JP4235127B2 - 色素系追記型dvd媒体の光記録再生方法および装置 - Google Patents

色素系追記型dvd媒体の光記録再生方法および装置 Download PDF

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Description

本発明は色素系追記型DVD媒体の光記録再生方法および装置に関するものである。
現在、大容量光ディスクとしてDVD±Rの高速化開発が進められている。高速化には記録レーザーの高出力化、記録材料の高感度化、記録方法、記録波形の最適化等が必要である。また、記録容量の向上の要素技術は、記録ピット微少化のための記録材料開発、MPEG2に代表される画像圧縮技術の採用、記録ピット読み取りのための半導体レーザの短波長化等の技術開発が必要である。
これまで赤色波長域の半導体レーザとしては、バーコードリーダや計測器用の670nm帯のAlGaInPレーザダイオードが商品化されているのみであったが、光ディスクの高密度化に伴い、赤色レーザが本格的に光ストレージ市場で使用されつつある。DVDドライブの場合、光源として635nm帯と650nm帯の2つの波長帯のレーザダイオードを用いて規格化されている。一方、再生専用のDVD−ROMドライブは波長約650nmで商品化されている。
一般的にヒートモードによってピット(マーク)が形成される色素系追記型DVD媒体は、特定の記録速度において記録時のレーザ発光による記録パルス列のパルス幅と記録パワーが最適化され、異なった記録線速度では形成されるマークやスペースの状態が変化する。即ち、マークの形成に必要な先頭加熱パルスによる熱容量の不足が生じたり、最適な分解温度に対して到達する加熱温度が異なってマークの平均長がばらついたり、最適な加熱パルスのデューティ比が異なって均一なマーク幅が得られなくなりマーク長に応じて太りや細りが生じたりするため、ジッタ特性が悪化してしまう。
また、DVD系媒体の物理フォーマットに関しては、DVD−R媒体のフォーマットの場合、ランドプリピットと呼ばれるランド部の一部をカットしたフォーマットで規格化されている。この方式をとると、ランドプリピット信号(LPPb)が0.16未満ではプリピットアドレス等のプリピット情報が良好に再生出来ず、0.32を越えるとLPP信号自体がデータ領域においてノイズ的な振る舞いをし、データエラーが多く発生してしまう。従って、LPPは、記録材料に合ったカット幅をスタンパで微調整して、LPPbが0.16〜0.32の範囲になるようにランドカット幅を制御しなければならない。
なお、色素を記録層に用いた光記録媒体の公知例としては、ポリメチン色素或いはポリメチン色素と光安定化材を記録材料として用いるもの、テトラアザポルフィリン(ポルフィラジン)色素又はシアニン色素+アゾ金属キレート色素(塩形成色素)からなる層と反射層を記録層とするもの、ホルマザン(金属キレート)色素+その他の色素を記録材料として用いるもの、ジピロメテン(金属キレート)色素+その他の色素を記録材料として用いるものなどがあり、枚挙に暇がない。また、記録材料に色素を用いマルチパルス記録を行うものも多数知られているが、本発明者等の知る限り、本発明のように色素系追記型DVD媒体に対し1パルスで記録を行い、かつ高線速記録を行う際の記録波形に着目した文献は見当たらない。
本発明は、色素系追記型DVD媒体に対して高線速記録を実施する際に、良好な記録波形を得ることができる光記録再生方法および装置の提供を目的とする。
また、本発明はCD系媒体に比べて短波長に発振波長を有する半導体レーザを用いる追記型DVDシステムの新フォーマット方式であって、LPP方式と同様、データの書き足し部における未記録領域をなくす有効な方式、更には、DVD−Rランドプリピット方式に比較して、スタンパ作製時に於ける微細なカット幅制御やLPP信号のデータ部への漏れ出しによるデータエラーが生じない優れた方式の提供を目的とする。
上記課題は、次の1)〜9)の発明(以下、本発明1〜9という)によって解決される。
1) ウォブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、最短長マークのパルスが他のマークのパルスより高出力化された矩形波パルスであり、最短長マーク以外の各マークを、そのパルス後端部が一定時間高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当り、前記マーク記録時において、全てのマークのパルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にすることにより、少なくとも線速21m/s〜28m/sで記録再生可能としたことを特徴とする色素系追記型DVD媒体の光記録再生方法。
2) ウォブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、最短長マークのパルスが他のマークのパルスより高出力化された矩形波パルスであり、最短長マーク以外の各マークを、そのパルス先頭部と後端部の2ヵ所が一定時間高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当り、前記マーク記録時において、全てのマークのパルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にすることにより、少なくとも線速21m/s〜28m/sで記録再生可能としたことを特徴とする色素系追記型DVD媒体の光記録再生方法。
3) パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を0.1mW以下にする時間を、最短長スペースの1/6〜6/6の長さとすることを特徴とする1)又は2)記載の光記録再生方法。
4) 直前のスペース長が最短長であるマークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該マークの長さが最短長であるか否かで区別し、最短長マークの先頭加熱パルス幅を最短長でないマークの先頭加熱パルス幅よりも長く設定し、かつ、最短長マークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該最短長マークの直前のスペース長が最短長であるか否かで区別し、直前のスペース長が最短であるマークの先頭加熱パルス幅を、直前のスペース長が最短でないマークの先頭加熱パルス幅よりも短く設定することを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の光記録再生方法。
5) ウォブルの周波数を、基本クロック周期をTとして4T〜96T相当の周波数とすることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の光記録再生方法。
6) 基板の案内溝にウォブルを有する追記型DVD媒体に対し、最短長マークのパルスが他のマークのパルスより高出力化された矩形波パルスであり、最短長マーク以外の各マークを、そのパルス後端部が一定時間高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当り、前記マーク記録時において、全てのマークのパルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にする機能を有することにより、少なくとも線速21m/s〜28m/sで記録再生可能としたことを特徴とする色素系追記型DVD媒体の記録再生装置。
7)基板の案内溝にウォブルを有する追記型DVD媒体に対し、最短長マークのパルスが他のマークのパルスより高出力化された矩形波パルスであり、最短長マーク以外の各マークを、そのパルス先頭部と後端部の2ヵ所が一定時間高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当り、前記マーク記録時において、全てのマークのパルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にする機能を有することにより、少なくとも線速21m/s〜28m/sで記録再生可能としたことを特徴とする色素系追記型DVD媒体の記録再生装置。
8) パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を0.1mW以下にする時間を、最短長スペースの1/6〜6/6の長さとする機能を有することを特徴とする6)又は7)記載の記録再生装置。
9) 直前のスペース長が最短長であるマークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該マークの長さが最短長であるか否かで区別し、最短長マークの先頭加熱パルス幅を最短長でないマークの先頭加熱パルス幅よりも長く設定し、かつ、最短長マークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該最短長マークの直前のスペース長が最短長であるか否かで区別し、直前のスペース長が最短であるマークの先頭加熱パルス幅を、直前のスペース長が最短でないマークの先頭加熱パルス幅よりも短く設定することを特徴とする6)〜8)の何れかに記載の記録再生装置。
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明1は基本的な最適パルス照射パターンを規定したものであり、本発明2は更に好ましいパルス照射パターンを規定したものである。
本発明3は後端に設けるクーリングパルスの好ましい条件を規定したものであり、パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を0.1mW以下にする時間は最短スペース長の1/6〜6/6の長さとすることが好ましく、この範囲を外れると本発明の効果を得難くなる。
また、最短長マーク以外の各マークについて、パルス後端部又はパルス先頭部と後端部に上乗せパワーを加えて高出力化する長さとしては、基本クロック周期Tの0.5倍〜2倍、即ち、0.5T〜2Tの範囲が特に好ましく、0.2T〜2.5Tの範囲でも実施可能である。また最短長マークの単純パルスの光量は、波形制御上、最短長マーク以外の各マークの上乗せ光量と略等しいことが好ましいが、波形発生回路上容易に発生可能な範囲であれば等しくなくてもよい。上乗せパワーの比率としては、上乗せパワー全体をW1、上乗せ無しパワーをW2として、W1/W2=1.05〜3.00(即ち、上乗せ分は0.05〜2.00)の範囲で採用可能であるが、好ましくは1.08〜2.00(即ち、上乗せ分は0.08〜1.00)の範囲である。
このような範囲でのパルス記録波形を選択することで、特に高線速記録において低ジッタで良好な記録が可能となる。
色素系の光記録媒体は、高線速化を実現しようとすると記録パワーを大きくしなければならず、その結果マーク間の熱干渉が一層起き易くなる。そこで、マークを形成する際のマークエッジ切れを良好にするために本発明が有効となる。
従来例のまま記録を行うと、最も低いジッタが得られるパワーとエラーが最小となるパワーにズレが生じてパワーマージンが減少する。具体的には高線速記録においては最も低いジッタが得られる記録パワーでは記録信号のアシンメトリがマイナス側になる傾向が現れ、エラー測定では如何に低ジッタといえどもエラーが出易くなってしまう。例えば、アシンメトリがマイナスで低ジッタ、低エラーであっても、媒体、ドライブの経年変化等で、アシンメトリがゼロ付近で記録された媒体よりはエラーが出易い。本発明はこの低アシンメトリ問題を解決すべくなされたものである。
また、1マークを複数パルス光(マルチパルス)で書き込む場合においても、パルス光を最適化すれば、上述の低アシンメトリ問題を解決することは可能であるが、複数のパルス光を用いるため、パルス光の立ち上がり、立ち下がり時間にばらつきを生じた際に記録品質自体がばらつく可能性がある。このばらつきは高線速記録になるほど発生し易くなることは言うまでもない。
これに対し、本発明では1マーク当り1パルス光で記録するため、該マルチパルス光記録に比べて記録品質のばらつきが少ない記録方法を提供できる利点がある。また、書き込み中のアドレス検出においては、マルチパルス法よりも単純な記録波形であるため記録時の光量を平均化し易く、スペース部の反射光量だけでなくマーク部の光量も平均化してアドレス検出することが可能となり、パルスの後端に0.1mW以下のクーリングパルスを設けてもアドレス検出を比較的容易に実施できる利点を有する。
本発明1の、最短長マーク以外の各マークを、その加熱パルスの後端部が一定時間高出力化された1つのパルス光で記録する場合に該当する記録波形の一例を図6、図8に示す。この場合、最短長マークのみが単純な矩形波で且つ高出力化されており、それ以外の各マークのパルスの後端部のみが最短長マークよりは低いレベルで高出力化されている。最短長マーク以外のマークのパラーメーターはパルスの後端部を高出力化するだけで、ほぼ共通のパラーメーターが選択可能であり、実用化されているドライブへ容易に展開できるメリットはあるが、記録媒体としては簡略化された記録波形で良好なジッタを求められる。
一方、本発明2の、最短長マーク以外の各マークを、加熱パルスの先頭部と後端部の2ヵ所が一定時間高出力化された1つのパルス光で記録する場合に該当する記録波形を図7、図9に示す。この場合、最短長マークのみが単純な矩形波で且つ高出力化されており、それ以外の各マークのパルスの先頭部と後端部の2ヵ所が最短長マークよりは低いレベルで高出力化されている。そのため図6、図8の場合に比べて、最短長マーク以外は先頭部と後端部の2ヵ所の高出力パワー化が必要であり、とりわけ高速記録においては、記録マーク長が4Tの場合、中間の低パワー部における立ち下がり、立ち上がりの精度を高めなければならない。この点において、実用化されているドライブへの展開に負荷が掛るが、記録媒体としては良好なジッタを得易いというメリットがある。
また、熱干渉の影響を考慮して、直前のスペース長が最短長であるマークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該マークの長さが最短長であるか否かで区別し、最短長マークの先頭加熱パルス幅を最短長でないマークの先頭加熱パルス幅よりも長く設定する(一例として後述する表1の、直前のスペース長が3Tで記録マーク長が3T、4T〜14Tの場合参照)ことで、より低ジッタな記録が実現できる。
更に、最短長マークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該最短長マークの直前のスペース長が最短長であるか否かで区別し、直前のスペース長が最短であるマークの先頭加熱パルス幅を、直前のスペース長が最短でないマークの先頭加熱パルス幅よりも短く設定する(一例として後述する表1の、記録マーク長が3Tでスペース長が3T、4T〜14Tの場合参照)ことで、一層低ジッタな記録が実現できる。
上記先頭加熱パルス幅を短く設定するための補正量(長さ)は、0.02T〜0.10Tの範囲が特に好ましい。形成されるマークの直前のスペース長が最短長である場合に、そのマークを形成するパルス列の先頭パルス幅が他のマークの場合と略等しいと、熱干渉により該直前のスペース長が短くなり、ジッタが若干悪化する。そこで、このような場合のみ、マークを記録するための先頭加熱パルス幅を短くすると効果がある。更にパルス幅を短くしたい場合は先頭加熱パルスの前エッジを短くすることが効果的なのは言うまでもない。
また、形成されるマークの直前のスペース長が最短長であるとき、そのマークを形成するパルス列の先頭加熱パルス幅が0.10Tよりも短いと、マーク長自身が短くなり過ぎるので好ましくない。
最短長マークの先頭加熱パルス幅を他のマークの場合よりも長く設定する際の補正量(長さ)は、0.05T〜0.25Tが好ましい。特に記録線速度が大きくなると最短長マークが形成し難くなるため、上記の範囲で補正して最短長マークの先頭パルス幅を長くする。
先頭加熱パルス幅の補正量の具体例を下記表1に示す。
Figure 0004235127
次に、記録層に必要な項目として光学特性が挙げられる。
光学特性としては、記録再生波長近傍の長波長近傍の波長域の光、即ち記録光及び再生光の波長±5nmの波長域の光に対する記録層単層の屈折率nが1.5≦n≦3.0であり、消衰係数kが0.02≦k≦0.2の範囲にあることが好ましい。nが1.5未満の場合には、十分な光学的変化を得難く記録変調度が低くなるため好ましくなく、nが3.0を越えると、波長依存性が高くなり過ぎ、記録再生波長領域であってもエラーとなってしまうため好ましくない。また、kが0.02未満の場合には、記録感度が悪くなるため好ましくなく、kが0.2を越えると、50%以上の反射率を得ることが困難となるので好ましくない。
なお、DVDは、再生専用機では650nm付近で規格化されているが、記録型媒体の記録光の波長はオーサリング専用媒体の635nmの他に、一般用途として650〜660nmで規格化されている。しかしながら、これらの波長はあくまで中心波長であり、LDの製造のバラツキで短波長側、長波長側に振れる。またLDは、その特性上、一般的に温度が上昇すると波長が長波長側にシフトする。本発明は上記波長域を含む600〜720nmの記録波長で実施可能な方法である。
次に、基板に設ける蛇行した案内溝のウォブル特性について述べるが、ウォブル周波数を特定するためのTは基本クロック周期であり、DVD(4.7GB)媒体であれば、約0.133μm、時間にして約38nsec.である。
通常、ウォブルの周波数帯としては150T〜400T相当が用いられているが、この周波数帯は、周波数変調にしろ位相変調にしろデータの書き足しをする場合にウォブルの周波数が低すぎて、前データと書き足しデータとの間がかなり空いてしまい高密度記録には向かない。これに対しDVD−RではLPPを設け、このLPP信号によりデータの書き込む位置を制御している。
しかしながら、LPP方式ではLPPの信号振幅が小さ過ぎるとLPPが良好に読み出せず、逆にLPPが大き過ぎると今度はLPP信号自体が書き込みデータへ漏れ込んでデータエラーが多発するという不具合が生じるため、LPPには、0.16≦LPPb≦0.32、好ましくは0.18≦LPPb≦0.26という制約が生じ、スタンパ作成の際、ランドのカット幅を微細に制御しなくてはならない。
これに対し、高周波ウォブルにすればLPPは必要なくなり、ウォブルを変調して同期をとるため、LPP方式の様にデータエラーが多発するような事態には至らない。本発明5で規定するように、高周波ウォブルの好ましい周波数は4T〜96Tである。4Tより小さいと高周波数すぎて検出し難くなり、回転制御やアドレス検知信頼性の点でも問題がある。一方、96Tより大きくなると周波数が低すぎて、データを追記書きする際の継ぎ目に間隔が開きすぎ、容量の低下やデータ処理速度低下等の問題を生じる。
本発明が対象とするDVD媒体のウォブルの振幅は、適当なフィルター、例えば4MHz、30kHzのハイ、ロウパスフィルターを通した信号のウォブル振幅(Wo)と、適当なフィルター、例えば30kHzのフィルターを通したプシュプル信号(PP)の比Wo/PPが、0.1≦Wo/PP≦0.4を満足するようなものであれば、本発明の目的であるウォブルでの同期合わせは容易であり、更に好ましくは0.15≦Wo/PP≦0.30の範囲である。Wo/PPの値が0.1未満では同期をとるのに不十分な信号強度であり、0.4を越えるとデータ部エラーが増える傾向にある。但し、LPP方式に比べ、LPPが大きな媒体のデータエラー発生への影響度は小さくウォブル振幅の増加に伴うデータエラーは緩やかである。
更にスタンパを作成する際、LPP方式のLPPカット幅を前述した0.16〜0.32の範囲内にするには高度なカット幅制御技術を必要とするが、本発明の高周波ウォブル方式においては高周波発生源とウォブルの振り量の大きさ(ウォブル振り量を制御する回路で振り量は任意に再現性よく作成できる)を管理しさえすれば目的が達成されるため、スタンパの歩留まりや、媒体の歩留まりを飛躍的に向上させることができる。
また、上記のフォーマットを有する基板の溝形状としては、有機色素を用いて溶剤塗工法により記録層を形成する場合を例にとると、好ましい溝深さは1000〜2500Åであり、更に好ましくは1500〜2000Åである。溝深さが1000Å未満ではプシュプル信号が充分にとれずトラッキング制御ができない。また、2500Åを越えると基板成形の際に転写性が甘くなるため好ましくない。
更に、色素記録層を設けた場合の色素溝深さはウォブル周波数をmT(mは自然数)とし、色素溝深さをd1とした時に1200≦d1×m≦160000の範囲にあることが好ましい。d1×mが1200を下回ると充分な差信号が得られず、記録再生時に充分なトッラキングが行えないし、d1×mが160000を上回ると逆に発振してしまうためやはりトラッキングには好ましくなく、更に前述した基板成形の転写限界に起因する基板溝深さの限界もあって、実質的には160000を上回ることは出来ない。
また、記録密度4〜5GBの容量を確保するためにトラックピッチは0.64〜0.8μm程度が必要である。溝幅に関しては、記録材料によって異なるが、ほぼ全ての有機材料において、半値幅0.18〜0.40μmの幅で適用できる。
次に、本発明の対象となる色素系追記型DVD媒体の層構成、各層の必要特性及び構成材料について説明する。
図1(a)〜(d)は、通常の追記型光ディスクの層構成例であり、図2(a)〜(c)は通常のCD−R媒体の層構成例であり、図3(a)〜(c)は追記型DVD媒体の層構成例であるが、本発明の対象となる色素系追記型DVD媒体の好ましい基本構成は、図3(b)、(c)に示すような、第1基板と第2基板(保護基板)を記録層を間にして接着剤で貼り合わせたものである。
記録層は有機色素層単層でも、反射率を高めるため有機色素層と反射層との積層でも良い。記録層と基板の間には下引き層又は保護層を設けてもよく、機能向上のため各層を2層以上の積層構造とした構成でも良い。最も普通に用いられるのは、第1基板/有機色素層/反射層/保護層/接着層/第2基板(保護基板)からなる構造である。
《基板》
基板は、基板側から記録再生を行なう場合には使用レーザに対して透明でなければならないが、記録層側から記録再生を行なう場合には透明である必要はない。基板材料としては、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などのプラスチック、或いは、ガラス、セラミック、金属などを用いることができる。なお、基板の表面にはトラッキング用の案内溝や案内ピット、更にアドレス信号などのプリフォーマットが形成されていても良い。
《記録層》
記録層はレーザ光の照射により何らかの光学的変化を生じさせ、その変化により情報を記録するものであり、その材料としては色素が好ましい。
色素の例としては、アゾ系、ホルマザン系、ジピロメテン系、(ポリ)メチン系、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、テトラアザポルフィリン系、スクアリリウム系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン系(インダンスレン系)、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系色素、或いはそれらの金属錯体などが挙げられる。中でも好ましいのは、アゾ(金属キレート)色素、ホルマザン(金属キレート)色素、スクアリリウム(金属キレート)色素、ジピロメテン(金属キレート)色素、トリメチンシアニン色素、テトラアザポルフィリン色素である。
上記色素は熱分解特性として、分解開始温度100〜360℃のものが好ましく、特に100〜350℃のものが好ましい。分解開始温度が360℃を越えると記録時のピット形成がうまく行われずジッタ特性が悪くなる。また、100℃未満であるとディスクの保存安定性が悪化する。
上記色素には光学特性、記録感度、信号特性などの向上の目的で他の有機色素、金属、金属化合物を混合してもよく、或いは色素層と他の有機色素、金属、金属化合物からなる層を積層しても良い。
このような金属、金属化合物の例としては、In、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、TeO、SnO、As、Cdなどが挙げられ、それぞれを分散混合するか或いは積層して用いることができる。
更に、上記染料中に高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の材料、或いはシランカップリング剤などを分散混合しても良いし、特性改良の目的で安定剤(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを一緒に用いることも出来る。
記録層の形成は、蒸着、スパッタリング、CVD、溶剤塗布などの通常の手段によって行うことができる。塗布法を用いる場合には、上記染料などを有機溶剤に溶解し、スプレー、ローラーコーティグ、ディッピング、スピンコーティングなどの慣用のコーティング法によって行うことが出来る。用いられる有機溶媒としては一般にメタノール、エタノール、イソプロパノールなどのアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルなどのエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチルなどのエステル類;クロロホルム、塩化メチレン、ジクロルエタン、四塩化炭素、トリクロルエタンなどの脂肪族ハロゲン化炭化水素類;ベンゼン、キシレン、モノクロルベンゼン、ジクロルベンゼンなどの芳香族類;メトキシエタノール、エトキシエタノールなどのセロソルブ類;ヘキサン、ペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサンなどの炭化水素類などが挙げられる。
記録層の膜厚は100Å〜10μm、好ましくは200〜2000Åが適当である。
《下引き層》
下引き層は、(1)接着性の向上、(2)水又はガスなどのバリアー、(3)記録層の保存安定性の向上、(4)反射率の向上、(5)溶剤からの基板の保護、(6)案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形成などの目的で設けられる。(1)の目的に対しては、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の高分子化合物、又はシランカップリング剤などを用いることができる。(2)及び(3)の目的に対しては、上記高分子材料以外に、SiO、MgF、SiO、TiO、ZnO、TiN、SiNなどの無機化合物を用いることができ、更に、Zn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Alなどの金属又は半金属を用いることができる。(4)の目的に対しては、Al、Au、Ag等の金属や、メチン染料、キサンテン系染料などからなる金属光沢を有する有機薄膜を用いることができる。(5)及び(6)の目的に対しては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
下引き層の膜厚としては、0.01〜30μm、好ましくは、0.05〜10μmが適当である。
《反射層》
反射層の材料としては、Au、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Snなどの単体で高反射率の得られる腐食され難い金属や半金属が挙げられるが、反射率や生産性の点からAu、Ag、Alが特に好ましい。また、これらの金属や半金属は単独で使用しても2種以上の合金として使用しても良い。
膜形成法としては蒸着、スッパタリングなどが挙げられ、膜厚としては、50〜5000Å、好ましくは、100〜3000Åである。
《保護層、基板面ハードコート層》
保護層及び基板面ハードコート層は、(1)記録層(反射吸収層)の傷、ホコリ、汚れ等からの保護、(2)記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、(3)反射率の向上等を目的として使用される。これらの目的に対しては、前記下引き層と同じ材料を用いることができる。また、ポリメチルアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂などの有機材料を用いることもできる。最も好ましいのは生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。
保護層又は基板面ハードコート層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmである。
上記下引き層、保護層及び基板面ハードコート層には、記録層の場合と同様に安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
《保護基板》
保護基板は、保護基板側からレーザ光を照射する場合には、使用レーザ光に対して透明でなければならないが、単なる保護板として用いる場合には透明でなくてもよい。
使用可能な保護基板材料は前記基板材料と全く同じであり、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などのプラスチック、又はガラス、セラミック、金属などを用いることができる。
《接着層》
接着層の材料としては、2枚の記録媒体を接着できる材料なら何でもよく、生産性を考慮すると、紫外線硬化型接着剤又はホットメルト型接着剤が好ましい。
DVD−RAM・WO、DVD−R、DVD+R、及びDVD−RAM、DVD−RW、DVD+RWディスクは、書き込みが可能な(記録可能な)DVD(Digital Versatile Disc)である。DVD−RAM・WO、DVD−R、DVD+Rは、1回だけ書き込みが可能なDVDである(なお、DVD Write Onceとも言われている)。また、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RWは、複数回の書き込みが可能なDVDである。これらのDVD+RやDVD+RWディスク等の光ディスクは、次の図10のようなドライブによって情報の記録再生が行われる。
図10は、光ディスクドライブについて、その要部構成の一例を示す機能ブロック図である。図において、11は光ディスク、12はスピンドルモータ、13は光ピックアップ、14はモータドライバ、15はリードアンプ、16はサーボ手段、17はDVDデコーダ、18はADIPデコーダ、19はレーザコントローラ、20はDVDエンコーダ、21はDVD−ROMエンコーダ、22はバッファRAM、23はバッファマネージャ、24はDVD−ROMデコーダ、25はATAPI/SCSIインターフェース、26はD/Aコンバータ、27はROM、28はCPU、29はRAMを示し、LBはレーザ光、Audioはオーディオ出力信号を示す。
この図10において、矢印はデータが主に流れる方向を示しており、また、図を簡略化するために、図10の各ブロックを制御するCPU28には、太線のみを付けて各ブロックとの接続を省略している。ROM27には、CPU28にて解読可能なコードで記述された制御プログラムが格納されている。なお、光ディスクドライブの電源がオン状態になると、前記プログラムはメインメモリ(図示せず)にロードされ、前記CPU28はそのプログラムに従って上記各部の動作を制御すると共に、制御に必要なデータ等を一時的にRAM29に保存する。
光ディスクドライブの構成と動作は、次の通りである。光ディスク11は、スピンドルモータ12によって回転駆動される。このスピンドルモータ12は、モータドライバ14とサーボ手段16により、線速度又は角速度が一定になるように制御される。この線速度又は角速度は、階段的に変更することが可能である。
光ピックアップ13は、図示されない半導体レーザ、光学系、フォーカスアクチュエータ、トラックアクチュエータ、受光素子及びポジションセンサを内蔵しており、レーザ光LBを光ディスク11に照射する。また、この光ピックアップ13は、シークモータによってスレッジ方向への移動が可能である。これらのフォーカスアクチュエータ、トラックアクチュエータ、シークモータは、受光素子とポジションセンサから得られる信号に基づいて、モータドライバ14とサーボ手段16により、レーザ光LBのスポットが光ディスク11上の目的の場所に位置するように制御される。
そして、リード時には、光ピックアップ13によって得られた再生信号が、リードアンプ15で増幅されて2値化された後、DVDデコーダ17に入力される。入力された2値化データは、このDVDデコーダ17において、8/16復調される。なお、記録データは、8ビットずつ纏められて変調(8/16変調)されており、この変調では、8ビットを16ビットに変換している。この場合に、結合ビットは、それまでの「1」と「0」の数が平均的に等しくなるように付けられる。これを「DC成分の抑制」といい、DCカットされた再生信号のスライスレベル変動が抑圧される。
復調されたデータは、デインターリーブとエラー訂正の処理が行われる。その後、このデータは、DVD−ROMデコーダ24へ入力され、データの信頼性を高めるために更にエラー訂正の処理が行われる。このように2回のエラー訂正の処理が行われたデータは、バッファマネージャ23によって一旦バッファRAM22に蓄えられ、セクタデータとして揃った状態で、ATAPI/SCSIインターフェース25を介して、図示しないホストコンピュータへ一気に転送される。なお、音楽データの場合には、DVDデコーダ17から出力されたデータが、D/Aコンバータ26へ入力され、アナログのオーディオ出力信号Audioとして取り出される。
また、ライト時には、ATAPI/SCSIインターフェース25を通して、ホストコンピュータから送られてきたデータは、バッファマネージャ23によって一旦バッファRAM22に蓄えられる。その後、ライト動作が開始されるが、この場合には、その前にレーザスポットを書き込み開始地点に位置させる必要がある。この地点は、DVD+RW/+Rでは、予め光ディスク11上にトラックの蛇行により刻まれているウォブル信号によって求められる。
なお、上記地点はDVD−RW/−Rではウォブル信号の代わりにランドプリピット、DVD−RAM/RAM・WOではプリピットによって求められる。
DVD+RW/+Rディスクにおけるウォブル信号には、ADIP(ADress In Pre−groove)と呼ばれるアドレス情報が含まれており、この情報が、ADIPデコーダ18によって取り出される。また、このADIPデコーダ18によって生成される同期信号は、DVDエンコーダ20へ入力され、光ディスク11上の正確な位置へのデータの書き込みを可能にしている。バッファRAM22のデータは、DVD−ROMエンコーダ21やDVDエンコーダ20において、エラー訂正コードの付加や、インターリーブが行われ、レーザコントローラ19、光ピックアップ13を介して、本発明の記録パワーと記録波形により光ディスク11に記録される。
本発明の記録再生装置は、基板の案内溝にウォブルを有する色素系追記型DVD媒体に対し、最短長マークのパルスが他のマークのパルスより高出力化された矩形波パルスであり、最短長マーク以外の各マークを、そのパルス後端部が一定時間高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当り、前記マーク記録時において、全てのマークのパルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にする機能を有するので高線速における、高品質記録が実現可能である。
また、本発明の記録再生装置は、最短長マーク以外の各マークを、そのパルス先頭部と後端部の2ヵ所が一定時間高出力化された1つのパルス光で記録する機能を有するので、高線速での記録品質を向上させることができる。
また、本発明の記録再生装置は、パルス後端部以降のクーリングパルスを照射する時間を、最短長スペースの1/6〜6/6の長さとする機能を有するので、より好ましいクーリングパルス範囲を採用することにより、記録品質を一層向上させることができる。
更に、本発明の記録再生装置は、直前のスペース長が最短長であるマークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該マークの長さが最短長であるか否かで区別し、最短長マークの先頭加熱パルス幅を最短長でないマークの先頭加熱パルス幅よりも長く設定し、かつ、最短長マークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該最短長マークの直前のスペース長が最短長であるか否かで区別し、直前のスペース長が最短であるマークの先頭加熱パルス幅を、直前のスペース長が最短でないマークの先頭加熱パルス幅よりも短く設定する機能を有するので、高品質な記録、即ち低ジッタ化が実現できる。
また、アドレス情報を得る方式は、ランドプリピットやプリピットからアドレス情報を得る方式であっても良い。
図11は、図10に示す光ディスクドライブを使用した情報処理装置の概略図である。
情報処理装置は、主制御装置、インターフェース、記録装置、入力装置及び表示装置などを備えている。
主制御装置は、CPU(中央処理装置、マイクロコンピュータ)、メインメモリ(何れも図示せず)などを含んで構成され、ホストコンピューターの全体を制御する。
インターフェースは、光ディスクドライブとの双方向の通信インターフェースであり、ATAPI及びSCSI等の標準インターフェースに準拠している。インターフェースは前述した光ディスクドライブのインターフェース25と接続されている。なお、各インターフェース間の接続形態は、通信ケーブル(例えばSCSIケーブル)などの通信線を用いたケーブル接続だけでなく、赤外線などを利用したワイヤレス接続であっても良い。
記録装置(HDD、ハードディスク)には、主制御装置のマイクロコンピュータで解読可能なコードで記述されたプログラムが格納されている。なお、情報処理装置の駆動電源がオン状態になると、上記プログラムは主制御装置のメインメモリにロードされる。
表示装置は、例えばCRT、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)などの表示部(図示省略)を備え、制御装置からの各種情報を表示する。
入力装置は、例えばキーボード、マウス、ポインティングデバイスなどのうち少なくとも1つの入力媒体(図示省略)を備え、ユーザから入力された各種情報を主制御装置に通知する。なお、入力媒体からの情報はワイヤレス方式で入力されても良い。また、表示装置と入力装置とが一体化したものとして、例えばタッチパネル付きCRTなどがある。また、情報処理装置はオペレーティングシステム(OS)を搭載している。そして、情報処理装置を構成する全てのデバイスはOSによって管理されているものとする。
本発明によれば、色素系追記型DVD媒体に対し、何れの線速度でも低ジッタ、低エラー率な記録が可能であり、DVD−Rで用いているランドプリピットフォーマットよりも簡単に製造可能な高周波ウォブルフォーマットでデータ部の書き足しを効率良く実施できる。しかも、現在、大量に製造されているCD−R、CD−RWとほぼ同一フォーマットの色素系追記型DVD媒体に対して記録が可能である。
以下、実施例及び比較例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例1〜9、比較例1〜6
溝深さ1750Å、半値幅0.33μm、トラックピッチ0.74μm、ウォブル周波数32T相当の案内溝を有する厚さ0.6mm、外径120mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、下記〔化1〕と〔化2〕の化合物を、重量比で60:40秤量し、2,2,3,3−テトラフルオル−1−プロパノールに溶解してスピンナー塗布し、厚さ1200Åの有機色素層を形成した後、85℃で30分間乾燥した。
次いで、スパッタ法により銀1100Åの反射層を設け、更にその上にアクリル系フォトポリマーにて厚さ5μmの保護層を設けた後、厚さ0.6mm、外径120mmの射出成形ポリカーボネート平板基板をアクリル系フォトポリマーにて接着し光記録媒体を得た。
Figure 0004235127
Figure 0004235127
<記録再生条件>
上記光記録媒体に対し、発振波長660nm、ビーム径0.9μmの半導体レーザ光を用い、トラッキングしながらEFM信号(最小ピット長約0.4ミクロン)を、表2に示す記録条件と記録線速でBottom Jitter(ボトム・ジッタ)が極小となるような記録パワーで記録し、その個所を再生してジッタ値、アシンメトリ、PIエラー数を求めた。なお、記録レーザ光の波形は図4〜図9に示す通りである。また、W1は上乗せパワー全体、W2は上乗せ無しパワーである。更に、線速21m/sと28m/sのパスル長は図4〜図9のパルス長を用いたが、本発明はこれに限定されるわけではない。
なお、実施例8ではクーリング量を0.4Tと本発明の最短スペース長3Tの1/6、即ち、0.5Tより短くした。また、比較例1ではクーリング部の光量を0.7mWと再生光パワーと同一とした。即ちクーリングパルスが存在しない記録波形とした。比較例2ではクーリング部の光量を0.4mWと本発明より大きくした。比較例3では比較例1と同様にクーリングなしで、記録線速を高線速にした。
Figure 0004235127
なお、表中のWOは最短マークパルスパワーである。
上記表2から分るように、実施例1〜8は、比較例1〜3に比べてジッタ、アシンメトリ共に良好である。
また、上記光記録媒体に対し、発振波長660nm、ビーム径0.9μmの半導体レーザ光を用い、トラッキングしながらEFM信号(最小ピット長約0.4ミクロン)を下記表3に示す記録条件と記録線速で、かつ表1補正ありの条件下、ボトム・ジッタが極小となるような記録パワーで記録し、その個所を再生してジッタ値、アシンメトリ、PIエラー数を求めた。
なお、比較例4〜6では、DVD−Rで実施されているLPPフォーマットのLPPbの大きさを振った(変化させた)試作条件スタンパと成形基板を用いて実施例と同様の作成条件で光記録媒体を作成し、実施例と同様の評価を行った。
Figure 0004235127
上記表3から分るように、LPPフォーマットのサンプルでは、LPPbが大きくなると、ジッタが良好であってもPIエラーが増加してしまう。また、比較例4のようにLPPbが0.16を下回るレベルであると実際に用いる装置でのアドレス検出が不可能となってしまうことが確認された。
(a)〜(d) 通常の追記型光記録媒体の層構成例を示す図。 (a)〜(c) 通常のCD−R媒体の層構成例を示す図。 (a)〜(c) 色素系追記型DVD媒体の層構成例を示す図。 記録線速28m/s用最短長マーク以外のマークの後端部上乗せ型発光波形の従来例を示す図。 記録線速28m/s用最短長マーク以外のマークの先頭部と後端部上乗せ型発光波形の従来例を示す図。 記録線速28m/s用最短長マーク以外のマークの後端部上乗せ型発光波形の本発明例を示す図。 記録線速28m/s用最短長マーク以外のマークの先頭部と後端部上乗せ型発光波形の本発明例を示す図。 記録線速21m/s用最短長マーク以外のマークの後端部上乗せ型発光波形の本発明例を示す図。 記録線速21m/s用最短長マーク以外のマークの先頭部と後端部上乗せ型発光波形の本発明例を示す図。 光ディスクドライブの要部構成の一例を示す機能ブロック図。 図10に示す光ディスクドライブを使用した情報処理装置の概略図。
符号の説明
1 基板
2 記録層
3 下引き層
4 保護層
5 基板面ハードコート層
6 反射層
7 保護基板
8 接着層
space スペース
mark マーク
Cooling Area クーリング領域
T 基本クロック周期
n 3以上の整数
n′ 3以上の整数
ps 直前のスペース長
cm 記録マーク長
W1 上乗せパワー全体
W2 上乗せ無しパワー

Claims (9)

  1. ウォブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、最短長マークのパルスが他のマークのパルスより高出力化された矩形波パルスであり、最短長マーク以外の各マークを、そのパルス後端部が一定時間高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当り、前記マーク記録時において、全てのマークのパルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にすることにより、少なくとも線速21m/s〜28m/sで記録再生可能としたことを特徴とする色素系追記型DVD媒体の光記録再生方法。
  2. ウォブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、最短長マークのパルスが他のマークのパルスより高出力化された矩形波パルスであり、最短長マーク以外の各マークを、そのパルス先頭部と後端部の2ヵ所が一定時間高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当り、前記マーク記録時において、全てのマークのパルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にすることにより、少なくとも線速21m/s〜28m/sで記録再生可能としたことを特徴とする色素系追記型DVD媒体の光記録再生方法。
  3. パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を0.1mW以下にする時間を、最短長スペースの1/6〜6/6の長さとすることを特徴とする請求項1又は2記載の光記録再生方法。
  4. 直前のスペース長が最短長であるマークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該マークの長さが最短長であるか否かで区別し、最短長マークの先頭加熱パルス幅を最短長でないマークの先頭加熱パルス幅よりも長く設定し、かつ、最短長マークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該最短長マークの直前のスペース長が最短長であるか否かで区別し、直前のスペース長が最短であるマークの先頭加熱パルス幅を、直前のスペース長が最短でないマークの先頭加熱パルス幅よりも短く設定することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の光記録再生方法。
  5. ウォブルの周波数を、基本クロック周期をTとして4T〜96T相当の周波数とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の光記録再生方法。
  6. 基板の案内溝にウォブルを有する追記型DVD媒体に対し、最短長マークのパルスが他のマークのパルスより高出力化された矩形波パルスであり、最短長マーク以外の各マークを、そのパルス後端部が一定時間高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当り、前記マーク記録時において、全てのマークのパルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にする機能を有することにより、少なくとも線速21m/s〜28m/sで記録再生可能としたことを特徴とする色素系追記型DVD媒体の記録再生装置。
  7. 基板の案内溝にウォブルを有する追記型DVD媒体に対し、最短長マークのパルスが他のマークのパルスより高出力化された矩形波パルスであり、最短長マーク以外の各マークを、そのパルス先頭部と後端部の2ヵ所が一定時間高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当り、前記マーク記録時において、全てのマークのパルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にする機能を有することにより、少なくとも線速21m/s〜28m/sで記録再生可能としたことを特徴とする色素系追記型DVD媒体の記録再生装置。
  8. パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を0.1mW以下にする時間を、最短長スペースの1/6〜6/6の長さとする機能を有することを特徴とする請求項6又は7記載の記録再生装置。
  9. 直前のスペース長が最短長であるマークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該マークの長さが最短長であるか否かで区別し、最短長マークの先頭加熱パルス幅を最短長でないマークの先頭加熱パルス幅よりも長く設定し、かつ、最短長マークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該最短長マークの直前のスペース長が最短長であるか否かで区別し、直前のスペース長が最短であるマークの先頭加熱パルス幅を、直前のスペース長が最短でないマークの先頭加熱パルス幅よりも短く設定することを特徴とする請求項6〜8の何れかに記載の記録再生装置。
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