JP4053339B2 - 低粘性パーオキサイド組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂等の熱硬化性樹脂の硬化に適するパーオキサイド組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂等の熱硬化性樹脂はパーオキサイドを硬化剤として、常温硬化又は加熱硬化等の方法より硬化させ、強化プラスチックやまた非強化プラスチックとして広範囲に利用されている。例えば、強化プラスチックは、硝子繊維を補強剤とし、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂をマトリックスとするもので、常温硬化させ、浴槽、浄化槽などの住宅関係、漁船、ヨット、ボートなどの船舶関係、パイプ、タンクなどのプラント関係の製品に利用されている。また、非FRPとしては、常温硬化で、塗料、ライニング、注型、化粧板、積層板などで実用化されている。
【0003】
また、加熱硬化する場合には、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂等の熱硬化性樹脂に、増粘剤、硬化剤、充填材、低収縮剤、離型剤、禁止剤、ビニル型単量体等を混合して、シートモールディングコンパウンド(以下SMCと略す)やバルクモールディングコンパウンド(以下BMCと略す)等(これらSMC、BMC等は通常成形用材料と呼ばれる)とした後、注型法又は、圧縮成形、トランスファ成形、射出成形等の各種プレス成形で自動車部品、電機部品、住設機器、住設資材、浄化槽等に成形し、硬化されている。
【0004】
常温硬化の場合の硬化剤としては、メチルエチルケトンパーオキサイドやアセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類を単独で使用するもの、クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類とナフテン酸コバルト等の金属石鹸とを併用するレドックス系を形成するもの及びベンゾイルパーオキサイドとN,N−ジメチルアニリン等の芳香族3級アミン類を併用するもの等が一般に使用されている。また、加熱硬化の際一般的に使用されている硬化剤は、硬化速度、物性等のバランスが良いという利点からターシャリーブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート又はターシャリーブチルパーオキシベンゾエート等である。これらの硬化剤は通常希釈剤で希釈された状態で、硬化剤としてして使用されている。特に、常温硬化でケトンパーオキサイドを使用する成形分野においては、ハンドレイアップ成形法からスプレーアップ成形法に移行しつつあり、スプレーアップ成形法ではジメチルフタレートで希釈された状態で硬化剤が使用されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、常温硬化、加熱硬化共、近年エンドクリン問題により、内分泌攪乱作用を有すると疑われる物質は、敬遠される傾向がある。樹脂中のスチレンモノマーの敬遠に伴い、硬化剤中に希釈剤として含有されるフタル酸エステル類等も敬遠される傾向が出始めている。そのためパーオキサイドの希釈剤に内分泌攪乱作用を有すると疑われていない物質を使用した硬化剤が求められている。また、常温硬化のスプレーアップ成形の場合、ジメチルフタレートを希釈剤として使用した硬化剤では、温度差による粘度のふれが比較的大きく、吐出量を一定にするには温度変化に応じその都度微妙な吐出量調整が必要となるほか、特に冬季などの低温時には高粘度となるため、作業能率の低下にもなっている。そのため、冬季のような低温時でも粘度上昇が少なく、作業能率の低下を防止するとともに、スプレーアップ成形時に多少の温度変化があった場合にも、吐出量の差が少なく、添加量のばらつきが少ない硬化剤の要望が強い。 本発明は、上記の問題を解決しようとするもので、パーオキサイドの希釈剤として、内分泌攪乱作用の恐れのない物質を使用すると共に、スプレーアップ成形に於いて、冬季のような低温時でも粘度上昇が少なく、多少温度変化があっても吐出量が大きく変わることがなく、更に樹脂との分散性を向上させ、脱泡作業等を軽減できるパーオキサイド組成物を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前期目的を達するために鋭意研究の結果、パーオキサイドの希釈剤に、フタル酸エステル以外のエステル類を使用する事で、解決出来ることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
即ち本発明は、
1.フタル酸エステル類以外のエステル(ただし、エステル基中に置換基としてヒドロキシ基又はアルコキシ基を有するものを除く)をパーオキサイドの希釈剤として含む低粘性パーオキサイド組成物。
2.炭素数3〜12の多価アルコールと炭素数2〜7の脂肪族カルボン酸とのエステルを、パーオキサイドの希釈剤として含む低粘性パーオキサイド組成物、
3.炭素数3〜12の多価アルコールと炭素数2〜7の脂肪族カルボン酸とのエステルを、パーオキサイドの希釈剤として含む熱硬化性樹脂硬化用パーオキサイド組成物、
4.多価アルコールが多分岐のジオールまたはトリオールである上記第2項または第3項に記載のパーオキサイド組成物、
5.炭素数2〜7の脂肪族カルボン酸が分岐した炭素数3〜6の脂肪族カルボン酸である上記第2項〜第4項のいずれか一項に記載のパーオキサイド組成物、
6.熱硬化性樹脂が不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂である上記第3項〜第5項のいずれか一項に記載のパーオキサイド組成物、
7.希釈剤であるエステルの含量が組成物全体に対して30〜70質量%である上記第1項〜第6項のいずれか一項に記載のパーオキサイド組成物、
8.5℃における粘度が40mPa・s以下であることを特徴とする上記第1項〜第7項のいずれか一項に記載のパーオキサイド組成物。
9.多価アルコールと脂肪族カルボン酸とのエステルが2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールジイソブチレートである上記第1項〜第8項のいずれか一項に記載のパーオキサイド組成物、
10.上記第1項〜第9項のいずれか一項に記載のパーオキサイド組成物を用いることを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂の硬化方法、
に関するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明で希釈剤として使用されるフタル酸エステル類以外のエステル(ただし、エステル基中に置換基としてヒドロキシ基又はアルコキシ基を有するものを除く)は、常温液状で、パーオキサイドと相溶性がよく、低粘性のであればいずれも使用可能である。そのようなエステルとしては炭素数3〜12の多価アルコールと炭素数2〜10の脂肪族カルボン酸とのエステル(以下場合により脂肪酸エステルという)を挙げることができる。例えば、炭素数3〜12の多価アルコール、好ましくは分岐の炭素数5〜10の多価アルコール、より好ましくは多分岐の炭素数5〜10の多価アルコール、例えばジオール又はトリオールと炭素数2〜10、好ましくは炭素数2〜7、より好ましくは炭素数3〜6の脂肪族カルボン酸、例えば脂肪族モノカルボン酸とのエステル等が挙げられ、ジ又はトリエステル等の多価エステルがより好ましい。低粘性の該エステルを使用した場合、得られる該パーオキサイド組成物は樹脂への分散性がよく、成形品の物性を向上させるので好ましい。
なお、本発明において、多価アルコールとカルボン酸とのエステルといった場合、当然のことながら、必ずしも多価アルコールとカルボン酸を反応させてエステルとしたものに限られず、それらの反応性誘導体を反応させて得られるものであっても、結果として、多価アルコールとカルボン酸とのエステルの形になっているものは全て含む意味で使用する。
【0009】
該エステルに使用される炭素数3〜12の多価アルコールとしては例えば、1,2−ジヒドロキシプロパン、1,2−ジヒドロキシイソブタン、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルブタン、1,3−ジヒドロキシ−2−メチルペンタン、2,3−ジヒドロキシ−4−メチルペンタン、1,3−ジヒドロキシ−2、4−ジメチルペンタン、1,3−ジヒドロキシ−2,2,4−トリメチルペンタン、1,5−ジヒドロキシ−2−メチルヘキサン、1,3−ジヒドロキシ−2,4−ジメチルヘキサン、1,3−ジヒドロキシ−2、2,4−トリメチルヘキサン等を挙げることができる。また、該エステルに使用される炭素数2〜10の脂肪族モノカルボン酸の例としては、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸等を挙げることができ、分岐可能なものは分岐していてもよい。これらの中で炭素数3〜6の脂肪族モノカルボン酸が好ましく、イソブタン酸が最も好ましい。好まし該脂肪酸エステルとしては、上記脂肪酸と上記多価アルコールとのエステルを挙げることができ、最も代表的なエステル(希釈剤)としては、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールジイソブチレート(Eastman TXIB:商品名、イーストマン ケミカル製)(以下TXIBと省略する)が挙げられる。
【0010】
本発明におけるパーオキサイドとしては、
(1)メチルエチルケトンパーオキサイド(以下、MEKPOと省略する)やアセチルアセトンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類、
(2)クメンハイドロパーオキサイド等のハイドロパーオキサイド類、
(3)ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、
(4)ジアルキルパーオキサイド類、
(5)1.1−ジ−ターシャリーブチルパーオキシ−3.3.5−トリメチルシクロヘキサノン、1.1−ジ−ターシャリーアミルパーオキシ−3.3.5−トリメチルシクロヘキサノン、1.1−ジ−ターシャリーヘキシルパーオキシ−3.3.5−トリメチルシクロヘキサノン、1.1−ジ−ターシャリーオクチルパーオキシ−3.3.5−トリメチルシクロヘキサノン、1.1−ジ−ターシャリーブチルパーオキシシクロヘキサン、1.1−ジ−ターシャリーアミルパーオキシシクロヘキサン、1.1−ジ−ターシャリーヘキシルパーオキシシクロヘキサン、1.1−ジ−ターシャリーオクチルパーオキシシクロヘキサン等のパーオキシケタール類、
【0011】
(6)ターシャリーブチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーアミルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーヘキシルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーオクチルパーオキシネオデカノエート、ターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ターシャリーアミルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ターシャリーヘキシルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ターシャリーオクチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート、ターシャリーブチルパーオキシイソブチレート、ターシャリーアミルパーオキシイソブチレート、ターシャリーヘキシルパーオキシイソブチレート、ターシャリーオクチルパーオキシイソブチレート、ターシャリーブチルパーオキシ3.5.5.トリメチルヘキサノエート、ターシャリーアミルパーオキシ3.5.5.トリメチルヘキサノエート、ターシャリーヘキシルパーオキシ3.5.5.トリメチルヘキサノエート、ターシャリーオクチルパーオキシ3.5.5.トリメチルヘキサノエート、ターシャリーブチルパーオキシベンゾエート、ターシャリーアミルパーオキシベンゾエート、ターシャリーヘキシルパーオキシベンゾエート、ターシャリーオクチルパーオキシベンゾエート等のアルキルパーエステル類、
【0012】
(7)ジ−2−エチルヘキシルパーオキシジカーボネート、ビス(4−ターシャリーブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ターシャリーアミルパーオキシイソプロピルカーボネート、ターシャリーヘキシルパーオキシイソプロピルカーボネート、ターシャリーオクチルパーオキシイソプロピルカーボネート、ターシャリーブチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、ターシャリーアミルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、ターシャリーヘキシルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、ターシャリーオクチルパーオキシ2−エチルヘキシルカーボネート、1.6−ビス(ターシャリブチルパーオキシカーボニルオキシ)ヘキサン、1.6−ビス(ターシャリアミルパーオキシカーボニルオキシ)ヘキサン、1.6−ビス(ターシャリヘキシルパーオキシカーボニルオキシ)ヘキサン、1.6−ビス(ターシャリオクチルパーオキシカーボニルオキシ)ヘキサン等のパーカーボネート類等がある。
これらのパーオキサイドの中ではケトンパーオキサイド類がより好ましい。
【0013】
本発明のパーオキサイド組成物に希釈剤として含有される前記脂肪酸エステルの含量は、硬化後の樹脂の物性等に対する影響を考えると、できれば少ない方がよいが、パーオキサイド組成物の安全性、粘性、樹脂への分散性等を考慮して決定される。通常該組成物全体に対して、該エステルの含量は5%以上、好ましくは10%以上、更に好ましくは20%以上、最適には30%以上で、上限は適宜決められるが、通常70質量%以下、好ましくは60質量%以下、より好ましくは50質量%以下である。また、該組成物中のパーオキサイド純品100質量部に対する配合量は1〜99質量部程度であり、実用性を考慮すると10〜95質量部である。また、パーオキサイド組成物中におけるパーオキサイドの含量は該組成物全体に対して30質量%以上、好ましくは40質量%以上、更に好ましくは50質量%以上で、かつ、95質量%以下、好ましくは90質量%以下、より好ましく80質量%以下、最適には70質量%以下程度である。
【0014】
本発明のパーオキサイド組成物は低粘性であり、特に低温での粘度上昇が少ないのが特徴であり、好ましい粘度は、温度5℃において50mPa・s以下、好ましくは40mPa・s以下であり、より好ましくは30mPa・s以下である。温度が高くなるに従って粘度は低下する。
本発明のパーオキサイド組成物は、本発明の効果を発揮する範囲内であれば、必要に応じて、他の溶剤、その他の添加剤を含んでも差し支えない。ただし、フタル酸エステル等の内分泌攪乱作用を有すると疑われる物質は実質的に含まないのが好ましい。
【0015】
本発明のパーオキサイド組成物はパーオキサイドと上記脂肪酸エステルとを常法により混合することにより得ることができるが、パーオキサイドを合成する際に、上記脂肪酸エステルを合成用溶媒として使用することによっても得ることができる。例えば、ケトンパーオキサイドの場合を例にとれば、目的とするパーオキサイドに対応する原料ケトン、上記脂肪酸エステル、過酸化水素水及び縮合触媒、例えば50%硫酸などを混合し、常温又は必要に応じて過熱下で反応させ、目的のパーオキサイドを合成し、次いで、有機層を分離し、必要に応じて乾燥剤等で脱水するすることにより、本発明のパーオキサイド組成物を得ることができる。
【0016】
本発明のパーオキサイド組成物は熱硬化性樹脂の硬化用に適するもので、該熱硬化性樹脂としては、成分中に重合可能なビニル基を有し、加熱により三次元硬化するものであれば何れも使用可能であるが、好ましい例は不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂及びアクリル樹脂である。
【0017】
不飽和ポリエステル樹脂は、不飽和二塩基酸を、必要により飽和二塩基酸を併用して、グリコール類と加熱脱水縮合させ、得られる反応生成物をスチレン等のビニル系単量体で希釈することにより得られる樹脂である。用いうる不飽和二塩基酸の例としては、無水マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、クロロマレイン酸等があげられる。又用いうる飽和二塩基酸の例としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、こはく酸、アジピン酸、セバチン酸等があげられる。用いうるグリコール類の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ヘキサンジオール、ビスフェノールA、プロピレンオキサイド付加物等があげられる。
【0018】
ビニルエステル樹脂は、ポリエポキシドとα,β−不飽和一塩基酸の当量反応物を例えばスチレン等のビニル系単量体で希釈することにより得られる樹脂である。ポリエポキシドの例としては、ビスフェノールA、ビスフェノールF等のエピビス型グリシジルエーテル、ノボラック型グリシジルエーテル、臭素化グリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート等の含窒素ポリエポキシド、フタル酸、ヘキサヒドロフタル酸等のグリシジルエステル、グリコール型グリシジエーテル等が挙げられる。又、不飽和一塩基酸の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、ソルビン酸等が挙げられる。
【0019】
アクリル樹脂は、(メタ)アクリル酸エステル(アクリル酸エステル又はメタクリル酸エステルをいう。以下同じ)(例えば(メタ)アクリル酸メチル等の低級アルキルエステル)単独、又は該エステル50質量%(以下%は特に断りのない限り質量%を表す)以上、好ましくは60%以上、より好ましくは75%以上とビニル系単量体とを混合することにより得られる樹脂である。(メタ)アクリル酸エステルと混合するビニル系単量体の例としては、スチレン、α−メチルスチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、弗化ビニリデン、塩化ビニリデン、エチレン、無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸、ブタジエン、グリシジルメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミド、1分子中の炭素原子数が2〜18の一価アルコール又は一価フェノールとアクリル酸又はメタクリル酸とのエステル反応生成物、1分子中の炭素原子が2〜4の二価アルコールとアクリル酸又はメタアクリル酸とのモノエステル反応生成物、(メタ)アクリル酸と多価アルコール若しくはその低級アルコキシ体(例えばエチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、テトラメチロールメタン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジメチロールエタン、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオンペンチルグリコール、トリメチロールエタン、ジメチロールプロパン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリロール等)とのエステル反応生成物(1分子中にエステル基2以上有するもの)、ジビニルベンゼン、トリアリルイソシアヌレート等が挙げられる。これらのビニル系単量体は、2種類以上を併用することもできる。
【0020】
本発明のパーオキサイド組成物を用いて、飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂及びアクリル樹脂等の熱硬化性樹脂を硬化させるには、本発明のパーオキサイド組成物を硬化剤として用いる以外は従来の硬化方法がそのまま使用することができる。通常、本発明のパーオキサイド組成物と共に、必要に応じてレドックス系を形成する硬化促進剤等を用いて、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂を硬化させばよい。レドックス系を形成する硬化促進剤としては金属石鹸又はN,N−ジメチルアニリン等の芳香族3級アミン類などを挙げることができる。
【0021】
不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂を硬化する場合、本発明のパーオキサイド組成物の使用量は、使用する不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂の種類や硬化温度及び所望する硬化度等によって異なるが、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂に対して、パーオキサイドの量で、通常0.3〜7質量%であり、好ましくは0.5〜5質量%である。ここでのパーオキサイドの使用量は複数のパーオキサイドを使用する場合はその総量を意味する。
【0022】
熱硬化性樹脂の硬化に際して、必要に応じて使用される金属石鹸としては、例えばコバルト石鹸、マンガン石鹸、銅石鹸などの硬化促進作用のある金属石鹸であればいずれも使用可能である。好ましいものとしてはナフテン酸コバルト、ナフテン酸マンガン、ナフテン酸銅、オクテン酸コバルト、オクテン酸銅等を挙げることが出来る。これらの金属石鹸は一種又は二種以上を併用することが出来る。金属石鹸は通常パラフィン系炭化水素油や芳香族系炭化水素油等に溶解して用いる。上記の好ましい金属石鹸は、一般に炭化水素系容剤の溶液(通常3〜10%程度の溶液)として市販されている。
【0023】
この金属石鹸の使用量は、硬化する熱硬化性樹脂(例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂等)の種類、硬化温度、所望の硬化度等によって異なるが、熱硬化性樹脂に対して好ましくは金属分として0.006〜0.12質量%であり、さらに好ましくは金属分として0.012〜0.09質量%である。3〜10質量%程度の濃度の金属石鹸の溶液を使用する場合には、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂に対して該溶剤を0.1〜3質量%、好ましくは0.2〜2質量%使用すればよい。
【0024】
また、熱硬化性樹脂の硬化に、必要に応じて使用される芳香族3級アミン類としては、例えばアルキル基の炭素数が1〜5であるN,N−ジメチルアニリン、N,N−ジアルキルアニリン、N,N−ジアルキルトルイジン、トリアルキルアミン等を挙げることが出来、熱硬化性樹脂(例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂等)に対して好ましくは0.2質量%以下の範囲で使用することが出来る。
【0025】
本発明のパーオキサイド組成物で硬化できる熱硬化性樹脂、例えば不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂には、必要に応じて一般に使用される強化材、充填材、着色剤等の成分を配合することが出来る。強化材としては硝子繊維、充填材としては炭酸カルシウム、クレイ、シリカ、タルク等、着色材としては有機染顔料又は無機顔料料を挙げることが出来る。加えて、必要に応じて低収縮剤、増粘剤、離型剤等を配合することが出来る。低収縮剤としては熱可塑性の単独重合体又は共重合体、増粘剤としてはアルカリ土類金属の酸化物又は水酸化物あるいはイソシアネート化合物、離型剤としてはステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム等を挙げることが出来る。
【0026】
本発明のパーオキサイド組成物を用いる熱硬化性樹脂の硬化は、常温硬化及び加熱硬化のいずれにおいても可能であり、実用的な硬化温度の範囲は−5〜180℃、好ましくは0〜180℃、より好ましくは5℃〜180℃である。特に好ましいのは常温硬化の場合で5〜40℃である。
【0027】
【実施例】
以下、参考例、実施例及び試験例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0028】
参考例1
オルソ系不飽和ポリエステル樹脂(樹脂1)の合成
撹拌機、分溜コンデンサー、ガス導入管、温度計を付けた1Lセパラブルフラスコに、プロピレングリコール161g、無水マレイン酸196g、無水フタル酸296gを仕込み、窒素ガス気流中180〜205℃にてエステル化して酸価36.1の不飽和アルキッド樹脂を得た。これにハイドロキノン0.1g、スチレン385gを加え、オルソ系ポリエステル樹脂(樹脂1)を得た。
【0029】
実施例1
TXIB(2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールジイソブチレート)100gとメチルエチルケトン72gをビーカーに入れ、これに50%硫酸を5g加える。撹拌下に60%過酸化水素水100gを20℃で30分で添加する。そのまま60分間撹拌を続け反応を完結させる。
分液ロートにより有機層と水層とに分け、有機層を炭酸カルシウムにより中和させた後、無水硫酸ソーダ20gと無水硫酸マグネシウムを用いて脱水し、その後、脱水剤を濾別し、TXIBを含んだMEKPO組成物(本発明パーオキサイド組成物)を得た(MEKPO含量55%)。本発明パーオキサイド組成物の収量220g、活性酸素量10.2%であった。
【0030】
比較例1
TXIBをジメチルフタレートに替えた以外は、実施例1と同一条件にてMEKPO組成物を製造した。
【0031】
試験例1 粘度測定
実施例1で得られた本発明のMEKPO組成物と比較例1で得られたMEKPO組成物の、各温度に於ける粘度を、東京計器製E型粘度計VISCONIC ELDを用いて測定し、結果を表1に示す。
【0032】
【0033】
試験例2 パーオキサイド組成物の樹脂への分散試験
10℃の恒温室に於いてガラス板上に参考例1で得られた樹脂1を一定量(20g)垂らし、その樹脂1の上に、10℃に保った実施例1の組成物の赤色着色品(赤色染料濃度はパーオキサイド100gに対し0.1部)と比較例1の組成物の赤色着色品(赤色染料濃度はパーオキサイド100gに対し0.1部)をそれぞれ異なる場所にスポイトで1滴滴下した。10分経過後の硬化剤の拡散を目視にて確認し、結果を表2に示す。
【0034】
【0035】
【発明の効果】
本発明のパーオキサイド組成物は熱硬化樹脂例えばポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂及びアクリル樹脂等の硬化剤として用いることにより、エンドクリン問題に対応できると共に、該パーオキサイド組成物は従来のジメチルフタレートを用いた硬化剤に比較して、低温での粘度上昇が少ないことから、スプレーアップ成形などにおいて、低温での作業効率を上げることができ、かつ温度変化よる粘度変化が少なことから、温度変化による吐出量のばらつきも少なく、更に樹脂への分散が速いことから、作業能率の向上と均一の品質の製品を得ることができる。
Claims (2)
- 2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールジイソブチレートをケトンパーオキサイドの希釈剤として含み、組成物全体に対して、ケトンパーオキサイド含量が40〜70質量%で、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールジイソブチレートの含量が30〜60質量%であり、かつ、5℃における粘度が40 mPa.s 以下である不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂のスプレーアップ成型硬化用低粘性パーオキサイド組成物。
- 2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールジイソブチレートをケトンパーオキサイドの希釈剤として含み、組成物全体に対して、ケトンパーオキサイド含量が40〜70質量%で、2,2,4−トリメチルー1,3−ペンタンジオールジイソブチレートの含量が30〜60質量%であり、かつ、5℃における粘度が40 mPa.s 以下であるケトンパーオキサイド組成物を、不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂に、ケトンパーオキサイド量で、該樹脂に対して、0.5〜5質量%の割合において添加して、スプレーアップ成型法において、該樹脂を硬化させることを特徴とする不飽和ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂又はアクリル樹脂の硬化方法。
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---|---|---|---|
JP2002113466A JP4053339B2 (ja) | 2002-04-16 | 2002-04-16 | 低粘性パーオキサイド組成物 |
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