JPH1177925A - 多層積層体 - Google Patents

多層積層体

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JPH1177925A
JPH1177925A JP25929297A JP25929297A JPH1177925A JP H1177925 A JPH1177925 A JP H1177925A JP 25929297 A JP25929297 A JP 25929297A JP 25929297 A JP25929297 A JP 25929297A JP H1177925 A JPH1177925 A JP H1177925A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 フィルムおよびシート材料として好適であ
り、柔軟性、透明性、難白化性に優れ、しかも合板や鋼
板に対する接着性や印刷性に優れる多層積層体を提供す
る。 【解決手段】 下記(イ)および(ロ)を含む基材層
(I)の少なくとも片面に、(ハ)極性基を含有するポ
リオレフィン系樹脂からなる表層(II)が積層されてな
る多層積層体を提供する。 (イ)ポリオレフィン系樹脂 (ロ)共役ジエン系共重合体の共役ジエン部分の二重結
合が80%以上飽和された、数平均分子量が5万〜70
万である水添ジエン系共重合体

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フィルムおよびシ
ート材料として好適な新規多層積層体に関し、更に詳し
くは、柔軟性、透明性、難白化性に優れ、しかも合板や
鋼板に対する接着性や印刷性に優れる多層積層体に関す
る。
【0002】
【従来の技術】柔軟性、透明性、耐白化性に優れる代表
的なフィルムとして、軟質塩ビフィルムがあり、合板や
鋼板の化粧フィルムとして使用されている。しかし、軟質塩
ビフィルムは焼却時に有毒ガスが発生する点や使用され
ている可塑剤がブリードする問題がある。これらの問題
点を解決するために、ポリオレフィン系の単層および多
層のフィルム材料が多数開発されている。しかしポリオ
レフィン系フィルムは合板や鋼板に対する接着性や印刷性が
十分で無いという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術の諸問題を背景になされたものであり、その課題は、
柔軟性、透明性、難白化性に優れ、しかも合板や鋼板に
対する接着性や印刷性に優れる多層積層体を提供するこ
とにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、下記
(イ)および(ロ)を含有する基材層(I)の少なくと
も片面に(ハ)極性基を含有するポリオレフィン系樹脂
からなる表層(II)が積層されてなる多層積層体を提供
するものである。 (イ)ポリオレフィン系樹脂 (ロ)共役ジエン系共重合体の共役ジエン部分の二重結
合が80%以上飽和された、数平均分子量が5万〜70
万である水添ジエン系共重合体
【0005】以下、本発明について詳細に説明する。ま
ず、基材層(I)について述べる。本発明の基材層
(I)に(イ)成分として使用されるポリオレフィン系
樹脂は、1種または2種以上のモノオレフィンを高圧法
または低圧法のいずれかによる重合から得られる樹脂で
あり、好ましくは、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポ
リブテン−1、ポリ4−メチルペンテンー1であり、よ
り好ましくはポリプロピレンである。該ポリオレフィン
樹脂は単独重合体であってもよく、次に示すような他の
モノマーとの共重合体であってもよい。(イ)成分にお
いて、好ましい共重合成分としては、例えばエチレン
(主たる重合体がポリエチレンの場合は除く)をはじ
め、プロピレン(主たる重合体がポリプロピレンの場合
は除く)、ブテン−1(主たる重合体がポリブテン−1
である場合は除く)、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘ
プテン−1、オクテン−1などの直鎖状α−オレフィ
ン、4−メチルペンテン−1(主たる重合体が4−メチ
ルペンテン−1の場合は除く)、2−メチルプロペン−
1、3−メチルペンテン−1、5−メチルヘキセン−
1、4−メチルヘキセン−1、4,4−ジメチルペンテ
ン−1などの分岐状α−オレフィン、アクリル酸、メタ
クリル酸、などのモノカルボン酸、マレイン酸、フマル
酸、などのジカルボン酸やそのモノエステル、メチルメ
タクリレート、メチルアクリレート、エチルアクリレー
トなどのアクリル酸またはメタクリル酸エステル、酢酸
ビニルなどの飽和カルボン酸のビニルエステル、スチレ
ン、α−メチル−スチレンなどの芳香族ビニル化合物、
無水マレイン酸などの酸無水物、アクリロニトリルなど
のα,β−不飽和ニトリル、ジシクロペンタジエン、エ
チリデンノルボルネンなどのジエンモノマーさらにアク
リルアミド、メタクリルアミドなどが用いられる。これ
ら共重合可能なモノマーの内、ポリプロピレン共重合体
におけるより好ましいモノマーとしてはエチレン、ブテ
ン−1、ペンテン−1、ヘキセン−1、ヘプテン−1、
オクテン−1などの直鎖状α−オレフィンであり、特に
好ましくは、エチレン、ブテン−1である。これらの共
重合可能なモノマーは単独で、あるいは2種以上を組み
合わせて用いてもよい。これら共重合成分の量としては
好ましくは20重量%以下、より好ましくは10重量%
以下である。これらを共重合した場合の共重合体の様式
については特に制限はなく、例えばランダム型、ブロッ
ク型、グラフト型、これらの混合型などいずれであって
もよい。(イ)成分がポリプロピレン系重合体である場
合にはプロピレンの単独重合体または上記モノマーとの
ランダム共重合体が得られる多層積層体の透明性、柔軟
性に優れるためより好ましい。
【0006】本発明においては、プロピレン単独重合体
またはランダム共重合体を使用することにより、柔軟
性、透明性、耐白化性等の物性バランスに優れた多層積
層体が得られる。本発明の(イ)ポリオレフィン系樹脂
は、単独で用いても良く、また2種以上を組み合わせて
用いても良い。 (イ)ポリオレフィン系樹脂のメルトフローレート(M
FR:230℃、2.16kg荷重)は、フィルムある
いはシートとして成形可能である限り特に制限はない
が、ポリプロピレン系樹脂の場合、好ましくは0.5〜
15g/10分、さらに好ましくは1〜10g/10分
とすることにより、成形性、透明性等に優れた多層積層
体が得られる。基材層(I)中の(イ)ポリオレフィン
系樹脂の配合量は、99〜20重量%、好ましくは90
〜30重量%、最も好ましくは90〜40重量%であ
る。この場合、ポリオレフィン系樹脂の配合量が99重
量%より多いと、得られる多層積層体の柔軟性、耐白化
性、透明性が劣り、20重量%未満では、得られる多層
積層体の強度および多層積層体の成形性が低下する。次
に本発明に使用される(ロ)水添ジエン系共重合体は、
共役ジエン化合物を主体とする重合体を水素添加したも
のであり、例えば共役ジエンの単独重合体、共役ジエン
と芳香族ビニル化合物のランダム共重合体を主体とする
重合体、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共役ジ
エン化合物の重合体ブロックからなるブロック共重合
体、芳香族ビニル化合物の重合体ブロックと共役ジエン
/芳香族ビニル化合物の共重合体ブロックからなるブロ
ック共重合体、共役ジエン化合物の重合体ブロックと共
役ジエン/芳香族ビニル化合物の共重合体ブロックから
なるブロック共重合体もしくはこれらの官能基変性体な
どのジエン系共重合体(以下、「水添前重合体」ともい
う)の水素添加物があげられる。ここで用いられる共役
ジエン化合物としては、1,3−ブタジエン、イソプレ
ン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−
ペンタジエン、2−メチル−1,3−ペンタジエン、
1,3−ヘキサジエン、4,5−ジエチル−1,3−オ
クタジエン、3−ブチル−1,3−オクタジエン、クロ
ロプレンなどが挙げられるが、工業的に利用でき、また
物性の優れた水添ジエン系共重合体を得るには、1,3
−ブタジエン、イソプレン、1,3−ペンタジエンが好
ましく、1,3−ブタジエン、イソプレンが特に好まし
く、また芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α―
メチルスチレン、p―メチルスチレン、t−ブチルスチ
レン、ジビニルベンゼン、N,N−ジメチル−p−アミ
ノエチルスチレン、N,N−ジエチル−p−アミノエチ
ルスチレン、ビニルピリジンなどが挙げられ、スチレ
ン、α−メチルスチレンが好ましい。水添前重合体を構
成する共役ジエン化合物/芳香族ビニル化合物の割合
は、本発明においては特に限定されるものではないが、
好ましくは重量比で95〜40/5〜60、さらに好ま
しくは93〜50/7〜50である。芳香族ビニル化合
物の割合が60重量%より多い場合、得られる多層積層
体の柔軟性、耐白化性、透明性などが劣る場合がある。
また5重量%より少ない場合、得られる多層積層体の強
度が劣る場合がある。
【0007】本発明の(ロ)成分は、上述のように共役
ジエン系共重合体を水添することによって得られるが、
この水添前重合体の分子鎖中には、下記のごとき重合体
ブロックが含まれていてもよい。水添前重合体に含まれ
てもよい重合体ブロックとしては、芳香族ビニル化合物
重合体、1,4−結合を主体とするポリブタジエン重合
体、および芳香族ビニル化合物と共役ジエンからなり芳
香族ビニル化合物が漸増するテーパー状重合体などがあ
げられる。これらの重合体ブロックが存在すると、
(ロ)成分の物性上の特徴は若干損なわれるものの、材
料のブロッキング性が低下することにより取扱い性が向
上するため、工業的に有用な場合がある。水添前重合体
における前記重合体ブロックの全分子鎖中の割合は、特
に限定されるものではないが、50重量%以下が好まし
く、40%重量以下がより好ましく、30重量%以下が
さらに好ましい。該重合体ブロックの割合が50重量%
を越える場合、得られる多層積層体の柔軟性、透明性が
不十分となる場合がある。
【0008】前記水添前重合体は、カップリング剤の使
用により重合体分子鎖がカップリング剤残基を介して延
長または分岐された重合体であってもよい。この際用い
られるカップリング剤としては、例えばアジピン酸ジエ
チル、ジビニルベンゼン、メチルジクロロシラン、四塩
化ケイ素、ブチルトリクロロケイ素、テトラクロロ錫、
ブチルトリクロロ錫、ジメチルクロロケイ素、テトラク
ロロゲルマニウム、1,2−ジブロモエタン、1,4−
クロロメチルベンゼン、ビス(トリクロロシリル)エタ
ン、エポキシ化アマニ油、トリレンジイソシアネート、
1,2,4−ベンゼントリイソシアネートなどが挙げら
れる。なお本発明の(ロ)成分としては、2種またはそ
れ以上の水添前重合体のブレンド物を水添したものも好
適に用いられる。さらに、2種またはそれ以上の水添ジ
エン系共重合体同士のブレンド物も、本発明の(ロ)成
分として好適である。
【0009】本発明の(ロ)水添ジエン系共重合体にお
いて、分子鎖中の共役ジエン部分の二重結合の水素添加
率は、好ましくは80%、より好ましくは85%以上、
さらに好ましくは90%以上である。80%未満では、
得られる多層積層体の強度、透明性、耐熱性、耐候性等
が低下する。本発明の(ロ)水添ジエン系共重合体の水
添前重合体において、芳香族ビニル化合物重合体、1,
4−結合を主体とするポリブタジエン重合体、および芳
香族ビニル化合物と共役ジエンからなり芳香族ビニル化
合物が漸増するテーパー状重合体を除いた部分中の全共
役ジエンに対する側鎖に不飽和結合を有する共役ジエン
の割合(1,2−結合および3,4−結合に由来するビ
ニル結合含量)は、好ましくは60%以上、より好まし
くは65%以上、さらに好ましくは70%以上である。
60%以上の場合、本発明の(イ)ポリオレフィン系樹
脂がポリプロピレン系樹脂である場合に得られる多層積
層体の強度、透明性、柔軟性、耐白化性等が優れるので
好ましい。さらに、本発明の(ロ)水添ジエン系共重合
体は、ポリスチレン換算の数平均分子量(以下単に「数
平均分子量」という)が好ましくは5万〜70万、より
好ましくは5万〜60万である。5万未満では水添ジエ
ン系共重合体をペレット化した場合ブロッキングしやす
くなり、かつ(イ)ポリオレフィン系樹脂とブレンドし
た場合機械的強度が低下し、また70万を越えると、流
動性、加工性などが低下する。前記水添ジエン系共重合
体は、例えば特開平3―72512号公報に開示されて
いる方法によって製造することができる。
【0010】さらに、本発明の(ロ)成分として使用さ
れる水添ジエン系共重合体は、前記水添ジエン系共重合
体に1種以上の官能基を導入した変性体であってもよ
い。前記官能基としては、例えばカルボキシル基、酸無
水物基、水酸基、エポキシ基、アミノ基、アンモニウム
塩基、ハロゲン原子含有基、スルホン酸基等や、これら
の官能基から誘導される基、例えばエステル基等が挙げ
られる。このような官能基は、それらの種類に応じて、
水添ジエン系共重合体(ロ)の水素添加の前または後に
導入される。
【0011】本発明の基材層(I)は、前記(イ)成分
と(ロ)成分からなり、該樹脂組成物中の(ロ)成分の
配合量は、1〜80重量%、好ましくは10〜70重量
%、最も好ましくは10〜65重量%である。この場
合、(ロ)成分が1重量%未満では得られる多層積層体
の柔軟性、耐白化性が劣る場合があり、80重量%より
多いと得られる多層積層体の強度および成形性が低下す
る場合がある。次に基材層(I)の少なくとも片面に積
層される表層(II)について述べる。表層(II)を形成
するのは(ハ)極性基を含有するオレフィン系樹脂
(ハ)であれば何でも良いが基材層(I)を構成する
(イ)オレフィン系樹脂と接着性の良いことが好まし
い。例えば(イ)成分としてポリプロピレン系樹脂を使
用した場合、(ハ)成分としては分子内に無水マレイン
酸基を有するポリプロピレン系樹脂等が好ましい。
(イ)成分としてポリプロピレン系樹脂を使用した場合
に(ハ)成分としてEVA(エチレン−ビニルアセテー
ト共重合体)やEMMA(エチレン−メチルメタクリレ
ート共重合体)等の極性基を有するエチレン系樹脂を使
用する祭、基材層(I)と表層(II)の間に両層と接着
する樹脂層を設けることが必要であるが、必要に応じて
これらの方法を採用することができる。このような極性
基を含有するポリオレフィン系樹脂(ハ)を得る方法は
特に限定されるものではないが、ポリオレフィン系樹脂
に押出機内で極性モノマーを過酸化物の存在下、付加さ
せる方法や、極性モノマーとオレフィンを共重合させて
得る方法が例示される。(イ)成分としてポリプロピレ
ン系樹脂を使用した場合、(ハ)成分としては以下のよ
うなものが例示される。 三菱化学(株)製:モディックAPシリーズのポリプロ
タイプ(P505、P513など) 三井石油化学(株)製:アドマーのポリプロタイプ(Q
F551など) また(ハ)成分としては極性基を有さないホ゜リオレフィン系樹
脂に、極性基を高濃度で有するオレフィン系樹脂をブレ
ンドして使用しても良い。極性基を高濃度で有するポリ
オレフィン系樹脂としては以下のものが例示される。 三洋化成(株)製:ユーメックス(ユーメックス101
0など) 住友化学(株)製:ボンダイン この様な(ハ)成分からなる表層(II)を設けることに
より基材層(I)単独の場合と比較してコロナ処理後の
濡れ性の低下が少なく印刷インクとの濡れ性が良くなる
ことで印刷性が向上し、接着剤との濡れ性や反応性が良
くなることで金属や合板との接着性が向上し、また、ア
クリル系や各種紫外線硬化型の粘着剤との濡れ性や反応
性が良くなることでダイシングフィルムなどの粘着テー
プ基材として好適な多層積層体を得ることができる。
【0012】本発明の多層積層体は、樹脂組成物(イ)
ポリオレフィン系樹脂および(ロ)共役ジエン系共重合
体の共役ジエン部分の二重結合が80%以上飽和され
た、数平均分子量が5万〜70万である水添ジエン系共
重合体から形成される基材層(I)の少なくとも一方の
面に、(ハ)極性基を含有するポリオレフィン系樹脂か
らなる表層(II)を積層してなるものであり、かかる多
層積層体においては、基材層と表層とが相互に補いある
いは相乗して、優れた特性を有する多層積層体が形成さ
れる。したがって本発明においては、基材層(I)中の
(イ)成分と(ロ)成分との組合せ、(ロ)成分の配合
量、表層(II)中の(ハ)成分種などの諸条件は、多層
積層体の所望の特性に応じて適宜選定される。
【0013】本発明においては、本発明の特徴を本質的
に損なわない範囲で、必要に応じてエチレン−プロピレ
ン共重合体(EPM)、エチレン−ブテン−1共重合体
(EBM)、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重
合体(EPDM)、ポリブテン−1、ポリエチレン等の
オレフィン系(共)重合体;アイオノマー、エチレン−
酢酸ビニル共重合体(EVA)、ポリビニルアルコール
(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(E
VOH)等の他の樹脂を、基材層(I)および/または
表層(II)中に配合することもできる。また基材層
(I)および/または表層(II)には、本発明の特徴を
本質的に損なわない範囲で、必要に応じてブロッキング
防止剤、有機系抗菌剤、無機系抗菌剤、帯電防止剤、酸
化防止剤、滑剤、防曇剤、着色剤、紫外線吸収剤などの
公知の添加剤を配合することもできる。前記ブロッキン
グ防止剤としては、例えばシリカ、ゼオライト等が好適
であり、これらは天然、合成の何れでもよい。またアク
リルなどの真球状架橋ホ゜リマー粒子はフィルムの傷つきが
小さくなるので好ましい場合がある。また前記帯電防止
剤としては、炭素数12〜18のアルキル基を有する
N,N−ビス−(2−ヒドロキシエチル)−アルキルア
ミン類やグリセリン脂肪酸エステルが好ましい。さら
に、前記滑剤としては、脂肪酸アミドが好ましく、具体
的にはエルカ酸アミド、ベヘニン酸アミド、ステアリン
酸アミド、オレイン酸アミド等が挙げられる。
【0014】本発明の基材層(I)における(イ)成分
と(ロ)成分との混合は、例えばバンバリ−ミキサー、
ロールミル、押出し成形機等の適宜の混合機を用いて行
うことができるが、押出し機中で溶融混練することが好
ましく、特に2軸押出し機を用いて溶融混練することが
好ましい。このように2軸押出し機により溶融混練した
樹脂組成物を使用することにより、フィルムおよびシー
ト中のフィッシュアイが少なくなり、外観に優れるばか
りでなく、透明性が更に優れたフィルムおよびシートが
得られる。なお、2軸押出し機を用いて溶融混練した樹
脂組成物は、通常、ペレット化して使用される。本発明
の多層積層体は、例えば(a)基材層と表層とをインフ
レーション法、Tダイ法等の通常の方法でフィルムある
いはシートに成形したのち、熱貼合する方法、(b)共
押出しタイプのインフレーション成形機やTダイ押出し
成形機により直接積層成形する方法、(c)例えば前記
(a)の方法で予め成形した基材層あるいは表層の少な
くとも一方の面に他方の層を押出しラミネートする方法
等の公知の方法で積層して製造することができる。前記
(b)の方法に使用されるTダイ押出し成形機のTダイ
は、マルチマニホールドタイプまたはフィードブロック
タイプの何れでもよい。これらの方法のうち、(b)の
方法が好ましく、最も好ましい方法は共押出しタイプの
Tダイ押出し成形機を用いる方法である。
【0015】前記(b)の方法では、基材層の一方の面
に表層を積層する2層共押出し法、基材層の両方の面に
表層を積層する3層共押出し法のほか、4層以上の多層
押出し法を採用することができる。なお、耐ブロッキン
グ性および透明性の経時変化の点から、基材層(I)の
一方の面にのみ本発明の(ハ)からなる表層(II)を設
けた場合には、基材層(I)の他面には本発明の水添ジ
エン重合体(ロ)を基材層(I)に含まれる量以下含有
するポリオレフィン系樹脂(イ)からなる層(以下「反
表層」と表現する場合がある)(III) を積層する事が
好ましい。本発明の多層積層体は、基材層(I)の一方
の面または両方の面に表層(II)が積層されているが、
基材層(I)の両面に積層された各表層(II)は同一で
も異なってもよく、また基材層の一方の面または両方の
面に、表層(II)を2層以上積層することもできる。本
発明の多層積層体は、場合により2つ以上貼合して使用
することもできる。さらに本発明の多層積層体は綿やポ
リエステル等の布や紙などに貼り合わせて使用しても良
い。本発明の多層積層体の厚さは、多層積層体の所望の
特性や用途に応じて適宜選択されるが、成形性および強
度の観点から、10μm以上であることが好ましく、よ
り好ましくは20μm以上である。また、本発明の多層
積層体における基材層と表層との厚さの比率は、多層積
層体の所望の特性や用途に応じて適宜選択されるが、た
とえば3層積層体である場合には表層/基材層/表層=
1/1/1〜1/20/1の範囲にあるのが好ましく、
より好ましくは表層/基材層/表層=1/2/1〜1/
8/1の範囲である。本発明の多層積層体は柔軟性、透
明性、耐白化性に優れるばかりでなく、表層(II)側の
コロナ処理後の濡れ性の低下が少なく、印刷インクとの
濡れ性が良ことから印刷性が向上する。また、接着剤と
の濡れ性や反応性が良く、印刷を行ったり接着剤を塗布
したのち鋼板や合板に貼り合わせて鋼板化粧フィルムや
合板化粧フィルムとして好適に使用することができる。
また表層(II)側に粘着剤を塗布して表面保護フィルム
や各種粘着テープとして好適に使用できる。さらに柔軟
性、透明性に優れるばかりでなくアクリル系や各種紫外
線硬化型の粘着剤との濡れ性や反応性が良くなるため、
表層(II)側に各種粘着剤を塗布してシリコンウエハの
ダイシング用フイルムとして好適に使用できる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、実施例を挙げて本発明を更
に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない
限り、これらの実施例に何ら制約されるものではない。
また、実施例および比較例中の各種評価は、次のように
して行った。ビニル芳香族化合物の結合量(重量%) 赤外分析法による679cm-1のフェニル基の吸収によ
り測定した。共役ジエン部分のビニル結合含量(%) 赤外分析法を用い、ハンプトン法により算出した。水素添加率(%) 溶媒として四塩化エチレンを用い、100MHzでの 1
H―NMRスペクトルにより算出した。水添ジエン系共重合体の数平均分子量 溶媒としてトリクロルベンゼンを用い、135℃におけ
るゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
により、ポリスチレン換算して算出した。印刷性 コロナ処理面(表層(II))の濡れ性をJIS K67
68に従って測定し、以下の基準で印刷性を判断した。
なおコロナ処理後のフィルムは23℃、50%RHで保
管した。 ○:コロナ処理24時間後の濡れ指数−コロナ処理7日
後の濡れ指数<5 ×:コロナ処理24時間後の濡れ指数−コロナ処理7日
後の濡れ指数≧5難白化性 直径1.5inchの先端子を有する打ち抜き衝撃試験
機を使用して5℃でフィルムに衝撃を与え白化の程度を
以下の基準で判断した。 ○:ほとんど白化していない ×:明らかに白化している 実施例および比較例の配合処方に用いた各成分は、以下
の通りである。 (イ)成分 (イ−1)ポリプロピレン(チッソ石油化学(株)製、
商品名XF1800) (イ−2)ポリプロピレン(三菱化学(株)製、商品名
FB3C) (ロ)成分 表1に示す水添ジエン系共重合体(ロ−1)〜(ロ−
3)を合成した。これらの水添ジエン系共重合体のミク
ロ構造、数平均分子量および水素添加率を、表1に示
す。
【0017】
【表1】 *1)BD:ブタジエン *2)IP:イソプレン *2)St:スチレン *4)A部:芳香族ビニル化合物を主体とする重合体部
分 *5)A:A部、B:共役ジエンを主体とする重合体部
分 (ハ)成分 (ハ−1):三菱化学(株)製モディックAPP513 (ハ−2):三井石油化学(株)製アドマーQF551
【0018】
【実施例】
実施例1 (イ−1)成分50重量部と(ロ−1)成分50重量部
とを、(株)池貝製2軸押出し成形機PCM−45を用
いて溶融混練りしたのちペレット化し、基材層(I)用
組成物のペレットを得た。また、同様にして(イ−1)
成分80重量部、(ロ−1)成分20重量部およびブロ
ッキング防止剤としてシリカ0.2重量部を溶融混練し
たのちペレット化し、反対層(III) 用組成物のペレッ
トを得た。得られた各組成物と表層(II)用の(ハ−
1)を、3層押出し成形機の各層用押出機に供給し、押
出し温度240℃、冷却ロール温度20℃として3層共
押出しを行い、(II)/(I)/(III) の順に積層さ
れた厚さ100μm、各層の厚み比率が1/4/1の3
層積層体を得た。この際、表層(II)のみにコロナ処理
を行った。得られた3層積層体を評価した結果、印刷
性、難白化性が優れていた。評価結果を表2に示す。
【0019】実施例2〜4 組成、厚みおよび基材層(I)、表層(II)、反対層
(III) の厚み比を表2に示した通りとした以外は実施
例1と同様にして3層積層体を得たのち各種評価を行っ
た。その結果、得られた積層体は何れも、印刷性、難白
化性が優れていた。評価結果を表2に併せて示す。 比較例1 組成、厚みおよび基材層と表層の厚み比を表2に示した
通りとした以外は実施例1と同様にして、各種評価を行
った。比較例1の3層積層体は、基材層の(イ)成分と
(ロ)成分の組成比が本発明の範囲外であり印刷性には
優れるもののフィルム強度が劣り好ましくなかった。 比較例2 表層および反対層を積層せず単層構成とした以外は実施
例3と同様にして、各種評価を行った。比較例2のフィ
ルムは、基材層の(イ)成分と(ロ)成分の組成比が本
発明の範囲外であり難白化性には優れるものの印刷性が
劣り好ましくなかった。
【0020】
【表2】
【0021】
【発明の効果】以上実施例で示したように本発明の多層
積層体は、コロナ処理後の濡れ性の低下が少なく接着剤
との濡れ性や反応性が良くなることで金属や合板との接
着性が向上しておりかつ難白化性で基材層と表層の剥離
もないので、折り曲げ加工などが必要な鋼板や合板用化
粧フィルムとして好適であり、また、アクリル系や各種
紫外線硬化型の粘着剤との濡れ性や反応性が良くなるこ
とでダイシングフィルムやプロテクトフィルムなどの粘
着テープ基材として好適であり、印刷インキとの濡れ性
が良好であるのでポンチョ等の衣料用材料、衣料包装用
フィルム、文具包装用フィルム、医療用包装フィルム等
の各種包装材料、食品用フィルム、ブックカバー、電子
回路成型用フィルム、医療用廃棄袋、文具、医療衛生材
料転写フィルム、テ−ブルクロスなどの様々な分野に好
適に用いることができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記(イ)および(ロ)を含む基材層
    (I)の少なくとも片面に、(ハ)極性基を含有するポ
    リオレフィン系樹脂からなる表層(II)が積層されてな
    る多層積層体。 (イ)ポリオレフィン系樹脂 (ロ)共役ジエン系共重合体の共役ジエン部分の二重結
    合が80%以上飽和された、数平均分子量が5万〜70
    万である水添ジエン系共重合体
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