、好ましくは0.5〜3重量部である。0.1重量
部未満ではパーオキサイド混合物としての作用が不十分
で、又5重量部以上を使用しても、パーオキサイド混合
物としての作用が、5重量部使用した際の効果とそれ程
変わらないので経済性の面で不利である。
【0023】ビニルエステル樹脂は、ポリエポキシドと
α,β−不飽和一塩基酸の当量反応物をビニル系単量体
で希釈して得られたものである。用いうるポリエポキシ
ドの例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF
等のエピビス型グリシジルエーテル、ノボラック型グリ
シジルエーテル、臭素化グリシジルエーテル、トリグリ
シジルイソシアヌレート等の含窒素ポリエポキシド、フ
タル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のグリシジルエステ
ル、グリコール型グリシジルエーテル等が挙げられる。
又、用いうる不飽和一塩基酸の例としては、アクリル
酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸等
が挙げられる。
【0024】ビニルエステル樹脂の硬化方法としては、
例えば、室温において、まずビニルエステル樹脂に前記
コバルト石鹸を入れ30秒〜1分程度で充分混合出来る
ようかきまぜ、これに前記パーオキサイド混合物を入れ
30秒〜1分程度で充分混合できるようにかきまぜ、こ
のものを、成形用型等に塗布又は吹きつける等により硬
化すれば良い。
【0025】
【実施例】以下に合成例、実施例、比較例によって本発
明を説明するが、何れも例示のためであり、本発明を限
定するものではない。
【0026】メチルエチルケトンパーオキサイド(以下
LMEKPOと略す)の合成例 ジブチルフタレート104重量部、メチルエチルケトン
72重量部、50%硫酸13重量部の混合液に35℃で
60%過酸化水素水85重量部を40分かけて滴下し、
その後同温度で一時間反応させ、室温にて廃液を分離、
2回水洗後、脱水してLMEKPO194重量部を得
た。このものについてヨード滴定法、カタラーゼを用い
たヨード滴定法でそれぞれ活性酸素量、過酸化水素水含
有量を測定した結果は、8.6%、0.2%であった。
【0027】シクロヘキサノンパーオキサイド(以下L
CHPOと略す)の合成例 ジメチルフタレート153部、トリエチルホスフェート
49部、シクロヘキサノン98部、50%硫酸8部の混
合液に35℃で60%過酸化水素水120部を40分か
けて滴下し、その後同温度で一時間反応させ、室温にて
廃液を分離、2回水洗後、脱水してLCHPO370部
を得た。このものをヨード滴定法、カタラーゼを用いた
ヨード滴定法でそれぞれ活性酸素量、過酸化水素水含有
量を測定した結果は、8.0%、0.7%であった。
【0028】活性酸素量は、次式により計算した。
【0029】実施例1〜13 JIS−K−6901(液状不飽和ポリエステル樹脂試
験方法)の常温硬化特性試験に準拠して行った。即ち、
恒温水槽の水温を7℃に保ち、予めセットした試験管に
硬化剤、硬化促進剤、硬化促進助剤を表1に示す添加量
にて配合したビニルエステル樹脂を入れ、熱電対を用い
て硬化発熱曲線を測定した。硬化の手順としては、先ず
表1記載の量の硬化剤及びβ−ジケトンを混合しパーオ
キサイド混合物を作成、これをビニルエステル樹脂と硬
化促進剤を混合したものに添加混合する。パーオキサイ
ド混合物を混合してから、試験管内温度が12℃になる
までの時間をゲル化時間(以下GTと略す)、最高温度
になるまでの時間を硬化時間(以下CTと略す)とし
た。又、同時に発泡の有無を目視で確認した。ビニルエ
ステル樹脂には昭和高分子(株)製リポキシR−80
6、硬化促進剤は6%ナフテン酸コバルト、β−ジケト
ンにはアセト酢酸エチル(以下AAEと略す)、α−ア
セチル−γ−ブチロラクトン(以下ABLと略す)、N
−ピロリジノアセトアセタミド(以下PIKと略す)、
ピバロイル酢酸メチル(以下PMAと略す)、ピバロイ
ル酢酸エチル(以下PMEと略す)、アセト酢酸エチル
メタクリレート(以下AAEMと略す)、アセト酢酸メ
チル(以下AAMと略す)、LKPOには合成例で作成
したLCHPO、LMEKPOを用いた。結果を表1に
示す。
【0030】
【表1】 表1 硬化試験結果(実施例) ケトンパー 硬化促 GT CT 発泡 オキサイド 重量部 進助剤 重量部 分 分 1.LMEKPO 1.0 AAE 0.5 20 40 無 2.LMEKPO 1.0 ABL 0.5 15 33 無 3.LMEKPO 1.7 AAE 0.3 33 50 無 4.LMEKPO 1.4 AAE 0.6 19 38 無 5.LMEKPO 0.8 AAE 0.7 14 32 無 6.LCHPO 1.7 AAE 0.3 35 53 無 7.LCHPO 1.4 AAE 0.6 22 42 無 8.LCHPO 0.8 AAE 0.7 18 39 無 9.LCHPO 1.4 ABL 0.6 15 36 無 10.LCHPO 1.4 PIK 0.6 13 30 無 11.LCHPO 1.4 PMA 0.6 38 65 無 12.LCHPO 1.4 PEA 0.6 39 70 無 13.LCHPO 1.4 AAEM 0.6 30 55 無 すべて6%ナフテン酸コバルトを0.5重量部添加。
【0031】比較例1〜3 実施例の硬化剤LKPOに変えて、硬化剤にMEKPO
及びBPOを用いる意外は、実施例同様に硬化させ、そ
れぞれの測定を同様に行った。但し、比較例1は、硬化
促進助剤を使用せず、硬化剤を単独で使用した。使用し
た硬化剤は、それぞれ、市販のカヤメックM及びカドッ
クスB−CH50(いずれも化薬アクゾ(株)製)を用
いた。比較例に用いたLKPOであるカヤメックMの過
酸化水素水含有量は、1.8%であった。結果を表2に
示す。
【0032】
【表2】 表2 硬化試験結果(比較例) 硬化剤 硬化促 GT CT 発泡 重量部 進助剤 重量部 分 分 1.MEKPO 1.0 8時間以上で発熱曲線が得られず 有 2.MEKPO 1.0 AAE 0.5 22 44 有 3.BPO 2.0 DMA 0.5 150 210 無 すべて6%ナフテン酸コバルトを0.5重量部添加。
【0033】本発明のビニルエステル樹脂の硬化方法を
用いれば、比較例に比べて、ビニルエステル樹脂に硬化
剤混合物を添加した際、過酸化水素水含有量が少ないた
め発泡する事がなく、ビニルエステル樹脂の硬化を、低
温において速硬化させることが出来る。
【0034】実施例14〜17 LMEKPO50重量部とAAE25重量部の混合物
(実施例14)、LMEKPO50重量部とABL25
重量部の混合物(実施例15)、LCHPO50重量部
とAAE25重量部の混合物(実施例16)、LCHP
O50重量部とABL25重量部の混合物(実施例1
7)を、それぞれ100ccのポリエチレン製チューブ
に入れ、密栓する。これらを50℃の恒温槽に入れ、7
日間静置して膨れるかどうかを目視にて調べた。結果を
表3に示す。
【0035】
【表3】 表3 パーオキサイド混合物の安定性試験結果 実施例14 50℃×7日間で膨れなし 実施例15 50℃×7日間で膨れなし 実施例16 50℃×7日間で膨れなし 実施例17 50℃×7日間で膨れなし
【0036】本発明に使用する、過酸化水素水の含有量
が1%未満のLMEKPO又はLCHPOとβ−ジケト
ンからなるパーオキサイド混合物は経時的に安定であ
り、一液として使用できるので、実際の作業が行いやす
く、作業性が向上出来る。
【0037】
【発明の効果】本発明のビニルエステル樹脂硬化用パー
オキサイド混合物は、経時安定性に優れ、このパーオキ
サイド混合物を用いてビニルエステル樹脂の硬化を行う
と、発泡することなく、速硬化が可能である。特に冬季
の硬化条件、例えば10℃以下の低温においても短時間
でビニルエステル樹脂硬化成形物を得ることが出来る。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】硬化促進剤としてコバルト石鹸を、硬化剤
    として過酸化水素水含有量が1.0%未満であるケトン
    パーオキサイド及びβ−ジケトンからなるパーオキサイ
    ド混合物を用いることを特徴とするビニルエステル樹脂
    の硬化方法。
  2. 【請求項2】ケトンパーオキサイドがメチルエチルケト
    ンパーオキサイド又はシクロヘキサノンパーオキサイド
    である請求項1記載のビニルエステル樹脂の硬化方法。
  3. 【請求項3】パーオキサイド99重量部〜40重量部及
    びβ−ジケトン1重量部〜60重量部からなるビニルエ
    ステル樹脂硬化用パーオキサイド混合物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113248786A (zh) * 2021-06-21 2021-08-13 伍彬 一种upr树脂过氧化复合酮常温固化剂及其制造方法

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