JPH10316964A - 赤色蛍光変換膜及びそれを用いた発光素子 - Google Patents

赤色蛍光変換膜及びそれを用いた発光素子

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JPH10316964A
JPH10316964A JP9130798A JP13079897A JPH10316964A JP H10316964 A JPH10316964 A JP H10316964A JP 9130798 A JP9130798 A JP 9130798A JP 13079897 A JP13079897 A JP 13079897A JP H10316964 A JPH10316964 A JP H10316964A
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JP
Japan
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conversion film
light
red
fluorescence conversion
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JP9130798A
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English (en)
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Yoshiharu Sato
佳晴 佐藤
Akiko Ichinosawa
晶子 市野澤
Yukichi Murata
勇吉 村田
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Mitsubishi Chemical Corp
Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 赤色領域での発光特性の向上した有機電
界発光素子を得る。 【解決手段】 下記一般式で表されるベンゾチオキサン
テン誘導体を光透過性媒体に分散させて成る赤色蛍光変
換膜。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は赤色蛍光変換膜及び
それを用いた発光素子に関するものであり、詳しくは、
青から黄色の可視光領域の光を高い変換効率で赤色光に
変換できる赤色蛍光変換膜、及び、この赤色蛍光変換膜
と発光部とからなり、高い変換効率で赤色発光を放出す
る発光デバイスに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、赤色蛍光色素としては、ローダミ
ン系色素、フェノキサゾン系色素、オキサジン系色素、
フタロシアニン顔料が知られている。ローダミン系色素
は両性イオン構造やイオン性塩の構造を有しており、水
溶性であるために、分散媒体としては極性を有するもの
が必要とされる。そのような媒体中に色素を分散させた
膜は、吸湿性を示すものが多く、安定した赤色変換膜と
はならない。フェノキサゾン系色素は、蛍光の量子効率
が低く、変換効率の低いものしか得られない。オキサジ
ン系色素もローダミン系色素と同様にイオン性の塩で存
在するために、吸湿性の問題を有している。フタロシア
ニン顔料は、赤色領域より長波長領域に蛍光極大を有す
るために、効率のよい赤色蛍光変換材料とはならない。
【0003】従って、赤色領域に蛍光を示す高効率の色
素が望まれているのが現状である。一方、赤色領域に発
光を示す発光素子としては、III-V族化合物半導体によ
る発光ダイオードが広く用いられているが、ランプとし
ての使われ方であり、面発光源とはならず、フラットパ
ネル・ディスプレイとはなっていない。薄膜型の電界発
光(EL)素子としては、無機材料のII−VI族化合物半
導体であるCaSに発光中心であるEu原子をドープし
たものが、赤色発光を示すことが知られているが、上記
の無機材料から作製したEL素子は、交流駆動が必要
( 50〜1000Hz)であると同時に駆動電圧が高く( 〜20
0V)、周辺駆動回路のコストが高いという問題点を有
している。さらには、他のII−VI族化合物半導体のZn
SやSrS等を含めても青色発光を示す材料がなく、赤
色発光の問題が解決したとしてもフルカラー化が困難で
ある。
【0004】しかし、近年、上記問題点の改良のため、
有機薄膜を用いたEL素子の開発が行われるようになっ
た。特に、発光効率を高めるため、電極からのキャリア
ー注入の効率向上を目的として電極の種類の最適化を行
い、芳香族ジアミンから成る正孔輸送層と8−ヒドロキ
シキノリンのアルミニウム錯体から成る発光層とを設け
た有機電界発光素子の開発(Appl. Phys. Lett., 51巻,
913頁,1987年)により、従来のアントラセン等の単結
晶を用いたEL素子と比較して発光効率の大幅な改善が
なされ、実用特性に近づいている。
【0005】上記の様な低分子材料を用いた電界発光素
子の他にも、発光層の材料として、ポリ(p−フェニレ
ンビニレン)(Nature, 347巻, 539頁, 1990年他)、ポ
リ[2-メトキシ-5-(2-エチルヘキシルオキシ)-1,4-フ
ェニレンビニレン](Appl.Phys. Lett., 58巻, 1982
頁, 1991年 他)、ポリ(3-アルキルチオフェン)(Jp
n. J. Appl. Phys, 30巻, L1938頁, 1991年 他)等の高
分子材料を用いた電界発光素子の開発や、ポリビニルカ
ルバゾール等の高分子に低分子の発光材料と電子移動材
料を混合した素子(応用物理, 61巻, 1044頁, 1992年)
の開発も行われている。
【0006】また、例えば、8−ヒドロキシキノリンの
アルミニウム錯体をホスト材料として、クマリン等のレ
ーザ用蛍光色素をドープすること(J. Appl. Phys.,65
巻,3610頁,1989年)等も行われている。これらの技術
開発の結果、青色発光に関しては、ジスチリルアリレン
をホスト材料として、適当なドープ色素の検討により、
高効率(1.5 lm/W)で色純度のよい素子が得られている
(Appl. Phys. Lett., 67巻, 3853頁, 1995年)。緑色
発光については、8−ヒドロキシキノリンのアルミニウ
ム錯体をホスト材料として、キナクリドン等の蛍光顔料
をドープすることで高効率(10.8 lm/W )で鮮明な緑色
発光が達成されている(月刊ディスプレイ、9月号、32
頁、1995年、テクノタイムズ社)。しかしながら、赤色
発光に関しては、オレンジ色発光が報告されているにと
どまっている(J. Appl. Phys.,65巻,3610頁,1989
年)。
【0007】上記の赤色発光の問題を改善するために、
青色発光素子からの青色光を励起光源とし、赤色蛍光色
素を樹脂に分散させた蛍光変換層を使用することが検討
されているが(Proc. 15th Int. Display Research Con
ference, 269頁, 1995年)、この方式においても蛍光量
子効率が高く色純度の高い赤色蛍光色素が必要であり、
まだ十分な特性が得られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これまでに開示されて
いる有機電界発光素子では、可視長波長領域、特に、赤
色領域での発光効率及び色純度がまだ不十分である。こ
のことは、高効率の赤色蛍光色素がまだ開発されていな
いことにより、更なる改良検討が望まれていた。有機電
界発光素子の赤色領域での発光特性が改善されないこと
は、フルカラー化が不可能なことを意味し、カーナビゲ
ーション、携帯情報端末、ノート型パソコン等のフラッ
トパネル・ディスプレイ素子として使われる可能性がな
くなり、有機電界発光素子の応用範囲を狭めることとな
る。
【0009】本発明者等は、上記実状に鑑み、赤色領域
で高発光効率で蛍光を放出する赤色蛍光色素並びにそれ
を用いた赤色蛍光変換膜、さらに前記赤色蛍光変換膜を
用いた有機電界発光素子を提供することを目的として鋭
意検討した結果、特定の化合物を透明媒体に分散させ、
有機電界発光素子を発光部とすることが好適であること
を見い出し、本発明を完成した。
【0010】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、下記一般式(I)で表されるベンゾチオキサンテン
誘導体を光透過性媒体に分散させたものからなる赤色蛍
光変換膜、及び、前記赤色蛍光変換膜と発光部とからな
る発光素子に存する。
【0011】
【化2】
【0012】(式中、R1 〜R7 は各々独立に、水素原
子、ハロゲン原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル
基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアルキ
ル基、アラルキル基、アルケニル基、アミノ基、アミド
基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、芳香族炭
化水素環基または芳香族複素環基を示す。)
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の赤色蛍光変換膜及
びそれを用いた発光素子について、図面を参照しながら
説明する。実用目的に使用される赤色蛍光色素に対して
は、高効率で色純度の高い蛍光スペクトルを有すること
は必要条件として言うまでもないが、さらに、濃度消光
がないこと、耐光性及び耐熱性にすぐれ、樹脂への分散
性がよいことが要求される。
【0014】本発明で用いられるベンゾチオキサンテン
誘導体は、基本骨格が剛直なことから上記の要求を満足
すると同時に、π電子共役系がひろがって長波長領域の
蛍光が得られる構造になっている。また、置換基の導入
により適当な溶媒に可溶となり、分散性にもすぐれいて
いる。前記一般式(I)において、R1 〜R7 として
は、好ましくは、水素原子;塩素原子、臭素原子等のハ
ロゲン原子;シアノ基;ニトロ基;ヒドロキシル基;カ
ルボキシル基;置換基を有していてもよいメチル基、エ
チル基等の炭素数1〜6のアルキル基;置換基を有して
いてもよいベンジル基、フェネチル基等のアラルキル
基;置換基を有していてもよい2−クロロアリル基等の
アルケニル基;置換基を有していてもよいジメチルアミ
ノ基、ジエチル基アミノ基、ジフェニルアミノ基等のア
ミノ基;置換基を有していてもよいアセタミド基等のア
ミド基;置換基を有していてもよいメトキシ基、エトキ
シ基、シクロヘキシロキシ基等の炭素数1〜6のアルコ
キシ基;置換基を有していてもよいメトキシカルボニル
基、エトキシカルボニル基等の炭素数1〜6のアルコキ
シカルボニル基;置換基を有していてもよいフェニル
基、ナフチル基、アセナフチル基、アントリル基等の芳
香族炭化水素基;置換基を有していてもよいチエニル
基、カルバゾル基、インドリル基、フリル基等の複素環
基等を示す。これらに置換する置換基としてはメチル
基、エチル基等の炭素数1〜6のアルキル基;メトキシ
基等の炭素数1〜6のアルコキシ基;フェノキシ基、ト
リオキシ基等のアリールオキシ基;ベンジルオキシ基等
のアリールアルコキシ基;フェニル基、ナフチル基等の
アリール基;ジメチルアミノ基等の置換アミノ基等が挙
げられる。
【0015】特に好ましくは、水素原子、塩素原子等の
ハロゲン原子、ヒドロキシル基、炭素数1〜6のアルキ
ル基、炭素数1〜6のアルコキシ基が選ばれる。これら
のベンゾチオキサンテン誘導体の合成法は、例えば、特
公昭44− 24910号公報やDyes and Pigments(3巻, 59
頁, 1982年)等に示されている。このようにして得られ
る上記誘導体の好ましい具体例を以下の表−1に例示す
るが、これらに限定されるものではない。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】前記ベンゾチオキサンテン誘導体を光透過
性媒体に分散させて、赤色蛍光変換膜を得る。光透過性
媒体としては、可視光領域で透明な樹脂が用いられ、例
えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカ
ーボネート(PC)、ポリスチレン(PS)、ポリプロ
ピレン(PP)、ポリエステル(PET)、ポリサルホ
ン等の樹脂を用いることができる。分散は、THF、ジ
クロロメタン、トルエン等の適当な溶媒に、透明樹脂及
びベンゾチオキサンテン色素を、ベンゾチオキサンテン
色素が樹脂に対して 0.1〜20重量%となる濃度で溶解さ
せた後、スピンコートやディップコート法により適当な
ガラス基板等の透明基板上に0.5〜100μmの厚みで塗布
する。塗布後、加熱等の手段により硬化させる。
【0019】また、透明性のある光硬化性樹脂やクリア
レジスト(例えば、新日鉄化学(株)製;V-259PA)等
も光透過性媒体として使用でき、適当な溶媒を用いて透
明樹脂の場合と同様にして色素を分散させ、スピンコー
トやディップコート法により塗布する。塗布後、紫外線
光等により硬化させる。
【0020】本発明のベンゾチオキサンテン誘導体は、
緑色領域に吸収極大を有するので、励起光源が緑色光ま
たは白色光の場合は、直接励起で赤色蛍光を発生する
が、励起光が青色光の場合には、青色領域での吸収が少
ないことから、直接励起による赤色発光は非常に効率が
低くなる。従って、青色から、一度、緑色に発光を変換
させてから赤色蛍光色素を励起することが必要となる。
この目的のために、青色領域に吸収極大を有する緑色蛍
光色素を、本発明のベンゾチオキサンテン誘導体と混合
することが有効である。前記緑色蛍光色素としては、ナ
フタル酸イミド色素またはクマリン系色素が好ましい。
前記ナフタル酸イミド色素としては、例えば、以下の色
素が用いられ、
【0021】
【化3】
【0022】前記クマリン系色素としては、例えば、以
下の色素が挙げられる。
【0023】
【化4】
【0024】上記に示した方法で、本発明の赤色蛍光変
換膜は形成される。次に、本発明の発光部として用いら
れる有機電界発光素子について添付図面に従い説明す
る。図1は本発明に用いられる一般的な有機電界発光素
子の構造例を模式的に示す断面図であり、1は基板、2
は陽極、3は有機発光層、4は陰極を各々表わす。
【0025】基板1は有機電界発光素子の支持体となる
ものであり、石英やガラスの板、金属板や金属箔、プラ
スチックフィルムやシートなどが用いられる。特にガラ
ス板や、ポリエステル、ポリメタクリレート、ポリカー
ボネート、ポリスルホンなどの透明な合成樹脂の板が好
ましい。合成樹脂基板を使用する場合にはガスバリア性
に留意する必要がある。基板のガスバリヤ性が低すぎる
と、基板を通過する外気により有機電界発光素子が劣化
することがあるので好ましくない。このため、合成樹脂
基板のどちらか片側もしくは両側に緻密なシリコン酸化
膜等を設けてガスバリア性を確保する方法も好ましい方
法の一つである。
【0026】基板1上には陽極2が設けられるが、陽極
2は有機発光層3への正孔注入の役割を果たすものであ
る。この陽極は、通常、アルミニウム、金、銀、ニッケ
ル、パラジウム、白金等の金属、インジウム及び/また
はスズの酸化物などの金属酸化物、ヨウ化銅などのハロ
ゲン化金属、カーボンブラック、あるいは、ポリ(3-メ
チルチオフェン)、ポリピロール、ポリアニリン等の導
電性高分子などにより構成される。陽極2の形成は通
常、スパッタリング法、真空蒸着法などにより行われる
ことが多い。また、銀などの金属微粒子、ヨウ化銅など
の微粒子、カーボンブラック、導電性の金属酸化物微粒
子、導電性高分子微粉末などの場合には、適当なバイン
ダー樹脂溶液に分散し、基板1上に塗布することにより
陽極2を形成することもできる。さらに、導電性高分子
の場合は電解重合により直接基板1上に薄膜を形成した
り、基板1上に導電性高分子を塗布して陽極2を形成す
ることもできる(Appl. Phys. Lett., 60巻, 2711頁, 1
992年 )。陽極2は異なる物質で積層して形成すること
も可能である。陽極2の厚みは、必要とする透明性によ
り異なる。透明性が必要とされる場合は、可視光の透過
率を、通常、60%以上、好ましくは80%以上とすること
が望ましく、この場合、厚みは、通常、5〜1000nm、好
ましくは10〜500nm程度である。不透明でよい場合は陽
極2は基板1と同一でもよい。また、さらには上記の陽
極2の上に異なる導電材料を積層することも可能であ
る。
【0027】陽極2の上には有機発光層3が設けられる
が、有機発光層3は、電界を与えられた電極間におい
て、陽極から注入された正孔と陰極から注入された電子
を効率よく輸送して再結合させ、かつ、再結合により効
率よく発光する材料から形成される。通常、この有機発
光層3は発光効率の向上のために、図2に示すように、
正孔輸送層3aと電子輸送層3bに分割して機能分離型にす
ることが行われる(Appl. Phys. Lett., 51巻,913頁,
1987年)。
【0028】上記の機能分離型素子において、正孔輸送
層3aの材料に要求される条件としては、陽極2からの正
孔注入効率が高く、かつ、注入された正孔を効率よく輸
送することができる材料であることが必要である。その
ためには、イオン化ポテンシャルが小さく、可視光の光
に対して透明性が高く、しかも正孔移動度が大きく、さ
らに安定性に優れ、トラップとなる不純物が製造時や使
用時に発生しにくいことが要求される。上記の一般的要
求以外に、車載表示用の応用を考えた場合、素子にはさ
らに耐熱性が要求される。従って、Tgとして70℃以上の
値を有する材料が望ましい。
【0029】このような正孔輸送材料としては、例え
ば、1,1-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェニル)シクロ
ヘキサン等の3級芳香族アミンユニットを連結した芳香
族ジアミン化合物(特開昭59−194393号公報)、4,4'-
ビス[N-(1-ナフチル)-N-フェニルアミノ]ビフェニ
ルで代表される2個以上の3級アミンを含み2個以上の
縮合芳香族環が窒素原子に置換した芳香族アミン(特開
平5−234681号公報)、トリフェニルベンゼンの誘導体
でスターバースト構造を有する芳香族トリアミン(米国
特許第4,923,774号)、N,N'-ジフェニル-N,N'-ビス(3-
メチルフェニル)ビフェニル-4,4'-ジアミン等の芳香族
ジアミン(米国特許第4,764,625号)、α,α,α',α'-
テトラメチル-α,α'-ビス(4-ジ-p-トリルアミノフェ
ニル)-p-キシレン(特開平3−269084号公報)、分子
全体として立体的に非対称なトリフェニルアミン誘導体
(特開平4−129271号公報)、ピレニル基に芳香族ジア
ミノ基が複数個置換した化合物(特開平4−175395号公
報)、エチレン基で3級芳香族アミンユニットを連結し
た芳香族ジアミン(特開平4−264189号公報)、スチリ
ル構造を有する芳香族ジアミン(特開平4−290851号公
報)、チオフェン基で芳香族3級アミンユニットを連結
したもの(特開平4−304466号公報)、スターバースト
型芳香族トリアミン(特開平4−308688号公報)、ベン
ジルフェニル化合物(特開平4−364153号公報)、フル
オレン基で3級アミンを連結したもの(特開平5−2547
3号公報)、トリアミン化合物(特開平5−239455号公
報)、ビスジピリジルアミノビフェニル(特開平5−32
0634号公報)、N,N,N-トリフェニルアミン誘導体(特開
平6−1972号公報)、フェノキサジン構造を有する芳香
族ジアミン(特開平7−138562号公報)、ジアミノフェ
ニルフェナントリジン誘導体(特開平7−252474号公
報)、ヒドラゾン化合物(特開平2−311591号公報)、
シラザン化合物(米国特許第4,950,950号公報)、シラ
ナミン誘導体(特開平6−49079号公報)、ホスファミ
ン誘導体(特開平6−25659号公報)、キナクリドン化
合物等が挙げられる。これらの化合物は、単独で用いて
もよいし、必要に応じて、各々、混合して用いてもよ
い。
【0030】上記の化合物以外に、正孔輸送層の材料と
して、ポリビニルカルバゾールやポリシラン(Appl. Ph
ys. Lett.,59巻,2760頁,1991年) 、ポリフォスファ
ゼン(特開平5−310949号公報)、ポリアミド(特開平
5−310949号公報)、ポリビニルトリフェニルアミン
(特開平7−53953号公報)、 トリフェニルアミン骨格
を有する高分子(特開平4−133065号公報)、トリフェ
ニルアミン単位をメチレン基等で連結した高分子(Synt
hetic Metals,55-57巻,4163頁,1993年)、 芳香族ア
ミンを含有するポリメタクリレート(J. Polym. Sci.,
Polym. Chem.Ed.,21巻,969頁,1983年)等の高分子材
料が挙げられる。
【0031】上記の正孔輸送材料を塗布法あるいは真空
蒸着法により前記陽極2上に積層することにより正孔輸
送層3aを形成する。塗布法の場合は、正孔輸送材料を1
種または2種以上と、必要により正孔のトラップになら
ないバインダー樹脂や塗布性改良剤などの添加剤とを添
加し、溶解して塗布溶液を調製し、スピンコート法など
の方法により陽極2上に塗布し、乾燥して正孔輸送層4
を形成する。バインダー樹脂としては、ポリカーボネー
ト、ポリアリレート、ポリエステル等が挙げられる。バ
インダー樹脂は添加量が多いと正孔移動度を低下させる
ので、少ない方が望ましく、通常、50重量%以下が好
ましい。
【0032】真空蒸着法の場合には、正孔輸送材料を真
空容器内に設置されたルツボに入れ、真空容器内を適当
な真空ポンプで10−4Pa程度にまで排気した後、ルツボ
を加熱して、正孔輸送材料を蒸発させ、ルツボと向き合
って置かれた基板1上の陽極2上に正孔輸送層を形成さ
せる。正孔輸送層3aの膜厚は、通常、10〜300nm、好ま
しくは30〜100nmである。この様に薄い膜を一様に形成
するためには、一般に真空蒸着法がよく用いられる。
【0033】陽極2と正孔輸送層3aのコンタクトを向上
させるために、図3に示す様に、陽極と正孔輸送層の間
に陽極バッファ層3a'を設けることが考えられる。陽極
バッファ層に用いられる材料に要求される条件として
は、陽極とのコンタクトがよく均一な薄膜が形成でき、
熱的に安定、すなわち、融点及びガラス転移温度が高
く、融点としては 300℃以上、ガラス転移温度としては
100℃以上が要求される。さらに、イオン化ポテンシャ
ルが低く陽極からの正孔注入が容易なこと、正孔移動度
が大きいことが挙げられる。この目的のために、これま
でにポルフィリン誘導体やフタロシアニン化合物(特開
昭63−295695号公報)、スターバスト型芳香族トリアミ
ン(特開平4−308688号公報)、ヒドラゾン化合物(特
開平4−320483号公報)、アルコキシ置換の芳香族ジア
ミン誘導体(特開平4−220995号公報)、p-(9-アント
リル)-N,N-ジ-p-トリルアニリン(特開平3−111485号
公報)、ポリチエニレンビニレンやポリ−p−フェニレ
ンビニレン(特開平4−145192号公報)、ポリアニリン
(Appl. Phys. Lett., 64巻,1245頁, 1994年参照)等の
有機化合物や、スパッタ・カーボン膜(特開平8− 315
73号公報)や、バナジウム酸化物、ルテニウム酸化物、
モリブデン酸化物等の金属酸化物(第43回応用物理学関
係連合講演会,27a-SY-9,1996年)が報告されている。
【0034】上記陽極バッファ層材料としてよく使用さ
れる化合物としては、ポルフィリン化合物またはフタロ
シアニン化合物が挙げられる。これらの化合物は中心金
属を有していてもよいし、無金属のものでもよい。好ま
しいこれらの化合物の具体例としては、以下の化合物が
挙げられる: ポルフィン 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンコバル
ト(II) 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン銅(I
I) 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィン亜鉛
(II) 5,10,15,20-テトラフェニル-21H,23H-ポルフィンバナジ
ウム(IV)オキシド 5,10,15,20-テトラ(4-ピリジル)-21H,23H-ポルフィン 29H,31H-フタロシアニン 銅(II)フタロシアニン 亜鉛(II)フタロシアニン チタンフタロシアニンオキシド マグネシウムフタロシアニン 鉛フタロシアニン 銅(II)4,4',4'',4'''-テトラアザ-29H,31H-フタロシ
アニン
【0035】陽極バッファ層の場合も、正孔輸送層と同
様にして薄膜形成可能であるが、無機物の場合には、さ
らに、スパッタ法や電子ビーム蒸着法、プラズマCVD
法が用いられる。以上の様にして形成される陽極バッフ
ァ層3a'の膜厚は、通常、3〜100nm、好ましくは10〜50
nmである。
【0036】正孔輸送層3aの上には電子輸送層3bが設け
られる。電子輸送層は、電界を与えられた電極間におい
て陰極からの電子を効率よく正孔輸送層3aの方向に輸送
することができる化合物より形成される。電子輸送層3b
に用いられる電子輸送性化合物としては、陰極4からの
電子注入効率が高く、かつ、注入された電子を効率よく
輸送することができる化合物であることが必要である。
そのためには、電子親和力が大きく、しかも電子移動度
が大きく、さらに安定性に優れトラップとなる不純物が
製造時や使用時に発生しにくい化合物であることが要求
される。
【0037】このような条件を満たす材料としては、テ
トラフェニルブタジエンなどの芳香族化合物(特開昭57
− 51781号公報)、8−ヒドロキシキノリンのアルミニ
ウム錯体などの金属錯体(特開昭59−194393号公報)、
10-ヒドロキシベンゾ[h]キノリンの金属錯体(特開平6
−322362号公報)、混合配位子アルミニウムキレート錯
体(特開平5−198377号公報、特開平5−198378号公
報、特開平5−214332号公報、特開平6−172751号公報
シクロペンタジエン誘導体(特開平2−289675号公
報)、ペリノン誘導体(特開平2−289676号公報)、オ
キサジアゾール誘導体(特開平2−216791号公報)、ビ
ススチリルベンゼン誘導体(特開平1−245087号公報、
同2−222484号公報)、ペリレン誘導体(特開平2−18
9890号公報、同3− 791号公報)、クマリン化合物(特
開平2−191694号公報、同3− 792号公報)、希土類錯
体(特開平1−256584号公報)、ジスチリルピラジン誘
導体(特開平2−252793号公報)、p−フェニレン化合
物(特開平3− 33183号公報)、チアジアゾロピリジン
誘導体(特開平3− 37292号公報)、ピロロピリジン誘
導体(特開平3− 37293号公報)、ナフチリジン誘導体
(特開平3−203982号公報)、シロール誘導体(日本化
学会第70春季年会,2D1 02及び2D1 03,1996年)などが
挙げられる。
【0038】電子輸送層3bの膜厚は、通常、10〜200 n
m、好ましくは30〜100 nmである。電子輸送層も正孔輸
送層と同様の方法で形成することができるが、通常は真
空蒸着法が用いられる。素子の発光効率を向上させると
ともに発光色を変える目的で、例えば、8−ヒドロキシ
キノリンのアルミニウム錯体をホスト材料として、クマ
リン等のレーザ用蛍光色素をドープすること(J. Appl.
Phys., 65巻, 3610頁, 1989年)等が行われている。こ
の方法の利点は、 1)高効率の蛍光色素により発光効率が向上、 2)蛍光色素の選択により発光波長が可変、 3)濃度消光を起こす蛍光色素も使用可能、 4)薄膜性のわるい蛍光色素も使用可能、 等が挙げられる。
【0039】素子の駆動寿命を改善する目的において
も、前記電子輸送材料をホスト材料として、蛍光色素を
ドープすることは有効である。例えば、8−ヒドロキシ
キノリンのアルミニウム錯体などの金属錯体をホスト材
料として、ルブレンに代表されるナフタセン誘導体(特
開平4−335087号公報)、キナクリドン誘導体(特開平
5− 70773号公報)、ペリレン等の縮合多環芳香族環
(特開平5−198377号公報)を、ホスト材料に対して
0.1〜10重量%ドープすることにより、素子の発光特
性、特に駆動安定性を大きく向上させることができる。
【0040】ホスト材料としては、例えば、電子輸送層
3bがその役割を果たす場合、前述の電子輸送性化合物が
挙げられ、正孔輸送層3aがホスト材料としての役割を果
たす場合、前述の芳香族アミン化合物やヒドラゾン化合
物が挙げられる。上記ドーパントが正孔輸送層および/
または電子輸送層中にドープされる場合、各層の膜厚方
向において均一にドープされるが、膜厚方向において濃
度分布があっても構わない。例えば、正孔輸送層との界
面近傍にのみドープしたり、逆に、陰極界面近傍にドー
プしてもよい。
【0041】これらの化合物を用いた電子輸送層3bは、
電子を輸送する役割と、正孔と電子の再結合の際に発光
をもたらす役割を同時に果している。正孔輸送層3aが発
光機能を有する場合は、電子輸送層3bは電子を輸送する
役割だけを果たす。有機電界発光素子の発光効率をさら
に向上させる方法として、電子輸送層3bの上にさらに電
子注入層を積層することもできる。この電子注入層に用
いられる化合物には、陰極からの電子注入が容易で、電
子の輸送能力がさらに大きいことが要求される。この様
な電子輸送材料としては、既に電子輸送層材料として挙
げた8−ヒドロキシキノリンのアルミ錯体、オキサジア
ゾール誘導体(Appl. Phys.Lett., 55巻, 1489頁, 1989
年他) やそれらをポリメタクリル酸メチル(PMM
A)等の樹脂に分散した系(Appl. Phys. Lett.,61
巻,2793頁, 1992年 )、フェナントロリン誘導体(特
開平5−331459号公報 )、2-t-ブチル-9,10-N,N'-ジシ
アノアントラキノンジイミン(Phys. Stat. Sol. (a),
142巻, 489頁, 1994年)、n型水素化非晶質炭化シリコ
ン、n型硫化亜鉛、n型セレン化亜鉛等が挙げられる。
電子注入層の膜厚は、通常、5〜200nm、好ましくは10〜
100 nmである。機能分離を行わない単層型の有機発光層
3としては、先に挙げたポリ(p-フェニレンビニレン)
(Nature, 347巻, 539頁,1990年;Appl.Phys.Lett., 6
1巻, 2793頁,1992年)、ポリ[2-メトキシ,5-(2'-エチ
ルヘキソキシ)-1,4-フェニレンビニレン](Appl. Phys.
Lett., 58巻,1982頁,1991年;Thin Solid Films,216
巻,96頁,1992年;Nature,357巻,477頁,1992年)、
ポリ(3-アルキルチオフェン)(Jpn. J. Appl. Phys., 3
0巻,L1938頁,1991年;J. Appl. Phys., 72巻,564
頁,1992年)等の高分子材料や、ポリビニルカルバゾー
ル等の高分子に発光材料と電子移動材料を混合した系
(応用物理,61巻,1044頁,1992年)が挙げられる。
【0042】陰極4は、有機発光層3に電子を注入する
役割を果たす。陰極として用いられる材料は、前記陽極
2に使用される材料を用いることが可能であるが、効率
よく電子注入を行なうには、仕事関数の低い金属が好ま
しく、スズ、マグネシウム、インジウム、カルシウム、
アルミニウム、銀等の適当な金属またはそれらの合金が
用いられる。陰極4の膜厚は通常、陽極2と同様であ
る。低仕事関数金属から成る陰極を保護する目的で、こ
の上にさらに、仕事関数が高く大気に対して安定な金属
層を積層することは素子の安定性を増す。この目的のた
めに、アルミニウム、銀、ニッケル、クロム、金、白金
等の金属が使われる。
【0043】尚、図1とは逆の構造、すなわち、基板上
に陰極4、有機発光層3、陽極2の順に積層することも
可能であり、既述したように少なくとも一方が透明性の
高い2枚の基板の間に本発明の有機電界発光素子を設け
ることも可能である。同様に、図2から図3に示した前
記各層構成とは逆の構造に積層することも可能である。
本発明において、前記赤色蛍光変換膜と、発光部として
有機電界発光素子を用いて発光素子を形成する方法につ
いて、以下に添付図面を用いて説明する。
【0044】有機電界発光素子の構造としては、図1に
示したものを例にとって以下に説明する。図4に示す方
法では、赤色蛍光変換膜5は透明基板1の素子と反対側
の表面に形成され、透明基板を通過する素子からの発光
を変換する。図5に示す方法では、赤色蛍光変換膜5は
透明基板1と陽極2の間に形成されるので、透明基板1
の厚さに由来する水平方向の視野角による位置ずれがな
い。
【0045】図6に示す方法では、図1に示した素子構
造を反転させて、基板1とは反対側に発光を取り出す。
赤色蛍光変換膜5は、素子と対向さて配置させた透明支
持体6の素子と反対側の表面に形成され、素子の上部か
ら放出された発光を変換する。尚、基板1と透明支持体
は適当なスペーサを用いて、1〜20μmの距離で光硬化
樹脂や熱硬化樹脂により貼り合わされ素子を外気から遮
断し、封止された構造を同時に達成している。
【0046】図7に示す方法は、図6と同様の構造であ
るが、赤色蛍光変換膜5が透明支持体6の素子と対向す
る側に形成されており、図5の構造と同様に、視野角に
よる位置ずれがない構造となっている。上記の図4〜図
7に示した構造は、いずれも単色発光の場合について説
明したものである。青、緑、赤の3色からなる多色発光
素子やフルカラー素子を得る場合の方法をさらに、典型
的な例により説明する。
【0047】図8の方法では、陽極2と陰極4は、例え
ば、単純マトリクスパネルにおける互いに直交するスト
ライプ状の行と列ラインを形成している。5bと5cは蛍光
変換層を示し、各々、緑色蛍光変換膜と赤色蛍光変換膜
からなる。蛍光変換膜の凹凸を平坦化する層7の上に、
蛍光変換膜と位置合わせをしてパターン形成をした、陽
極2a〜2cが積層される。有機発光層3は青色発光する材
料から構成されているので、2aに対応する光はそのまま
青色で、2bと2cでは、緑と赤色の蛍光に変換されて多色
発光素子となる。図9の方法では、素子の構造を反転さ
せて、蛍光変換膜を透明支持体6の素子と対向する表面
にパターン形成した他は、図8と同様の原理で動作す
る。
【0048】
【実施例】次に、本発明を実施例によって更に具体的に
説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の
実施例の記載に限定されるものではない。 実施例1 ベンゾチオキサンテン誘導体(本文中の表−1の化合物
(10))を4mgとPMMAを0.6gをクロロホルム4
mlに溶解させた。この溶液を用いて、ガラス基板上に
ディップコート法によりベンゾチオキサンテン誘導体の
樹脂分散膜を形成した。真空中60℃で加熱乾燥した後、
この膜の厚さを触針法により測定したところ80μmであ
った。上記の膜の吸収極大波長は 535nmであり、緑色よ
り短波長の光を効率よく吸収し、水銀ランプ(波長 365
nm)で励起した時の測定した蛍光スペクトルの極大波長
は 620nmであった。上記の作製法により、平坦な表面を
有し、 535nm(緑色)より短波長の光に対して変換効率
が高い赤色蛍光変換膜が得られた。
【0049】実施例2 ベンゾチオキサンテン誘導体として、本文中の表−1の
化合物(22)を用いた他は、実施例1と同様にして赤色
蛍光変換膜を得た。吸収極大波長は 535nmであり、蛍光
極大波長は645nmであった。 実施例3 以下の構造式に示すナフタル酸イミド誘導体
【0050】
【化5】
【0051】を、ベンゾチオキサンテン誘導体と等量
(4mg)加えた他は実施例2と同様にして、樹脂分散
膜を形成した。この膜に水銀ランプからの光を照射した
ところ、実施例2と同様に赤色の蛍光のみ観測された。 実施例4 以下の構造式に示すクマリン誘導体
【0052】
【化6】
【0053】を、ベンゾチオキサンテン誘導体と等量加
えた他は実施例2と同様にして、樹脂分散膜を形成し
た。この膜に水銀ランプからの光を照射したところ、実
施例2と同様に赤色の蛍光のみ観測された。
【0054】実施例5 図2に示す積層構造を有する有機電界発光セルを発光部
として、図5に示す構造を有する有機電界発光素子を以
下の方法で作製した。ガラス基板上(厚さ 1.1mm)に実
施例2と同様にしてベンゾチオキサンテン誘導体(22)
の樹脂分散膜からなる赤色蛍光変換膜を形成した後、ス
パッタリング法により、インジウム・スズ酸化物(IT
O)透明導電膜を 120nmの膜厚で積積した。この積層膜
を、通常のフォトリソグラフィ技術と塩酸エッチングを
用いて2mm幅のストライプにパターニングして陽極を形
成した。パターン形成したITO基板を、アセトンによ
る超音波洗浄、純水による水洗、イソプロピルアルコー
ルによる超音波洗浄の順で洗浄後、窒素ブローで乾燥さ
せ、最後に紫外線オゾン洗浄を行って、真空蒸着装置内
に設置した。上記装置の粗排気を油回転ポンプにより行
った後、装置内の真空度が2x10-6Torr(約2,7x10-4Pa)
以下になるまで液体窒素トラップを備えた油拡散ポンプ
を用いて排気した。上記装置内に配置されたセラミック
るつぼに入れた、以下に示す4,4'-ビス[N-(1-ナフチ
ル)-N-フェニルアミノ]ビフェニル(H−1)
【0055】
【化7】
【0056】をるつぼの周囲のタンタルヒーターで加熱
して行った蒸着を行った。この時のるつぼの温度は、 2
20〜 240℃の範囲で制御した。蒸着時の真空度は2.8x10
-6Torr(約3.7x10-4Pa)で、蒸着速度0.4nm/秒で膜厚60
nmの正孔輸送層3aを得た。引続き、電子輸送層3bの材料
として、以下の構造式に示すアルミニウムの8−ヒドロ
キシキノリン錯体、Al(C96NO)3(E−1)、
【0057】
【化8】
【0058】を正孔輸送層と同様にして蒸着を行った。
この時のアルミニウムの8−ヒドロキシキノリン錯体の
るつぼ温度は 275〜285℃の範囲で制御し、蒸着時の真
空度は2.5x10-6Torr(約3.3x10-4Pa)、蒸着速度は0.3
〜0.4nm/秒で、蒸着された電子輸送層の膜厚は75nmで
あった。上記の正孔輸送層3a及び電子輸送層3bを真空蒸
着する時の基板温度は室温に保持した。
【0059】ここで、電子輸送層3bまでの蒸着を行った
素子を一度前記真空蒸着装置内より大気中に取り出し
て、陰極蒸着用のマスクとして 2mm幅のストライプ状シ
ャドーマスクを、陽極2のITOストライプとは直交す
るように素子に密着させて、別の真空蒸着装置内に設置
して有機層と同様にして装置内の真空度が2x10-6Torr
(約2.7x10-4Pa)以下になるまで排気した。続いて、陰
極4として、マグネシウムと銀の合金電極を2元同時蒸
着法によって膜厚44nmとなるように蒸着した。蒸着はモ
リブデンボートを用いて、真空度1x10-5Torr(約1.3x10
-3Pa)、蒸着時間3分20秒で行った。また、マグネシウ
ムと銀の原子比は10:1.4 とした。さらに続いて、装置
の真空を破らないで、アルミニウムをモリブデンボート
を用いて40nmの膜厚でマグネシウム・銀合金膜の上に積
層して陰極4を完成させた。アルミニウム蒸着時の真空
度は1.5x10-5Torr(約2.0x10-3Pa)、蒸着時間は1分20
秒であった。以上のマグネシウム・銀合金とアルミニウ
ムの2層型陰極の蒸着時の基板温度は室温に保持した。
【0060】以上の様にして、2mmx2mm のサイズの発光
面積部分を有する有機電界発光素子が得られた。この素
子に、陽極を正、陰極を負の極性にして、直流電圧8V
を印加して、ガラス基板側から観測すると、 640nmを極
大波長とする赤色の鮮明な発光が得られた。CIE色度
座標としては、x=0.68、y=0.32であり、色純度のよ
い赤色発光であった。赤色蛍光変換膜を設けないで、同
様の素子を作製すると、発光は 535nmの緑色であるの
で、緑色から赤色への蛍光変換が効率よく達成された。 比較例1 赤色蛍光色素として以下の色素
【0061】
【化9】
【0062】を、実施例1と同様にして蛍光変換膜とし
て用い、実施例5と同様にして、有機電界発光素子を作
製したところ、発光波長の極大は 600nmでオレンジ色の
発光であった。 実施例6 赤色蛍光変換膜として実施例4で作製したものを用い
て、電子輸送層として、以下に示すアルミニウムの2核
錯体
【0063】
【化10】
【0064】を用いた他は、実施例5と同様にして発光
部を形成して有機電界発光素子を作製した。この素子か
らも鮮明な赤色発光が観測された。赤色蛍光変換膜を設
けないで、同様の素子を作製すると、発光は 480nmの青
色であるので、青色から赤色への蛍光変換が効率よく達
成された。クマリン誘導体を加えない赤色蛍光変換膜を
用いると、素子からの発光は、青色発光が蛍光変換膜で
十分吸収されずに青色発光として観測され、赤色発光と
はならなかったので、クマリン誘導体を介在して、青色
発光が赤色発光に変換されることが確認された。
【0065】
【発明の効果】本発明の有機電界発光素子によれば、特
定のベンゾチオキサンテン誘導体を含有する赤色蛍光変
換膜を有するために、赤色領域で発光特性の向上した素
子を得ることができる。従って、本発明による有機電界
発光素子はフラットパネル・ディスプレイ(例えばOA
コンピュータ用や壁掛けテレビ)として、特に、多色発
光素子やフルカラー表示素子としての応用が考えられ、
その技術的価値は大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】有機電界発光素子の一例を示した模式断面図。
【図2】有機電界発光素子の別の例を示した模式断面
図。
【図3】有機電界発光素子の別の例を示した模式断面
図。
【図4】本発明における有機電界発光素子の一例を示し
た模式図。
【図5】本発明における有機電界発光素子の一例を示し
た模式図。
【図6】本発明における有機電界発光素子の一例を示し
た模式図。
【図7】本発明における有機電界発光素子の一例を示し
た模式図。
【図8】本発明における有機電界発光素子の一例を示し
た模式図。
【図9】本発明における有機電界発光素子の一例を示し
た模式図。
【符号の説明】
1 基板 2、2a〜2c 陽極 3 有機発光層 3a 正孔輸送層 3b 電子輸送層 3a' 陽極バッファ層 4 陰極 5 赤色蛍光変換膜 5b、5c 赤色蛍光変換膜及び緑色蛍光変換膜 6 透明支持体 7 平坦化層

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表されるベンゾチオ
    キサンテン誘導体を光透過性媒体に分散させて成る赤色
    蛍光変換膜。 【化1】 (式中、R1 〜R7は各々独立に、水素原子、ハロゲン
    原子、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、カルボキ
    シル基、置換基を有していてもよいアルキル基、アラル
    キル基、アルケニル基、アミノ基、アミド基、アルコキ
    シ基、アルコキシカルボニル基、芳香族炭化水素環基ま
    たは芳香族複素環基を示す。)
  2. 【請求項2】 前記ベンゾチオキサンテン誘導体と、青
    色領域に吸収極大を有し緑色領域に蛍光極大を有する緑
    色蛍光色素とを、光透過性媒体に分散させたことを特徴
    とする請求項1記載の赤色蛍光変換膜。
  3. 【請求項3】 前記緑色蛍光色素がナフタル酸イミド系
    色素であることを特徴とする請求項2記載の赤色蛍光変
    換膜。
  4. 【請求項4】 前記緑色蛍光色素がクマリン系色素であ
    ることを特徴とする請求項2記載の赤色蛍光変換膜。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかに記載の赤色蛍
    光変換膜と発光部とからなる発光素子。
  6. 【請求項6】 発光部が有機電界発光素子である請求項
    5記載の発光素子。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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