JP3867366B2 - 多層積層体およびその製造方法 - Google Patents

多層積層体およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フィルムおよびシート材料として好適な新規多層積層体に関し、更に詳しくは、柔軟性、透明性、耐白化性に優れ、しかも合板や鋼板に対する接着性や印刷性に優れる多層積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
柔軟性、透明性、耐白化性に優れる代表的なフィルムとして、軟質塩ビフィルムがあり、合板や鋼板の化粧フィルムとして使用されている。しかし、軟質塩ビフィルムは焼却時に有毒ガスが発生する点や使用されている可塑剤がブリードする点で問題がある。これらの問題点を解決するために、ポリオレフィン系の単層および多層のフィルム材料が多数開発されている。しかしポリオレフィン系フィルムは合板や鋼板に対する接着性や印刷性が十分で無いという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の諸問題を背景になされたものであり、その課題は、柔軟性、透明性、耐白化性に優れ、しかも合板や鋼板に対する接着性や印刷性に優れる多層積層体を提供することにある。
【0004】
即ち、本発明は、下記(イ)および(ロ)を含む基材層(I)の一方の面に、下記(ハ)からなる表層(II)が積層され、かつ、前記基材層(I)の他方の面に、前記(イ)成分および前記基材層 ( ) に含まれる量以下の前記(ロ)成分を含有し、かつ(イ)成分/(ロ)成分の重量比が80/20〜95/5である反表層( III )が積層されてなる多層積層体を提供するものである。
(イ)ポリオレフィン系樹脂
(ロ)共役ジエン系共重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上飽和された、数平均分子量が5万〜70万である水添ジエン系共重合体
(ハ)極性基を含有するポリオレフィン系樹脂
【0005】
以下、本発明について詳細に説明する。まず、基材層(I)について述べる。本発明の基材層(I)に(イ)成分として使用されるポリオレフィン系樹脂は、1種または2種以上のモノオレフィンを高圧法または低圧法のいずれかによる重合から得られる樹脂であり、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン−1、ポリ4−メチルペンテン−1であり、より好ましくはポリプロピレンである。該ポリオレフィン樹脂は単独重合体であってもよく、次に示すような他のモノマーとの共重合体であってもよい。
(イ)成分において、好ましい共重合成分としては、例えばエチレン(主たる単量体がエチレンの場合は除く)をはじめ、プロピレン(主たる単量体がプロピレンの場合は除く)、ブテン−1(主たる単量体がブテン−1である場合は除く)、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などの直鎖状α−オレフィン、4−メチルペンテン−1(主たる単量体が4−メチルペンテン−1の場合は除く)、2−メチルプロペン−1、3−メチルペンテン−1、5−メチルヘキセン−1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテン−1などの分岐状α−オレフィン、アクリル酸、メタクリル酸などのモノカルボン酸、マレイン酸、フマル酸などのジカルボン酸やそのモノエステル、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレートなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル、酢酸ビニルなどの飽和カルボン酸のビニルエステル、スチレン、α−メチル−スチレンなどの芳香族ビニル化合物、無水マレイン酸などの酸無水物、アクリロニトリルなどのα,β−不飽和ニトリル、ジシクロペンタジエン、エチリデンノルボルネンなどのジエンモノマーさらにアクリルアミド、メタクリルアミドなどが用いられる。
これら共重合可能なモノマーの内、ポリプロピレン共重合体におけるより好ましいモノマーとしてはエチレン、ブテン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、オクテン−1などの直鎖状α−オレフィンであり、特に好ましくは、エチレン、ブテン−1である。
これらの共重合可能なモノマーは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。これら共重合成分の量としては好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%以下である。これらを共重合した場合の共重合体の様式については特に制限はなく、例えばランダム型、ブロック型、グラフト型、これらの混合型などいずれであってもよい。
(イ)成分がポリプロピレン系重合体である場合には、プロピレンの単独重合体または上記モノマーとのランダム共重合体であることが、得られる多層積層体の透明性、柔軟性に優れるためより好ましい。
【0006】
本発明においては、プロピレン単独重合体またはランダム共重合体を使用することにより、柔軟性、透明性、耐白化性等の物性バランスに優れた多層積層体が得られる。本発明の(イ)ポリオレフィン系樹脂は、単独で用いても良く、また2種以上を組み合わせて用いても良い。
(イ)ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(MFR:230℃、2.16kg荷重)は、フィルムあるいはシートとして成形可能である限り特に制限はないが、ポリプロピレン系樹脂の場合、好ましくは0.5〜15g/10分、さらに好ましくは1〜10g/10分とすることにより、成形性、透明性等に優れた多層積層体が得られる。
基材層(I)中の(イ)ポリオレフィン系樹脂の配合量は、99〜20重量%、好ましくは90〜30重量%、最も好ましくは90〜40重量%である。この場合、ポリオレフィン系樹脂の配合量が99重量%より多いと、得られる多層積層体の柔軟性、耐白化性、透明性が劣り、20重量%未満では、得られる多層積層体の強度および多層積層体の成形性が低下する。
次に本発明に使用される(ロ)水添ジエン系共重合体は、共役ジエン化合物を主体とする重合体を水素添加したものであり、例えば共役ジエン化合物の単独重合体、共役ジエン化合物と芳香族ビニル化合物のランダム共重合体を主体とする重合体、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物の重合体ブロックからなるブロック共重合体、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物/芳香族ビニル化合物の共重合体ブロックからなるブロック共重合体、共役ジエン化合物の重合体ブロックと共役ジエン化合物/芳香族ビニル化合物の共重合体ブロックからなるブロック共重合体もしくはこれらの官能基変性体などのジエン系共重合体(以下、「水添前重合体」ともいう)の水素添加物があげられる。
ここで用いられる共役ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オクタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロロプレンなどが挙げられるが、工業的に利用でき、また物性の優れた水添ジエン系共重合体を得るには、1,3−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンが好ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好ましく、また芳香族ビニル化合物としては、スチレン、αメチルスチレン、pメチルスチレン、t−ブチルスチレン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられ、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
水添前重合体を構成する共役ジエン化合物/芳香族ビニル化合物の割合は、本発明においては特に限定されるものではないが、好ましくは重量比で95〜40/5〜60、さらに好ましくは93〜50/7〜50である。芳香族ビニル化合物の割合が60重量%より多い場合、得られる多層積層体の柔軟性、耐白化性、透明性などが劣る場合がある。また5重量%より少ない場合、得られる多層積層体の強度が劣る場合がある。
【0007】
本発明の(ロ)成分は、上述のように共役ジエン系共重合体を水添することによって得られるが、この水添前重合体の分子鎖中には、下記のごとき重合体ブロックが含まれていてもよい。水添前重合体に含まれてもよい重合体ブロックとしては、芳香族ビニル化合物重合体、1,4−結合を主体とするポリブタジエン重合体、および芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物からなり芳香族ビニル化合物が漸増するテーパー状重合体などがあげられる。これらの重合体ブロックが存在すると、(ロ)成分の物性上の特徴は若干損なわれるものの、材料のブロッキング性が低下することにより取扱い性が向上するため、工業的に有用な場合がある。水添前重合体における前記重合体ブロックの全分子鎖中の割合は、特に限定されるものではないが、50重量%以下が好ましく、40重量%以下がより好ましく、30重量%以下がさらに好ましい。該重合体ブロックの割合が50重量%を越える場合、得られる多層積層体の柔軟性、透明性が不十分となる場合がある。
【0008】
前記水添前重合体は、カップリング剤の使用により重合体分子鎖がカップリング剤残基を介して延長または分岐された重合体であってもよい。
この際用いられるカップリング剤としては、例えばアジピン酸ジエチル、ジビニルベンゼン、メチルジクロロシラン、四塩化ケイ素、ブチルトリクロロケイ素、テトラクロロ錫、ブチルトリクロロ錫、ジメチルクロロケイ素、テトラクロロゲルマニウム、1,2−ジブロモエタン、1,4−クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタン、エポキシ化アマニ油、トリレンジイソシアネート、1,2,4−ベンゼントリイソシアネートなどが挙げられる。
なお本発明の(ロ)成分としては、2種またはそれ以上の水添前重合体のブレンド物を水添したものも好適に用いられる。さらに、2種またはそれ以上の水添ジエン系共重合体同士のブレンド物も、本発明の(ロ)成分として好適である。
【0009】
本発明の(ロ)水添ジエン系共重合体において、分子鎖中の共役ジエン部分の二重結合の水素添加率は、好ましくは80%、より好ましくは85%以上、さらに好ましくは90%以上である。80%未満では、得られる多層積層体の強度、透明性、耐熱性、耐候性等が低下する。
本発明の(ロ)水添ジエン系共重合体の水添前重合体において、芳香族ビニル化合物重合体、1,4−結合を主体とするポリブタジエン重合体、および芳香族ビニル化合物と共役ジエン化合物からなり芳香族ビニル化合物が漸増するテーパー状重合体を除いた部分中の全共役ジエンに対する側鎖に不飽和結合を有する共役ジエンの割合(1,2−結合および3,4−結合に由来するビニル結合含量)は、好ましくは60%以上、より好ましくは65%以上、さらに好ましくは70%以上である。60%以上の場合、本発明の(イ)ポリオレフィン系樹脂がポリプロピレン系樹脂である場合に得られる多層積層体の強度、透明性、柔軟性、耐白化性等が優れるので好ましい。
さらに、本発明の(ロ)水添ジエン系共重合体は、ポリスチレン換算の数平均分子量(以下単に「数平均分子量」という)が好ましくは5万〜70万、より好ましくは5万〜60万である。5万未満では水添ジエン系共重合体をペレット化した場合ブロッキングしやすくなり、かつ(イ)ポリオレフィン系樹脂とブレンドした場合機械的強度が低下し、また70万を越えると、流動性、加工性などが低下する。前記水添ジエン系共重合体は、例えば特開平3−72512号公報に開示されている方法によって製造することができる。
【0010】
さらに、本発明の(ロ)成分として使用される水添ジエン系共重合体は、前記水添ジエン系共重合体に1種以上の官能基を導入した変性体であってもよい。
前記官能基としては、例えばカルボキシル基、酸無水物基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、アンモニウム塩基、ハロゲン原子含有基、スルホン酸基等や、これらの官能基から誘導される基、例えばエステル基等が挙げられる。
このような官能基は、それらの種類に応じて、水添ジエン系共重合体(ロ)の水素添加の前または後に導入される。
【0011】
本発明の基材層(I)は、前記(イ)成分と(ロ)成分からなり、該樹脂組成物中の(ロ)成分の配合量は、1〜80重量%、好ましくは10〜70重量%、最も好ましくは10〜65重量%である。この場合、(ロ)成分が1重量%未満では得られる多層積層体の柔軟性、耐白化性が劣る場合があり、80重量%より多いと得られる多層積層体の強度および成形性が低下する場合がある。
次に基材層(I)の少なくとも片面に積層される表層(II)について述べる。表層(II)を形成するのは(ハ)極性基を含有するポリオレフィン系樹脂であれば何でも良いが基材層(I)を構成する(イ)ポリオレフィン系樹脂と接着性の良いことが好ましい。例えば(イ)成分としてポリプロピレン系樹脂を使用した場合、(ハ)成分としては分子内に無水マレイン酸基を有するポリプロピレン系樹脂等が好ましい。(イ)成分としてポリプロピレン系樹脂を使用した場合に(ハ)成分としてEVA(エチレン−ビニルアセテート共重合体)やEMMA(エチレン−メチルメタクリレート共重合体)等の極性基を有するエチレン系樹脂を使用する、基材層(I)と表層(II)の間に両層と接着する樹脂層を設けることが必要であるが、必要に応じてこれらの方法を採用することができる。このような極性基を含有するポリオレフィン系樹脂(ハ)を得る方法は特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂に押出機内で極性モノマーを過酸化物の存在下、付加させる方法や、極性モノマーとオレフィンを共重合させて得る方法が例示される。(イ)成分としてポリプロピレン系樹脂を使用した場合、(ハ)成分としては以下のようなものが例示される。
三菱化学(株)製:モディックAPシリーズのポリプロタイプ(P505、P513など)
三井石油化学(株)製:アドマーのポリプロタイプ(QF551など)
また(ハ)成分としては極性基を有さないポリオレフィン系樹脂に、極性基を高濃度で有するポリオレフィン系樹脂をブレンドして使用しても良い。極性基を高濃度で有するポリオレフィン系樹脂としては以下のものが例示される。
三洋化成(株)製:ユーメックス(ユーメックス1010など)
住友化学工業(株)製:ボンダイン
この様な(ハ)成分からなる表層(II)を設けることにより基材層(I)単独の場合と比較してコロナ処理後の濡れ性の低下が少なく印刷インクとの濡れ性が良くなることで印刷性が向上し、接着剤との濡れ性や反応性が良くなることで金属や合板との接着性が向上し、また、アクリル系や各種紫外線硬化型の粘着剤との濡れ性や反応性が良くなることでダイシングフィルムなどの粘着テープ基材として好適な多層積層体を得ることができる。
【0012】
本発明の多層積層体は、(イ)ポリオレフィン系樹脂および(ロ)共役ジエン系共重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上飽和された、数平均分子量が5万〜70万である水添ジエン系共重合体から形成される基材層(I)の一方の面に、(ハ)極性基を含有するポリオレフィン系樹脂からなる表層(II)を積層し、かつ、前記基材層(I)の他方の面に、前記(イ)成分および前記基材層 ( ) に含まれる量以下の前記(ロ)成分を含有し、かつ(イ)成分/(ロ)成分の重量比が80/20〜95/5である反表層( III )が積層されてなるものであり、かかる多層積層体においては、基材層と表層とが相互に補いあるいは相乗して、優れた特性を有する多層積層体が形成される。したがって本発明においては、基材層(I)中の(イ)成分と(ロ)成分との組合せ、(ロ)成分の配合量、表層(II)中の(ハ)成分種などの諸条件は、多層積層体の所望の特性に応じて適宜選定される。
【0013】
本発明においては、本発明の特徴を本質的に損なわない範囲で、必要に応じてエチレン−プロピレン共重合体(EPM)、エチレン−ブテン−1共重合体(EBM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体(EPDM)、ポリブテン−1、ポリエチレン等のオレフィン系(共)重合体;アイオノマー、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等の他の樹脂を、基材層(I)および/または表層(II)中に配合することもできる。
また基材層(I)および/または表層(II)には、本発明の特徴を本質的に損なわない範囲で、必要に応じてブロッキング防止剤、有機系抗菌剤、無機系抗菌剤、帯電防止剤、酸化防止剤、滑剤、防曇剤、着色剤、紫外線吸収剤などの公知の添加剤を配合することもできる。
前記ブロッキング防止剤としては、例えばシリカ、ゼオライト等が好適であり、これらは天然、合成の何れでもよい。またアクリルなどの真球状架橋ポリマー粒子はフィルムの傷つきが小さくなるので好ましい場合がある。また前記帯電防止剤としては、炭素数12〜18のアルキル基を有するN,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−アルキルアミン類やグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。さらに、前記滑剤としては、脂肪酸アミドが好ましく、具体的にはエルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられる。
【0014】
本発明の基材層(I)における(イ)成分と(ロ)成分との混合は、例えばバンバリ−ミキサー、ロールミル、押出し成形機等の適宜の混合機を用いて行うことができるが、押出し機中で溶融混練することが好ましく、特に2軸押出し機を用いて溶融混練することが好ましい。このように2軸押出し機により溶融混練した樹脂組成物を使用することにより、フィルムおよびシート中のフィッシュアイが少なくなり、外観に優れるばかりでなく、透明性が更に優れたフィルムおよびシートが得られる。なお、2軸押出し機を用いて溶融混練した樹脂組成物は、通常、ペレット化して使用される。
本発明の多層積層体は、例えば(a)基材層と表層とをインフレーション法、Tダイ法等の通常の方法でフィルムあるいはシートに成形したのち、熱貼合する方法、(b)共押出しタイプのインフレーション成形機やTダイ押出し成形機により直接積層成形する方法、(c)例えば前記(a)の方法で予め成形した基材層あるいは表層の少なくとも一方の面に他方の層を押出しラミネートする方法等の公知の方法で積層して製造することができる。前記(b)の方法に使用されるTダイ押出し成形機のTダイは、マルチマニホールドタイプまたはフィードブロックタイプの何れでもよい。これらの方法のうち、(b)の方法が好ましく、最も好ましい方法は共押出しタイプのTダイ押出し成形機を用いる方法である。
【0015】
前記(b)の方法では、基材層の両方の面に表層を積層する3層共押出し法のほか、4層以上の多層押出し法を採用することができる。なお、耐ブロッキング性および透明性の経時変化の点から、基材層(I)の一方の面にのみ本発明の(ハ)からなる表層(II)を設けると共に、基材層(I)の他面には、ポリオレフィン系樹脂(イ)および基材層(I)に含まれる量以下の水添ジエン重合体(ロ)を含有し、かつ(イ)成分/(ロ)成分の重量比が80/20〜95/5である層(以下「反表層」と表現する場合がある)(III)を積層する。
本発明の多層積層体は、基材層(I)の一方の面に、表層(II)を2層以上積層することもできる。本発明の多層積層体は、場合により2つ以上貼合して使用することもできる。さらに本発明の多層積層体は綿やポリエステル等の布や紙などに貼り合わせて使用しても良い。
本発明の多層積層体の厚さは、多層積層体の所望の特性や用途に応じて適宜選択されるが、成形性および強度の観点から、10μm以上であることが好ましく、より好ましくは20μm以上である。また、本発明の多層積層体における基材層と表層との厚さの比率は、多層積層体の所望の特性や用途に応じて適宜選択されるが、たとえば3層積層体である場合には表層/基材層/表層=1/1/1〜1/20/1の範囲にあるのが好ましく、より好ましくは表層/基材層/表層=1/2/1〜1/8/1の範囲である。
本発明の多層積層体は柔軟性、透明性、耐白化性に優れるばかりでなく、表層(II)側のコロナ処理後の濡れ性の低下が少なく、印刷インクとの濡れ性が良いことから印刷性が向上する。また、接着剤との濡れ性や反応性が良く、印刷を行ったり接着剤を塗布したのち鋼板や合板に貼り合わせて鋼板化粧フィルムや合板化粧フィルムとして好適に使用することができる。また表層(II)側に粘着剤を塗布して表面保護フィルムや各種粘着テープとして好適に使用できる。さらに柔軟性、透明性に優れるばかりでなくアクリル系や各種紫外線硬化型の粘着剤との濡れ性や反応性が良くなるため、表層(II)側に各種粘着剤を塗布してシリコンウエハのダイシング用フイルムとして好適に使用できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り、これらの実施例に何ら制約されるものではない。また、実施例および比較例中の各種評価は、次のようにして行った。
ビニル芳香族化合物の結合量(重量%)
赤外分析法による679cm-1のフェニル基の吸収により測定した。
共役ジエン部分のビニル結合含量(%)
赤外分析法を用い、ハンプトン法により算出した。
水素添加率(%)
溶媒として四塩化エチレンを用い、100MHzでの1H―NMRスペクトルにより算出した。
水添ジエン系共重合体の数平均分子量
溶媒としてトリクロルベンゼンを用い、135℃におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により、ポリスチレン換算して算出した。
印刷性
コロナ処理面(表層(II))の濡れ性をJIS K6768に従って測定し、以下の基準で印刷性を判断した。なおコロナ処理後のフィルムは23℃、50%RHで保管した。
○: コロナ処理24時間後の濡れ指数−コロナ処理7日後の濡れ指数 <5
×: コロナ処理24時間後の濡れ指数−コロナ処理7日後の濡れ指数 ≧5
耐白化性
直径1.5inchの先端子を有する打ち抜き衝撃試験機を使用して5℃でフィルムに衝撃を与え白化の程度を以下の基準で判断した。
○: ほとんど白化していない
×: 明らかに白化している
実施例および比較例の配合処方に用いた各成分は、以下の通りである。
(イ)成分
(イ−1) ポリプロピレン(チッソ石油化学(株)製、商品名XF1800)
(イ−2) ポリプロピレン(三菱化学(株)製、商品名FB3C)
(ロ)成分
表1に示す水添ジエン系共重合体(ロ−1)〜(ロ−3)を合成した。
これらの水添ジエン系共重合体のミクロ構造、数平均分子量および水素添加率を、表1に示す。
【0017】
【表1】
Figure 0003867366
(ハ)成分
(ハ−1):三菱化学(株)製モディックAPP513
(ハ−2):三井石油化学(株)製アドマーQF551
【0018】
【実施例】
実施例1
(イ−1)成分50重量部と(ロ−1)成分50重量部とを、(株)池貝製2軸押出し成形機PCM−45を用いて溶融混練りしたのちペレット化し、基材層(I)用組成物のペレットを得た。また、同様にして(イ−1)成分80重量部、(ロ−1)成分20重量部およびブロッキング防止剤としてシリカ0.2重量部を溶融混練したのちペレット化し、反表層(III)用組成物のペレットを得た。得られた各組成物と表層(II)用の(ハ−1)を、3層押出し成形機の各層用押出機に供給し、押出し温度240℃、冷却ロール温度20℃として3層共押出しを行い、(II)/(I)/(III)の順に積層された厚さ100μm、各層の厚み比率が1/4/1の3層積層体を得た。この際、表層(II)のみにコロナ処理を行った。得られた3層積層体を評価した結果、印刷性、耐白化性が優れていた。評価結果を表2に示す。
【0019】
実施例2〜4
組成、厚みおよび基材層(I)、表層(II)、反表層(III)の厚み比を表2に示した通りとした以外は実施例1と同様にして3層積層体を得たのち各種評価を行った。その結果、得られた積層体は何れも、印刷性、耐白化性が優れていた。評価結果を表2に併せて示す。
比較例1
組成、厚みおよび基材層と表層の厚み比を表2に示した通りとした以外は実施例1と同様にして、各種評価を行った。比較例1の3層積層体は、基材層の(イ)成分と(ロ)成分の組成比が本発明の範囲外であり印刷性には優れるものの耐白化性が劣り、好ましくなかった。
比較例2
表層および反対層を積層せず単層構成とした以外は実施例3と同様にして、各種評価を行った。比較例2のフィルムは、基材層の(イ)成分と(ロ)成分の組成比が本発明の範囲外であり耐白化性には優れるものの印刷性が劣り好ましくなかった。
【0020】
【表2】
Figure 0003867366
【0021】
【発明の効果】
以上実施例で示したように本発明の多層積層体は、コロナ処理後の濡れ性の低下が少なく接着剤との濡れ性や反応性が良くなることで金属や合板との接着性が向上しておりかつ耐白化性に優れ、基材層と表層の剥離もないので、折り曲げ加工などが必要な鋼板や合板用化粧フィルムとして好適であり、また、アクリル系や各種紫外線硬化型の粘着剤との濡れ性や反応性が良くなることでダイシングフィルムやプロテクトフィルムなどの粘着テープ基材として好適であり、印刷インキとの濡れ性が良好であるのでポンチョ等の衣料用材料、衣料包装用フィルム、文具包装用フィルム、医療用包装フィルム等の各種包装材料、食品用フィルム、ブックカバー、電子回路成型用フィルム、医療用廃棄袋、文具、医療衛生材料転写フィルム、テ−ブルクロスなどの様々な分野に好適に用いることができる。

Claims (4)

  1. 下記(イ)および(ロ)を含む基材層(I)の一方の面に、下記(ハ)からなる表層(II)が積層され、かつ、前記基材層(I)の他方の面に、前記(イ)成分および前記基材層 ( ) に含まれる量以下の前記(ロ)成分を含有し、かつ(イ)成分/(ロ)成分の重量比が80/20〜95/5である反表層( III )が積層されてなる多層積層体。
    (イ)ポリオレフィン系樹脂
    (ロ)共役ジエン系共重合体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上飽和された、数平均分子量が5万〜70万である水添ジエン系共重合体
    (ハ)極性基を含有するポリオレフィン系樹脂
  2. 前記基材層(I)が、(イ)成分を99〜20重量%、(ロ)成分を1〜80重量%含む請求項1に記載の多層積層体。
  3. 10μm以上の厚さを有する請求項1又は2に記載の多層積層体。
  4. 前記(イ)成分がポリプロピレン系樹脂であり、かつ、前記(ハ)成分が、極性基を含有するポリプロピレン系樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の多層積層体。
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