JP2002279696A - 光情報記録媒体、記録再生方法 - Google Patents

光情報記録媒体、記録再生方法

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JP2002279696A
JP2002279696A JP2001081322A JP2001081322A JP2002279696A JP 2002279696 A JP2002279696 A JP 2002279696A JP 2001081322 A JP2001081322 A JP 2001081322A JP 2001081322 A JP2001081322 A JP 2001081322A JP 2002279696 A JP2002279696 A JP 2002279696A
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Tsutomu Sato
勉 佐藤
Tatsuya Tomura
辰也 戸村
Yasunobu Ueno
泰伸 植野
So Noguchi
宗 野口
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Ricoh Co Ltd
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 安定したフォーカス信号、トラッキング信号
が得られ、生産性が高く、高変調度で記録パワーマージ
ンの大きな追記型及びハイブリッド型光情報記録媒体、
その記録再生方法を提供する。 【解決手段】 案内溝を有する基板上に、金属反射層、
該基板表面に存在する案内溝凹凸を平坦化するように溶
剤塗布法により設ける緩衝層、色素を含有する記録層及
び保護層を順次積層してなる、又は案内溝を有する第1
の基板上に、金属反射層、該基板表面に存在する案内溝
凹凸を平坦化するように溶剤塗布法により設ける緩衝
層、色素を含有する記録層、必要に応じて設ける保護
層、接着層及び第2の基板を順次積層してなる光情報記
録媒体。案内溝を有する基板上にROM部も併せ持つ基
板を用いる上記光情報記録媒体。上記光情報記録媒体を
用いその保護層側又は第2の基板側から情報の記録再生
を行う記録再生方法。緩衝層の変形によりピットを形成
する記録方法。緩衝層の主成分が高分子材料であり、ま
たガラス転移温度が100〜200℃の範囲にあること
が好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、情報記録媒体およ
び記録再生方法に関し、特に光ビームを照射することに
より、記録材料の透過率、反射率等の光学的な変化を生
じさせ、情報の記録、再生を行い、かつ追記が可能な光
情報記録媒体およびこれに対する記録再生方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】DVDディスク技術として、案内溝を有
する基板上に、色素層、金属反射層を設けたものと、他
の平板基板を接着層により張り合わせたものがある。こ
れは、基板を2枚張り合わせるということが、単に機械
的強度達成のため、また付随的効果として容量向上を目
的とするDVDに対してのものである。より高密度に記
録再生がなされた時、従来技術では成しえない信号特性
の改善(安定したトラッキング、良好な記録特性)や、
生産性の効率向上の目的を達成する技術が要求されてい
る。また、情報記録媒体の構造としてエンハンス層を設
けることもある。エンハンス層は基板から入射したレー
ザ光から見た記録層、反射層、保護層、空気層等全体を
含めた反射率を向上させるために用いられるものであっ
て、位相差をコントロールする作用を持っている。
【0003】これら情報記録媒体の研究開発が進められ
ており、以下のように、種々の技術が提案されている。 特開昭56−061047号公報:トラック案内用の溝
を設けた基板上に反射層を形成し、次いで溝部を埋めて
平坦化した後、この上に情報記録層を形成したもの。 特開昭56−061048号公報:透明基体に形成した
情報トラック溝を基体と屈折率の異なる材料で埋めて平
坦化し、その上に光学的記録層を設けたもの。 特開昭57−074843号公報:情報記録担体内外の
周縁及び底面を覆う保護部材にトラッキング用溝を形成
したもの。 特開平02−183443号公報:互いに材質の異なる
グルーブ基板とフラット基板を張り合わせた、フラット
基板からの記録と再生と消去を可能としたもの。 特開平04−286684号公報:色素を含有する記録
層と金属の反射層からなる単板型光情報記録媒体におい
て、記録層表面形状を所望の範囲にコントロールするこ
とによりトラッククロス信号とプッシュプル信号の両者
を最適化する。 特開平04−337538号公報:特定のフッ素アルコ
ールと特定のアルコールを所定割合で混合して色素を溶
解することにより、ROM領域をもつ追記型CDを塗り
分けを行わずに製造する。 特開平04−370546号公報:有機色素系記録層を
もつ光記録媒体に於おいて、記録層の吸光度が作製直後
の吸光度の99.5%以下になった後に反射層を作製す
ることで、記録特性のばらつきを低減する。 特開平05−073964号公報:色素の塗り分けを行
わずに製造しうるROM領域を有する追記型CDを提供
する。 特開平05−114178号公報:2種以上の色素を含
有する溶液をスピンコートすることにより、ピットおよ
び溝部での成膜形状を制御して光吸収層を形成し、RO
M領域と記録可能領域の特性の両立を図る。 特開平05−144098号公報:ROM領域を有する
追記型光情報記録媒体を塗り分けなしに製造を可能とす
るとともに、ROM領域と記録可能領域の記録信号特性
を向上させる。 特開平03−022224号公報:基板、色素記録層お
よび反射層を基本構成とする情報記録媒体において、グ
ルーブの形状を特定して良好なトラッキングで、かつ高
い変調度の記録を可能とする。 特開平04−076836号公報:グルーブ底部の光吸
収層の光学的膜厚とランド部の光吸収層の光学的膜厚と
の差を所定値以下にすることにより変調度および反射率
が高いCD規格を満足する信号を得て、トラッキング特
性を良好にする。 特開平04−111241号公報:プレグルーブが形成
された基板上に光吸収層、エンハンス層および反射層を
順次設け、グルーブ底部の光吸収層の光学的膜厚とラン
ド部の光吸収層の光学的膜厚との差を特定。 特開平04−132027号公報:ピット部の色素層の
光学的膜厚とピット間部の色素層膜厚との差を特定値以
下にする。 特開平04−146537号公報:基板の特定形状のプ
レピットが形成された面上に色素を含む記録層を形成す
る。 特開平04−172635号公報:記録可能領域だけに
記録層を、再生専用域だけに第1の反射層を設け、記録
層および再生専用域上に連続的に第2の反射層を設ける
ことにより、スピンコート法が適用可能。 特開平04−178932号公報:ピット深さとグルー
ブ深さをそれぞれ特定する。 特開平04−286684号公報:色素を含む記録層と
金属反射層からなる単板型光情報記録媒体において、記
録層の表面形状を所望の範囲にコントロールする。 特開平04−290795号公報:プリグルーブおよび
プリピットが設けられた基板上に記録層、反射層を積層
した情報記録媒体において、記録層を色素の蒸着で形成
する。 特開平05−046995号公報:光吸収層としての色
素層表面に、基板に形成されたグルーブおよびランド部
に対応して所定の凹凸を形成する。 特開平05−101440号公報:グルーブ部及びラン
ド部の記録層膜厚、記録層の表面形状をコントロールす
る。 特開平06−119659号公報:溝形成部の記録膜に
形成するくぼみの深さを所定範囲となるように、溝形
状、記録膜厚等の各種パラメータを決定する。 特開平05−198012号公報:あらかじめグルーブ
部の形状を内周から外周に向けて変化させて、スピンコ
ート法で記録層を形成する。 また、本出願人が上記公知技術の問題点を解決すべく、
以下の新規塗布型追記メディア構造を提案した。 特開平10−340483号公報:案内溝を有する基板
上に、反射層、色素層、保護層又は第二基板を順次形成
し、記録再生を保護層又は第二基板側から行う。 特開平10−340484号公報:案内溝を有する基板
上に、反射層、高分子誘電体層、色素層、保護層又は第
二基板を順次形成し、記録再生を保護層又は第二基板側
から行う。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】データストレージメデ
ィアとしてCD−Rは既に認知され、さらに赤色レーザ
を利用したより高密度記録が可能なDVD-R やDVD-RWの研
究開発が進められている。今後もより大容量化への要求
は必然で、その方法として物理的に記録密度を上げるメ
ディアサイドの技術(記録マークの小径化:レーザ波
長の短波長化、超解像技術、狭トラックピッチ化)、
と圧縮・符号化等技術のより高効率化を図る情報処理サ
イドの技術の両面からの開発が望まれる。塗布型高密度
メディアの開発としては、短波長化には新たにその波長
に感応する記録材料の開発で対応可能であるが、狭トラ
ックピッチ化に対しては従来技術では重大な困難な課題
が発生する。
【0005】従来、色素を利用した追記型光ディスクの
場合、色素を含む記録材料をあらかじめトラッキング用
の溝(プリグルーブ)等が刻まれた基板上に、スピンコ
ート法により形成する。この基板上に刻まれたプリグル
ーブは、レーザスポットの記録/再生の位置決めをする
上で非常に重要であり、この位置決めのために必要な、
いわゆるトラッキングエラー信号が十分出力される必要
がある。
【0006】ところが、追記型のCD−R、DVD−R
などではトラッキングエラー信号が基板と色素の界面反
射率だけでは決まらず、主に色素と金反射層界面による
反射率に支配されるため、スタンパ作製時に最適化した
プリピットやプリグルーブ等の溝形状があまり意味を持
たなくなる。つまり、基板上に形成された溝に色素がど
のように埋まるかが非常に重要となる。この溝への色素
の埋まり具合は、色素自体の種類が変わることは勿論、
混合物の場合はその組成、色素を溶解する溶剤およびそ
の組成、スピンコートパターン、温湿度等の塗布環境に
大きく左右されるため、その制御が困難であり、生産コ
ストに悪影響を与えるとともに、研究・開発効率を著し
く低下させるものである。
【0007】また従来法は、溝への色素の埋まり具合を
溶剤や塗布条件、塗布環境により最適化を図っていたた
め、ディスク内での、特に内周と外周におけるトラッキ
ングエラー信号等にバラツキが大きくなるという弊害も
併せ持っている。
【0008】また、プリグルーブの形状は台形状である
が、色素がプリグルーブに埋まった状態での表面形状
は、V字、もしくはU字形状をしている。そのため、ジ
ッタやクロストークの増加の原因ともなっている。この
解決方法としては、色素を蒸着する方法も考えられる
が、有機材料のメリットはその成膜性(生産性)であ
り、スピンコートが可能である点であることを考える
と、また色素材料の選択の幅が限定されることからあま
り実用的でない。
【0009】本出願人は、色素の塗布条件によってプリ
グルーブからのトラッキングエラー信号やプリピットか
らの情報信号が大きく変動する現象をなくし、生産性が
高くコスト低減となるような、また研究・開発の大幅な
効率向上が図れるような高密度狭トラックピッチ光情報
記録媒体およびその記録/再生方法として、新たなディ
スク構成を特開平10−340483号公報、特開平1
0−340484号公報に提供した。この特開平10−
340483号公報の新規構造メディアは、案内溝が形
成されている基板上にドライプロセスによる金属反射層
を設け、その上に色素層を塗布で形成し、さらにその上
を保護層又は第二基板を形成して記録体としたもので、
また特開平10−340484号公報の新規構造メディ
アは、案内溝が形成されている基板上にドライプロセス
による金属反射層を設け、その上に高分子誘電体層、色
素層を塗布で形成し、さらにその上を保護層又は第二基
板を形成して記録体としたもので、いずれも従来技術の
課題は解決できた。
【0010】しかしながら色素と保護層又は第二基板界
面が基板案内溝を反映した凹凸形状となっているため、
そこからの反射光による影響により、本来の金属反射層
と色素界面からのフォーカシング及びトラッキング信号
のノイズ源となり信号が不安定になる傾向がみられた。
【0011】本発明は、新たに提案したディスク構成で
更により安定したフォーカシング及びトラッキング信号
が得られる高密度狭トラックピッチ光情報記録媒体及び
その記録/再生方法を提供する。
【0012】また、近年追記系メディアにおいてはあら
かじめ情報が書き込まれたROM部とユーザが情報を書
き込める追記部の両方を有する、いわゆるハイブリッド
メディアの要求も高まっており、この要求はディスクの
容量が高まるほど顕著になるとも考えられる。このハイ
ブリッドメディアは図4に示すようにROM部と追記部
が分かれているが、ROM部に要求されるプリピット部
の深さと、追記部に要求されるプリグルーブの深さは異
なっている。一般的には、プリピット深さは変調度が最
大になるようにλ/4n、プリグルーブ深さはトラッキ
ングエラー信号が最大となるようにλ/8nとしている
(但し、λは記録/再生波長、nは入射媒体、通常は基
板の屈折率である)。
【0013】このように、ROM部のピット深さと、追
記部のプリグルーブ深さが異なり、この基板上にスピン
コーティング法によって色素膜を形成される場合、RO
M部のプリピットに流れ込む色素と追記部のプリグルー
ブに流れ込む色素の量が異なり、ROM部のプリピット
の色素埋まり具合と追記部のプリグルーブの色素埋まり
具合は全く異なってしまう危険性が高い。ハイブリッド
メディアは色素塗布後に金反射膜を設けるが、ROM部
のプリピットからの信号、及び追記部のプリグルーブか
らのトラッキングエラー信号は色素と金反射膜の界面で
主に決まってしまうため、この色素埋まり具合は非常に
重要である。
【0014】このハイブリッドメディアでは、スピンコ
ート法によってROM部のプリピットからの信号と追記
部のプリグルーブからのトラッキングエラー信号の両方
を最適化することは非常に困難で、この両者の最適条件
の矛盾を軽減するために、ハイブリッドメディア作製時
には、ROM部と追記部の塗り分けを行ったり、色素の
ROM部のプリピット、及び追記部のプリグルーブへの
埋まり具合の差を考慮に入れて、スタンパを最適化した
り、色素を溶解させる溶剤の種類や組成、塗布パターン
等を調整する必要があった。この方法では、温湿度等の
作業環境や溶剤に混入している微少不純物や組成変動等
によって、ROM部のプリピット、及び追記部のプリグ
ルーブへの色素の埋まり具合が全く変わってしまう場合
が多くなる。
【0015】更に、ハイブリッドCD−R、ハイブリッ
ドDVD−Rの研究・開発段階では何種類もの色素のデ
ィスク特性を評価する必要があるが、色素が異なるごと
に色素溶液の粘度、最適溶剤、組成が異なるため、色素
が変わるたびに最適スタンパが必要となったり、あるい
は同一スタンパから得られた基板を用いて、色素が変わ
るたびに最適溶剤、組成、塗布パターンの条件を探し出
す必要性があった。また、最適の溶剤、組成、塗布条件
を設定しても、スタンパの設計が異なると、すなわち、
プリピットやプリグルーブの幅や溝深さが変更になる
と、以前の最適の溶剤、組成、塗布条件が無意味となり
かねない。このため、非常に研究・開発の効率が悪く、
また生産性の大幅な低下を招くことになっていた。更に
従来の層構成、及び製造方法では、上述したような観点
からROM部と追記部をディスク上の任意の場所に設け
たり、ディスク上にROM部、あるいは追記部を複数持
たせることが困難であった。また、上記のようにスピン
コート法による色素の塗れ方で光情報記録媒体の信号特
性が変わってしまう。この色素の成膜条件による変動の
影響は、記録/再生波長が短波長化するほどより顕著と
なる。
【0016】本出願人は、追記型光情報記録媒体の場合
はプリグルーブからのトラッキングエラー信号を、また
ハイブリッド型光情報記録媒体の場合はROM部のピッ
トからの信号と追記部のプリグルーブからのトラッキン
グエラー信号の両者が同時に最適化され、かつこの最適
化が色素塗布条件によって大きく変動する現象をなく
し、生産性が高くコスト低減となるような、また研究・
開発の大幅な効率向上が図れるような、更にはレーザ光
に短波長化による高密度化に対応できる光情報記録媒
体、およびその記録/再生方法として、前記の特開平1
0−340483号公報、特開平10−340484号
公報で提案した。
【0017】これにより従来技術の課題は解決すること
ができたが、前述のように、色素表面が基板案内溝を反
映した凹凸形状となっているため、本来の金属反射層と
色素界面からのフォーカシング及びトラッキング信号の
ノイズ原となり信号を不安定になる傾向がみられた。
【0018】本発明の目的は、新たに提案したディスク
構成で更により安定したフォーカシング及びトラッキン
グ信号が得られる高密度狭トラックピッチハイブリッド
型光情報記録媒体、およびその記録/再生方法を提供す
ることにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】本発明者らは検討した結
果、特定の層構成からなる光情報記録媒体とその製造方
法とにより上記課題を解決できることを見出し本発明に
至った。即ち、本発明の光情報記録媒は、案内溝を有す
る基板上に、金属反射層、該基板表面に存在する案内溝
凹凸を平坦化するように溶剤塗布法により設ける緩衝
層、色素を含有する記録層および保護層を順次積層して
なることを特徴とする。また、本発明の光情報記録媒体
は、案内溝を有する第1の基板上に、金属反射層、該基
板表面に存在する案内溝凹凸を平坦化するように溶剤塗
布法により設ける緩衝層、色素を含有する記録層、必要
に応じて設ける保護層、接着層および第2の基板を順次
積層してなることを特徴とする。これらは、追記型光記
録媒体として好ましい基本構造及び材料構成である。本
発明の光情報記録媒体は、上記光情報記録媒において、
緩衝層の主成分が高分子材料からなる、または緩衝層の
ガラス転移温度が100〜200℃の範囲にあることを
特徴としている。このような材料物性を有する緩衝層を
用いることにより、高変調度記録が可能な光情報記録媒
を提供することができる。
【0020】本発明の光情報記録媒体の記録再生方法
は、上記光情報記録媒体を用い、該光情報記録媒体の保
護層側または第2の基板側から情報の記録・再生を行う
ことを特徴とする。本発明の光情報記録媒体の記録方法
は、上記光情報記録媒体を用い、該光情報記録媒体の緩
衝層の変形によりピットを形成することを特徴とする。
これらの記録再生方法および記録方法により、追記型光
記録媒体に適した高変調度の記録再生および記録を提供
できる。
【0021】また、本発明の光情報記録媒は、1枚の基
板上に予め情報が記録されたROM部と追記が可能な領
域であって、案内溝が予め設けられた部分を併せ持つ基
板上に金属反射層、該基板表面に存在する案内溝凹凸を
平坦化するように溶剤塗布法により設ける緩衝層、色素
を含有する記録層および保護層を順次積層してなること
を特徴とする。さらに、本発明の光情報記録媒は、1枚
の基板上に予め情報が記録されたROM部と追記が可能
な領域であって、案内溝が予め設けられた部分を併せ持
つ基板上に金属反射層、該基板表面に存在する案内溝凹
凸を平坦化するように溶剤塗布法により設ける緩衝層、
色素を含有する記録層、必要に応じて設ける保護層、接
着層および第2の基板を順次積層してなることを特徴と
している。これらの光情報記録媒は、ハイブリッド型光
記録媒体として好ましい基本構造及び材料構成である。
本発明の光情報記録媒は、これらの光情報記録媒におい
て、緩衝層の主成分が高分子材料からなる、または緩衝
層のガラス転移温度が100〜200℃の範囲にあるこ
とを特徴としている。このような材料物性を有する緩衝
層を用いることにより、高変調度記録が可能な光情報記
録媒を提供することができる。
【0022】本発明の光情報記録媒体の記録再生方法
は、上記光情報記録媒体を用い、該光情報記録媒体の保
護層側または第2の基板側から情報の記録・再生を行う
ことを特徴とする。また、本発明の光情報記録媒体の記
録方法は、上記光情報記録媒体を用い、該光情報記録媒
体の緩衝層の変形によりピットを形成することを特徴と
する。これらの記録再生方法および記録方法により、ハ
イブリッド型光記録媒体に適した高変調度の記録再生お
よび記録を提供できる。
【0023】
【発明の実施の形態】ROM部のプリピット信号からの
反射光量や追記部のプリグルーブからのトラッキングエ
ラー信号光量は、もっとも大きな反射係数を持つ境界面
で決定される。すなわち、この大きな反射係数を持つ境
界面での記録部と非記録部、あるいはプリグルーブのあ
る場所とない場所との間の位相変化量で決まる。基板、
色素を含む記録層、反射層、保護層等の従来から用いら
れている層構成では、その最も大きな反射係数を持つ色
素と金反射層の境界面で決定される。したがって、この
色素と金反射層の界面で明瞭な凹凸による位相変化を持
たせることができるならば、色素のプリピット部やプリ
グルーブ部の溝埋まり具合をあまり気にしなくてよくな
るわけである。その説明を以下に示す。
【0024】従来の再生方法では、プリピットやプリグ
ルーブが刻まれた部分とプリピットやプリグルーブがな
い部分でそれぞれ反射された光の干渉によって記録情報
やトラッキングエラー信号が発生する。その干渉の様子
を示したのが図2(a) 〜(b)であり、図中のくぼみはプ
リピット、もしくはプリグルーブである。色素記録層が
ないCD−ROMあるいはDVD−ROMの場合は、入
射光の反射が基板と反射層の界面で主に決まるため、基
板上に刻まれたプリピットもしくはプリグルーブの形
状、深さがダイレクトに再生信号やトラッキングエラー
信号に反映される(図2(a))。一方、色素記録層を設け
たCD−R、DVD−R、あるいはハイブリッドCD−
R、ハイブリッドDVD−Rでは、入射光の反射が色素
を含む記録層と反射層界面で主に決まる。そのため、プ
リピットやプリグルーブが刻まれた部分とプリピットや
プリグルーブがない部分でそれぞれ反射された光の干渉
は、基板上にあらかじめ設けられたプリピットやプリグ
ルーブの溝形状や深さに依存せず、プリピットやプリグ
ルーブの溝への色素の埋まり具合、埋まり形状に支配さ
れることになる。
【0025】従来の構成(図2)によれば、プリグルー
ブまたはプリピットが存在する部分と存在しない部分と
の位相差は、プリグルーブまたはプリピット部を基準と
すれば、 ( 4π/λ) ((n0 1 +n1 2 −n1 (d1 +d2 −d3 )) =( 4π/λ) ((n0 −n1 )d1 +n1 3 ) ・・・・・(1) となる。但し、λ:記録/再生波長、n0 :基板の複素
屈折率、n1 :色素を含む記録層の複素屈折率、d1
2 、d3 :図2に示す値。
【0026】ところで、プリピットやプリグルーブの最
適化を行う場合、つまりスタンパ作製時にはd1を設定
するが、従来構成では位相差は式(1)を見てもわかる
ように、d1 よりもむしろd3 、つまり色素のプリピッ
トやプリグルーブへの埋まり具合に大きく左右されるこ
とがわかる(明らかにd1 、d3 にかかる係数はn1
(n1 −n0 ))。
【0027】次に、本出願人が特開平10−34048
3号公報で提案した新しい層構成、記録再生法を図3
(a) 〜(b) に示す。この発明では、記録情報の再生、お
よびトラッキングに必要な信号は、基板上にあらかじめ
刻まれたプリピットやプリグルーブの界面からの主反射
から得られる。プリピットやプリグルーブが刻まれた基
板上に反射層、次いで色素を含む記録層という構成をと
り、この記録層側から記録・再生をするためである。
【0028】プリピットやプリグルーブからの主反射
は、色素層と反射層界面であり、この色素層と反射層界
面は反射層の形状に依存するが、この構成では反射層を
設けた後のプリピット、もしくはプリグルーブの形状は
基板のプリピット、もしくはプリグルーブの形状をほぼ
ダイレクトに反映し、再生信号やトラッキングエラー信
号は、反射層上に設けられた色素の形状、言い換えれば
反射層が設けられたプリピットやプリグルーブの溝への
色素の埋まり具合、形状に大きく依存しなくすることが
可能となる。
【0029】特開平10−340483号公報の発明の
構成(図3)によれば、プリグルーブまたはプリピット
の存在する部分とプリグルーブまたはプリピットが存在
しない部分との位相差は、プリグルーブまたはプリピッ
ト部を基準とすれば、 ( 4π/λ) ((n1 2 −(n0 3 +n1 (d1 +d2 −d3 ))) =( 4π/λ) ((n1 −n0 )d3 −n1 1 ) ・・・・・(2) となる。但し、λ:記録/再生波長、n0 :色素を含む
記録層の複素屈折率、n1 :接着層の複素屈折率、
1 、d2 、d3 :図3に示す値。
【0030】特開平10−340483号公報の発明で
は位相差は式(2)を見てもわかるように、d1 によっ
てほぼ決まり、d3 、つまり色素層のプリピットやプリ
グルーブへの埋まり具合にはあまり左右されないことが
わかる。つまり、従来方法では、いくらスタンパ作製時
にプリピットやプリグルーブを最適化しても、色素の塗
布状態によって特性は大きく変動し、プリピットやプリ
グルーブの設計は何度となく繰り返され、あるいは塗布
条件を最適化する必要性があるが、この発明ではスタン
パ作製時に設定したプリピットやプリグルーブ深さがデ
ィスク化されてもそのまま生かされる。
【0031】ハイブリッド型の光情報記録媒体(図4)
においても同様で、従来方法ではプリグルーブやプリピ
ットへの溝の埋まり具合によって、所望の位相差を達成
するためには、初期の溝深さd1 を大きく変化させなけ
ればならず、色素の埋まり具合を調整できない場合、あ
るいは色素や溶剤の種類、組成比などを変えた場合等
は、新たにスタンパの設計を行わなければならない。
【0032】この発明の方法では、プリグルーブやプリ
ピットへの溝の埋まり具合が多少変化しても、所望の位
相差を達成するための溝深さは大きく変化しないため、
たとえ色素や溶剤の種類、組成比などを変えた場合でも
塗布条件によって位相差を調整することが可能となる。
【0033】この効果は高密度狭トラックピッチ化メデ
ィアほどより顕著に現れる。トラックピッチが狭くなれ
ばなるほどグルーブ凹凸上の溶剤塗布法で形成する色素
層膜厚の差(d3 −d1 )はおおきくなる。その結果、
従来R構造では狭トラックピッチ化するほど急激にトラ
ッキング信号は低下し、トラッキング不能となる。
【0034】又従来ハイブリッド構造でも同様の影響
で、プリピット、及び追記部のプリグルーブへの埋まり
具合の差を考慮に入れたスタンパの最適化、色素を溶解
させる溶剤の種類や組成、塗布パターン等の調整がより
制限され、狭トラックピッチ化するほど実現が困難とな
る。
【0035】一方、この発明の構造では、色素のグルー
ブ凹凸上での色素層膜厚の差(d3−d1 )の影響はほ
とんどなく、高密度狭トラックピッチ化メディアへの対
応が可能となる。
【0036】従来技術では以下のような問題点を有して
いる。 (1)プリピットやプリグルーブの界面形状を保つため
には、色素を含む記録層の膜厚を非常に薄くすれば良い
が、色素膜厚を薄くすると記録コントラストが低下し、
追記型としては利用できない。 (2)逆に良好な記録コントラストを得るためにある程
度以上の記録層膜厚をとると、プレピットやプリグルー
ブに色素が必要以上に埋まってしまい、再生信号やトラ
ッキングエラー信号が微弱化する(位相差の変化が激し
い)。 (3)ROM部と追記部を併せ持つハイブリッド型で
は、プリピットとプリグルーブがそれぞれ最適溝深さが
異なるため、スピンコーティングによるプリピットとプ
レグルーブへの色素埋まり具合を、両者が最適になるよ
うに制御することは非常に困難である。そのため色素の
溝への埋まり具合、成膜条件等を考慮に入れて、あらか
じめ溝形状、深さを最適化した基板を用いる必要があ
る。
【0037】特開平10−340483号公報の発明で
は、色素の埋まり具合が再生信号やトラッキングエラー
信号に与える影響が小さくすることができるため、色素
の膜厚の許容幅が広がり、ハイブリッド型においても、
色素の埋まり具合がROM部のプリピット部と追記部の
プリグルーブ部で、全く異なっていても問題の生じる可
能性が少なくなり、従来の上記1〜3の課題は一挙に解
決された。
【0038】しかしながら色素と保護層又は第二基板界
面が基板案内溝を反映した凹凸形状となっているため、
そこからの反射光による影響により、本来の金属反射層
と色素界面からのフォーカシング及びトラッキング信号
のノイズ源となり信号が不安定になる傾向がみられた。
【0039】本発明は、新たに提案したディスク構成で
あり、溶剤塗布法による緩衝層を基板表面に存在する案
内溝凹凸を平坦化するよう設け、その上に色素を含有す
る記録層を設けることで、より安定したフォーカシング
及びトラッキング信号が得られることを見出した。その
位相差を発生する光の干渉の様子を図1(a) 、(b) に示
す。
【0040】記録層が平坦化されて塗布されているた
め、基板凹部と凸部での記録層と保護層又は第二基板と
の界面からの反射光による干渉効果がなく、フォーカシ
ング及びトラッキング信号はより安定する。
【0041】本発明は、この新たに提案したこのメディ
ア構成及び記録再生法の、更なる高変調度記録かつ記録
パワーマージンの大きな光情報記録媒体、およびその記
録/再生方法をも提供する。その光記録媒体の層構成を
図1(a) 、(b) に示す。その特徴は、先に提案した層構
成に対し色素層と反射層との間に緩衝層を導入したこと
により、記録時の緩衝層の変形により位相差をより大き
くでき、かつ記録パワーマージンも大きくできることに
ある。
【0042】即ち層構成としては、追記型光記録媒体で
は、案内溝を有する基板上に金属反射層、溶剤塗布法に
より形成される変形可能な緩衝層を該基板表面に存在す
る案内溝凹凸を平坦化するよう設け、その上に色素を含
有する記録層、保護層及び/又は第2の基板を順次積層
する構造であり、ハイブリッド型追記型光記録媒体で
は、あらかじめ情報が記録されたROM部と追記が可能
な領域であって、案内溝があらかじめ設けられた部分を
併せ持つ基板上に金属反射層、溶剤塗布法により形成さ
れる変形可能な緩衝層を該基板表面に存在する案内溝凹
凸を平坦化するよう設け、その上に記録層、保護層及び
/又は第2の基板を順次積層する構造である。
【0043】記録再生方法としては、情報の記録/再生
を保護層及び/又は第2の基板側から行い、緩衝層の変
形によりピットを形成させる記録/再生方法である。
【0044】各層の具体的な必要物性と材料例記録層 色素としては、例えば、ポリメチン色素、スクアリリウ
ム系、ピリリウム系、ポルフィリン系、ポルフィラジン
系、アゾ系、アゾメチン系、キ染料等、およびその金属
錯体化合物、紫外線吸収材などが挙げられ、上記の染料
を単独で用いてもよいし、2種以上の組合わせにしても
よい。また上記染料中に金属、金属化合物、例えば、I
n、Te、Bi、Al、Be、TeO2 、SnO、A
s、Cdなどを分散混合し、あるいは積層の形態で用い
ることもできる。さらに、上記染料中に高分子材料、例
えば、アイオノマー樹脂、ポリアミド系樹脂、ビニル系
樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の
材料、もしくはシランカップリング剤などを分散混合し
て用いてもよいし、あるいは特性改良の目的で、安定剤
(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電
防止剤、界面活性剤、可塑剤などと一緒に用いることが
できる。
【0045】塗布法を用いる場合には、上記染料などを
有機溶媒に溶解して、スプレー、ローラーコーティン
グ、ディッピングおよび、スピンコーティングなどの慣
用のコーティング法によって行われるが、本発明の性格
上、スピンコーティングが最も好ましい。
【0046】有機溶媒としては、一般にメタノール、エ
タノール、イソプロパノールなどのアルコール類、アセ
トン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケ
トン類、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメ
チルホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシ
ドなどのスルホキシド類、テトラヒドロフラン、ジオキ
サン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチ
ルエーテルなどのエーテル類、酢酸メチル、酢酸エチル
などのエステル類、クロロホルム、塩化メチレン、ジク
ロロエタン、四塩化炭素、トリクロロエタンなどの脂肪
族ハロゲン化炭素類、あるいは、ベンゼン、キシレン、
モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼンなどの芳香族
類、メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのセ
ルソルブ類、ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メ
チルシクロヘキサンなどの炭化水素類などを用いること
ができる。記録層の膜厚は、100Å〜1μm、好まし
くは200Å〜1000Åが適当である。
【0047】基板 基板に必要な特性としては、基板側より記録・再生を行
う場合のみ使用レーザ光に対して透明でなければなら
ず、記録層側から記録・再生を行う場合は透明である必
要はない。したがって、本発明では、基板を1層しか用
いない場合は、基板は透明である必要はなく、基板2枚
をサンドイッチ状で用いる場合は、第2の基板のみが透
明であればよく、第1の基板の透明、不透明は問わな
い。基板材料としては例えば、ポリエステル、アクリル
樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフ
ィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド
などのプラスチック、あるいはガラス、セラミック、金
属などを用いることができる。なお、基板を1層しか用
いない場合、あるいは基板2枚をサンドイッチ状で用い
る場合は、第1の基板の表面にトラッキング用の案内溝
や案内ピット、さらにアドレス信号などのプレフォーマ
ットが形成されている必要がある。
【0048】緩衝層 緩衝層は、基板の変形を助長する層として、変形しやす
く、適度な流動性のある有機材料で形成することが好ま
しい。そのため緩衝層のガラス転移温度は100〜20
0度の範囲にあることが好ましく、100度以下である
と記録保存性が低下し、200度以上では基板変形を阻
害し感度を低下させる。緩衝層の膜厚は、記録体の反射
率が高く取れるように、反射層、色素の光学定数、膜厚
とのチューニングにより決定されるが、10〜1000
nmが好ましい。具体的な材料例としては、ポリビニルア
ルコール、ポリビニルアセタール、ポリアクリレート、
ポリエステル、ポリエーテル、ポリスチレン、ポリウレ
タン、セルロース樹脂、脂肪酸(fattic aci
d)等の、およびそれらの共重合体等、比較的分子量の
小さな高分子材料が好ましい。これらは単独で用いても
良く、2種以上を混合して用いても良い。
【0049】保護層・基板表面ハードコート層 保護層、または基板表面のハードコート層は(a)記録
層(反射吸収層)を傷、ホコリ、汚れ等から保護する、
(b)記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、
(c)反射率の向上等を目的として使用される。これら
の目的に対しては、前記下引き層に示した材料を用いる
ことができる。また無機材料として、SiO、SiO2
なども用いることができ、有機材料として、ポリメチル
アクリレート、ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリ
スチレン、ポリエステル樹脂、ビニル樹脂、セルロー
ス、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族炭化水素樹脂、天然ゴ
ム、スチレンーブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワ
ックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化
性、熱溶融性樹脂も用いることができる。上記材料のう
ち保護層、または基板表面のハードコート層に最も好ま
しい物質は、生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。保
護層、または基板表面ハードコート層の膜厚は、0.0
1〜30μm、好ましくは0.05〜10μmが適当で
ある。本発明において、前記下引き層、保護層、および
基板表面ハードコート層には、記録層の場合と同様に、
安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性
剤、可塑剤等を含有させることができる。
【0050】金属反射層 反射層は、単体で高反射率の得られる、腐食されにくい
金属、半金属等が挙げられ、材料例としてはAu、A
g、Cu、Cr、Ni、Alなどが挙げられ、好ましく
はAu、Alがよい。これらの金属、半金属は単独で使
用してもよく、2種以上の合金としてもよい。また、誘
電体の多層膜を利用しても良い。膜形成方法としては、
蒸着、スパッタリングなどが挙げられ、膜厚としては5
0〜3000Å、好ましくは100〜1000Åであ
る。
【0051】接着層 透明な高分子化合物が使用できる。本発明で特に好まし
いのは、ホットメルト型(熱溶融型)接着剤、もしくは
紫外線硬化型接着剤である。紫外線硬化型接着剤は、紫
外線照射によってラジカル重合が開始して硬化する接着
剤である。その組成は、一般的に(1)アクリル系オリ
ゴマー、(2)アクリル系モノマー、(3)光重合開始
剤、(4)重合禁止剤からなるもので、オリゴマーはポ
リエステル系、ポリウレタン系、エポキシ系アクリル酸
エステル等で、光重合開始剤はベンゾフェノン、ベンゾ
インエーテル等が使用できる。ホットメルト接着剤は液
状接着剤が溶剤揮散や反応によって硬化し接着力が発現
するのに対し、常温固体の熱可塑性樹脂が熱溶融、冷却
固化の物理変化で接着力が発現するものである。ホット
メルト接着剤は、EVA、ポリエステル系、ポリアミド
系、ポリウレタン系等を用いることができる。
【0052】(実施例) (実施例1)深さ550Å、半値幅0.30μm、トラ
ックピッチ0.74μmの案内溝(螺旋方向が従来と
逆)を有する厚さ0.6mmの射出成形ポリカーボネー
ト基板(第一基板)上に、スパッタ法により金2000
Åの反射層を設けた。その上に石油樹脂のヘキサン溶液
を基板表面に存在する案内溝凹凸を平坦化するようにス
ピンナー塗布し、〜1μmの緩衝層を設け、その上に下
記化合物1を1,1,2,2-テトラフルオロプロパノールと2,
2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンタノールの混合溶媒
に溶解させた溶液をスピンナー塗布し、第二基板側から
の反射率が70%となる膜厚に有機色素層を形成した。
さらにその上に、フォトポリマーによる保護層を2μm
設け、さらに厚さ0.6mmの平滑な射出成形ポリカー
ボネート基板(第二基板)をホットメルト接着剤を用い
接着し記録媒体とした。
【0053】(実施例2)実施例1と同様に、基板上に
反射層を設け、その上にポリスチレンを基板表面に存在
する案内溝凹凸を平坦化するように真空蒸着し、〜1.5
μmの緩衝層を設け、その上に下記化合物1を1,1,2,2-
テトラフルオロプロパノールとエチルセルソルブの混合
溶媒に溶解させた溶液をスピンナー塗布し、第二基板側
からの反射率が70%となる膜厚に有機色素層を形成し
た。さらにその上に、フォトポリマーによる保護層を2
μm設け、さらに厚さ0.6mmの平滑な射出成形ポリ
カーボネート基板(第二基板)をフォトポリマー接着剤
を用い接着し記録媒体とした。
【0054】(実施例3)実施例1において、フォトポ
リマーによる保護層を省き、直接に厚さ0.6mmの平
滑な射出成形ポリカーボネート基板(第二基板)をホッ
トメルト接着剤を用いて接着し記録媒体とした。ホット
メルト接着層が緩衝層を兼ねる。
【0055】(実施例4)基板上の内周部の一部に深さ
1000Åのプレピットを有し、それ以外の外周部は深
さ550Å、半値幅0.30μm、トラックピッチ0.
74μmの案内溝(螺旋方向が従来と逆)を有する厚さ
0.6mmの射出成形ポリカーボネート基板(第一基
板)上に、実施例1と同様に、反射層、基板表面に存在
する案内溝凹凸を平坦化するように塗布した緩衝層、有
機色素層、保護層、第二基板を形成し記録媒体とした。
【0056】(比較例1) 従来法メディア 深さ1700Å、半値幅0.24μm、トラックピッチ
0.74μmの案内溝を有する厚さ0.6mmの射出成
形ポリカーボネート基板(第一基板)上に、反射率が7
0%となる膜厚に下記化合物1の1,1,2,2-テトラフルオ
ロプロパノール溶液をスピンナー塗布し有機色素層を形
成した。さらにその上に、スパッタ法により金2000
Åの反射層を設け、さらに厚さ0.6mmの平滑な射出
成形ポリカーボネート基板(第二基板)をホットメルト
接着剤を用いて接着し記録媒体とした。
【0057】(比較例2)実施例1において、色素塗布
溶剤を1,1,2,2-テトラフルオロプロパノールのみとし、
基板表面に存在する案内溝凹凸形状が反映された凹凸形
状が存在するようにスピンナー塗布し、第二基板側から
の反射率が70%となる膜厚に有機色素層を形成した以
外は、実施例1と同様にして記録媒体とした。
【0058】
【化1】
【0059】得られた各記録媒体に、発振波長650nm 、
ビーム径1.0 μm の半導体レーザー光を用い、実施例1
〜5及び比較例2は第二基板面より、また比較例1は第
一基板面よりトラッキングしながらEFM 信号(線速3.5m
/sec.)を記録し、発振波長650nm の半導体レーザーの連
続光(再生パワー0.7mW)で再生した。その結果を表1に
示す。
【0060】
【表1】
【0061】実施例1〜4の再生信号の品質(記録パワ
ーマージン)は、比較例1よりは優れ、比較例2と同等
で、再生信号の品質(変調度)は比較例1、2より優れ
ていた。比較例2は記録後のフォーカシング及びトラッ
キングの信号や記録再生位置を急速に変化させた場合に
不安定となり、フォーカシングやトラッキングがはずれ
ることがあったが、実施例1〜4では安定した信号出力
が得られた。また従来法メディアでは、基板内周部に案
内溝よりもより深いプレピットを形成するハイブリッド
メディアは、実現できなかった(プレピットの深さが2
000Å以上では成形の転写性が悪く、正確なプレピッ
トが形成できず、プレピットの深さが2000Å以下で
は色素塗布後のプレピットからの再生信号が得られなか
った)。一方実施例4では、プレピットからの信号及び
追記した信号を良好に再生することが可能であった。
【0062】
【発明の効果】本発明においては、従来のスピンコーテ
ィング法による成膜性の変動要因(色素や溶剤材料、組
成、塗布環境、塗布条件等)に左右されない、生産性が
高く、高変調度で記録パワーマージンの大きな追記型及
びハイブリッド型光情報記録媒体の更なる改良であっ
て、より安定したフォーカス信号、トラッキング信号が
得られる追記型及びハイブリッド型光情報記録媒体が提
供できる。本発明において、緩衝層として、高分子材料
や、ガラス転移温度が100〜200℃の材料を用いる
ことにより、高変調度の記録可能な追記型及びハイブリ
ッド型光情報記録媒体が得られる。本発明においては、
追記型及びハイブリッド型光情報記録媒体に適した高変
調度の記録再生方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a) 〜(b) は本発明の光情報記録媒体構造
における位相差発生の状況を説明する図である。
【図2】図2(a) 〜(b) は従来の光情報記録媒体構造に
おける位相差発生の状況を説明する図である。
【図3】図3(a) 〜(b) は特開平10−340483号
公報の光情報記録媒体構造における位相差発生の状況を
示し説明する説明図である。
【図4】図4は1枚の媒体中にROM部と追記部を有す
るハイブリッド型光情報記録媒体を示す図である。
【符号の説明】
10 基板 11 反射層 12 色素を含む記録層 13 保護層緩衝層(図1)、保護層( 図2、図3) 14 緩衝層 15 接着層 16 第2の基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 宗 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株式 会社リコー内 Fターム(参考) 5D029 KB03 MA34 5D090 AA01 BB02 BB03 BB11 CC01 DD01 EE02 EE13 FF04 GG09 GG32

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 案内溝を有する基板上に、金属反射層、
    該基板表面に存在する案内溝凹凸を平坦化するように溶
    剤塗布法により設ける緩衝層、色素を含有する記録層お
    よび保護層を順次積層してなることを特徴とする光情報
    記録媒。
  2. 【請求項2】 案内溝を有する第1の基板上に、金属反
    射層、該基板表面に存在する案内溝凹凸を平坦化するよ
    うに溶剤塗布法により設ける緩衝層、色素を含有する記
    録層、必要に応じて設ける保護層、接着層および第2の
    基板を順次積層してなることを特徴とする光情報記録媒
    体。
  3. 【請求項3】 前記緩衝層の主成分が、高分子材料から
    なる請求項1または2に記載の光情報記録媒体。
  4. 【請求項4】 前記緩衝層のガラス転移温度が、100
    〜200℃の範囲にある請求項1〜3のいずれかに記載
    の光情報記録媒体。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかの光情報記録媒
    体を用い、該光情報記録媒体の保護層側または第2の基
    板側から情報の記録・再生を行うことを特徴とする光情
    報記録媒体の記録再生方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜4のいずれかの光情報記録媒
    体を用い、該光情報記録媒体の緩衝層の変形によりピッ
    トを形成することを特徴とする光情報記録媒体の記録方
    法。
  7. 【請求項7】 1枚の基板上に予め情報が記録されたR
    OM部と追記が可能な領域であって、案内溝が予め設け
    られた部分を併せ持つ基板上に、金属反射層、該基板表
    面に存在する案内溝凹凸を平坦化するように溶剤塗布法
    により設ける緩衝層、色素を含有する記録層および保護
    層を順次積層してなることを特徴とする光情報記録媒。
  8. 【請求項8】 1枚の基板上に予め情報が記録されたR
    OM部と追記が可能な領域であって、案内溝が予め設け
    られた部分を併せ持つ基板上に、金属反射層、該基板表
    面に存在する案内溝凹凸を平坦化するように溶剤塗布法
    により設ける緩衝層、色素を含有する記録層、必要に応
    じて設ける保護層、接着層および第2の基板を順次積層
    してなることを特徴とする光情報記録媒体。
  9. 【請求項9】 前記緩衝層の主成分が、高分子材料から
    なる請求項7または8に記載の光情報記録媒体。
  10. 【請求項10】 前記緩衝層のガラス転移温度が、10
    0〜200℃の範囲にある請求項7〜9のいずれかに記
    載の光情報記録媒体。
  11. 【請求項11】 請求項7〜10のいずれかの光情報記
    録媒体を用い、該光情報記録媒体の保護層側または第2
    の基板側から情報の記録・再生を行うことを特徴とする
    光情報記録媒体の記録再生方法。
  12. 【請求項12】 請求項7〜10のいずれかの光情報記
    録媒体を用い、該光情報記録媒体の緩衝層の変形により
    ピットを形成することを特徴とする光情報記録媒体の記
    録方法。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US8473973B2 (en) 2003-07-11 2013-06-25 Koninklijke Philips Electronics N.V. Recordable optical record carrier

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