JPH1033648A - 脱臭剤 - Google Patents

脱臭剤

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JPH1033648A
JPH1033648A JP8207596A JP20759696A JPH1033648A JP H1033648 A JPH1033648 A JP H1033648A JP 8207596 A JP8207596 A JP 8207596A JP 20759696 A JP20759696 A JP 20759696A JP H1033648 A JPH1033648 A JP H1033648A
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省三 三好
Kokichi Tamura
幸吉 田村
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 添加対象物の風味や使用感に対する悪影響が
少なく、安全性やコストの面でも優れた新規な脱臭剤を
提供する。 【解決手段】 水、親水性有機溶媒またはそれらの混合
物を抽出溶媒にして得られるヤマブシタケ子実体抽出物
の脱臭力を利用する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品、化粧品、衛
生用品等の分野で使用可能な天然物系脱臭剤に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】従来、不快臭の発生を予防したり発生し
た不快臭を消失させたりする手段としては、芳香性物質
により不快臭をマスキングする方法、不快臭の原因物質
を中和、酸化、分解その他の化学反応により無臭化する
か活性炭等の吸着剤に吸着させて固定する方法等があっ
た。
【0003】口臭防止、飲食物の風味向上、愛玩動物の
糞尿の悪臭防止等の目的には、食品、餌、飼料、口腔用
剤等に配合可能な脱臭剤を安全性の高い植物抽出物に求
める研究が進められ、その結果、緑茶抽出物(特公昭5
8−18098号公報)、ウーロン茶抽出物、ウラジロ
ガシ抽出物、柿タンニン、大豆・穀類抽出物、香辛料抽
出物、キノコ子実体抽出物等を有効成分とする脱臭剤が
提案された。
【0004】しかしながら、これら従来の植物抽出物系
脱臭剤は使用効果が十分でないばかりかそれぞれ特有の
におい、苦み、渋味等があり、食品や口腔用剤に十分量
を添加した場合、添加対象物の風味や使用感に対する影
響が大きすぎるという問題点があり、さらに、概して高
価でもあった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】そこで本発明の目的
は、使用効果において優れることはもちろん、添加対象
物の風味や使用感に対する悪影響が少なく、安全性やコ
ストの面でも優れた新規な脱臭剤を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、すぐれた脱臭
作用を有することが本発明者らにより初めて確認された
ヤマブシタケ子実体抽出物を有効成分とする脱臭剤を提
供するものである。
【0007】
【発明の実施の形態】ハリタケ科に属する担子菌類・ヤ
マブシタケ(Hericium erinaceum)の子実体(以下、単
にヤマブシタケという)は、猴頭とも呼ばれて古くから
中華料理の材料にされている。また、中国では胃潰瘍、
慢性胃炎、消化不良、神経衰弱などに有効な民間薬とし
ても利用されてきた。しかしながら、その抽出物が脱臭
作用を有することは知られていなかった。
【0008】脱臭作用を有するヤマブシタケ抽出物は、
ヤマブシタケの乾燥物からも新鮮なものからも抽出する
ことができるが、新鮮なものは抽出効率が悪いので、乾
燥物のほうが好ましい。
【0009】脱臭作用を有するヤマブシタケ抽出物を得
るための抽出溶媒としては、水、親水性有機溶媒、また
はそれらの混合物を用いることができる。使用可能な親
水性有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール等
の低級脂肪族アルコール;アセトン、メチルエチルケト
ン等の低級脂肪族ケトン;グリセリン、1,3-ブチレング
リコール、プロピレングリコール等、炭素原子数2〜4
の多価アルコール等がある。
【0010】親水性有機溶媒と水との混合物は抽出収率
が高いので特に好ましい。水との混合溶媒を用いる場
合、望ましい混合比は、水10重量部に対し、低級アル
コールは約1〜90重量部、低級脂肪族ケトンは約1〜
20重量部、多価アルコールは約10〜90重量部であ
る。
【0011】抽出方法は特に制限がなく、簡単には常温
ないし沸騰点付近の温度に加熱した抽出溶媒中にヤマブ
シタケを浸漬し、ときどき撹拌すればよい。処理後、濾
過して固形物を除去し、得られた抽出液を濃縮、乾燥す
ると、脱臭作用を有する抽出物が得られる。この抽出物
は淡褐色で味やにおいも穏やかなものであるから、その
まま脱臭剤構成成分として利用することができる。
【0012】得られたヤマブシタケ抽出物を脱臭剤とし
て製剤化するに際しては、用途に応じて粉末状、顆粒
状、溶液状、乳液状、ペースト状等、任意の剤形を採用
することができる。そのとき、呈味や取扱い性を改善す
るためのアラビアガム、デキストリン、ブドウ糖、乳
糖、界面活性剤等の助剤を適宜配合することができる。
【0013】本発明の脱臭剤にはまた脱臭に有効なヤマ
ブシタケ抽出物以外の物質、たとえば緑茶、ウーロン
茶、タマリンドハスク、ウラジロガシ、イチョウ、シ
ソ、コショウ、ショウキョウ、チョウジ、キョウニン、
メース、セージ、カキ葉、ソウハクヒ、トウガラシ、グ
アバ葉、マッシュルーム、エノキタケ、ブナシメジ、ヒ
ラタケ、ナメコ、マンネンタケ、レッドビート、カカ
オ、コーヒー、パセリ、フキ、海ノリ等各種植物体の抽
出物のほか、ロジン、ジメチルアミノスルホネート、グ
ルコサミン、エラグ酸、クロロフィリン誘導体、メント
ール、ペパーミント、柿渋、塩酸クロルヘキシジン、ア
クチゾル、メイラード反応物、サイクロデキストリン等
を含有させることができる。
【0014】食用のキノコが原料である本発明の脱臭剤
は経口摂取されてもまったく心配がないので、口腔用
剤、飲食物等に広く使用することができる。たとえば、
チューインガム、キャンディー等の菓子類、各種歯磨
類、マウスウォッシュ、トローチ、口中清涼剤、口臭防
止のための各種エチケット商品等に、製造工程の任意の
段階で配合するか付着させて、口臭防止に役立たせるこ
とができる。これらの用途における本発明の脱臭剤の好
適配合率は、標準的なヤマブシタケ抽出物として約0.
01〜5重量%である。
【0015】本発明の脱臭剤の用途は上記の例に限られ
るわけではなく、ほかにもたとえば次のような利用が可
能である。 畜肉・水産加工品の生臭みを消すマスキング剤 居室、トイレット等の空間に噴霧する消臭スプレー
への配合。 工場排気に混入する脱臭処理 空気清浄器、空調機等用の脱臭剤 台所等のゴミの脱臭 家畜や愛玩動物の飼料または餌に配合して糞尿の臭
いを消すための消臭剤 頭皮および頭髪の消臭を目的とするヘアトニック、
ヘアローション等頭髪化粧料への配合。 体臭除去を目的とする、シャンプー、リンス、ボデ
ィーシャンプー、石鹸等のトイレタリー製品もしくはボ
ディーローション、ボディークリーム等のボディーケア
化粧料への配合。
【0016】
【実施例】以下、実施例を示して本発明を説明する。な
お、各例において「部」は重量部を意味する。
【0017】製造実施例1 ヤマブシタケの乾燥物100gに水1000mlを加え、
沸騰水浴中で2時間加熱し、水溶性成分を抽出した。得
られた抽出液を減圧下に濃縮したのち乾燥して、抽出物
36gを得た(以下、これを脱臭剤Aという)。
【0018】製造実施例2 ヤマブシタケの乾燥物100gに水500mlおよびエタ
ノール500mlを加え、還流冷却下80℃で2時間加熱
して可溶性成分を抽出した。得られた抽出液を減圧下に
濃縮したのち乾燥して、抽出物45gを得た(以下、こ
れを脱臭剤Bという)。
【0019】製造実施例3 ヤマブシタケの乾燥物100gにエタノール1000ml
を加え、還流冷却下に2時間加熱して可溶性成分を抽出
した。得られた抽出液を減圧下に濃縮したのち乾燥し
て、抽出物45gを得た(以下、これを脱臭剤Cとい
う)。
【0020】脱臭力試験例1 被験試料を水に溶解し、0.1〜0.5%の範囲で、3段
階の濃度の水溶液を調製する。これを容量900mlの蓋
付き広口ビンに20mlずつ入れ、そこにアンモニア水を
注入する。このときのアンモニア水の注入量は、ビン内
にあるのが水だけと仮定した場合にビン内で一部気化し
て平衡状態になるアンモニアの気相における濃度が80
ppmになるように計算して決める。アンモニア水注入
後、直ちにゴム栓で密閉して10分間振盪し、さらに5
分間放置した後、ビン内空間のアンモニア濃度を測定す
る(気化するアンモニアの量が試料の脱臭作用によって
減少すると、測定される気相のアンモニア濃度は上記計
算値よりも低くなる。)。コントロールとして純水20ml
を広口ビンに入れて、上記と同様の試験を行なう。
【0021】コントロールの測定値を基準値として、ア
ンモニア残存率を求めた結果を表1に示す。残存率が低
いほど脱臭効果があったことになる。なお、比較のた
め、公知の脱臭剤である緑茶抽出物および銅クロロフィ
リンNaを用いた場合の試験結果も併せて示した。
【0022】
【表1】 アンモニア残存率(%) 試料 0.1%溶液 0.2%溶液 0.5%溶液 脱臭剤A 72 59 22 脱臭剤B 65 45 18 脱臭剤C 60 38 14 緑茶抽出物 81 55 20 銅クロロフィリンNa 90 88 85
【0023】脱臭力試験例2 アンモニア水を30%トリエチルアミン水溶液に変え、
トリメチルアミンの予定気相濃度を60ppmにしたほか
は上記試験例1と同様にして脱臭効果の試験を行なっ
た。その結果を表2に示す。
【0024】
【表2】 トリエチルアミン残存率(%) 試料 0.1%溶液 0.2%溶液 0.5%溶液 脱臭剤A 36 2 0 脱臭剤B 29 2 0 脱臭剤C 34 2 0 緑茶抽出物 81 55 20 銅クロロフィリンNa 90 88 85
【0025】使用例1 下記の原料を常法により混合し、さらに煮詰めて成形
し、口臭予防キャンディーを製造した。 グラニュー糖 75部 酵素糖化水飴 33部 濃縮果汁(オレンジ) 4部 香料 0.05部 脱臭剤A 0.05部 水 20部
【0026】使用例2 下記の原料を常法により処理して、口臭予防チューイン
ガムを製造した。 チューインガムベース 20部 粉末マルチトール 65部 ソルビット液 15部 軟化剤 4部 脱臭剤B 0.1部
【0027】使用例3 下記の原料をグミキャンディー製造の常法により処理し
て、消臭グミキャンディーを製造した。 ゼラチン 8部 水 15部 マルチトール液 33部 砂糖 32部 クエン酸 0.4部 脱臭剤C 0.1部
【0028】使用例4 下記の原料を常法により処理して、口臭予防練り歯磨き
を製造した。 第二リン酸カルシウム 43部 CMC−ナトリウム 1部 グリセリン 20部 ラウリル硫酸ナトリウム 2部 ショ糖脂肪酸エステル 2部 メントール 1部 パラオキシ安息香酸ブチル 0.005部 脱臭剤B 0.5部 水 30部
【0029】得られた練り歯磨きおよび対照品(脱臭剤
Bに代えて緑茶抽出物を用いたもの、および脱臭剤無添
加品)について、下記の方法で脱臭効果を調べた。試験
法:5gのニンニクをすり潰して100gの水で希釈す
る。この希釈液1mlを口中に入れ、3分後に吐き出して
100mlの水で2回口をすすぐ。この後、練り歯磨き2
gを使用して3分間歯を磨き、100mlの水で2回口を
すすぐ。その直後、10人のパネルにより吐息のニンニ
ク臭を調べる。
【0030】上記試験を、1試料につき5名の被験者に
より行なった。ニンニクの残香は次の5段階に分けて評
価した。 非常に強い +2 強い +1 僅かにある 0 ほとんど無い −1 まったく無い −2 検査結果を表3に示す。なお、緑茶抽出物添加歯磨を使
用した者は全員が渋味や苦味を感じたという感想を述べ
た。
【0031】
【表3】 パネラー→ a b c d e f g h i j 脱臭剤B添加歯磨使用群 被験者A −2 −2 −2 −2 −1 −2 −2 −1 −2 −2 〃 B −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 〃 C −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 〃 D −2 −2 −2 −2 −1 −2 −2 −2 −2 −1 〃 E −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 緑茶抽出物添加歯磨使用群 被験者F −1 −2 −2 −2 −1 −2 −2 −1 −2 −1 〃 G −2 −2 −1 −2 −1 −2 −2 −1 −2 −1 〃 H −1 −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 −2 〃 I −2 −2 −1 −2 −1 −2 −2 −1 −2 −1 〃 J −2 −2 −2 −2 −1 −2 −2 −2 −2 −2 脱臭剤不添加歯磨使用群 被験者K +2 +2 +2 +1 +2 +1 +2 +2 +2 +2 〃 L +2 +1 +2 +1 +2 +2 +2 +2 +2 +2 〃 M +2 +2 +2 +2 +2 +2 +2 +2 +2 +2 〃 N +2 +2 +2 +2 +2 +2 +2 +2 +2 +2 〃 O +2 +1 +2 +2 +2 +1 +2 +2 +2 +2
【0032】使用例5 下記の原料を均一に混合してから缶に充填し、さらに噴
射剤90部を圧力充填して、脱臭エアゾール剤を製造し
た。 クロルヒドロキシアルミニウム 3.5部 ミリスチン酸イソプロピル 6.0部 無水ケイ酸 0.3部 脱臭剤C 0.5部 香料 0.2部
【0033】使用例6 下記の原料から常法によりシュウマイを製造した。 豚ひき肉 75部 玉ねぎ 8部 砂糖 1部 片栗粉 4部 食塩 1部 コショウ 0.05部 卵白 10部 脱臭剤(AまたはB) 0.05部 シュウマイの皮(市販品)
【0034】使用例7 下記の原料から、常法により“つくね”を製造した。 鶏ひき肉 90部 食塩 1部 卵白 5部 小麦粉 4部 脱臭剤(AまたはB) 0.1部
【0035】上記使用例6,7で製造した脱臭剤添加食
品および脱臭剤を添加しないほかは同様にして製造した
対照食品の畜肉臭の強さについて、10名のパネルによ
る官能検査を行なった。評価基準は次の3段階とした。 畜肉臭が強い +1 畜肉臭が僅かにある 0 畜肉臭がほとんど無い −1 試験結果は表4のとおりであって、本発明による脱臭剤
を添加した肉製品は原料の畜肉臭をまったく感じないも
のであった。
【0036】
【表4】 パネラー→ a b c d e f g h i j シュウマイ 脱臭剤A添加品 −1 −1 −1 −1 0 −1 −1 −1 −1 0 脱臭剤B添加品 −1 −1 −1 −1 −1 −1 −1 −1 −1 0 脱臭剤無添加品 +1 +1 +1 +1 +1 +1 +1 0 +1 +1 つくね 脱臭剤A添加品 −1 0 −1 −1 0 −1 −1 −1 −1 0 脱臭剤B添加品 −1 −1 −1 −1 0 −1 −1 −1 −1 0 脱臭剤無添加品 +1 +1 +1 +1 +1 +1 +1 +1 +1 +1
【0037】
【発明の効果】上述のように、本発明によれば古くから
食品素材や民間薬として利用されてきたヤマブシタケを
原料にして安全性が高く使用しやすい脱臭剤を容易に製
造し提供することができる。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 水、親水性有機溶媒またはそれらの混合
    物でヤマブシタケ子実体を抽出処理して得られた抽出物
    を有効成分として含有することを特徴とする脱臭剤。
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