JPH10331049A - 軽ストレッチ性織物 - Google Patents

軽ストレッチ性織物

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JPH10331049A
JPH10331049A JP9145560A JP14556097A JPH10331049A JP H10331049 A JPH10331049 A JP H10331049A JP 9145560 A JP9145560 A JP 9145560A JP 14556097 A JP14556097 A JP 14556097A JP H10331049 A JPH10331049 A JP H10331049A
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JP
Japan
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fiber
woven fabric
crimp
woven
polyester fiber
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JP9145560A
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Masayuki Sato
正幸 佐藤
Katsumi Takehara
勝己 竹原
Ikuko Watanabe
いく子 渡辺
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Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
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  • Chemical Or Physical Treatment Of Fibers (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】織物を形成する繊維の織クリンプを向上するこ
とによって、軽ストレッチ性を付与して可縫性、仕立映
えを向上するとともに、反発感、ソフト感、ふくらみ感
に優れた織物を提供する。 【解決手段】織物を形成する経糸および/または緯糸
が、織クリンプ率5%以上25%以下、繊維密度1.3
80g/cm3以下で、実質的に非捲縮性ポリエステル
繊維である軽ストレッチ性織物とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、軽ストレッチ性織
物に関するものであり、特に織物を形成する繊維の織ク
リンプを向上させたポリエステル系軽ストレッチ性織物
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、衣料用布帛は、ニーズの多様化、
高級化のニーズが高まっており、種々の検討がなされて
いる。その一つとして、織物の風合を改良すると同時
に、可縫性、仕立て映えを向上するための検討がなされ
ている。
【0003】例えば、特開平6−108357号公報に
は、収縮率の異なる潜在捲縮性複合繊維を混繊すること
によって、優れた伸縮性と張り・腰感を有する織物が得
られることが開示されている。しかしながら該公報のよ
うに潜在捲縮性複合繊維を使用しても、十分な伸縮性を
有する織物を得ることは非常に困難である。この理由
は、複合繊維が有している捲縮性能が織物拘束下では十
分に発揮できないためであり、この結果、反発感、張り
・腰感などの風合面での改良効果も十分に発揮すること
ができなかった。
【0004】また、特開平2−216215号公報に
は、易溶出性高収縮糸と通常の延伸糸の混繊糸を用いて
製織し、収縮処理を施した後に易溶出性高収縮糸を溶出
させることによって、軽ストレッチ性を有するととも
に、反発感、張り・腰感に富んだ織物が得られることが
開示されている。しかしながら該公報の方法では、混繊
する易溶出性高収縮糸と通常の延伸糸との収縮率差によ
っては織物のクリンプを十分に付与することができない
ために十分な反発感、ふくらみ感を得ることができず、
さらに、軽ストレッチ性が発現しないことにより可縫
性、仕立て映えの良好な織物を得ることができなかっ
た。また、収縮率差が大きすぎることによってシボ状の
欠点が多発し、織物品位が著しく低下することがあっ
た。
【0005】一方、特公昭63−35747号公報で
は、自発伸長糸を用いることによって織物のクリンプを
向上し、織物構造をルーズにすることによって、反発感
を向上させることが開示されている。しかしながら該公
報の方法では、織物に十分なクリンプを付与することが
できないために反発感の向上効果はごく僅かであり、ま
た軽ストレッチ性を発現させることができず可縫性、仕
立て映えの良好な織物を得ることができなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術の問題点に鑑み、織物を形成する繊維の織クリ
ンプを向上することにより、反発感、張り・腰、ふくら
み感、ソフト感に富み、更に軽ストレッチ性を有するこ
とにより可縫性、仕立て映えが良好な織物の提供をその
目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、織物を形成する経糸および/または緯糸が、織クリ
ンプ率5%以上25%以下、繊維密度1.380g/c
3以下で、実質的に非捲縮性のポリエステル繊維であ
ることを特徴とする軽ストレッチ性織物によって達成で
きる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の軽ストレッチ性織物にお
いて、織物を形成する経糸および/または緯糸の織クリ
ンプ率が5%以上25%以下であることが必要である。
【0009】織クリンプ率が5%未満であると、織物に
十分な反発感、ふくらみ感、ソフト感を付与することが
できず高級感のある織物とすることができない。また、
軽ストレッチ性を付与することができないため、可縫
性、仕立て映えの良好な織物を得ることができない。ま
た、織クリンプ率が25%を越えると、良好なふくらみ
感、ソフト感および軽ストレッチ性を付与することはで
きるが、織物にふかつきが生じたり、シボ状の欠点が発
生してしまい織物品位が著しく低下する。
【0010】特に、織クリンプ率が8%以上20%以下
であると、反発感、張り・腰、ふくらみ感、ソフト感に
富み、更に適度なストレッチ性を付与することができ、
可縫性、仕立て映えの特に良好な織物となる点で好まし
い。
【0011】なお、本発明において織クリンプ率とは以
下の方法で測定される値とする。
【0012】織物の経または緯方向に20cmの幅で織
物上に印をつけた後、織物を分解し経糸または緯糸を取
り出す。次いで取り出した糸に1/30g/dの荷重を
かけて織クリンプを伸ばし、予め織物状態で付けておい
た印の間の長さ(L)cmを測定し、次式により織クリ
ンプ率を求める。
【0013】 織クリンプ率(%)=[(L−20)/20]×100 また、本発明の軽ストレッチ性織物において、前記クリ
ンプ率を有する経糸および/または緯糸は、繊維密度が
1.380g/cm3以下であり、さらに実質的に非捲
縮性のポリエステル繊維であることが必要である。なお
ここで、実質的に非捲縮性であるとは捲縮数が1個/c
m未満であることを意味するものであり、非捲縮性でな
いと、反発感、張り・腰が表現できず、シルキー調織物
とすることができない。また、繊維密度が1.380g
/cm3を越えると、染色性が低く、織物に十分なソフ
ト感が得られない。
【0014】なお、本発明において繊維密度とは以下の
方法で測定される値とする。
【0015】未染色の繊維をn−ヘプタンと四塩化炭素
とで調合した密度勾配管に投入し、25℃で24時間浸
漬後、密度を読み取る。
【0016】さらに、前記した実質的に非捲縮性のポリ
エステル繊維の単繊維表面に、繊維軸方向の筋状溝を有
すると、各単繊維の筋状溝同志の接触により各繊維が付
着し易くなる。この結果、反発感、張り・腰、ふくらみ
感、ソフト感、適度なストレッチ性に加えて、高級感の
あるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感を付与
することができる点で好ましい。
【0017】この時筋状溝は、該ポリエステル繊維を構
成する単繊維内において発生頻度に分布があり、単繊維
横断面の周辺長さ3μm当たりの筋状溝数の最大値Gm
axと最小値Gminの比、Gmax/Gminが1.
5以上15.0以下であることが、耐フィブリル性や高
級感のあるドライタッチな風合い、絹のようなきしみ感
を付与する点で好ましく、特に、Gmax/Gminの
比が2.0以上10.0以下がより好ましい。
【0018】尚、ここで繊維軸方向に伸びた筋状溝と
は、溝の長軸方向が繊維軸方向に対して30度以下の角
度のものを意味するものであり、繊維表面に形成される
溝の70%以上が繊維軸方向に伸びたものであればよ
い。
【0019】また筋状溝の発生頻度の測定は、走査型電
子顕微鏡にて繊維断面写真(5000倍)を撮影し、単
繊維横断面における周辺長さ3μm毎の筋状溝数を測定
し、該単繊維横断面における筋状溝数の最大値、最小値
を求め、これを10断面繰り返す。得られた最大値、最
小値の平均値をGmax、Gminとし、Gmax/G
minを算出する。
【0020】前記した実質的に非捲縮性のポリエステル
繊維を構成する単繊維断面形状は円形であっても異形、
中空であってもよいが、3葉以上8葉以下の多葉断面で
あることが好ましい。3葉以上8葉以下の多葉断面形状
とすることにより、よりシルキーなタッチやドライタッ
チを表現することができ、高級感を増大させることがで
きるからである。
【0021】特に、3葉以上8葉以下の多葉断面形状で
ある場合には、葉部先端部において前記した筋状溝数が
最小値であることが好ましい。
【0022】次に本発明の軽ストレッチ性織物の好まし
い製造方法について説明する。
【0023】本発明の軽ストレッチ性織物は、非捲縮性
ポリエステル繊維と該ポリエステル繊維よりもアルカリ
溶解速度および沸騰水収縮率が大きい易溶解性高収縮ポ
リエステル繊維からなる混繊糸を経糸および/または緯
糸に用いて製織後、湿熱処理および/または乾熱処理に
より混繊糸を収縮せしめた後、アルカリ溶解処理を施す
ことにより、易溶解性高収縮性ポリエステル繊維を完全
に溶解除去する方法によって製造することができる。
【0024】即ち本発明の軽ストレッチ性織物は、非捲
縮性ポリエステル繊維と易溶解性高収縮性ポリエステル
繊維と混繊し、織物とした後、収縮処理を行なうことに
よって非捲縮性ポリエステル繊維の織クリンプを高めた
後、易溶解性高収縮ポリエステル繊維を完全溶解除去す
ることによって軽ストレッチ性を発現させることにより
製造することができる。易溶解性高収縮性ポリエステル
繊維の混繊比率は10〜30wt%が好ましい。
【0025】この時、非捲縮性ポリエステル繊維の織ク
リンプ率を5%以上25%以下とするためには、非捲縮
性ポリエステル繊維と易溶解性高収縮性ポリエステル繊
維の沸騰水収縮率の差が10%以上30%以下であるこ
とが好ましい。
【0026】また、非捲縮性ポリエステル繊維に対する
易溶解性高収縮性ポリエステル繊維のアルカリ溶解速度
は5倍以上であることが、非捲縮性ポリエステル繊維の
溶解の進行や、織物強度の低下を引き起こすことなく、
易溶解性高収縮性ポリエステル繊維を完全に溶解除去で
きる点で好ましい。
【0027】なお、ここで沸騰水収縮率とは以下の方法
で測定される値とする。
【0028】非捲縮性ポリエステル繊維と易溶解性高収
縮性ポリエステル繊維を、それぞれ0.1g/dの荷重
下で試料長(Ll0、Lh0)を測定した後、無荷重の
状態で20分間、沸水処理を行う。処理後、0.1g/
dの荷重下で、試料長(Ll1、Lh1)を測定する。
【0029】BWSl(非捲縮性ポリエステル繊維の沸
騰水収縮率)=[(Ll0−Ll1)/Ll0]×10
0(%) BWSh(易溶解性高収縮性ポリエステル繊維の沸騰水
収縮率)=[(Lh0−Lh1)/Lh0]×100
(%) 沸騰水収縮率の差(△BWS)=BWSh−BWSl また、アルカリ溶解速度は、以下の方法で測定される値
とする。
【0030】同一デニールの円形断面の非捲縮性ポリエ
ステル繊維と易溶解性高収縮性ポリエステル繊維を、各
々3%苛性ソーダ水溶液に浴比1:125、温度98〜
100℃で30分間処理し、各々の減量率を次式より求
め、該減量率の比をアルカリ溶解速度の比として求め
る。
【0031】 減量率(%)=[(W0−W1)/W0]×100 但し、W0:アルカリ処理前の重量、W1:アルカリ処
理後の重量である。
【0032】非捲縮性ポリエステル繊維を構成するポリ
マとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレ
ングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキ
サン−1,4−ジメタノール、ペンタメチレングリコー
ル、ヘキサメチレングリコールより選ばれた少なくとも
1種を主たるグリコール成分とするポリエステルが挙げ
られ、第3成分を40モル%以下共重合したものでもよ
い。好ましい共重合成分としては、アジピン酸、セバシ
ン酸、イソフタル酸、ジフェニルジカルボン酸、ナフタ
リンジカルボン酸等の2塩基酸類、オキシ安息香酸の如
きオキシ酸類、およびジエチレングリコール、プロピレ
ングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール
類、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2,2ビス
{4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル}プロパン
などのうちから1種または2種以上のものを共重合した
ポリエステルが挙げられる。但し、ポリエチレングリコ
ールの場合、数平均分子量が10000を越えるとポリ
マ合成における反応性が著しく低下し、未反応物がポリ
エステルとは非相溶となり製糸性を著しく阻害すること
があるので数平均分子量が10000以下のものを用い
ることが好適である。
【0033】本発明において非捲縮性ポリエステル繊維
は前記したポリエステルの中の1種または2種の混合物
からなるものであればよい。特に、ホモポリエチレンテ
レフタレートと5−ナトリウムスルホイソフタル酸共重
合ポリエステルの混合物が好ましい。
【0034】また、易溶解性高収縮性ポリエステル繊維
を構成するポリマとしては5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸、イソフタル酸、数平均分子量が10000以下
のポリエチレングリコ−ルのうち、1種または2種以上
を共重合したポリエステルが好ましく、特に5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸共重合ポリエステルが好まし
い。
【0035】さらに、非捲縮性ポリエステル繊維を構成
するポリマに、溶剤に対する溶解性の高いポリマを少な
くとも1種混合し、混合したポリマを溶剤によって除去
することによって、軽ストレッチ性織物を構成する非捲
縮性ポリエステル繊維に繊維軸方向に伸びた筋状溝を形
成させることができる。ただし、非捲縮性ポリエステル
繊維に対し相溶性を有しないポリマを混合すると、安定
した製糸を行なうことが困難になる場合があったり、ま
た、特殊な溶剤を用いることによって、環境汚染の問題
も発生することがあり得るので、ポリエステル繊維の減
量加工で一般的に用いられている熱アルカリ水溶液を用
いて筋状溝を形成させることが可能なポリマを混合する
ことが好ましい。
【0036】熱アルカリ水溶液を用いて筋状溝を形成さ
せることが可能なポリマとしては、非捲縮性ポリエステ
ル繊維を構成するポリマに対し相溶性を有し、熱アルカ
リ水溶液に対する溶解速度が5倍以上であるポリエステ
ルが挙げられ、具体的には5−ナトリウムスルホイソフ
タル酸共重合ポリエステルが好ましく挙げられる。
【0037】この時、非捲縮性ポリエステル繊維を構成
するポリマと、これに混合されるポリマとの混合比が、
90:10〜50:50であると、繊維軸方向に伸びた
筋状溝を形成させ、高級感のあるドライタッチな風合
い、絹のようなきしみ感を十分に付与する点でより好ま
しい。
【0038】この時ポリマの混合方法としては、ポリマ
をそれぞれ別々に溶融しミキサーで混練する方法、ポリ
マをチップの状態で混合し溶融する方法などが挙げられ
る。但し、ポリマを別々に溶融し、ミキサーで混練して
一旦マスターチップとした後で紡糸する方法では、繊維
軸方向に伸びた筋状凹凸を形成しにくい。
【0039】尚、減量加工処理はいずれの工程で行なっ
ても構わないが生産の安定性から考えて製織後とするこ
とが好ましい。
【0040】本発明の軽ストレッチ性織物を製造するた
めの混繊糸は、従来より知られている後混繊方式、紡糸
混繊方式のいずれの方法によって製造してもよい。
【0041】また、該混繊糸は、巻取操作としては未延
伸糸として一旦巻き取った後、延伸する方法、または高
速紡糸法等のいずれのプロセスも適用することができ
る。更に、必要に応じて空気交絡等の糸加工を施しても
よい。
【0042】
【実施例】以下実施例により本発明をより詳細に説明す
る。なお実施例中の各特性値は次の方法で求めた。
【0043】A.風合特性(ソフト感、ふくらみ、反発
感、ドライ感、きしみ感) 各項目とも、試料を基準試料との一対比較による官能試
験を実施し、4段階評価した。そしてそれらを総合評価
して「極めてすぐれている」は◎、「すぐれている」は
○、「普通」は△、「劣っている」は×で表わした。な
お、基準試料には通常定番品種として用いられている試
料原糸と同一繊度、同一フィラメント数のポリエステル
フィラメント糸を試料と同様の製織、加工を施したもの
を用い、これを「劣っている」とした。
【0044】B.耐フィブリル性 摩擦堅牢度試験用の学振型平面摩耗機を用いて、摩擦布
としてポリエチレンテレフタレート100%からなるジ
ョーゼットを用いて、試験布を500gの加重下で50
0回平面摩耗して、フィブリル化の発生状態を3段階評
価した。「すぐれている」は○、「普通」は△、「劣っ
ている」は×で表わした。
【0045】C.固有粘度 オルトクロロフェノール10mlに対して試料0.1g
を溶解して温度25℃でオストワルド粘度計を使用して
測定した。
【0046】実施例1〜4および比較例1、2 固有粘度が0.62で、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸5.0モル%共重合した変性ポリエステルを溶融
後、通常の紡糸機により紡糸温度293℃で吐出し、1
500m/minの速度で未延伸糸を巻き取った。続い
て、該未延伸糸を通常のホットロ−ル延伸機により熱セ
ット温度を種々変更しながら3.0倍で延伸して、表1
に示す沸水収縮率の24デニ−ル12フィラメントの丸
断面繊維群Aを得た。
【0047】また、固有粘度が0.66のポリエチレン
テレフタレートと、固有粘度が0.70で、5−ナトリ
ウムスルホイソフタル酸6.0モル%共重合した変性ポ
リエステルを各々溶融後、重量比率75/25で、ハイ
ミキサー10段(東レ(株)製)を備えた混合装置によ
り溶融混合し、紡糸温度293℃で吐出し、2700m
/minの速度で未延伸糸を巻取った。続いて、該未延
伸糸を通常のホットロール延伸機で2.0倍で延伸後、
200℃熱板にてリラックス率25%でリラックス熱処
理を行ない、75デニール36フィラメントの非捲縮性
の三葉断面繊維群Bを得た。得られた繊維群Bの物性は
表1の通りであった。該繊維群Bに対する繊維群Aの溶
解速度は9倍であった。次いで繊維群AおよびBを引き
そろえ、インターレースノズルを用いて、流体交絡処理
し、混繊糸を得た。
【0048】この混繊糸に甘撚を施したものを経糸と
し、緯糸にはポリエチレンテレフタレートからなる75
デニール72フィラメントの丸断面糸を使用して製織
し、減量加工を行ない、繊維群Aを完全に溶解除去し
た。繊維群Bの表面状態および得られた織物特性につい
て評価した結果を表1に示す。尚、いずれにおいても、
葉部先端部において筋状溝数が最小値であった。
【0049】実施例1および2では、繊維群AとBとの
沸騰水収縮率差により高い織クリンプが形成されること
によって適度なストレッチ性が発現し、反発感、ソフト
感、ふくらみ感に優れるとともに、繊維群Bの繊維表面
に筋状溝が形成されることによって、きしみ感、ドライ
感に富み、また、耐フィブリル性にも優れた織物であっ
た。
【0050】実施例3では、織クリンプ率が7.3%と
やや低いため、ストレッチ性、反発感、ふくらみ感がや
や劣るものの実用上十分であり、繊維群Bの繊維表面に
筋状溝が形成されることによってきしみ感、ドライ感、
耐フィブリル性の良好な織物であった。
【0051】また実施例4では、織クリンプ率が21.
4%とやや大きいため、ややふかつき気味の風合いであ
ったが、ストレッチ性、反発感の良好な織物であった。
【0052】一方比較例1では、織クリンプ率が3.7
%と低いため、軽ストレッチ性が得られず、ふくらみ
感、反発感に欠ける織物であった。
【0053】また比較例2では、織クリンプ率が27.
1%と大きく、ストレッチ性、反発感は優れていたが、
ふかつき、目ずれが発生し、織物品位が著しく低下し
た。
【0054】
【表1】 実施例5および比較例3 繊維群Bの延伸後のリラックス熱処理時のリラックス率
を変えて、沸騰水収縮率を表2の通り変更し、75デニ
ール36フィラメントの非捲縮性の三葉断面繊維群Bを
得たこと以外は、実施例2と同様に繊維群Aと混繊、製
織、減量加工を行い、織物を作成した。いずれの水準に
おいても、葉部先端部において筋状溝数が最小値であっ
た。
【0055】実施例5では、高い織クリンプが形成され
ることによって適度なストレッチ性が発現し、反発感、
ソフト感、ふくらみ感に優れるとともに、繊維群Bの繊
維表面に筋状溝が形成されることによってきしみ感、ド
ライ感に富み、また耐フィブリル性にも優れ、また発色
性も良好な織物であった。
【0056】一方比較例3では、同様に高い織クリンプ
が形成されることによって適度なストレッチ性が発現
し、反発感、ふくらみ感に優れるとともに、繊維群Bの
繊維表面に筋状溝が形成されることによってきしみ感、
ドライ感に富み、また耐フィブリル性にも優れていた
が、織物中の繊維群Bの密度が、1.385g/cm3
と高いためソフト感に欠けるとともに、発色性も劣るも
のであった。
【0057】
【表2】 実施例6〜9 繊維群Bの断面形状を表3の如く変更して、75デニー
ル36フィラメントの繊維群Bを得たこと以外は、実施
例1と同様に繊維群Aと混繊、製織、減量加工を行い、
織物を作成した。尚、実施例6〜8では、葉部先端部に
おいて筋状溝数が最小値であった。一方実施例9では、
繊維表面に形成される筋状溝の分布が均一であった。
【0058】実施例6および7では、高い織クリンプが
形成されることによって適度なストレッチ性が発現し、
反発感、ソフト感、ふくらみ感に優れるとともに、繊維
群Bの繊維表面に筋状溝が形成されることによってきし
み感、ドライ感に富み、また耐フィブリル性にも優れた
織物であった。
【0059】実施例8では、繊維断面の葉部が折れたよ
うな形状のフィブリル化が一部で見られ、耐フィブリル
性は若干劣っていたが、高い織クリンプが形成されるこ
とによって適度なストレッチ性が発現し、反発感、ふく
らみ感、ソフト感に優れるとともに、繊維群Bの繊維表
面に筋状溝が形成されることによってきしみ感、ドライ
感に富んだ織物であった。
【0060】また実施例9では、高い織クリンプが形成
されることによって適度なストレッチ性が発現し、反発
感、ふくらみ感、ソフト感に優れていたが、繊維表面に
形成される筋状溝の分布が均一であり、筋状溝が織物表
面に整然と配列してしまうため耐フィブリル性が若干劣
り、また断面形状が丸断面であるためシルキーなきしみ
感、ドライ感がやや劣るものの実用上十分なものであっ
た。
【0061】
【表3】 実施例10および11 a成分として固有粘度が0.66のポリエチレンテレフ
タレートと固有粘度が0.67で、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸1.8モル%および数平均分子量100
0のポリエチレングリコ−ルを1.0wt%共重合した
共重合した変性ポリエステルを表4に示した重量比率で
溶融混合したポリマ流を用い、b成分として前記ポリマ
を50/50の重量比率で溶融混合したポリマ流を用い
て、複合紡糸機により紡糸温度295℃で放射状交互配
列(8分割)に複合し、2500m/minの速度で巻
き取った。次いで該未延伸糸を通常のホットロール延伸
機により、2.2倍で延伸後、210℃熱板にてリラッ
クス率20%で熱処理を行ない、75デニール36フィ
ラメントの放射状交互配列丸断面複合繊維群Bを得た。
次いで、実施例2と同様に繊維群Aと混繊、製織、減量
加工を行い、織物を作成した。尚、該繊維群Bに対する
繊維群Aの溶解速度は6倍であった。
【0062】実施例10では、高い織クリンプが形成さ
れることによって適度なストレッチ性が発現し、反発
感、ふくらみ感に優れるとともに、繊維群Bの繊維表面
に形成される筋状溝の分布も良好であるためきしみ感、
ドライ感に富み、また耐フィブリル性にも優れた織物で
あった。
【0063】実施例11では、繊維群Bの繊維表面に形
成される筋状溝の分布が、やや大きい、即ち、繊維群B
を形成するAポリマ成分部分に形成される筋状溝が少な
いため、きしみ感、ドライ感がやや不足するものの、適
度なストレッチ性が発現し、反発感、ふくらみ感に優れ
た実用上十分な織物であった。
【0064】
【表4】 比較例4 a成分として固有粘度が0.65のポリエチレンテレフ
タレートをb成分として固有粘度が0.67のイソフタ
ル酸7.0モル%および2,2ビス{4−(2−ヒドロ
キシエトキシ)フェニル}プロパン4.0モル%共重合
した変性ポリエステルを50/50の重量比率で、複合
紡糸機を用いて紡糸温度293℃にてサイドバイサイド
複合し、2800m/minの速度で巻き取った。次い
で該未延伸糸を通常のホットロール延伸機により、1.
9倍で延伸後、180℃熱板でリラックス率15%で熱
処理を行ない、75デニール36フィラメントの捲縮性
丸断面複合繊維群Bを得た。次いで、実施例2と同様に
繊維群Aと混繊し、製織、減量加工を行い、織物を作成
した。織物特性を表5に示す。尚、該繊維群Bに対する
繊維群Aの溶解速度は40倍であった。
【0065】比較例4では、繊維群Bに微細な捲縮が発
現するため適度なストレッチ性が発現し、ふくらみ感も
良好であったが、反発感、ソフト感に欠けるものであ
り、また、繊維群Bの繊維表面に筋状溝が形成されない
ためきしみ感、ドライ感に劣るものであった。
【0066】
【表5】
【0067】
【発明の効果】本発明の軽ストレッチ性織物は、織物を
形成する経糸および/または緯糸の織クリンプ率が5%
以上25%以下であるため、反発感、張り・腰、ふくら
み感の優れた織物であると共に、高い織クリンプ形成に
より軽ストレッチ性の付与も可能となり、可縫性、仕立
映えが良好な織物となる。また、高い織クリンプを形成
する経糸および/または緯糸の繊維密度を低く押さえる
ことによって、発色性、ソフト感において、良好な織物
となる。更に、高い織クリンプを形成する経糸および/
または緯糸の単繊維表面に筋状溝が形成されていると、
耐フィブリル性、ドライ感、きしみ感の点においても優
れた織物となる。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】織物を形成する経糸および/または緯糸
    が、織クリンプ率5%以上25%以下、繊維密度1.3
    80g/cm3以下で、実質的に非捲縮性のポリエステ
    ル繊維であることを特徴とする軽ストレッチ性織物。
  2. 【請求項2】実質的に非捲縮性のポリエステル繊維が単
    繊維表面に、繊維軸方向の筋状溝を有し、単繊維内にお
    いて該筋状溝の発生頻度に分布があり、単繊維横断面の
    周辺長さ3μm当たりの筋状溝数の最大値Gmaxと最
    小値Gminの比、Gmax/Gminが1.5以上1
    5.0以下であることを特徴とする請求項1に記載の軽
    ストレッチ性織物。
  3. 【請求項3】実質的に非捲縮性のポリエステル繊維を構
    成する単繊維の繊維断面形状が3葉以上8葉以下の多葉
    断面であることを特徴とする請求項1または2に記載の
    軽ストレッチ性織物。
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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011162886A (ja) * 2010-02-05 2011-08-25 Toray Ind Inc ポリエステル短繊維織物

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