JPH103321A - 電流出力回路 - Google Patents

電流出力回路

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JPH103321A
JPH103321A JP15697596A JP15697596A JPH103321A JP H103321 A JPH103321 A JP H103321A JP 15697596 A JP15697596 A JP 15697596A JP 15697596 A JP15697596 A JP 15697596A JP H103321 A JPH103321 A JP H103321A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 NPNトランジスタを介して電流を出力する
電流出力回路において、NPNトランジスタに流れる過
電流を、簡単な過電流リミッタ回路にて、回路素子の温
度特性の影響を受けることなく高精度に制限できるよう
にする。 【解決手段】 出力用NPNトランジスタTroに、ベー
ス電流制御用の第1のPNPトランジスタTraを接続
し、このトランジスタTraには、カレントミラー回路を
構成する第2のPNPトランジスタTrbを接続する。そ
して、トランジスタTrbに流れる電流を定電流回路にて
一定電流I1 に制御することにより、トランジスタTro
のベース電流を制御する。またトランジスタTra,Trb
のエミッタ間には抵抗器Roを設け、この抵抗器Roで
の電圧降下(I3 ・Ro)に従い、トランジスタTroの
ベース電流を減少させる。この結果、定電流回路に負の
温度特性を有するものを使用すれば、出力電流I3 を常
に一定電流以下に制限できる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、NPNトランジス
タを介して外部に電流を出力する電流出力回路に関し、
特に外部の電流経路の短絡時等にNPNトランジスタに
過電流が流れるのを防止するのに好適な電流出力回路に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、この種の電流出力回路におい
て、出力用のNPNトランジスタに過電流が流れるのを
防止するために用いられる過電流リミッタ回路としては
種々存在するが、基本的には、抵抗器にて出力電流を電
圧変換し、その変換電圧と基準電圧と比較して、変換電
圧が基準電圧に達したときに、出力用のNPNトランジ
スタをオフして出力電流をカットするのが一般的であ
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の過電流
リミッタ回路において、過電流を回路素子の温度特性の
影響を受けることなく高精度に制限できるようにするに
は、回路が複雑で素子数も多くなってしまうといった問
題があった。
【0004】例えば、図4は、出力用のNPNトランジ
スタTroをバイアス回路20にてオン動作させて、出力
端子OUT から外部負荷への給電を行う電流出力回路にお
いて、一般に使用されている過電流リミッタ回路を表わ
している。この過電流リミッタ回路は、出力用NPNト
ランジスタTroのエミッタと出力端子OUT との間に設け
た電流検出用の抵抗器R1と、エミッタが出力端子OUT
に接続されると共に、ベースが出力用NPNトランジス
タTroと抵抗器R1との接続点に接続され、更に、コレ
クタが出力用NPNトランジスタのベースに接続された
電流制限用NPNトランジスタTr1とから構成され、出
力用NPNトランジスタを流れる出力電流Io に応じて
変化する抵抗器R1の両端電圧(io ×R1)を、電流
制限用NPNトランジスタTr1のベース・エミッタ間に
印加することにより、出力電流Io が所定の上限電流
(VBETr1 /R1)に達し、電流制限用NPNトランジ
スタTr1のベース・エミッタ間電圧VBETr1 が所定電圧
(約0.7V)に達すると、電流制限用NPNトランジ
スタTr1がオンし、出力電流Io を上限電流に制限する
ように動作する。
【0005】しかし、こうした一般的な過電流リミッタ
回路は、抵抗器R1とトランジスタTr1とにより簡単に
構成できるが、制限可能な上限電流は、温度によって大
きく変化し、過電流を高精度にカットすることができな
いといった問題がある。つまり、図4に示す過電流リミ
ッタ回路では、出力電流Io は「VBETr1 /R1」に制
限されるが、トランジスタTr1のVBETr1 は負の温度特
性(約−2mV/℃)を有し、抵抗器R1の抵抗は正の
温度特性(拡散抵抗の場合,約2000ppm/℃)を
有することから、制限可能な過電流は、トランジスタT
r1及び抵抗器R1の温度特性の影響を受けて、温度上昇
に伴い大きく減少することになる。
【0006】従って、過電流リミッタ回路を、回路素子
の温度特性の影響を受けることなく過電流を高精度に制
限できるように構成するには、図4に示したような一般
的な過電流リミッタ回路を使用することはできず、回路
が複雑で素子数も多くなってしまうのである。
【0007】本発明は、こうした問題に鑑みなされたも
ので、NPNトランジスタを介して外部に電流を出力す
る電流出力回路において、NPNトランジスタに流れる
過電流を、極めて簡単な回路にて、回路素子の温度特性
の影響を受けることなく高精度に制限できるようにする
こと、を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めになされた請求項1に記載の電流出力回路において
は、まず定電流回路にて第2のPNPトランジスタに流
れる電流が一定に制御される。
【0009】また、第2のPNPトランジスタは第1の
PNPトランジスタと共にカレントミラー回路を構成し
ているため、基本的には、第1のPNPトランジスタに
も、第2のPNPトランジスタに流れる電流と同等又は
これに比例した電流が流れる。つまり、第1のPNPト
ランジスタと第2のPNPトランジスタとのエミッタ面
積が同じであれば、第1のPNPトランジスタには定電
流回路にて一定に制御された第2のPNPトランジスタ
と同じ電流が流れ、第1のPNPトランジスタと第2の
PNPトランジスタとのエミッタ面積が異なる場合に
は、第1のPNPトランジスタには、第2のPNPトラ
ンジスタに流れる電流にエミッタ面積の比率を乗じた電
流が流れる。
【0010】そして、第1のPNPトランジスタのコレ
クタは、出力用NPNトランジスタのベースに接続され
ていることから、出力用NPNトランジスタのベース電
流も、基本的には、定電流回路にて一定電流に制御され
ることになる。即ち、本発明では、出力用NPNトラン
ジスタを駆動するバイアス回路として、第1及び第2の
PNPトランジスタと定電流回路とからなるバイアス回
路が使用され、出力用NPNトランジスタはこの回路に
より定電流駆動される。
【0011】一方、本発明では、第1のPNPトランジ
スタのエミッタと、第2のPNPトランジスタのエミッ
タとの間に、電気抵抗が設けられている。そして、出力
端子から外部に出力される出力電流は、この電気抵抗を
通過することから、この電気抵抗を通過する出力電流が
増加するに従い、第1のPNPトランジスタのベース・
エミッタ間電圧は、電気抵抗での電圧降下分だけ、第2
のPNPトランジスタのベース・エミッタ間電圧よりも
低くなる。この結果、電気抵抗を通過する電流値が増加
するに従い、第2のPNPトランジスタから出力用NP
Nトランジスタに供給されるベース電流も減少すること
になる。
【0012】そして、このベース電流が減少しても、出
力用NPNトランジスタのhFEの能力があるうちは、出
力用NPNトランジスタを介して出力端子から外部の電
気負荷に電流を流すことができるが、ベース電流が減少
して出力電流が出力用NPNトランジスタのhFEの能力
を越えた時点で、出力用NPNトランジスタがオフし、
出力電流がカットされる。
【0013】つまり、本発明では、出力電流の増加に伴
い、出力用NPNトランジスタのベース電流を減少さ
せ、出力電流が出力用NPNトランジスタのhFEとベー
ス電流との積にて決定される上限電流に達した時点で出
力電流をカットするのである。そして、本発明によれ
ば、こうした過電流リミッタとしての機能を、直流電源
の正極側より出力用NPNトランジスタに至る電源ライ
ンに電気抵抗を入れるだけで実現できることから、過電
流リミッタ回路を極めて簡単に構成できる。
【0014】また、本発明において、出力端子からの出
力電流IOUT は、上記電源ラインに設けられる電気抵抗
の抵抗値をr,定電流回路に流れる定電流の電流値をI
consとすると、次式(1)のようになる。 IOUT=(1/r)・(k・T/q)ln{(hFE・Icons)/IOUT}…(1) 但し、(1) 式において、kはボルツマン定数,qは電子
の電荷量,Tは絶対温度,hFEは出力用NPNトランジ
スタのhFEである。
【0015】そして、(1) 式において、電気抵抗の抵抗
値r及び出力用NPNトランジスタのhFEは、温度上昇
に伴い値が大きくなる正の温度特性を有し、電流値Ico
nsは定電流回路の温度特性を有することから、請求項2
に記載のように、定電流回路が負の温度特性を有するも
のであれば、電気抵抗の抵抗値rの正の温度特性は、絶
対温度Tの変化によって相殺され、出力用NPNトラン
ジスタのhFEの温度特性は、電流値Iconsの温度特性に
て相殺されることになる。
【0016】従って、本発明の電流出力回路によれば、
出力用NPNトランジスタの電源ラインに電気抵抗を設
けるという極めて簡単な過電流リミッタ回路にて過電流
を防止できるにもかかわらず、定電流回路に負の温度特
性を有するものを使用すれば、制限可能な過電流を、回
路素子の温度特性の影響を受けることなく、略一定にす
ることができ、温度特性のない過電流リミッタ回路を実
現できることになる。
【0017】なお、上記(1) 式については後に詳しく説
明する。
【0018】
【発明の実施の形態】以下に本発明の実施例を図面と共
に説明する。図1は本発明が適用された実施例の電流出
力回路の構成を表わす電気回路図である。
【0019】図1に示す如く、本実施例の電流出力回路
には、図示しない直流電源から正極性の電圧Vccが供給
される電源ラインに、抵抗器Roを介して、コレクタが
接続され、エミッタが出力端子OUT に接続された、出力
用NPNトランジスタTroが備えられる。そして、この
出力用NPNトランジスタTroのベースには、ベース電
流制御用の第1のPNPトランジスタTraのコレクタが
接続され、出力用NPNトランジスタTroのコレクタに
は、第1のPNPトランジスタTraのエミッタが接続さ
れている。
【0020】また第1のPNPトランジスタTraのベー
スには、第1のPNPトランジスタTraと共にカレント
ミラー回路を構成する第2のPNPトランジスタTrbの
ベースが接続されている。そして、第2のPNPトラン
ジスタTrbのエミッタは、抵抗器Roを介して第1のP
NPトランジスタTraのエミッタ(換言すれば出力用N
PNトランジスタTroのコレクタ)に接続され、第1及
び第2のPNPトランジスタTra,Trbのベースは、抵
抗器Rcを介して、PNPトランジスタTreのエミッタ
に接続されている。また、PNPトランジスタTreのコ
レクタは、直流電源の負極側であるGNDラインに接地
され、ベースは第2のPNPトランジスタTrbのコレク
タに接続されている。なお、PNPトランジスタTre及
び抵抗器Rcは、第1のPNPトランジスタTraと第2
のPNPトランジスタTrbとをカレントミラー回路とし
て動作させるためのものである。
【0021】また、第2のPNPトランジスタTrbは、
2つのコレクタを有し、上記PNPトランジスタTreの
ベースが接続された一方のコレクタには、NPNトラン
ジスタTrdのコレクタが接続され、他方のコレクタに
は、抵抗器Rbを介して直流電源からの出力電圧(正電
圧Vcc)が供給される電源ラインが接続されると共に、
NPNトランジスタTrcのコレクタ及びNPNトランジ
スタTrdのベースが接続されている。そして、NPNト
ランジスタTrdのエミッタとNPNトランジスタTrcの
ベースとは互いに接続され、その接続点は、抵抗器Ra
を介して、直流電源の負極側であるGNDラインに接続
され、更にNPNトランジスタTrcのエミッタは、GN
Dラインにそのまま接続されている。
【0022】このように構成された本実施例の電流出力
回路においては、抵抗器Ra,NPNトランジスタTr
c,Trdが、第2のPNPトランジスタTrbに定電流を
流す定電流回路として機能し、抵抗器Rbが定電流回路
の各トランジスタRrc,Rrdを起動する起動用素子とし
て機能する。
【0023】即ち、本実施例の電流出力回路において
は、直流電源から電源電圧Vccが供給されると、まず、
起動用の抵抗器Rbの両端電圧が、電源電圧Vccから、
NPNトランジスタTrc,Trdのベース・エミッタ間電
圧VBETrc ,VBETrd 分だけ減じた電圧(Vcc−VBETr
c −VBETrd )となり、各NPNトランジスタTrc,T
rdには、「(Vcc−VBETrc −VBETrd )/Rb」のベ
ース電流が流れて、各NPNトランジスタTrc,Trdが
オンする。またこのようにNPNトランジスタTrc,T
rdがオンすると、PNPトランジスタTre,延いては第
2のPNPトランジスタTrbにもベース電流が流れて、
これら各PNPトランジスタTre,Trbもオン状態とな
り、各NPNトランジスタTrc,Trdに流れる電流I1
1,I12は、次式(2) ,(3) のようになり、この状態で
安定する。
【0024】 I11=(Vcc−VBETrc−VBETrd)/Rb+I12 …(2) I12=VBETrc/Ra …(3) 従って、第2のPNPトランジスタTrbのエミッタ電流
I1 は、上記(3) 式にて表わされる電流I12の2倍の電
流値「2・VBETrc /Ra」で安定し、第2のPNPト
ランジスタTrbには常に定電流が流れることになる。つ
まり、本実施例の定電流回路は、NPNトランジスタT
rcのベース・エミッタ電圧VBETrc と抵抗器Raの抵抗
値とにより決定される定電流(VBETrc /Ra)を流す
定電流回路として動作し、第2のPNPトランジスタT
rbには、この定電流回路にて生成される定電流の2倍の
定電流が流れることになる。
【0025】一方、第2のPNPトランジスタTrbと第
1のPNPトランジスタTraとは、ベース同士を接続
し、この接続点を抵抗器Rc及びPNPトランジスタT
reを介して第2のPNPトランジスタTrbのコレクタに
接続することにより、カレントミラー回路となっている
ため、基本的には、第1のPNPトランジスタTraに、
第2のPNPトランジスタTrbのエミッタ電流I1 (換
言すれば定電流回路にて設定される定電流)に比例した
エミッタ電流I2 が流れ、第1のPNPトランジスタT
raのコレクタから出力用NPNトランジスタTroのベー
スには、この電流I2 (正確にはI2 から第1のPNP
トランジスタTraのベース電流を減じた電流)が、ベー
ス電流として供給されることになる。そして、この状態
では、出力用NPNトランジスタTroもオン状態となる
ため、出力端子OUT に接続された電気負荷に、出力用N
PNトランジスタTroを介して電流を流すことができ
る。
【0026】ところで、本実施例では、カレントミラー
回路を構成する第1のPNPトランジスタTraのエミッ
タと第2のPNPトランジスタTrbのエミッタとの間
に、抵抗器Roが設けられており、この抵抗器Roに
は、出力用NPNトランジスタTroを介して出力端子OU
T から外部負荷に出力される出力電流I3 が流れること
から、抵抗器Roにてその抵抗値に応じた電圧降下△V
が生じ(図2(a)参照)、この電圧降下△V分だけ、
第1のPNPトランジスタTraのベース・エミッタ間電
圧VBETra が、第2のPNPトランジスタTrbのベース
・エミッタ間電圧VBETrb よりも低くなる。
【0027】この結果、第1のPNPトランジスタTra
のエミッタ電流I2 ,延いては出力用NPNトランジス
タTroのベース電流は、抵抗器Roにおける電圧降下△
Vが増加するに従い減少することになる(図2(b)参
照)。そして、出力用NPNトランジスタTroのベース
電流が減少しても、出力用NPNトランジスタのhFEの
能力があるうちは、出力用NPNトランジスタTroを介
して出力端子OUT から電流を出力することは可能である
が、ベース電流が減少して出力電流が出力用NPNトラ
ンジスタTroのhFEの能力を越えた時点で、出力用NP
NトランジスタTroがオフされ、出力電流がカットされ
る。
【0028】従って、本実施例によれば、抵抗器Roの
抵抗値を適宜設定することにより、出力電流I3 をカッ
トする電流値を設定できる。例えば、図2(c)は、定
電流回路が流す定電流を決定する抵抗器Raの抵抗値が
14kΩ,NPNトランジスタTrcのベース・エミッタ
間電圧VBETrc が0.7V,第1のPNPトランジスタ
Traのエミッタ面積が第2のPNPトランジスタTrbの
10倍、出力用NPNトランジスタTroのhFEが150
である場合に、抵抗器Roの抵抗値を0.5Ω,1Ω,
1.5Ω,2Ωへと変化させた場合の、出力電流I3 の
制限値(リミッタ電流)の測定結果を表わしているが、
この図から明らかなように、本実施例によれば、抵抗器
Roの抵抗値を適宜設定することにより、出力電流I3
の上限を制限できるようになるのである。
【0029】次に、本実施例の電流出力回路において抵
抗器Roにて構成される過電流リミッタ回路の温度特性
について説明する。まず、第1のPNPトランジスタT
raのエミッタ面積と第2のPNPトランジスタTrbのエ
ミッタ面積とが同じであるとすると、第1のPNPトラ
ンジスタTraのベース・エミッタ間電圧VBETra ,及び
第2のPNPトランジスタTrbのベース・エミッタ間電
圧VBETrb は、夫々、次式(4) ,(5) のように記述でき
る。
【0030】 VBETra=(k・T/q)ln(I2 /IS ) …(4) VBETrb=(k・T/q)ln(I1 /IS ) …(5) 但し、kはボルツマン定数,qは電子の電荷量,Tは絶
対温度,IS は各トランジスタにおける飽和電流であ
る。
【0031】一方、抵抗器Roに出力電流I3 が流れて
いる場合、抵抗器Roの抵抗値をRoとすれば、上記各
ベース・エミッタ間電圧の関係は、次式(6) のように記
述できる。 VBETrb=I3・Ro+VBETra …(6) そして、上記(6) 式に上記(4) ,(5) 式を代入し、整理
することにより、次式(7) が得られる。
【0032】 I3=(1/Ro)・(k・T/q)ln(I1/I2) …(7) また、出力用NPNトランジスタTroは、hFEの限界に
より、I3=hFE・I2が成立すると、出力能力がなくな
る。このため、出力電流I3 の上限は、上記(7) 式にお
ける電流I2 をI3 /hFEとおくことにより、前述の
(1) 式と同様、次式(8) のように記述できる。
【0033】 I3=(1/Ro)・(k・T/q)ln{(hFE・I1)/I3} …(8) そして、上記(8) 式において、抵抗器Roの抵抗値及び
出力用NPNトランジスタのhFEは、温度上昇に伴い値
が大きくなる正の温度特性を有し、定電流回路によって
制御される電流I1 は、既述したように「2・VBETrc
/Ra」となり、負の温度特性を有することから、抵抗
値Roの正の温度特性は絶対温度Tの変化によって相殺
され、出力用NPNトランジスタTroのhFEの温度特性
は電流I1 の温度特性にて相殺されることになり、出力
電流I3 の上限は、温度特性のない一定電流に制限され
ることになる。
【0034】以上説明したように、本実施例の電流出力
回路によれば、出力用NPNトランジスタTroを駆動す
るバイアス回路に、定電流回路を使用する必要はあるも
のの、出力電流を所定の上限電流に制限する過電流リミ
ッタ回路は、出力用NPNトランジスタTroに電源供給
を行うための電源ラインに設けた抵抗器Roのみにて実
現できることから、過電流リミッタ回路を極めて簡単に
構成できる。また、定電流回路に負の温度特性を有する
定電流回路を使用した場合、出力電流I3 の上限を温度
特性のない電流値にすることができることから、温度特
性のない過電流リミッタ回路を実現できる。
【0035】なお、上記出力電流I3 の演算式(8) は、
第1のPNPトランジスタTraのエミッタ面積と第2の
PNPトランジスタTrbのエミッタ面積とが同じものと
して導出したが、第1のPNPトランジスタTraのエミ
ッタ面積と第2のPNPトランジスタTrbのエミッタ面
積とが異なる場合でも、上記と同様に導出することがで
きる。従って、第1のPNPトランジスタTraのエミッ
タ面積を第2のPNPトランジスタTrbのエミッタ面積
よりも大きくしても、出力電流I3 の温度特性は同じで
あり、定電流回路に負の温度特性を有する定電流回路を
使用した場合には、温度特性のない過電流リミッタ回路
を極めて簡単に実現できる。
【0036】また過電流リミッタ回路を構成する抵抗器
Roには、一般的な抵抗素子を使用することもできる
が、当該出力回路がICに組み込まれる場合には拡散抵
抗にて構成してもよく、また、図2(c)から明かなよ
うに、抵抗器Roには比較的小さな抵抗値のものを使用
できることから、いわゆる導体抵抗として基板上の配線
パターン等にて構成することもできる。
【0037】以上、本発明の一実施例について説明した
が、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、種
々の態様をとることができる。例えば、上記実施例で
は、負の温度特性を有する定電流回路を用いることによ
り、温度特性のない過電流リミッタ回路を構成する場合
について説明したが、例えば図3に示す如く、定電流回
路に温度特性のないものを用いれば、出力電流の上限に
温度特性を持たせることもできる。
【0038】つまり、図3は、第2のPNPトランジス
タTrbに一つのコレクタを有するPNPトランジスタを
使用し、定電流回路として、第2のPNPトランジスタ
TrbのコレクタとGNDラインとの間に電流制御用の抵
抗器Rdを設けたものである。この定電流回路におい
て、第2のPNPトランジスタTrbに流れる電流I1
は、抵抗器Rcにおける電圧降下を無視すれば、電源電
圧Vccと、第2のPNPトランジスタTrbのベース・エ
ミッタ間電圧VBETrb と、PNPトランジスタTreのベ
ース・エミッタ間電圧VBETre と、抵抗器Rdの抵抗値
Rdとから、次式(9) のように記述できる。
【0039】 I1=(Vcc−VBETrb−VBETre)/Rd …(9) そして、(9) 式において、抵抗器Rdの抵抗値は正の温
度特性を有し、各トランジスタのベース・エミッタ間電
圧VBETrb ,VBETre は負の温度特性を有することか
ら、温度が上昇すれば、分母及び分子が共に増加するこ
とになり、電流I1 に影響を与える各素子の温度特性は
キャンセルされて、電流I1 は温度特性のないものにな
る。
【0040】従って、定電流回路を図3に示す如く構成
した場合には、温度特性のない定電流回路にて、出力用
NPNトランジスタTroのベース電流が制御されること
になり、出力電流I3 の上限(つまりリミッタ電流)
は、出力用NPNトランジスタTroのhFEの温度特性の
影響を受けて、正の温度特性を有するものとなる。この
結果、リミッタ電流を正の温度特性にしたい場合にも、
本発明を適用すれば、容易に実現することができる。
【0041】また、上記実施例では、第1のPNPトラ
ンジスタTraと第2のPNPトランジスタTrbとをカレ
ントミラー回路として構成するために、これらトランジ
スタのベースと第2のPNPトランジスタTrbのコレク
タとの間に抵抗器Rc及びPNPトランジスタTreを設
けたが、これは、第2のPNPトランジスタTrbのベー
スとコレクタとを直接接続する一般的なカレントミラー
回路に比べて、第2のトランジスタTrbのコレクタに流
れ込むベース電流をPNPトランジスタTreのhFE分の
1にして、定電流の制御誤差を抑え、且つ、抵抗器Rc
における電圧降下分にて第2のPNPトランジスタTrb
のエミッタ・コレクタ間電圧VCETrb を広くとり、安定
化させるためである。従って、上記実施例から抵抗器R
cを除いても、またPNPトランジスタTreを除去して
第2のPNPトランジスタTrbのベースとコレクタとを
直結するようにしても、カレントミラー回路を構成する
ことはできる。
【0042】また、上記実施例では、第2のPNPトラ
ンジスタTrbには、2つのコレクタを備えたトランジス
タを使用するものとして説明したが、第2のPNPトラ
ンジスタTrbとしては、ベース及びエミッタが互いに接
続された同じエミッタ面積の2つのPNPトランジスタ
にて構成してもよいのはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例の電流出力回路の構成を表わす電気回
路図である。
【図2】 実施例の電流出力回路の動作を説明する説明
図である。
【図3】 定電流回路に温度特性のないものを用いた場
合の電流出力回路の構成を表わす電気回路図である。
【図4】 従来の電流出力回路に設けられる一般的な過
電流リミッタ回路を説明する説明図である。
【符号の説明】
Tro…出力用NPNトランジスタ Tra…第1のPN
Pトランジスタ Trb…第2のPNPトランジスタ Trc,Trd…NP
Nトランジスタ Tre…PNPトランジスタ Ro,Ra,Rb,Rc
…抵抗器

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コレクタが直流電源の正極性側に、エミ
    ッタが出力端子に夫々接続された出力用NPNトランジ
    スタと、 コレクタが前記出力用NPNトランジスタのベースに、
    エミッタが前記出力用NPNトランジスタのコレクタに
    夫々接続され、前記出力用NPNトランジスタにベース
    電流を供給する第1のPNPトランジスタと、 ベースが前記第1のPNPトランジスタのベースに、エ
    ミッタが前記第1のPNPトランジスタのエミッタと前
    記出力用NPNトランジスタのコレクタとの接続点に夫
    々接続され、前記第1のPNPトランジスタと共にカレ
    ントミラー回路を構成する第2のPNPトランジスタ
    と、 該第2のPNPトランジスタのコレクタと直流電源の負
    極性側との間に設けられ、該第2のPNPトランジスタ
    に定電流を流す定電流回路と、 を備え、前記出力用NPNトランジスタを介して前記出
    力端子から外部に電流を出力する電流出力回路におい
    て、 前記第2のPNPトランジスタのエミッタと前記接続点
    との間に電気抵抗を設け、該電気抵抗に出力電流が流れ
    ることによって生じる電圧降下により、前記NPNトラ
    ンジスタのベース電流を制限して、前記出力用トランジ
    スタに過電流が流れるのを防止するように構成したこと
    を特徴とする電流出力回路。
  2. 【請求項2】 前記定電流回路は、温度上昇に伴い電流
    値が減少する負の温度特性を有することを特徴とする請
    求項1に記載の電流出力回路。
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