以下、本発明に係る駆動装置を備えたデジタルカメラの実施形態について説明する。図1は、デジタルカメラの構成を示す正面図、図2は、デジタルカメラの構成を示す背面図である。
図1、図2に示すように、デジタルカメラ1は、カメラ本体部2に、撮像光学系3、シャッターボタン4、光学ファインダ5、フラッシュ6、LCD(Liquid Crystal Display)7、機能スイッチ8、電源ボタン9、カードスロット10、モード設定スイッチ11、ぶれ補正ON/OFFボタン12及びぶれ検出センサ部13を備えている。
撮像光学系3は、カメラ本体部2の前面右側に配設されており、被写体の光像を取り込むものである。撮像光学系3は、ズームレンズ3a(図4参照)やフォーカスレンズ3b(図4参照)等を有し、焦点距離の変更や焦点位置の調節を行う。
シャッターボタン4は、途中まで押し込む半押し操作と完全に押し切る全押し操作との2段階で押圧操作されるボタンであり、主に後述する撮像素子15(図4、図5参照)による露光動作のタイミングを指示するためのものである。デジタルカメラ1は、静止画を撮影する静止画撮影モードと、動画を撮影する動画撮影モードとを有し、静止画撮影モードにおいては、シャッターボタン4の半押し操作が行われることで、露出制御値(シャッタースピード及び絞り値)等の設定が行われる撮像待機状態に設定され、全押し操作が行われることで、後述する画像記憶部44(図4参照)に記録する被写体の画像を生成するための撮像素子15による露光動作(記録用露光動作)が開始される。また、動画撮影モードにおいては、シャッターボタン4の全押し操作が行われることで、記録用露光動作が開始され、再度全押し操作が行われることで、その記録用露光動作が停止する。
光学ファインダ5は、カメラ本体部2の背面左側上部に配設されており、被写体が撮影される範囲を光学的に表示するものである。
フラッシュ6(内蔵フラッシュ)は、カメラ本体部2の前面中央上部に配設されており、被写体からの光量が不足する場合などに図略の放電灯を放電させることにより被写体に照明光を照射するものである。
LCD7は、カメラ本体部2の背面略中央部に配設されており、カラー液晶パネルを備えてなり、撮像素子15により撮像された画像の表示や記録済みの画像の再生表示等を行うとともに、デジタルカメラ1に搭載される機能やモードの設定画面を表示するものである。なお、LCD7に代えて、有機ELやプラズマ表示装置であってもよい。
機能スイッチ8は、LCD7の右側方に配設されており、撮像光学系3のワイド方向又はテレ方向の駆動や、撮影モードにおける静止画撮影モード及び動画撮影モードの切り替え等を行うためのスイッチである。
電源ボタン9は、カメラ本体部2の背面上部であって機能スイッチ8の左側に配設されており、押圧する毎に主電源のON/OFFが交互に切り換わるようになっている。
カードスロット10は、カメラ本体部2の一方側面に設けられており、複数の半導体記憶素子からなるメモリカードMが装着される。
モード設定スイッチ11は、カメラ本体部2の背面上部に配設されており、上下にスライドする2接点式のスライドスイッチからなる。モード設定スイッチ11をAの位置にセットすると、デジタルカメラ1は画像の被写体を行う撮影モードに、Bの位置にセットするとメモリカードMに記録された撮影画像をLCD7に再生表示する再生モードに設定される。
ぶれ補正ON/OFFボタン12は、撮影を行うに際してぶれ補正を行うぶれ補正モードと、ぶれ補正を行わない非ぶれ補正モードとを択一的に選択するためのボタンである。ぶれ補正ON/OFFボタン12によりぶれ補正モードに設定された場合、図3に示すように、静止画撮影モードにおいては、シャッターボタン4の半押し操作(S1:ON)により行われる撮像準備処理の期間(撮像準備期間)、及びその全押し操作(S2:ON)により行われる記録用の撮像処理の期間(本撮像期間)にぶれ補正が行われる。
一方、動画撮影モードにおいては、シャッターボタン4の1度目の全押し操作(S2:ON)により開始される記録用の撮像処理と同時にぶれ補正が開始され、再度全押し操作が行われることで、その撮像処理とともにぶれ補正が停止する。なお、図4における「S1」,「S2」は、シャッターボタン4の半押し操作及び全押し操作を検出するスイッチである。なお、本実施形態においては、撮影モードへの設定操作に連動してぶれ補正モードが初期設定されるようになっている。
ぶれ検出センサ部13は、ぶれ補正モードが設定された場合に、ぶれ補正を実行するべくカメラぶれを検出するためのものであり、図1の水平方向にX軸、該X軸に垂直な方向にY軸を想定するものとすると、X軸方向のカメラぶれを検出するXセンサ13aと、Y軸方向のカメラぶれを検出するYセンサ13bとからなる。Xセンサ13a及びYセンサ13bは、例えば圧電素子を用いたジャイロから構成され、各方向のぶれの角速度を検出するものである。
次に、図4を参照して、デジタルカメラ1の電気的な構成について説明する。なお、図1,図2と同一の部材等については、同一の符号を付している。
図4において、撮像光学系3は、図1に示す撮像光学系3に相当するものであり、ズームレンズ3a及びフォーカスレンズ3bを有する。ぶれ検出センサ部13は、図1に示すぶれ検出センサ部13に相当するものであり、Xセンサ13a及びYセンサ13bを備えてなる。
レンズ駆動部14は、撮像光学系3のズームレンズ3aを駆動するモータ、フォーカスレンズ3bを駆動するモータを備えて構成されている。
撮像素子15は、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色成分を受光する画素を縦横方向に複数有する例えばCCDカラーエリアセンサからなる撮像素子で、撮像光学系3により撮像面上に結像された被写体の光像を、R(赤)、G(緑)、B(青)の色成分の画像信号に光電変換して出力するものである。
本実施形態の撮像素子15は、撮像光学系3の光軸Lに垂直な平面上に設置されており、カメラぶれに起因して発生する撮像画像のぶれを解消又は低減するように、その平面上の直交する2つの方向(図1におけるX軸方向及びY軸方向に相当)に駆動されるようになっている。
撮像素子駆動部16は、前記のように撮像素子15を撮像光学系3の光軸Lに垂直な平面上の直交する前記2つの方向に駆動する後述のX軸アクチュエータ22及びY軸アクチュエータ23を含むものであり、全体制御部46(後述のぶれ補正制御部50)により制御される。
ここで、ぶれを補正する機構(以下、ぶれ補正ユニットという)について説明する。図5は、ぶれ補正ユニット17の構成を概略的に示した斜視図である。なお、この図におけるX軸、Y軸は、図1に示すX軸、Y軸に相当する。
図5に示すように、ぶれ補正ユニット17は、カメラ本体部2にユーザの手ぶれ等によるぶれが与えられて前記光軸L(図4参照)にずれが生じた場合に、撮像素子15をそのぶれに応じて適宜移動(揺動)させることで光軸Lのずれを補正するためのものである。
ぶれ補正ユニット17は、撮像素子15及び図略のローパスフィルターと、前記撮像素子15とともにローパスフィルターを保持する撮像素子ホルダ18と、撮像素子ホルダ18を保持するスライダ19と、撮像素子15の後面に配設された放熱板20と、放熱板20の後面に配設された撮像素子基板21と、X軸アクチュエータ22と、Y軸アクチュエータ23と、ぶれ台板24とを備えて構成されている。
撮像素子基板21は、撮像素子15がマウントされる略長方形状の基板(ここではCCD基板)である。ただし当該マウントは、撮像素子15と撮像素子基板21との間に放熱板20が介在された状態で行われる。放熱板20は、所定の金属材料からなる板状体であり、撮像素子15の駆動(光電変換)により発生した熱を逃がすためのものである。
撮像素子ホルダ18は、断面略長方形状の前後が開口された枠体であり、この枠体の前方部にはローパスフィルターが取り付けられ、このローパスフィルターの後方部に撮像素子15が配設されている。撮像素子15は、撮像素子基板21により放熱板20とともに撮像素子ホルダ18に対して押圧された状態で、当該撮像素子基板21が撮像素子ホルダ18に対して図略のビスにより固定して取り付けられている。
撮像素子ホルダ18の左右方向における一端辺部(ここでは左辺部)には、Y軸アクチュエータ23が設けられており、撮像素子ホルダ18は、当該Y軸アクチュエータ23を介し、スライダ19に対してY軸方向(図5の矢印Cで示す方向)にスライド可能に取り付けられている。
スライダ19は、その略中央部に撮像素子基板21よりも大きな長方形状の開口部25が形成された略平板状の枠体である。スライダ19のY軸アクチュエータ23に対向する位置には、上記スライド移動を可能とするべく、Y軸アクチュエータ23(後述の軸部26)に対して摺動自在に嵌合されるV溝が形成された軸受け部27が固設されている。
また、スライダ19の下部には、X軸アクチュエータ22に対応する上記軸受け部27と同様に構成された軸受け部28が固設されている。なお、軸受け部27(28)に対する軸部26(29)の嵌合(摩擦結合)は、図略のばね体等の付勢部材による付勢力により、押さえ板(X軸用押さえ板、Y軸用押さえ板)と軸受け部27(28)との間に軸部26(29)を挟持する形で行われる。
ぶれ台板24は、撮像素子ホルダ18が保持された状態のスライダ19を保持するためのぶれ補正ユニット17における所謂基台をなすものであり、その略中央部に、スライダ19の開口部25と同程度のサイズを有する開口部30が形成された枠体である。このぶれ台板24の上下方向の一端辺部(ここでは下辺部)には、X軸アクチュエータ22が固設されており、スライダ19の軸受け部28が当該X軸アクチュエータ22(軸部29)に対して摺動自在に嵌合された状態でX軸方向(図5の矢印Dで示す方向)にスライド可能となるよう、ぶれ台板24に対してスライダ19が取り付けられている。
また、ぶれ台板24は、右上の角部31において、撮像素子ホルダ18の角部を、該角部の裏表面32に遊嵌されたボール体を挟みこんだ状態で、スライダ19の角部33を角部31へ向けて押し付けるように、ばね体等の付勢部材により付勢した状態で角部33と連結されている。
これにより、スライダ19(撮像素子ホルダ18)のX軸方向へのスライド移動及び撮像素子ホルダ18のY軸方向へのスライド移動を可能とした状態で、撮像素子ホルダ18とともにスライダ19をぶれ台板24へ押し付け、これらがぶれ台板24から外れることのないよう確実に保持している。
X軸アクチュエータ22及びY軸アクチュエータ23は、所謂超音波駆動が行われるインパクト形のリニアアクチュエータ(圧電アクチュエータ)である。これらのアクチュエータは、それぞれ軸部29,26、圧電素子34,35及び錘部36,37等を備えて構成されている。軸部29,26は、それぞれ圧電素子34,35によって振動駆動される所定の断面形状(例えば円形)を有した棒状の駆動軸であり、上記軸受け部27,28に対して摩擦結合されるものである。
圧電素子34,35は、セラミックなどから構成され、印加される電圧に応じて伸縮され、この伸縮に応じて軸部29,26を振動させるものである。圧電素子34,35による当該伸縮においては、高速伸長と低速縮小とが、若しくは低速伸長と高速縮小とが、又は伸長速度及び縮小速度が同じである等速伸長と等速縮小とが交互に繰り返される。この圧電素子34,35は、例えば積層型圧電素子からなり、軸部29,26の一端において、分極方向が当該軸部29,26の軸方向と一致した状態で固着されている。
圧電素子34,35の電極部には、後述の駆動回路部54(図6参照)からの信号線が接続されており、該駆動回路部54からの駆動信号に応じて圧電素子34,35が充電又は放電(逆方向充電)されることで、上記伸縮が行われる。圧電素子34,35がこのように伸縮を繰り返すことにより、軸受け部28即ちスライダ19が軸部29に対して(軸部26が軸受け部27即ちスライダ19に対して)相対的に正方向又は逆方向に移動したり、或いはその場に停止したりする状態となる。
なお、軸部29,26における圧電素子34,35と反対側の端部には、圧電素子34,35によって発生した振動が軸部29,26に効率よく伝達されるようにするための錘部36,37即ちウェイトが固設されている。
このようにX軸アクチュエータ22の駆動に応じて、ぶれ台板24に対して左右方向にスライダ19と撮像素子ホルダ18とが一体的にスライド移動することで撮像素子15のX軸方向(矢印D方向)のぶれが補正され、Y軸アクチュエータ23の駆動に応じて、スライダ19に対して撮像素子ホルダ18が上下方向にスライドすることで、撮像素子15のY軸方向(矢印C方向)のぶれが補正される。
図4に戻り、タイミング制御回路38は、後述の全体制御部46により制御される。タイミング制御回路38は、基準クロックCLK0に基づいて、撮像素子15の駆動制御信号、例えば露出開始/終了(積分開始/終了)のタイミング信号、各画素の受光信号の読出制御信号(水平同期信号,垂直同期信号,転送信号等)等のクロック信号CLK1を生成し、このクロックCLK1を撮像素子7に出力するとともに、基準クロックCLK0に基づいてA/D変換用のクロックCLK2を生成し、このクロックCLK2をA/D変換部40に出力する。
信号処理部39は、撮像素子15から出力される画像信号(アナログ信号)に所定のアナログ信号処理を施すもので、撮像素子15から出力される画像信号(アナログ信号)のノイズの低減を行うと共に、画像信号のレベル調整を行う。
A/D変換部40は、信号処理部39から入力された画像データの各画素信号(アナログ信号)を、タイミング制御回路38から出力されるクロックCLK2に基づいて、所定ビット、例えば10ビットのデジタル信号に変換するものである。
画像処理部41は、A/D変換部40によりA/D変換された画素信号(以下、画素データという。)の黒レベルを基準の黒レベルに補正する黒レベル補正、R(赤),G(緑),B(青)の各色成分の画素データのレベル変換を行うホワイトバランス補正及び画素データのγ特性を補正するγ補正等の処理を行うものである。
画像メモリ42は、撮影モード時には、画像処理部41から出力される画素データを一時的に記憶するとともに、この画像データに対し全体制御部46により所定の処理を行うための作業領域として用いられるメモリである。また、再生モード時には、画像記憶部44から読み出した画像データを一時的に記憶するメモリである。
VRAM43は、LCD7に再生表示させる画像データのバッファメモリであり、LCD7の画素数に対応する画像データの記録容量を有する。
画像記憶部44は、前記メモリカードMやハードディスクなどからなり、全体制御部46で生成された画像を保存するものである。
デジタルカメラ1は、撮影待機状態において、撮像素子15により例えば1/30(秒)毎に撮像された画像の各画素データに、A/D変換部40、画像処理部41により所定の信号処理が施された後、画像メモリ42に記録されると共に、該画素データが、全体制御部46を介してVRAM43に転送される。これにより、ライブビュー画像がLCD7に表示される(電子ビューファインダ機能)。ライブビュー画像は、被写体の画像を記録するまでの期間、一定の周期(例えば1/30秒)でLCD7に切換表示される撮像素子15で撮像された画像をいい、このライブビュー画像により、被写体の状態が略リアルタイムでLCD7に表示され、撮影者は被写体の状態をLCD7で確認することができる。
また、再生モードにおいては、画像記憶部44から読み出した画像データが画像メモリ42に一旦格納され、この画像メモリ42に格納した画像データに所定の信号処理を施された後、VRAM43に転送される。これにより、画像記憶部44に記録された画像がLCD7に再生表示される。
入力操作部45は、シャッターボタン4、モード設定スイッチ11、ぶれ補正ON/OFFボタン12等の操作情報を全体制御部46に入力するものである。
全体制御部46は、マイクロコンピュータからなり、上述したカメラ本体部2内の各部材の駆動を関連付けて制御してデジタルカメラ1の撮影動作を統括制御するものである。全体制御部46は、CPU42のワーク用としてのRAMと、デジタルカメラ1に備えられる各種機能のプログラム等を記憶するROMとを有してなる記憶部を備える。
また、全体制御部46は、デジタルカメラ1に生じたカメラぶれに起因して発生する撮像画像のぶれの補正を行うべく、ぶれ検出センサ部13(Xセンサ13a及びYセンサ13b)からのぶれ検出信号に基づいて、ぶれ方向及びぶれ量を算出し、この算出した撮像素子駆動部16による撮像素子15の駆動を制御する機能を有する。
図6は、手ぶれ補正機能を実現する電気的な構成を示すブロック図である。
図6に示すように、全体制御部46は、前記機能を達成するべく、ぶれ量検出部48と、係数変換部49と、ぶれ補正制御部50とを備え、手ぶれ補正機能は、この全体制御部46と、撮像素子15と、X軸アクチュエータ22及びY軸アクチュエータ23と、ぶれ検出回路47と、温度センサ51と、X方向位置センサ52及びY方向位置センサ53と、駆動回路部54とを備えて実現される。
撮像素子15、Xセンサ13a及びYセンサ13bは、図1,図5に示す撮像素子15、Xセンサ13a及びYセンサ13bに相当するものである。また、X軸アクチュエータ22及びY軸アクチュエータ23は、図5に示すX軸アクチュエータ22及びY軸アクチュエータ23に相当するものであり、それぞれ後述する駆動回路部54から出力される駆動電圧(駆動電力)にしたがって撮像素子15をX方向及びY方向に駆動する。なお、図6に示すX軸及びY軸は、図1、図5に示すX軸及びY軸に相当する。
ぶれ検出回路47は、Xセンサ13a及びYセンサ13bから出力された角速度信号からノイズ及びドリフトを低減するためのフィルタ回路(ローパスフィルター及びハイパスフィルタ)及び各角速度信号を増幅するための増幅回路などを備えて構成されている。
ぶれ量検出部48は、ぶれ検出回路47から出力される角速度信号を所定の時間間隔で取り込み、デジタルカメラ1のX方向のぶれ量及びY方向のぶれ量を係数変換部49に出力する。
係数変換部49は、ぶれ量検出部48から出力されたX方向及びY方向の各ぶれ量を各方向の撮像素子15の移動量に変換し、この各方向の移動量を示す信号を、ぶれ補正制御部50に出力する。
温度センサ51は、例えばサーミスタであり、環境温度を検出して全体制御部46(係数変換部49及びぶれ補正制御部50)に検出結果を出力する。検出結果は、温度による特性の変化を補正するために利用される。例えば、撮像素子15や各方向の位置センサ52,53の温度変化に対する補正、X軸アクチュエータ22及びY軸アクチュエータ23の基本駆動周波数、駆動電圧などの補正である。これらは、全体制御部46の記憶部に特性ごとに温度に対する補正値を示すルックアップテーブルを予め記憶させることで行われる。
X方向位置センサ52は、撮像素子15のX方向の位置を検出し、検出結果を全体制御部46(ぶれ補正制御部50)に出力する。Y方向位置センサ53は、撮像素子15のY方向の位置を検出し、検出結果を全体制御部46(ぶれ補正制御部50)に出力する。
ぶれ補正制御部50は、静止画撮影モード及び動画撮影モードにおけるぶれ補正モードの設定時に、ぶれ検出センサ部13(Xセンサ13a及びYセンサ13b)等からの検出結果に基づき、駆動回路部54の動作を制御してぶれ補正を実行する。すなわち、ぶれ補正制御部50は、静止画撮影モードにおいては、撮影準備期間及び本撮像期間においてぶれ補正を実行する一方、動画撮影モードにおいては、本撮像期間においてぶれ補正を実行する。
なお、カメラのぶれ、所謂手ぶれは、約10Hzの小振幅である筋肉の振動、3Hz以下の大振幅である身体の揺れ、及び5Hz程度の大振幅であるシャッターボタン4の操作によるぶれが合成された振動であると言われている。このことから、手ぶれ補正は、例えば0.0005秒間隔(2kHz)で実行される。
駆動回路部54は、X軸アクチュエータ22及びY軸アクチュエータ23にそれぞれ駆動電圧(駆動電力)を供給するものであり、X軸アクチュエータ22に駆動電圧(駆動電力)を供給する第1駆動回路部55と、Y軸アクチュエータ22に駆動電圧(駆動電力)を供給する第2駆動回路部56とを有してなる。駆動回路部54は、特許請求の範囲における駆動信号生成部に相当する。
次に、駆動回路部54の詳細な構成について説明する。なお、第1駆動回路部55と第2駆動回路部56とは略同様の構成を有しているため、図7には、第1駆動回路部55の構成のみを図示している。
図7に示すように、第1駆動回路部55は、電力供給部57と、駆動電圧生成部58とを備えて構成されており、電力供給部57から供給される電力(電圧)を駆動電圧生成部58により所定の周波数(例えば70kHz)の交流電力(交番電圧)に変換して圧電素子34に印加するものである。電力供給部57及び駆動電圧生成部58は、後述するように全体制御部46(図5,図6に示す全体制御部46に相当する)によりその動作が制御される。以下、駆動電圧生成部58の構成から説明する。
駆動電圧生成部58は、電力供給部57(後述のコンデンサC1)から駆動電圧+Vcが供給される接続点aと、グランドへの接続点bとの間に、電界効果トランジスタの一例としてのMOS−FETであるスイッチング素子SW1及びダイオードD1等からなる第1スイッチ回路59と、MOS−FETであるトランジスタQ5及びダイオードD2等からなる第2スイッチ回路60との直列回路が接続されている。
また、前記接続点a,b間には、MOS−FETであるスイッチング素子SW3及びダイオードD3等からなる第3スイッチ回路61と、MOS−FETであるトランジスタQ7及びダイオードD4等からなる第4スイッチ回路62との直列回路が接続されており、これら2つの直列回路は接続点a,b間において並列接続されている。
各スイッチ回路59〜62には、駆動制御信号Sc1,Sc2,Sc3,Sc4を供給する制御信号供給手段としての全体制御部46が、MOSFETドライバ63を介して接続されて構成されている。MOSFETドライバ63は、全体制御部46からの信号を前記駆動電圧Vcより充分高い電圧にレベルシフトする回路である。
スイッチング素子SW1〜SW4は、本実施形態ではNチャネルFETで構成されており、駆動制御信号がハイレベルのときにオンとなる。ダイオードD1及びダイオードD3は、アノードがスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW3のドレインに、カソードがスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW3のソースに接続されており、また、ダイオードD2及びダイオードD4は、アノードがスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW3のソースに、カソードがスイッチング素子SW1及びスイッチング素子SW3のドレインに接続されている。
第1スイッチ回路59及び第2スイッチ回路60の接続点Cと、第3スイッチ回路61及び第4スイッチ回路62の接続点dとの間に、圧電素子34が接続されてブリッジ回路64が構成されている。
図8は、第1駆動回路部55の動作説明を行うための説明図であり、全体制御部46から各スイッチ回路59〜62に印加される駆動パルス(駆動制御信号Sc1,Sc2,Sc3,Sc4)と、圧電素子34に印加される駆動電圧Vsの波形とを示す図である。この図8に示す駆動電圧Vsは矩形波からなるものである。
図8に示すように、全体制御部46は、まず、駆動制御信号Sc1,Sc4を同時にロー(「L」)からハイ(「H」)に切り替えると、この切替えタイミングから時間t1後に駆動制御信号Sc2,Sc3をハイからローに切り替える。また、全体制御部46は、駆動制御信号Sc2,Sc3を同時にローからハイに切り替えると、この切替えタイミングから時間t2後に駆動制御信号Sc1,Sc4を同時にハイからローに切り替える。
このように、全体制御部46から送出される駆動制御信号Sc1,Sc4としてハイレベル信号が第1、第4スイッチ回路59,62に入力されるときには、全体制御部46から送出される駆動制御信号Sc2,Sc3としてローレベル信号が第2、第3スイッチ回路60,61に入力される。
一方、駆動制御信号Sc1,Sc4としてローレベル信号が第1、第4スイッチ回路59,62に入力されるときには、駆動制御信号Sc2,Sc3としてハイレベル信号が第2、第3スイッチ回路60,61に入力される。これにより、第1、第4スイッチ回路59,62と第2、第3スイッチ回路60,61とが所定の周期で交互にオン、オフを繰り返す。
すなわち、後述する電力供給部57の電源Vp及び抵抗R1の電圧をそれぞれ電圧Vp,VR1と表すものとすると、トランジスタQ3の飽和電圧は略0と考えてよいので、第1、第4スイッチ回路59,62がオンのときには圧電素子34は+(Vp−VR1)に充電され、第2、第3スイッチ回路60,61がオンのときには圧電素子34は−(Vp−VR1)に充電されることになる。その結果、見掛け上、圧電素子34には電力供給部57からの供給電圧(Vp−VR1)の2倍の電圧2×(Vp−VR1)が印加されたこととなる。これにより、圧電素子34の駆動電圧Vsが等価的に2(Vp−VR1)となるため、駆動電圧(Vp−VR1)が比較的低い電圧であっても、大きな変位量が得られる。その結果、スライダ19(図5参照)の移動速度を大きくすることができ、X軸アクチュエータ22を高効率で動作させることができる。
なお、図8に示すように、駆動制御信号Sc1,Sc4のローからハイへの切替わりタイミングから所定時間(時間t1)をおいて、駆動制御信号Sc2,Sc3をハイからローへ切り替え、また、駆動制御信号Sc2,Sc3のローからハイへの切替わりタイミングから所定時間(時間t2)をおいて、駆動制御信号Sc1,Sc4をハイからローへ切り替えるようにして、スイッチ回路59とスイッチ回路60とが、スイッチ回路61とスイッチ回路62とが同時にオンしないようにしている。
これにより、第1スイッチ回路59と第2スイッチ回路60とを介して流れる貫通電流や、第3スイッチ回路61と第4スイッチ回路62とを介して流れる貫通電流の発生を防止することができる。
図7に戻り、電力供給部57は、電源Vpと、圧電素子34に供給する電流を安定化するための供給電流安定化回路部65とからなり、供給電流安定化回路部65は、コンデンサC1と、電流制限回路部66とを備えて構成されている。
コンデンサC1は、圧電素子34を駆動するための駆動電圧Vcを供給する機能を有する。すなわち、コンデンサC1は、電流制限回路部66を介して電流が供給されることで、両極板間にその充電電荷に応じた電圧VCが生じる。コンデンサC1と駆動電圧生成部58とは接続点Cで接続されているので、第1スイッチ回路59及び第4スイッチ回路62の組合せと第2スイッチ回路60及び第3スイッチ回路61の組合せとのいずれか一方の組合せがオンしたときに、コンデンサC1の電圧VCが圧電素子34に印加され、これにより駆動電力(駆動電圧)が圧電素子34に供給される。なお、コンデンサC1と他の回路素子との接続関係については、以下の電流制限回路部66と併せて説明する。
電流制限回路部66は、圧電素子34の単位時間当りの消費電流(電流消費率 以下、単に消費電流という)が大きくなった場合に、該圧電素子34に過電流が供給されるのを防止するとともに電源Vpからの最大電流を制御すべく、コンデンサC1に供給する電流を或る上限値で制限する回路であり、トランジスタQ1〜Q3と、抵抗R1〜R4と、スイッチ部67とを備えてなる。電流制限回路部66は、特許請求の範囲における電流制限回路に相当し、トランジスタQ1,Q2は、第1、第2のトランジスタに相当し、抵抗R1〜R3は、第1〜第3の抵抗素子にそれぞれ相当する。
電源Vpと抵抗R1とは直列接続されており、抵抗R1の低電位側端子とトランジスタQ3のエミッタ端子とが接続されている。電源Vpと抵抗R1との接続点を点A、抵抗R1の低電位側端子とトランジスタQ3のエミッタ端子との接続点を点Bという。
トランジスタQ3のコレクタ端子とコンデンサC1の一方の電極とが接続されており、このコンデンサC1の他方の電極はグランドに接続されている。トランジスタQ3のコレクタ端子とコンデンサC1の一方の電極との接続点を点Cという。
抵抗R1の低電位側端子とトランジスタQ1のエミッタ端子とが接続されており、また、抵抗R1の高電位側端子とトランジスタQ2のエミッタ端子とが接続されている。トランジスタQ1のコレクタ端子は、抵抗R2と抵抗R3との直列回路の一方の端子と接続されている。この接続点を点Dといい、また、抵抗R2と抵抗R3との接続点を点Eという。
トランジスタQ2のコレクタ端子は、抵抗R4の一方の端子と接続されており、この接続点Fに、トランジスタQ3のベース端子が接続されている。また、抵抗R2と抵抗R3との直列回路の他方の端子(接続点Dと反対側の端子)と抵抗R4の他方の端子とが接続されており、この接続点Gにスイッチ部67が接続されている。トランジスタQ1のベース端子は、抵抗R2の低電位側端子(接続点E側の端子)に、トランジスタQ2のベース端子は、抵抗R2の高電位側端子(接続点D側の端子)に夫々接続されている。
スイッチ部67は、全体制御部46からの制御信号に基づき、電流制限回路部66の動作をオンオフするものであり、抵抗R5,R6と、トランジスタQ4とを備えて構成されている。抵抗R5は、特許請求の範囲における第4の抵抗素子に相当する。
トランジスタQ4のコレクタ端子は前記接続点Gに、ベース端子は抵抗R5を介して全体制御部46に、また、エミッタ端子はグランドに接続されており、トランジスタQ4のベース端子とエミッタ端子との間に抵抗R6が接続されている。
このような構成を有する電流制限回路部66において、トランジスタQ1,Q2は、同一の構成を有するアナログ素子であり、本実施形態では、図7の点線で示すように、トランジスタQ1とトランジスタQ2とでペアトランジスタが構成されている。トランジスタQ1,Q2は、ペアトランジスタでなくてもよいが、トランジスタQ1,Q2をペアトランジスタとすることで、同一シリコンで製造されたことが保証されるために、略同等の特性となる。トランジスタQ3,Q4は、スイッチング素子(デジタル素子)として機能する。
以下、電流制限回路部66の動作について説明する。なお、接続点Bの電圧をVB、抵抗R1を流れる電流を電流IR1とする。
X軸アクチュエータ22を動作させるとき、全体制御部46からスイッチ部67のベース端子にハイ信号が出力されると、該スイッチ部67がオンとなり、トランジスタQ1,Q2に電流が流れるとともに、トランジスタQ3のベース端子がローとなり、トランジスタQ3がオンとなり、電源VpからコンデンサC1に電流が供給される。このように、電流制限回路部66は、電源VpとコンデンサC1とを導通させるスイッチとしての機能も有する。
抵抗R2〜R4の抵抗値r2〜r4は、抵抗R1の抵抗値r1に比して非常に大きな抵抗値に設定されているため、電源Vpから供給される電流の大部分は、抵抗R1及びトランジスタQ3を通ってコンデンサC1に流れ、少量の電流がトランジスタQ1,Q2の各エミッタ端子に流れる。
トランジスタQ1のエミッタ端子に電流が流れると、そのコレクタ端子から電流が流れ出し、抵抗R2及び抵抗R3を流れる。一方、トランジスタQ2のエミッタ端子に電流が流れると、そのコレクタ端子から電流が流れ出し、その大部分は抵抗R4を流れ、ごく少量の電流は、トランジスタQ3のベース端子に流れる。
抵抗R2及び抵抗R3を流れた電流及び抵抗R4を流れた電流は、接続点Gで合流し、合流した電流は、トランジスタQ4のコレクタ端子及びエミッタ端子を通ってグランドに流れる。
電流制限回路部66は、前記スイッチとしての機能の他に、コンデンサC1に供給する電流の上限を所定値ILM(mA)に制限する機能を有する。圧電素子34は、前記交番電圧により充放電を繰り返すコンデンサとして動作するが、電圧が印加されると各圧電基板が分極し伸縮することによって発熱し温度が上昇するとともに、その温度上昇に伴って静電容量、延いては消費電流が増加する。圧電素子34の消費電流の増加に応じて、該圧電素子34への供給電流を増加させると、圧電素子34の発熱量がさらに増加し、圧電素子34の温度が上昇する。このように、圧電素子34の消費電流の増加と圧電素子34の温度上昇とが相互に因果関係を有することにより、圧電素子34の温度が非常に高温となり、その結果、圧電素子34の破壊を招く虞がある。電流制限回路部66は、このような不具合を防止すべくコンデンサC1に供給する電流(圧電素子34への供給電流)の上限を所定値ILM(mA)に制限するものである。
以下、電流制限回路部66の電流制限動作について説明する。まず、抵抗R1〜R4の各抵抗値r1〜r4は、設定すべきコンデンサC1に供給する電流の最大値(すなわち電流上限値)ILMに基づいて設定されている。
今、コンデンサC1にその電流値ILMだけ電流が流れ込んでいるものとし、この状態から、例えば圧電素子34の温度上昇により該圧電素子34の消費電流が増加した場合を想定する。
このとき、圧電素子34の消費電流の増加によりコンデンサC1の両極間電圧Vcが低下し、該コンデンサC1に流れ込む電流がΔIだけ増加し、その電流増加に伴って、トランジスタQ1のエミッタ−コレクタ端子間に流れる電流も増加する。一方、接続点Gの電圧VGは、トランジスタQ4のエミッタ−コレクタ端子間電圧で決定する電圧であり一定であるから、トランジスタQ1のエミッタ−コレクタ端子間に流れる電流の増加に伴って、抵抗R2と抵抗R3との直列回路の両端子間電圧が大きくなることにより、接続点Bの電圧が上昇する。
これにより、抵抗R1の電圧VR1が低下し、抵抗R1に流れる電流IR1、延いては電源VpからコンデンサC1に供給される電流が減少し、コンデンサC1にその電流値ILMだけ電流が流れ込む状態に戻る。
このように、電流制限回路部66は、コンデンサC1に流れ込む電流がΔIだけ増えても、その電流値を速やかに低下させ、コンデンサC1に電流ILMが流れ込む状態に復帰させるように動作することにより、コンデンサC1に供給する電流の上限が所定値ILM(mA)に制限される。
なお、抵抗R1を流れる電流IR1が上記所定値ILM以下(IR1≦ILM(mA))のときは、圧電素子34の消費電流がそれほど大きくなく、コンデンサC1の両極間電圧Vcが比較的大きくなる結果、抵抗R1の両端にかかる電圧VR1が比較的小さいときである。
このとき、抵抗R1に流れる電流IR1が比較的小さくなるため、トランジスタQ1に流れ込む電流も小さくなるが、トランジスタQ3のベース端子には微少電流が流れ込むため、トランジスタQ3はオンの状態であり、コンデンサC1へは上記所定値ILMを超えない範囲で電流の供給が行われる。
このような構成を有する本実施形態の電流制限回路部66では、従来のものと比べて次のような効果を奏する。
本実施形態の電流制限回路部66においては、トランジスタQ1,Q2のベース−エミッタ間電圧をVBE,抵抗R2,R3に流れる電流をIR2,IR3、接続点B,Gにおける電位VB,VGとしたとき、
VB=VG+IR3×r3+VBE ・・・(1)
Vp=VG+IR3×r3+IR2×r2+VBE ・・・(2)
の関係が成り立つ。この式(1),(2)から、
Vp−VB=IR2×r2 ・・・(3)
が得られる。
これによれば、電圧(Vp−VB)は、抵抗R1の電圧VR1であることから、抵抗R1の電圧VR1は、抵抗R2の電圧VR2と一致することが分かる。すなわち、抵抗R1に流れる電流IR1(=ILM)は、抵抗R3に流れる電流IR3が抵抗R2に流れる電流IR2に近似しているものとみなして抵抗R2に流れる電流IR2を決定し、且つ抵抗R1、R2の抵抗値r1,r2を設定することで決定する。このように、抵抗R1に流れる電流IR1を決定するにあたり、トランジスタQ1,Q2の温度特性(ベース−エミッタ間電圧VBE)は関与していない。
すなわち、本実施形態の電流制限回路部66においては、環境温度、駆動電圧生成部58、圧電素子34の発熱等によりトランジスタQ1,Q2のベース−エミッタ間電圧VBEが変化しても、抵抗R1に流れる電流IR1に影響を与えないようになっている。これにより、電流制限回路部66による電流制限値ILMの安定化を実現することができる。
図9(a)は、本実施形態と比較対照する従来の技術として、前記特許文献1:特開2003−333414号公報に開示されている電流制限回路を挙げ、この電流制限回路を採用した場合の環境温度と圧電素子の消費電流との関係を示すグラフ、図9(b)は、本実施形態における電流制限回路部66において、環境温度とその消費電流との関係を示すグラフである。なお、各図の点線は、電流制限回路又は電流制限回路部66を備えなかった場合の前記関係を示している。
従来においては、図9(a)に示すように、環境温度が所定の温度T1に達するまでは、圧電素子の消費電流が電流制限回路による制限電流値に達していない状態であり、前記環境温度の上昇に伴い一定の割合で消費電流が上昇する。
そして、前記環境温度が或る温度T1(例えば25℃)以上となると、コンデンサCに供給される電流は電流制限回路による電流制限を受けることになる。その際、従来のものにおいては、環境温度が変化することによってトランジスタのベース−エミッタ間電圧VBEが変化し、この電圧VBEの変化の影響を受けて、電流制限回路による制限電流値が所定の割合、例えば−2(mA/℃)で減少するため、圧電素子の消費電流も前記環境温度の上昇に比例して前記割合で減少する。
このように、圧電素子の消費電流が、該電流制限回路内に備えられるトランジスタの温度特性、すなわち、トランジスタの温度上昇に伴ってベース−エミッタ間電圧VBEが低下する特性の影響を受け、環境温度が高温になるほど、該圧電素子に供給される電流の量が減少するため、X軸アクチュエータ22による駆動性能(単位時間当たりの駆動量)が前記温度上昇に比例して低下していく。
これに対し、本実施形態では、図9(b)に示すように、環境温度が前記温度T1に達するまでは従来の場合と同様であるが、環境温度がその温度T1以上となっても、電流制限回路部66による電流上限値ILMが、前述のようにトランジスタQ1,Q2の温度特性の影響を受けないため、コンデンサC1に供給される電流は電流制限回路部66により常に略一定の値で制限されることとなる。その結果、X軸アクチュエータ22の消費電流が前記一定値で制限される。
これにより、X軸アクチュエータ22の駆動性能の安定化を図ることができるとともに、圧電素子34の温度上昇が抑制されるため、該温度上昇によるX軸アクチュエータ22の破壊等を防止または抑制することができる。
また、従来では、電流制限回路による電圧ロス(電源から供給される電圧と実際に圧電素子に印加される電圧との差分)は、主に特開2003−333414号公報に記載されている抵抗R1で生じるものであるが、これはトランジスタのベース−エミッタ間電圧VBE(0.6〜0.7V)と略等しく、比較的大きいものである。
これに対し、本実施形態の電流制限回路部66においては、電圧ロスは主に抵抗R1で生じるが、前述のように、抵抗R1の電圧VR1は抵抗R2の電圧VR2と一致することから、この抵抗R1,R2の抵抗値r1,r2を適宜設定することで、該抵抗R1の電圧VR1を小さくする(例えば0.1Vに設定する)ことができる。このように抵抗R1の電圧VR1を小さくすることにより、電流制限回路部66による電圧ロスを従来に比して低減することができる。その結果、従来に比して電源電圧が小さい電源Vpを採用することが可能となる。
また、本実施形態では、以上の構成に加えて、各圧電素子34を駆動する駆動回路部54の入力端子間に、以下に説明するアシスト部69が設けられている。
図10は、駆動回路部54(第1駆動回路部55及び第2駆動回路部56)の概略構成を示すブロック図であり、この図10において、上段は、X軸アクチュエータ22の圧電素子34を駆動する第1駆動回路部55、下段は、Y軸アクチュエータ23の圧電素子35を駆動する第2駆動回路部56である。
アシスト部69は、極性を互いに逆向きにして並列接続された2つのダイオードD5,D6からなる回路であり、このアシスト部69の各端子は、各駆動電圧生成部58の入力端子に接続されている。これにより、各駆動電圧生成部58の入力端子間の電位差(各コンデンサC1の高電位側電極間同士の電位差)が、ダイオードD5,D6の順方向電圧以上となったときに、一方の圧電素子に電流を供給する電力供給部57から、他方の圧電素子に電流が補給されるようにしている。
このようなアシスト部69を設ける理由について説明する。
本実施形態のように、複数のアクチュエータ22,23を備えた場合に、アクチュエータ22,23の製造誤差による該アクチュエータの性能のばらつきやアクチュエータ22,23の姿勢の誤差等によって、一方のアクチュエータが他方のアクチュエータより負荷が大きくなることがある。このように負荷が大きいと、該負荷が大きい方の駆動対象物を駆動する圧電素子は、他方(負荷が設計値に近い)の圧電素子に比して消費電流が大きくなる。
図11は、X軸アクチュエータ22に対応する各駆動電圧生成部58の入力端子における電圧をVMA、Y軸アクチュエータ23に対応する各駆動電圧生成部58の入力端子における電圧をVMBとしたとき、各駆動電圧生成部58の入力端子における電圧VMA,VMBの経時的変化を示すグラフであり、(a)は、圧電素子34の温度が25℃の場合における前記電圧VMA,VMBの特性、(b)は、アシスト部69を設けない場合において圧電素子34の温度が40℃のときの前記電圧VMA,VMBの特性、(c)は、アシスト部69を設けた場合において圧電素子34の温度が40℃のときの前記電圧VMA,VMBの特性を示すグラフである。
図11(a)に示すように、圧電素子34の温度が比較的低い場合には、圧電素子34の消費電流は略同じであるため、コンデンサC1の両極間電圧Vcも略同一となる。したがって、各駆動電圧生成部58の入力端子における電圧VMA,VMBは互いに近似し、且つ時間が経過してもその電圧の変化はほとんど無いか或いは極めて少ない。
しかし、図11(b)に示すように、圧電素子を含むアクチュエータの個体ばらつき等により、例えばY軸アクチュエータ23の圧電素子35の温度が比較的高くなったとき、この圧電素子は、X軸アクチュエータ22の圧電素子34に比して消費電流が多くなるため、この圧電素子35に電流を供給するコンデンサC1の両極間電圧Vcが低下する。
そのため、圧電素子34に交番電圧を印加する各駆動電圧生成部58の入力端子の電圧VMAは、時間が経過しても略一定であるのに対し、圧電素子35に交番電圧を印加する各駆動電圧生成部58の入力端子の電圧VMBは、時間の経過とともに比較的大きな割合で低下していく。これにより、圧電素子35は、X軸アクチュエータ22の圧電素子34に比して、駆動性能が低下する。
このように両圧電素子34,35間で消費電流のバランスが崩れると、両アクチュエータ22,23間で駆動性能の差が生じ、前記圧電素子35の発熱、延いては消費電流の更なる増加に伴ってこの駆動性能の差が大きくなると、一方向においては十分なぶれ補正が行われているのに、他方向においては十分なぶれ補正が行われないという状態が生じる。その結果、得られる画像はその他方向に大きなぶれが生じたものとなるため、撮像準備期間中にLCD7に表示されるライブビュー画像が非常に見難いものとなったり、記録用の撮像した画像が不自然なものとなったりする。
本実施形態では、負荷が設計値に近い圧電素子34の消費電流が若干減少しても、両圧電素子34,35の消費電流のバランスをとり、両アクチュエータ22,23間で駆動性能の差を小さくする又は解消することで、それぞれの方向に略均一なぶれ補正を行うようにする方が、前述の場合に比して、LCD7に表示するライブビュー画像として、あるいは記録用の画像として相応しい画像が得られるものと考えられることから、前述のようなアシスト部69を設けている。
すなわち、例えば図11(c)の場合には、圧電素子35に交番電圧を印加する各駆動電圧生成部58の入力端子の電圧VMBが、圧電素子34に交番電圧を印加する各駆動電圧生成部58の入力端子の電圧VMAより、ダイオードD5の順方向電圧分以上低下した場合に、圧電素子34に電力を供給する電力供給部57から、圧電素子35に一部の電力が供給(補給)されるようにしている。
これにより、図11(c)に示すように、X軸アクチュエータ22の圧電素子34に対応する駆動電圧生成部58の入力端子の電圧VMA'は、図11(b)の場合(電圧VMA)に比して若干低下するが、Y軸アクチュエータ23の圧電素子35に対応する駆動電圧生成部58の入力端子の電圧VMB'は、前記補給により図11(b)の場合(電圧VMB)に比して電圧低下が抑制され、両駆動電圧生成部58における各入力端子間の電圧の差が図11(b)の場合に比して小さくなっている。
このように、一方のアクチュエータの消費電流が増加しても、必要な駆動性能を維持したまま、両アクチュエータ22,23の駆動性能の差を小さくすることができる。その結果、前述のように得られた画像に発生する不具合を解消又は抑制することができる。
また、一方のアクチュエータの消費電流が増加しても、必要な駆動性能を維持したまま、両アクチュエータ22,23の駆動性能の差を小さくする構成を、2つのダイオードD5,D6を極性を互いに逆向きにして並列接続し、その回路を、各駆動電圧生成部58の入力端子に接続するだけの簡単な構成で実現することができる。
なお、両駆動電圧生成部58の入力端子間の電位差がどの程度生じた場合に、消費電流が増加した方の圧電素子34に電流を補給するべきかに応じて、ダイオードD5,D6の種類を選定するとよい。例えば、両駆動電圧生成部58の入力端子間の電位差が比較的小さい場合でも、高温の圧電素子34に電流を補給するようにする場合には、順方向電圧の比較的小さいショットキーバリア型のダイオードを採用するとよい。
図12は、本実施形態におけるぶれ補正処理を示すフローチャートである。
図12に示すように、全体制御部46は、電源ボタン9がオンされると(ステップ♯1)、撮影モードが選択されているか否かを判定する(ステップ♯2)。再生モードが選択されている場合には(ステップ♯2でNO)、全体制御部46は、画像記憶部44に記憶されている記録画像の再生表示処理を実行し(ステップ♯3)、撮影モードが選択されている場合には(ステップ♯2でYES)、さらに静止画撮影モードであるか動画撮影モードであるかを判定する(ステップ♯4)。
その結果、全体制御部46は、静止画撮影モードが設定されている場合には(ステップ♯4でYES)、シャッターボタン4の半押し操作が行われるまで待機し(ステップ♯5でNO)、シャッターボタン4の半押し操作が行われると(ステップ♯5でYES)、ぶれ補正処理を開始する(ステップ♯6)。
そして、全体制御部46は、シャッターボタン4の全押し操作が行われたか否かを判定し(ステップ♯7)、その全押し操作が行われるまでステップ♯5,♯6の処理を繰り返し実行し、全押し操作が行われると(ステップ♯7でYES)、ぶれ補正処理を実行したまま撮像素子15に撮像動作を行わせる(ステップ♯8)。そして、撮像素子15による撮像動作が終了すると、全体制御部46は、ぶれ補正処理を停止する(ステップ♯9)。
一方、動画撮影モードが設定された場合には(ステップ♯4でNO)、全体制御部46は、シャッターボタン4の全押し操作が行われたか否かを判定し(ステップ♯11)、その全押し操作が行われていない場合には、該全押し操作が行われるまで待機し(ステップ♯10でNO)、全押し操作が行われると(ステップ♯10でYES)、再び全押し操作が行われるまでぶれ補正処理を行うとともに、撮像素子15に所定の周期で撮像動作を行わせ、その撮像動作により得られた画像を画像記憶部44に記憶させる(ステップ♯11)。
シャッターボタン4の全押し操作が再び行われると(ステップ♯12でYES)、全体制御部46は、撮像素子15による撮像動作及び画像の記録動作を終了させるとともに、ぶれ補正処理を停止する(ステップ♯13)。
ステップ♯2,♯9,♯13の処理後、電源ボタン9がオフされていない場合には(ステップ♯14でNO)、全体制御部46は、ステップ♯2に戻って処理を実行する一方、電源ボタン9がオフされた場合には(ステップ♯14でYES)、一連の処理を終了する。
本発明は、前記実施形態に加えて、あるいは前記実施形態に代えて次の形態[1]〜[3]に説明する変形形態も採用可能である。
[1]前記実施形態では、デジタルカメラ1の動作状態(撮像準備状態とか本露光状態等)に拘わらず、一定の駆動性能でX軸、Y軸アクチュエータ22,23を駆動させるようにしたが、デジタルカメラ1においては、ぶれ補正精度とともに低電力化や静粛性も要求される。
ここで、シャッターボタン4の半押し操作が行われてから全押し操作が行われるまでの撮影準備期間で生成すべき画像は、撮像画像の画角等をLCD7で撮影者が確認できる程度の画像でよく、解像度はそれほど要求されない。また、人間の目は、低周波のぶれを自動的に補正する性質を有しているため、動画モードでは、比較的高周波のぶれ(例えば10Hz成分)を補正すれば十分である。一方、画像記憶部44に記憶させる画像は画質が要求される。
以上のことから、本露光動作時は、確実にぶれ補正を行って撮像画像にできるだけぶれが生じないようにすることを優先すべきであり、一方、静止画モードにおける撮影準備期間や動画モードでは、高精度なぶれ補正は要求されないことから、ぶれ補正精度よりも低電力化及び静粛性を優先すべきであると考えられる。
そこで、X軸、Y軸アクチュエータ22,23を比較的小さい電流で駆動する小電流モードと、この小電流モードよりも大きな電流で駆動する大電流モードとを備え、本露光動作時は、確実にぶれ補正を行うべく大電流モードで最高のぶれ補正能力を発揮してぶれ補正を実行するようにし、静止画モードにおける撮影準備期間や動画モードでは、低電力化及び静粛性を優先するべく、小電流モードで前記大電流モードに比してぶれ補正能力を抑制した状態でぶれ補正を実行するようにすると更に好ましい。
図13は、このように小電流モードと大電流モードとを備える駆動回路部54’の回路図の一例を示す。
図13に示すように、本実施形態の駆動回路部54’においても、各アクチュエータ22,23に対応して第1駆動回路部55,56’を有している。駆動回路部55は、X軸アクチュエータ22に駆動電力(駆動電圧)を供給するためのものであり、駆動回路部56’は、Y軸アクチュエータ23に駆動電力(駆動電圧)を供給するためのものである。全体制御部46は、図7等に示す全体制御部46に相当するものである。アシスト部69は、図10に示すアシスト部69に相当するものである。
X軸アクチュエータ22に電力を供給する駆動回路部55は、前記第1の実施形態の駆動回路部55(図7に示す駆動回路部55)と略同様の構成を有し、Y軸アクチュエータ22に電力を供給する駆動回路部56’は、前記第1の実施形態(図7)の駆動回路部55を構成する回路素子に加えて、抵抗R5を備えている。
このように、本実施形態では、Y軸アクチュエータ22に電力を供給する第2駆動回路部の構成が、第1の実施形態と異なっているため、これらを区別するべく、本実施形態の第2駆動回路部は、第1の実施形態における第2駆動回路部の符号「56」に「’(ダッシュ)」を付して表す。また、前記第1の実施形態(図7)と対応する回路素子等については同一の符号を付している。
前記抵抗R5は、抵抗R3と抵抗R4との接続点Gと、スイッチング素子としてのトランジスタQ4(第1駆動回路部55のトランジスタQ4と同じもの)のエミッタ端子との間に接続されている。さらに、本実施形態では、駆動回路部55,56’が接続点G同士で導線により接続されている。
これにより、各駆動回路部55,56’は、各トランジスタQ4のオンオフ動作に応じて次の(1)〜(4)のように動作する。
(1)全体制御部46により、第1、第2駆動回路部55,56’の各トランジスタQ4がともにオフされているときには、第1、第2駆動回路部55,56’内の電流制限回路部66,66’は動作しない。したがって、第1、第2駆動回路部55,56’の各コンデンサC1、延いては圧電素子34,35には電流が供給されない状態となる。
(2)全体制御部46により、第1駆動回路部55のトランジスタQ4がオン、第2駆動回路部56’のトランジスタQ4がオフされた場合、第1駆動回路部55の電流制限回路部66は前記第1の実施形態と同様に動作し、一方、第2駆動回路部56’の電流制限回路部66’は、抵抗R3と抵抗R4との接続点Gが、第1駆動回路部55における抵抗R3と抵抗R4との接続点Gと同電位(略0V)となるため、第1駆動回路部55の電流制限回路部66と同様に(電流制限値が同一の状態で)動作する。
(3)全体制御部46により、第1駆動回路部55のトランジスタQ4がオフ、第2駆動回路部56’のトランジスタQ4がオンされた場合、第2駆動回路部56’の電流制限回路部66における抵抗R3と抵抗R4との接続点Gの電位は、前記(2)の場合に比して、抵抗R5の電圧分だけ大きくなる。
そのため、各駆動回路部55,56’における各接続点Gの電圧が、前記(2)の場合に比して高くなる。その結果、第2駆動回路部56’における抵抗R1の低電位側端子(接続点B)の電位が、前記(2)の場合に比して高くなる。これにより、第2駆動回路部56’の電流制限回路部66’による電流の上限値は、前記(2)の場合に比して小さくなる。
また、各駆動回路部55,56’における各接続点Gは互いに同電位となるため、第2駆動回路部56’の場合と同様、第1駆動回路部55における抵抗R1の低電位側端子(接続点B)の電位が、前記(2)の場合に比して高くなり、第1駆動回路部55の電流制限回路部66による電流の上限値は、第2駆動回路部56’の電流制限回路部66と同様に小さくなる。
(4)全体制御部46により、第1、第2駆動回路部55,56’の各トランジスタQ4がともにオンされた場合、第1駆動回路部55の電流制限回路部66は前記第1の実施形態と同様に動作し、また、第2電流制限回路部56’は、抵抗R3と抵抗R4との接続点Gが、駆動回路部55の抵抗R3と抵抗R4との接続点Gと同電位(略0V)となるため、第1駆動回路部55の電流制限回路部66と同様に(電流制限値が同一の状態で)動作する。
以上(1)〜(4)をまとめると、駆動回路部55,56’の各トランジスタQ4がともにオフされているときには、圧電素子34,35には電流が供給されない。また、第2駆動回路部56’のトランジスタQ4の動作に関係なく、第1駆動回路部55のトランジスタQ4がオンの場合には、第2駆動回路部56’のトランジスタQ4のみがオンの場合に比して、各電流制限回路部66,66’による電流の上限値が大きくなる。
以上のように、本実施形態の駆動回路部54’にあっては、駆動回路部55,56’における各トランジスタQ4のオンオフの組合せを変えることで、圧電素子34,35に供給する電流の上限値を2種類設定することができることから、抵抗R5の抵抗値を適宜設定してこの2種類の電流上限値を決定し、これらの上限値のうち、大きい方の上限値を大電流モードに対応させ、小さい方の上限値を小電流モードに対応させることで、デジタルカメラ1の動作状態に適したX軸、Y軸アクチュエータ22,23の駆動を行うことができる。
図14は、大電流モード及び小電流モードにおいて、圧電素子34,35に印加する交番電圧のON/OFFデューティ(Duty)と、アクチュエータによる駆動速度との関係を示す図である。
図14に示すように、大電流モードと小電流モードとを比較した場合、大電流モードは小電流モードより圧電素子34に供給する電流の上限値が大きくコンデンサC1の両極間電圧Vcが大きいから、圧電素子34,35に印加する交番電圧も大きくなる。その結果、駆動信号のデューティが同一であっても、大電流モードの方が小電流モードより、アクチュエータ22,23の駆動速度が大きくなる。
[2]前記変形形態[1]では、圧電素子34,35に供給する電流の大きさを2段階に切換える形態を説明したが、変形形態[1]における駆動回路部54に対してさらに次のように構成することにより、電流の切替え段階数を増やすことができる。
図13に示すように、例えば、抵抗R5の抵抗値r5と異なる抵抗値r6を有する抵抗R6と、前記スイッチ部67と略同様の構成を有するスイッチ部70とを設けることで、圧電素子34に供給する電流の電流値を3段階に切り換えることができる。
すなわち、本実施形態においては、電流制限回路66’において、その接続点Gとグランドとの間に、抵抗R5と並列に抵抗R6が接続されているとともに、抵抗R6の低電位側端子とスイッチ部70におけるスイッチング素子としてのトランジスタQ5のコレクタ端子とが接続され、そのエミッタ端子がグランドに接続されている。また、スイッチング素子SWのベース端子は、抵抗素子を介して全体制御部46に接続されており、トランジスタQ5は、全体制御部46によりオンオフ制御されるようになっている。
これにより、この電流制限回路66’において、トランジスタQ4をオフ、トランジスタQ5をオンすることで、接続点Gの電圧が、前記トランジスタQ4がオン、トランジスタQ5がオフの場合の電圧とは異なる電圧となる。そのため、電流制限回路66,66’における接続点Bの電圧も、前記トランジスタQ4がオン、トランジスタQ5がオフの場合の電圧とは異なる電圧となる。よって、電流制限回路66,66’による電流の上限値も、このトランジスタQ4がオン、トランジスタQ5がオフの場合における前記電流の上限値と異なるものとなり、その結果、圧電素子34,35に供給する電流の電流値(制限電流値)を3段階に設定することができる。
さらに、圧電素子34,35への供給電流の切替え段階数を増やす場合には、電流制限回路66’において、その接続点Gとグランドとの間に、抵抗R5及び抵抗R6に対して並列に、1の抵抗又は互いに抵抗値の異なる複数の抵抗からなる並列回路を接続するとともに、各抵抗に対応してスイッチング素子としてのトランジスタを設け、各抵抗の低電位側端子と当該抵抗に対応するトランジスタのコレクタ端子とを接続し、そのエミッタ端子をグランドに接続し、各トランジスタSWのベース端子を、全体制御部46に接続して、各トランジスタのオンオフを全体制御部46により制御するようにすればよい。
[3]圧電素子34,35の消費電流がアンバランスとなった場合に、入力端子の電圧が低下した方の駆動電圧生成部58に電流を増加させる構成は、前述のようなアシスト部69に限らず、図15に示すように駆動回路部54を構成した上で、該回路を次のように制御するようにしてもよい。
図15に示すように、図13に示す回路(抵抗R6及びトランジスタQ5を除く)に対して、導線による両接続点G間の接続を解除する。また、電流制限回路部66においては、接続点Gとグランドとの間にトランジスタQ4と並列に抵抗R7を接続するとともに、抵抗R7の低電位側端子に、前記スイッチ部67と略同様の構成を有するスイッチ部71を接続する。このスイッチ部71におけるスイッチング素子としてのトランジスタQ6は、コレクタ端子が抵抗R7に接続され、エミッタ端子がグランドに接続され、ベース端子が抵抗素子を介して全体制御部46に接続されており、全体制御部46によりオンオフ制御される。
このような電流制限回路部66において、トランジスタQ4がオン、トランジスタQ6がオフされた場合(以下、パターン1という)は、電流制限回路部66による電流上限値は、前記第1の実施形態と同一となる。一方、トランジスタQ4がオフ、トランジスタQ6がオンされた場合(パターン2という)は、パターン1の場合に比して接続点Gの電圧、延いては接続点Bの電圧が抵抗R7の電圧分だけ高くなるため、電流制限回路部66による電流上限値は、パターン1の場合に比して小さくなる。
一方、電流制限回路部66’においては、接続点Gとグランドとの間にトランジスタQ4と並列に、スイッチ部67と略同様の構成を有するスイッチ部72を接続する。スイッチ部72におけるスイッチング素子としてのトランジスタQ7は、コレクタ端子が接続点Gに接続され、エミッタ端子がグランドに接続され、ベース端子が抵抗素子を介して全体制御部46に接続されており、全体制御部46によりオンオフ制御される。
トランジスタQ4がオンされ、トランジスタQ6がオフされた場合には、前記パターン2と略同様の状態となる一方、トランジスタQ4がオフされ、トランジスタQ6がオンされた場合には、前記パターン1と略同様の状態となる。
このように、電流制限回路部66,66’のそれぞれが、相対的に大きい電流を圧電素子34,35に供給する大電流モードと、相対的に小さい電流を圧電素子34,35に供給する小電流モードとを、個別に(互いに独立して)有することとなる。
そこで、全体制御部46において、圧電素子34,35の駆動目標量と実際の駆動量との差を一定の周期で検知するようにし、その検知した差に基づき各圧電素子34,35の消費電流の変化を検知するとともに、圧電素子34,35の消費電流が略同等である場合には、前記小電流モードを通常の駆動モードとし該モードで圧電素子34,35を駆動する。
一方、前記駆動目標量と実際の駆動量との差が比較的大きくなった場合、すなわち圧電素子34,35の消費電流がアンバランスとなり、一方の駆動電圧生成部58の入力端子の電圧が低下した場合には、その駆動電圧生成部58に対応する電流制限回路部を大電流モードに切り替え、駆動電圧生成部58により大きな電流を供給するようにする。
これによっても、両アクチュエータ22,23の駆動性能のアンバランスによる画像の不具合の発生を防止又は抑制することができる。