JPH10340483A - 光情報記録媒体とその記録/再生方法 - Google Patents

光情報記録媒体とその記録/再生方法

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JPH10340483A
JPH10340483A JP9165226A JP16522697A JPH10340483A JP H10340483 A JPH10340483 A JP H10340483A JP 9165226 A JP9165226 A JP 9165226A JP 16522697 A JP16522697 A JP 16522697A JP H10340483 A JPH10340483 A JP H10340483A
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layer
substrate
dye
optical information
recording
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JP9165226A
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English (en)
Inventor
Noboru Sasa
登 笹
Tatsuya Tomura
辰也 戸村
Yasunobu Ueno
泰伸 植野
Yasuhiro Azuma
康弘 東
Tsutomu Sato
勉 佐藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ricoh Co Ltd
Original Assignee
Ricoh Co Ltd
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  • Optical Record Carriers And Manufacture Thereof (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 色素の塗布条件によってプリグルーブからの
トラッキングエラー信号やプリピットからの情報信号が
大きく変動する現象を無くし、生産性が高くコスト低減
となるような、また研究・開発の大幅な効率向上が図れ
るような光情報記録媒体、およびその記録/再生方法を
提供する。 【解決手段】 1枚の基板10上の、あらかじめ情報が
記録されたROM部分と追記が可能な部分が設けられた
領域であって、レーザ光をトラッキングするための案内
溝があらかじめ設けられた部分を併せ持つ基板10上に
金属反射層11、色素を含有する記録層12、保護層1
3を順次積層してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光情報記録媒体と
その記録/再生方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】現在パーソナルコンピュータのデータス
トレージメディアとして、いくつものリムーバブルディ
スクが登場している。これらのなかでも、過去のFDD
がそうであったように、CD−ROMが1つの地位を完
全に確立し、ほとんどのパーソナルコンピュータにCD
−ROMドライブが標準搭載されつつある。そしてこの
CD−ROM系メディアに対する互換性ということが、
リムーバブルメディアとしての差別化要件の1つにさえ
なっている。
【0003】例えばCD系の追記型メディアである、い
わゆるCD−RはCD−ROMで再生でCきるようにす
るため、未記録状態で60〜70%以上の反射率を有
し、かつ記録により反射率を低下させることで記録を行
えるようにしている。この互換性により、CD−Rに記
録した情報をCD−ROMドライブで読みだすことがで
きるわけである。
【0004】この追記が可能なCD−Rも従来オーサリ
ング用などのプロユースであったものが、ドライブ価格
の低下や互換性の高さから、データ配布用、ソフト作製
用や一般のリムーバブルメディアと同様なデータ保存用
のメディアとしても近年その需要が非常に高まってきて
いる。従来から640MBの容量を持つCDl枚でも7
4分のディジタル映像を蓄積することができる(ビデオ
CD)。このビデオCDには、MPEGlという映像の
圧縮・符号化の技術が使われているが、再生時間は短
く、また映像の画面解像度は通常のテレビ画像の半分で
ある。CDの規格は音楽用のディジタル蓄積メディアと
して誕生しているため、容量とデータ転送速度からディ
ジタル映像蓄積用には適していない。
【0005】そこで登場したのがDVDであり、1本の
映画をテレビ並の品質でCDと同じサイズで再生を可能
とする。この次世代のDVDはマルチメディアのキーテ
クノロジーとして期待を集めている。DVDに用いられ
る基板は厚さが0.6mmであり、自重でたわんでしま
うため2枚の薄型基材の張り合わせ方法を用いて作製さ
れる。例えば図17に示すように再生専用DVDディス
クの場合、単層ディスク(SL)と2層ディスク(D
L)がある(参考資料:No.199 O plus
E 1996年6月 p.80等)。
【0006】このDVDメディアにあっても先のCDが
そうであったように、ユーザが1回だけ情報を書き込め
る追記型メディア(DVD−R)や書き換えが可能な
(DVD−RAMあるいはDVD−E)等の開発が望ま
れている。DVD−RやDVD−Eとして具体的に提案
されている層構成は、CD−RやCD−Eと同様に作製
されたディスクとフラットなディスクを接着層により2
枚張り合わせ、機械的強度と容量向上をねらうものであ
る。
【0007】これらのCD−R、DVD−Rメディアは
基本的に案内溝を有する基板上に色素をスピンコーティ
ング法により形成し、その上に金反射層を設けるという
のが必須構成である。
【0008】従来、色素を利用した追記型光ディスクの
場合、色素を含む記録材料をあらかじめトラツキング用
の溝(プリグルーブ)等が刻まれた基板上に、スピンコ
ート法により形成する。ところで、この基板上に刻まれ
たプリグルーブは、レーザスポットの記録/再生の位置
決めをする上で非常に重要であり、この位置決めのため
に必要な、いわゆるトラッキングエラー信号が十分出力
される必要がある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、追記型のC
D一R、DVD−Rなどではトラッキングエラー信号が
基板と色素の界面反射率だけでは決まらず、主に色素と
金反射層界面による反射率に支配されるため、スタンパ
作製時に最適化したプリピットやプリグルーブ等の溝形
状が何ら意味を持たなくなる可能性が高い。
【0010】さらに説明すると、従来の再生方法では、
プリピットやプリグルーブが刻まれた部分とプリピット
やプリグルーブがない部分でそれぞれ反射された光の干
渉によって記録情報やトラッキングエラー信号が発生す
る。その干渉の様子を示したのが図18であり、図中の
くぼみはプリピット、もしくはプリグルーブである。色
素記録層がない、CD−ROMあるいはDVD−ROM
の場合は基板上に刻まれたプリピットもしくはプリグル
ーブの形状、探さがダイレクトに再生信号やトラッキン
グエラー信号に反映される。なぜなら入射光の反射が基
板と反射層の界面で主に決まるためである。
【0011】色素記録層を設けたCD−R、DVD−
R、あるいはハイブリッドCD−R、ハイブリッドDV
D−Rでは、入射光の反射が色素を含む記録層と反射層
界面で主に決まる。そのため、プリピットやプリグルー
ブが刻まれた部分とプリピットやプリグルーブがない部
分でそれぞれ反射された光の干渉は、基板上にあらかじ
め設けられたプリピットやプリグルーブの溝形状や深さ
に依存せず、プリピットやプリグルーブの溝への色素の
埋まり具合、埋まり形状に支配されることになる。この
ように、基板上に形成された溝に色素がどのように埋ま
るかが非常に重要となる。
【0012】この溝の色素埋まり具合は、色素自体の種
類が変わることは勿論、混合物の場合はその組成、色素
を溶解する溶剤およびその組成、スピンコートパター
ン、温湿度等の塗布環境に大きく左右されるため、その
制御が困難であり、生産コストに悪影響を与えるととも
に、研究・開発効率を著しく低下させるものである。
【0013】また従来は、溝の色素埋まり具合を溶剤や
塗布条件、塗布環境により最適化を図って行いたため、
ディスク内での、特に内周と外周におけるトラッキング
エラー信号等にバラツキが大きくなるという弊害も併せ
持っていた。また、プリグルーブの形状は台形状である
が、色素がプリグルーブに埋まった状態での表面形状
は、V字、もしくはU字形状をしている。そのため、ジ
ッタやクロストークの増加の原因ともなる。この解決方
法として、色素を蒸着する方法も考えられるが、有機材
料のメリットはその成膜性(生産性)であり、スピンコ
ートとの対比において、また色素材料の選択の幅が限定
されること等から、実用的ではなかった。
【0014】また、近年CD系メディアにおいてはあら
かじめ情報が書き込まれたROM部とユーザが情報を書
き込める追記部の両方を有する、いわゆるハイブリッド
CD、ハイブリッドDVDメディアの要求も高まってお
り、この要求はディスクの容量が高まるほど顕著になる
と考えられる。そこで、ROM部と追記部の両方を1枚
のディスクに併せ持つCD系メディアを、ハイブリッド
CD−R、あるいはハイブリッドDVD−Rと仮称する
ことにする。
【0015】このハイブリッドCD−R、あるいはハイ
ブリッドDVD−Rは図19に示すようにROM部と追
記部が分れているが、ROM部に要求されるプリピット
部の深さと、追記部に要求されるプリグルーブの深さは
異なっている。一般的には、プリピット深さは変調度が
最大になるようにλ/4n、プリグルーブ深さはトラッ
キングエラー信号が最大となるようにλ/8nとしてい
る(但し、λは記録/再生波長、nは入射媒体、通常は
基板の屈折率)。このように、ROM部のピット深さ
と、追記部のプリグルーブ深さが異なり、この基板上に
スピンコーティング法によって色素膜を形成される場
合、ROM部のプリピットに流れ込む色素と追記部のプ
リグルーブに流れ込む色素の量が異なり、ROM部のプ
リピットの色素埋まり具合と追記部のプリグルーブの色
素埋まり具合は全く異なってしまう危険性が高い。
【0016】ハイブリッドCD−R、ハイブリッドDV
D−Rは色素塗布後に金反射膜を設けるが、ROM部の
プリピットからの信号、及び追記部のプリグルーブから
のトラッキングエラー信号は色素と金反射膜の界面で主
に決まってしまうため、この色素埋まり具合は非常に重
要である。一方、こうしたハイブリッドCD−R、ハイ
ブリッドDVD−Rでは、スピンコート法によってRO
M部のプリピットからの信号と追記部のプリグルーブか
らのトラッキングエラー信号の両方を最適化することは
非常に困難である。
【0017】したがってこの両方の最適条件の矛盾を軽
減するために、通常のハイブリッドCD−R、ハイブリ
ッドDVD−R作製時には、ROM部と追記部の塗り分
けを行ったり、色素のROM部のプリピット、及び追記
部のプリグルーブへの埋まり具合の差を考慮に入れて、
スタンパを最適化したり、色素を溶解させる溶剤の種類
や組成、塗布パターン等を調整する必要があった。
【0018】この方法を用いていたため、温湿度等の作
業環境や溶剤に混入している微少不純物や組成変動等に
よって、ROM部のプリピット、及び追記部のプリグル
ーブへの色素の埋まり具合が全く変わってしまう場合が
多くなる。更に、ハイブリッドCD−R、ハイブリッド
DVD−Rの研究・開発段階では何種類もの色素のディ
スク特性を評価する必要があるが、色素が異なるごとに
色素溶液の粘度、最適溶剤、組成が異なるため、色素が
変わるたびに最適スタンパが必要となったり、あるいは
同一スタンパから得られた基板を用いて、色素が変わる
たびに最適溶剤、組成、塗布パターンの条件を探し出す
必要性があった。
【0019】また、最適の溶剤、組成、塗布条件を設定
しても、スタンパの設計が異なると、すなわち、プリピ
ットやプリグルーブの幅や溝深さが変更になると、以前
の最適の溶剤、組成、塗布条件が無意味となりかねな
い。このため、非常に研究・開発の効率が悪く、また生
産性の大幅な低下を招くことになっていた。
【0020】更に従来の層構成、及び製造方法では、上
述したような観点からROM部と追記部をディスク上の
任意の場所に設けたり、ディスク上にROM部、あるい
は追記部を複数持たせることが困難であった。また、上
記のようにスピンコート法による色素の塗れ方で光情報
記録媒体の信号特性が変わってしまうため、この色素の
成膜条件の変動は記録/再生波長の短波長化により許容
される範囲が厳しくなる。これによって、短波長化によ
り、生産性、コストの面での懸念も予想される。
【0021】また、適度な再生信号やトラッキングエラ
ー信号を得るためには基板上に施されたプリピットやプ
リグルーブ界面で入射光の主反射が生じれば良いわけで
あるが、従来技術では以下のような問題点を有してい
る。先ず、プリピットやプリグルーブの界面形状を保つ
ためには、色素を含む記録層の膜厚を非常に薄くすれば
良いが、色素膜厚を薄くすると記録コントラストが低下
し、追記型としては利用できない。
【0022】つぎに、逆に良好な記録コントラストを得
るためにある程度以上の記録層膜厚をとると、プレピッ
トやプリグルーブに色素が必要以上に埋まってしまい、
再生信号やトラッキングエラー信号が微弱化する恐れが
ある(位相差の変化が激しい)。さらに、ROM部と追
記部を併せ持つハイブリッド型では、プリピットとプリ
グルーブがそれぞれ最適溝深さが異なるため、スピンコ
ーティングによるプリピットとプレグルーブへの色素埋
まり具合を、両者が最適になるように制御することは非
常に困難である。そのため色素の溝への埋まり具合、成
膜条件等を考慮に入れて、あらかじめ溝形状、深さを最
適化した基板を用いる必要がある。
【0023】従来の構成(図18)によれば、プリグル
ーブまたはプリピットの存在する部分とプリグルーブま
たはプリピットが存在しない部分との位相差は、プリグ
ルーブまたはプリピット部を基準とすれば、以下の式で
示される。 (4π/λ){n0dl+nld2−nl(dl+d2−d3)} =(4π/λ){(n0−nl)dl+nld3}・・・(1) 但し、入は記録/再生波長、n0は基板の複素屈折率、
nlは色素を含む記録層の複素屈折率、dl、d2、d
3は図18に示すとうりである。
【0024】一般にプリピットやプリグルーブの最適化
を行う場合、つまりスタンパ作製時には、dlを設定す
るが、従来構成では位相差は(1)式を見てもわかるよ
うに、dlよりもむしろd3、つまり色素のプリピット
やプリグルーブへの埋まり具合に大きく左右されること
がわかる(明らかにdl、d3にかかる係数はnl>
(nl−n0))。つまり、従来方法では、スタンパ作
製時にプリピットやプリグルーブを最適化しても、色素
の塗布状態によって特性は大きく変動する。したがっ
て、プリピットやプリグルーブの設計を何度も繰り返
し、あるいは塗布条件を最適化する必要があった。
【0025】これを示したものが図20である。同図
は、プリグルーブあるいはプリピットの溝深さdlに対
する位相差依存性とともに、プリグルーブあるいはプリ
ピットの溝への色素の埋まり具合を表すd3の位相差へ
の寄与率が高いことを示している。
【0026】また、通常のスピンコーティング法では、
d3はdlよりも必ず小さくなる。したがって、所望の
位相差を得るためには、dl、d3に制限が加えられ
る。つまり、スピンコーティング法の特性上、溝が浅い
プリグルーブ部のd3gよりも溝が深いプリピット部の
d3pのほうが必ず大きくなる。これによって、ハイブ
リッド型の光情報記録媒体において、プリピット部とプ
リグルーブ部の溝深さdlを最適に設定しても、プリグ
ルーブ部のd3gとプリピット部のd3pには、スピン
コーティングによるテクニックが要求される。このため
従来方法では例えば、図21に示されるように、プリグ
ルーブの溝深さを110nmとし、その時のd3を20
nmとすると、プリピット部ではd3が20nm以上に
なるため、プリピット部の溝深さが200nm程度も必
要になってしまうという問題があった。
【0027】図22は従来方法の位相差へ与えるd3の
影響を示したもので、前記の溝埋まり状況に対応させて
ある。このように従来方法では、プリグルーブやプリピ
ットへの溝の埋まり具合によって、所望の位相差を達成
するためには、初期の溝深さdlを大きく変化させなけ
ればならず、色素の埋まり具合を調整できない場合、あ
るいは色素や溶剤の種類、組成比などを変えた場合等
は、新たにスタンパの設計を行わなければならないとい
う問題があった。
【0028】また、位相差の制御をねらうエンハンス層
に関する技術をはじめ、種々の試みが提案され、開示さ
れている。これら提案技術の公開番号とサマリーを、以
下に列挙する。
【0029】特開昭56−061047 トラック案内用の溝を設けた基板上に反射層を形成し、
次いで溝部を埋めて平坦化した後、この上に情報記録層
を形成したもの 特開昭56−061048 透明基体に形成した情報トラック溝を、基体と屈折率の
異なる材料で埋めて平坦化し、その上に光学的記録層を
設けたもの 特開昭57−074843 情報記録担体の内外の周縁及び底面を覆う保護部材にト
ラッキング用溝を形成したもの 特開平02−183443 互いに材質の異なるグルーブ基板とフラット基板を張り
合わせた、フラット基板からの記録と再生と消去を可能
としたもの
【0030】特開平04−286684 色素を含有する記録層と金属の反射届からなる単板型光
情報記録媒体において、記録層表面形状を所望の範囲に
コントロールすることによりトラッククロス信号とプッ
シュプル信号の両者を最適化
0 特開平04−337538 特定のフッ素アルコールと特定のアルコールを所定割合
で混合して色素を溶解することにより、ROM領域をも
つ追記型CDを塗り分けを行わずに製造 特開平04−370546 有機色素を含む記録層をもつ光記録媒体において、記録
層の吸光度が記録層の作製直後の吸光度の99.5%以
下になった後に反射層を作製することで、記録特性のば
らつきを低減
【0031】特開平05−073964 色素の塗り分けを行わずに製造しうるROM領域を有す
る追記型CDを提供 特開平05−114178 2種以上の色素を含有する溶液をスピンコートすること
により、ピットおよび溝部での成膜形状を制御して光吸
収層を形成し、ROM領域と記録可能領域の特性の両立
を図る 特開平05−144098 ROM領域を有する追記型光情報記録媒体を塗り分けな
しに製造を可能とするとともに、ROM領域と記録可能
領域の記録信号特性を向上させる 特開平03−022224 基板、色素記録層および反射層を基本構成とする情報記
録媒体において、グルーブの形状を特定して良好なトラ
ッキングで、かつ高い変調度の記録を可能とする
【0032】特開平04−076836 グルーブ底部の光吸収層の光学的膜厚とランド部の光吸
収層の光学的膜厚との差を所定値以下にすることにより
変調度および反射率が高いCD規格を満足する信号を得
て、トラッキング特性を良好にする 特開平04−111241 プレグルーブが形成された円盤状の基板上に光吸収層、
エンハンス層および反射層を順次設け、グルーブ底部の
光吸収層の光学的膜厚とランド部の光吸収層の光学的膜
厚との差を特定 特開平04−132027 ピット部の色素層の光学的膜厚とピット問部の色素層膜
厚との差を特定値以下にする
【0033】特開平04−146537 基板の特定形状のプレピットが形成された面上に色素を
含む記録層を形成 特開平04−172635 記録可能領域だけに記録層を、再生専用域だけに第1の
反射層を設け、記録層および再生専用域上に連続的に第
2の反射層を設けることにより、スピンコート法が適用
可能 特開平04−178932 ピット深さとグルーブ探さをそれぞれ特定 特開平04−286684 色素を含む記録層と金属反射層からなる単板型光情報記
録媒体において、記録層の表面形状を所望の範囲にコン
トロール
【0034】特開平04−290795 プリグルーブおよびプリピットが設けられた基板上に記
録層、反射層を積層した情報記録媒体において、記録層
を色素の蒸着で形成 特開平05−046995 光吸収層としての色素層表面に、基板に形成されたグル
ーブおよびランド部に対応して所定の凹凸を形成 特開平05−101440 グルーブ部及びランド部の記録層膜厚、記録層の表面形
状をコントロール 特開平06−119659 溝形成部の記録膜に形成するくぼみの探さを所定範囲と
なるように、溝形状、記録膜厚等の各種パラメータを決
定 特開平05−198012 あらかじめグルーブ部の形状を内周から外周に向けて変
化させて、スピンコート法で記録層を形成
【0035】また前記のエンハンス層は、基板から入射
したレーザ光から見た記録層、反射層、保護層、空気層
等全体を含めた反射率を向上させるために用いられるも
のであって、位相差をコントロールする作用を有するも
のの、必ずしも基板とエンハンス層界面、あるいはエン
ハンス層と記録層界面での反射率を大幅に高めるもので
はなかった。
【0036】そこで本発明では、色素の塗布条件によっ
てプリグルーブからのトラッキングエラー信号やプリピ
ットからの情報信号が大きく変動する現象を無くし、生
産性が高くコスト低減となるような、また研究・開発の
大幅な効率向上が図れるような光情報記録媒体、および
その記録/再生方法を提供することを目的とする。
【0037】すなわち、色素の塗布条件によって、追記
型光情報記録媒体の場合は、プリグルーブからのトラッ
キングエラー信号を、またハイブリッド型光情報記録媒
体の場合はROM部のピットからの信号と追記部のプリ
グルーブからのトラッキングエラー信号両者が同時に最
適化され、かつこの最適化が色素塗布条件によって大き
く変動する現象をなくし、生産性が高くコスト低減とな
るような、また研究・開発の大幅な効率向上が図れるよ
うな、更にはレーザ光に短波長化による高密度化に対応
できる光情報記録媒体、およびその記録/再生方法を提
供する。
【0038】
【課題を解決するための手段】前記のように色素の塗布
条件によってプリグルーブからのトラッキングエラー信
号やプリピットからの情報信号が大きく変動する現象を
なくし、生産性が高くコスト低減となるような、また高
密度化に対応した、更には研究・開発の大幅な効率向上
が図れるような光情報記録媒体、およびその記録/再生
方法を提供するため前記目的を実現するため、本発明の
請求項1に係る光情報記録媒体は、少なくともレーザ光
をトラッキングするための案内溝を有する基板上に金属
反射層、色素を含有する記録層、保護層を順次積層して
なることを特徴とする。
【0039】本発明の請求項2に係る光情報記録媒体
は、1枚の基板上の、あらかじめ情報が記録されたRO
M部分と追記が可能な部分が設けられた領域であって、
レーザ光をトラッキングするための案内溝があらかじめ
設けられた部分を併せ持つ前記基板上に金属反射層、色
素を含有する記録層、保護層を順次積層してなることを
特徴とする。
【0040】本発明の請求項3に係る光情報記録媒体
は、請求項1〜2に記載の光情報記録媒体において、色
素を含有する前記記録層がスピンコーティング法により
形成されていることを特徴とする。
【0041】本発明の請求項4に係る光情報記録媒体の
記録/再生方法は、請求項1〜3の光情報記録媒体にあ
って、情報の記録/再生を前記保護層側からレーザ光照
射により行うことを特徴とする。
【0042】本発明の請求項5に係る光情報記録媒体
は、少なくともレーザ光をトラッキングするための案内
溝を有する第1の基板上に金属反射層、色素を含有する
記録層、接着層、第2の基板を順次積層してなることを
特徴とする。
【0043】本発明の請求項6に係る光情報記録媒体
は、1枚の基板上にあらかじめ情報が記録されたROM
部と追記が可能な領域であって、レーザ光をトラッキン
グするための案内溝があらかじめ設けられた部分を併せ
持つ第1の基板上に金属反射層、色素を含有する記録
層、接着層、第2の基板を順次積層してなることを特徴
とする。
【0044】本発明の請求項7に係る光情報記録媒体
は、請求項5〜6に記載の光情報記録媒体において、色
素を含有する前記記録層がスピンコーティング法により
形成されていることを特徴とする。
【0045】本発明の請求項8に係る光情報記録媒体
は、請求項5〜7に記載の光情報記録媒体構成におい
て、前記接着層がホットメルト型接着材料よりなること
を特徴とする。
【0046】本発明の請求項9に係る光情報記録媒体
は、請求項5〜7に記載の光情報記録媒体構成におい
て、前記接着層が紫外線硬化型接着材料よりなることを
特徴とする。
【0047】本発明の請求項10に係る光情報記録媒体
の記録/再生方法は、請求項5〜9に記載の光情報記録
媒体について、情報の記録/再生を前記第二の基板側か
らレーザ光照射により行うことを特徴とする。
【0048】
【発明の実施の形態】本発明での重要なポイントは、R
OM部のプリピット信号からの反射光量や追記部のプリ
グルーブからのトラッキングエラー信号光量は、もっと
も大きな反射係数を持つ境界面で決定され(すなわち、
この大きな反射係数を持つ境界面での記録部と非記録
部、あるいはプリグルーブのある場所とない場所との間
の位相変化量で決まる)、基板、色素を含む記録層、反
射層、保護層等の従来から用いられている層構成材料を
用いると、その最も大きな反射係数を持つ境界面が色素
と金反射層の界面であることを利用することにある。し
たがって、この色素と金反射層の界面にはっきりとし
た、凹凸による位相変化を持たせることができるなら
ば、色素のプリピット部やプリグルーブ部の溝埋まり具
合の条件を緩和させることができる。
【0049】本発明の層構成、記録/再生構成の一実施
形態を、図1〜図5に示す。本発明では記録情報の再
生、およびトラッキングに必要な信号を安定的に得るた
めには、基板上にあらかじめ刻まれたプリピットやプリ
グルーブの界面から主反射が得られればよい。このよう
な条件を達成するため、図1に示されるように、あらか
じめプリピットやプリグルーブが刻まれた基板10上に
反射層11、次いで色素を含む記録層12、さらに保護
層13を積層させる。かつ、この保護層13側からレー
ザ光を照射して記録/再生をするものである。
【0050】本発明によればプリピットやプリグルーブ
からの主反射は、色素を含む記録層12と反射層11界
面であり、この記録層12と反射層11界面は反射層1
1の形状に依存するが、この構成では反射層11を設け
た後のプリピット、もしくはプリグルーブの形状は基板
のプリピット、もしくはプリグルーブの形状をほぼダイ
レクトに反映している。すなわち、再生信号やトラッキ
ングエラー信号は、反射層11上に設けられた色素の形
状、言い換えれば反射層11が設けられたプリピットや
プリグルーブの溝への色素の埋まり具合、形状に大きく
依存しなくすることが可能となる。
【0051】すなわち、本発明によれば、色素の埋まり
具合が再生信号やトラッキングエラー信号に与える影響
が小さくすることができるため、色素の膜厚設定が容易
になり、また従来技術で課題とされた位相差変化による
問題も解決される。また、ハイブリッド型においては、
色素の埋まり具合がROM部のプリピット部と追記部の
プリグルーブ部で、全く異なっていても問題の生じる可
能性が少ない。このように、従来課題となっていた問題
点は一挙に解決される。
【0052】図1〜図5に示される本発明の構成によれ
ば、プリグルーブまたはプリピットの存在する部分とプ
リグルーブまたはプリピットが存在しない部分との位相
差は、プリグルーブまたはプリピット部を基準とすれ
ば、以下の式で示される。 (4π/λ){(n1d2−(n0d3+nl(dl+d2−d3))) =(4π/λ){(nl−n0)d3−nldl)・・・(2) 但し、λは記録/再生波長、n0は基板、もしくは接着
層、もしくは保護層等の複素屈折率、nlは色素を含む
記録層の複素屈折率、dl、d2、d3は図1〜図5に
示すとうりである。
【0053】ところで、プリピットやプリグルーブの最
適化を行う場合、つまりスタンパ作製時にはdlを設定
するが、本発明では位相差は(2)式に示されるように
dlによってほぼ決まり、d3、つまり色素のプリピッ
トやプリグルーブへの埋まり具合にはあまり左右されな
いことがわかる。つまり、従来方法と異なり、本発明で
はスタンパ作製時に設定したプリピットやプリグルーブ
深さが、ディスク化においてもそのまま生かされる。
【0054】これを可視化したものが図6であり、横軸
にプリグルーブあるいはプリピットの溝深さdlを、縦
軸にはプリグルーブあるいはプリピットの溝への色素の
埋まり具合を表すd3をとり、両者が変化した時のプリ
グルーブあるいはプリピットの存在する部分とプリグル
ーブあるいはプリピットの存在しない部分の位相差を計
算した結果である。但し、計算においてはn0=1.
5、nl=2.7−iO.05、記録/再生波長を63
5(nm)とした。
【0055】この結果を見ると、本発明による方法では
位相差へプリグルーブあるいはプリピットの溝への色素
の埋まり具合を表すd3が寄与する割合が大幅に低下し
ていることがわかる。ところで、図6において、図中の
左上は現実的でないdl、d3の組み合わせとして省略
する。これは図7、8にしめすように、図7がdl=d
3でROM状態であって、このような状況は現実のスピ
ンコーティングで形成できる極限と考え、図8のような
状況は現実的になしえないと考えられるからである。
【0056】また、通常のスピンコーティング法では、
d3はdlよりも必ず小さくなる。したがって、所望の
位相差、例えばプリピット部でπ(または−π)、プリ
グルーブ部でπ/2(または−π/2)の位相差を得る
ためには、dl、d3に制限が加えられる。つまり、ス
ピンコーティング法の特性上、溝が浅いプリグルーブ部
のd3gよりも溝が深いプリピット部のd3pのほうが
必ず大きくなる。これによって、ハイブリッド型の光情
報記録媒体において、プリピット部とプリグルーブ部の
溝深さdlを最適に設定しても、プリグルーブ部のd3
gとプリピット部のd3pには、スピンコーティングに
よるテクニックが要求される。
【0057】この状況を示したのが図9であり、本発明
ではプリグルーブの溝深さを40(nm)とし、その時
のd3を20(nm)だったとすると、プリピット部で
はd3が20(nm)以上という条件をかしても、プリ
ピット部の探さは70(nm)以上程度となり、浅い溝
で所望の位相差を満足できるため高密度化にも有利とな
る。
【0058】図10は、本発明に係る方法の位相差へ与
えるd3の影響を示したもので、前記の溝埋まり状況に
対応させてある。このように本発明の方法では、プリグ
ルーブやプリピットへの溝の埋まり具合が多少変化して
も、所望の位相差を達成するための溝深さは大きく変化
しないため、たとえ色素や溶剤の種類、組成比などを変
えた場合でも塗布条件によって位相差を調整することが
可能となる。
【0059】記録層 色素としては、例えばポリメチン色素、ナフタロシアニ
ン系、フタロシアニン系、スクアリリウム系、コロコニ
ウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノ
ン(インダンスレン)系、キサンテン系、トリフェニル
メタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナ
ンスレン系、トリフェノチアジン系染料、および金属錯
体化合物などが挙げられ、上記の染料を単独で用いても
よいし、2種以上の組合わせにしてもよい。
【0060】また上記染料中に金属、金属化合物、例え
ばIn、Te、Bi、Al、Be、TeO2 、SnO、
As、Cdなどを分散混合、あるいは積層の形態で用い
ることもできる。さらに、上記染料中に高分子材料、例
えばアイオノマー掛脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系樹
脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の材
料、もしくはシランカップリング剤などを分散混合して
用いてもよいし、あるいは特性改良の目的で、安定剤
(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電
防止剤、界面活性剤、可塑剤などと一緒に用いることが
できる。
【0061】塗布法を用いる場合には、上記染料などを
有機溶媒に溶解させて、スプレー、ローラーコーティン
グ、ディッピングおよび、スピンコーティングなどの慣
用のコーティング法によって行われるが、本発明の性格
上スピンコーティングが最も好ましい。
【0062】有機溶媒としては、一般にメタノール、エ
タノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、シクロへキサノンなどのケ
トン類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメ
チルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシ
ドなどのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチ
ルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル
などのエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジク
ロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタンなどの脂肪
族ハロゲン化炭素類、あるいは、ベンゼン、キシレン、
モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族
類、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのセ
ルソルブ類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メ
チルシクロへキサンなどの炭化水素類などを用いること
ができる。
【0063】記録層の膜厚は、100オングストローム
〜10μm、好ましくは200オングストローム〜20
00オングストロームが適当である。
【0064】基板 基板の必要特性としては、基板側より記録・再生を行う
場合のみ使用レーザ光に対して透明でなければならず、
記録層側から記録・再生を行う場合は透明である必要は
ない。したがって、本発明では、基板を1層しか用いな
い場合は、基板は透明である必要はなく、基板2枚をサ
ンドイッチ状で用いる場合は、請求項に記載の第2の基
板のみが透明であれば、第1の透明、不透明は問わな
い。
【0065】基板材料としては例えば、ポリエステル、
アクリル樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポ
リオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポ
リイミドなどのプラスチック、あるいはガラス、セラミ
ック、金属などを用いることができる。なお、基板を1
層しか用いない場合、あるいは基板2枚をサンドイッチ
状で用いる場合は請求項に記載の第1の基板の表面にト
ラッキング用の案内溝や案内ピット、さらにアドレス信
号などのプレフォーマットが形成されている必要があ
る。
【0066】中間層 下引き層等を含め基板、記録層、反射層、保護層以外に
設けられた層をここでは中間層と呼ぶことにする。この
中間層は(a)接着性の向上、(b)水、またはガスな
どのバリアー、(c)記録層の保存安定性の向上、
(d)反射率の向上、(e)溶剤からの基板や記録層の
保護、(f)案内溝・案内ピット・プレフォーマット等
の形成などを目的として使用される。
【0067】(a)の目的に対しては高分子材料、例え
ばアイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、
天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種
々の高分子物質、およびシランカップリング剤などを用
いることができ、(b)および(c)の目的に対して
は、上記高分子材料以外に無機化合物、例えばSi
2、MgF2 、SiO、TiO2 、ZnO、TiN、
SiNなど金属、または半金属、例えばZn、Cu、N
i、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Alなどを用いる
ことができる。また(d)の目的に対しては金属、例え
ばAl、Ag等や、金属光沢を有する有機薄膜、例えば
メチン染料、キサンテン系染料等を用いることができ、
(e)および(f)の目的に対しては紫外線硬化樹脂、
熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。下
引き層の薄膜は0.01〜30μm、好ましくは0.0
5〜10μmが適当である。
【0068】保護層・基板表面ハードコート層 保護層、または基板表面ハードコート層は、(a)記録
層(反射吸収層)を傷、ホコリ、汚れ等から保護する、
(b)記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、
(c)反射率の向上等を目的として使用される。これら
の目的に対しては、前記下引き層に示した材料を用いる
ことができる。また無機材料として、SiO、SiO2
なども用いることができ、有機材料として、ポリメチル
アクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリ
スチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロー
ス、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、天然ゴ
ム、スチレンーブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワ
ックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化
性、熱溶融性樹脂も用いることができる。
【0069】上記材料のうち保護層、または基板表面ハ
ードコート層に最も好ましい物質は、生産性に優れた紫
外線硬化樹脂である。保護層、または基板表面ハードコ
ート層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは0.
05〜10μmが適当である。本発明において、前記下
引き層、保護層、および基板表面ハードコート層には、
記録層の場合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑
剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させるこ
とができる。
【0070】金属反射層 反射層は単体で高反射率の得られる、腐食されにくい金
属、半金属などが挙げられ、材料例としてはAu、A
g、Cu、Cr、Ni、Alなどが挙げられ、好ましく
は、Au、Alがよい。これらの金属、半金属は単独で
使用してもよく、2種以上の合金としてもよい。また、
誘電体の多層膜を利用してもよい。膜形成方法として
は、蒸着、スパッタリングなどが挙げられ、膜厚として
は50〜3000オングストローム、好ましくは100
〜1000オングストロームである。
【0071】接着層 本発明で特に好ましいのは、ホットメルト型(熱溶融
型)接着剤、もしくは紫外線硬化型接着剤である。紫外
線硬化型接着剤は、紫外線照射によってラジカル重合が
開始して硬化する接着剤である。その組成は、一般的に
(1)アクリル系オリゴマー、(2)アクリル系モノマ
ー、(3)光重合開始剤、(4)重合禁止剤からなるも
ので、オリゴマーはポリエステル系、ポリウレタン系、
エポキシ系アクリル酸エステル等で、光重合開始剤はベ
ンゾフェノン、ベンゾインエーテル等が使用できる。
【0072】ホットメルト接着剤は液状接着剤が溶剤揮
散や反応によって硬化し接着力が発現するのに対し、常
温固体の熱可塑性樹脂が熱溶融、冷却固化の物理変化で
接着力が発現するものである。ホットメルト接着剤は、
EVA、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン
系等を用いることができる。
【0073】
【実施例】本発明の層構成、記録/再生方法により、初
期反射率がCD−ROMやDVD−ROMの規格を満足
できるかどうかをシュミレーションにより明らかにし
た。計算にあたって、層構成は、基板、反射層、色素を
含む記録層、保護層(あるいは接着層+第2の基板、あ
るいは中間層+保護層、あるいは中間層+接着層+第2
の基板)とし、基板は複素屈折率がn=1.55+Oi
で厚さが0.6mm、保護層が複素屈折率がn=1.5
0+Oiで厚さが0.6mmであるとし、また反射層は
金を用い、保護層側から再生することを仮定し、ROM
互換の反射率(約70%)を得るために必要な反射層膜
厚と色素を含む記録層膜厚を計算した。
【0074】結果は図11〜図12に示すとうりで、白
い部分が初期反射率70%を達成する領域、ハッチした
部分が初期反射率70%以下の領域である。
【0075】ところで、従来構造では反射層は金で約1
00(nm)程度の膜厚を有しているが、本発明の層構
成では、基板にあらかじめ刻まれたプリピットやプリグ
ルーブの形状をダイレクトに反映させることに特徴があ
るため、反射層膜厚が厚くなると、蒸着やスバッタによ
っても基板にあらかじめ刻まれたプリピットやプリグル
ーブの形状からだれを持ち始めるため、好ましくない。
【0076】しかしながら、本発明の層構成で、金反射
層膜厚が比較的薄く、基板にあらかじめ刻まれたプリピ
ットやプリグルーブの形状をダイレクトに反映できるよ
うな、金反射層膜厚でも(40nm程度)、また、記録
コントラストを確保できるような記録層膜厚を有してい
ても(50〜100nm程度)、初期反射率が70%以
上となることが確かめられた。
【0077】本発明の具体的構成例を図13〜図16に
示す。図13は、プリピットやプリグルーブがあらかじ
め設けられた基板上に反射層、次いでスピンコーティン
グ法により記録層、次いで保護層を順次積層した例であ
る。保護層としては前述の保護層材料を用いることがで
きる。この層構成においては保護層材料が液状である場
合、色素を著しく溶解しないことが必要である。
【0078】図14は、プリピットやプリグルーブがあ
らかじめ設けられた基板上に反射層、次いでスピンコー
ティング法により記録層、接着層、第2の基板を順次積
層した例である。この層構成はDVD−Rやハイブリッ
ドDVD−R等に適用することが可能である。この層構
成では全体で媒体厚さ約1.2mmとすることができ、
DVD−ROMとの再生互換を得ることができる。接着
層は2P樹脂等、一般的な接着剤を用いることができ
る。この場合、接着層材料が著しく記録層を溶解しない
ことが必要である。
【0079】図15は、プリピットやプリグルーブがあ
らかじめ設けられた基板上に反射層、次いでスピンコー
ティング法により記録層、中間層、接着層、第2の基板
を順次積層した例である。この層構成では全体で媒体厚
さを約1.2mmとすることができ、DVD−ROMと
の再生互換を得ることができる。この層構成では接着層
材料は記録層材料を著しく溶解するものであってもかま
わない。中間層としては、前述した材料を用いることが
できる。
【0080】図16は、プリピットやプリグルーブがあ
らかじめ設けられた基板上に反射層、次いでスピンコー
ティング法により記録層、中間層、接着層、保護層を設
けた例である。この層構成では、保護層材料は記録層材
料を著しく溶解するものであってもかまわない。中間層
としては、前述した材料を用いることができる。これら
の本発明の構成においては、記録/再生方向が従来とは
逆になるため、スタンパ作製時、基板作製時には溝の螺
旋方向が従来と逆になるよう作製する必要がある。
【0081】
【発明の効果】本発明の光情報記録媒体により、スピン
コーティング法による成膜性の容易さを損なうことな
く、生産性の高い光情報記録媒体が提供できる スピンコーティング法による色素の、プリピットやプリ
グルーブなどの溝への埋まり具合ヤ形状に、再生信号や
トラッキングエラー信号が大きく左右されない光情報記
録媒体を提供することができる。色素や溶剤材料、組
成、塗布環境、塗布条件等が変化しても光情報記録媒体
の特性が大きく変化しない。スピンコーティングにより
形成された記録層にディスク内バラツキがあっても、再
生信号やトラッキングェラー信号等の信号特性バラツキ
は低減される。記録/再生波長が短波長化しても、十分
製造マージンが得られ、製造バラツキの少ない光情報記
録媒体が提供できる。そして、基板成形の労力が大幅に
軽減され、研究・開発の効率化が図れる。更に、ハイブ
リッド型光情報記録媒体においては、複数のROM部と
追記部をディスク上の任意の場所に設けることができる
ため、アプリケーションの幅が大幅に広がる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における光情報記録媒体の一実施形態の
模式断面図である。
【図2】本発明における光情報記録媒体の一実施形態の
模式断面図である。
【図3】本発明における光情報記録媒体の一実施形態の
模式断面図である。
【図4】本発明における光情報記録媒体の一実施形態の
模式断面図である。
【図5】本発明における光情報記録媒体の一実施形態の
模式断面図である。
【図6】本発明におけるプリピットあるいはプリグルー
ブの溝深さと色素の溝埋まり具合が位相差へ与える影響
を示した図である。
【図7】プリピットあるいはプリグルーブへの色素埋ま
り具合の一例を示す図である。
【図8】プリピットあるいはプリグルーブへの色素埋ま
り具合の一例を示す図である。
【図9】本発明の構造のハイブリッド型における、プリ
ピットあるいはプリグルーブの溝深さと色素の溝埋まり
具合の許容条件の一例を示した図である。
【図10】本発明の構造における、色素の溝埋まり具合
が位相差に与える影響を示した図である。
【図11】本発明の実施形態における計算結果を示す図
である。(再生波長780nm)本発明の実施形態にお
ける計算結果を示す図である。(再生波長635nm)
【図13】本発明の実施例形態における層構成を示す図
である。
【図14】本発明の実施例形態における層構成を示す図
である。
【図15】本発明の実施例形態における層構成を示す図
である。
【図16】本発明の実施例形態における層構成を示す図
である。
【図17】DVD−ROMのディスク構造の種類を示す
模式断面図である。
【図18】従来構造における位相差発生の状況を説明す
る模式断面図である。
【図19】1枚の光情報記録媒体中にROM部と追記部
を有する光情報記録媒体の表面を示す斜視図である。
【図20】従来構造におけるプリピットあるいはプリグ
ルーブの溝深さと色素の溝埋まり具合が位相差へ与える
影響を示した図である。
【図21】従来構造のハイブリッド型における、プリピ
ットあるいはプリグルーブの溝深さと色素の溝埋まり具
合の許容条件の例を示した図である。
【図22】従来構造における、色素の溝埋まり具合が位
相差に与える影響を示した図である。
【符号の説明】
10 基板 11 反射層 12 色素を含む記録層 13 保護層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 東 康弘 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 (72)発明者 佐藤 勉 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくともレーザ光をトラッキングする
    ための案内溝を有する基板上に金属反射層、色素を含有
    する記録層、保護層を順次積層してなることを特徴とす
    る光情報記録媒体。
  2. 【請求項2】 1枚の基板上の、あらかじめ情報が記録
    されたROM部分と追記が可能な部分が設けられた領域
    であって、レーザ光をトラッキングするための案内溝が
    あらかじめ設けられた部分を併せ持つ前記基板上に金属
    反射層、色素を含有する記録層、保護層を順次積層して
    なることを特徴とする光情報記録媒体。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2に記載の光情報記録媒体に
    おいて、色素を含有する前記記録層がスピンコーティン
    グ法により形成されていることを特徴とする光情報記録
    媒体。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3の光情報記録媒体にあっ
    て、情報の記録/再生を前記保護層側からレーザ光照射
    により行うことを特徴とする光情報記録媒体の記録/再
    生方法。
  5. 【請求項5】 少なくともレーザ光をトラッキングする
    ための案内溝を有する第1の基板上に金属反射層、色素
    を含有する記録層、接着層、第2の基板を順次積層して
    なることを特徴とする光情報記録媒体。
  6. 【請求項6】 1枚の基板上にあらかじめ情報が記録さ
    れたROM部と追記が可能な領域であって、レーザ光を
    トラッキングするための案内溝があらかじめ設けられた
    部分を併せ持つ第1の基板上に金属反射層、色素を含有
    する記録層、接着層、第2の基板を順次積層してなるこ
    とを特徴とする光情報記録媒体。
  7. 【請求項7】 請求項5〜6に記載の光情報記録媒体に
    おいて、色素を含有する前記記録層がスピンコーティン
    グ法により形成されていることを特徴とする光情報記録
    媒体。
  8. 【請求項8】 請求項5〜7に記載の光情報記録媒体構
    成において、前記接着層がホットメルト型接着材料より
    なることを特徴とする光情報記録媒体。
  9. 【請求項9】 請求項5〜7に記載の光情報記録媒体構
    成において、前記接着層が紫外線硬化型接着材料よりな
    ることを特徴とする光情報記録媒体。
  10. 【請求項10】 請求項5〜9に記載の光情報記録媒体
    にあって、情報の記録/再生を前記第二の基板側からレ
    ーザ光照射により行うことを特徴とする光情報記録媒体
    の記録/再生方法。
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