JPH10323178A - 細菌の検出方法及び検出装置 - Google Patents

細菌の検出方法及び検出装置

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JPH10323178A
JPH10323178A JP9240919A JP24091997A JPH10323178A JP H10323178 A JPH10323178 A JP H10323178A JP 9240919 A JP9240919 A JP 9240919A JP 24091997 A JP24091997 A JP 24091997A JP H10323178 A JPH10323178 A JP H10323178A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 発酵基質の代謝による色調の変化などに頼る
ことなく、細菌そのものに簡易かつ特異的に標識付けす
ることで、細菌を特定した検出・判定を可能とし、簡易
な操作、測定時間の短縮、効率の向上、検出精度の向上
に優れた細菌の検出法を提供する。 【解決手段】 核酸を蛍光物質で標識したバクテリオフ
ァージを宿主細菌に接触させ、ファージ内に存在してい
る状態の蛍光標識核酸の蛍光強度と、この蛍光標識核酸
が細菌に注入された状態の蛍光強度とが有意な差を示す
ことを利用して、特定細菌の存否を判定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば大腸菌など
の細菌を検出する方法及びその検出に用いる装置などに
関する。
【0002】
【従来の技術】細菌をはじめとする微生物はあらゆる環
境に生存し、人間の生活と密接な関係を保っている。し
かし微生物の中には人間あるいは家畜に疾病をもたらす
ものもあり、病原性微生物として人間あるいは家畜への
感染に注意が払われている。病原性微生物の中でも特に
細菌は、増殖が速く、低温、高温、乾燥などの環境条件
に影響を受けにくく、そのため人間の周りに持続的に存
在し、一度好条件を得れば爆発的に数を増やして感染症
の原因となる。食品や飲料水(水道水を含む)のよう
に、人間の体内に直接摂取されるものについてはもちろ
んのこと、食品の製造工程で利用される水、食器等の洗
浄に利用される水、河川、湖沼、海、プール、浴場、そ
の他の修景親水利用のためのアメニティ用水など、人が
身体を接触させる水、下水放流水など人と接触する機会
がある水については、細菌に対する適正な管理が実施さ
れることが望まれる。
【0003】これらのことを前提として、食品、飲料と
なる水道水については「大腸菌群は検出されないこと」
という基準が定められ、プール水では「10mlの水を
5本培養し大腸菌群陽性の管が2本以下であること」と
いう基準が定められ、また、修景親水利用の水について
は「1ml中10個以下」、一般排水については「1m
l中3000個以下」が望ましいという目標値が設けら
れている。
【0004】なお、細菌による感染症は人あるいは動物
を起源とする細菌によって引き起こされる疾病の頻度が
最も高く、被害も拡大しやすい。従って、食品、飲料
水、あるいは親水施設のアメニティ用水を管理する上で
の基準として、腸内細菌特に大腸菌および大腸菌群の有
無を調べる項目が採用されているのは、極めて妥当と考
えられる。
【0005】ところで、このような食品、飲料水(水道
水)、プール水、修景親水用水についての細菌の検出
は、一般的には培養法により従来実施されている。この
ような従来行われている培養法では、例えば大腸菌や大
腸菌群ではこれを他の一般細菌から区別するための工夫
が必要であり、したがって、試験に際して用いる検出方
法としては、大腸菌や大腸菌群が選択的に増殖する培
地、あるいは増殖すると色調が変化したりコロニーの色
に特殊な色が生じる工夫がされた培地を用いる場合が多
い。
【0006】なお以上の方法とは別に、大腸菌および大
腸菌群の試験を簡略化した特異酵素基質培地法、すなわ
ち、大腸菌や大腸菌群に特異的に含まれる酵素に対する
基質の存在下で試料を培養し、陽性であれば特徴的な色
や蛍光が生じるように工夫した方法が提案されている。
【0007】またこれらの方法の他にもPCR法(ポリ
メラーゼ・チェーン・リアクション法)、ATPを測る
方法、放射性同位元素などを用いる方法(特開平8−1
54700号公報)も知られている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
法には以下のような問題がある。例えば、前記培養法で
は、培養によって菌が増殖するまでの時間に加えて、増
殖した細菌が大腸菌あるいは大腸菌群であるかどうかの
判定法が煩雑である。すなわち培養法は、大腸菌や大腸
菌群による汚染の有無を推定するだけでも1日を要し、
混入しているのが大腸菌、大腸菌群であるのか否かを確
定するのに2日を要し、更に完全な試験をしようとすれ
ば菌体の特殊染色などの試験を重ねる必要があって判定
までに時間がかかる。
【0009】このように、培養法による細菌検出は時間
を要し、結果が得られるより以前に被害が生じてこれが
拡大してしまうケースが懸念される。以上のこととは別
に、培養法は寒天培地上あるいはメンブレンフィルター
上に形成した特殊な性状を示すコロニーを目で見て数え
て定量するか、陽性を示す試料の最大希釈倍率から元の
試料に含まれていた菌数を算定する方法が普通であるた
め、特殊な形状を示すコロニーの判定はあいまいな部分
も多く、また最大希釈倍率から求める方法ではおおよそ
の推定値が求められるにすぎず、定量性に乏しいという
問題もある。
【0010】前記の特異酵素基質培地法は、大腸菌およ
び大腸菌群の定性試験は24時間で実施できる利点があ
る。しかし大腸菌や大腸菌群についても全てを検出する
ことはできないし、定量試験を行うとすれば最大希釈倍
率で陽性を示す値から求める形式で行うしかなく、測定
法に由来する限界がある。
【0011】PCR法は、感度は鋭敏であるが、死滅し
ていて実際には無害な細菌も検出しこれらの区別ができ
ないという問題がある他、定量性も期待できない。
【0012】更にATP法は、操作が簡単でしかも生菌
だけを特異的に検出できる点で優れているが、検出感度
が低く(1000個以上の細菌でないと検出できな
い)、外因的な要因により発光強度が左右されやすいた
めに適用できる条件が限定され、また細菌を特定して検
出できないという問題がある。
【0013】前記特開平8−154700号公報に記載
の方法は、ファージに放射性同位元素(アイソトープ)
又は酵素を標識して用いる直接標識法と、ファージに組
み込んだレポータ遺伝子の産生する蛋白質を測定する方
法とがある。これらの方法は、地球上の通常の穏和な条
件下に生息しているほとんどの細菌に対し、これを宿主
とする特異的なバクテリオファージが存在し、しかもバ
クテリオファージの宿主認識は厳密で宿主細菌以外の細
菌に実質的に吸着結合することがないから、ある特定の
細菌を検出しようとする場合にファージを利用して特定
の細菌を選択・検出できる点で優れている。
【0014】しかしながらこの特開平8−154700
号提案の方法には、実際の実施場面から考えると、処理
の迅速性、処理操作の簡便性、検出精度の高さなどの点
から以下のように説明される極めて解決困難な問題があ
る。
【0015】すなわち、前者の直接標識法のうちの放射
性同位元素を用いる方法では、細菌に吸着したファージ
がもつ放射性同位元素標識由来の信号と、非吸着のファ
ージがもつ同標識由来の信号を区別することができない
から、これら吸着,非吸着のファージを物理的に分離す
る操作が必要となる。また、分離操作を行っても、細菌
(あるいはろ過膜等の分離手段)に非特異的に吸着した
ファージをカウントしてしまう問題があるし、これとは
別に、細菌に吸着してその核酸を細菌内に注入したファ
ージ核酸が増殖して細菌を溶菌させてしまう結果として
正確な測定ができない場合がある。一方、直接標識法の
うちの酵素を用いる方式は、放射性同位元素を用いるの
と同じような問題があることに加えて、微小量の酵素の
活性を利用する方法であるので、基質に現れる現象から
微量酵素の量を精度よく検出する方式を実際に利用する
ことは極めて困難であるという問題もある。
【0016】更に、前記後者のレポーター遺伝子を用い
る方式は、細菌毎に特異的なファージ別に遺伝子組換え
体のレポーター遺伝子を調整することが必要となり、こ
のレポータ遺伝子を含むファージ核酸の複製,転写,翻
訳を行わせ、産生蛋白質を検出する操作が必要となるた
め汎用性は殆ど期待できない。
【0017】以上のように、従来の方法はいずれも問題
があり、特に、迅速性、操作の簡便性、検出精度などの
点でいまだ解決すべき課題がある。
【0018】本発明者は、以上のような従来法の問題点
を解消し、例えば発酵基質の代謝による色調の変化など
に頼ることなく、細菌そのものに簡易にかつ特異的な標
識付けを可能とすることで、細菌を特定した検出・判定
を可能とし、これにより、簡易な操作、測定時間の短
縮、効率の向上、検出精度の向上を飛躍的に高めること
ができる本発明をなすに至ったものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】本願は上記の目的を達成
するために、上述した特許請求の範囲の各請求項に記載
した発明を提供する。
【0020】本願請求項1の細菌の検出方法の発明は、
核酸を色素又は蛍光物質で標識したバクテリオファージ
を宿主細菌に接触させ、色素標識核酸又は蛍光標識核酸
が注入された細菌を光学的検出手段で検出することを特
徴とする。
【0021】また本願請求項15の細菌の検出装置の発
明は、検出対象細菌に特異的に吸着しかつ核酸を色素又
蛍光物質で標識したバクテリオファージを含む溶液を試
料液(被検水)に供給(添加)する手段と、色素標識核
酸又は蛍光標識核酸が注入された細菌を検出する光学的
検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0022】なお、以下の説明において「蛍光物質等」
という場合は色素,蛍光物質の双方を含む場合を総称
し、「蛍光標識核酸等」という場合は色素標識核酸,蛍
光標識核酸の双方を含む場合を総称するものとする。
【0023】前記において、バクテリオファージはDN
A(一重鎖,二重鎖)からなる遺伝子をもつDNAファ
ージが一般的であるが、RNAからなる遺伝子をもつR
NAファージを除外するものではなく、蛍光標識核酸等
はDNA,RNAのいずれでもよい。このような蛍光物
質等で標識された核酸を有するDNAファージ,RNA
ファージは、ファージ核酸(以下「ファージDNA」と
称する)に親和性を有する蛍光物質等(色素又は蛍光物
質)を添加した培地でバクテリオファージが感染した細
菌を増殖させることで得ることができる。蛍光物質等と
しては、ファージDNAに結合でき、ファージから細菌
に注入されて該細菌を染色できる物質であれば特に限定
されることなく用いることができ、一例を挙げれば色素
としては、エチジウムブロミド,プロピジウムイオデー
トなどを例示することができる。蛍光物質としては4,
6−ジアミジノ−2−フェニルインドールハイドロクロ
ライド(DAPI)を例示することができる。蛍光物質
のうち、長波長側に吸収帯をもつものは、色素としても
利用でき、このような色素で標識したファージを用いれ
ば、蛍光顕微鏡などの蛍光検出器を用いなくても、顕微
鏡,分光光度計などでの検出が可能である。
【0024】ファージ核酸に蛍光物質等を標識させる方
法は、蛍光物質,色素のいずれを用いる場合でも、核酸
(DNA,RNA)に親和性を有する蛍光物質等をその
親和性を利用して核酸の立体構造の隙間に物理的に入れ
込むようにしてもよいし、蛍光物質等を標識したヌクレ
オチドをファージ核酸合成時に取り込ませて、化学的な
結合により標識するようにしてもよい。
【0025】検出に用いるファージ溶液のファージ濃度
は、試料液に含まれる細菌に対して所定時間以内に少な
くとも1個のバクテリオファージが接触できる濃度を有
するものであればよく、その程度は、検出しようとする
試料液に含まれる細菌数のレベル(上述した飲料水,ア
メニティ水など)や検出時間などにより異なるため一律
的には決められないが、実験的に容易に決めることがで
きる。一例的に言えば、飲料水中に含まれる大腸菌の検
出のためには、試料液(被検水)1ml当たり105
〜1014個程度、好ましくは107 個〜1014個、最適
には108 個〜1012個程度となるようにすればよい場
合が多い。ファージ溶液のファージ濃度を高くすれば複
数のファージが細菌に接触する可能性が増すので、検出
する一つの細菌の色素による染色濃度が増し、また一つ
の細菌の呈する蛍光強度を高くできて検出をより高精度
とできるので好ましい。ファージが105 個/ml未満
ではファージと細菌の接触する確率が低く、計測に長時
間を要する結果となるか、細菌が存在しても検出できな
い結果を招く虞れもある。反対にファージが1014個/
mlを越えるようにあまり多くすると、試料液の粘性が
増し、またバックグランドの蛍光強度が大きくなって計
測感度が低下する問題を招くので上記範囲とするのがよ
い。
【0026】一般にバクテリオファージの感染(溶菌感
染もしくは溶原化すること)の過程は、宿主細菌への吸
着結合、ファージDNAの宿主細胞への注入、注入され
たファージDNAを鋳型としたファージ粒子の複製とい
う3段階に分けられる。
【0027】本発明において蛍光標識核酸等を有するフ
ァージを用いるようにしたのは次の理由による。すなわ
ち、バクテリオファージが宿主細菌に対して特異的に吸
着することは上述した通りであるが、本発明で用いる蛍
光標識核酸等はファージ中に存在している場合と細菌内
に注入された後とでは、ファージ中では密な状態で詰ま
っているのに対し、注入された細菌細胞内では展開,拡
散してその形態が変わることに原因するためと推定され
るが、例えば蛍光物質では後述の参考例1,2で確認さ
れるように、検出される蛍光強度に光学的に識別できる
有意な差が生ずることを知見し、本発明者はこの点に着
目して、この差を利用することによって細菌に非吸着の
ファージを物理的に分離する操作を必要とせずに、ファ
ージDNA注入細菌のみを光学的に識別して検出するこ
とを特徴とした本発明を完成した。
【0028】本発明において注目される他の特徴は、多
くの場合細菌に吸着したファージが宿主細菌細胞内にフ
ァージDNAを注入する過程が宿主細胞のエネルギー状
態に依存していることに着目した点にある。すなわち、
ファージDNA(核酸)の注入は生物活性を失った宿主
に対しては起こらず、生細胞(生菌)だけにおいて起こ
るという点である。つまり、生菌ではファージDNAの
注入が起こるので光学的に検出できるようになるのに対
し、吸着してもファージDNAが注入されない死菌や断
片では、検出される光学的情報が明瞭に識別できるから
である。ファージの活性と注入の有無を光学的に識別で
きる現象を利用して生菌と死菌を区別する本発明の作用
は、放射性同位元素や酵素等を用いた従来法では期待で
きないものであり、処理操作の簡便化や検出精度の向上
の点で極めて有利である。
【0029】また非特異的に吸着したファージがあって
も、細菌へのファージDNAの注入は生じないので、フ
ァージDNAが注入された細菌のみが検出される本発明
方法は、高精度な検出ができる点で優れている。
【0030】また更に、通常の条件下では、蛍光物質等
で標識したファージDNAは蛍光物質等が標識されてい
ることによって遺伝子の転写が阻害され、遺伝子として
の活性を失う。この点もまた本発明の注目すべき作用の
一つである。すなわち、本発明で用いる蛍光物質等で標
識されたファージDNAは、通常は細菌細胞内に注入さ
れても新たなファージ粒子の複製や宿主細胞を破壊して
新生ファージ粒子を細菌細胞外に放出させる酵素群を生
成することがないので、感染過程の最終段階に認められ
る宿主細胞の溶菌がおこらない。このため、蛍光物質等
で標識されたファージDNAは宿主細胞内に安定に保た
れ、したがって処理時間の長短が検出精度に影響するこ
とは極めて小さいという利点が得られる。なお、細菌の
種類や環境条件,用いる蛍光物質等の種類などによっ
て、ファージ核酸の転写が生じ得る可能性がある場合に
は、積極的にその転写複製を防ぐ処理を行うこともでき
る。例えば、試料液中にDNA合成阻害剤や蛋白質合成
阻害剤を添加するとか、ファージ遺伝子の一部をナンセ
ンスコドンに改変して転写複製能を失わせるようにすれ
ばよい。
【0031】これらの理由により、本発明によれば蛍光
色素で核酸を標識したバクテリオファージを利用して、
特定の細菌をしかも生菌だけを、これに特異的に吸着す
るバクテリオファージを利用して染色あるいは蛍光染色
して検出することが可能となる。
【0032】蛍光標識核酸等を有するバクテリオファー
ジの吸着−核酸注入によって色素,蛍光で染色された細
菌は、光学的手段によって検出することができる。光学
的手段は、色素,蛍光を検出できるものであれば特に形
式等には制限されることはなく、例えば色素を標識した
場合には通常の顕微鏡や分光光度計などを用いることが
でき、蛍光物質を標識した場合には、蛍光顕微鏡、蛍光
光度計、蛍光検出機などを用いることができる。また検
出画像を画像解析によって染色点や蛍光点等を検出する
方法、蛍光光度計を用いて蛍光強度の違いを検出する方
法、フローセルを用いて流動液中の染色粒子や蛍光粒子
の数を検出する方法などを用いることができる。
【0033】標識として蛍光物質を用いた場合には、最
も簡単には、鋭敏な感度を備えた蛍光検出器を採用する
例を挙げることができる。例えば、蛍光標識したファー
ジ溶液と栄養塩類を試料液に供給(添加)して、一定時
間後に僅かでも蛍光強度の増加が認められるか否かによ
って、特定の細菌の存否を簡単に調べることができる。
また細菌を含む試料液に栄養塩類と過剰のファージ液と
を添加し、一定時間の後に遠心分離や膜濾過により、細
菌とファージを分離した後に細菌の画分について蛍光強
度を測定することによっても、簡単に細菌の存否を調べ
ることができる。
【0034】上記の方法または装置を用いることによ
り、例えば各種細菌毎に特異的な色素又は蛍光物質を標
識したファージを用意しておき、細菌と接触させること
で、種が不明の細菌であっても大腸菌特異的ファージに
よって染色されれば大腸菌、サルモネラ特異的ファージ
によって染色されればサルモネラというように、簡単に
細菌の同定が可能となる。これによれば、従来のように
発酵基質の分解性を調べる方法(最低2日を要する)と
比較して、短時間(1時間以内)で確実に同定試験が行
える利点がある。
【0035】細菌の同定が特に求められる場合として
は、食中毒,病院の院内感染などの細菌感染症の原因と
なる細菌の同定を行う場合や、食品工場などでの用水等
の汚染細菌の同定を行う場合などが挙げられ、具体的に
いうと、例えば、細菌の検出が求められる環境水や環境
空気、食品や上下水、病院(特に臨床場面)、精密機器
製造工場等において、存在が忌避される細菌を検出する
場合が挙げられる。忌避される主な細菌とファージの組
合せを例示すれば、大腸菌とT系ファージ,λファージ
等、サルモネラとP系ファージ等、シュードモナスとP
系ファージ等、クレブシアラとスタンフォード大学6
0,92の各ファージ、クロストリジウムと70,7
1,72の各ファージ、シゲラとφ80,スタンフォー
ド大学37,D20、コリネバクテリウムとC系ファー
ジ、マイクロコッカスとN系ファージ,ML53-40 ファ
ージなどが挙げられ、この場合には微量細菌を検出する
ために濃縮工程が必要とされる場合が多い。
【0036】また本発明は、有用細菌を検出することに
も有効に用いられる。すなわち、微生物(細菌)を利用
して食品や医薬品等を製造する分野においては、本発明
の生菌のみを検出できる方法を用いることで、活性のあ
る生菌数を確認できるからである。これにより例えば、
ビール製造工程での活性のある酵母量の管理や、ヨーグ
ルト製造工程での活性のある乳酸菌量の管理に用いるこ
とができ、あるいはアミノ酸等を産生する微生物の活性
の確認等に利用できる。なお有用細菌を検出する場合に
は、細菌濃度が濃厚な溶液を適当な倍率で希釈する工程
が必要となる場合が多い。
【0037】ファージを細菌に感染させる条件は、好気
性条件下で、菌の種類にもよるが好熱性細菌では0〜1
20℃、一般の菌,ファージでは、失活しない50℃以
下とされる。これらの範囲内であれば温度が高い方が感
染の速度が速くなる。また試料液を攪拌して細菌とファ
ージの接触効率を高めることも好ましい。
【0038】細菌を検出する試料液は、水系試料であれ
ばそのまま検出に供することができる。試料液が油分を
含む液状試料である場合には、油分が少なければ非イオ
ン性の界面活性剤で油分を分散させた後に水系試料と同
様に検出に供することができる。油分が多い場合には、
水を加えて水層に細菌を抽出し、得られた水層を試料液
として水系試料と同様に検出に供することができる。試
料が固体の場合には水を加えてすりつぶした後、固形分
を遠心分離やろ過等によって分離した後、得られた上清
を試料液として水系試料と同様に検出に供することがで
きる。試料液に色素、蛍光色素が含まれる場合には、例
えば生理食塩水に対して透析を行って色素を除去した後
に検出を行うことが好ましい。マイクロフィルターでの
濃縮を必要とする場合には、濃縮の後同じ濃縮槽に生理
食塩水を加えながら、液を交換する方法で代替する方法
を用いることができる。
【0039】光学的手段により検出した情報により、例
えば蛍光強度が一定値を越えた点を細菌としてカウント
するなどの方法で細菌の有無,細菌数を測定することが
できる。このような装置としては、マイクロコンピュー
タ(MPU)などを用いた画像処理技術により構成でき
る。
【0040】本願の請求項2の検出方法の発明は、空気
又は液に含まれる細菌をろ過あるいは吸着などの捕捉手
段に捕捉すると共に、核酸を色素又は蛍光物質で標識し
たバクテリオファージを該捕捉した細菌に接触させ、色
素標識核酸又は蛍光標識核酸が注入された細菌を光学的
検出手段を用いて検出することを特徴とし、請求項16
の細菌の検出装置の発明は、空気又は液に含まれる細菌
を膜上に捕捉する捕捉手段と、核酸を色素又は蛍光物質
で標識したバクテリオファージを含むファージ溶液を該
捕捉した細菌に接触させるファージ溶液接触手段と、色
素標識核酸又は蛍光標識核酸が注入された細菌を検出す
る光学的検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0041】上記捕捉手段としては、活性炭や、中空糸
膜,マイクロフィルター,ウルトラフィルター,逆浸透
膜等の濾過膜が例示され、吸着手段としては、不織布,
繊維状ろ過材,イオン交換樹脂,砂ろ過材など細菌を吸
着できるものを用いることができる。
【0042】この発明によれば、例えば水処理装置中に
設置したろ過用のフィルターに被処理水を通水させて細
菌をフィルター上に捕捉し、フィルターに直接ファージ
溶液を接触させるか、あるいはフィルターを生理食塩水
あるいは栄養源を含む水に浸漬して細菌を破壊しない程
度の超音波で細菌を剥離し、得られた上清を試料液とし
てファージ溶液を供給することで被処理水中の細菌を検
出、同定することができる。また細菌を膜等のろ過手段
の上に捕捉した後に光学的に検出するので、確実な細菌
検出ができる。特に迅速性の要求が比較的低いが、高精
度で簡易な検出が求められる場合に好適に適用できる。
【0043】なお、膜に付着した細菌を液中に剥離させ
た後ファージ溶液を添加する方法は、細菌とファージの
邂逅機会が液相中で高率に与えられるので、膜付着状態
の細菌にファージ溶液を接触させる場合に比べて好まし
い。
【0044】この発明の方法は、上記のように試料液
(被検水)中の細菌の検出に利用される他、空気中の浮
遊細菌の検出にも利用することもできる。例えば細菌が
浮遊している気体(空気)を、水中で散気(バブリン
グ)して水中に細菌をトラップしてサンプル液としても
よいし、吸引空気をフィルターでろ過して上記と同様に
フィルター上に捕捉し、フィルターに直接ファージ溶液
を接触させるか、あるいはフィルターを生理食塩水等に
浸漬して細菌を剥離し、得られた上清にファージ溶液を
供給すればよい。この方法によれば、例えばエアコンデ
ィショナーやその他の空気清浄設備内に設置したフィル
ターを検査することで、病院,食品工場等の細菌汚染が
問題となる環境空間の状態を調べることに好適に適用す
ることができる。
【0045】本願の請求項3の検出方法の発明は、検出
しようとする細菌を希薄に含む試料溶液中で該細菌を濃
縮すると共に、該細菌を宿主とし且つ核酸を蛍光物質等
で標識したバクテリオファージを前記細菌を濃縮した液
中に供給することで宿主細菌に接触させ、蛍光標識核酸
等が注入された細菌を、光学的手段を用いて検出するこ
とを特徴とし、請求項17の検出装置の発明は、試料液
中の細菌を濃縮する手段と、核酸を蛍光物質等で標識し
たバクテリオファージを含むファージ溶液を前記濃縮し
た試料液に供給するファージ溶液供給手段と、色素標識
核酸又は蛍光標識核酸が注入された細菌を検出する光学
的検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0046】上記においては、濃縮は例えば膜を用いて
行うことができ、被検体である細菌の通過を阻止する膜
であれば、膜の種類,材質は特に限定されることなく使
用できる。なお被検体を含むサンプル液のろ過を行う場
合には細菌は通すがそれよりも大きなSSの通過は阻止
する膜を用いて前ろ過をするのが好ましい。このような
細菌の濃縮法を用いた装置の具体例としては、例えば、
流れるサンプル水を一定時間毎に一定量づつ自動的に採
水して膜のある槽に入れて自動的に濃縮し、濃縮したサ
ンプル水を自動的に取出して自動計測するようにする場
合を例示できる。
【0047】この発明によれば、試料溶液中に希薄に存
在する細菌を濃縮して検出を有効に行うことができる。
【0048】上記における細菌の濃縮は、液全体につい
て細菌を濃縮する場合、あるいは液中で細菌を一部に偏
在させて部分的に濃縮させる場合のいずれであってもよ
く、本願の請求項4の発明は、膜分離又は遠心分離によ
り細菌を濃縮した液中に、核酸を蛍光物質等で標識した
バクテリオファージを供給することを特徴とする。
【0049】細菌を濃縮する他の方法としては、請求項
5の発明のように、試料溶液中の狭い領域内に検出しよ
うとする特定細菌の誘因物質を供給することができる
し、請求項6の発明のように、誘因物質をキャピラリ
(毛細管)を用いて供給することもできる。前記誘因物
質としては、例えばアミノ酸であればセリン,アスパラ
ギン酸等、糖であればグルコース,ガラクトース,マル
トース,リボース等、有機酸であればクエン酸,リンゴ
酸等を挙げることができる。また上記有機物質以外にも
呼吸鎖の電子受容体となる酸素,フマル酸,硝酸などを
挙げることができる。
【0050】誘因物質を利用して細菌を濃縮する具体的
方法としては、以下の方法が例示できる。:試験溶液
にグルコース,セリン等の誘因物質と蛍光標識核酸等を
有するファージとが共存する液をキャピラリを用いて供
給して、キャピラリ先端近傍に細菌を濃縮させてファー
ジと接触させる。:試験溶液にキャピラリを用いて誘
因物質を供給し、該キャピラリの先端近傍に細菌が濃縮
されたことを顕微鏡等で確認した後に別のキャピラリを
用いて前記ファージを供給する。:試験溶液に前記フ
ァージを供給した後、キャピラリを用いて誘因物質を供
給する。
【0051】本願の請求項7の発明は、検出しようとす
る細菌を濃厚に含む試料液を希釈し、該細菌を宿主とし
且つ核酸を色素又は蛍光物質で標識したバクテリオファ
ージを前記細菌の希釈試料液中に供給することで宿主細
菌に接触させ、色素標識核酸又は蛍光標識核酸が注入さ
れた細菌を光学的検出手段を用いて検出することを特徴
とする。試料液の稀釈には、適宜の稀釈液注入装置を用
いることができる。
【0052】この発明によれば、細菌を濃厚に含む溶液
中の活性のある細菌数を検出,測定することができるの
で、例えば有用細菌を用いた食品製造工程等において、
細菌の活性管理などに利用できる。
【0053】本願の請求項8の発明は、核酸を色素又は
蛍光物質で標識したバクテリオファージを試料液中で宿
主細菌に接触させ、色素標識核酸又は蛍光標識核酸が注
入された細菌を流動細胞計測法により検出することを特
徴とし、請求項21の検出装置の発明は、試料液をフロ
ーセル中に連続的に通過させる通液手段と、核酸を色素
又は蛍光物質で標識したバクテリオファージを含むファ
ージ溶液を前記フローセルの前段において試料液に添加
するファージ溶液添加手段と、色素標識核酸又は蛍光標
識核酸が注入された細菌をフローセルで検出する光学的
検出手段とを備えたことを特徴とする。
【0054】これらの発明によれば、フローセルを通過
する流動する溶液中の蛍光粒子数、すなわち細菌数を検
出することができ、オンラインによるリアルタイムの検
出を連続的に行うことができる。
【0055】本願の請求項9の検出方法の発明は、上記
したいずれかの方法発明において、バクテリオファージ
の宿主細菌に対する感染初期の吸着−核酸注入に必要な
栄養源を該宿主細菌に対して供給することを特徴とし、
請求項23の検出装置の発明は、バクテリオファージの
宿主細菌に対する感染初期の吸着−核酸注入に必要な栄
養源を試料液に供給する栄養源供給手段を有するように
設けたことを特徴とする。
【0056】上記操作は、試料液中の栄養塩類等(主に
炭素源)が既に十分に存在している場合は必要ない。し
かし栄養塩類が不足している場合には細菌の代謝がない
結果感染不良となってファージDNAの細菌への注入が
行われないことがあるので、上記発明によりこの問題を
解消することができる。
【0057】本願の請求項11の発明は、上記各発明に
おいて、種類の異なるファージの核酸をそれぞれ色相の
異なる色素又は励起波長あるいは蛍光波長の異なる蛍光
物質で標識し、これらの種類の異なるファージがそれぞ
れ特異的に吸着する複数種類の細菌を含む試料液に添加
して、複数の細菌を同時に検出することを特徴とする。
【0058】この発明の方法によれば、例えば大腸菌、
サルモネラ菌、その他の細菌などが混在している液等に
対して、これらの各菌に特異的に吸着できかつそれぞれ
励起波長あるいは蛍光波長の異なる蛍光物質で核酸を標
識したファージを用いることで、同時かつ一括してこれ
らの菌検出のための操作を行うことができる。
【0059】本願の請求項12の発明は、上記各発明に
おいて、種類の異なるファージの核酸を同じ色素又は同
じ蛍光物質で標識し、これらの種類の異なるファージが
それぞれ特異的に吸着する複数種類の細菌を含む試料液
に添加して、複数の細菌の総数を検出することを特徴と
する。
【0060】この発明の方法によれば、例えば検査しよ
うとする複数の細菌が対象となる液等中に存在するか否
かを容易に測定することができる。
【0061】以上の各発明の方法は、特に衛生試験など
で、病原性細菌を検出同定する際に有効である。例え
ば、主な食中毒の原因となっている病原性の腸内細菌で
ある大腸菌、大腸菌群細菌、赤痢菌、コレラ菌、サルモ
ネラ菌、ビブリオ菌、ボツリヌス菌、ウェルシュ菌、ブ
ドウ球菌、セレウス菌などを、同じあるいは異なる色
素,蛍光物質で核酸を標識され、これらの細菌を宿主と
するファージを用いて容易に検出できる。
【0062】上記各発明は食中毒以外の感染症の原因と
なる細菌、例えば、結核菌、肺炎双球菌、緑膿菌、レジ
オネラ菌、その他の細菌にも適用でき、また、細菌のコ
ロニーを採ってファージ溶液に懸濁し、蛍光染色の有無
で細菌を同定する確認試験にも有効に用いることができ
る。
【0063】本願の請求項13の発明は、上記の各方法
発明において、蛍光標識核酸が注入された細菌の蛍光強
度又は蛍光光源の大きさを計測し、その計測値と予め定
めた閾値とを比較することにより閾値を越えた光源を細
菌として検出することを特徴とする。また請求項14の
発明は、光学的検出手段を用いて計測した蛍光強度又は
蛍光光源の大きさが、予め定めた蛍光強度閾値又は光源
の大きさ閾値以下の光源を除く画像処理をした後、処理
後の画像から細菌の有無又は細菌数を検出することを特
徴とすることを特徴とする。更に、請求項21の発明
は、上記の各装置発明において、光学的検出手段を撮像
手段とし、この撮像手段で得た撮像画像から予め定めた
蛍光強度閾値以下又は蛍光光源の大きさ閾値以下の光源
を除く画像処理手段を設けたことを特徴とする。
【0064】これらの発明によれば、蛍光物質が細菌に
注入されたときの例えば光源の大きさは、該蛍光物質が
ファージ中に存在しているとき光源の大きさに比べて有
意な差をもって区別できるので、面積や長さなどの大き
さを示す指標として前者よりも小さくかつ後者よりも大
きい値として予め定めた閾値を基準として細菌の有無や
数を計数することができる。また撮像した画像につい
て、閾値以下の大きさの光源を除く画像処理を行うよう
にすれば、蛍光を発する細菌のみの画像を得ることがで
きて高精度の検出が可能となり、また検出の自動化を図
るためにも有効である。なお、閾値以下の大きさの光源
を「除く」画像処理とは、例えば閾値以下の光源を背景
と同じとみなすようにすることをいう。この閾値との比
較は光源の大きさに限定されず、光源の蛍光強度を用い
て同様に行うことができる。
【0065】本願の請求項24,25の携帯型の細菌検
出用キットの発明は、検出対象の菌が資化し得る炭素源
を含む細菌検出用助剤、核酸を色素又は蛍光物質で標識
したバクテリオファージ試薬、及び測定対象試料を添加
するために準備された反応容器とからなることを特徴と
する。
【0066】上記の細菌検出用助剤、バクテリオファー
ジ試薬は、例えばそれぞれの容器に充填して準備するこ
とができる。
【0067】上記の細菌検出用助剤は、少なくとも菌が
資化し得る炭素源を含み、このような炭素原としては、
例えばグルコース等の単糖類〜二,三糖の糖類などの炭
水化物を用いることができ、またファージの吸着性を向
上させるトリプトファン等を添加することもできる。こ
の発明によれば、材料調整の手間が不要で該検出に必要
な設備のない実験室等においても効率よく作業を行うこ
とができる。また上記キットに携帯型の光学的検出手段
を組み合わせてもよい。携帯型の光学的検出手段として
は、小型の顕微鏡,分光光度計,蛍光光度計などを挙げ
ることができる。
【0068】この場合、屋外の検出作業時にその場所で
検出を行うことができて、作業を効率よく行うことがで
きる。
【0069】なお、本発明は以上の方法及び装置の構成
に限定されるものではなく、必要に応じて他の構成を付
加することもできる。例えば細菌に対するファージの吸
着性を向上させるためにトリプトファン,マグネシウ
ム,カルシウムなどの2価の陽イオン等を助剤として添
加することができる。
【0070】
【発明の実施の形態】次に上記検出方法及びこれを実施
するための検出装置について説明する。
【0071】実施形態1 図1は、本発明方法を実施するための装置の一例概要を
フロー図で示したものであり、この図において、1は細
菌を検出しようとする試料液(以下「被検水」という)
が流れるラインを示し、この下流には、被検水中にファ
ージ溶液が添加された液を混合するコイル状のリアクタ
2、次いで細菌を検出する蛍光検出装置3が順次接続さ
れている。また、前記ライン1のリアクタ2上流側に
は、アミノ酸、糖類、無機塩類などを含む培養濃縮液
(栄養源溶液)4を供給するためのポンプ41、及び核
酸を蛍光物質等(色素又は蛍光物質)で標識したファー
ジを含む溶液(以下「ファージ溶液」という)5を供給
するためのポンプ51が、それぞれ接続されている。
【0072】本例のこの装置を用いた細菌の検出操作に
ついて説明すると、まず、細菌を検出しようとする被検
水が流れている水系のライン1に、前記培養濃縮液4
と、ファージ溶液5をそれぞれポンプ41,51により
連続的に添加する。
【0073】上記の各液が添加された被検水は、ライン
1を流れながら2種類の添加液と混合され、微生物反応
の至適環境である37℃に保持したコイル状のリアクタ
2に入り、被検水中に特定の細菌が存在している場合に
は、ファージと該特定細菌とが反応し、色素標識又は蛍
光標識されたファージ核酸(例えばファージDNA)が
細菌細胞内に注入される。
【0074】次いでリアクタ2を出た細菌は、その下流
に設けられている色素検出用の顕微鏡,分光光度計ある
いは蛍光検出用の蛍光検出装置などの検出装置3に流入
し、ここでファージの核酸注入により蛍光物質等で染色
された特定細菌の検出が行われる。この検出装置3の形
式は、顕微鏡や蛍光顕微鏡のように静止した試料液中の
染色された粒子を検出する方式のものでもよいし、また
フローセル中を流動する染色粒子を検出するものでもよ
く、静止,流動のいずれの場合にもCCDカメラ等の撮
像装置を用いて試料液の画像を撮影して光電変換した信
号を得るようにした方式のものを用いることができる。
【0075】またこの検出装置3を撮像装置として検出
して得た光電変換した信号を、特定細菌の存否や量を定
量するプログラムを組み込んだMPU(図示せず)等の
演算処理装置に送り、細菌の有無、あるいは細菌数を検
出するようにしてもよい。
【0076】なお、フローサイトメトリーのように、フ
ローセル中で蛍光粒子の数を測定する形式の蛍光検出装
置を利用すれば、上下水、飲料水、清涼飲料水などの製
造、処理に係わるライン水中の細菌数を連続的に検出す
る測定装置を設計することができる。「フローサイトメ
トリー」はフローセルを通過する蛍光を発する粒子の数
を測定する流動細胞検出法に用いる装置をいい、この装
置では蛍光強度別に粒子の数を測定し、表示することが
できる。
【0077】実施形態2 図2は、本発明の別の装置の一例概要をフロー図で示し
たものであり、本例の特徴は、前記図1のコイル状のリ
アクタ2に代えて、フィルター7を内装したリアクタ6
を用いた他は実施形態1と同じ構成としたことを特徴と
する。したがって他の構成は前記実施形態1と同じであ
るので、同一の構成については同じ符号を付して説明は
省略する。
【0078】この装置を用いた細菌の検出操作について
説明すると、実施形態1と同様に、細菌を検出しようと
する被検水が流れている水系のライン1に、前記培養濃
縮液4と、ファージ溶液5をそれぞれポンプ41,51
により連続的に添加する。
【0079】そしてこの培養濃縮液4と、ファージ溶液
5が添加された被検水は、2種類の添加液と混合されな
がら37℃に保たれたリアクタ6の中に設置されたフィ
ルター7を通過する。このフィルター7としては、細菌
は捕捉するがファージは透過させるものが用いられ、例
えばポアサイズ0.2μm〜0.45μmのものが好ま
しく用いられる。
【0080】被検水中に検出対象の細菌が存在している
場合には、ライン1中であるいは捕らえられたフィルタ
ー7上で、核酸が色素又は蛍光物質で標識されたファー
ジと細菌が接触して反応し、細菌細胞内にファージDN
Aが注入される。一定量の被検水の濾過の後、フィルタ
ーを取り外し、顕微鏡や蛍光顕微鏡によって観察する
か、蛍光強度を測定する他の検出装置によって特定細菌
の存在の有無などを判定することができる。
【0081】なお本例においては、ファージ溶液5のフ
ィード量を流量計52で計測してフィードポンプ51の
流量をフィードフォワードあるいはフィードバック制御
するようにしている。これは、細菌の検出条件をできる
だけ一定化することが好ましいからであり、流量制御と
しては、流量を一定にする制御する方法、蛍光物質の励
起蛍光発生能の経時的変化に応じてフィード量を増・減
制御方法などを適宜選択して採用することができる。
【0082】実施形態3 図3は、本発明の更に別の装置の一例概要をフロー図で
示したものであり、本例は、前記実施形態2に比べて、
ライン1に対してファージ溶液の添加を行わないように
した点が異なるが、その他の構成は実施形態2と同じで
あるので同一の構成については同じ符号を付して説明は
省略する。
【0083】この装置を用いた細菌の検出操作について
説明すると、細菌を検出しようとする被検水が流れる水
系のライン1に培養濃縮液4を添加し、37℃に保たれ
たリアクタ6内のフィルター7に一定量の被検水を濾過
させる。本例の方式では、このフィルター7上に捕捉さ
れた細菌は、添加された培養液によって増殖する。
【0084】次に、所定時間の経過後フィルター7を取
り外し、フィルター7に捕捉された細菌にファージ溶液
を接触(例えばこのフィルターをファージ溶液に浸漬)
させる。そして所定時間後に、色素標識の場合は顕微
鏡、蛍光物質標識の場合は蛍光顕微鏡を用いて該フィル
ターを観察して染色粒子数を計数するか、撮像装置を用
いて画像を撮影する。
【0085】本例の方式は、フィルター上に捕捉した細
菌を増殖させて検出するので、極めて微小量であるため
に特定細菌の存在有無を確認するのに大量の試料液を対
象としなければならない場合に有効である。
【0086】実施形態4 上記図3を用いて説明した実施形態3の細菌を捕捉した
フィルター7を細菌栄養源を含む液に浸漬させると共
に、該液を攪拌あるいは遠心分離して細菌をフィルター
7から剥離し、フィルター7を除いた後の液にファージ
溶液を添加して、顕微鏡や蛍光顕微鏡等の検出装置によ
って観察するか、蛍光強度を測定する他の検出装置を用
いて蛍光強度を測定する。
【0087】本例によれば、フィルターから剥離した細
菌を含む液相中で細菌とファージの接触を行わせるの
で、攪拌操作等を併用して細菌とファージの接触機会を
高率に与えることができ、実施形態3に比べてより確実
な細菌検出ができる。
【0088】実施形態5 本例は、上記図3を用いて説明した実施形態3の水系の
ライン1を、環境空気を吸引通気させる気体流通系に代
え、フィルター7に空気中の浮遊細菌を捕捉させるよう
にした例を示す。但しこの場合には培養濃縮液4及びフ
ィードポンプ41は省略される。
【0089】上記のようにして空気中の浮遊細菌を捕捉
したフィルター7は、実施形態3と同様に、フィルター
と直接ファージ溶液を接触させるか、あるいは実施形態
4と同様に細菌をフィルターから剥離してからファージ
溶液を接触させることによって、空気中に浮遊する細菌
を検出することができる。
【0090】実施形態6 図4に示される本例は、細菌は透過できないフィルター
を用いて試料液を濃縮する場合の例を示している。
【0091】すなわち、例えば特定の細菌の存否を検出
しようとする試料液100の所定量を採取して密閉され
た圧力容器101に充填すると共に、該圧力容器101
の試料液100に加圧気体(例えば加圧空気又は加圧窒
素等)を作用させることで毛細管102を介して試料液
100を少量づつ次段圧力槽103移送し、この次段圧
力槽103においてマイクロフィルター104を通して
水をろ過して、これにより細菌が濃縮された濃縮液10
5を作る。得られた液は細菌が濃縮された被検水とな
る。この細菌濃縮液105に対してファージ溶液を添加
した後、例えば顕微鏡や蛍光顕微鏡を用いて細菌を検出
する。なおこの図4において、106は圧力容器101
に加圧気体を供給するノズル、107はマイクロフィル
ター104を通して流出した液の排水系を示している。
【0092】この例によれば、膜ろ過によって細菌が濃
縮された状態の試料液に対してファージ溶液を添加する
操作を行うことができ、本発明で重要な細菌とファージ
の接触機会を高率に実現できる。
【0093】実施形態7 図5に示した本例は、誘因物質を用いて細菌を被検水中
で濃縮させて検出感度を高めるようにした例を示すもの
である。
【0094】本例においては、スライドグラス202の
下面に、栄養塩類を添加した被検水201を液滴状に付
着させ(図5(b)参照)、これをスライドグラスホル
ダー203に装着して、例えば顕微鏡の台205の上に
載せ、顕微鏡のレンズ204を通して細菌を検出する際
に、スライドグラス203の側方からキャピラリ206
の先端を被検水中のレンズ焦点位置に、例えばセリン,
アスパラギン酸,グルコース,ガラクトース等の誘因物
質とファージを含む溶液を供給する。なおスライドグラ
スの被検水付着面は粗面化して被検水付着量を多くでき
るようにすることが望ましい。
【0095】以上の操作により、誘因物質を含む溶液の
注入した位置(顕微鏡のレンズ焦点位置)に細菌が集ま
り、誘因物質と共に供給されたファージがこの細菌に吸
着して色素又は蛍光物質で標識されたファージDNAが
細菌内に注入され、キャピラリ先端近傍において細菌が
集まった状態が観察される。
【0096】なお本例においてスライドグラス202の
下面に被検水201を液滴状に付着させるようにしてい
るのは、スライドグラス上に滴下した被検水を観察する
方法では被検水をカバーグラスで被覆するが、このため
に被検水中がすぐにO2 不足となって細菌は誘因物質よ
りも回りの空気に誘因される傾向が強くなるので、被検
水を開放状態で観察することが望まれるからである。な
お、誘因物質による細菌誘因の速度は非常に迅速である
ので被検水の乾燥は特に問題とならない。
【0097】本例においては、図7(a)に示すように
一つのキャピラリ206により誘因物質とファージを一
緒に被検水に供給するものとしたが、これは、図7
(b)に示すように二つのキャピラリを使用して誘因物
質の供給により細菌が集まることを顕微鏡で確認した後
にファージ溶液を供給することもできる。
【0098】実施形態8 図6は倒立顕微鏡を用いて、スライドグラス202上面
に付着させた被検水201に実施形態7と同様にキャピ
ラリ206を用いて誘因物質とファージ溶液を供給する
ようにした例を示している。207は倒立顕微鏡のレン
ズである。
【0099】この例によれば、スライドグラス202の
上面に被検水を付着させる方式であるため、比較的大量
の被検水を付着させることができるという利点がある。
【0100】実施形態9 本例は、例えば図1〜図3のライン1に流す被検水(試
料液)を、細菌を濃厚に含む溶液を数十倍〜数千倍の所
定の希釈倍率で希釈した被検水とした場合を示すもので
あり、細菌検出のための操作は上記実施形態と同様に行
うことができる。
【0101】この例によれば、例えば微生物(細菌)の
代謝活性を利用して所定の産物を得る製造設備などにお
いて、利用微生物の活性の状態を管理することができ
る。
【0102】実施形態10 本例は、例えば図8に示されるように、例えば、図1と
同様の処理を行って得た試料液60に対して蛍光励起光
源61から光源光を照射すると共に、この励起光の照射
で、ファージから注入された蛍光物質標識核酸を有する
細菌が呈する蛍光を、例えば蛍光顕微鏡の機能を有する
ように設けられた撮像装置62で撮像し、この撮像情報
を画像処理装置(一般的にはコンピュータ)63におい
て所定の画像処理をすることによって、機械的,自動的
に、蛍光物質で染色された細菌を検出するようにした例
を示している。
【0103】なお本例の方法は、上記で説明した蛍光検
出による検出方法に限定されるものではなく、標識物質
や検出方式の違う方法で実施することができ、それらの
いくつかの例を以下に挙げる。
【0104】:CCDカメラ等によって撮像された画
像をxy方向に所定解像度で分解して背景と蛍光点を区
別して各ピクセル(画素)を検出すると共に、各蛍光点
の光強度を、例えば階調性分析法として一般的に用いら
れている0〜255の階調で各ピクセル毎に分類し、予
め定めた光強度の閾値と比較して、閾値を上回る光源を
細菌とする。この場合、閾値を上回る光源ピクセルが連
続する場合は一つの細菌と判定する。
【0105】:CCDカメラ等によって撮像された画
像をxy方向に所定解像度で分解して、各ピクセル(画
素)を背景と蛍光点とに分けて検出し、蛍光点として検
出されたピクセルのx方向やy方向の連続長さや面積を
演算し、この演算結果と、予め定めた長さや面積の閾値
を比較することで細菌を検出する。
【0106】:CCDカメラ等によって撮像された所
定色相の分光画像をxy方向に所定解像度で分解して、
各ピクセル(画素)を背景と色素検出点とに分けて検出
し、色素検出点として検出されたピクセルのx方向やy
方向の連続長さや面積を演算し、この演算結果と、予め
定めた長さや面積の閾値を比較することで細菌を検出す
る。
【0107】:上記の〜の蛍光検出点あるいは色
素検出点のうち、閾値以上のピクセルを検出点として残
すと共に、閾値以下のピクセルを背景と同じとみなして
キャンセルする(背景と同じレベルとする)画像処理を
行う。
【0108】なお、図8の例では、光学的検出手段を構
成するものとして蛍光励起光源61と撮像装置62のみ
を図示しているが、その他のレンズ系やフィルター等が
必要に応じて設けられることは当然である。また上記の
画像処理等は既知のコンピュータや画像処理技術を用い
て行うことができる。
【0109】
【実施例】
参考例1 下記(1−1)のファージ調製例により調製した大腸菌
特異的ファージT4の核酸を蛍光標識したファージを用
いて、ファージ核酸がファージ粒子内に充填された状態
にある場合に対し、粒子から放出されて拡散した状態に
ある場合に蛍光強度が増加することを確認するため次の
試験を行った。
【0110】すなわち、濃度3×108 /mlのファー
ジ溶液(蛍光標識核酸を有するファージ溶液)のサンプ
ルIと、これと同濃度のファージ溶液を、界面活性剤と
アルカリで処理してファージ粒子を破壊したサンプルII
の溶液の蛍光強度をそれぞれ測定した。
【0111】その結果、サンプルIの溶液の蛍光強度は
24.4であるのに対し、サンプルIIの溶液の蛍光強度
は52.3であり、蛍光標識されたファージ核酸は、拡
散することにより蛍光強度が2倍以上に増加することが
分かる。
【0112】参考例2 大腸菌を108 /mlになるように生理食塩水と栄養培
地にそれぞれ懸濁し、また別にシュードモナスも同じ濃
度となるように栄養培地に懸濁した。
【0113】次に、それぞれの標品に、参考例1で用い
た蛍光標識核酸を有する大腸菌特異的ファージT4を3
×109 /mlになるように添加し、37℃、10分間
放置した後、それぞれの蛍光強度を測定した。
【0114】結果は、生理食塩水に懸濁した大腸菌サン
プルの蛍光強度は25.2、栄養培地に懸濁した大腸菌
サンプルの蛍光強度は119.7、栄養培地に懸濁した
シュードモナスサンプルの蛍光強度は28.7であっ
た。
【0115】これらのことから、生理食塩水中に懸濁し
た大腸菌サンプルでは、大腸菌の栄養不足(代謝エネル
ギー不足)のためにファージの大腸菌への吸着は起こっ
てもファージ核酸の大腸菌中への注入は起こらず、蛍光
強度は参考例1と約同様の値で蛍光強度の増加が認めら
れないことが分かる。
【0116】他方、栄養培地に懸濁した大腸菌サンプル
では、ファージの吸着−ファージ核酸の大腸菌中への注
入(放出−拡散)が起こり、蛍光強度の顕著な増加が認
められた。
【0117】また、栄養培地に懸濁したシュードモナス
サンプルでは、大腸菌特異的ファージT4のシュードモ
ナスへの吸着が起こらず、またファージ核酸の放出も起
こらないため、有意差のある蛍光強度の増加は認められ
ないことが分かる。
【0118】以上の結果から、所定の栄養源の存在によ
り代謝活性のある細菌に、蛍光標識核酸を有する細菌特
異的ファージを接触させた後、蛍光強度を測定すること
により、そのファージに特異的な細菌の存否の判定が、
簡便かつ確実に行えることが分かる。
【0119】また、例えば蛍光強度と細菌数の関係を予
め確認した検量線等を用いることにより、特定細菌の定
量ができることも分かる。
【0120】(1)実施例1.バクテリオファージT4
を用いた大腸菌の検出 (1−1)蛍光標識核酸を有するファージの調製 大腸菌B株をLブロス培地(1リットル中にバクトトリ
プトン10g、酵母エキス5g、塩化ナトリウム5gを
含む)中、37℃で好気的に培養し、対数増殖期中期で
IFO(Institution for fermentation,Osaka)より入
手したバクテリオファージT4(No.20004)を添加しフ
ァージを増殖させた。ファージの増殖培養に使用する培
地は、栄養リッチな培地であれば特に限定されない。
【0121】DNAを蛍光標識したファージ粒子を調製
するために、培地にファージを加えると同時に、蛍光色
素として4,6−ジアミジノ−2−フェニルインドール
ハイドロクロライド(DAPI)を培地1リットル当た
り1mg添加した。なお蛍光色素は、ファージDNAに
親和性を持つ物質であれば特に限定されない。
【0122】ファージが大腸菌細胞内で増殖し、細胞を
溶かして培地中に放出されるまで、37℃で好気的に培
養を続けた。その後、ファージを含む培養液を低速遠心
(3000rpm 10分)して細胞の残渣を除き、塩
化ナトリウムを1Mになるように加えて溶解し、さらに
ポリエチレングリコールを10%になるように加えて溶
解し、4℃で一晩放置した。放置後生じた凝集物を遠心
(15000rpm20分)によって回収し、この沈殿
を、5mM硫酸マグネシウムを含む20mMトリス塩酸
緩衝液の少量に懸濁した。懸濁液に等量のクロロホルム
を加え、30秒間激しく攪拌した後、遠心してクロロホ
ルム層と水層を分離した。ファージを含んだ水層を採
り、30000rpm、30分の遠心により、ファージ
を回収した。得られた沈殿を少量の5mM硫酸マグネシ
ウム−20mMトリス塩酸緩衝液に懸濁した。
【0123】この懸濁液を、密度を57%、46%、3
3%とした塩化セシウムの不連続密度勾配の上に乗せ、
水平ロータで30000rpm、4℃で3時間遠心し
た。形成されたファージのバンドを採り、透析して塩化
セシウムを除去し、蛍光標識ファージの精製標品とし
た。得られたファージの精製標品の濃度は1012個/m
lであった。
【0124】(1−2)大腸菌の検出 前記蛍光標識ファージ精製標品を培養大腸菌含有溶液
(大腸菌濃度が108 個/ml)1mlに対し2μl添
加し蛍光顕微鏡下で観察したところ、大腸菌細胞が蛍光
染色されているのが確認できた。なお、ファージを添加
した大腸菌含有溶液について蛍光画像を落射蛍光顕微鏡
BH2−RFL(オリンパス社製)により撮像した顕
微鏡写真を図9(a)に示し、この画像における蛍光点
のx,y方向の連続性の長さを演算して、予め定めた閾
値以下の蛍光点をキャンセルする画像処理を行った結果
を図9(b)に示した。
【0125】他方、他の細菌株に前記蛍光標識ファージ
精製標品を添加しても、細菌細胞は蛍光染色されなかっ
た。これらのことから、ファージの宿主の認識が厳密で
あることが確認される。
【0126】また、大腸菌を塩素殺菌し、前記蛍光標識
ファージ精製標品を添加したところ蛍光は観察されなか
った。この結果から、死滅した大腸菌(死菌大腸菌)は
蛍光染色されず、ファージDNAが生菌にのみ注入され
ることが確認された。
【0127】以上の結果より、本発明の方法によれば、
蛍光標識核酸を有する大腸菌ファージを用いれば、大腸
菌をその生物活性を有する細胞のみを特異的に検出でき
ることが確認された。
【0128】(2)実施例2.フローサイトメトリーに
よる大腸菌数の測定 実施例1の(1−1)で得た蛍光標識したT4ファージ
を、1010個/ml濃度になるようpH7.5,20m
M トリス塩酸(Tris-HCl),5mM MgSO4 溶液
で稀釈したものを、流動細胞計測法を用いるフローサイ
トメトリー(バイオラッド製:BRYTE HS)で測
定したところ、蛍光粒子はほとんど検出されなかった。
【0129】これに対し、上記フローサイトメトリーを
用いて、同数のファージを含むファージ溶液に該ファー
ジの宿主である大腸菌を加えた他は全く同じ条件で測定
試験を行ったところ、蛍光強度の強い領域に多くの蛍光
粒子が検出された。
【0130】これらのファージ粒子以外の蛍光物質を添
加していない二つの測定試験の結果から、大腸菌を新た
に加えた際に出現した蛍光強度の強い粒子は、バクテリ
オファージにより注入されたファージDNAで蛍光染色
された大腸菌に由来するものであるとことは明らかであ
る。
【0131】なお、前記装置において大腸菌を添加しな
いファージ溶液において蛍光が検出されなかったのは、
該ファージDNAを有するファージ粒子が極めて微細で
あるためか、あるいはファージ中に存在するファージD
NAの形態に由来するためか必ずしも明らかではない
が、当該装置の検出限界能力以下であるためと考えられ
る。したがって、用いる光学的検出装置によっては、フ
ァージ中及び細菌中のいずれの蛍光標識ファージDNA
のいずれも検出すると共にその蛍光強度の差によって両
者の状態の違いを判別する方式の光学的手段と情報処理
手段を用いることができる。
【0132】また以上のファージDNAによる大腸菌の
蛍光検出の確認のために、大腸菌をファージを用いるこ
となく直接蛍光色素で蛍光して測定した。なお大腸菌の
直接蛍光染色は、DAPIを1μg/mlとなるように
培養大腸菌に加えることで大腸菌のDNAを染色した。
【0133】この結果、ファージで蛍光した時に出現し
たものと同じ蛍光強度を示す粒子がほぼ同数検出され
た。
【0134】以上により、本発明方法によれば、大腸菌
を直接蛍光色素で標識する従来法と同程度の蛍光検出が
可能であり、しかも本発明のファージによる細菌の蛍光
染色によれば、細菌を直接蛍光色素で染色する方法と違
って、厳密に選択された特定の細菌だけを特異的に染色
できるという利点が得られ、細菌の定量性が飛躍的に向
上する。
【0135】(3)実施例3.バクテリオファージT4
による大腸菌の選択的検出 本例においては、環境より腸内細菌を単離して、バクテ
リオファージT4による同定が可能か否かを試験した。
【0136】大阪府の下水を被検水として、デソキシコ
ーレート寒天培地(栄研化学株式会社)に塗布した。こ
の寒天培地は、大腸菌および大腸菌群に含まれる細菌が
赤色のコロニーを形成するので、他の一般細菌と区別で
きるものである。
【0137】下水を直接塗布したこの寒天培地上に生じ
たコロニーのうち、大腸菌及び大腸菌群が含まれている
と思われる赤いコロニーから50個拾って、DAPIで
標識したバクテリオファージT4による蛍光性とβ−グ
ルクロニダーゼの活性を調べた。β- グルクロニダーゼ
は大腸菌に特異的な酵素であり、この酵素の有無により
大腸菌群と大腸菌を区別できる(上水試験法;特定酵素
気質培地法)。
【0138】また同時に、バイオテスト1号(栄研化学
株式会社)でCodeによる菌種の同定を行った。結果
を下記表1に示す。表1は大腸菌および大腸菌群に含ま
れる細菌と思われる菌を同定した結果である。
【0139】
【表1】
【0140】なお、表1において「+」は活性反応があ
ったことを示し(陽性)、「−」は活性反応がなかった
ことを示す(陰性)。また、菌種の欄の空欄はバイオテ
ストにおけるCodeに該当する菌が見つからなかった
ことを意味し、菌種名の後ろに記した‘*’は、***
で示した菌種については10%以上の適合率、**は1
%以上、*は0.2%以上、無印は0.2%未満の適合
率であることを意味している。
【0141】前記の表1の結果から、β−グルクロニダ
ーゼの活性反応方法とバイオテストとの適合率は16%
であったのに対し、本発明による方法とバイオテストと
の適合率は94%であった。
【0142】このことから、本発明方法による定量性
は、従来法と比べて格段に高いことが確認される。
【0143】(4)実施例4.誘因物質による細菌の濃
縮 培養大腸菌(大腸菌濃度108 個/ml)を含む被検水
0.1mlと、実施例2で調製した蛍光標識核酸を有す
るバクテリオファージT4の精製標品と、誘因物質とし
てセリンを1mMの濃度で含む誘因物質溶液とを準備
し、実施形態7のようにしてスライドグラスの下面に被
検水を付着させて蛍光顕微鏡にセットし、その被検水
に、キャピラリ(ガラス管をバーナーで熱し引き延ばし
て作成したキャピラリー)を用いてT4ファージ精製標
品及び誘因物質溶液を注入して蛍光顕微鏡で観察した。
【0144】その観察結果を図7に示した。図7(a)
はT4ファージ精製標品及び誘因物質溶液を混合して一
つのキャピラリで被検水に注入した場合、同(b)はT
4ファージ精製標品と誘因物質溶液を別々のキャピラリ
で注入した場合の結果を示している。これらの結果から
分かるように、細菌はキャピラリ先端近傍に集まってい
て、感度のよい検出ができることが確認された。
【0145】(5)実施例5.波長が異なる2種類の蛍
光色素で標識した2種類のファージを用いた2種類の細
菌の同時検出 (5−1)蛍光標識核酸を有するファージの調製 上記実施例1(1−1)のファージの調製操作に比べ
て、蛍光色素をDAPIからアクリジンオレンジに変更
した以外は同様の操作によってアクリジンオレンジで標
識した大腸菌特異的ファージT4を調製し、また、同じ
く実施例1(1−1)のファージの調製操作に比べて、
ファージをIFOより入手したサルモネラ菌特異的ファ
ージP22(No20023)に変更した以外は同様の
操作によってDAPIで標識したサルモネラ菌特異的フ
ァージP22を調製した。
【0146】上記のアクリジンオレンジで標識した大腸
菌特異的ファージT4は、蛍光顕微鏡下で励起波長49
2nmで観察すると黄緑色の蛍光粒子として観察され、
DAPIで標識したサルモネラ菌特異的ファージP22
は、励起波長345nmで観察すると青色の蛍光粒子と
して観察された。またこれらのファージを混合して観察
しても、それぞれの蛍光色素の励起波長および蛍光波長
が異なるため、お互いの観察を干渉することはなかっ
た。
【0147】(5−2)大腸菌とサルモネラ菌の検出 ニュートリエントブロスでそれぞれ培養した菌体濃度1
9 個/mlの大腸菌とサルモネラ菌を等量づつ混合し
たものを試験液とし、これに、アクリジンオレンジで標
識した大腸菌特異的ファージT4とDAPIで標識した
サルモネラ菌特異的ファージP22をそれぞれ、1010
個/mlになるように加え、37℃で10分間静置した
後、蛍光顕微鏡下で観察し、励起波長492nmでアク
リジンオレンジで標識したファージT4によって染色さ
れた大腸菌を確認し、また励起波長345nmでDAP
Iで標識したファージP22により染色されたサルモネ
ラ菌を確認し、それぞれ10視野菌の数を数えた。励起
波長492nmで認められた大腸菌の数は20,15,
27,22,28,42,30,18,22,22で平
均24.6であった。また励起波長345nmで認めら
れたサルモネラ菌の数は、19,33,27,35,3
8,14,48,25,18,22で平均27.9であ
り、観察された菌体の数は、最初に菌体比1:1で混合
した試験液の比とよく一致した。
【0148】以上の結果より、波長(励起波長あるいは
蛍光波長)の異なる2種類(ないしそれ以上)の蛍光色
素で染色した2種類(ないしそれ以上)のファージを用
いることで、2種類(ないしそれ以上)の特定の菌を同
時に検出できることが確認された。
【0149】(6)実施例6.同じ蛍光色素で染色した
2種類のファージによる2種類の細菌の総数の測定 (6−1)蛍光標識核酸を有するファージの調製 実施例1(1−1)で調製したDAPIで標識した大腸
菌特異的ファージT4と、実施例5(5−1)で調製し
たDAPIで標識した前記サルモネラ菌特異的ファージ
P22を蛍光標識核酸を有するファージとした。
【0150】(6−2)大腸菌とサルモネラ菌の検出 ニュートリエントブロスでそれぞれ培養した菌体濃度1
8 個/mlの大腸菌とサルモネラ菌を等量づつ混合し
たものを試験液とし、これに、上記蛍光標識したファー
ジT4とファージP22をそれぞれ、1010個/mlに
なるように加え、37℃で10分間静置した後、フロー
サイトメトリーによって菌体数を測定した。この蛍光粒
子の測定値は8×107 /mlであった。
【0151】これに対し、大腸菌の培養液、及びサルモ
ネラ菌を含まない培養液を等量混合した場合の液につ
き、同様にしてフローサイトメトリーによって菌体数を
測定したところ蛍光粒子数の測定値は3×107 /ml
であり、またサルモネラ菌の培養液、及び大腸菌を含ま
ない培養液を等量混合した場合の液につき、同様にして
フローサイトメトリーによって菌体数を測定したところ
蛍光粒子数の測定値は3×107 /mlであり、それぞ
れ上記両菌を含む試験液について行った菌体数の測定値
の約半分で、よく一致した。
【0152】これらの結果から、2種類以上のファージ
を同じ色素で標識することにより、2種類以上の特定の
細菌の総数を求められることが分かる。
【0153】(7)実施例7.添加するファージ濃度の
検出結果への影響 添加するファージ濃度を変化させることにより、検出さ
れる細菌の個数や検出できるようになるまでの時間に影
響が生ずるか否かを確認する試験を行った。
【0154】(7−1)大腸菌をLブロス中に106
/mlとなるように調製し、この培養大腸菌含有溶液中
にファージ濃度104 個/ml、108 個/ml、10
9 個/ml、1010個/mlになるようにそれぞれ実施
例1の(1−1)で得た蛍光標識したT4ファージを添
加した。
【0155】(7−2)37℃でインキュベーション
し、一定時間毎に一定量(60μl)のサンプルを採取
し、フローサイトメトリーで大腸菌の計測を行った。
【0156】ファージ濃度1010個/ml、109 個/
mlのサンプルは、インキュベーション後15分で顕著
な蛍光粒子が計測され、その計測値はいずれも106
/mlであり、最初に調製した培養大腸菌濃度とよく一
致した。これらのサンプルにおいてはインキュベーショ
ンの時間を延長しても、これ以上測定値に変化は認めら
れなかった。
【0157】ファージ濃度108 個/mlのサンプルに
おいては、インキュベーション後15分の時点では顕著
な蛍光粒子の測定値は105 個/mlであり、実際の値
の10%程度の個数しか測定されなかった。しかし、こ
のサンプルにおいても、インキュベーション30分の時
点で計測すると訳106 個/mlの粒子数が計測され
た。
【0158】ファージ濃度104 個/mlのサンプルに
おいては、インキュベーション15分の時点また30分
の時点でも顕著な蛍光粒子が確認できなかった。インキ
ュベーションの時間をさらに延長しても、顕著な蛍光粒
子は確認できなかった。
【0159】以上の結果から、サンプルに添加するファ
ージの濃度が希薄であると、検出に時間を要することに
なり、また検出できない細菌の個数が増加することが示
唆された。
【0160】
【発明の効果】本発明は、バクテリオファージが宿主細
菌を特異的に認識し、生物活性を保持している宿主細菌
(生菌)にのみDNAを注入するという性質を利用する
ことによって、核酸を色素又は蛍光物質で標識したファ
ージDNAを有するバクテリオファージを特定の細菌に
接触させるだけで細菌を染色することができ、しかもこ
の染色された細菌を分光分析しあるいは蛍光検出するこ
とで、ファージDNAを有するバクテリオファージと細
菌を光学的に有意に識別できるものであるため、染色さ
れた細菌とバクテリオファージを物理的に分離する操作
を必要としないという利点が得られ、特定の細菌を、し
かも生菌のみを、迅速にかつ簡単な操作で検出・同定で
き、例えば環境水、環境空気、食品や上下水、病院,精
密機械工場,食品製造・加工工場の用水や空気において
存在が忌避される微量の細菌を検出することができると
いう効果を奏するものである。
【0161】また、本願の請求項2,16の発明によれ
ば、膜上に捕捉した細菌に注入されたファージDNAは
蛍光物質の結合(標識)により遺伝子の転写が阻害さ
れ、新たなファージ粒子の複製や細菌を溶菌する酵素群
を生成せず、細菌を蛍光染色した状態が安定に保持され
るので処理時間の影響を受けず精度の高い検出ができる
という効果が奏される。
【0162】本願の請求項3〜6,17〜19の発明に
よれば、細菌を濃縮して検出するので、精度の高い確実
な検出が実現できる。
【0163】本願の請求項7,20の発明によれば、食
品製造工場や薬品製造工場において用いる有用細菌の活
性管理に利用できるという効果を奏する。
【0164】本願の請求項8,21の発明によれば、フ
ローセル中を流れる被検水中の細菌の有無あるいは細菌
数を、リアルタイムに連続して検出・同定できるという
効果を奏する。
【0165】本願の請求項9,23の発明によれば、必
要に応じて栄養塩類を添加することで、代謝を行ってい
る状態に細菌を保持して蛍光標識したファージDNAを
該細菌に確実に注入させることができる。
【0166】本願の請求項10の発明によれば、ファー
ジが細菌に接触する可能性が増し、検出する一つの細菌
の色素による染色濃度が増し、また一つの細菌の呈する
蛍光強度を増すことができる。したがってより精度の高
い検出ができるという効果が奏される。
【0167】本願の請求項11の発明によれば、種類の
異なるファージがそれぞれ特異的に吸着する複数種類の
細菌を含む試料液に、核酸を異なる励起波長あるいは蛍
光波長の蛍光物質で標識した各細菌に特異的なファージ
を添加して、各励起波長毎あるいは蛍光波長毎に各細菌
を検出できるので、異なる種類の複数の細菌を検出する
操作を同時に行うことができる。
【0168】本願の請求項12の発明によれば、種類の
異なる複数の細菌に対してそれぞれ特異的に吸着するフ
ァージを同じ蛍光物質で標識しているので、例えば検査
しようとする細菌が、検査対象の液中に存在するか否か
を容易に調べることができる。
【0169】本願の請求項13,14,22の発明によ
れば、撮像した画像に基づいて、予め定めた閾値を基準
として細菌とファージを明瞭に区別することができ、画
像処理技術を利用して自動計測に利用することができ
る。
【0170】本願の請求項24,25の発明によれば、
屋外の検出作業時にその場所での検出を効率よく行うこ
とができる。
【0171】以上の効果を奏する本願の各発明によれ
ば、上下水、環境水、食品の細菌検査を飛躍的に向上さ
せることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態1の装置の構成概要を示した
フロー図。
【図2】本発明の実施形態2の装置の構成概要を示した
フロー図。
【図3】本発明の実施形態3の装置の構成概要を示した
フロー図。
【図4】本発明の実施形態6の装置の構成概要を示した
図。
【図5】本発明の実施形態7の方法を実施する際の操作
概要を示した図。
【図6】本発明の実施形態8の方法を実施する際の状態
を示した図。
【図7】本発明の実施形態7の方法を実施した結果の状
態を示した図。
【図8】本発明の実施形態9の方法を実施する際の構成
概要を示した図。
【図9】(a)は蛍光物質で標識された核酸を有するフ
ァージと、このファージの標識核酸が注入されて染色さ
れた細菌の蛍光を検出した状態を示した顕微鏡写真、
(b)は該顕微鏡写真を画像処理した後の図。
【符号の説明】
1・・・ライン、2,6・・・リアクタ、3・・・検出
装置、4・・・培養濃縮液、5・・・ファージ溶液、7
・・・フィルタ、41,51・・・ポンプ、52・・・
流量計、60・・・試料液、61・・・蛍光励起光源、
62・・・撮像装置、63・・・画像処理装置、201
・・・被検水、202・・・スライドグラス、203・
・・スライドグラスホルダー、204・・・蛍光顕微鏡
のレンズ、205・・・蛍光顕微鏡の台、206・・・
キャピラリ、207・・・倒立顕微鏡のレンズ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI //(C12N 1/20 C12R 1:42) (C12N 1/20 C12R 1:185)

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 核酸を色素又は蛍光物質で標識したバク
    テリオファージを宿主細菌に接触させ、色素標識核酸又
    は蛍光標識核酸が注入された細菌を光学的検出手段を用
    いて検出することを特徴とする細菌の検出方法。
  2. 【請求項2】 空気又は液に含まれる細菌を捕捉手段に
    捕捉すると共に、該細菌を宿主とし且つ核酸を色素又は
    蛍光物質で標識したバクテリオファージを該捕捉した細
    菌に接触させ、色素標識核酸又は蛍光標識核酸が注入さ
    れた細菌を光学的検出手段を用いて検出することを特徴
    とする細菌の検出方法。
  3. 【請求項3】 検出しようとする細菌を希薄に含む試料
    液中で該細菌を濃縮すると共に、該細菌を宿主とし且つ
    核酸を色素又は蛍光物質で標識したバクテリオファージ
    を前記細菌を濃縮した液中に供給することで宿主細菌に
    接触させ、色素標識核酸又は蛍光標識核酸が注入された
    細菌を光学的検出手段を用いて検出することを特徴とす
    る細菌の検出方法。
  4. 【請求項4】 請求項3において、細菌の濃縮が、膜分
    離又は遠心分離によることを特徴とする細菌の検出方
    法。
  5. 【請求項5】 請求項3において、細菌の濃縮が、検出
    しようとする特定細菌の誘因物質を試料液中の限定した
    狭い領域に供給する方法であることを特徴とする細菌の
    検出方法。
  6. 【請求項6】 請求項5において、誘因物質をキャピラ
    リで供給することを特徴とする細菌の検出方法。
  7. 【請求項7】 検出しようとする細菌を濃厚に含む試料
    液を希釈し、該細菌を宿主とし且つ核酸を色素又は蛍光
    物質で標識したバクテリオファージを前記細菌の希釈試
    料液中に供給することで宿主細菌に接触させ、色素標識
    核酸又は蛍光標識核酸が注入された細菌を光学的検出手
    段を用いて検出することを特徴とする細菌の検出方法。
  8. 【請求項8】 核酸を色素又は蛍光物質で標識したバク
    テリオファージを試料液中で宿主細菌に接触させ、色素
    標識核酸又は蛍光標識核酸が注入された細菌を流動細胞
    計測法により検出することを特徴とする細菌の検出方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項1ないし8のいずれかにおいて、
    バクテリオファージの宿主細菌に対する感染初期の吸着
    −核酸注入に必要な栄養源を該宿主細菌に対して供給す
    ることを特徴とする細菌の検出方法。
  10. 【請求項10】 請求項1ないし9のいずれかにおい
    て、蛍光物質で標識したファージが細菌を含む試料液中
    で105 〜1014個/mlとなるようにすることを特徴
    とする細菌の検出方法。
  11. 【請求項11】 請求項1ないし10のいずれかにおい
    て、種類の異なるファージの核酸をそれぞれ色相の異な
    る色素又は励起波長あるいは蛍光波長の異なる蛍光物質
    で標識したファージ試薬を用い、これらの種類の異なる
    ファージがそれぞれ特異的に吸着する複数種類の細菌を
    含む試料液に該ファージ試薬を添加して複数の細菌を同
    時に検出することを特徴とする細菌の検出方法。
  12. 【請求項12】 請求項1ないし10のいずれかにおい
    て、種類の異なるファージの核酸を同じ色素又は同じ蛍
    光物質で標識したファージ試薬を用い、これらの種類の
    異なるファージがそれぞれ特異的に吸着する複数種類の
    細菌を含む試料液に該ファージ試薬を添加して、複数の
    細菌の総数を検出することを特徴とする細菌の検出方
    法。
  13. 【請求項13】 請求項1ないし12のいずれかにおい
    て、蛍光標識核酸が注入された細菌の蛍光強度又は蛍光
    光源の大きさを計測し、その計測値と予め定めた閾値と
    を比較することにより閾値を越えた光源を細菌として検
    出することを特徴とする細菌の検出方法。
  14. 【請求項14】 請求項1ないし12のいずれかにおい
    て、光学的検出手段を用いて計測した蛍光強度又は蛍光
    光源の大きさが、予め定めた蛍光強度閾値又は光源の大
    きさ閾値以下の光源を除く画像処理をした後、処理後の
    画像から細菌の有無又は細菌数を検出することを特徴と
    する細菌の検出方法。
  15. 【請求項15】 検出対象細菌に特異的に吸着しかつ核
    酸を色素又は蛍光物質で標識したバクテリオファージを
    含む溶液を試料液に添加する手段と、色素標識核酸又は
    蛍光標識核酸が注入された細菌を検出する光学的検出手
    段とを備えたことを特徴とする請求項1ないし14の方
    法に用いる細菌の検出装置。
  16. 【請求項16】 空気又は液に含まれる細菌を膜上に捕
    捉する捕捉手段と、核酸を色素又は蛍光物質で標識した
    バクテリオファージを含むファージ溶液を該捕捉した細
    菌に接触させるファージ溶液接触手段と、色素標識核酸
    又は蛍光標識核酸が注入された細菌を検出する光学的検
    出手段とを備えたことを特徴とする請求項1ないし14
    の方法に用いる細菌の検出装置。
  17. 【請求項17】 試料液中の細菌を濃縮する手段と、核
    酸を色素又は蛍光物質で標識したバクテリオファージを
    含むファージ溶液を前記濃縮した試料液に供給するファ
    ージ溶液供給手段と、色素標識核酸又は蛍光標識核酸が
    注入された細菌を検出する光学的検出手段とを備えたこ
    とを特徴とする請求項1ないし14の方法に用いる細菌
    の検出装置。
  18. 【請求項18】 請求項17において、濃縮手段が、膜
    分離装置又は遠心分離装置であることを特徴とする細菌
    の検出装置。
  19. 【請求項19】 請求項17において、濃縮手段が、試
    料液中の限定された狭い領域内に細菌誘因物質を供給す
    る手段であることを特徴とする細菌の検出装置。
  20. 【請求項20】 細菌を濃厚に含む試料液を希釈する手
    段と、核酸を色素又は蛍光物質で標識したバクテリオフ
    ァージを含むファージ溶液を前記希釈した試料液に供給
    するファージ溶液供給手段と、色素標識核酸又は蛍光標
    識核酸が注入された細菌を検出する光学的検出手段とを
    備えたことを特徴とする細菌の検出装置。
  21. 【請求項21】 試料液をフローセル中に連続的に通過
    させる通液手段と、核酸を色素又は蛍光物質で標識した
    バクテリオファージを含むファージ溶液を前記フローセ
    ルの前段において試料液に添加するファージ溶液添加手
    段と、色素標識核酸又は蛍光標識核酸が注入された細菌
    をフローセルで検出する光学的検出手段とを備えたこと
    を特徴とする細菌の検出装置。
  22. 【請求項22】 請求項15ないし21のいずれかにお
    いて、光学的検出手段が撮像手段であり、この撮像手段
    で得た撮像画像から予め定めた蛍光強度閾値又は蛍光光
    源の大きさ閾値以下の光源を除く画像処理手段を設けた
    ことを特徴とする細菌の検出装置。
  23. 【請求項23】 請求項15ないし22のいずれかにお
    いて、バクテリオファージの宿主細菌に対する感染初期
    の吸着−核酸注入に必要な栄養源を試料液に供給する栄
    養源供給手段を設けたことを特徴とする細菌の検出装
    置。
  24. 【請求項24】 検出対象の菌が資化し得る炭素源を含
    む細菌検出用助剤、核酸を色素又は蛍光物質で標識した
    バクテリオファージ試薬、及び測定対象試料を添加する
    ために準備された反応容器とからなることを特徴とする
    請求項1ないし14の方法に用いる携帯型の細菌検出用
    キット。
  25. 【請求項25】 請求項24において、細菌検出用助剤
    は、ファージの細菌への吸着を促進する吸着助剤を含む
    ことを特徴とする携帯型の細菌検出用キット。
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