JP4133882B2 - 色素系追記型dvd媒体の記録再生方法及び記録再生装置 - Google Patents
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Description
これまで赤色波長域の半導体レーザとしては、バーコードリーダや計測器用の670nm帯のAlGaInPレーザダイオードが商品化されているのみであったが、光ディスクの高密度化に伴い、赤色レーザが本格的に光ストレージ市場で使用されつつある。DVDドライブの場合、光源として630〜690nm帯の半導体レーザの波長で規格化されている。一方、再生専用のDVD−ROMドライブは波長約650nmで商品化されている。
また、DVD系媒体の物理フォーマットに関しては、DVD−R媒体のフォーマットの場合、ランドプリピットと呼ばれるランド部の一部をカットしたフォーマットで規格化されている。この方式をとると、ランドプリピット信号(LPPb)が0.16未満ではプリピットアドレス等のプリピット情報が良好に再生出来ず、0.32を越えるとLPP信号自体がデータ領域においてノイズ的な振る舞いをし、データエラーが多く発生してしまう。従って、LPPは、記録材料に合ったカット幅をスタンパで微調整して、LPPbが0.16〜0.32の範囲になるようにランドカット幅を制御しなければならない。
しかし、本発明者等の知る限り、本発明のように色素系追記型DVD媒体に対し1パルスで記録を行い、かつ高線速記録を行う際の記録波形に着目した文献は見当たらない。
また、本発明はCD系媒体に比べて短波長に発振波長を有する半導体レーザを用いる追記型DVDシステムの新フォーマット方式であって、LPP方式と同様、データの書き足し部における未記録領域をなくす有効な方式、更には、DVD−Rランドプリピット方式に比較して、スタンパ作製時に於ける微細なカット幅制御やLPP信号のデータ部への漏れ出しによるデータエラーが生じない優れた方式の提供を目的とする。
1) ウォブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、最短長マークを、パワーW1で先端部又は全体がパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、2番目に短いマークを、パワーW1で先端部のみがパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、短い方から3番目以降の長さのマークを、パワーW1で先端部と後端部がパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当たり、前記マーク記録時において、各パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にすることを特徴とする色素系追記型DVD媒体の記録再生方法。
2) ウォブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、最短長マークを、パワーW1で先端部又は全体がパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、2番目に短いマークを、パワーW1で先端部のみがパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、短い方から3番目以降の長さのマークを、パワーW1で後端部のみがパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当たり、前記マーク記録時において、各パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にすることを特徴とする色素系追記型DVD媒体の記録再生方法。
3) パルス後端部以降のクーリングパルス照射光量を0.1mW以下にする時間を、再短長スペースの1/6〜6/6の長さとすることを特徴とする1)又は2)記載の記録再生方法。
4) 直前のスペース長が最短長であるマークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該マークの長さが最短長であるか否かで区別し、最短長マークの先頭加熱パルス幅を最短長でないマークの先頭加熱パルス幅よりも長く設定し、かつ、最短長マークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該最短長マークの直前のスペース長が最短長であるか否かで区別し、直前のスペース長が最短であるマークの先頭加熱パルス幅を、直前のスペース長が最短でないマークの先頭加熱パルス幅よりも短く設定することを特徴とする1)〜3)の何れかに記載の記録再生方法。
5) 前記高周波ウォブルは、基本クロック周期をTとして4T〜96T相当の周波数とすることを特徴とする1)〜4)の何れかに記載の記録再生方法。
6) 高周波ウォブルの振幅(Wo)と、2分割光検出器によりトラックエラーを検出制御するためのトラックエラー検出信号のプッシュプル振幅(PP)との比「Wo/PP」を、0.1≦Wo/PP≦0.4の範囲として同期合わせすることを特徴とする1)〜5)の何れかに記載の記録再生方法。
7) 記録光の波長が600〜720nmであることを特徴とする1)〜6)の何れかに記載の記録再生方法。
8) 記録光及び再生光の波長±5nmの波長域の光に対して、記録層単層の屈折率nが1.5≦n≦3.0であり、消衰係数kが0.02≦k≦0.2であることを特徴とする1)〜7)の何れかに記載の記録再生方法。
9) 光記録媒体が、基板上に、記録層以外の構成層として、反射層、保護層、接着層、保護基板、基板面ハードコート層から選ばれる少なくとも一つの層を有することを特徴とする1)〜8)の何れかに記載の記録再生方法。
10) 反射層が、金、銀、アルミニウムの何れか、又はそれらを主成分とする合金であることを特徴とする9)記載の記録再生方法。
11) 保護層が紫外線硬化樹脂からなることを特徴とする9)又は10)記載の記録再生方法。
12) 2枚の基板を貼り合わせて両面構成の記録媒体とするための接着層が該基板間に設けられ、かつ、該接着層に用いられる接着剤が紫外線硬化樹脂であることを特徴とする9)〜11)の何れかに記載の記録再生方法。
13) ウォブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、最短長マークを、パワーW1で先端部又は全体がパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、2番目に短いマークを、パワーW1で先端部のみがパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、短い方から3番目以降の長さのマークを、パワーW1で先端部と後端部がパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当たり、前記マーク記録時において、各パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にする機能を有することを特徴とする色素系追記型DVD媒体の記録再生装置。
14) ウォブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、最短長マークを、パワーW1で先端部又は全体がパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、2番目に短いマークを、パワーW1で先端部のみがパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、短い方から3番目以降の長さのマークを、パワーW1で後端部のみがパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当たり、前記マーク記録時において、各パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にする機能を有することを特徴とする色素系追記型DVD媒体の記録再生装置。
15) パルス後端部以降のクーリングパルス照射光量を0.1mW以下にする時間を、再短長スペースの1/6〜6/6の長さとする機能を有することを特徴とする13)又は14)記載の記録再生装置。
16) 直前のスペース長が最短長であるマークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該マークの長さが最短長であるか否かで区別し、最短長マークの先頭加熱パルス幅を最短長でないマークの先頭加熱パルス幅よりも長く設定し、かつ、最短長マークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該最短長マークの直前のスペース長が最短長であるか否かで区別し、直前のスペース長が最短であるマークの先頭加熱パルス幅を、直前のスペース長が最短でないマークの先頭加熱パルス幅よりも短く設定する機能を有することを特徴とする13)〜15)の何れかに記載の記録再生装置。
本発明は(高周波)ウォブルを設けた案内溝を有する基板上に有機色素を主成分とする記録層を形成した色素系追記型DVD媒体の記録再生方法及び記録再生装置である。
本発明1〜2、13〜14は基本的な最適パルス照射パターンを規定したものである。
本発明3、15は後端に設けるクーリングパルスの好ましい条件を規定したものであり、パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を0.1mW以下にする時間は最短スペース長の1/6〜6/6の長さとすることが好ましく、この範囲を外れると本発明の効果を得難くなる。
本発明4、16は熱干渉を考慮した低ジッタの得られる記録波形を限定したものである。
また、追記するための最適ウォブル周波数範囲は、基本クロック周期をTとして4T〜96Tであり(本発明5)、ウォブル信号の最適範囲は、高周波ウォブルの振幅をWo、2分割光検出器によりトラックエラーを検出制御するためのトラックエラー検出信号のプッシュプル振幅をPPとして、0.1≦Wo/PP≦0.4の範囲が好ましく(本発明6)、更に、記録層として記録再生波長±5nmの波長域の光に対する記録層単層の屈折率nが1.5≦n≦3.0であり、消衰係数kが0.02≦k≦0.2である有機色素膜を有する光記録媒体を作成し、記録波長600〜720nm、好ましくは635nm〜665nmで記録することにより、書き足しデータ部先頭の未記録領域を低減でき、低エラー率でDVD追記型ディスクの記録再生できる(本発明7〜8)。
従来例のまま記録を行うと、最も低いジッタが得られるパワーとエラーが最小となるパワーにズレが生じてパワーマージンが減少する。具体的には高線速記録においては最も低いジッタが得られる記録パワーでは記録信号のアシンメトリがマイナス側になる傾向が現れ、エラー測定では如何に低ジッタといえどもエラーが出易くなってしまう。例えば、アシンメトリがマイナスで低ジッタ、低エラーであっても、媒体、ドライブの経年変化等で、アシンメトリがゼロ付近で記録された媒体よりはエラーが出易い。本発明はこの低アシンメトリ問題を解決すべくなされたものである。
これに対し、本発明では1マーク当り1パルス光で記録するため、該マルチパルス光記録に比べて記録品質のばらつきが少ない記録方法を提供できる利点がある。また、書き込み中のアドレス検出においては、マルチパルス法よりも単純な記録波形であるため記録時の光量を平均化し易く、スペース部の反射光量だけでなくマーク部の光量も平均化してアドレス検出することが可能となり、パルスの後端に0.1mW以下のクーリングパルスを設けてもアドレス検出を比較的容易に実施できる利点を有する。
本発明2に該当する記録波形の一例を図6、図7に示す。図4、図5との違いは、3番目以降の長さのマークのパルス後端部のみが高出力化されていることである。本発明1に該当する記録波形と比べて、短い方から3番目以降の長さの各マークのパルス後端部のみを高出力化するだけでほぼ共通のパラメータが選択可能であり、実用されているドライブへ容易に展開できるメリットはあるが、光記録媒体としては簡略化された記録波形で良好なジッタが得られるものが求められる。
上記先頭加熱パルス幅を短く設定する補正量(長さ)は、0.02T〜0.10Tの範囲が特に好ましい。形成されるマークの直前のスペース長が最短長である場合に、そのマークを形成するパルス列の先頭パルス幅が他のマークの場合と略等しいと、熱干渉により該直前のスペース長が短くなり、ジッタが若干悪化する。そこで、このような場合のみ、マークを記録するための先頭加熱パルス幅を短くすると効果がある。更にパルス幅を短くしたい場合は先頭加熱パルスの前エッジを短くすることが効果的なのは言うまでもない。
また、形成されるマークの直前のスペース長が最短長であるとき、そのマークを形成するパルス列の先頭加熱パルス幅が0.10Tよりも短いと、マーク長自身が短くなり過ぎるので好ましくない。
最短長マークの先頭加熱パルス幅を他のマークの場合よりも長く設定する際の補正量(長さ)は、0.05T〜0.25Tが好ましい。特に記録線速度が大きくなると最短長マークが形成し難くなるため、上記の範囲で補正して最短長マークの先頭パルス幅を長くする。
光学特性としては、記録再生波長近傍の長波長近傍の波長域の光、即ち記録光及び再生光の波長±5nmの波長域の光に対する記録層単層の屈折率nが1.5≦n≦3.0であり、消衰係数kが0.02≦k≦0.2の範囲にあることが好ましい。nが1.5未満の場合には、十分な光学的変化を得難く記録変調度が低くなるため好ましくなく、nが3.0を越えると、波長依存性が高くなり過ぎ、記録再生波長領域であってもエラーとなってしまうため好ましくない。また、kが0.02未満の場合には、記録感度が悪くなるため好ましくなく、kが0.2を越えると、50%以上の反射率を得ることが困難となるので好ましくない。
なお、DVDは、再生専用機では650nm付近で規格化されているが、記録型媒体の記録光の波長はオーサリング専用媒体の635nmの他に、一般用途として650〜660nmで規格化されている。しかしながら、これらの波長はあくまで中心波長であり、LDの製造のバラツキで短波長側、長波長側に振れる。またLDは、その特性上、一般的に温度が上昇すると波長が長波長側にシフトする。本発明は上記波長域を含む600〜720nmの記録波長で実施可能な方法である。
通常、ウォブルの周波数帯としては150T〜400T相当が用いられているが、この周波数帯は、周波数変調にしろ位相変調にしろデータの書き足しをする場合にウォブルの周波数が低すぎて、前データと書き足しデータとの間がかなり空いてしまい高密度記録には向かない。これに対しDVD−RではLPPを設け、このLPP信号によりデータの書き込む位置を制御している。
しかしながら、LPP方式ではLPPの信号振幅が小さ過ぎるとLPPが良好に読み出せず、逆にLPPが大き過ぎると今度はLPP信号自体が書き込みデータへ漏れ込んでデータエラーが多発するという不具合が生じるため、LPPには、0.16≦LPPb≦0.32、好ましくは0.18≦LPPb≦0.26という制約が生じ、スタンパ作成の際、ランドのカット幅を微細に制御しなくてはならない。
これに対し、高周波ウォブルにすればLPPは必要なくなり、ウォブルを変調して同期をとるため、LPP方式の様にデータエラーが多発するような事態には至らない。本発明5で規定するように、高周波ウォブルの好ましい周波数は4T〜96Tである。4Tより小さいと高周波数すぎて検出し難くなり、回転制御やアドレス検知信頼性の点でも問題がある。一方、96Tより大きくなると周波数が低すぎて、データを追記書きする際の継ぎ目に間隔が開きすぎ、容量の低下やデータ処理速度低下等の問題を生じる。
更にスタンパを作成する際、LPP方式のLPPカット幅を前述した0.16〜0.32の範囲内にするには高度なカット幅制御技術を必要とするが、本発明の高周波ウォブル方式においては高周波発生源とウォブルの振り量の大きさ(ウォブル振り量を制御する回路で振り量は任意に再現性よく作成できる)を管理しさえすれば目的が達成されるため、スタンパの歩留まりや、媒体の歩留まりを飛躍的に向上させることができる。
更に、色素記録層を設けた場合の色素溝深さはウォブル周波数をmT(mは自然数)とし、色素溝深さをd1とした時に1200≦d1×m≦160000の範囲にあることが好ましい。d1×mが1200を下回ると充分な差信号が得られず、記録再生時に充分なトッラキングが行えないし、d1×mが160000を上回ると逆に発振してしまうためやはりトラッキングには好ましくなく、更に前述した基板成形の際の転写限界に起因する基板溝深さの限界もあって、実質的には160000を上回ることは出来ない。
また、記録密度4〜5GBの容量を確保するためにトラックピッチは0.64〜0.8μm程度が必要である。溝幅に関しては、記録材料によって異なるが、ほぼ全ての有機材料において、半値幅0.18〜0.40μmの幅で適用できる。
図1(a)〜(d)は、通常の追記型光ディスクの層構成例であり、図2(a)〜(c)は通常のCD−R媒体の層構成例である。これに対し、本発明の対象となる色素系追記型DVD媒体の好ましい基本構成は、図3(a)、(b)に示すような、第1基板と第2基板(保護基板)を記録層を間にして接着剤で貼り合わせたものである。
また、図1、図2に示した層構成の積層体を、記録層を内側にして、他の基板を用いて空間を介して密封したエアーサンドイッチ構造にすることもできるし、保護層を介して接着した貼合せ構造にすることもできる。
記録層は有機色素層単層でも、反射率を高めるため有機色素層と反射層との積層でも良い。記録層と基板の間には下引き層又は保護層を設けてもよく、機能向上のため各層を2層以上の積層構造とした構成でも良い。最も普通に用いられるのは、第1基板/有機色素層/反射層/保護層/接着層/第2基板(保護基板)からなる構造である。
基板は、基板側から記録再生を行なう場合には使用レーザに対して透明でなければならないが、記録層側から記録再生を行なう場合には透明である必要はない。基板材料としては、例えばポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などのプラスチック、或いは、ガラス、セラミック、金属などを用いることができる。なお、基板の表面にはトラッキング用の案内溝や案内ピット、更にアドレス信号などのプリフォーマットが形成されていても良い。
記録層はレーザー光の照射により何らかの光学的変化を生じさせ、その変化により情報を記録するものであって、この記録層中には有機色素が含有されていることが必要である。有機色素は1種でも2種以上混合して用いても良い。
有機色素の例としては、アゾ系、ホルマザン系、ジピロメテン系、(ポリ)メチン系、スクアリリウム系、アザアヌレン系、ナフタロシアニン系、フタロシアニン系、テトラアザポルフィリン系、クロコニウム系、ピリリウム系、ナフトキノン系、アントラキノン系(インダンスレン系)、キサンテン系、トリフェニルメタン系、アズレン系、テトラヒドロコリン系、フェナンスレン系、トリフェノチアジン系色素、或いはそれらの金属錯体などが挙げられる。中でも好ましいのは、アゾ(金属キレート)色素、ホルマザン(金属キレート)色素、スクアリリウム(金属キレート)色素、ジピロメテン(金属キレート)色素、トリメチンシアニン色素、テトラアザポルフィリン色素である。
上記色素は熱分解特性として、分解開始温度100〜360℃のものが好ましく、特に100〜350℃のものが好ましい。分解開始温度が360℃を越えると記録時のピット形成がうまく行われずジッタ特性が悪くなる。また、100℃未満であるとディスクの保存安定性が悪化する。
このような金属、金属化合物の例としては、In、Te、Bi、Se、Sb、Ge、Sn、Al、Be、TeO2、SnO、As、Cdなどが挙げられ、それぞれを分散混合するか或いは積層して用いることができる。
更に、上記染料中に高分子材料、例えばアイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル系樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の材料、或いはシランカップリング剤などを分散混合しても良いし、特性改良の目的で安定剤(例えば遷移金属錯体)、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤などを一緒に用いることも出来る。
記録層の膜厚は100Å〜10μm、好ましくは200〜2000Åが適当である。
下引き層は、(1)接着性の向上、(2)水又はガスなどのバリアー、(3)記録層の保存安定性の向上、(4)反射率の向上、(5)溶剤からの基板の保護、(6)案内溝、案内ピット、プレフォーマットの形成などの目的で設けられる。(1)の目的に対しては、アイオノマー樹脂、ポリアミド樹脂、ビニル樹脂、天然樹脂、天然高分子、シリコーン、液状ゴムなどの種々の高分子化合物、又はシランカップリング剤などを用いることができる。(2)及び(3)の目的に対しては、上記高分子材料以外に、SiO、MgF、SiO2、TiO、ZnO、TiN、SiNなどの無機化合物を用いることができ、更に、Zn、Cu、Ni、Cr、Ge、Se、Au、Ag、Alなどの金属又は半金属を用いることができる。(4)の目的に対しては、Al、Au、Ag等の金属や、メチン染料、キサンテン系染料などからなる金属光沢を有する有機薄膜を用いることができる。(5)及び(6)の目的に対しては、紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、熱可塑性樹脂などを用いることができる。
下引き層の膜厚としては、0.01〜30μm、好ましくは、0.05〜10μmが適当である。
反射層の材料としては、Au、Ag、Cr、Ni、Al、Fe、Snなどの単体で高反射率の得られる腐食され難い金属や半金属が挙げられるが、反射率や生産性の点からAu、Ag、Alが特に好ましい。また、これらの金属や半金属は単独で使用しても2種以上の合金として使用しても良い。
膜形成法としては蒸着、スッパタリングなどが挙げられ、膜厚としては、50〜5000Å、好ましくは、100〜3000Åである。
保護層及び基板面ハードコート層は、(1)記録層(反射吸収層)の傷、ホコリ、汚れ等からの保護、(2)記録層(反射吸収層)の保存安定性の向上、(3)反射率の向上等を目的として使用される。これらの目的に対しては、前記下引き層と同じ材料を用いることができる。また、ポリメチルアクリレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、エポキシ樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、天然ゴム、スチレンブタジエン樹脂、クロロプレンゴム、ワックス、アルキッド樹脂、乾性油、ロジン等の熱軟化性、熱溶融性樹脂などの有機材料を用いることもできる。最も好ましいのは生産性に優れた紫外線硬化樹脂である。
保護層又は基板面ハードコート層の膜厚は、0.01〜30μm、好ましくは0.05〜10μmである。
上記下引き層、保護層及び基板面ハードコート層には、記録層の場合と同様に安定剤、分散剤、難燃剤、滑剤、帯電防止剤、界面活性剤、可塑剤等を含有させることができる。
保護基板は、保護基板側からレーザ光を照射する場合には、使用レーザ光に対して透明でなければならないが、単なる保護板として用いる場合には透明でなくてもよい。
使用可能な保護基板材料は前記基板材料と全く同じであり、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリオレフィン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂などのプラスチック、又はガラス、セラミック、金属などを用いることができる。
《接着層》
接着層の材料としては、2枚の記録媒体を接着できる材料なら何でもよく、生産性を考慮すると、紫外線硬化型接着剤又はホットメルト型接着剤が好ましい。
DVD−RAM・WO、DVD−R、DVD+R、及びDVD−RAM、DVD−RW、DVD+RWディスクは記録可能なDVDである。前者のDVD−RAM・WO、DVD−R、DVD+Rは1回だけ記録可能なDVDであり(DVD Write Onceとも言われている)、後者のDVD−RAM、DVD−RW、DVD+RWは、複数回記録可能なDVDである。これらのDVD+RやDVD+RWディスク等、即ち光ディスクは、次の図8の様なドライブによって記録再生が行われる。
図8は、光ディスクドライブについて、その要部構成の一例を示す機能ブロック図である。図において、11は光ディスク、12はスピンドルモータ、13は光ピックアップ、14はモータドライバ、15はリードアンプ、16はサーボ手段、17はDVDデコーダ、18はADIPデコーダ、19はレーザコントローラ、20はDVDエンコーダ、21はDVD−ROMエンコーダ、22はバッファRAM、23はバッファマネージャ、24はDVD−ROMデコーダ、25はATAPI/SCSIインターフェース、26はD/Aコンバータ、27はROM、28はCPU、29はRAMを示し、LBはレーザ光、Audioはオーディオ出力信号を示す。
光ディスクドライブの構成と動作は次の通りである。光ディスク11は、スピンドルモータ12によって回転駆動される。このスピンドルモータ12は、モータドライバ14とサーボ手段16により、線速度または角速度が一定になるように制御される。この線速度又は角速度は、段階的に変更することが可能である。
そして、リード時には、光ピックアップ13によって得られた再生信号が、リードアンプ15で増幅されて2値化された後、DVDデコーダ17に入力される。入力された2値化データは、このDVDデコーダ17において、8/16復調される。なお、記録データは、8ビットずつ纏められて変調(8/16変調)されており、この変調では、8ビットを16ビットに変換している。この場合に、結合ビットは、それまでの「1」と「0」の数が平均的に等しくなるように付けられる。これを「DC成分の抑制」といい、DCカットされた再生信号のスライスレベル変動が抑圧される。
また、記録時には、ATAPI/SCSIインターフェース25を通してホストコンピュータから送られてきたデータは、バッファマネージャ23によって一旦バッファRAM22に蓄えられる。その後、記録動作が開始されるが、この場合には、その前にレーザスポットを書き込み開始地点に位置させる必要がある。この地点は、DVD+RW/+Rでは、予め光ディスク11上にトラックの蛇行により刻まれているウォブル信号によって求められる。
DVD+RW/+Rディスクにおけるウォブル信号には、ADIP(ADress In Pre−groove)と呼ばれるアドレス情報が含まれており、この情報が、ADIPデコーダ18によって取り出される。また、このADIPデコーダ18によって生成される同期信号は、DVDエンコーダ20において、エラー訂正コードの付加や、インターリーブが行われ、レーザコントローラ19、光ピックアップ13を介して、本発明の記録波形により光ディスク11に記録される。
この情報処理装置は、主制御装置、インターフェース、記録装置(HDD)、入力装置及び表示装置などを備えている。
主制御装置は、マイクロコンピュータ、メインメモリ(何れも図示せず)などを含んで構成され、ホストの全体を制御する。
インターフェースは、光ディスクドライブとの双方向の通信インターフェースであり、ATAPI及びSCSI等の標準インターフェースに準拠している。インターフェースは光ディスクドライブのインターフェース25(図8)と接続されている。なお、各インターフェース間の接続形態は、通信ケーブル(例えばSCSIケーブル)などの通信線を用いたケーブル接続だけではなく、赤外線などを利用したワイヤレス接続であってもよい。
表示装置は、例えばCRT、液晶ディスプレイ(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)などの表示部(図示せず)を備え、主制御装置からの各種情報を表示する。
入力装置は、例えばキーボード、マウス、ポインティングデバイスなどのうち少なくとも一つの入力媒体(図示せず)を備え、ユーザから入力された各種情報を主制御装置に通知する。なお、入力媒体からの情報はワイヤレス方式で入力されてもよい。また、表示装置と入力装置とが一体化したものとして、例えばタッチパネル付きCRT等がある。また、情報処理装置はオペレーティングシステム(OS)を搭載している。そして、情報処理装置を構成する全てのデバイスはOSによって管理されているものとする。
更に本発明5〜6によれば、DVD−Rで用いているランドプリピットフォーマットよりも簡単に製造可能な高周波ウォブルフォーマットでデータ部の書き足しを効率良く実施でき、しかも、現在、大量に製造されているCD−R、CD−RWとほぼ同一フォーマットの色素系追記型DVD媒体に対して記録が可能である。
更に本発明7〜12によれば、高反射率かつ高変調度の安定した記録再生が可能である。
また、本発明13〜16によれば、色素系追記型DVD媒体に対し、何れの線速度でも低ジッタ、低エラー率な記録再生が可能な記録再生装置が提供できる。
溝深さ1750Å、半値幅0.30μm、トラックピッチ0.74μm、ウォブル周波数32T相当の案内溝を有する厚さ0.6mm、外径120mmの射出成形ポリカーボネート基板上に、下記〔化1〕と〔化2〕の化合物を、重量比で60:40秤量し、2,2,3,3−テトラフルオル−1−プロパノールに溶解してスピンナー塗布し、厚さ900Åの有機色素層を形成した後、85℃で30分間乾燥した。
次いで、スパッタ法により銀1100Åの反射層を設け、更にその上にアクリル系フォトポリマーからなる厚さ5μmの保護層を設けた後、厚さ0.6mm、外径120mmの射出成形ポリカーボネート平板基板をアクリル系フォトポリマーにて接着し光記録媒体を得た。
上記光記録媒体に対し、発振波長660nm、ビーム径0.9μmの半導体レーザ光を用い、トラッキングしながらEFM信号(最小ピット長約0.4ミクロン)を、下記表2に示す記録条件と記録線速でボトム・ジッタ(Bottom Jitter)が極小となるような記録パワーで記録し、その個所を再生してジッタ値、アシンメトリ、PIエラー数を求めた。なお、記録レーザ光の波形は、図4〜図7に示す通りである。W0は、全てのマークの高出力化されたパルスパワー、W1は、全てのマークの高出力化されていないパルスパワーである。また、線速56m/sと42m/sのパルス長は図4〜図7に示すパルス長を用いたが、本発明はこれに限定される訳ではない。
なお、比較例1ではクーリング部の光量を0.7mWと再生光パワーと同じにした。即ちクーリングパルスが存在しない記録波形とした。比較例2ではクーリング部光量を0.4mWと本発明より大きいものとした。比較例3は、比較例1と同様、クーリングパルスなしで、記録線速を42m/sにした例である。
なお、比較例4〜6では、DVD−Rで実施されているLPPフォーマットのLPPbの大きさを振った(変化させた)試作条件スタンパと成形基板を用いた点以外は実施例と同様の作成条件で光記録媒体を作成し、実施例と同様の評価を行った。
2 記録層
3 下引き層
4 保護層
5 基板面ハードコート層
6 反射層
7 保護基板
8 接着層
space スペース
mark マーク
Cooling Area クーリング領域
T 基本クロック周期
n 3以上の整数
n′ 3以上の整数
ps 直前のスペース長
cm 記録マーク長
W0 最短長マークのパルス光パワー及び最短長マーク以外の各マークの先頭
部の上乗せパルス光パワー
W1 最短長マーク以外の各マークの後端部の上乗せパルス光パワー
W2 最短長マーク以外の各マークの中間部の上乗せ無しパルス光パワー
Claims (16)
- ウォブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、最短長マークを、パワーW1で先端部又は全体がパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、2番目に短いマークを、パワーW1で先端部のみがパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、短い方から3番目以降の長さのマークを、パワーW1で先端部と後端部がパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当たり、前記マーク記録時において、各パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にすることを特徴とする色素系追記型DVD媒体の記録再生方法。
- ウォブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、最短長マークを、パワーW1で先端部又は全体がパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、2番目に短いマークを、パワーW1で先端部のみがパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、短い方から3番目以降の長さのマークを、パワーW1で後端部のみがパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当たり、前記マーク記録時において、各パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にすることを特徴とする色素系追記型DVD媒体の記録再生方法。
- パルス後端部以降のクーリングパルス照射光量を0.1mW以下にする時間を、再短長スペースの1/6〜6/6の長さとすることを特徴とする請求項1又は2記載の記録再生方法。
- 直前のスペース長が最短長であるマークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該マークの長さが最短長であるか否かで区別し、最短長マークの先頭加熱パルス幅を最短長でないマークの先頭加熱パルス幅よりも長く設定し、かつ、最短長マークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該最短長マークの直前のスペース長が最短長であるか否かで区別し、直前のスペース長が最短であるマークの先頭加熱パルス幅を、直前のスペース長が最短でないマークの先頭加熱パルス幅よりも短く設定することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の記録再生方法。
- 前記高周波ウォブルは、基本クロック周期をTとして4T〜96T相当の周波数とすることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の記録再生方法。
- 高周波ウォブルの振幅(Wo)と、2分割光検出器によりトラックエラーを検出制御するためのトラックエラー検出信号のプッシュプル振幅(PP)との比「Wo/PP」を、0.1≦Wo/PP≦0.4の範囲として同期合わせすることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の記録再生方法。
- 記録光の波長が600〜720nmであることを特徴とする請求項1〜6の何れかに記載の記録再生方法。
- 記録光及び再生光の波長±5nmの波長域の光に対して、記録層単層の屈折率nが1.5≦n≦3.0であり、消衰係数kが0.02≦k≦0.2であることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の記録再生方法。
- 光記録媒体が、基板上に、記録層以外の構成層として、反射層、保護層、接着層、保護基板、基板面ハードコート層から選ばれる少なくとも一つの層を有することを特徴とする請求項1〜8の何れかに記載の記録再生方法。
- 反射層が、金、銀、アルミニウムの何れか、又はそれらを主成分とする合金であることを特徴とする請求項9記載の記録再生方法。
- 保護層が紫外線硬化樹脂からなることを特徴とする請求項9又は10記載の記録再生方法。
- 2枚の基板を貼り合わせて両面構成の記録媒体とするための接着層が該基板間に設けられ、かつ、該接着層に用いられる接着剤が紫外線硬化樹脂であることを特徴とする請求項9〜11の何れかに記載の記録再生方法。
- ウォブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、最短長マークを、パワーW1で先端部又は全体がパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、2番目に短いマークを、パワーW1で先端部のみがパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、短い方から3番目以降の長さのマークを、パワーW1で先端部と後端部がパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当たり、前記マーク記録時において、各パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にする機能を有することを特徴とする色素系追記型DVD媒体の記録再生装置。
- ウォブルを設けた案内溝を有する基板上に形成された有機色素を主成分とする記録層に対し、最短長マークを、パワーW1で先端部又は全体がパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、2番目に短いマークを、パワーW1で先端部のみがパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、短い方から3番目以降の長さのマークを、パワーW1で後端部のみがパワーW0に高出力化された1つのパルス光で記録し、該記録を再生光で再生するに当たり、前記マーク記録時において、各パルス後端部以降のクーリングパルスの照射光量を、一定時間0.1mW以下にする機能を有することを特徴とする色素系追記型DVD媒体の記録再生装置。
- パルス後端部以降のクーリングパルス照射光量を0.1mW以下にする時間を、再短長スペースの1/6〜6/6の長さとする機能を有することを特徴とする請求項13又は14記載の記録再生装置。
- 直前のスペース長が最短長であるマークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該マークの長さが最短長であるか否かで区別し、最短長マークの先頭加熱パルス幅を最短長でないマークの先頭加熱パルス幅よりも長く設定し、かつ、最短長マークを形成する記録パルス列の先頭加熱パルス幅を、該最短長マークの直前のスペース長が最短長であるか否かで区別し、直前のスペース長が最短であるマークの先頭加熱パルス幅を、直前のスペース長が最短でないマークの先頭加熱パルス幅よりも短く設定する機能を有することを特徴とする請求項13〜15の何れかに記載の記録再生装置。
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