JP3804544B2 - 梳毛調織編用ポリエステル系複合繊維 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、十分な曲げ剛性を有し、ハリ・コシ感に加えてストレッチバック性、反発感を有し、さらには高級梳毛調織編物に使用したときにシボ・シワの無い優れた表面品位が得られるポリエステル系複合繊維に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ストレッチバック性を有した織編物を得るために、極限粘度の異なる2種類のポリエステルをサイドバイサイド型に接合した潜在捲縮性の複合繊維を使用することは良く知られている。この潜在捲縮性複合繊維に糸や織編物の状態で捲縮発現処理を施して捲縮を発現させ、ハリ・コシ感とストレッチバック性を具備する織編物として利用する際には、糸条の単糸繊度や捲縮性能が布帛にしたときに大きく影響する。
【0003】
例えば特開平6−101116号公報にはポリエチレンテレフタレート(以下PETと略す)とポリブチレンテレフタレート(以下PBTと略す)をサイドバイサイド型に接合したポリエステル系複合繊維が提案されている。これはPBTを高粘度成分に使用し、高捲縮性・高弾性、弾性回復性を目的としたものである。しかしながら高粘度成分にPBTを使用した原糸はポリマー特性上、低ヤング率であり該糸条によって得られる布帛の曲げ剛性が過小であるため、充分なハリ・コシ感が得られなかった。
【0004】
また従来より、高伸縮性、ハリ・コシ感を付与する方法としてポリウレタン系糸条を用いる方法が提案されている。しかしながらポリウレタン固有の性質として風合いが硬く、ドレープ性が低下し、織物の風合いが低下する欠点があった。この欠点を回避するためにポリエステル系糸条と併用して織物を製織することも行われている。しかしながら、ポリウレタン系糸条とポリエステル系糸条とでは染色性に差があり、織物を染色する際に染色加工が複雑になったり、所望の色彩に染色することが困難になるという問題があった。
【0005】
また、特開平11−189923号公報には、PETとそれより溶融粘度の低いポリトリメチレンテレフタレート(以下PTTと略す)からなるポリエステル系複合糸が提案されている。しかし、PTTをPETより低粘度とすると、発現する捲縮形態の大部分について、捲縮コイル内側がPET成分、外側がPTT成分となるために得られる捲縮糸のストレッチバック性、捲縮発現性について十分満足のいくものではなく、またストレッチバック性、捲縮発現性の保持性も低いものとなり、実質的には固有粘度や極限粘度の異なるPETを用いたサイドバイサイド型複合により捲縮糸を得る公知の技術と何ら変わりのないものとなってしまうなどの問題がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の問題を解決し、単糸太繊度糸がサイドバイサイド型複合により構成された潜在捲縮型複合繊維であって、該糸条の捲縮性能が特定値以上を有することにより、ハリ・コシ感に加え、ストレッチバック性、反発感を有し、且つ織編物に使用した際のシボ・シワの無い優れた表面品位を有する高級梳毛調織編物用のポリエステル系複合繊維を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前記した本発明の課題は、粘度の異なる2成分のポリエステルからなるサイドバイサイド型複合繊維において、少なくとも高粘度成分が繰り返し単位の80モル%以上がトリメチレンテレフタレートからなるPTTであり、単糸繊度が12〜35dtex、伸縮伸長率が20%以上、伸縮弾性率が90%以上、捲縮伸び率が20%以下であり、糸横断面の2成分の接合面と糸外周との2つの接点A、Bを結んだ線分ABの中心を通り、線分ABと直交した直線Xと複合糸外周との2つの交点をC、Dとし、線分CDの中心を通り線分CDと直交した直線Yと糸外周との2つの交点をE、Fとしたとき、線分CDと線分EFの長さの比CD/EFが下記(1)式を満足することを特徴とする梳毛調織編用ポリエステル系複合繊維によって達成できる。
【0008】
1.2≦CD/EF≦4.0 (1)
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明のポリエステル系複合繊維は、複合繊維を構成する2成分の重合体のうち、少なくとも高粘度成分は繰り返し単位の80モル%以上がトリメチレンテレフタレートからなるPTTである。PTTは、結晶構造においてアルキレングリコール部のメチレン鎖がゴーシュ−ゴーシュの構造(分子鎖が90度に屈曲)であること、さらにはベンゼン環同士の相互作用(スタッキング、並列)による拘束点密度が低く、フレキシビリティーが高いことから、メチレン基の回転により分子鎖が容易に伸長・回復するという特有のストレッチバック性を有している。このPTT固有のストレッチバック性を複合繊維においても十分発揮するためである。なお、本発明において、複合繊維を構成する2成分の複合比率はサイドバイサイド型複合により十分なストレッチバック性を発現するものであり、65:35〜35:65の範囲が好ましく、より好ましくは60:40〜40:60である。
【0011】
また、本発明において、複合繊維を構成する2成分の重合体のうち、低粘度成分はPETやPBTなどを用いれば良く、また低粘度のPTTを用いても良い。
【0012】
本発明における複合繊維は、単糸繊度が12〜35dtexであり、伸縮伸長率が20%以上、伸縮弾性率が90%以上あるものである。ハリ・コシ感とストレッチバック性・反発感を併せ持つためには糸条の単糸繊度と伸縮性能が布帛としたときに大きく影響する。単糸繊度が12dtex未満であると布帛とした際の曲げ剛性が不十分であり、本発明の目的とする十分なハリ・コシ感が得られない。一方、単糸繊度が35dtexを超えると、曲げ剛性が過大となり、捲縮性能の低下を招く。より好ましくは単糸繊度が12〜25dtexである。また、伸縮伸長率が20%以上であることで本発明の目的とするストレッチバック性が得られ、伸縮弾性率が90%以上であることで、本発明におけるハリ・コシ感を得ることができる。伸縮伸長率が20%未満であると、単糸太繊度糸の粗剛感が強調され、その上十分なストレッチバック性が得られない。より好ましくは40%以上である。一方、ニットやウール調素材用のように高反発感を要求される用途では、伸縮伸長率は60〜100%とすることが好ましい。
【0013】
本発明において、複合繊維の捲縮伸び率は20%以下であり、織編物に使用した際の反発感を発揮するものであり、好ましくは15%以下である。
【0014】
図1は本発明の複合繊維の一実施態様を示す糸横断面図である。図1において、2成分の接合面と複合糸外周との2つの接点A、Bを結んだ線分ABの中心を通り線分ABと直交した直線Xと複合糸外周との2つの交点をC、Dとし、線分CDの中心を通り線分CDと直交した直線Yと複合糸外周との2つの交点をEFとしたとき、線分CDと線分EFの長さの比CD/EFが前記(1)式のように1.2〜4.0である。この比が1.2未満になると複合糸断面の2成分の接合面に対して、両ポリエステル成分が肉薄になり複合糸の捲縮発現性が低下し十分なストレッチバック性が得られないばかりでなく、織編物に使用し収縮処理により捲縮発現させた際に織編物表面にシボやシワが発生し表面品位の劣ったものになるばかりでなく、両ポリエステルの粘度差に起因したズリ速度差により、溶融紡糸時に吐出糸条の屈曲が大きくなり口金面に付着して糸切れを生じ、安定した紡糸が出来なくなるという問題が生じる。一方、この比が4.0を超えると、複合糸表面の反射光強度が強くなり、織編物表面でのイラツキ感が強く品位の劣ったものになるばかりでなく、溶融紡糸時や製織・編成加工時に通過するガイド類、例えば交絡付与ガイド、給油ガイド、糸道ガイドなどや編針での糸削れが発生し、製糸性、高次通過性の悪いものになるといった問題や、両ポリエステルの粘度差に起因したズリ速度差により、溶融紡糸時に吐出糸条が旋回してしまい糸長手方向の均一性が低下してしまうという問題が生じる。線分CDと線分EFの長さの比CD/EFは好ましくは、1.5〜2.0である。
【0015】
本発明のポリエステル系複合繊維に用いるポリエステル成分には本発明の目的を損なわない限り、必要に応じてイソフタル酸、2−2ビス{4−(β−ヒドロキシ)フェニル}プロパン等の共重合成分や、酸化チタン等の艶消し剤、ヒンダートフェノール系化合物等の酸化防止剤、顔料、難撚剤、抗菌剤、消臭剤、導電性付与剤等が配合されていても良い。
【0016】
ポリエステル系複合繊維の破断伸度は20〜50%の範囲内であることが好ましい。この範囲内にすることにより、製糸性が良好であり、且つ捲縮特性が良好なものが得られる。本発明で言う破断伸度とは主に延伸倍率により設定するが、使用するポリエステル成分や糸条の繊度構成との関係より、適宜補正する。
【0017】
なお、本原糸の製造方法において、延伸予熱温度はPTTの熱劣化による延伸時の破断を抑制するために50〜80℃であることが好ましく、より好ましくは60〜70℃の範囲である。延伸熱セット温度は一般的なポリエステルの設定条件よりも若干低めに設定し、100〜130℃の範囲であることが好ましい。
【0018】
【実施例】
以下、本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。なお、実施例における固有粘度、伸縮伸長率、伸縮弾性率、捲縮伸び率および評価方法などは次の通りである。
【0019】
1.固有粘度
オルソクロロフェノール(以下OCPと略す)10ml中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃にてオストワルド粘度計を用いて相対粘度ηrを次式により算出した値(IV)である。
ηr=η/η0=(t×q)/(t0×q0)
IV=0.0242ηr+0.2634
但し、η:ポリマー溶液の粘度、η0:OCPの粘度、t:溶液の落下時間(秒)、q:溶液の密度(g/cm3)t0:OCPの落下時間(秒)、q0:OCPの密度(g/cm3)。
【0020】
2.伸縮伸長率、伸縮弾性率
原長560mmのカセを作り、3.53×10-3cN/dtexの荷重(以下M1と略す)を掛けた状態で、90℃の熱水で20分間処理を施す。風乾後、再度M1を掛けて30秒後のカセ長L0を測定し、次にM1を外した後に0.09cN/dtexの荷重(以下M2と略す)を掛けて30秒後のカセ長L1を測定し、さらにM2を外した後に再びM1を掛けて30秒後のカセ長L2を測定し、次式より求めた値(%)である。
伸縮伸長率(%)={(L1−L0)/L0}×100
伸縮弾性率(%)={(L1−L2)/(L1−L0)}×100
3.捲縮伸び率
伸縮伸長率および伸縮弾性率測定におけるカセ長L2を測定した後M1を外して、さらに、M2を30秒間掛け、M2を外してM1を30秒間掛ける作業を10回繰り返した後の、M1を掛けて30秒後のカセ長L3を測定し、次式より求めた値(%)である。
捲縮伸び率(%)={(L3−L2)/L2}×100
4.製品風合い
ストレッチバック性、ハリコシ・反発感を主体に嵩高感を加味して熟練者5名による官能評価を行い、4段階判定法で評価した。
【0021】
○○:優
○:良
△:可
×:不可
5.表面品位−1(シボ・シワ)
幅50cm×長さ200cmの布帛にあるシボ・シワの本数で以下の通り評価し、○および△を合格基準とした。
0〜1本:○、2〜4本:△、5本以上:×
6.表面品位−2(イラツキ感)
幅50cm×長さ50cmの布帛を用いて、20人のパネラーによる官能評価を行った。市販の40ワット蛍光灯下で布帛表面を観察し、表面にイラツキが無いと判断した人数で評価を行い、○および△を合格基準とした。
18人以上:○、14〜17人:△、13人以下:×
7.紡糸操業性
24錘で72時間の紡糸を行った時の糸切れ回数で評価し、○および△を合格基準とした。
0回:○、1〜3回:△、4回以上:×
実施例1
複合紡糸装置を用いて、固有粘度1.47の繰り返し単位が80モル%以上のPTTと固有粘度0.51のPETを各々溶融し、4孔で幅0.14mm×長さ1.05mmのスリット型吐出孔を有する紡糸口金から、糸横断面のPTTとPETの容積比が1:1となるように吐出比を調整して、270℃の紡糸温度で紡出した。
次いで、紡出糸条を空気流で冷却固化した後、0.8重量%の油剤を付与し、一旦巻き取ることなく予熱温度65℃、延伸倍率3.2倍で延伸し、120℃の熱セットを施してCD/EF=1.5である60デシテックス4フィラメントの複合糸を得た。得られた糸の伸縮伸長率は36%、伸縮弾性率は96%、捲縮伸び率12%であった。この糸に1000回/mの撚りを施したものを経糸と緯糸に用い、生機密度54本×57本/inの平織物を得て、100℃×15分沸水処理を施した。得られた織物は本発明の目的とする優れたストレッチバック性と嵩高感およびハリ・コシ、反発感を有し、また布帛表面品位もシボ・シワ、イラツキ感がなく、非常に優れた風合いと品位を有したものとなった。また、紡糸操業性も良好であった。結果をまとめて表1に示す。
【0022】
実施例2
実施例2ではCD/EF=2.0となるように、紡糸口金の吐出孔形状(スリット幅、スリット長)を変更し、実施例1と同様の方法で複合紡糸した。実施例2の紡糸操業性は良好であった。得られた糸の伸縮伸長率は45%、伸縮弾性率は97%、捲縮伸び率13%であり、これを用いた織物は本発明の目的とする優れたストレッチバック性と嵩高感およびハリ・コシ、反発感を有し、また布帛表面品位もシボ・シワ、イラツキ感がなく、優れた風合いと品位を有したものとなった。
【0023】
実施例3
実施例3ではCD/EF=1.2となるように、紡糸口金の吐出孔形状(スリット幅、スリット長)を変更し、実施例1と同様の方法で複合紡糸した。実施例3では紡糸する際の糸曲がりにより糸切れが2回発生したが、実際生産するには問題のないレベルであった。得られた糸の伸縮伸長率は29%、伸縮弾性率は93%、捲縮伸び率は17%であり、これを用いた織物においては、目的とするハリ・コシ感、十分なストレッチバック性と反発感を有しており、表面にシボ・シワが1本見られたが品位としては十分であった。
【0024】
実施例4
単糸繊度が12dtex、CD/EF=1.5となるように紡糸時のポリマー吐出量および紡糸口金の吐出孔形状(スリット幅、スリット長)を変更して、実施例1と同様の方法で複合紡糸した。得られた糸の伸縮伸長率は26%、伸縮弾性率は91%、捲縮伸び率は15%となった。これを用いた織物については、表面にシボ・シワ・イラツキ感が無は無く、ストレッチバック性は高く、ハリ・コシ感が若干弱いが製品にするには問題の無いレベルであった。
【0025】
実施例5
単糸繊度が35dtex、CD/EF=1.5となるように紡糸時のポリマー吐出量および紡糸口金の吐出孔形状(スリット幅、スリット長)を変更して、実施例1と同様の方法で複合紡糸した。得られた糸の伸縮伸長率は21%、伸縮弾性率は96%、捲縮伸び率は10%であった。これを用いた織物は、ストレッチバック性はやや低いが、シボ・シワ、イラツキ感、ハリ・コシは良好なレベルであった。
【0026】
実施例6
CD/EF=4.0となるように紡糸口金の吐出孔形状(スリット幅、スリット長)を変更し、実施例1と同様の方法で複合紡糸した。紡糸の際、糸切れが3回発生したが、実際生産するには問題の無いレベルであり、得られた糸の伸縮伸長率は22%、伸縮弾性率は91%、捲縮伸び率は19%であった。これを用いた織物は、若干イラツキ感があるものの、ストレッチバック性、ハリ・コシ感、反発感などは十分であった。
【0027】
比較例1
単糸繊度が5dtex、CD/EF=1.5となるように紡糸時のポリマー吐出量および紡糸口金の吐出孔形状(スリット幅、スリット長)を変更して、実施例1と同様の方法で複合紡糸した。得られた糸の伸縮伸長率は20%、伸縮弾性率は83%、捲縮伸び率31%であり、これを用いた織物においては、表面品位を良好であり、ストレッチバック性はあるものの、ハリ・コシ感、反発感が不足しており、目的とする製品とは言えないものとなった。
【0028】
比較例2
単糸繊度が45dtex、CD/EF=1.5となるように紡糸時のポリマー吐出量および紡糸口金の吐出孔形状(スリット幅、スリット長)を変更して、実施例1と同様の方法で複合紡糸した。得られた糸の伸縮伸長率は11%、伸縮弾性率は62%、捲縮伸び率は10%であり、これを用いた織物は、表面品位は良好であったが、ストレッチバック性が低く、ハリ・コシ感も劣り、良好な製品とは言えないものであった。
【0029】
比較例3
CD/EF=1.0となるように紡糸口金の吐出孔形状を孔径0.5mmの真円とし、実施例1と同様の方法で複合紡糸した。紡出の際、紡糸糸条に糸曲がりが発生し、紡糸後48時間経過で、糸切れが発生したが、生産には問題の無いレベルであった。尚、この糸切れは著しい糸曲がりによる吐出孔周辺での汚れ発生によるものと思われる。得られた糸の伸縮伸長率は31%、伸縮弾性率は90%、捲縮伸び率は21%であり、これを用いた織物においてはストレッチバック性を有していたが、表面のイラツキ感は無いものの、多数のシボ・シワが見られ良好な品位の製品とは言えないものとなった。
【0030】
比較例4
CD/EF=0.6となるように紡糸口金の吐出孔形状(スリット幅、スリット長)を変更し、実施例1と同様の方法で複合紡糸した。紡出の際、紡糸糸条に著しい糸曲がりと旋回挙動が見られ、糸切れが多発した。得られた糸の伸縮伸長率は8%、伸縮弾性率は40%、捲縮伸び率は35%であり、これおを用いた織物においては、ストレッチバック性、ハリ・コシ感、反発感が不足し、また、布帛表面のシボ・シワは無いもののイラツキ感が非常に強く、良好な製品とは言えないものとなった。
【0031】
比較例5
単糸繊度15dtex、CD/EF=1.5、得られる糸の伸縮伸長率が10%程度になるように、複合紡糸の際の延伸倍率およびポリマー吐出量を変更して、実施例1と同様の方法で複合紡糸した。得られた糸の伸縮伸長率は12%、伸縮弾性率は58%、捲縮伸び率は29%となった。これを用いた織物は、シボ・シワ、イラツキ感は問題ないものの、ストレッチバック性、ハリ・コシ感、反発感が非常に弱く、良好な製品とは言えないものとなった。
【0032】
比較例6
単糸繊度15dtex,CD/EF=6.0となるように紡糸口金のスリット型吐出孔形状(スリット幅、スリット長)を変更して実施例1と同様の方法で複合紡糸した。紡糸の際、糸条に著しい旋回挙動が見られ、また糸道ガイドや交絡ガイドでの毛羽発生による糸切れが多発し、複合糸を得ることが出来なかった。
【0033】
【表1】
【0034】
【表2】
【0035】
【発明の効果】
上述したように、本発明によれば、サイドバイサイド型複合繊維を構成する高粘度成分にPTTを用い、単糸繊度、伸縮伸長率、伸縮弾性率、捲縮伸び率、糸横断面の形状を適正なものとすることにより、十分な曲げ剛性を有し、ハリ・コシ感に加えて、上品な品位と高いストレッチバック性、反発感を有する高級梳毛調織編物用のポリエステル系複合繊維を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施様態を示す糸横断面図
【図2】本発明の他の実施様態を示す糸横断面図
【符号の説明】
A:糸横断面の2成分の接合面と糸外周との接点
B:糸横断面の2成分の接合面と糸外周とのもう一方の接点
X:線分ABの中心を通り、線分ABと直交した直線
C:直線Xと糸外周との交点
D:直線Xと糸外周との交点
Y:線分CDの中心を通り、線分CDと直交した直線
E:直線Yと糸外周との交点
F:直線Yと糸外周との交点
Claims (1)
- 粘度の異なる2成分のポリエステルからなるサイドバイサイド型複合繊維において、少なくとも高粘度成分が繰り返し単位の80モル%以上がトリメチレンテレフタレートからなるポリトリメチレンテレフタレートであり、単糸繊度が12〜35dtex、伸縮伸長率が20%以上、伸縮弾性率が90%以上、捲縮伸び率が20%以下であり、糸横断面の2成分の接合面と糸外周との2つの接点A、Bを結んだ線分ABの中心を通り、線分ABと直交した直線Xと複合糸外周との2つの交点をC、Dとし、線分CDの中心を通り線分CDと直交した直線Yと糸外周との2つの交点をE、Fとしたとき、線分CDと線分EFの長さの比CD/EFが下記(1)式を満足することを特徴とする梳毛調織編用ポリエステル系複合繊維。
1.2≦CD/EF≦4.0 (1)
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