JP2002237093A - 光記録媒体、その記録・再生方法、及びその製造方法 - Google Patents

光記録媒体、その記録・再生方法、及びその製造方法

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JP2002237093A
JP2002237093A JP2001036033A JP2001036033A JP2002237093A JP 2002237093 A JP2002237093 A JP 2002237093A JP 2001036033 A JP2001036033 A JP 2001036033A JP 2001036033 A JP2001036033 A JP 2001036033A JP 2002237093 A JP2002237093 A JP 2002237093A
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勉 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 色素の塗布条件が変わってもプリグルーブか
らのトラッキングエラー信号やプリピットからの情報信
号が大きく変動することがなく、安定したフォーカシン
グ及びトラッキング信号が得られ、高変調度でかつ記録
パワーマージンの大きい高密度狭トラックピッチ、及び
狭トラックピッチハイブリッド型光記録媒体、及び、安
定したトラッキング信号が得られ、ランド・アンド・グ
ルーブ記録が可能な光記録媒体、並びに記録・再生方法
及び製造方法の提供。 【解決手段】 (1)案内溝を有する基板10上に、少
なくとも金属反射層11、色素を含有する記録層12、
及び保護層13が順に積層され、記録層により、案内溝
の凹凸が平坦化されている光記録媒体。 (2)案内溝を有する第2基板16上に、少なくとも、
基板より屈折率の高い下引き層と、色素を含有する塗布
型記録層が順に設けられ、下引き層により案内溝凹凸が
平坦化されている光記録媒体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光記録媒体、その
記録・再生方法、及びその製造方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来技術】トラッキング用案内溝を有する基板上に溶
液塗布法により色素記録層を設けた光記録媒体に対し
て、基板側からレーザ光を照射し、該案内溝のグルーブ
部又はランド部の何れか一方にピットを形成して情報を
記録したのち、再生光に対する反射率差を検出して記録
情報を読み出す技術は本出願前公知である(WORM技
術)。また、トラッキング用案内溝を有する基板上に溶
液塗布法により色素記録層を設け、次いでドライプロセ
ス(スパッタリングなど)により金属反射層を設けた光
記録媒体に対して、基板側からレーザ光を照射し、案内
溝のグルーブ部にピットを形成して情報を記録したの
ち、再生光に対する反射率差を検出して記録情報を読み
出す技術も本出願前公知である(CD−R、DVD−R
技術)。
【0003】一方、パーソナルコンピュータの光記録媒
体としてCD−ROMが一つの地位を完全に確立し、殆
どのパーソナルコンピュータにCD−ROMドライブが
標準搭載されている。CD系の追記型光記録媒体である
CD−Rは、未記録状態で60〜70%以上の反射率を
有すると共に、記録により反射率を低下させるような構
造とし、記録した情報をCD−ROMドライブで再生で
きるようにした(互換性の)ものが開発されている。こ
のCD−Rも従来オーサリング用などの専門家向けであ
ったものが、ドライブ価格の低下や互換性の高さから、
データ配布用、ソフト製作用、一般のリムーバブル光記
録媒体と同様なデータ保存用の光記録媒体としても近年
その需要が非常に高まってきている。
【0004】従来の640MBの容量を持つCD1枚で
も74分のディジタル映像を蓄積することはできる(ビ
デオCD)。このビデオCDには、MPEG1という映
像の圧縮・符号化の技術が使われている。しかし、再生
時間は短く、また映像の画面解像度は通常のテレビ画像
の半分であって十分とは言えない。また、CDの規格は
音楽用のディジタル蓄積媒体として誕生しているため、
容量とデータ転送速度からディジタル映像蓄積用には適
していない。そこで登場したのがDVDであり、1本の
映画をテレビ並の品質でCDと同じサイズで蓄積し再生
を可能としたものであって、次世代のDVDはマルチ光
記録媒体のキーテクノロジーとして期待を集めている。
このDVD光記録媒体においても、先のCDと同様、ユ
ーザが1回だけ情報を書き込める追記型光記録媒体(D
VD−R)や書き換えが可能な光記録媒体(DVD−R
AM)等の開発が進められている。これらのCD−R、
DVD−R光記録媒体は、基本的に案内溝を有する基板
上に色素をスピンコーティング法により形成し、その上
に金属反射層を設けるというのが互換性を確保するため
の必須構成となっている。
【0005】このように、大容量化への要求は記録媒体
の宿命であり、その方法として次の2つの方向が模索さ
れている。 (i)物理的に記録密度を上げる方向 (ii)圧縮・符号化技術のより高効率化の方向 記録媒体側からのアプローチとしては、主として(i)
の改良が進められており、その代表的な方法として次の
A)、B)があり、その他に、超解像技術などもある。 A)マーク径そのものを小径化する方法である短波長レ
ーザ記録(狭トラックピッチ化) B)マーク径は変えず、ディスクのタンジェンシャル方
向の記録密度を上げる方法であるランド・アンド・グル
ーブ(Land and Groove)記録しかしな
がら現状の塗布型記録層を有する光記録媒体は、何れの
方法に対しても致命的な欠陥を有する。
【0006】先ずA)の方法としては、短波長レーザへ
の対応として新たにその波長に感応する光記録材料の開
発は可能である。しかしながら短波長化に伴い狭トラッ
クピッチ化すると隣の溝からのクロストークによりトラ
ッキングが不安定になる。更には従来の塗布型成膜法で
はより困難な課題が発生する。従来の光記録媒体のトラ
ッキングは、基板の案内溝のランド部とグルーブ部との
光路差を利用している。塗布型光記録媒体(例えばCD
−R、DVD−R光記録媒体)では基板上に色素塗布膜
を設け、更にその上に金属反射層を設けたときの色素/
金属反射層界面に出来た実効的なランド部とグルーブ部
との光路差を利用している。このとき色素膜厚は基板の
ランド部で薄くグルーブ部で厚くなり、基板のみの光路
差よりも色素塗布後の色素表面に出来た光路差は小さく
なる(溝が埋まる)。この効果はトラックピッチが狭く
なるほど大きく(溝がより埋まり易い)、大容量化を狙
う狭トラックピッチ媒体では、従来の塗布方法を採用す
ると溝が埋まってしまい、実効の光路差がとれないため
全くトラッキングが出来ない状況となる。
【0007】この問題の解決法として、後述するB)の
ランド・アンド・グルーブ記録が有用であり、この記録
法では、原理的にトラックピッチがグルーブのみに記録
する方式の半分程度で良い。例えば400nm程度のレ
ーザを用いた記録容量20GB(ギガバイト)程度の記
録媒体は、従来法では0.4μm程度のトラックピッチ
基板を必要とするのに対し、ランド・アンド・グルーブ
記録法では、0.7μm程度のトラックピッチ基板で対
応できる。しかし、後述するように、従来の塗布型色素
系光記録媒体では、大容量化技術としてランド・アンド
・グルーブ記録を利用することは不可能であった。
【0008】また、色素を利用した追記型光ディスクの
場合、色素を含む記録材料をあらかじめトラッキング用
の溝(プリグルーブ)等が刻まれた基板上に、スピンコ
ート法により形成する。この基板上に刻まれたプリグル
ーブは、レーザスポットの記録・再生の位置決めをする
上で非常に重要であり、この位置決めのために必要な、
いわゆるトラッキングエラー信号が十分出力される必要
がある。ところが、追記型のCD−R、DVD−Rなど
ではトラッキングエラー信号が基板と色素の界面反射率
だけでは決まらず、主に色素と金属反射層界面による反
射率に支配されるため、スタンパ作製時に最適化したプ
リピットやプリグルーブ等の溝形状があまり意味を持た
なくなる。つまり、基板上に形成された溝に色素がどの
ように埋まるかが非常に重要となる。この溝への色素の
埋まり具合は、色素自体の種類が変わることは勿論、混
合物の場合はその組成、色素を溶解する溶剤及びその組
成、スピンコートパターン、温湿度等の塗布環境に大き
く左右されるため、その制御が困難であり、生産コスト
に悪影響を与えるとともに、研究・開発効率を著しく低
下させるものである。
【0009】その他に、従来法では、溶剤や塗布条件、
塗布環境により溝への色素の埋まり具合を最適化してい
たため、ディスク内、特に内周と外周におけるトラッキ
ングエラー信号等のバラツキが大きくなるという弊害も
併せ持っている。更に、プリグルーブの形状は台形状で
あるが、色素がプリグルーブに埋まった状態での表面形
状は、V字、もしくはU字形状をしている。そのため、
ジッタやクロストークの増加の原因ともなっている。そ
の解決方法としては、色素を蒸着する方法も考えられる
が、有機材料のメリットはその成膜性(生産性)であ
り、折角簡便なスピンコート法を用いることができるの
に、色素材料の選択の幅が限定されるという欠点のある
蒸着法を採用することは実用上得策とは言えない。
【0010】また近年、追記系記録媒体においてはあら
かじめ情報が書き込まれたROM部とユーザが情報を書
き込める追記部の両方を有する、いわゆるハイブリッド
記録媒体の要求も高まっており、この要求はディスクの
容量が高まるほど顕著になるとも考えられる。このハイ
ブリッド記録媒体は、図1に示すようにROM部と追記
部が分かれているが、ROM部に要求されるプリピット
部の深さと、追記部に要求されるプリグルーブの深さは
異なっている。一般的には、プリピット深さは変調度が
最大になるようにλ/4n、プリグルーブ深さはトラッ
キングエラー信号が最大となるようにλ/8nとしてい
る(但し、λは記録・再生波長、nは入射媒体(通常は
基板)の屈折率である)。このように、ROM部のピッ
ト深さと、追記部のプリグルーブ深さが異なり、この基
板上にスピンコーティング法によって色素膜が形成され
る場合、ROM部のプリピットに流れ込む色素と追記部
のプリグルーブに流れ込む色素の量が異なり、ROM部
のプリピットの色素埋まり具合と追記部のプリグルーブ
の色素埋まり具合は全く異なってしまう危険性が高い。
ハイブリッド記録媒体は色素塗布後に金属反射膜を設け
るが、ROM部のプリピットからの信号、及び追記部の
プリグルーブからのトラッキングエラー信号は色素と金
属反射膜の界面で主に決まってしまうため、この色素埋
まり具合は非常に重要である。
【0011】このハイブリッド記録媒体では、スピンコ
ート法によってROM部のプリピットからの信号と追記
部のプリグルーブからのトラッキングエラー信号の両方
を最適化することは非常に困難で、この両者の最適条件
の矛盾を軽減するために、ハイブリッド記録媒体の作製
時には、ROM部と追記部の塗り分けを行ったり、色素
のROM部のプリピット、及び追記部のプリグルーブへ
の埋まり具合の差を考慮に入れて、スタンパを最適化し
たり、色素を溶解させる溶剤の種類や組成、塗布パター
ン等を調整する必要があった。即ち、この方法では、温
湿度等の作業環境、溶剤に混入している微少不純物、組
成変動等によって、ROM部のプリピット及び追記部の
プリグルーブへの色素の埋まり具合が全く変わってしま
う場合が多くなるという問題がある。
【0012】更に、ハイブリッドCD−R、ハイブリッ
ドDVD−Rの研究・開発段階では何種類もの色素のデ
ィスク特性を評価する必要があるが、色素が異なるごと
に色素溶液の粘度、最適溶剤、組成が異なるため、色素
が変わるたびに最適スタンパが必要となったり、あるい
は同一スタンパから得られた基板を用いて、色素が変わ
るたびに最適溶剤、組成、塗布パターンの条件を探し出
す必要があった。また、最適の溶剤、組成、塗布条件を
設定しても、スタンパの設計が異なると、即ち、プリピ
ットやプリグルーブの幅や溝深さが変更されると、以前
の最適の溶剤、組成、塗布条件が無意味となり兼ねな
い。このため、非常に研究・開発の効率が悪く、また生
産性の大幅な低下を招くことになっていた。加えて、従
来の層構成及び製造方法では、上述したような観点から
ROM部と追記部をディスク上の任意の場所に設けた
り、ディスク上にROM部、あるいは追記部を複数持た
せることが困難であった。また、上記のようにスピンコ
ート法による色素の塗り方で光記録媒体の信号特性が変
わってしまう。この色素の成膜条件による変動の影響
は、記録・再生波長が短波長化するほどより顕著とな
る。
【0013】他に、DVD−Rの技術として、案内溝を
有する基板上に、色素層、金属反射層を設けたものや、
他の平板基板を接着層により貼り合わせたものが知られ
ており、この構成は後述の本発明と類似するが、詳細な
層構成、各層に要求される項目、発明の課題は本発明と
全く異なり、2枚貼り合わせるのは単に機械的強度達成
のため、及び付随的効果として容量向上のためであるに
すぎない。
【0014】次にB)のランド・アンド・グルーブ記録
は、従来案内溝としてしか使用されていなかったランド
部又はグルーブ部にも記録することで2倍程度の容量ア
ップを図ろうとするものであるから、基本的にランド部
とグルーブ部との記録特性及び再生信号特性がほぼ等し
いことが前提となる。しかしながら、塗布型記録層の膜
厚は、原理的にグルーブ部で厚くランド部で薄くなる
(溝が埋まる)ため、ランド部とグルーブ部の記録特性
及び再生信号特性が全く異なってしまう。実際問題とし
て、現状のCD−R、DVD−R光記録媒体ではグルー
ブ記録は可能であるがランド記録では充分な信号特性が
得られていない。従って現状では、この記録・再生法は
ドライプロセスにより成膜できる記録材料(無機系、蒸
着系色素)にしか適用出来ていない。
【0015】他に、本発明に関連する技術として、特開
昭56−61047号公報に、トラッキング用案内溝を
設けた基板上に反射層を形成し、次いで溝部を埋めて平
坦化した後、その上に記録層を形成した発明が開示され
ており、特開昭56−61048号公報には、透明基体
に形成した情報トラック溝を、基体と屈折率の異なる材
料で埋めて平坦化し、その上に光学的記録層を設けた発
明が開示されているが、本発明の課題であるランド・ア
ンド・グルーブ記録による大容量化等については記載さ
れていない。また、グルーブ底部とランド部の光学的膜
厚、ピット部とピット間部の光学的膜厚、グルーブの形
状に関するもの(特開平4−76836号公報、特開平
4−111241号公報、特開平4−132027号公
報、特開平3−022224号公報)、ROM領域と記
録可能領域を有する記録媒体の記録特性に関するもの
(特開平4−172635号公報、特開平4−3375
38号公報、特開平5−073964号公報、特開平5
−114178号公報、特開平5−144098号公
報)などがあるが、本発明の基本構成については記載も
示唆もされていない。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、塗布型色素
記録層を有する光記録媒体であって、色素の塗布条件が
変わってもプリグルーブからのトラッキングエラー信号
やプリピットからの情報信号が大きく変動することがな
く、安定したフォーカシング及びトラッキング信号が得
られ、生産性が高く低コスト生産可能であり、高変調度
でかつ記録パワーマージンの大きい高密度狭トラックピ
ッチ光記録媒体、及び高密度狭トラックピッチハイブリ
ッド型光記録媒体、並びにそれらの記録媒体の記録・再
生方法を提供することを目的とする。また、本発明は、
塗布型色素記録層を有する光記録媒体であって、安定し
たトラッキング信号が得られ、かつランド部とグルーブ
部の両方に記録することにより大容量化を図ることがで
きる、ランド・アンド・グルーブ記録が可能な光記録媒
体、その記録・再生方法、及びその製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】上記課題は、次の1)〜
26)の発明(以下、本発明1〜26という)によって
解決される。 1) 表面に案内溝を有する基板上に、少なくとも金属
反射層、色素を含有する記録層、及び保護層が順に積層
され、該記録層により、該案内溝の凹凸が平坦化されて
いる光記録媒体。 2) 表面に案内溝を有する第一基板上に、少なくとも
金属反射層、色素を含有する記録層が順に積層され、更
に保護層を介して又は介さずに、接着層、第二基板が順
に積層され、該記録層により、該案内溝の凹凸が平坦化
されている光記録媒体。 3) あらかじめ情報が記録されたROM(再生専用)
部と、追記が可能な領域であって案内溝があらかじめ設
けられた部分とを併せ持つ基板上に、少なくとも金属反
射層、色素を含有する記録層、及び保護層が順に積層さ
れ、該記録層により、該案内溝の凹凸が平坦化されてい
る光記録媒体。 4) あらかじめ情報が記録されたROM部と、追記が
可能な領域であって案内溝があらかじめ設けられた部分
とを併せ持つ第一基板上に、少なくとも金属反射層、色
素を含有する記録層が順に積層され、更に保護層を介し
て又は介さずに、接着層、第二基板が順に積層され、該
記録層により、該案内溝の凹凸が平坦化されている光記
録媒体。 5) 記録層が色素を含有する記録層材料の溶液を塗布
することにより形成されたものである1)〜4)のいず
れかに記載の光記録媒体。 6) 記録層の次に緩衝層が積層されている1)〜5)
のいずれかに記載の光記録媒体。 7) 緩衝層が有機物質からなることを特徴とする6)
記載の光記録媒体。 8) 緩衝層を構成する材料のガラス転移温度が100
〜200℃の範囲にある6)又は7)記載の光記録媒
体。 9) 緩衝層が接着性材料よりなり、接着層を兼ねるも
のである6)〜8)のいずれかに記載の光記録媒体。 10) 緩衝層が、最外層に相当する保護層又は第二基
板の変形によるピット形成を助長する機能を有する6)
〜9)のいずれかに記載の光記録媒体。 11) 情報の記録・再生を最外層に相当する保護層又
は第二基板側から行う1)〜10)のいずれかに記載の
光記録媒体の記録・再生方法。 12) 緩衝層が有する最外層に相当する保護層又は第
二基板の変形によるピット形成を助長する機能を利用し
て、10)記載の光記録媒体に記録を行う記録方法。 13) 案内溝を有する基板(第一基板)上に、少なく
とも、基板より屈折率の高い下引き層と、色素を含有す
る塗布型記録層が順に設けられ、該下引き層により該基
板表面に存在する案内溝凹凸が平坦化されている光記録
媒体。 14) 記録層上に、保護層が設けられている13)記
載の光記録媒体。 15) 13)記載の光記録媒体上に、第二基板が、接
着層を介して一定の空間を隔てて設けられているエアー
サンドイッチ型光記録媒体。 16) 案内溝を有する基板(第一基板)上に、少なく
とも、基板より屈折率の高い下引き層、色素を含有する
塗布型記録層、及び金属反射層が順に設けられ、該下引
き層により該基板表面に存在する案内溝凹凸が平坦化さ
れている光記録媒体。 17) 金属反射層が、金、銀、アルミニウム又はその
合金から選ばれた少なくとも一つの材料からなる16)
記載の光記録媒体。 18) 金属反射層上に、保護層が設けられている1
6)又は17)記載の光記録媒体。 19) 最上層である金属反射層又は保護層の上に、接
着層を介して第二基板が貼り合わされている16)〜1
8)の何れかに記載の光記録媒体。 20) 基板上のトラッキング用案内溝のトラックピッ
チ(P)が、0.8×λ/NA≦P≦1.3×λ/NA
〔λ:記録・再生波長(μm)、NA:対物レンズの開
口数〕である13)〜19)の何れかに記載の光記録媒
体。 21) 下引き層が光学的に多重干渉効果を有する構造
である13)〜20)の何れかに記載の光記録媒体。 22) 下引き層が記録・再生波長域に実用上吸収能を
有しない色素を主成分とする材料からなる13)〜2
1)の何れかに記載の光記録媒体。 23) 案内溝グルーブ部(凹部)及び案内溝ランド部
(凸部)に、透明な基板側から光を照射して情報の記録
・再生を行う13)〜22)の何れかに記載の光記録媒
体の記録・再生方法。 24) 記録・再生波長が400〜550nmである2
3)記載の光記録・再生方法。 25) 下引き層を、沸点が120℃以上の溶媒を用い
て溶液塗布法により形成する13)〜22)の何れかに
記載の光記録媒体の製造方法。 26) 記録層を、下引き層を溶解しない溶媒を用いて
溶液塗布法により形成する13)〜22)の何れかに記
載の光記録媒体の製造方法。
【0018】以下、上記本発明について詳細に説明する
が、便宜上、本発明1〜12を本願第一発明、本発明1
3〜26を本願第二発明と呼ぶことにする。先ず、本願
第一発明について説明する。ROM部のプリピット信号
からの反射光量や追記部のプリグルーブからのトラッキ
ングエラー信号光量は、最も大きな反射係数を持つ境界
面で決定される。即ち、この大きな反射係数を持つ境界
面での記録部と非記録部、あるいはプリグルーブの有る
場所と無い場所との間の位相変化量で決まる。従来から
用いられている基板、色素を含む記録層、金属反射層、
保護層等の層構成では、最も大きな反射係数を持つ色素
と金属反射層との境界面で決定される。従って、この色
素と金属反射層の界面で明瞭な凹凸による位相変化を持
たせることができるならば、色素のプリピット部やプリ
グルーブ部の溝埋まり具合をあまり気にしなくてもよく
なる訳である。
【0019】この点について詳しく説明すると、従来の
再生方法では、プリピットやプリグルーブが刻まれた部
分とプリピットやプリグルーブがない部分でそれぞれ反
射された光の干渉によって記録情報やトラッキングエラ
ー信号が発生する。その干渉の様子を示したのが図2
(a)〜(b)であり、図中の窪みはプリピット又はプ
リグルーブである。色素記録層がないCD−ROMある
いはDVD−ROMの場合は、入射光の反射が主に基板
と反射層の界面で決まるため、基板上に刻まれたプリピ
ット又はプリグルーブの形状、深さが直接に再生信号や
トラッキングエラー信号に反映される〔図2(a)〕。
一方、色素記録層を設けたCD−R、DVD−R、ある
いはハイブリッドCD−R、ハイブリッドDVD−Rで
は、入射光の反射が主に色素を含む記録層と反射層界面
で決まる。そのため、プリピットやプリグルーブが刻ま
れた部分とプリピットやプリグルーブがない部分でそれ
ぞれ反射された光の干渉は、基板上にあらかじめ設けら
れたプリピットやプリグルーブの溝形状や深さに依存せ
ず、プリピットやプリグルーブの溝への色素の埋まり具
合、埋まり形状に支配されることになる。
【0020】従来の構成(図2)によれば、プリグルー
ブ又はプリピットが存在する部分と存在しない部分との
位相差は、プリグルーブ又はプリピット部を基準とすれ
ば、次の式(I)のようになる。 (4π/λ){(n+n−n(d+d−d)} =(4π/λ){(n−n)d+n}………………(I) (但し、λ:記録・再生波長、n:基板の複素屈折
率、n:色素を含む記録層の複素屈折率、d
、d:図2に示す厚み。) ところで、プリピットやプリグルーブの最適化を行う場
合、つまりスタンパ作製時にはdを設定するが、従来
構成における位相差は、式(I)を見ても分かるよう
に、dよりもむしろd、つまり色素のプリピットや
プリグルーブへの埋まり具合に大きく左右される(明ら
かにdにかかる係数nは、dにかかる係数n
より大きい)。
【0021】次に、我々が、特開平10−340483
号公報に係る出願において提案した新しい層構成の記録
媒体、及びその記録・再生方法(以下、先願発明とい
う)を図3(a)〜(b)に示す。この先願発明によれ
ば、追記型光記録媒体の場合にはプリグルーブからのト
ラッキングエラー信号が最適化され、また、ハイブリッ
ド型光記録媒体の場合にはROM部のピットからの信号
と追記部のプリグルーブからのトラッキングエラー信号
の両者が同時に最適化され、かつこれらの最適化が色素
塗布条件によって大きく変動する現象をなくし、生産性
が高くコスト低減となるような、また研究・開発の大幅
な効率向上が図れるような、更にはレーザ光の短波長化
による高密度化に対応できるような光記録媒体、及びそ
の記録・再生方法が提供される。
【0022】また、先願発明では、プリピットやプリグ
ルーブが刻まれた基板上に反射層、次いで色素を含む記
録層という構成をとり、この記録層側から記録・再生を
するため、記録情報の再生信号及びトラッキングに必要
な信号は、基板上にあらかじめ刻まれたプリピットやプ
リグルーブの界面からの主反射により得られる。プリピ
ットやプリグルーブからの主反射は色素層と反射層の界
面であり、この色素層と反射層界面は反射層の形状に依
存するが、この構成では反射層を設けた後のプリピット
又はプリグルーブの形状は、基板のプリピット又はプリ
グルーブの形状をほぼそのまま反映し、再生信号やトラ
ッキングエラー信号は、反射層上に設けられた色素の形
状、言い換えれば反射層が設けられたプリピットやプリ
グルーブの溝への色素の埋まり具合や形状に大きく依存
しないようにすることが可能となる。
【0023】図3によれば、プリグルーブ又はプリピッ
トの存在する部分と存在しない部分との位相差は、プリ
グルーブ又はプリピット部を基準とすれば、次の式(I
I)のようになる。 (4π/λ){n−〔n+n(d+d−d)〕} =(4π/λ){(n−n)d−n}………………(II) (但し、λ:記録・再生波長、n:色素を含む記録層
の複素屈折率、n:接着層の複素屈折率、d
、d:図3に示す厚み。) 式(II)から分かるように、先願発明では、位相差はほ
ぼdによって決まり、d、つまり色素層のプリピッ
トやプリグルーブへの埋まり具合にはあまり左右されな
い。即ち、従来方法ではいくらスタンパ作製時にプリピ
ットやプリグルーブを最適化しても、色素の塗布状態に
よって特性が大きく変動し、プリピットやプリグルーブ
の設計は何度となく繰り返され、あるいは塗布条件を最
適化する必要があるが、先願発明ではスタンパ作製時に
設定したプリピットやプリグルーブの深さがディスク化
されてもそのまま生かされる。
【0024】ハイブリッド型の光記録媒体(図1)にお
いても同様で、従来方法ではプリグルーブやプリピット
への色素の溝の埋まり具合によって所望の位相差を達成
するためには、初期の溝深さdを大きく変化させなけ
ればならず、色素の埋まり具合を調整できない場合、あ
るいは色素や溶剤の種類、組成比などを変えた場合等
は、新たにスタンパの設計を行わなければならない。こ
れに対して、先願発明の方法では、プリグルーブやプリ
ピットへの色素の埋まり具合が多少変化しても、所望の
位相差を達成するための溝深さは大きく変化しないた
め、仮に色素や溶剤の種類、組成比などを変えた場合で
も塗布条件によって位相差を調整することが可能とな
る。この効果は高密度狭トラックピッチ化媒体程、より
顕著に現れる。即ち、トラックピッチが狭くなればなる
程グルーブ凹凸上の溶剤塗布法で形成する色素層膜厚の
差(d−d)は大きくなるため、従来のR構造では
狭トラックピッチ化する程急激にトラッキング信号が低
下しトラッキング不能となる。また従来のハイブリッド
構造でも同様の影響により、プリピット及び追記部のプ
リグルーブへの埋まり具合の差を考慮に入れたスタンパ
を最適化するための色素を溶解させる溶剤の種類や組
成、塗布パターン等の調整がより制限され、狭トラック
ピッチ化するほど実現が困難となるが、先願発明の構造
では、グルーブ凹凸上での色素層膜厚の差(d
)の影響は殆どなく、高密度狭トラックピッチ化媒
体への対応が可能となる。
【0025】前述のように、従来技術では様々な問題を
抱えており、次のような問題点も有している。 1.プリピットやプリグルーブの界面形状を保つために
は、色素を含む記録層の膜厚を非常に薄くすれば良い
が、色素膜厚を薄くすると記録コントラストが低下し、
追記型としては利用できない。 2.逆に良好な記録コントラストを得るためにある程度
以上の記録層膜厚にすると、プリピットやプリグルーブ
に色素が必要以上に埋まってしまい、再生信号やトラッ
キングエラー信号が微弱化する(位相差の変化が激し
い)。 3.ROM部と追記部を併せ持つハイブリッド型では、
プリピットとプリグルーブの最適溝深さが異なるため、
スピンコーティングによるプリピットとプリグルーブへ
の色素の埋まり具合を、両者が最適になるように制御す
ることは非常に困難である。そのため色素の溝への埋ま
り具合、成膜条件等を考慮に入れて、あらかじめ溝形
状、深さを最適化した基板を用いる必要がある。
【0026】これらの問題に対し、先願発明によれば、
案内溝が形成されている基板上にドライプロセスによる
金属反射層を設け、その上に塗布による色素層を形成
し、更にその上に保護層又は第二基板を形成して記録媒
体とすることによって、色素の埋まり具合が再生信号や
トラッキングエラー信号に与える影響を小さくすること
ができるため、色素の膜厚の許容幅が広がり、ハイブリ
ッド型においても、色素の埋まり具合がROM部のプリ
ピット部と追記部のプリグルーブ部で全く異なっていて
も問題の生じる可能性が少なくなるので、前記1〜3の
問題点は一挙に解決される。しかしながら先願発明で
は、色素と保護層又は第二基板界面が基板案内溝を反映
した凹凸形状となっているため、そこからの反射光によ
る影響が、本来の金属反射層と色素界面からのフォーカ
シング及びトラッキング信号のノイズ源となり、信号が
不安定になる傾向がみられる。
【0027】これに対し、本発明では、新たに提案した
ディスク構成を有し、更に色素を含有する記録層を、基
板表面に存在する案内溝の凹凸を平坦化するように設け
ることで、より安定したフォーカシング及びトラッキン
グ信号を得ることができる。記録層の形成は、記録層材
料の溶液を塗布する方法が好ましい。位相差を発生する
光の干渉の様子を図4(a)、(b)に示すが、記録層
が平坦化されているため、基板凹部と凸部での記録層と
保護層又は第二基板との界面からの反射光による干渉効
果がなく、フォーカシング及びトラッキング信号はより
安定する。
【0028】本発明では、この新たに提案した媒体構成
及びその記録・再生法に対し、一層高変調度記録可能で
かつ記録パワーマージンの大きな光記録媒体、及びその
記録・再生方法をも提供することができる。その光記録
媒体の層構成を図4(c)、(d)に示す。その特徴
は、先に提案した層構成に対し色素層と基板との間に緩
衝層を導入することにより、記録時の基板変形及び緩衝
層の変形による位相差をより大きくでき、かつ記録パワ
ーマージンも大きくできる点にある。
【0029】記録媒体の層構成としては、前記1)〜
4)のような基本構成とし、好ましくは6)〜10)の
ような緩衝層を設ける。記録・再生方法としては、前記
11)のように、情報の記録・再生を最外層に相当する
保護層及び/又は第二基板側から行うことが好ましく、
緩衝層を有する場合には、前記12)のように、基板の
変形によるピットの形成を助長する緩衝層の機能を利用
して効率良く記録・再生を行うことができる。
【0030】次に、本願第二発明について説明する。従
来、ランド・アンド・グルーブ光記録媒体としては無機
系媒体を中心に開発が進められてきた。何故ならば膜形
成がドライプロセスによるため、ランド部及びグルーブ
部の記録層及びその他の必要層の膜厚をほぼ等しくする
ことができ、前述のランド・アンド・グルーブ光記録媒
体に必要な条件を満たすからである。一方、前述のよう
に、塗布型色素系光記録媒体の場合には、塗布された色
素によりグルーブが埋まってしまい、ランド部とグルー
ブ部の色素の膜厚に大きな差ができるため、ランド部と
グルーブ部とではその必要記録パワー及び信号特性が全
く異なることになり、ランド・アンド・グルーブ記録が
不可能であった。しかし、何らかの工夫によりランド部
とグルーブ部との色素の膜厚がほぼ等しいか、又は見掛
け上膜厚がほぼ等しい場合と同等な効果が得られる構造
にできれば、必要な記録パワー及び信号特性をほぼ等し
くすることができ、ランド・アンド・グルーブ記録が可
能となる。
【0031】このような背景の中で、本発明者らは新た
な構造を着想することにより、塗布による色素記録層に
おいて、ランド部とグルーブ部の色素の膜厚をほぼ等し
くすることに成功し、必要な記録パワー及び信号特性が
ほぼ等しい塗布型色素記録層を有する、ランド・アンド
・グルーブ記録が可能な光記録媒体を開発するに至った
ものである。なお、上記発明21)の「多重干渉効果を
有する構造」によれば、高反射率が得られるが、後述す
る実施例は、ほぼその構造に近い状態に設定されている
ものである。また、上記発明22)の「実用上吸収能を
有しない」というのは、実用上は、記録層を変化させる
のに充分な光が記録層に届けばよく、ある程度下引き層
に吸収能があっても構わないということを意味する。記
録・再生波長域をその吸収長波長端に有する色素はその
一例であって、これを用いれば、吸収能が小さくかつ高
屈折率が得られる。
【0032】着想した新たな構造の例を図5(WORM
構造)及び図7(CD−R、DVD−R構造)に示す。
基板は従来と同様に案内溝(ランド及びグルーブ)を有
し、その上に基板よりも高屈折率の材料を用いて基板表
面に存在する案内溝の凹凸(グルーブ部及びランド部)
を平坦化するように下引き層を設け、次いで従来の溶液
塗布法により記録層を形成したのがWORM構造(図
5)であり、更にその上に金属反射層を形成したのがC
D−R、DVD−R構造(図7)である。図6及び図8
は、従来のWORM構造及びCD−R、DVD−R構造
である。
【0033】トラッキングは、基板上に設けた、グルー
ブ部とランド部形状を反映した下引き層におけるグルー
ブ部とランド部の位相差を利用してなされる。そのため
には、下引き層材料として基板より屈折率の高いものを
用いることが好ましく、更にはグルーブ部とランド部の
位相差をより大きく検出できる光学的に多重干渉効果を
持たせた下引き層膜厚及びグルーブ深さとすることが好
ましい。この上に従来法と同じ溶液塗布法による色素記
録層を設ける。基板の案内溝の凹凸(グルーブ部及びラ
ンド部)は下引き層により平坦化されているためグルー
ブ部及びランド部上の色素膜厚は同等となり、グルーブ
部及びランド部への記録・再生特性(必要記録パワー及
び再生信号特性)はほぼ等しくなり、ランド・アンド・
グルーブ記録が可能となる。
【0034】次世代の光ディスクは記録・再生波長とし
て青色レーザ(発振波長400nm〜550nm)を用
いることが予想される。レーザビーム径〔λ/NA:λ
は記録・再生波長(μm)、NAは対物レンズの開口
数〕とトラックピッチの関係は、トラックピッチがレー
ザビーム径の1.3倍を越すと、半径方向の記録密度の
冗長度が大きくなり高密度化が達成できず、一方、レー
ザビーム径の0.8倍以下ではクロストークやエラーレ
ートが大きくなるので好ましくない。また、使用するレ
ーザ発振波長が短くなるにつれてトラックピッチ幅も狭
まり、従来構造の塗布型光記録媒体では、記録層材料が
ランド部よりもグルーブ内に埋まり易くなり、制御がよ
り難しくなる。これに対し、本発明の媒体構造は、従来
構造では実現不可能な発振波長400〜550nmのレ
ーザを用いて記録・再生を行うような、トラックピッチ
がレーザビーム径の0.8倍から1.3倍である塗布型
色素系光記録媒体に特に有効である。前述の基板/下引
き層/色素記録層からなる本発明の光記録媒体には、必
要に応じて更に保護層を設けても良く、接着層を介して
エアーサンドイッチ構造としても良い。また、基板/下
引き層/色素記録層/金属反射層からなる本発明の光記
録媒体には、必要に応じて更に保護層を設けても良く、
接着層を介して第二基板と貼り合わせても良い。
【0035】次に各層の具体的な必要物性と材料の例を
示す。 《基板》基板の必要特性としては、基板側より記録・再
生を行う場合のみ使用レーザ光に対して透明でなければ
ならず、記録層側から記録・再生を行う場合は透明であ
る必要はない。したがって、本発明では、基板を1層し
か用いない場合は、基板は透明である必要はなく、基板
2枚をサンドイッチ状で用いる場合は、光が入射する方
の基板(第二基板)のみが透明であれば、他の基板(第
一基板)の透明、不透明は問わない。基板材料として
は、例えば、ポリエステル、アクリル樹脂、ポリアミ
ド、ポリカーボネート、ポリオレフィン、フェノール樹
脂、エポキシ樹脂、ポリイミドなどのプラスチック、又
はガラス、セラミック、金属などを用いることができ
る。なお、基板を1層しか用いない場合、あるいは基板
2枚をサンドイッチ状で用いる場合には、第一基板の表
面にトラッキング用の案内溝や案内ピット、更にはアド
レス信号などのプレフォーマットが形成されている必要
がある。
【0036】《下引き層》下引き層材料としては、使用
する記録・再生レーザ光波長域において実用上透明であ
り、基板より屈折率の高いものであることが必要であ
る。下引き層は、(a)接着性の向上、(b)水又はガ
スなどのバリアー、(c)記録層の保存安定性の向上、
(d)反射率の向上、(e)溶剤からの基板の保護、
(f)案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形成な
どを目的として使用される。(a)の目的に対しては、
高分子材料例えば、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹
脂、ビニル樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、
液状ゴムなどの種々の高分子化合物及び、シランカップ
リング剤などを用いることができ、(b)及び(c)の
目的に対しては、上記高分子材料以外に、SiO、Mg
F、SiO、TiO、ZnO、TiN、SiNなどの
無機化合物や、Zn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、
Au、Ag、Alなどの金属又は半金属を用いることが
できる。また、(d)の目的に対しては、Al、Au、
Ag等の金属や、金属光沢を有する有機薄膜、例えば、
メチン染料、キサンテン系染料などを挙げることがで
き、(e)(f)の目的に対しては、紫外線硬化樹脂、
熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂等を用いることができる。下
引き層の膜厚としては、0.01〜30μm、好ましく
は、0.05〜10μmが適当である。
【0037】下引き層の形成方法としては、有機材料の
場合には、上記材料を溶媒に溶解し、スプレー、ローラ
ーコーティング、ディッピング、及びスピンコーティン
グなどの慣用のコーティング法を用いて塗布すればよい
が、基板表面に存在する凹凸を平坦化する必要がある本
発明の性格上、スピンコーティングが最も好ましい。溶
媒としては、1,1,2,2−テトラフルオロプロパノ
ール、1−メトキシ−2−プロパノール、n−ブタノー
ル、1,2−ジクロルエタン、又はそれらの混合物など
が用いられるが、これらに限定されるものではない。但
し、凹凸の平坦化は塗布条件に大きく依存し、特に溶媒
の乾燥速度に依存する。乾燥速度が遅いほど平坦化し易
いので、沸点120℃以上の溶媒が含有されていること
が好ましく、それより低い沸点のものでは満足し得る平
坦化は得られない。沸点が120℃以上の溶媒として
は、1−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、
イソペンチルアルコール、2−メトキシエタノール、2
−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、1−エトキシ−2−プロパノール、ジアセトンアル
コール、2−クロルエタノール、1−クロル−2−プロ
パノール、2−(ジメチルアミノ)エタノール、2−
(ジエチルアミノ)エタノール、2−メトキシエチルア
セテート、2−エトキシエチルアセテート、2−ヘキサ
ノン、2−ペンタノン、4−ペンタノン、ジイソブチル
ケトン、メシチルオキシド、シクロヘキサノン、メチル
シクロハキサノン等が挙げられる。また、無機材料の場
合には、蒸着やスパッタリングなどの方法を用いる。
【0038】《金属反射層》反射層には、単体で高反射
率が得られ、かつ腐食され難い金属、半金属等が用いら
れる。具体例としては、Au、Ag、Cu、Cr、N
i、Alなどが挙げられ、好ましいのはAu、Ag、A
lである。これらの金属、半金属は単独で使用してもよ
く、2種以上の合金としてもよい。また、誘電体の多層
膜を利用しても良い。製膜方法としては、蒸着、スパッ
タリングなどが挙げられ、膜厚は50〜3000Å、好
ましくは100〜1000Åである。
【0039】《記録層》色素としては、例えばポリメチ
ン系、スクアリリウム系、ピリリウム系、ポルフィリン
系、ポルフィラジン系、アゾ系、アゾメチン系、キノン
系染料、及びその金属錯体化合物、紫外線吸収剤などが
挙げられ、これらの染料を単独で用いても、2種以上組
合わせて用いてもよい。また、上記染料中に、例えば、
In、Te、Bi、Al、Be、As、Cd、Te
、SnOなどの金属や金属化合物を分散混合させて
もよい。更に、記録層は単層構造である必要はなく積層
構造でもよい。うまく設計して積層化すれば高反射率化
やピット形状の制御が可能となる。更に、上記染料中
に、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニ
ル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種
々の高分子材料、又はシランカップリング剤などを分散
混合して用いてもよいし、あるいは特性改良の目的で、
安定剤(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑
剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを添加するこ
ともできる。
【0040】塗布法を用いる場合には、上記染料などを
有機溶媒に溶解させ、スプレー、ローラーコーティン
グ、ディッピング、及びスピンコーティングなどの慣用
のコーティング法によって塗布すればよいが、本発明の
性格上スピンコーティングが最も好ましい。有機溶媒と
しては、一般にメタノール、エタノール、イソプロパノ
ールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノンなどのケトン類、N,N−ジメチ
ルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミドなどの
アミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド
類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテ
ル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエー
テル類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;ク
ロロホルム、塩化メチレン、ジクロルエタン、四塩化炭
素、トリクロルエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭素類;
あるいは、ベンゼン、キシレン、モノクロルベンゼン、
ジクロロベンゼンなどの芳香族類;メトキシエタノー
ル、エトキシエタノールなどのセルソルブ類;ヘキサ
ン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン
などの炭化水素類などを用いることができる。記録層の
膜厚は、100Å〜1μm、好ましくは200〜100
0Åが適当である。
【0041】《緩衝層》緩衝層は基板の変形を助長する
層として、変形しやすく、適度な流動性のある有機材料
で形成することが好ましい。そのため緩衝層のガラス転
移温度は100〜200℃の範囲にあることが好まし
く、100℃未満であると記録保存性が低下し、200
℃を超えると基板変形を阻害し感度を低下させる。緩衝
層の膜厚は、記録媒体の反射率が高く取れるように反射
層、色素の光学定数、膜厚とのチューニングにより決定
されるが、10〜1000nmが好ましい。具体的な材
料例としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセ
タール、ポリアクリレート、ポリエステル、ポリエーテ
ル、ポリスチレン、ポリウレタン、セルロース樹脂、不
飽和脂肪酸(fattic acid)と他のモノマー
との共重合体など比較的分子量の小さな高分子材料が好
ましい。これらは単独で用いても良く、2種以上を混合
して用いても良い。
【0042】《保護層・基板表面ハードコート層》保護
層、又は基板表面ハードコート層は、(a)記録層(反
射吸収層)の、傷、埃、汚れ等からの保護、(b)記録
層(反射吸収層)の保存安定性の向上、(c)反射率の
向上、等を目的として使用される。これらの目的に対し
ては、前記下引き層に示した材料を用いることができ
る。また無機材料として、SiO、SiOなども用い
ることができ、有機材料として、ポリメチルアクリレー
ト、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリスチレン、
ポリエステル、ビニル樹脂、セルロース、脂肪族炭化水
素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレン−ブ
タジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッ
ド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂も
用いることができる。上記材料の内、保護層又は基板表
面のハードコート層に最も好ましい物質は、生産性に優
れた紫外線硬化樹脂である。保護層又は基板表面のハー
ドコート層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは
0.05〜10μmである。本発明において、前記下引
き層、保護層、及び基板表面のハードコート層には、記
録層の場合と同様に、安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、
帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることが
できる。
【0043】《接着層》接着層には透明な高分子化合物
が使用できる。本発明において特に好ましいのは紫外線
硬化型接着剤、又はホットメルト型(熱溶融型)接着剤
である。紫外線硬化型接着剤は、紫外線照射によってラ
ジカル重合が開始され硬化する接着剤であり、その組成
は、一般的に(1)アクリル系オリゴマー、(2)アク
リル系モノマー、(3)光重合開始剤、(4)重合禁止
剤からなる。オリゴマーとしてはポリエステル系、ポリ
ウレタン系又はエポキシ系アクリル酸エステル等が用い
られ、光重合開始剤としてはベンゾフェノン、ベンゾイ
ンエーテル等が用いられる。ホットメルト接着剤は、常
温固体の熱可塑性樹脂の熱溶融、冷却固化に伴う物理変
化により接着力が発現するものであり、溶剤揮散や反応
によって硬化し接着力が発現する液状接着剤とは異な
る。その例としては、EVA(エチレン・ビニルアルコ
ール共重合体)、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリ
ウレタン系のもの等が挙げられる。
【0044】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定さ
れるものではない。
【0045】先ず、本願第一発明に関する実施例及び比
較例を示す。 実施例1 深さ550Å、半値幅0.30μm、トラックピッチ
0.74μmの案内溝(螺旋方向が従来と逆)を有する
厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板(第一
基板)上に、スパッタ法により金からなる膜厚2000
Åの反射層を設けた。その上に下記化合物(3)を1,
1,2,2−テトラフルオロプロパノールと2,2,
3,3,4,4,5,5−オクタフルオロペンタノール
の混合溶媒に溶解させた溶液を、基板表面に存在する案
内溝凹凸を平坦化するようにスピンナー塗布し、第二基
板側からの反射率が70%となる膜厚の有機色素層を形
成した。更にその上にフォトポリマーによる保護層を2
μm設けた後、厚さ0.6mmの平滑な射出成形ポリカ
ーボネート基板(第二基板)をホットメルト接着剤によ
り接着して記録媒体とした。
【0046】
【化1】 〔上記式中、Etは、−(Cを表わす。〕
【0047】実施例2 実施例1と同様にして、基板上に反射層を設け、その上
に上記化合物(3)を1,1,2,2−テトラフルオロ
プロパノールとエチルセルソルブの混合溶媒に溶解させ
た溶液を、基板表面に存在する案内溝凹凸を平坦化する
ようにスピンナー塗布し、第二基板側からの反射率が7
0%となる膜厚に有機色素層を形成した。更にその上
に、フォトポリマーからなる膜厚2μmの保護層を設け
た後、厚さ0.6mmの平滑な射出成形ポリカーボネー
ト基板(第二基板)をフォトポリマー接着剤により接着
して記録媒体とした。
【0048】実施例3 実施例1と同様にして、基板上に反射層、及び基板表面
に存在する案内溝凹凸を平坦化する有機色素層を形成し
た。続いてその上に、石油樹脂のヘキサン溶液をスピン
ナー塗布して膜厚1μmの緩衝層を設けた後、厚さ0.
6mmの平滑な射出成形ポリカーボネート基板(第二基
板)をフォトポリマー接着剤により接着して記録媒体と
した。
【0049】実施例4 実施例3における緩衝層を、膜厚2μmのポリスチレン
蒸着層に変えた点を除き、実施例3と同様にして記録媒
体を作製した。
【0050】実施例5 フォトポリマーによる保護層を省いた点を除き、実施例
1と同様にして記録媒体を作製した。本実施例では、有
機色素層とポリカーボネート基板(第二基板)とが直接
ホットメルト接着剤で接着されており、ホットメルト接
着層が緩衝層を兼ねるものである。
【0051】実施例6 基板上の内周部の一部に深さ1000Åのプレピットを
有し、それ以外の外周部は深さ550Å、半値幅0.3
0μm、トラックピッチ0.74μmの案内溝(螺旋方
向が従来と逆)を有する厚さ0.6mmの射出成形ポリ
カーボネート基板(第一基板)上に、実施例1と同様に
して、反射層、基板表面に存在する案内溝凹凸を平坦化
するように塗布した有機色素層、保護層、第二基板を形
成し記録媒体とした。
【0052】比較例1(従来法による媒体) 深さ1700Å、半値幅0.24μm、トラックピッチ
0.74μmの案内溝を有する厚さ0.6mmの射出成
形ポリカーボネート基板(第一基板)上に、上記化合物
(3)の1,1,2,2−テトラフルオロプロパノール
溶液を、反射率が70%となる膜厚にスピンナー塗布し
て有機色素層を形成した。更にその上に、スパッタ法に
より金からなる膜厚2000Åの反射層を設けた後、厚
さ0.6mmの平滑な射出成形ポリカーボネート基板
(第二基板)をホットメルト接着剤により接着して記録
媒体とした。
【0053】比較例2 色素塗布溶剤を1,1,2,2−テトラフルオロプロパ
ノールのみとし、基板表面に存在する案内溝凹凸形状が
反映された凹凸形状が存在するようにスピンナー塗布
し、第二基板側からの反射率が70%となる膜厚に有機
色素層を形成した点を除き、実施例1と同様にして記録
媒体を作製した。
【0054】以上のようにして得られた各記録媒体に、
発振波長650nm、ビーム径1.0μmの半導体レー
ザ光を用い、実施例1〜5及び比較例2は第二基板面か
ら、比較例1は第一基板面から、トラッキングしながら
EFM信号(線速3.5m/sec)を記録し、発振波
長650nmの半導体レーザの連続光(再生パワー0.
7mW)で再生した。評価結果を表1に纏めて示す。評
価基準は次の通りである。 ◎: DVD−R規格に対し、大きなマージンをもって準拠
する。 ○: DVD−R規格に準拠する。 △: DVD−R規格を満たさない。
【0055】
【表1】
【0056】表1から分かるように、実施例1〜6の再
生信号の品質(変調度と記録パワーマージン)は、比較
例1よりは優れ、比較例2とは同等以上であり、緩衝層
を有するものは比較例よりも変調度が高かった。また、
比較例2は記録後のフォーカシング及びトラッキングの
信号が記録・再生位置を急速に変化させた場合に不安定
となり、フォーカシングやトラッキングが外れることが
あったが、実施例1〜6では安定した信号出力が得られ
た。更に比較例1の従来法による媒体では、基板内周部
に案内溝よりも深いプレピットを形成するハイブリッド
記録媒体は実現できなかった。即ち、プレピットの深さ
が2000Å以上では成形の際の転写性が悪くて正確な
プレピットが形成できず、プレピットの深さが2000
Å未満では色素塗布後のプレピットからの再生信号が得
られなかった。
【0057】次に、本願第二発明に関する実施例及び比
較例を示す。 実施例7 グルーブ溝形状が、深さ550Å、半値幅0.32μm
で、トラックピッチが0.74μmの案内溝を有する厚
さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板(第一基
板)上に、下記化合物(1)と1,1,2,2−テトラ
フルオロプロパノール/1−メトキシ−2−プロパノー
ル(重量比60/40)混合溶媒とからなる溶液を、グ
ルーブ部及びランド部が平滑となるようにスピンナー塗
布して下引き層を形成し、その上に下記化合物(2)と
メチルシクロヘキサン/THF(テトラヒドロフラン)
(量重比90/10)混合溶媒とからなる溶液をスピン
ナー塗布して膜厚600Åの色素記録層を形成し、更に
厚さ0.6mmの平滑な射出成形ポリカーボネート基板
(第二基板)をエアーサンドイッチ構造に接着して光記
録媒体を作製した。得られた光記録媒体に、第二基板
(透明基板)側から、発振波長635nm、ビーム径
1.0μmの半導体レーザ光を照射し、トラッキングし
ながら周波数7MHzの矩形波(線速3.5m/se
c.)をランドとグルーブの両方に記録し、発振波長6
50nmの半導体レーザの連続光(再生パワー0.7m
W)を用いてトラッキング信号及び再生信号の評価をし
た。
【0058】実施例8 実施例7と同じ基板(第一基板)上に、下記化合物
(1)/鉛アルコレート/珪素アルコレート(重量比4
0/40/20)からなる混合物のn−ブタノール溶液
を、グルーブ部及びランド部が平滑となるようにスピン
ナー塗布した後、加熱縮合させて下引き層を形成し、そ
の上に下記化合物(3)の1,1,2,2−テトラフル
オロプロパノール溶液をスピンナー塗布して膜厚550
Åの色素記録層を形成した。次いで、スパッタ法により
膜厚2000Åの金の反射層を設け、その上にアクリル
系フォトポリマーからなる膜厚10μmの保護層を設
け、更に厚さ0.6mmの平滑な射出成形ポリカーボネ
ート基板(第二基板)をホットメルト接着剤により接着
して光記録媒体を作製した。得られた光記録媒体を実施
例7と同様にして評価した。
【0059】実施例9 グルーブ溝形状が、深さ350Å、半値幅0.24μm
で、トラックピッチが0.6μmの案内溝を有する厚さ
0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板(第一基
板)上に、下記化合物(4)及びPVA(ポリビニルア
ルコール)と、n−ブタノール/1,1,2,2−テト
ラフルオロプロパノール/1,2−ジクロルエタン(重
量比10/60/30)混合溶媒とからなる溶液を、グ
ルーブ部及びランド部が平滑となるようにスピンナー塗
布して下引き層を形成し、その上に下記化合物(5)と
メチルシクロヘキサン/THF(重量比90/10)混
合溶媒とからなる溶液をスピンナー塗布して膜厚400
Åの色素記録層を形成した。次いで、スパッタ法により
膜厚2000Åの金の反射層を設け、その上にアクリル
系フォトポリマーからなる膜厚10μmの保護層を設
け、更に厚さ0.6mmの平滑な射出成形ポリカーボネ
ート基板(第二基板)をホットメルト接着剤により接着
して光記録媒体を作製した。得られた光記録媒体に、発
振波長408nm、ビーム径0.7μmの半導体レーザ
光を照射し、トラッキングしながら周波数11MHzの
矩形波(線速3.5m/sec.)をランド及びグルー
ブに記録し、発振波長408nmの半導体レーザの連続
光(再生パワー0.7mW)を用いてトラッキング信号
及び再生信号の評価をした。
【0060】実施例10 実施例8において第二基板を設けなかった点以外は、実
施例8と同様にして光記録媒体を作製し評価を行った。
【0061】実施例11 金の反射膜に代えて、膜厚2000Åの銀の反射膜を用
いた点を除き、実施例8と同様にして光記録媒体を作製
し評価を行った。
【0062】実施例12 金の反射膜に代えて、膜厚2000Åのアルミニウムの
反射膜を用いた点を除き実施例9と同様にして光記録媒
体を作製し評価を行った。
【0063】比較例3 下引き層を設けなかった点を除き、実施例7と同様にし
て光記録媒体を作製し、実施例7と同様にして信号の評
価を行った。
【0064】比較例4 下引き層を設けなかった点を除き、実施例8と同様にし
て光記録媒体を作製し、実施例7と同様にして信号の評
価を行った。
【0065】比較例5 グルーブ溝形状が、深さ1650Å、半値幅0.28μ
m、ランド部溝形状が、深さ900Å、半値幅0.22
μm、トラックピッチが0.74μmの案内溝を有する
厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板(第一
基板)を用いた点、及び下引き層を設けなかった点を除
き、実施例8と同様にして光記録媒体を作製した。信号
評価は実施例7と同様にして行った。
【0066】比較例6 下引き層を設けなかった点を除き、実施例9と同様にし
て光記録媒体を作製し、実施例9と同様にして信号の評
価を行った。
【0067】
【化2】 〔上記式中、Etは、−(Cを表わす。〕
【0068】
【化3】 〔上記式中、tBuは、−C(CHを表わす。〕
【0069】
【化4】 〔上記式中、Etは、−(Cを表わす。〕
【0070】
【化5】 〔上記式中、Hexは、n−ヘキシル基を表わす。〕
【0071】
【化6】 〔上記式中、Meは−CHを、Etは、−C
表わす。〕
【0072】上記実施例7〜9及び比較例3〜6の評価
結果を纏めて次の表1に示す。なお、表中のトラッキン
グ信号及び再生信号の評価基準は次の通りである。 ・トラッキング可能: レーザビームをディスクの案内
溝に沿って支障なくトラッキングできる。 ・トラッキング不良: 何らかのトラッキング異常を生
じる場合がある。 ・再生信号良好 : 明瞭なアイパターンが観測でき
る。 ・再生信号不良 : 信号が滲みアイパターンが観測
できない。
【表2】
【0073】表2の結果から明らかなように、本願第二
発明の媒体構造とすることにより、従来技術では実現す
ることができない、ランド・アンド・グルーブ記録可能
な塗布型色素系光記録媒体が得られた。
【0074】
【発明の効果】本願第一発明によれば、従来のスピンコ
ーティング法による成膜性の変動要因(色素や溶剤材
料、組成、塗布環境、塗布条件等)に左右されず、生産
性が高く、高変調度で記録パワーマージンの大きな追記
型及びハイブリッド型光記録媒体の更なる改良であっ
て、より安定したフォーカス信号及びトラッキング信号
が得られる追記型及びハイブリッド型光記録媒体を提供
できる。具体的には、本発明1〜2あるいは3〜4の基
本構造及び材料構成により、安定したフォーカス信号及
びトラッキング信号が得られ、かつ、生産性が高く高変
調度で記録パワーマージンの大きな追記型光記録媒体、
あるいはハイブリッド型光記録媒体を提供できる。本発
明5によれば、溶液塗布という簡便な方法で作成された
記録層を有する光記録媒体を提供できる。本発明6によ
れば、緩衝層を設けることにより、本発明1〜4よりも
更に高変調度記録・再生が可能で、安定したフォーカス
信号、トラッキング信号が得られかつ、生産性が高く高
変調度で記録パワーマージンの大きな追記型光記録媒
体、あるいはハイブリッド型光記録媒体を提供できる。
本発明7〜9によれば、本発明6の追記型光記録媒体あ
るいはハイブリッド型光記録媒体の緩衝層に適した材料
物性が提供される。本発明10又は12によれば、本発
明6の緩衝層としてピット形成を助長する機能を有する
ものを用いた追記型光記録媒体あるいはハイブリッド型
光記録媒体、及び当該機能を利用した高変調度記録方法
を提供できる。本発明11によれば、本発明1〜10の
光記録媒体に適した高変調度記録・再生方法を提供でき
る。本願第二発明(本発明13〜26)によれば、色素
を含有する塗布型記録層を有し、安定したトラッキング
信号が得られ、かつランド部及びグルーブ部に記録する
ことにより大容量化が図れる、ランド・アンド・グルー
ブ記録可能な光記録媒体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】1枚の媒体中にROM部と追記部を有するハイ
ブリッド型光記録媒体の模式図。
【図2】従来の層構造における位相差発生の状況を説明
する図。 (a) ROM(再生専用)構造 (b) R(追記)構造
【図3】特開平10−340483号公報記載の発明の
層構造における位相差発生の状況を説明する図。 (a) ROM(再生専用)構造 (b) R(追記)構造
【図4】本発明の層構造における位相差発生の状況を説
明する図。 (a) 記録層により案内溝凹凸を平坦化した例 (b) 更に緩衝層を設けた例 (c) 第二基板を設けた例 (d) 更に緩衝層を設けた例
【図5】本発明のWORM構造の光記録媒体を示す図で
ある。
【図6】従来のWORM構造の光記録媒体を示す図であ
る。
【図7】本発明のCD−R、DVD−R構造の光記録媒
体を示す図である。
【図8】従来のCD−R、DVD−R構造の光記録媒体
を示す図である。
【符号の説明】
10 基板 11 反射層 12 色素を含む記録層 13 保護層 14 緩衝層 15 接着層 16 第二基板 17 下引き層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G11B 7/24 534 G11B 7/24 534B 535 535C 535D 541 541C 561 561N B41M 5/26 7/004 Z G11B 7/004 7/0045 Z 7/0045 7/26 531 7/26 531 B41M 5/26 Y Fターム(参考) 2H111 EA03 EA12 EA22 FA01 FA11 FA12 FA14 FA15 FA23 FA30 FB42 5D029 JA04 JB09 JB36 JC01 MA13 NA01 RA01 RA02 RA04 RA27 RA45 RB06 WB11 WB14 WC06 WD10 WD16 5D090 AA01 BB11 CC01 CC04 CC06 DD03 EE02 EE13 KK09 5D121 AA03 EE21

Claims (26)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に案内溝を有する基板上に、少なく
    とも金属反射層、色素を含有する記録層、及び保護層が
    順に積層され、該記録層により、該案内溝の凹凸が平坦
    化されている光記録媒体。
  2. 【請求項2】 表面に案内溝を有する第一基板上に、少
    なくとも金属反射層、色素を含有する記録層が順に積層
    され、更に保護層を介して又は介さずに、接着層、第二
    基板が順に積層され、該記録層により、該案内溝の凹凸
    が平坦化されている光記録媒体。
  3. 【請求項3】 あらかじめ情報が記録されたROM(再
    生専用)部と、追記が可能な領域であって案内溝があら
    かじめ設けられた部分とを併せ持つ基板上に、少なくと
    も金属反射層、色素を含有する記録層、及び保護層が順
    に積層され、該記録層により、該案内溝の凹凸が平坦化
    されている光記録媒体。
  4. 【請求項4】 あらかじめ情報が記録されたROM部
    と、追記が可能な領域であって案内溝があらかじめ設け
    られた部分とを併せ持つ第一基板上に、少なくとも金属
    反射層、色素を含有する記録層が順に積層され、更に保
    護層を介して又は介さずに、接着層、第二基板が順に積
    層され、該記録層により、該案内溝の凹凸が平坦化され
    ている光記録媒体。
  5. 【請求項5】 記録層が色素を含有する記録層材料の溶
    液を塗布することにより形成されたものである請求項1
    〜4のいずれかに記載の光記録媒体。
  6. 【請求項6】 記録層の次に緩衝層が積層されている請
    求項1〜5のいずれかに記載の光記録媒体。
  7. 【請求項7】 緩衝層が有機物質からなることを特徴と
    する請求項6記載の光記録媒体。
  8. 【請求項8】 緩衝層を構成する材料のガラス転移温度
    が100〜200℃の範囲にある請求項6又は7記載の
    光記録媒体。
  9. 【請求項9】 緩衝層が接着性材料よりなり、接着層を
    兼ねるものである請求項6〜8のいずれかに記載の光記
    録媒体。
  10. 【請求項10】 緩衝層が、最外層に相当する保護層又
    は第二基板の変形によるピット形成を助長する機能を有
    する請求項6〜9のいずれかに記載の光記録媒体。
  11. 【請求項11】 情報の記録・再生を最外層に相当する
    保護層又は第二基板側から行う請求項1〜10のいずれ
    かに記載の光記録媒体の記録・再生方法。
  12. 【請求項12】 緩衝層が有する最外層に相当する保護
    層又は第二基板の変形によるピット形成を助長する機能
    を利用して、請求項10記載の光記録媒体に記録を行う
    記録方法。
  13. 【請求項13】 案内溝を有する基板(第一基板)上
    に、少なくとも、基板より屈折率の高い下引き層と、色
    素を含有する塗布型記録層が順に設けられ、該下引き層
    により該基板表面に存在する案内溝凹凸が平坦化されて
    いる光記録媒体。
  14. 【請求項14】 記録層上に、保護層が設けられている
    請求項13記載の光記録媒体。
  15. 【請求項15】 請求項13記載の光記録媒体上に、第
    二基板が、接着層を介して一定の空間を隔てて設けられ
    ているエアーサンドイッチ型光記録媒体。
  16. 【請求項16】 案内溝を有する基板(第一基板)上
    に、少なくとも、基板より屈折率の高い下引き層、色素
    を含有する塗布型記録層、及び金属反射層が順に設けら
    れ、該下引き層により該基板表面に存在する案内溝凹凸
    が平坦化されている光記録媒体。
  17. 【請求項17】 金属反射層が、金、銀、アルミニウム
    又はその合金から選ばれた少なくとも一つの材料からな
    る請求項16記載の光記録媒体。
  18. 【請求項18】 金属反射層上に、保護層が設けられて
    いる請求項16又は17記載の光記録媒体。
  19. 【請求項19】 最上層である金属反射層又は保護層の
    上に、接着層を介して第二基板が貼り合わされている請
    求項16〜18の何れかに記載の光記録媒体。
  20. 【請求項20】 基板上のトラッキング用案内溝のトラ
    ックピッチ(P)が、0.8×λ/NA≦P≦1.3×
    λ/NA〔λ:記録・再生波長(μm)、NA:対物レ
    ンズの開口数〕である請求項13〜19の何れかに記載
    の光記録媒体。
  21. 【請求項21】 下引き層が光学的に多重干渉効果を有
    する構造である請求項13〜20の何れかに記載の光記
    録媒体。
  22. 【請求項22】 下引き層が記録・再生波長域に実用上
    吸収能を有しない色素を主成分とする材料からなる請求
    項13〜21の何れかに記載の光記録媒体。
  23. 【請求項23】 案内溝グルーブ部(凹部)及び案内溝
    ランド部(凸部)に、透明な基板側から光を照射して情
    報の記録・再生を行う請求項13〜22の何れかに記載
    の光記録媒体の記録・再生方法。
  24. 【請求項24】 記録・再生波長が400〜550nm
    である請求項23記載の光記録・再生方法。
  25. 【請求項25】 下引き層を、沸点が120℃以上の溶
    媒を用いて溶液塗布法により形成する請求項13〜22
    の何れかに記載の光記録媒体の製造方法。
  26. 【請求項26】 記録層を、下引き層を溶解しない溶媒
    を用いて溶液塗布法により形成する請求項13〜22の
    何れかに記載の光記録媒体の製造方法。
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