JPH10338773A - 熱可塑性エラストマー組成物 - Google Patents

熱可塑性エラストマー組成物

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JPH10338773A
JPH10338773A JP16654597A JP16654597A JPH10338773A JP H10338773 A JPH10338773 A JP H10338773A JP 16654597 A JP16654597 A JP 16654597A JP 16654597 A JP16654597 A JP 16654597A JP H10338773 A JPH10338773 A JP H10338773A
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JP
Japan
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thermoplastic elastomer
polymer
elastomer composition
molding
weight
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JP16654597A
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Kazuhisa Kodama
和寿 小玉
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Original Assignee
JSR Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 柔軟性、機械的強度、透明性、耐熱性、耐候
性等、熱可塑性エラストマー組成物に要求される諸特性
に優れているとともに、添加剤の耐ブリード性に優れる
熱可塑性エラストマー組成物を提供すること。 【解決手段】 (イ)ポリオレフィン系樹脂および
(ロ)共役ジエン系重合体の共役ジエン部分の二重結合
が80%以上飽和された数平均分子量が5万〜70万で
ある水添ジエン系重合体から成る混合物100重量部に
対して、(ハ)少なくとも1種類の分子骨格にピペリジ
ル基を有し分子量が500以上であるヒンダードアミン
系安定剤を0.01〜2重量部含有することを特徴とす
る熱可塑性エラストマー組成物を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定のポリオレフ
ィン系樹脂、水添ジエン系重合体、ヒンダードアミン系
安定剤を主体とする、柔軟性、機械的強度、透明性、耐
熱性、耐候性等、熱可塑性エラストマー組成物に要求さ
れる諸特性に優れているとともに、添加剤の耐ブリード
性に優れた熱可塑性エラストマー組成物およびそれを成
形してなるフィルム・シートに関する。より詳しくはデ
スクマットやカッティングマット等の文具製品、インパ
ネ表皮材やバンパー材などの自動車内外装材、鋼板化粧
フィルム、合板化粧フィルムなどの各種化粧フィルム、
プロテクトフィルム、土木用防水シートなどの土木建築
用材料、ビル蓄熱槽用防水シート、OA機器関連部品、
掃除機バンパー材などAV・家電関連部品、事務機器部
品、および雑貨などの種々の用途に好適な熱可塑性エラ
ストマー組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、柔軟性が要求されるシート、フィ
ルム、チューブなどの押し出し成形品には、軟質ポリ塩
化ビニル樹脂が汎用されていた。軟質ポリ塩化ビニル樹
脂を基材とする組成物を用いた成形品は、柔軟性、耐熱
性に優れ、かつ外観や風合いにも優れるため各種用途に
広く用いられている。しかしながらこの軟質ポリ塩化ビ
ニル樹脂は、通常可塑材を多量に含有しているため、可
塑剤の移行、可塑剤による特有の臭気、その他の使用上
の問題を生じるおそれがある。また、軟質ポリ塩化ビニ
ル樹脂を基材とする組成物は、低温特性が十分ではな
く、0℃以下の温度において柔軟性が著しく低下する。
更に最近では、焼却処理時に有害なガスが発生するとい
う観点から、代替材料の出現が強く望まれている。これ
に対してポリオレフィン系樹脂は、軟質ポリ塩化ビニル
特有の問題点を有しない優れた素材として注目されてい
る。しかしながら、硬くて柔軟性が劣ることから、シー
トやフィルムとして一部使用されてはいるが、軟質ポリ
塩化ビニル樹脂の代替材料とはなり得ない。ポリオレフ
ィン系樹脂の特徴を生かすため、種々のエラストマー配
合が試みられており、柔軟でエラストマー弾性に優れた
素材が、熱可塑性オレフィン(TPO)という一般名称
で市販されている。ポリオレフィン系樹脂と水素添加さ
れたスチレン−ブタジエンブロック共重合体や水素添加
されたスチレン−ブタジエンランダム共重合体からなる
熱可塑性エラストマー組成物は、柔軟でエラストマー弾
性を有する素材であり、軟質ポリ塩化ビニル樹脂の代替
材料として注目されている。これらの熱可塑性エラスト
マー組成物は組成物中に二重結合をほとんど含まないた
めに耐熱性、耐オゾン性には優れているが耐候性は十分
ではない。このため耐候性の要求される用途には紫外線
吸収剤(UVA)やヒンダードアミン系安定剤(HAL
S)が併用配合されるが、そのような配合でフィルムや
シートとした場合、添加したUVAやHALSが経時的
にブリードし透明性や外観を損ねる問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の課題を背景になされた物で、柔軟性、機械的強度、
透明性、耐熱性、耐候性等、熱可塑性エラストマー組成
物に要求される諸特性に優れているとともに、添加剤の
耐ブリード性に優れた熱可塑性エラストマー組成物およ
びそれを成形してなるフィルム・シートに関し、より詳
しくはデスクマットやカッティングマット等の文具製
品、インパネ表皮材やバンパー材などの自動車内外装
材、鋼板化粧フィルム、合板化粧フィルムなどの各種化
粧フィルム、プロテクトフィルム、土木用防水シートな
どの土木建築用材料、ビル蓄熱槽用防水シート、OA機
器関連部品、掃除機バンパー材などAV・家電関連部
品、事務機器部品、および雑貨などの種々の用途に好適
な熱可塑性エラストマー組成物およびそれを成形してな
るフィルム・シートに関する。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち本発明は、(イ)ポ
リオレフィン系樹脂および(ロ)共役ジエン系重合体の
共役ジエン部分の二重結合が80%以上飽和された数平
均分子量が5万〜70万である水添ジエン系重合体から
成る混合物100重量部に対して、(ハ)少なくとも1
種類の分子骨格にピペリジル基を有し分子量が500以
上であるヒンダードアミン系安定剤を0.01〜2重量
部含有することを特徴とする熱可塑性エラストマー組成
物および上記熱可塑性エラストマー組成物を成形してな
るフィルムおよびシートを提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。本発明で(イ)成分として使用されるポリオレフ
ィン系樹脂は、1種または2種以上のモノオレフィンを
高圧法または低圧法のいずれかによる重合から得られる
樹脂であり、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテンー1であ
り、より好ましくはポリプロピレンである。該ポリオレ
フィン樹脂は単独重合体であってもよく、次に示すよう
な他のモノマーを共重合してある共重合体であってもよ
い。(イ)成分において、好ましい共重合成分として
は、例えばエチレン(主たる重合体がポリエチレンの場
合は除く)をはじめ、プロピレン(主たる重合体がポリ
プロピレンの場合は除く)、ブテン−1(主たる重合体
がポリブテン−1である場合は除く)、ペンテン−1、
ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などの直鎖
状α−オレフィン、4−メチルペンテン−1(主たる重
合体が4−メチルペンテン−1の場合は除く)、2−メ
チルプロペン−1、3−メチルペンテン−1、5−メチ
ルヘキセン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジ
メチルペンテン−1などの分岐状α−オレフィン、アク
リル酸、メタクリル酸、などのモノカルボン酸、マレイ
ン酸、フマル酸、などのジカルボン酸やそのモノエステ
ル、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチ
ルアクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エ
ステル、酢酸ビニルなどの飽和カルボン酸のビニルエス
テル、スチレン、αメチル−スチレン、などの芳香族ビ
ニル化合物、無水マレイン酸などの酸無水物、アクリロ
ニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル、ジシクロペン
タジエン、エチリデンノルボルネンなどのジエンモノマ
ーさらにアクリルアミド、メタクリルアミドなどが用い
られる。これら共重合可能なモノマーの内、ポリプロピ
レン共重合体におけるより好ましいモノマーとしてはエ
チレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘ
プテン−1、オクテン−1等の直鎖状α−オレフィンで
あり、特に好ましくは、エチレン、ブテン−1である。
これらの共重合可能なモノマーは単独で、あるいは2種
以上を組み合わせて用いてもよい。これら共重合成分の
量としては好ましくは20重量%以下、より好ましくは
10重量%以下である。これらを共重合した場合の共重
合体の様式については特に制限はなく、例えばランダム
型、ブロック型、グラフト型、これらの混合型などいず
れであってもよい。
【0006】本発明の(イ)ポリオレフィン系樹脂は、
単独で用いても良く、また2種以上を組み合わせて用い
ても良い。ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート
(MFR:230℃、2.16kg荷重)は、成形可能
である限り特に制限無く使用可能であり、成形法に応じ
たMFRのものが適宜選択される。 (イ)ポリオレフィン系樹脂および(ロ)水添ジエン系
重合体から成る混合物中の(イ)ポリオレフィン系樹脂
の割合は、1〜99重量%、好ましくは20〜98重量
%、より好ましくは30〜98重量%である。この場
合、ポリオレフィン系樹脂の配合量が1重量%未満で
は、得られる熱可塑性エラストマー組成物およびそれを
成形してなるフィルム・シートの耐熱性、強度、耐ブロ
ッキング性および成形性が低下し、99重量%を越える
場合には柔軟性および透明性が低下するので好ましくな
い。
【0007】次に本発明に使用される水添ジエン系重合
体(ロ)は、共役ジエン化合物を主体とする重合体を水
素添加したものであり、例えば共役ジエンの単独重合
体、共役ジエンと芳香族ビニル化合物のランダム共重合
体を主体とする重合体、芳香族ビニル化合物の重合体ブ
ロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックからなるブ
ロック共重合体、芳香族ビニル化合物の重合体ブロック
と共役ジエン/芳香族ビニル化合物の共重合体ブロック
からなるブロック共重合体、共役ジエン化合物の重合体
ブロックと共役ジエン/芳香族ビニル化合物の共重合体
ブロックからなるブロック共重合体もしくはこれらの官
能基変性体などのジエン系重合体(以下、「水添前重合
体」ともいう)の水素添加物があげられる。ここで用い
られる共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエ
ン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエ
ン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペン
タジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−
1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジ
エン、クロロプレンなどが挙げられるが、工業的に利用
でき、また物性の優れた水添ジエン系重合体を得るに
は、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタ
ジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンが
特に好ましく、また芳香族ビニル化合物としては、スチ
レン、α―メチルスチレン、p―メチルスチレン、t−
ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル
−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−
アミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げら
れ、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。水添前
重合体を構成する共役ジエン化合物/芳香族ビニル化合
物の割合は、本発明においては特に限定されるものでは
ないが、好ましくは重量比で95/5〜40/60、さ
らに好ましくは93/7〜50/50である。
【0008】本発明の(ロ)成分は、上述のように共役
ジエン系重合体を水添することによって得られるが、こ
の水添前重合体の分子鎖中には、下記のごとき重合体ブ
ロックが含まれていてもよい。水添前重合体に含まれて
もよい重合体ブロックとしては、芳香族ビニル化合物重
合体、1,4−結合を主体とするポリブタジエン重合
体、および芳香族ビニル化合物と共役ジエンからなり芳
香族ビニル化合物が漸増するテーパー状重合体などがあ
げられる。これらの重合体ブロックが存在すると、
(ロ)成分の物性上の特徴は若干損なわれるものの、材
料のブロッキング性が低下することにより取扱い性が向
上するため、工業的に有用な場合がある。水添前重合体
における前記重合体ブロックの全分子鎖中の割合は、特
に限定されるものではないが、50重量%以下が好まし
く、40%重量以下がより好ましく、30重量%以下が
さらに好ましい。該重合体ブロックの割合が50重量%
を越える場合、得られる熱可塑性エラストマー組成物お
よびそれを成形してなるフィルム・シートの柔軟性、透
明性が不十分となる場合がある。
【0009】前記水添前重合体は、カップリング剤の使
用により重合体分子鎖がカップリング剤残基を介して延
長または分岐された重合体であってもよい。この際用い
られるカップリング剤としては、例えばアジピン酸ジエ
チル、ジビニルベンゼン、メチルジクロロシラン、四塩
化ケイ素、ブチルトリクロロケイ素、テトラクロロ錫、
ブチルトリクロロ錫、ジメチルクロロケイ素、テトラク
ロロゲルマニウム、1,2−ジブロモエタン、1,4−
クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタ
ン、エポキシ化アマニ油、トリレンジイソシアネート、
1,2,4−ベンゼントリイソシアネートなどが挙げら
れる。なお本発明の(ロ)成分としては、2種またはそ
れ以上の水添前重合体のブレンド物を水添したものも好
適に用いられる。さらに、2種またはそれ以上の水添ジ
エン系重合体同士のブレンド物も、本発明の(ロ)成分
として好適である。
【0010】本発明の(ロ)水添ジエン系重合体におい
て、分子鎖中の共役ジエン部分の二重結合の水素添加率
は、好ましくは80%、より好ましくは85%以上、さ
らに好ましくは90%以上である。80%未満では、得
られる熱可塑性エラストマー組成物およびそれを成形し
てなるフィルム・シートの機械的強度、耐熱性、耐候性
等が低下する。本発明の(ロ)水添ジエン系重合体の水
添前重合体において、芳香族ビニル化合物重合体、1,
4−結合を主体とするポリブタジエン重合体、および芳
香族ビニル化合物と共役ジエンからなり芳香族ビニル化
合物が漸増するテーパー状重合体を除いた部分中の全共
役ジエンに対する側鎖に不飽和結合を有する共役ジエン
の割合(ビニル結合含量)は、好ましくは60%以上、
より好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以
上である。60%以上の場合、本発明の(イ)ポリオレ
フィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合に得ら
れる熱可塑性エラス)トマー組成物およびそれを成形し
てなるフィルムおよびシートの強度、柔軟性、透明性な
どが優れるので好ましい。さらに、本発明の(ロ)水添
ジエン系重合体は、ポリスチレン換算の数平均分子量
(以下単に「数平均分子量」という)が好ましくは5万
〜70万、より好ましくは5万〜60万である。5万未
満では水添ジエン系重合体をペレット化した場合ブロッ
キングしやすくなり、かつ(イ)ポリオレフィン系樹脂
とブレンドした場合機械的強度が低下し、また70万を
越えると、流動性、加工性等が低下する。前記水添ジエ
ン系重合体は、例えば特開平3―72512号公報に開
示されている方法によって製造することができる。
【0011】さらに、本発明の(ロ)成分として使用さ
れる水添ジエン系重合体は、前記水添ジエン系重合体に
1種以上の官能基を導入した変性体であってもよい。前
記官能基としては、例えばカルボキシル基、酸無水物
基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、アンモニウム塩
基、ハロゲン原子含有基、スルホン酸基等や、これらの
官能基から誘導される基、例えばエステル基等が挙げら
れる。このような官能基は、それらの種類に応じて、水
添ジエン系重合体(ロ)の水素添加の前または後に導入
される。
【0012】次に、(ハ)成分は、少なくとも1種類の
分子骨格にピペリジル基を有し分子量が500以上であ
るヒンダードアミン系安定剤である。(ハ)成分の分子
量は500以上であり、好ましくは、800以上、更に
好ましくは1000以上100,000以下である。分
子量が500未満である場合には、熱可塑性エラストマ
ー組成物およびそれを成形してなるフィルム・シートの
耐ブリード性が劣る場合がある。なお、分子量が10
0,000以下である(ハ)成分は、その分散性が良好
であることから好ましい。(ハ)成分は1種類で用いて
も良くまた2種類以上をブレンドして用いても良い。ブ
レンドして用いることで、得られる熱可塑性エラストマ
ー組成物およびそれを成形してなるフィルム・シートの
耐候性と耐ブリード性のバランスが良好となる場合があ
る。好ましい(ハ)成分としては多くのメーカーから市
販されているが、旭電化工業(株)製のアデカスタブL
A−52、LA−57、LA−62、LA−67、LA
−63、LA−68LD、日本チバガイギー(株)製の
TINUVIN 622LD、CHIMASSORB
944LD、CHIMASSORB 119FL、TI
NUVIN 783FB、TINUVIN 111F
B、ヘキストジャパン(株)製のホスタビン N30等
が例示される。本発明における(ハ)成分の含有量とし
ては、前記(イ)と(ロ)からなる混合物100重量部
に対して、0.01〜2重量部であり、好ましくは0.
01〜1重量部、更に好ましくは0.05〜1重量部で
ある。この含有量が0.01重量部未満では、最終的に
得られる熱可塑性エラストマー組成物およびそれを成形
してなるフィルム・シートの耐候性が不十分となり、2
重量部より多いと得られる熱可塑性エラストマー組成物
およびそれを成形してなるフィルム・シートの耐ブリー
ド性が不十分となる場合がある。
【0013】また本発明の組成物には、本発明の趣旨を
損なわない範囲で公知のカップリング剤、有機フィラ
ー、無機フィラー、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、
難燃剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、可塑剤、着色剤、
無機ないし有機抗菌剤、滑剤、シリコンオイルなどの添
加物を配合することができる。これらのうち無機フィラ
ーとしては軽質炭酸カルシウム、重質ないし炭酸カルシ
ウム、その他のカルシウム系充填材、ハードクレー、ソフト
クレー、カオリンクレー、タルク、湿式シリカ、乾式シリ
カ、無定形シリカ、ウォラスナイト、合成ないし天然ゼ
オライト、ケイソウ土、ケイ砂、軽石粉、スレート粉、
アルミナ、硫酸アルミニウム、硫酸ハ゛リウム、リトポン、
硫酸カルシウム、二硫化モリブデン、水酸化マグネシウムや
これら充填材をシラン処理したもの等、本発明の熱可塑
性エラストマー組成物に配合可能なものであれば何でも
良く、2種類以上を組み合わせて使用することも可能で
ある。たとえば、透明性の要求されない用途においては
無機フィラーを含有させることによりブロッキング性が
改良されまたコスト面で有利となる場合があり、また隠
蔽性を付与することも可能である。また、無機フィラー
として水酸化マグネシウムなどの金属水酸化物を使用し
た場合には、難燃剤を併用することで優れた難燃性を付
与できる場合がある。また前記ブロッキング防止剤とし
ては、例えばシリカ、ゼオライト等が好適であり、これ
らは天然、合成の何れでもよくまた架橋アクリル真球粒
子などの真球架橋粒子も好適である。また前記帯電防止
剤としては、炭素数12〜18のアルキル基を有する
N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−アルキルア
ミン類やグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。さら
に、前記滑剤としては、脂肪酸アミドが好ましく、具体
的にはエルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、ステアリン
酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられる。また本発
明の組成物には本発明の趣旨を損なわない範囲でエチレ
ン−プロピレン共重合ゴム(EPM)、エチレン−フ゜ロヒ
゜レン−ジエン三元共重合ゴム(EPDM)、エチレン−フ
゛テン共重合ゴム(EBM)、アモルファスポリαオレフ
ィン(APAO)、エチレン−オクテン共重合体などの柔軟
なオレフィン系ポリマーを併用しても良い。これらを併
用することで(ロ)成分の添加量を減らせる場合があ
り、その場合、コスト面で有利となる場合がある。
【0014】本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、
各種押出機、バンバリーミキサー、ニーダー、ロールな
どを用い、各成分を混練りすることによって得られる。
好ましい製造方法は、ニ軸押出機を用いる方法である。
また、各成分を混練りするに際して、各成分を一括して
混練りしても良く、多段添加方式で混練りしてもよい。
また、マスターハ゛ッチ方式で成形機に供しても良い。特に成分
(ハ)をマスターハ゛ッチとして使用することは多品種少量生産
が可能となるなどの点で好ましい。さらに成分(ハ)以
外の成分を混練りして得られた組成物と、成分(ハ)を
ヘンシェルミキサーなどを用いて混合した後、成形機に
供しても良く、また成分(ニ)のみを成形機中に定量フ
ィーダーにより供給しても良い。このようにして得られ
る本発明の熱可塑性エラストマー組成物は、射出成形、
シートやフィルム押し出し、真空成形、異形成形、発泡
成形、インジェクションプレス、プレス成形、ブロー成
形、粉末成形などによって各種成形品に成形することが
できる。
【0015】また本発明の上記熱可塑性エラストマー組
成物を成形してなるフィルム・シートを得る成形法とし
てはインフレやTタ゛イ、カレンダー等通常の方法が使用
できる。フィルムやシートは単層であっても多層であっ
ても良い。本発明のオレフィン系熱可塑性エラストマー
組成物を多層積層体とする場合は、例えば(a) 基材
層と表層とをインフレーション法、Tダイ法等の通常の
方法でフィルムあるいはシートに成形したのち、熱貼合
する方法、(b)共押出しタイプのインフレーション成
形機やTダイ押出し成形機により直接積層成形する方
法、(c)例えば前記(a)の方法で予め成形した基材
層あるいは表層の少なくとも一方の面に他方の層を押出
しラミネートする方法等の公知の方法で積層して製造す
ることができる。また接着剤を用いて張り合わせること
も可能である。前記(b)の方法に使用されるTダイ押出
し成形機のTダイは、マルチマニホールドタイプまたは
フィードブロックタイプの何れでもよい。これらの方法
のうち、(b) の方法が好ましく、最も好ましい方法は
共押出しタイプのTダイ押出し成形機を用いる方法であ
る。前記(b)の方法では、基材層の一方の面に表層を
積層する2層共押出し法、基材層の両方の面に表層を積
層する3層共押出し法のほか、4層以上の多層押出し法
を採用することができる。
【0016】さらに本発明の熱可塑性エラストマー樹脂
組成物を成形してなるフィルムやシートは本発明の趣旨
を損なわない限りいかなる用途にも使用でき、必要であ
ればエンボス加工、シボ加工、印刷、ラビング、染色な
どによる意匠を施しても良い。本発明のフィルムやシー
トは鋼板、合板、綿やポリエステル等の布や紙、発泡体
などに貼り合わせて使用しても良いが接着、張り合わせ
の方法は本発明の趣旨を逸脱しない範囲に於いて任意の
方法を用いることができる。本発明におけるフィルムや
シートの厚さは、所望の特性や用途に応じて適宜選択さ
れるが、成形性および強度の観点から、10μm以上で
あることが好ましく、より好ましくは20μm以上であ
る。上記成形法によって得られるフィルム・シートは、
その優れた性質を利用して、デスクマットやカッティン
グマット等の文具製品、インパネ表皮材やバンパー材な
どの自動車内外装材、鋼板化粧フィルム、合板化粧フィ
ルムなどの各種化粧フィルム、プロテクトフィルム、土
木用防水シートなどの土木建築用材料、ビル蓄熱槽用防
水シート、OA機器関連部品、掃除機バンパー材などA
V・家電関連部品、事務機器部品、および雑貨などの種
々の用途に好適に使用される。
【0017】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明をさらに具体的
に説明すが、本発明はこれらの実施例に限定されるもの
ではない。尚、実施例中、部および%は、特に断らない
限り重量基準である。また、実施例中の各種評価は、次
のようにして測定した値および評価である。 結合ビニル芳香族化合物含量 679cm-1のフェニル基の吸収をもとに、赤外分析法
により測定した。共役ジエンのビニル結合含量 赤外分析法を用い、ハンプトン法により算出した。水添率 四塩化エチレンを溶媒に用い、100MHz、1H―N
MRスペクトルから算出した。水添ジエン系重合体の数平均分子量 トリクロルベンゼンを溶媒に用い、135℃におけるゲ
ルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用
いてポリスチレン換算で求めた。耐候性 得られたフィルム・シートをサンシャインウェザオメー
ターで雨無し、ブラックパネル温度63℃の条件で促進
劣化試験を行い、照射前の破断伸びに対する400時間
照射後の破断伸び保持率で以下の通り判定した。 保持率が80%以上:○ 保持率が80%未満:×耐ブリード性 得られたフィルム・シートをサンシャインウェザーメー
ターで雨無し、ブラックパネル温度63℃の条件で促進
ブリード試験を行い、照射前と100時間照射後のヘー
ズ(%)をASTM D 1003に準拠して測定し、
以下の基準で評価した。 初期ヘーズとの差が3.0以下 :○ 初期ヘーズとの差が3.0より大きい:×
【0018】実施例、比較例、および評価の配合処方に
用いられる各種の成分は、以下の通りである。 (イ)成分 イ−1 ポリプロピレン(チッソ石油化学(株)製、F
8577) イ−2 ポリプロピレン(三菱化学製(株)製、EX
6) (ロ)成分 表1および2に示す水添ジエン系重合体(ロ−1) 〜
(ロ−6)を合成した。なお、表1および2における略
号は以下の化合物を示す。 BD:ブタジエン IP:イソプレン St:スチレン
【0019】
【表1】
【0020】
【表2】
【0021】(ハ)成分 (ハ−1)アデカスタブLA−63(旭電化工業(株)
製、分子量:約2000 1)) (ハ−2)CHIMASSORB 944LD(日本チ
バガイギー(株)製、分子量:約2500 1)) (ハ−3)CHIMASSORB 119FL(日本チ
バガイギー(株)製、分子量:約2000 1)) (ハ−4)ホスタビン N30(ヘキストジャパン
(株)製、分子量:約2500 2)) (ハ−5)TINUVIN 770DF(日本チバガイ
ギー(株)製、分子量:480 1)) 1)カタロク゛値 2)低分子GPCでの測定値(PS換算数平均分子量)
【0022】実施例1 上記各(イ)、(ロ)、(ハ)成分を表3に示す配合処
方で混合し、2軸押出機を用いて溶融混練りし、ペレッ
ト化した。日本プラコン(株)製DMG−50押出機と
400mmTダイを使用して、押出し温度=230℃、
吐出量=20kg/hで押出し、0.1mm厚のフィル
ムを得た。得られたフィルムは耐候性および耐ブリード
性に優れていた。結果を下記表3に示した。 実施例2〜8 配合を表3に示したとおりとした以外は実施例1と同様
に評価を行った。得られたフィルムは実施例1と同様に
耐候性および耐ブリード性に優れていた。結果を下記表
3に示した。
【0023】
【表3】
【0024】実施例9〜12 配合を下記表4に示したとおりとし、厚さ0.5mmのシ
ートとした以外は実施例1と同様に評価を行った。得ら
れたシートは実施例1と同様に耐候性および耐ブリード
性に優れていた。結果を下記表4に示した。 比較例1〜4 配合を下記表4に示した通りとした以外は実施例1と同
様に評価した。比較例1は本発明の範囲外の(ハ)成分
を使用したため、耐候性には優れるが耐ブリード性に劣
るフィルムであった。比較例2は(ハ)成分の配合量が
本発明の範囲を外れており、耐候性には優れるが耐ブリ
ード性に劣るフィルムであった。比較例3は耐候剤とし
て紫外線吸収剤を併用配合したため耐候性には優れるが
耐ブリード性に劣るフィルムであった。また比較例4は
(ハ)成分の配合量が本発明の範囲を外れるため耐候性
に劣るフィルムであった。結果を下記表4に示した。
【0025】
【表4】
【0026】
【発明の効果】本発明の熱可塑性エラストマー組成物
は、柔軟性、機械的強度、透明性、耐熱性、耐候性等、
熱可塑性エラストマー組成物に要求される諸特性に優れ
ているとともに、添加剤の耐ブリード性に優れるため射
出成形、シートやフィルム押し出し、真空成形、異形成
形、発泡成形、インジェクションプレス、プレス成形、
ブロー成形、粉末成形などによってチューブ、ホース、
繊維、不織布、プレート、シート、フィルム、型ものな
ど各種成形品に成形することができる。また本発明の熱
可塑性エラストマーを成形してなるフィルム・シート
は、柔軟性、機械的強度、透明性、耐熱性、耐候性等、
熱可塑性エラストマー組成物に要求される諸特性に優れ
ているとともに、添加剤の耐ブリード性に優れるためデ
スクマットやカッティングマット、手帳表皮、クリアー
ケースやブックカバー等の文具製品、ポンチョ等の衣料
製品、繊維包装、寝具包装、医療包装など各種包装フィ
ルム、農水産業用途などの重包装フィルムテーブルクロ
ス等の家庭用品、インパネ表皮材やバンパー材などの自
動車内外装材、鋼板化粧フィルム、合板化粧フィルムな
どの各種化粧フィルム、鋼板用、合板用、樹脂用等の各
種プロテクトフィルム、粘着フィルムやステッカーなど
の基材用フィルム、土木用防水シートなどの土木建築用
材料、ビル蓄熱槽用防水シート、OA機器関連部品、掃
除機バンパー材などAV・家電関連部品、事務機器部
品、および雑貨などの種々の用途に好適に使用すること
ができる。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ)ポリオレフィン系樹脂および
    (ロ)共役ジエン系重合体の共役ジエン部分の二重結合
    が80%以上飽和された数平均分子量が5万〜70万で
    ある水添ジエン系重合体から成る混合物100重量部に
    対して、(ハ)少なくとも1種類の分子骨格にピペリジ
    ル基を有し分子量が500以上であるヒンダードアミン
    系安定剤を0.01〜2重量部含有することを特徴とす
    る熱可塑性エラストマー組成物。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の熱可塑性エラストマー組
    成物を成形してなるフィルムおよびシート。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2002047380A (ja) * 2000-06-13 2002-02-12 Wolff Walsrode Ag 改良された加工性の熱可塑性エラストマー成形組成物

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