JPH10317240A - 吸湿性長短複合糸およびその製造方法 - Google Patents

吸湿性長短複合糸およびその製造方法

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JPH10317240A
JPH10317240A JP12389397A JP12389397A JPH10317240A JP H10317240 A JPH10317240 A JP H10317240A JP 12389397 A JP12389397 A JP 12389397A JP 12389397 A JP12389397 A JP 12389397A JP H10317240 A JPH10317240 A JP H10317240A
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fiber
polyester
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JP12389397A
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English (en)
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Tetsushi Murakami
哲史 村上
Shigeru Omae
茂 大前
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】高次加工の工程通過性、安定性がよく、高品位
・高品質であり、しかも、良好な吸湿特性を有し、衣料
用として用いた場合に優れた快適性を提供できる長短複
合糸とその製造方法を提供すること。 【解決手段】短繊維束およびポリエステルフィラメント
糸条からなる長短複合糸であり、該ポリエステルフィラ
メント糸条が吸放湿パラメーター(ΔMR)が1.5%
以上の吸湿率を持つ特性を有する複合繊維である長短複
合糸。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、長短複合糸とその製造
方法に関する。
【0002】さらに詳しくは、着用快適性に優れた布帛
を提供できる長短複合糸とその製造方法に関するもので
ある。
【0003】なお、本発明において、長短複合糸とは、
長繊維(フィラメント繊維)と短繊維(ステープル)と
が混用されてなる糸をいう。
【0004】
【従来の技術】従来からポリエステル繊維は、その物理
的特性、耐薬品性、耐熱性に優れているため、衣料用途
や産業用途等に広く使用されている。
【0005】しかしながら、これらのポリエステル繊維
は極めて吸湿性が低いため、インナー、肌着、シャツ、
ブラウス、スポーツ衣料などで使用する場合、発汗によ
るムレなどによるベタツキ感などを生じ、そのため天然
繊維に比べて快適性の点で劣るという問題があった。
【0006】これら問題を解決するため、特公昭60−
475号公報、特開昭60−215835号公報に記載
されているように、平衡水分率(吸湿率)の高い繊維と
合成繊維との混繊、合撚などにより布帛として吸湿性を
得るという試みが提案されているが、染色性、物理的特
性が損なわれるという問題があり、十分な効果は得られ
なかった。
【0007】また、ポリエステル繊維にアクリル酸やメ
タアクリル酸をグラフト重合すること、さらにグラフト
重合後にそれらのカルボキシル基をアルカリ金属で置換
することにより吸湿性を付与する方法が知られている
が、ポリエステルがグラフト重合しにくい素材であるこ
と、および染色堅牢性や耐光性や繊維物理特性や風合い
などの低下を潜在的に有していることから、実用化に至
っていない。
【0008】このように後加工段階で吸湿性を付与する
方法では染色時あるいは得られた布帛特性の点で種々の
問題があることから、ポリエステル繊維の製造段階で吸
湿性を付与しかつ前記問題点を解消せんとして、吸湿率
が10%以上の吸湿性樹脂を芯部とし、それを鞘部であ
るポリエステルで覆った芯鞘型複合繊維が特開平2−9
9612号公報で提案されている。しかしながら、この
方法では、染色などの熱水処理時に芯部の吸湿率が高い
がゆえに吸湿・吸水に起因した芯部と鞘部との水膨潤差
により鞘部に歪みがかかり、繊維表面にひびや割れが生
じ、商品価値が低下するばかりでなく工程トラブルを生
じる等の欠点がある。また、芯および鞘の熱可塑性樹脂
間の相溶性が乏しいため、界面での剥離が生じ商品価値
を損なうという問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上記
問題を解決し、高次加工の工程通過性、安定性がよく、
高品位・高品質であり、しかも、良好な吸湿特性を有
し、衣料用として用いた場合に優れた快適性を提供でき
る長短複合糸およびその製造方法を提供することにあ
る。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の長短複合糸は、
前記課題を解決するために次の構成を有するものであ
る。
【0011】すなわち、短繊維束およびポリエステルフ
ィラメント糸条からなる長短複合糸であり、該ポリエス
テルフィラメント糸条が吸放湿パラメーター(ΔMR)
が1.5%以上の吸湿率を持つ特性を有する複合繊維で
あることを特徴とする長短複合糸である。
【0012】また、本発明の長短複合糸の製造方法は、
前記課題を解決するために次の構成を有するものであ
る。
【0013】すなわち、吸放湿パラメーター(ΔMR)
が1.5%以上の吸湿率を持つ特性を有する複合繊維で
あるポリエステルフィラメント糸条と短繊維束を撚り合
わせ合体する際に、該ポリエステルフィラメント糸条と
該短繊維束のそれぞれの単位時間あたりの供給長さに差
を設けることを特徴とする長短複合糸の製造方法であ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
【0015】本発明に用いられるポリエステルフィラメ
ント糸条は、吸放湿パラメーター(ΔMR)が1.5%
以上の吸湿率を持つ特性を有する複合繊維よりなるもの
である。
【0016】本発明における吸放湿パラメーター(ΔM
R)とは、30℃×90%RHでの吸湿率(MR2 )か
ら20℃×65%RHでの吸湿率(MR1 )を引いた差
である(ΔMR(%)=MR2 −MR1 )。ここでΔM
Rは、衣服着用時の衣服内の湿気を外気に放出すること
により快適性を得るためのドライビングフォースであ
り、軽〜中作業あるいは軽〜中運動を行った際の30℃
×90%RHに代表される衣服内温度と20℃×65%
RHに代表される外気温湿度との吸湿率差である。本発
明では吸湿性評価の尺度として、このΔMRをパラメー
ターとして用いている。ΔMRは大きければ大きいほど
吸放湿能力が高く、着用時の快適性が良好であることに
対応する。なお、本発明に用いる複合繊維のΔMRの上
限は、製糸性・高次通過性の観点から考慮すると15%
までが好ましく、より好ましくは10%までとするのが
よい。
【0017】本発明で用いられる複合繊維は、代表的に
は、共重合ポリエステルと繊維形成性重合体から構成さ
れるものであり、複合繊維を形成する共重合ポリエステ
ルを複合繊維全重量の5重量%以上含むものである。該
複合繊維の共重合ポリエステルは繊維に吸湿性を付与す
る成分である。
【0018】共重合ポリエステルの酸成分としては、テ
レフタル酸、イソフタル酸、ナフタレン−2、6−ジカ
ルボン酸等の芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、セバシ
ン酸等の脂肪族ジカルボン酸等を用いることができる。
特に好ましいのはテレフタル酸である。また、グリコー
ル成分としてエチレングリコール、プロピレングリコー
ル、テトラメチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ネオペンチルグリコール等である。特に好ましいの
はエチレングリコールである。
【0019】共重合ポリエステルに吸湿性を付与するた
めには、親水性化合物を共重合することが有効であり、
極性基含有化合物および架橋剤は、吸湿性をさらに向上
させる補助成分として、また繊維物性を安定させる成分
として含有させる。
【0020】共重合ポリエステル中の親水性化合物の共
重合量は、吸湿性および製糸性の観点から、40〜99
重量%が必要である。さらに好ましくは50〜95重量
%、特に好ましくは55〜90重量%である。
【0021】親水性化合物の分子量は、ポリエステルと
の相溶性およびポリエステル中における分散性の観点か
ら600〜20000であることが好ましく、より好ま
しくは1000〜10000であり、さらに好ましくは
2000〜6000である。また、親水性化合物として
は、エステル形成基を1個以上含有する化合物であるの
が好ましく、特に限定されないが、代表的な化合物とし
てポリオキシアルキレン化合物、ポリオキサゾリン類、
ポリアクリルアミドとその誘導体などを用いることがで
きる。その中でも、ポリオキシアルキレン化合物が好ま
しく、ポリオキシエチレン化合物はさらに好ましい。
【0022】さらに、ポリオキシエチレン化合物の中で
もポリエチレングリコール化合物が好ましく、結晶化抑
制因子を含むポリエチレングリコールが特に好ましい。
ここで、結晶化抑制因子とは、分子鎖中あるいは末端に
存在し、ポリエチレングリコールの繰り返し単位の対称
性を乱すような有機残基のことをいう。結晶化抑制因子
とは、示鎖走査熱分析(DSC、昇温条件16℃/分)
によって求めた融点が同じ分子量のポリエチレングリコ
ールの融点より低くなることをいう。
【0023】これらの化合物は、大部分ポリエステル中
に共重合されているのが好ましいが、一部についてはポ
リマー中に分散した状態で存在していてもよい。
【0024】また、共重合ポリエステル中に含有させる
極性基含有化合物として特に限定しないが、下記一般式
(I)
【化1】 (式中R1 は有機残基、Xはエステル形成性基でありn
は1以上の整数、Yiはアミノ基、スルホン酸基、カル
ボキシル基、水酸基、アミド基、およびホスホン酸基等
の誘導体の中から選ばれる1つ以上の極性基を示す(i
≧1の整数))で表される極性基を有する化合物が好ま
しい。ここで含有とは、ポリエステル中に分散または共
重合した状態のことをいうが、特に共重合している状態
であるのが好ましい。化合物としては特にスルホン酸塩
基を有する化合物が好ましい。極性基含有化合物を含有
させることでポリマーの吸湿性がさらに高まるばかり
か、ポリマー中に水素結合やイオン性相互作用が生じ、
繊維とした場合に経時的な物性の変化が生じにくいとい
う効果が得られる。
【0025】共重合ポリエステル中の極性基含有化合物
の含有量は、糸着れの発生を防止しかつ経時的な物性の
変化を生じにくくする観点から、全ポリマーを構成する
酸成分に対して0〜50モル%が好ましく、さらに好ま
しくは2〜15モル%である。 また、共重合ポリエス
テル中に含有させる架橋剤としては、該ポリエステルと
反応して架橋構造を形成する化合物であれば、特に限定
はされないが、一般には下記一般式(II)
【化2】 (式中、R2 は3〜6価の有機残基、R3は水素あるい
はアセチル基、R4は水素あるいはアセチル基、3≦m
+n≦6を示す)で表される多官能化合物を用いること
が好ましい。ここで含有とは、ポリエステル中に分散す
ることも含むが、共重合により架橋構造をとることが好
ましい。化合物としては、トリメリット酸、ピロメリッ
ト酸等の多官能カルボン酸、グリセリン、トリメチロー
ルプロパン、ペンタエリストールなどのポリオールが好
ましいが、特に好ましいのはトリメリット酸である。架
橋剤を含有させることでポリマーの吸湿性がさらに高ま
るばかりでなく、ポリマー中に架橋構造が形成され、繊
維とした場合に経時的な物性の変化が生じにくいという
効果が得られる。
【0026】共重合ポリエステル中の架橋剤の割合は、
全ポリマーを構成する酸成分に対して0〜30モル%が
好ましく、さらに好ましくは1〜15モル%、特に好ま
しくは2〜10モル%である。該範囲とすることによ
り、吸湿性を高く保持し、製糸性が良好となり、強度等
の繊維物性が向上するので好ましい。
【0027】また、共重合ポリエステル中には極性基化
合物と架橋剤のうち少なくともいずれか一方が含有され
ていることが好ましく、両者を含むことはより好まし
い。
【0028】また、共重合ポリエステル中には、本発明
の効果が損なわれない範囲で酸化チタン、カーボンブラ
ック等の顔料、アルキルベンゼンスルホン酸塩等の界面
活性剤、各種の抗酸化剤、着色防止剤、対光剤、帯電防
止剤等が添加されていてもよい。
【0029】本発明での複合繊維において、複合繊維を
形成する繊維形成性重合体として、ポリエチレン、ポリ
プロピレン等のポリオレフィン、ナイロン6、ナイロン
66、等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート等のポリエステルを用いる
ことができるが、これらに限定されるものではない。衣
料用合成繊維として最も汎用性の高い、ポリエチレンテ
レフタレートを主体とするポリエステルを用いることが
好ましい。
【0030】また、繊維形成性重合体には酸化チタン、
カーボンブラック等の顔料のほか、各種の抗酸化剤、着
色防止剤、対光剤、帯電防止剤等が添加されていてもも
ちろんよい。
【0031】複合繊維を形成する共重合ポリエステルと
繊維形成性重合体の複合比率は、適宜に選択することが
できるが、共重合ポリエステル量は前記したように複合
繊維全重量の5重量%以上含むことが重要である。
【0032】複合比率は、染色用途および染色なしの用
途で任意に選ぶことができる。複合比率の下限は十分な
吸湿性を付与する目的から設定され、複合比率の上限は
紡糸性の低下や繊維物性の低下を防止する観点から設定
される。
【0033】また、繊維形成性重合体へ共重合ポリエス
テルを配合した合成繊維の場合、共重合ポリエステルの
配合比率は全ポリマー量に対して3〜80重量%とする
のが好ましい。より好ましくは5〜35重量%であり、
さらに好ましくは7〜30重量%である。配合比率の下
限は十分な吸湿性を付与する目的から設定され、配合比
率の上限は紡糸性の低下や繊維物性の低下を防止する観
点から設定される。
【0034】複合繊維の形態としては特に限定されない
が、芯鞘型複合繊維、芯鞘型複合中空繊維、海島型複合
繊維、張り合わせ型複合繊維、あるいはブレンド繊維等
を用いることができ、本発明の吸湿性ポリエステルを任
意の割合で構成成分として用いることができる。また、
複合繊維の形状は繊維表面にひび割れが生じなければ同
心円状でも偏心円状でもよく、繊維断面形状は丸ばかり
でなく、多角、H型、Π型などの異形断面でもよい。さ
らに、複合繊維の内部には中空部分を設けることも可能
である。
【0035】次に、本発明の長短複合糸に用いる短繊維
束について説明する。
【0036】該短繊維束は、その繊維素材は特に限定さ
れず、綿、ウール、麻などの天然繊維であっても、ポリ
エステル、アクリル、ポリアミド、ポリプロピレンなど
の合成繊維であってもよい。しかしながら、本発明では
ポリエステルフィラメント糸条を使用いていることか
ら、高次加工での染色性、物理的特性を考慮し、ポリエ
ステル素材にすることが好ましい。
【0037】また、短繊維束を構成する単繊維の断面形
状は特に限定されず、丸であっても、多角形、H形、π
形、中空などの異形断面でもよい。短繊維束を構成する
単繊維の繊度についても特に限定されないが、紡績性の
観点から考慮すると0.5〜5dが好ましい。繊維長に
ついては各種紡績方法に応じた繊維長にすればよい。
【0038】本発明の長短複合糸の番手、ヨリ数など特
に限定されないが、長短複合糸を製造する上で、短繊維
成分の長短複合糸断面構成繊維本数が40本以上となる
ように番手を決定するのが好ましい。また、ヨリ数T
は、一般紡績糸よりやや高めに設定するのがよく、T
(回/in)=K(綿番手)1/2 (K:係数)において
K=3〜4.7の範囲が好ましい。
【0039】本発明の長短複合糸は、上述したポリエス
テルフィラメント糸条と短繊維束から構成され、一方が
芯部に、もう一方が外表面に鞘部となるよう捲回してな
る構造である。芯部にポリエステルフィラメント糸条、
鞘部に短繊維束を捲回してなる構造の時は、短繊維束に
よって得られるふくらみ感、毛羽感に、フィラメントに
よる張り腰、反発感を併せ持つ素材を得ることができ
る。また、芯鞘部の構成が上述と逆の構造のときは、フ
ィラメントにより短繊維束の毛羽が抑えられて少なくな
り、糸スジの良い素材を得ることができる。
【0040】ポリエステルフィラメント糸条と短繊維束
の複合比率は、ポリエステルフィラメント糸条/短繊維
束=50〜80/50〜20(重量%)であることが好
ましい。フィラメントが60重量%以上になるとフィラ
メントリッチになり、紡績糸特有のふくらみ感、毛羽感
が薄れてしまい好ましくない。
【0041】次に、本発明の長短複合糸の製造方法につ
いて説明する。
【0042】例えば、ポリエステルフィラメント糸条と
ポリエステル短繊維束をリング精紡機を用いて合体し、
長短複合糸の表面にポリエステル短繊維束を出現させる
には撚り合わせ時における2成分の供給長さに一定の差
を維持するように合体するのが好ましい。ポリエステル
フィラメント糸条とポリエステル短繊維束のフロントロ
ーラーからの送り込み速度をそれぞれVf、Vsとする
と、2成分の速度関係はVs>Vfにあり、Vs=K・
Vf(K:係数)においてK=1.01〜1.25の範
囲を採用するのがよい。定数Kはポリエステルフィラメ
ント糸条とポリエステル短繊維束の混合比率や、ヨリ条
件などにより従属的に定まるものである。 また、長短
複合糸の表面にポリエステルフィラメント糸条を出現さ
せるには、2成分のフロントローラーからの送り込み速
度関係をVs<Vfとし、Vf=K・Vs(K:係数)
とすればよい。
【0043】さらに詳細に図面に基づいて説明すると、
図1は、本発明の長短複合糸を得るための概略図であ
る。短繊維成分の粗糸1はバックローラー2、エプロン
ローラー3およびフロントローラー4に順次供給し、所
望のフリース10を得る。
【0044】長短複合糸の表面にポリエステル短繊維束
を出現させるには、フロントボトムローラー9の上部の
フロントトップローラー4は大径、小径部を有する段付
きローラーにする。一方、ポリエステルフィラメント糸
条6は張力調整装置(テンサー)7を経てフィード装置
5を通り、フロントトップローラー4の小径部8とフロ
ントボトムローラーの隙間を通過させ、前記フリース1
0と合体させ、ヨリにより収束させ管糸に巻き取る。フ
リース10の送り出し速度Vsとポリエステルフィラメ
ント糸条の供給速度Vfの関係がVs>Vfになるよう
にフロントボトムローラー9の速度とフィード装置5の
速度を同期させ、Vs=K・Vf(K:係数)において
K=1.1〜1.2の範囲を採用するのがよい。
【0045】また、長短複合糸の表面にポリエステルフ
ィラメント糸条を出現させるには、2成分のフロントロ
ーラーからの送り込み速度関係をVs<Vfとし、Vf
=K・Vs(K:係数)とすればよい。
【0046】製織は通常の方法に従って行うことができ
るが、上記本発明の長短複合糸をタテ糸・ヨコ糸に用い
たり、タテ糸あるいはヨコ糸に使用し他の紡績糸やフィ
ラメント糸条などと交織してもよい。また、組織、密度
などは特に限定されるものでない。編成についても上記
本発明の長短複合糸100%または他素材との交編など
も行うことができる。
【0047】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて説明する。
【0048】なお、各物性値の評価方法を次に示す。
【0049】(1)吸放湿性パラメーター(ΔMR) 原糸または布帛1〜3gを用い、絶乾時の重量と20℃
×65%RHあるいは30℃×90%RHの雰囲気下、
市販の恒温恒湿器中に24時間放置後の重量との重量変
化から、次式で求めた。
【0050】吸湿率(%)=[(吸湿後の重量−絶乾後
の重量)/絶乾後の重量]×100 上記測定した20℃×65%RHおよび30℃×90%
RHの条件での吸湿率(それぞれMR1 およびMR2
する)から、吸湿率差ΔMR(%)=MR2 −MR1
求めた。
【0051】(2)官能評価 布帛の風合い、吸湿性を○(極めて良好)、△(やや問
題あり)、×(不良)の3段階で官能評価した。
【0052】[実施例1〜4、比較例1、2]共重合ポ
リエステルとして、ジメチルテレフタル酸194部、エ
チレングリコール135部、5−ナトリウムスルホイソ
フタル酸ジメチル26.6部、トリメリット酸トリメチ
ル7.5部およびテトラブチルチタネート0.1部を加
え、エステル交換反応を行った後、分子量4000のポ
リエチレングリコール328部を加え、重合を行い共重
合ポリエステルを得た。得られた共重合ポリエステルの
ΔMRは28.0%であった。
【0053】該共重合ポリエステルを芯部とし、ポリエ
チレンテレフタレートを鞘成分として、同心円芯鞘複合
用口金から芯/鞘比率(重量比)=15/85になるよ
うに吐出して未延伸糸を得、次いで延伸、熱処理するこ
とにより、ΔMRが2.8%の50デニール18フィラ
メントの同心円芯鞘複合繊維を得た。(実施例1)ま
た、共重合ポリエステル中のポリエチレングリコール共
重合比率を一定として、5−ナトリウムスルホイソフタ
ル酸ジメチル量またはトリメリット酸トリメチル量を変
更させた以外は実施例1と同様の方法により、ΔMRが
4.1%(実施例2)、ΔMRが1.4%(比較例1)
の同心円芯鞘複合繊維を得た。
【0054】長短複合糸は、短繊維束としてポリエステ
ル1.5d×38mm、100%で通常の紡績方式を経
て、0.5g/mの粗糸を作成し、精紡機に仕かけ、図
1、図2に示す段付きトップローラーの大径部に通しフ
リースを紡出した。一方、上記フィラメントをそれぞれ
クリールに仕掛け、張力調整装置(テンサー)を経てフ
ィード装置を通り、段付きトップローラーの小径部とボ
トムローラーの隙間を通過させ、前記フリースと組合せ
合体し、ヨリ数20.26T/in(K=3.7)でリ
ング・トラベラーを通し、管糸に巻き取った。すべての
場合でフリースおよびフィラメントのフィード装置から
の送り出し速度比Vs/Vfを1.03とした。このと
き、長短複合糸の番手は30Sであった。
【0055】また、フリースおよびフィラメントのフィ
ード装置からの送り出し速度比Vf/Vsを1.03と
し、ΔMRが2.8%(実施例3)、ΔMRが4.1%
(実施例4)、ΔMRが1.4%(比較例2)の同心円
芯鞘複合繊維を用いた、番手30Sの長短複合糸を得
た。
【0056】み機で目付け240g/m2 のジャージを
作製し、パネラーによる着用テストを実施した。官能評
価結果を表1に示した。
【0057】
【表1】 表1から明らかなように、比較例1、比較例2はムレ感
があり、不快感を有するものであったが、実施例1、
2、3、4はムレ感がなく快適であった。
【0058】
【発明の効果】本発明によれば、物理的特性、耐薬品
性、耐熱性に優れ、高次加工の工程通過性、安定性がよ
く、高品位・高品質であり、しかも吸湿特性を有し、衣
料用として用いた場合に快適性に優れたポリエステル繊
維製品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の長短複合糸を得るための製造方法の一
例をモデル的に示す側面概略図である。
【図2】本発明の長短複合糸を得るための製造方法の一
例をモデル的に示す要部正面拡大図である。
【符号の説明】
1:粗糸 2:バックローラー 3:エプロンローラー 4:フロントローラー 5:フィード装置 6:フィラメント糸条 7:張力調整装置(テンサー) 8:フロントトップローラーの小径部 9:フロントボトムローラー 10:フリース

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】短繊維束およびポリエステルフィラメント
    糸条からなる長短複合糸であり、該ポリエステルフィラ
    メント糸条が吸放湿パラメーター(ΔMR)が1.5%
    以上の吸湿率を持つ特性を有する複合繊維であることを
    特徴とする長短複合糸。
  2. 【請求項2】複合繊維が、共重合ポリエステルと繊維形
    成性重合体からなる複合繊維であり、複合繊維を形成す
    る共重合ポリエステルは親水性化合物を共重合したポリ
    エステルであって、極性基含有化合物および架橋剤のう
    ち少くともいずれかを含有する共重合ポリエステルを複
    合繊維全重量の5重量%以上含む複合繊維であることを
    特徴とする請求項1記載の長短複合糸。
  3. 【請求項3】芯部の短繊維束の周りに、鞘部を形成する
    ポリエステルフィラメント糸条が捲回してなることを特
    徴とする請求項1記載の長短複合糸。
  4. 【請求項4】芯部のポリエステルフィラメント糸条の周
    りに、鞘部を形成する短繊維束が捲回してなることを特
    徴とする請求項1記載の長短複合糸。
  5. 【請求項5】ポリエステルフィラメント糸条と短繊維束
    の複合比率が、ポリエステルフィラメント糸条/短繊維
    束=50〜80/50〜20(重量%)であることを特
    徴とする請求項1記載の長短複合糸。
  6. 【請求項6】ヨリ数Tが次の範囲内であることを特徴と
    する請求項1記載の長短複合糸。 T(回/in)=K(綿番手)1/2 (Kは係数であり、K=3〜4.7の範囲)
  7. 【請求項7】複合繊維の吸放湿パラメーター(ΔMR)
    が15%以下であることを特徴とする請求項1記載の長
    短複合糸。
  8. 【請求項8】吸放湿パラメーター(ΔMR)が1.5%
    以上の吸湿率を持つ特性を有する複合繊維であるポリエ
    ステルフィラメント糸条と短繊維束を撚り合わせ合体す
    るに際し、該ポリエステルフィラメント糸条と該短繊維
    束のそれぞれの単位時間あたりの供給長さに差を設ける
    ことを特徴とする長短複合糸の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN103504486A (zh) * 2013-09-29 2014-01-15 吴江市凌通纺织整理有限公司 一种多功能记忆耐磨面料

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