JPH103082A - 液晶表示素子用スペーサ及びその製造方法並びに液晶表示素子 - Google Patents

液晶表示素子用スペーサ及びその製造方法並びに液晶表示素子

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JPH103082A
JPH103082A JP27633696A JP27633696A JPH103082A JP H103082 A JPH103082 A JP H103082A JP 27633696 A JP27633696 A JP 27633696A JP 27633696 A JP27633696 A JP 27633696A JP H103082 A JPH103082 A JP H103082A
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JP27633696A
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Toru Takahashi
徹 高橋
Hiroko Minamino
裕子 南野
Yasuhiko Nagai
康彦 永井
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 液晶表示素子用スペーサの間及び周りで液晶
の異常配向現象が起こらず、均質で良好な画像が得られ
る液晶表示素子を製造できる液晶表示素子用スペーサ及
びその製造方法、並びに、その液晶表示素子を提供す
る。 【解決手段】 懸濁重合により得られる重合体微粒子で
あって、上記重合体微粒子の表面を構成する重合体にフ
ッ素が0.2〜15%存在する液晶表示素子用スペー
サ、及び、配向膜及び透明電極が配置された2枚のガラ
ス基板が、この液晶表示素子用スペーサを介して対向さ
れ、上記ガラス基板間に液晶が封入されている液晶表示
素子。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶表示素子用ス
ペーサ及び液晶表示素子に関する。更に詳細には、初期
状態及び高電圧印加時におけるスペーサ周り及びスペー
サ間の液晶の異常配向を防止し、均一な表示を可能とす
る液晶表示素子用スペーサ及び液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来のスペーサを用いたツイステッドネ
マチック(TN)モードの液晶表示素子は、図1に示さ
れるように、1対の基板8、10と、この基板8と10
の間に封入されたネマチック液晶11と、基板8、10
の周囲に充填されたシール部材1と基板8、10の表面
に被覆された偏光シート12、13を構成材料とし、上
記1対の基板8、10間のギャップを一定に保持するた
めに、基板8、10間にはスペーサ9が配置されてい
る。
【0003】上記基板8、10は、ガラス製透明基板
2、5の片面にITO膜等からなる透明電極3、6のパ
ターンを形成し、この透明電極3、6及び透明基板2、
5の表面にポリイミド膜等からなる配向制御膜4、7を
被覆することにより得られる。上記配向制御膜4、7に
はラビングによって配向制御処理が施される。
【0004】上記スペーサ9用材料としては、一般に、
有機又は無機材料が使用される。無機材料のスペーサと
しては、酸化アルミ、二酸化ケイ素等を含むものが挙げ
られる(特開昭63−73225号公報、特開平1−5
99974号公報等)。しかし、従来の無機材料のスペ
ーサは、硬度が高いために配向膜を傷つけたり、熱膨
張、収縮による厚み変化が基板に追随し難いためギャッ
プむら不良の原因となっていた。
【0005】また、有機材料のスペーサは、配向膜を傷
つけない適度の硬度を有し、熱膨張や熱収縮による厚み
の変化に追随し易く、更にセル内でのスペーサ移動が少
ない等の特性があり、主としてポリスチレン系やベンゾ
グアナミン系ポリマー等が用いられている(特開昭60
−200228号公報、特開平1−293316号公報
等)。
【0006】しかしながら、上記スペーサを使用して作
製された液晶表示素子は、セルの作製直後(以下「初期
状態」という)及び高電圧印加後に液晶スペーサ周りで
液晶の異常配向が発生するという問題があった。特にス
ーパーツイステッドネマチック(STN)液晶を使用し
た表示装置では、その傾向が顕著となり均質な画像を保
持できない等の問題点があった。
【0007】この異常配向の原因は、液晶分子がスペー
サ周りに配向するためであり、更に、この異常配向の大
小は液晶分子の配向の程度に依存するものと推定されて
いる。
【0008】このような異常配向を解決するために、ス
ペーサの誘電率(特開平6−67182号公報)やスペ
ーサ表面組成(特開平6−118421号公報)を変え
る検討が行われている。
【0009】しかしながら、上記いずれの方法において
も、重合段階で油滴同士の合着を防ぐために界面保護剤
が添加される。界面保護剤としては、重合分散媒である
水及び重合する単量体の両者に親和性のある水溶性高分
子が使用されるが、洗浄後も除去されずに微粒子表面上
に残存する。このような水溶性高分子に覆われた微粒子
を液晶表示素子用スペーサとして使用すると、親水基と
液晶とが相互に強く作用して異常配向現象(ドメイン状
及び光抜け)が発生する等の問題点があった。
【0010】更に、これまでのスペーサでは、基板上へ
の散布時にスペーサ同士の凝集を起こすことがあった。
特に、最近では液晶表示素子の基板面積が大型化し、乾
式法による散布方法が採用されるために、スペーサ散布
工程での凝集が問題となっている。このため、スペーサ
にフッ素を含有させる検討が行われており、例えば、フ
ルオロアルキル基及びパーフルオロアルキル基その他を
有するエチレン性不飽和化合物を主成分とするポリマー
を架橋性重合体微粒子の表面及び内部に有するスペーサ
であって絶縁性にすぐれたスペーサの製造方法(特開平
4−27917号公報)、種ポリマーにフッ素含有単量
体を吸収させ重合する方法であって粒子の凝集防止に優
れた技術(特公平4−69645号公報)等が開示され
ている。
【0011】しかし、いずれも異常配向防止を目的にし
ておらず、また、スペーサにフッ素を含有させることに
より、凝集性や異常配向は低減するが、基板への付着性
が著しく低下したり、湿式による散布ができない等の問
題点があった。更に、懸濁重合、シード重合等の水系媒
体中で行う重合を行う場合、重合時にフッ素含有単量体
を多量に仕込んでもフッ素含有単量体が疎水性であるの
で、これを微粒子表面に多く存在させることは困難であ
った。
【0012】このように、従来の微粒子重合方法では、
スペーサとしての充分な力学的強度、散布性、付着性を
付与させると同時に異常配向をなくすることはできなか
った。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記に鑑
み、液晶表示素子用スペーサの間及び周りで液晶の異常
配向現象が起こらず、均質で良好な画像が得られる液晶
表示素子を製造できる液晶表示素子用スペーサ及びそれ
を用いた液晶表示素子を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明1は、懸濁重合に
より得られる重合体微粒子であって、上記重合体微粒子
の表面を構成する重合体にフッ素が0.2〜15重量%
存在する液晶表示素子用スペーサである。以下に本発明
を詳述する。
【0015】本発明1の液晶表示素子用スペーサは、懸
濁重合により得られる重合体微粒子である。本発明1の
液晶表示素子用スペーサは、上記重合体微粒子の表面を
構成する重合体にフッ素が0.2〜15重量%存在す
る。0.2重量%未満であると、スペーサの異常配向防
止効果が充分でなく、15重量%を超えると、ガラス基
板上で移動し液晶のセルギャップ精度を低下させ、ま
た、湿式散布性が低下してしまう等の問題が生じるの
で、上記範囲に限定される。好ましくは、3〜10重量
%である。
【0016】本発明1において、上記表面を構成する重
合体の組成は、光電子分光装置JPS−90SX(JE
OL社製)により測定することができる。本発明におけ
る表面とは、このような表面の分析により求められるも
のを意味するが、その分析方法は、上述した方法に特に
限定されない。
【0017】上記重合体微粒子は、例えば、フッ素含有
単量体、その他の単量体及び架橋性単量体を、重合開始
剤の存在下で懸濁重合によって共重合することにより得
られる。
【0018】上記フッ素含有単量体としては特に限定さ
れず、例えば、トリフルオロエチル(メタ)アクリレー
ト、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、ペ
ンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、オクタフ
ルオロアミル(メタ)アクリレート、ヘプタデカフルオ
ロデシル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチルエ
チル(メタ)アクリレート、2−(N−エチルパーフロ
ロオクタスルホアミド)エチル(メタ)アクリレート、
3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート、3−パーフルオロヘキシル−2−ヒ
ドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフル
オロオクチル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、3−(パーフルオロ−3−メチルブチル)−2
−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−(パ
ーフルオロ−5−メチルヘキシル)−2−ヒドロキシプ
ロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−7
−メチルオクチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート、3−(パーフルオロ−8−メチルデシ
ル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等
の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;フッ化ビニリデ
ン、トリフルオロクロルエチレン、3フッ化エチレン、
4フッ化エチレン、トリフルオロプロピレン、ヘキサフ
ルオロプロピレン等が挙げられる。これらは単独で用い
てもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0019】上記その他の単量体としては、上記架橋性
単量体と共重合可能なエチレン性不飽和基を有する単量
体が好ましく、例えば、スチレン、α−メチルスチレ
ン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロ
メチルスチレン等のスチレン誘導体;塩化ビニル;酢酸
ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル類;ア
クリロニトリル等の不飽和ニトリル類;(メタ)アクリ
ル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アク
リル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ステアリル、エチレングリコー
ル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アク
リレート等の(メタ)アクリル酸エステル誘導体;ブタ
ジエン、イソプレン等の共役ジエン類等の重合体等が挙
げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上
を併用してもよい。
【0020】上記架橋性単量体としては、スペーサの強
度を向上させる観点から、エチレン性不飽和基を2つ以
上有する架橋性単量体が好ましく、例えば、ジビニルベ
ンゼン、エチレンオキシドジ(メタ)アクリレート、テ
トラエチレンオキシドジ(メタ)アクリレート、1,6
−ヘキサンジオールアクリレート、ネオペンチルグリコ
ールジアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メ
タ)アクリレート、テトラメチロールメタントリアクリ
レート、テトラメチロールプロパンテトラ(メタ)アク
リレート、ジアリルフタレート及びその異性体、トリア
リルイソシアヌレート及びその誘導体、ポリエチレング
リコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリ
コールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。これら
は単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよ
い。
【0021】上記架橋性単量体の含有量は、全単量体量
(フッ素含有単量体と重合性単量体と架橋性単量体とを
合わせた量)中、10〜95重量%であることが好まし
い。10重量%未満であると、スペーサの力学的強度が
低下することがあり、95重量%を超えると、異常配向
及び付着性に対する充分な効果が得られないことがあ
る。
【0022】上記重合開始剤としては特に限定されず、
例えば、過酸化ベンゾイル、過酸化ラウロイル、オルソ
クロロ過酸化ベンゾイル、オルソメトキシ過酸化ベンゾ
イル、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサ
イド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエー
ト、ジ−t−ブチルパーオキサイド等の有機過酸化物;
アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスシクロヘキサカ
ルボニトリル、アゾビス(2,4−ジメチルベレロニト
リル)等のアゾ系化合物等が挙げられる。
【0023】上記重合体微粒子の重合工程においては、
重合体微粒子の分散安定性を向上させるために各種の界
面活性剤、高分子分散安定剤等の分散安定剤を使用して
もよい。上記界面恬性剤としては、例えば、アニオン
系、カチオン系、ノニオン系等が使用される。上記高分
子系分散安定剤としては、例えば、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルエーテル、ポリビニルピロリドン、ゼラ
チン、デンプン、ヒドロキシエチルセルロース、ポリエ
チレングリコール、ポリプロピレン共重合体等が挙げら
れる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併
用してもよい。
【0024】上記重合体微粒子の平均粒径は、1〜15
μmが好ましい。
【0025】本発明1の液晶表示素子用スペーサは、ス
ペーサ表面を構成する重合体にフッ素を0.2〜15重
量%含有することにより、スペーサ周り及びスペーサ間
の配向異常を防止し、液晶表示素子作製工程においてス
ペーサ同士の凝集がなく基板上への良好な散布性及び散
布後の付着性を有する。
【0026】本発明2は、重合体微粒子からなる液晶表
示素子用スペーサであって、前記重合体微粒子の表面を
構成する重合体に水酸基を有するフッ素系官能基が存在
する液晶表示素子用スペーサである。
【0027】上記重合体微粒子の表面を構成する重合体
において、水酸基を有するフッ素系官能基成分の含有量
は2〜80重量%が好ましい。2重量%未満であると、
スペーサの異常配向を防止する効果が充分でなく、80
重量%を超えると、スペーサの力学的強度が低下する。
【0028】上記重合体微粒子は、例えば、水酸基を有
するフッ素含有単量体、その他の単量体及び架橋性単量
体を、重合開始剤の存在下で懸濁重合によって共重合す
ることにより得られる。
【0029】上記水酸基を有するフッ素含有単量体とし
ては、例えば、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘ
キシル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、3−パーフルオロオクチル−2−ヒドロキシプロピ
ル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ−3−メ
チルブチル)−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリ
レート、3−(パーフルオロ−5−メチルヘキシル)−
2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3−
(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒドロキ
シプロピル(メタ)アクリレート、3−(パーフルオロ
−8−メチルデシル)−2−ヒドロキシプロピル(メ
タ)アクリレート等が挙げられる。
【0030】上記その他の単量体及び架橋性単量体とし
ては、本発明1で説明したものと同様のものが挙げられ
る。上記架橋性単量体は、スペーサの強度を向上させる
ために使用され、その含有量は、全単量体(水酸基を有
するフッ素含有単量体+その他の重合性単量体+架橋性
単量体)中、10〜95重量%であることが好ましい。
10重量%未満であると、スペーサの力学的強度が低下
することがあり、95重量%を超えると、異常配向及び
付着性に対する充分な効果が得られないことがある。
【0031】上記重合開始剤としては、本発明1で説明
したものと同様のもの等が挙げられる。
【0032】上記重合体微粒子はシード重合によって合
成してもよく、シード重合方法としては、例えば、特公
平1−32945号公報等に記載されている方法等が挙
げられる。
【0033】上記シード重合は、例えば、水酸基を有す
るフッ素含有単量体をシード粒子に吸収させて重合を行
う。上記シード粒子としては特に限定されず、例えば、
上記その他の単量体又は架橋性単量体を、乳化重合、ソ
ープフリー重合、分散重合又は懸濁重合したもの等が挙
げられる。更に、このシード粒子を、水、アルコール、
水とアルコールとの混合液等の親水性有機液体中に分散
させ、水酸基を有するフッ素含有単量体を添加してシー
ド粒子に吸収させた後、シード重合を行えばよい。ま
た、水酸基を有するフッ素含有単量体に、その他の単量
体や架橋性単量体を混合してシード重合を行ってもよ
い。
【0034】上記重合体微粒子を得る方法は、特にこれ
らの方法に限定されず、ほかにも、粒子の表面修飾反
応、水酸基を有するフッ素含有単量体を含有する樹脂に
よる粒子表面のコーティング等の方法を用いることがで
きる。上記重合体微粒子の平均粒径は、1〜15μmが
好ましい。
【0035】本発明3は、重合体微粒子からなる液晶表
示素子用スペーサであって、上記重合体微粒子の表面を
構成する重合体にスルホアミド基を有するフッ素系官能
基が存在する液晶表示素子用スペーサである。
【0036】上記重合体微粒子の表面を構成する重合体
において、スルホアミド基を有するフッ素系官能基成分
の含有量は、2〜80重量%が好ましい。2重量%未満
であると、スペーサの異常配向を防止する効果が充分で
ないことがあり、80重量%を超えると、スペーサの付
着性、散布性が低下することがある。
【0037】本発明3においては、異常配向を防止する
ために、上記重合体微粒子の表面を構成する重合体に、
上記スルホアミド基を有するフッ素系官能基成分が存在
することが必要である。上記重合体微粒子の表面を構成
する重合体の組成は、飛行時間型二次イオン質量分析装
置(TOF−SIMS)により、分析することができ
る。この装置によれば0.2μm角の面積部を厚さ方向
の0.01μm程度の極表面だけを分析することがで
き、検出される質量スペクトルのカウント数から、各組
成の表面を構成する重合体における割合を算出すること
ができる。
【0038】本発明3における表面とは、このような極
表面の分析により求められるものを意味するが、その分
析方法は上述した方法に特に限定されない。
【0039】上記重合体微粒子は、例えば、スルホアミ
ド基を有するフッ素含有単量体、その他の単量体及び架
橋性単量体を、重合開始剤の存在下で、通常の界面活性
剤及び適度な親水性を示す高分子分散剤を用いた懸濁重
合によって共重合することにより得られる。
【0040】上記スルホアミド基を有するフッ素含有単
量体としては、例えば、2−(N−エチルパーフロロオ
クタスルホアミドエチルアクリレート、2−(N−エチ
ルパーフロロオクタスルホアミド)エチルメタクリレー
トが挙げられる。
【0041】上記その他の単量体、架橋性単量体及び重
合開始剤としては、本発明1で説明したものと同様のも
の等が挙げられる。上記重合体微粒子はシード重合によ
って合成してもよく、シード重合方法としては、例え
ば、特公平1−32945号公報等に記載されている方
法等が挙げられる。上記シード重合では、例えば、スル
ホアミド基を有するフッ素含有単量体をシード粒子に吸
収させて重合を行う。
【0042】上記シード粒子としては特に限定されず、
例えば、上記その他の単量体又は架橋性単量体を、乳化
重合、ソープフリー重合又は懸濁重合したものが挙げら
れる。更に、このシード粒子を、水、アルコール、水と
アルコールとの混合液等の親水性有機液体中に分散さ
せ、スルホアミド基を有するフッ素含有単量体を添加し
てシード粒子に吸収させた後、シード重合を行えばよ
い。また、スルホアミド基を有するフッ素含有単量体
に、その他の単量体や架橋性単量体を混合してシード重
合を行ってもよい。
【0043】上記重合体微粒子を得る方法は、特にこれ
らの方法に限定されず、ほかにも、粒子の表面修飾反
応、スルホアミド基を有するフッ素含有単量体を含有す
る樹脂による粒子表面のコーテイング等の方法を用いる
ことができる。上記重合体微粒子の平均粒径は、1〜1
5μmが好ましい。
【0044】本発明4は、重合体微粒子からなる液晶表
示素子用スペーサであって、前記重合体微粒子の表面を
構成する重合体にフッ素及び下記式(1)で表される非
イオン性親水ユニットが存在する液晶表示素子用スペー
サである。
【0045】
【化2】
【0046】式中、Rは、アルキレン基を表す。上記重
合体微粒子の表面を構成する重合体におけるフッ素の含
有量は、2〜50重量%が好ましい。2重量%未満であ
ると、スペーサの異常配向を防止する効果が充分ではな
いことがあり、50重量%を超えると、付着性、散布性
が大きく低下することがある。
【0047】上記重合体微粒子の表面を構成する重合体
において、上記式(1)で表される非イオン性親水ユニ
ットの含有量は、10〜60重量%が好ましい。10重
量%未満であると、付着性、湿式散布性が低下すること
があり、60重量%を超えると、スペーサの異常配向防
止に効果がなくなることがあり、更に、上記式(1)で
表される非イオン性親水ユニットは弱い親水性であるた
め、かえって異常配向を起こすことがある。
【0048】本発明4の液晶表示素子用スペーサは、異
常配向防止効果はあるが、付着性、湿式散布性に難のあ
るフッ素基と、異常配向防止に効果はないが付着性、湿
式散布性に効果のある非イオン性親水ユニットとが、重
合体微粒子の表面を構成する重合体にバランスよく存在
することによって、要求される特性を満足することがで
きる。
【0049】本発明4においては、異常配向を防止する
ために、重合体微粒子の表面を構成する重合体に上記二
つの成分がバランスよく存在することが必要である。上
記重合体微粒子表面を構成する重合体の組成は、上記飛
行時間型二次イオン質量分析装置(TOF−SIMS)
により、分析することができる。上記表面の分析方法
は、本発明3で説明したものと同じである。
【0050】上記重合体微粒子は、通常の懸濁重合で容
易に合成することができるが、例えば、以下の2通りの
方法が挙げられる。一つは、フッ素含有単量体、その他
の単量体及び架橋性単量体を、重合開始剤の存在下で上
記式(1)で表される非イオン性親水ユニットを有する
水溶性高分子分散剤を用いて共重合する方法である。他
方は、フッ素含有単量体、その他の単量体及び架橋性単
量体と、上記式(1)で表される非イオン性親水ユニッ
トを有する単量体又は架橋性単量体とを、通常の界面活
性剤を用いて共重合する方法である。
【0051】上記式(1)で表される非イオン性親水ユ
ニットを有する水溶性高分子としては、例えば、エチレ
ンオキサイドの開環重合によって得られ、R=CH2
2であるもの等が挙げられる。そのうち、低重合度の
ものは、ポリエチレングリコールであり、高重合度のも
のは、ポリエチレンオキサイドである。
【0052】上記式(1)で表される非イオン性親水ユ
ニットを有す水溶液高分子は、上記R=CH2 CH2
エチレンオキサイド構造単独でもよいし、R=CH2
2CH2 のプロピレンオキサイド構造を有するもの等
との共重合体であってもよい。上記水溶性高分子の分子
量は、1万〜20万が好ましい。1万未満であると、洗
浄によって容易に容易に洗われて、表面に残りにくいこ
とがある。
【0053】上記式(1)で表される非イオン性親水ユ
ニットを有する単量体又は架橋成分としては、例えば、
ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリ
オキシエチレンモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート及びこれらのジ
(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0054】上記フッ素含有単量体、その他の単量体、
架橋性単量体及び重合開始剤としては、本発明1で説明
したものと同様のもの等が挙げられる。上記重合体微粒
子の平均粒径は、1〜15μmが好ましい。
【0055】本発明5は、重合体微粒子からなる液晶表
示素子用スペーサであって、前記重合体微粒子は、コア
−シェル重合体微粒子であり、前記コアは、架橋性単量
体及び非架橋性単量体からなる重合体により形成されて
なるものであり、前記シェルは、フッ素を有する少なく
とも1種の(メタ)アクリレート単量体からなる重合体
により形成されてなるものである液晶表示素子用スペー
サである。
【0056】上記コアは、架橋性単量体及び非架橋性単
量体からなる重合体により形成されてなる。上記シェル
は、フッ素を有する少なくとも1種の(メタ)アクリレ
ート単量体からなる重合体により形成されてなる。上記
架橋性単量体としては、本発明1で説明したものと同様
のもの等が挙げられる。
【0057】上記非架橋性単量体としては、上記架橋性
単量体と共重合可能なエチレン性不飽和基を有する単量
体が好ましく、本発明1で説明したものと同様のもの等
が挙げられる。
【0058】上記フッ素を有する(メタ)アクリレート
単量体としては、例えば、トリフルオロエチル(メタ)
アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリ
レート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレー
ト、オクタフルオロアミル(メタ)アクリレート、ヘプ
タデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、パーフル
オロブチルエチル(メタ)アクリレート、2−(N−エ
チルパーフロロオクタスルホアミド)エチル(メタ)ア
クリレート、3−パーフルオロブチルー2−ヒドロキシ
プロピル(メタ)アクリレート、3−パーフルオロヘキ
シル−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、
3−(パーフルオロ−7−メチルオクチル)−2−ヒド
ロキシプロピル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して
もよい。
【0059】本発明5の液晶表示素子用スペーサは、上
記コアを、上記架橋性単量体及び上記非架橋性単量体の
懸濁重合により形成するにあたって、同時に上記フッ素
を有する少なくとも1種の(メタ)アクリレート単量体
を添加して重合させることにより、上記シェルを形成さ
せて得ることができる。
【0060】本発明5の液晶表示素子用スペーサを製造
する方法としては、例えば、コアとなる微粒子を水系懸
濁重合により形成させるにあたって、シェルを形成する
成分を別相で乳化した状態にしておき、これをコアの重
合反応途中の分散液に添加して、その後引き続き重合を
行い、コア−シェル粒子を形成させるもの等が挙げられ
る。このとき、上記シェルを形成する成分は、上記フッ
素を有する(メタ)アクリレート単量体のみでもよい
し、上記架橋性単量体及び上記非架橋性単量体を含んで
もよい。
【0061】上記コアの重合で用いられる懸濁重合開始
剤としては、本発明1で説明したものと同様のもの等が
挙げられる。
【0062】上記シェルを形成する成分の添加の時期
は、コアの懸濁重合の重合率が50%以上になったとき
が好ましい。50%未満であると、シードの単量体がコ
アの内部に進入し表面に有効なシェルを形成しにくくな
る。上記重合率の計算は、重合中の分散液をサンプリン
グし、多量のメタノールで洗浄し、乾燥したものの重量
を(A)とし、サンプリング液量×単量体濃度を(B)
とした場合、 重合率(%)=A/B×100 で表すことができる。
【0063】上記シェルを形成する成分の添加量は、コ
ア成分100重量部に対して5〜200重量部が好まし
い。5重量部以下であると、コアの表面を充分にシェル
が被覆できにくくなり、200重量部を超えると、シェ
ル粒子自体の凝集等が発生することがある。上記シェル
には、場合により重合開始剤を添加してもよい。上記重
合開始剤は、本発明1で説明したものと同様の油溶性の
重合開始剤でもよいし、過硫酸カリウム、過硫酸アンモ
ニウム等の水溶性の重合開始剤でもよい。
【0064】上記重合体微粒子のシェルによる被覆面積
は、全表面積の5%以上であることが好ましい。5%未
満であると、液晶の異常配向を防止するための充分な効
果が得られないことがある。
【0065】上記被覆面積は、上記飛行時間型二次イオ
ン質量分析装置(TOF−SIMS)により、重合体微
粒子の表面を構成する重合体の組成を分析することで測
定可能である。上記表面の分析方法は、本発明3で説明
したものと同じである。上記重合体微粒子の平均粒径
は、1〜15μmが好ましい。
【0066】本発明6は、重合体微粒子からなる液晶表
示素子用スペーサであって、上記重合体微粒子の表面が
平滑なものとして算出された表面積(S0 )と実際に測
定された表面積(S1 )との比表面積(S1 /S0 )が
1.2〜8であり、上記重合体微粒子は、ラジカル重合
性単量体を水分散系に分散して重合することにより得ら
れ、上記分散時にフッ素含有界面活性剤が用いられる液
晶表示素子用スペーサである。
【0067】上記比表面積(S1 /S0 )が1.2未満
であると、スペーサ表面での液晶の異常配向が起こり易
くなり、8を超えると、スペーサの強度が低下するた
め、液晶表示素子用スペーサとして使用できなくなるの
で、上記範囲に限定される。好ましくは1.2〜4であ
る。上記重合体微粒子の表面積は、ガス吸着法を用いた
多点法比表面積測定装置を用いて測定された値である。
【0068】本発明6において、上記重合体微粒子は、
ラジカル重合性単量体を水分散系に分散して重合するこ
とにより得られる。上記重合は、例えば、重合開始剤の
存在下での懸濁重合、シード重合等が挙げられる。
【0069】上記シード重合で用いられるシード粒子と
しては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、p−クロロスチレン、クロロメチルス
チレン等のスチレン系誘導体等を主成分とする重合体等
が挙げられる。この重合体においては、スチレン系誘導
体を90重量%以上含有するものが好ましく、上記スチ
レン系誘導体以外の成分としては、例えば、(メタ)ア
クリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、ブタジエン等
が挙げられる。
【0070】上記シード粒子は、例えば、乳化重合、ソ
ープフリー重合、分散重合等によって得ることができ
る。上記ラジカル重合性単量体としては、エチレン性不
飽和基を有する単量体等が好ましく、本発明1で説明し
たものと同様のもの等が挙げられる。
【0071】本発明6においては、特に、スペーサの強
度を向上させる観点から、上記エチレン性不飽和基を有
する単量体と、エチレン性不飽和基を2個以上有する架
橋性単量体とを併用するのが好ましい。上記エチレン性
不飽和基を2個以上有する架橋性単量体としては、本発
明1で説明したものと同様のもの等が挙げられる。
【0072】上記エチレン性不飽和基を有する単量体と
上記エチレン性不飽和基を2個以上有する架橋性単量体
とを併用する場合は、上記架橋性単量体の割合が、全単
量体量(エチレン性不飽和基を有する単量体+架橋性単
量体)の10〜95重量%であることが好ましい。
【0073】本発明6においては、上記重合体微粒子の
重合工程で、上記ラジカル重合性単量体を水分散系に分
散する際に、フッ素含有界面活性剤が用いられる。上記
フッ素含有界面活性剤としては、アニオン性、カチオン
性、両性、ノニオン性のいずれのタイプも使用すること
ができ、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、
パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロア
ルキルスルホン酸塩、パーフルオロアルキルトリメチル
アンモニウム塩、パーフルオロアルキルベタイン、パー
フルオロアルキルアミンオキサイド、パーフルオロアル
キルエチレンオキシド付加物等が挙げられる。これらは
単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0074】上記重合開始剤としてとしては、本発明1
で説明したものと同様のもの等が挙げられる。上記重合
開始剤の使用量は、上記エチレン性不飽和基を有する単
量体100重量部に対して0.01〜50重量部が好ま
しい。少なすぎると、重合時の転化率が低くなる上に粒
子の変形が起こり易くなり、多すぎると、得られる重合
体微粒子の分子量が低くなるため粒子が変形し異常粒子
を発生し易くなる。
【0075】上記重合体微粒子の平均粒径は、1〜15
μmが好ましい。
【0076】本発明6の液晶表示素子用スペーサーは、
上記重合体微粒子において、表面を構成する重合体のフ
ッ素含有量が10%以上であることが好ましい。上記重
合体微粒子の表面を構成する重合体にフッ素成分を導入
する方法としては、重合体微粒子の重合時にフッ素含有
単量体を添加する方法が挙げられる。上記フッ素含有単
量体としては、本発明1で説明したものと同様のもの等
が挙げられる。
【0077】上記重合体微粒子の表面を構成する重合体
におけるフッ素含有量は、10%以上が好ましい。少な
すぎると、表面が疎水性とはなりにくく、異常配向を防
止することができないことがある。また、上記重合体微
粒子全体のフッ素含有量は、2〜40%が好ましい。少
なすぎると、充分な凝集防止効果が得られないことがあ
り、多すぎると、基板への付着性が低下することがあ
る。より好ましくは4〜30%である。
【0078】本発明6の液晶表示素子用スペーサは、そ
の表面を粗形状とすることにより、スペーサ表面での液
晶分子の配向を阻害し、スペーサ周り及びスペーサ間の
異常配向を防止することが可能となり、更にスペーサ同
士の凝集がなく、基板上へ良好に散布することができ
る。
【0079】本発明1〜6における重合体微粒子は、1
0%圧縮変形されたときのK値が250〜1000kg
f/mm2 であることが好ましい。ここで、K値とは、
特表平6−503180号公報に準拠し、微小圧縮試験
機(島津製作所社製、PCT−200型)を用いて、上
記重合体微粒子を、ダイヤモンド製の直径50mμの円
柱の平滑端面で、圧縮速度0.27g/秒で最大試験荷
重10gとなるまで圧縮し、下記式(2)より求めた値
である。
【0080】 K=(3/√2)・F・S-3/2・R-1/2 (2) 式中、F、S、Rは、重合体微粒子の10%圧縮変形時
における荷重値(kg)、圧縮変位(mm)、重合体微
粒子の半径(mm)をそれぞれ表す。
【0081】本発明7は、シード粒子を重合した後、前
記シード粒子及び重合性単量体を水系分散媒中に分散さ
せ、界面活性剤を添加して調製する液晶表示素子用スペ
ーサの製造方法、又は、シード粒子重合用単量体及び重
合性単量体を水系分散媒中に分散させ、界面活性剤を添
加して調製する液晶表示素子用スペーサの製造方法であ
って、前記界面活性剤が、フッ素含有界面活性剤である
液晶表示素子用スペーサの製造方法である。
【0082】本発明7においては、シード粒子を重合し
た後、上記シード粒子及び重合性単量体を水系分散媒中
に分散させ、界面活性剤を添加して液晶表示素子用スペ
ーサを調製するか、又は、シード粒子重合用単量体及び
重合性単量体を水系分散媒中に分散させ、界面活性剤を
添加して液晶表示素子用スペーサを調製する。
【0083】上記シード粒子を形成するために用いるこ
とができる重合性単量体としては、エチレン性不飽和基
を有する単量体が好ましく、本発明1で説明したものと
同様のもの等が挙げられる。上記重合にあたっては、エ
チレン性不飽和基を2つ以上有する架橋性単量体を併用
することができる。上記エチレン性不飽和基を2つ以上
有する架橋性単量体としては特に限定されず、本発明1
で説明したものと同様のもの等が挙げられる。
【0084】上記エチレン性不飽和基を有する単量体は
単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
特に、液晶表示素子用スペーサの強度を向上させる観点
から、上記架橋性単量体を含有させることが好ましい。
上記架橋性単量体の含有量は、全重合体量(重合性単量
体と架橋性単量体とをあわせた量)中、10〜95重量
%が好ましい。
【0085】本発明7では、上記いずれの反応において
も、反応系にフッ素含有単量体を添加して反応させても
よい。上記フッ素含有単量体としては特に限定されず、
本発明1で説明したものと同様のもの等が挙げられる。
【0086】本発明7の製造方法により製造される液晶
表示素子用スペーサ中において、上記フッ素含有単量体
により配合されるフッ素の含有量は、2〜40重量%で
あることが好ましい。2重量%未満であると、液晶表示
素子用スペーサの凝集防止効果が充分でないことがあ
り、40重量%を超えると、表面積以上になり残った単
量体がバルクに取り込まれ液晶表示素子用スペーサ全体
の強度が低下することがある。より好ましくは、4〜3
0重量%である。
【0087】上記フッ素含有量の定量は、フラスコ燃焼
法により得られた溶液をイオンクロマトグラフィー(D
IONEX 2000i)にかけ、フッ素イオンを定量
することにより行うことができる。上記反応で用いられ
る重合開始剤としては特に限定されず、本発明1で説明
したものと同様のもの等が挙げられる。
【0088】本発明7においては、上記いずれの反応に
おいても、界面活性剤を使用する。上記界面活性剤は、
フッ素含有界面活性剤である。上記フッ素含有界面活性
剤としては特に限定されず、本発明1で説明したものと
同様のもの等が挙げられる。
【0089】上記反応においては、分散性を向上させる
目的で、高分子分散保護剤を使用してもよい。上記高分
子分散保護剤としては、例えば、ポリビニルアルコー
ル、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸、ポリアク
リル酸塩、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、ポリエチレン−プロピレンブロックポリマ
ー、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルスルホン、
無水マレイン酸共重合体、ポリエチレンイミン、ポリア
クリルアミド等の水溶性高分子等が挙げられる。上記高
分子分散保護剤は単独で用いてもよいし、2種類以上を
併用してもよい。
【0090】上記反応方法は、公知の方法を用いること
ができ、例えば、特願平6−318852号明細書、特
願平7−42932号明細書等に開示されている方法を
用いることができる。
【0091】本発明7の液晶表示素子用スペーサの平均
粒径は、1〜15μmが好ましい。更に、粒径分布CV
値(標準偏差/平均粒径×100)が10以下であるこ
とが好ましい。10を超えると、液晶表示素子のギャッ
プ間距離にバラツキを生じ画像低下の原因となることが
ある。
【0092】本発明7の製造方法により得られる液晶表
示素子用スペーサの表面を構成する重合体のフッ素含有
量は、10重量%以上であることが好ましい。本発明7
の製造方法により得られる液晶表示素子用スペーサは、
表面のフッ素含有量が高く、内部ではフッ素含有量が次
第に低くなるように設計される。上記表面を構成する重
合体のフッ素含有量の定量は、上記飛行時間型二次イオ
ン質量分析計(TOF−SIMS)によって行うことが
できる。
【0093】本発明7の製造方法により得られる液晶表
示素子用スペーサは、10%K値が250〜1000K
gf/mm2 、圧縮変形後の回復率が、30〜80%で
あることが好ましい。上記K値は、本発明6で説明した
ものと同じである。上記圧縮変形後の回復率とは、特表
平6−503180号公報に準拠し、上記圧縮試験機を
用いて0.27gf/秒の速度で1gまで圧縮した後、
逆に荷重を0.1gまで重量を減らしていくとき(荷重
をへらし始める点を「反転の点」という。)、回復率は
反転の点までの変位L1と反転の点から原点荷重値を取
る点までの変位L2の比(L2/L1)を百分率(%)
で表した値で定義することができる。
【0094】本発明7の製造方法により得られる液晶表
示素子用スペーサは、表面を構成する重合体はフッ素含
有量が高く、内部を構成する重合体は架橋性単量体の含
有量が高く、液晶表示素子用スペーサ内部でフッ素含有
量に傾斜のある液晶表示素子用スペーサとなる。このよ
うに、液晶表示素子用スペーサの表面を構成する重合体
のフッ素含有量が内部より高濃度で存在することによ
り、液晶表示素子用スペーサ表面と液晶との相互作用が
小さくなることによって異常配向が発生しなくなる。
【0095】また、同時に液晶表示素子用スペーサの内
部を構成する重合体の架橋性単量体の濃度が高くなるこ
とによって、液晶表示素子用スペーサとしての充分な力
学強度を発現することが可能となる。
【0096】本発明7の液晶表示素子用スペーサの製造
方法においては、シード粒子、フッ素含有単量体及びそ
の他の重合性単量体を水系分散媒中に分散させるにあた
って、界面活性剤としてフッ素含有界面活性剤を用いる
ことにより、液晶表示素子用スペーサの表面を構成する
重合体のフッ素含有量が10重量%以上であって、10
%K値が250〜1000Kgf/mm2 である液晶表
示素子用スペーサを得ることができる。
【0097】このように液晶表示素子用スペーサの表面
を構成する重合体のフッ素含有量が高くなるのは、フッ
素含有界面活性剤が、反応時に一部液晶表示素子用スペ
ーサを構成する重合体に取り込まれるので、液晶表示素
子用スペーサ洗浄後も完全に洗浄されず表面に残るから
である。特に、液晶表示素子用スペーサ合成にフッ素含
有単量体を使用した場合は、重合段階で微粒子の表面に
存在するフッ素含有界面活性剤と重合体中のフッ素含有
単量体とが相互作用を起こして液晶表示素子用スペーサ
表面を構成する重合体のフッ素濃度が高くなる。
【0098】本発明8は、本発明5のコア−シェル重合
体微粒子からなる液晶表示素子用スペーサの製造方法で
あって、前記コアを、架橋性単量体及び非架橋性単量体
の懸濁重合により形成するにあたって、同時にフッ素を
有する少なくとも1種の(メタ)アクリレート単量体を
添加して重合させることにより、前記シェルを形成させ
る液晶用スペーサの製造方法である。
【0099】本発明8の製造方法は、本発明5におい
て、液晶表示素子用スペーサを製造する方法として説明
したものである。
【0100】本発明9は、配向膜及び透明電極が配置さ
れた2枚のガラス基板が、本発明1、2、3、4、5又
は6の液晶表示素子用スペーサを介して対向され、前記
ガラス基板間に液晶が封入されていることを特徴とする
液晶表示素子である。上記液晶表示素子としては、例え
ば、図1に示したものが挙げられる。
【0101】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるもの
ではない。
【0102】実施例1 セパラブルフラスコにて、ジビニルベンゼン25.0重
量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート40.
0重量部、アクリロニトリル15.0重量部、テトラフ
ルオロプロピルテトラメタクリレート20.0重量部及
びベンゾイルパーオキサイド10重量部を、メルポール
HA2200(三洋化成工業社製)の1重量%溶液20
00重量部に添加後、攪拌し80℃に昇温した後12時
間重合した。得られた分散液から遠心分離によりポリマ
ー粒子を取り出し、80℃以上に熱したイオン交換水及
びメタノールで分散剤を完全に洗浄した後、分級により
平均粒径6.3μm、標準偏差0.28μmの重合体微
粒子(液晶表示素子用スペーサ)を得た。このスペーサ
について、以下の性能評価を行い、その結果を表1に示
した。
【0103】(1)フッ素含有量 スペーサ表面のフッ素含有量の定量は、光電子分光装置
JPS−90SX(JEOL社製)によって行った。
【0104】(2)液晶表示素子の評価 上記方法で合成したスペーサを用いて基板サイズ50
(mm)×50(mm)、セルギャップ6.0μmのS
TN型液晶表示素子を作製した。セル評価は、以下のよ
うにして行った。 (i)初期状態 セル作製後液晶表示素子にAc3V印加して初期状態の
セル表示特性を評価した。 (ii)電圧印加状態 液晶表示素子に400Hz、20〜50Vの電圧を印加
した後、更に3Vの電圧を印加してセル表示特性を評価
した。
【0105】(3)付着性 ポリイミド配向膜付きガラス基板上にスペーサを散布し
150℃×1時間熱処理後、エアブロー試験(1.0K
g/cm2 ×5sec)を行い粒子の残留率(%)を評
価した。
【0106】(4)力学強度(K値) K値は、特表平6−503180号公報に準拠して微小
圧縮試験機(島津製作所社製、PCT−200型)を用
いてダイヤモンド製の直径50μの円柱の平滑端面で得
られた重合体微粒子を、圧縮速度0.27g/秒、最大
試験荷重10gで圧縮し、下記の式よりK値を求めるこ
とができた。
【0107】K=(3/f2)・F・S-3/2・R-1/2 式中、F、S、Rは、それぞれ重合体微粒子の10%圧
縮変形における荷重値(kg)、圧縮変位(mm)、重
合体微拉子の半径(mm)を表す。
【0108】実施例2 ジビニルベンゼン45.0重量部、ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート40.0重量部、アクリロニトリ
ル10.0重量部、3−パーフルオロブチル−2−ヒド
ロキシプロピルアクリレート5.0重量部を使用した以
外は実施例1と同様に行い、スペーサを得て、実施例1
と同様に評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0109】実施例3 ジビニルベンゼン37.5重量部、ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート37.5重量部、ポリエチレング
リコール(n=9)ジメタクリレート10.0重量部、
3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアク
リレート15.0重量部を使用した以外は実施例1と同
様に行い、スペーサを得て、実施例1と同様に評価を行
った。評価結果を表1に示した。
【0110】実施例4 ジビニルベンゼン35.0重量部、ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート45.0重量部、アクリロニトリ
ル10.0重量部、トリフルオロエチルテトラメタクリ
レート10.0重量部を使用し、メルポールに変えてハ
イテノールN−08(第一工業製薬社製)を使用した以
外は実施例1と同様に行い、スペーサを得て、実施例1
と同様に評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0111】比較例1 ジビニルベンゼン35.0重量部、ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート35.0重量部、アクリロニトリ
ル20.0重量部、ポリエチレングリコール(n=9)
ジメタクリレート10.0重量部を使用した以外は実施
例1と同様に行い、スペーサを得て、実施例1と同様に
評価を行った。評価結果を表1に示した。
【0112】比較例2 ジビニルベンゼン20.0重量部、ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート20.0重量部、アクリロニトリ
ル20.0重量部、ペンタフルオロプロピルテトラメタ
クリレート60.0重量部を使用した以外は実施例1と
同様に行い、スペーサを得て、実施例1と同様に評価を
行った。評価結果を表1に示した。
【0113】比較例3 ジビニルベンゼン30.0重量部、ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート35.0重量部、3−パーフルオ
ロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリレート40.
0重量部を使用した以外は実施例1と同様に行い、スペ
ーサを得て、実施例1と同様に評価を行った。評価結果
を表1に示した。
【0114】
【表1】
【0115】実施例5 シード粒子の合成 ポリビニルピロリドン(重量平均分子量3万)2.5重
量部、アニオン系界面活性剤(和光純薬社製、エアロゾ
ルOT)0.57重量部及びアゾビスイソブチロニトリ
ル1.43重量部をエタノール83.8重量部に溶解さ
せた溶液を調製し、この溶液を攪拌しながら窒素気流下
でスチレン15重量部を投入し70℃に昇温して24時
間重合反応を行い、シード粒子(B)(平均粒径2.5
μm)の分散液を得た。
【0116】スペーサの合成 上記シード粒子(B)5重量部に、イオン交換水200
重量部と界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.
13重量部とを加えて均一に分散させた後、ジビニルベ
ンゼン52.5重量部、3−パーフルオロブチル−2−
ヒドロキシプロピルアクリレート(ダイキン化成品社
製、R−1433)22.5重量部及び過酸化ベンゾイ
ル3重量部を混合してホモジナイザーで分散させ0.2
μmに微分散乳化した。得られた乳化液をシード粒子
(B)の分散液に加えて、25℃、200rpmの回転
数で3時間攪拌してシード粒子(B)に吸収させた。
【0117】この分散液に、界面活性剤としてラウリル
硫酸ナトリウムの3重量%水溶液100重量部を加えた
後、200rpmの回転数で攪拌しながら窒素気流下7
0℃で12時間重合反応を行った。得られた分散液から
遠心分離によりポリマー粒子を取り出し、80℃以上に
加熱したイオン交換水及びメタノールで界面活性剤を完
全に洗浄した後乾燥して、平均粒径6.0μmの重合体
微粒子(スペーサ)を得た。このスペーサについて、以
下の性能評価を行い、その結果を表2に示した。
【0118】(1)液晶表示素子の評価 上記で合成したスペーサを用いて、基板サイズ50(m
m)×50(mm)、セルギャップ6.0μmのSTN
型液晶表示素子を作製した後、次のようにしてセル表示
特性の評価を行った。まず、液晶表示素子にAC3Vの
電圧を印加して初期状態のセル表示特性を評価し、つい
で、素子に400Hz、20〜50Vの電圧を印加した
後、更に3Vの電圧を印加して電圧印加状態でのセル表
示特性を評価した。
【0119】その結果、セル作製直後及び電圧印加後と
もにスペーサ周りで異常配向は認められなかった。
【0120】(2)湿式散布性の評価 散布溶液を、水/イソプロピルアルコール(容積比7:
3)溶液50mLに、上記で合成したスペーサ2gを均
一に分散して調製し、圧力3kg/cm3 、距離700
mmでガラス基板上に散布して凝集状態を評価した結
果、スペーサの凝集は起こらなかった。
【0121】(3)付着性の評価 ポリイミド配向膜付きガラス基板上にスペーサを散布
し、95℃×1時間の熱処理後、エアブロー試験(3k
g/cm2 ×5sec)を行った結果、残留率は62%
と良好な性能を示した。
【0122】実施例6 スペーサの合成に、ジビニルベンゼンを15重量部、3
−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピルアクリ
レートを60重量部使用したこと以外は、実施例5と同
様にしてスペーサの重合反応を行い、平均粒径6.0μ
mの粒子(スペーサ)を得た。このスペーサについて、
実施例5と同様な評価を行い、その結果を表2に示し
た。
【0123】実施例7 スペーサの合成に、ジビニルベンゼンを52.5重量
部、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル
アクリレートに代えて3−(パーフルオロ−3−メチル
ブチル)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート(ダ
イキン化成品社製、M−3433)を22.5重量部使
用したこと以外は、実施例5と同様にしてスペーサの重
合反応を行い、平均粒径6.0μmの粒子(スペーサ)
を得た。このスペーサについて、実施例5と同様な評価
を行い、その結果を表2に示した。
【0124】実施例8 セパラブルフラスコに、ジビニルベンゼン52.5重量
部、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル
アクリレート(ダイキン化成品社製、R−1433)2
2.5重量部、界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウ
ムの3重量%水溶液500重量部及びベンゾイルパーオ
キサイド15重量部を入れ、攪拌しながら80℃に昇温
した後24時間重合反応を行い、ポリマーの分散液を得
た。
【0125】得られた分散液から遠心分離によりポリマ
ー粒子を取り出し、80℃以上に加熱したイオン交換水
及びメタノールで界面活性剤を完全に洗浄した後分級し
て、平均粒径6.0μmの粒子(スペーサ)を得た。こ
のスペーサについて、実施例5と同様な評価を行い、そ
の結果を表2に示した。
【0126】比較例4 スペーサの合成に、ジビニルベンゼンのみを75重量部
用いたこと以外は、実施例5と同様にして重合反応を行
い、平均粒径5.9μmの粒子(スペーサ)を得た。こ
のスペーサについて、実施例5と同様な評価を行い、そ
の結果を表2に示した。なお、液晶表示素子の評価にお
いて、セル作製直後及び電圧印加後ともにスペーサ周り
で異常配向が発生した。
【0127】比較例5 スペーサの合成に、ジビニルベンゼンを52.5重量
部、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル
アクリレートに代えて2−(パーフルオロブチル)エチ
ルアクリレート(ダイキン化成品社製、R−1420)
を22.5重量部用いたこと以外は、実施例5と同様に
して重合反応を行い、平均粒径6.1μmの粒子(スペ
ーサ)を得た。このスペーサについて、実施例5と同様
な評価を行ったところ、異常配向はなかったが、湿式散
布性において、凝集が起こり、残留率は0%であった。
【0128】比較例6 スペーサの合成に、ジビニルベンゼンを52.5重量
部、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル
アクリレートに代えて2−エチルヘキシルメタクリレー
トを22.5重量部用いたこと以外は、実施例5と同様
にして重合反応を行い、平均粒径6.0μmの粒子(ス
ペーサ)を得た。このスペーサについて、実施例5と同
様な評価を行ったところ、液晶表示素子の評価におい
て、セル作製直後及び電圧印加後ともにスペーサ周りで
異常配向が起こった。湿式散布性は良好であり、付着性
も72%と良好であった。
【0129】比較例7 スペーサの合成に、ジビニルベンゼンを52.5重量
部、3−パーフルオロブチル−2−ヒドロキシプロピル
アクリレートに代えて2−(パーフルオロブチル)エチ
ルアクリレート(ダイキン化成品社製、R−1420)
を12.5重量部、2−エチルヘキシルメタクリレート
を10重量部用いたこと以外は、実施例5と同様にして
重合反応を行い、平均粒径6.0μmの粒子(スペー
サ)を得た。このスペーサについて、実施例5と同様な
評価を行ったところ、液晶表示素子の評価において、セ
ル作製直後及び電圧印加後ともにスペーサ周りで異常配
向が起こった。湿式散布性において、凝集も少し発生し
た。付着性は65%と良好であった。
【0130】
【表2】
【0131】実施例9 ポリオキシエチレンアルキルフェニルフェニルエーテル
サルフェートアンモニウム(第一工業製薬社製、ハイテ
ノールN08)の3重量%水溶液800重量部に、ジビ
ニルベンゼン40重量部、ペンタエリスリトールテトラ
アクリレート(共栄化学社製、ライトアクリレートPE
−4A)50重量部、2−(N−エチルパーフロロオク
タスルホアミド)エチルアクリレート(3M社製、FX
−13)10重量部、過酸化ベンソイル4重量部の混合
液を加えて微分散させ、攪拌しながら窒索気流下80℃
で15時間反応を行った。得られた微粒子をイオン交換
水及びメタノールにて洗浄後、分級操作を行い、平均粒
径6.1μmのスペーサを得た。
【0132】得られたスペーサを飛行時間型二次イオン
質量分析装置(TOF−SIMS、Charles E
vas社製)にかけて、このMSスペクトルより表面の
組成分析を行った。その結果、表面積の35%にスルホ
アミド基を有するフッ素が存在していた。このスペーサ
について、実施例5と同様に性能評価を行い、その結果
を表3に示した。
【0133】実施例10 ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールの
共重合体(三洋化成工業社製、メルポール、HA−22
00、分子量=7万)の3重量%水溶液800重量部を
分散剤として用い、ジビニルベンゼン20重量部、ペン
タエリスリトールテトラアクリレート(共栄化学社製、
ライトアクリレートPE−4A)50重量部、2−(N
−エチルパーフロロオクタスルホアミド)エチルアクリ
レート(3M社製、FX−13)30重量部を用いて実
施例9と同様に懸濁重合を行い、平均粒径6.1μmの
スペーサを得た。TOF−SIMSの分析より表面積の
13%にスルホアミド基を有するフッ素が存在してい
た。
【0134】このスペーサについて、実施例5と同様に
性能評価を行い、その結果を表3に示した。
【0135】実施例11 シード粒子の合成 ポリビニルピロリドン(重量平均分子量3万)2.5重
量部、アニオン系界面活性剤(和光純薬社製、エアロゾ
ルOT)0.5重量部及びアゾビスブチロニトリル1.
43重量部をエタノール83.8重量部に溶解させた溶
液を調製し、この溶液を攪拌しながら窒素気流下でスチ
レン15重量部を投入し70℃に昇温して24時間重合
反応を行い、シード粒子(B)(平均粒経2.5μm)
の分散液を得た。
【0136】スペーサの合成 上記シード粒子(B)5重量部に、イオン交換水200
重量部と界面活性剤としてラウリル硫酸ナトリウム0.
13重量部とを加えて均一に分散させた後、ジビニルベ
ンゼン52.5重量部、2−(N−エチルパーフロロオ
クタスルホアミド)エチルアクリレート(3M社製、F
X−13)22.5重量部及び過酸化ベンゾイル3重量
部を混合してホモジナイザーで分散させ、0.2μmに
微分散乳化した。得られた乳化液をシード粒子(B)の
分散液に加えて、25℃、200rpmの回転数で3時
間攪拌してシード粒子(B)に吸収させた。
【0137】この分散液に、界面活性剤としてラウリル
硫酸ナトリウムの3重量%水溶液100重量部を加えた
後、200rpmの回転数で攪拌しながら窒素気流下7
0℃で12時間重合反応を行った。得られた分散液から
遠心分離によりポリマー粒子を取り出し、80℃以上に
加熱したイオン交換水及びメタノールで界面活性剤を完
全に洗浄した後乾燥して、平均粒径6.0μmのスペー
サを得た。TOF−SIMSの分析より表面積の40%
にスルホアミド基を有するフッ素が存在していた。
【0138】このスペーサについて、実施例5と同様に
性能評価を行い、その結果を表3に示した。
【0139】比較例8 モノマー組成を、ジビニルベンゼン40重量部、ペンタ
エリストールテトラアクリレート(共栄化学社製、ライ
トアクリレートPE−4A)60重量部、とした以外は
実施例9と同様に懸濁重合を行った。TOF−SIMS
の分析より表面には、上記モノマーのみが存在してい
た。
【0140】このスペーサについて、実施例5と同様に
性能評価を行い、その結果を表3に示した。
【0141】比較例9 ポリビニルアルコールの3%水溶液800重量部を分散
剤として用いた以外は、実施例9と同様に懸濁重合を行
い、平均粒径6.0μmのスペーサを得た。TOF−S
IMSの分析よりスルホアミド基を有するフッ素系官能
基は1%以下で、ほとんど存在しておらず表面積の95
%にポリビニルアルコールが存在していた。
【0142】このスペーサについて、実施例5と同様に
性能評価を行い、その結果を表3に示した。
【0143】比較例10 スペーサの合成に、ジビニルベンゼン12.5重量部、
2−(N−エチルパーフロロオクタスルホアミド)エチ
ルアクリレート(3M社製、FX−13)62.5重量
部用いたこと以外は実施例11と同様にして重合反応を
行い、平均粒径6.2μmのスペーサを得た。TOF−
SIMSの分析より表面積の85%にスルホアミド基を
有するフッ素系官能基が存在していた。
【0144】このスペーサについて、実施例5と同様に
性能評価を行い、その結果を表3に示した。
【0145】
【表3】
【0146】実施例12 ポリエチレングリコール/ポリプロピレングリコールの
共重合体(三洋化成工業社製、メルポール、HA−22
00、分子量=7万)の3%水溶液800重量部に、ジ
ビニルベンゼン35重量部、ペンタエリスリトールテト
ラアクリレート(共栄化学社製、ライトアクリレートP
E−4A)45重量部、ペンタフルオロプロピル(メ
タ)アクリレート20重量部、過酸化ベンゾイル4重量
部の混合液を加えて微分散させ、攪拌しながら窒素気流
下80℃で15時間反応を行った。得られた微粒子をイ
オン交換水及びメタノールにて洗浄後、分級操作を行
い、平均粒径6.1μmのスペーサを得た。
【0147】得られたスペーサを飛行時間型二次イオン
質量分析装置(TOF−SIMS、Charles E
vans社製)にかけて、このMSスペクトルより表面
の組成分析を行った。その結果、表面積の15%にフッ
素が、また35%にメルポールが存在していた。このス
ペーサについて、実施例5と同様に性能評価を行い、そ
の結果を表4に示した。
【0148】実施例13 モノマー組成をジビニルベンゼン20重量部、ペンタエ
リスリトールテトラアクリレート(共栄化学社製、ライ
トアクリレートPE−4A)50重量部、ペンタフルオ
ロプロピル(メタ)アクリレート30重量部を用いた以
外は実施例12と同様に懸濁重合を行い平均粒径6.1
μmのスペーサを得た。TOF−SIMSの分析より表
面積の13%にフッ素が、また55%にメルポールが存
在していた。
【0149】このスペーサについて、実施例5と同様に
性能評価を行い、その結果を表4に示した。
【0150】実施例14 分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルフェニルフ
ェニルエーテルサルフェートアンモニウム(第一工業製
薬社製、ハイテノールN08)の3%水溶液800重量
部を用い、モノマー成分としてジビニルベンゼン25重
量部、ペンタエリスリトールテトラアクリレート(共栄
化学社製、ライトアクリレートPE−4A)30重量
部、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート25
重量部、エチレングリコールジメタアクリレート(共栄
化学社製、ライトエステル9EG)20重量部を用い
て、実施例12と同様に懸濁重合を行い平均粒径6.1
μmのスペーサを得た。TOF−SIMSの分析より表
面積の20%にフッ素が、また20%にエチレングリコ
ールのユニットが存在していた。
【0151】このスペーサについて、実施例5と同様に
性能評価を行い、その結果を表4に示した。
【0152】実施例15 分散剤として、ポリエチレングリコール/ポリプロピレ
ングリコールの共重合体において、プロピレングリコー
ルの成分が、メルポールより多いF−320(三洋化成
工業社製、分子量=8万)を用いた以外は、実施例12
と同様に懸濁重合を行い平均粒径6.1μmのスペーサ
を得た。TOF−SIMSの分析より表面積の10%に
フッ素が、また55%にF−320が存在していた。
【0153】このスペーサについて、実施例5と同様に
性能評価を行い、その結果を表4に示した。
【0154】比較例11 モノマー組成を、ジビニルベンゼン40重量部、ペンタ
エリストールテトラアクリレート(共栄化学社製、ライ
トアクリレートPE−4A)60重量部とした以外は実
施例12と同様に懸濁重合を行った。TOF−SIMS
の分析より表面には、55%にメルポールが存在してい
た。
【0155】このスペーサについて、実施例5と同様に
性能評価を行い、その結果を表4に示した。
【0156】比較例12 ポリビニルアルコールの3%水溶液800重量部を分散
剤として用いた以外は、実施例12と同様に懸濁重合を
行い、平均粒径6.0μmのスペーサを得た。TOF−
SIMSの分析よりフッ素は1%以下で、ほとんど存在
しておらず、表面積の95%にポリビニルアルコールが
存在していた。
【0157】このスペーサについて、実施例5と同様に
性能評価を行い、その結果を表4に示した。
【0158】比較例13 分散剤として、ラウリル硫酸ナトリウムの3%水溶液8
00重量部を用いた以外は、実施例12と同様に懸濁重
合を行い平均粒径6.1μmのスペーサを得た。TOF
−SIMSの分析より表面積の40%にフッ素が存在し
ていた。このスペーサについて、実施例5と同様に性能
評価を行い、その結果を表4に示した。
【0159】比較例14 分散剤として、ポリオキシエチレンアルキルフェニルフ
ェニルエーテルサルフェートアンモニウム(第一工業製
薬社製、ハイテノールN08)の3%水溶液400重量
部とメルポールの3%水溶液400重量部を用いて、モ
ノマー組成を、ジビニルベンゼン20重量部、ペンタエ
リストールテトラアクリレート(共栄化学社製、ライト
アクリレートPE−4A)30重量部、ペンタフルオロ
プロピル(メタ)アクリレート50重量部を用いた以外
は実施例12と同様に懸濁重合を行い平均粒径6.1μ
mのスペーサを得た。TOF−SIMSの分析より表面
積の30%にフッ素が、また5%にメルポールが存在し
ていた。
【0160】このスペーサについて、実施例5と同様に
性能評価を行い、その結果を表4に示した。
【0161】
【表4】
【0162】実施例16 ポリオキシエチレンアルキルフェニルフェニルエーテル
サルフェートアンモニウム(第一工業製薬社製、ハイテ
ノールN08」)の3%水溶液800重量部に、ジビニ
ルベンゼン40重量部、ペンタエリスリトールテトラア
クリレート(共栄化学社製、ライトアクリレートPE−
4A」)60重量部、過酸化ベンゾイル4重量部の混合
液を加えて微分散させ、攪拌しながら窒素気流下80℃
で重合を開始した。
【0163】この反応系に、2−(N−エチルパーフロ
ロオクタスルホアミド)エチルアクリレート(3M社
製、FX−13)25重量部、ジビニルベンゼン10重
量部を、ハイテノールN08の3%水溶液70重量部か
らなるシェル形成成分の乳化液を30分かけて添加し、
15時間反応を行ってコア−シェル粒子を合成した。シ
ェル形成成分を添加した時の重合率は65%であった。
得られた微粒子をイオン交換水及びメタノールにて洗浄
後、分級操作を行い、平均粒径6.1μmのスペーサを
得た。
【0164】得られたスペーサを飛行時間型二次イオン
質量分析装置(TOF−SIMS、Charles E
vans社製)にかけて、このMSスペクトルより表面
の組成分析を行った。その結果、表面積の15%にフッ
素が存在していた。
【0165】上記で合成したスペーサを用いて、基板サ
イズ50(mm)×50(mm)、セルギャップ6.0
μmのSTN型液晶表示素子を作製した後、次のように
してセル表示特性の評価を行った。まず、液晶表示素子
にAC3Vの電圧を印加して初期状態のセル表示特性を
評価し、ついで、素子に400Hz、20〜50Vの電
圧を印加した後、更に3Vの電圧を印加して電圧印加状
態でのセル表示特性を評価した。その結果セル作製直後
及び電荷印加後ともにスペーサ周りに異常配向は認めら
れなかった。
【0166】実施例17 ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート25重量
部、メチルメタアクリレート10重量部、ジビニルベン
ゼン10重量部を、ポリオキシエチレンオレイン酸エス
テル(第一工業製薬社製、ノイゲンES169)の3%
水溶液90重量部からなるシェル形成成分を用いて実施
例16と同様にコア−シェル粒子の懸濁重合を行い平均
粒径6.0μmのスペーサを得た。TOF−SIMSの
分析より表面積の9%にフッ素が存在していた。実施例
16と同様に評価した結果、セル作製直後及び電荷印加
後ともにスペーサ周りに異常配向は認められなかった。
【0167】比較例15 モノマー組成を、ジビニルベンゼン40重量部、ペンタ
エリストールテトラアクリレート(共栄化学社製、ライ
トアクリレートPE−4A)60重量部としてハイテノ
ールN08の3%水溶液800重量部を用いて80℃、
15時間懸濁重合を行った。得られた微粒子をイオン交
換水及びメタノールにて洗浄後、分級操作を行い.平均
粒径6.1μmのスペーサを得た。TOF−SIMSの
分析より表面には、上記モノマーのみが存在していた。
実施例16と同様に評価した結果、セル作製直後ではす
べてのスペーサ周辺に暗いドメイン状の異常配向が認め
られ、電荷印加後にはすべてが光抜けへと変わる現象が
認められた。
【0168】比較例16 ポリピニルアルコールの3%水溶液800重量部を分散
剤にして用い、モノマー組成をFX−13を35重量
部、ジビニルベンゼン30重量部、ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート35重量部として、比較例15と
同様に懸濁重合を行い、平均粒径6.0μmのスペーサ
を得た。TOF−SIMSの分析よりフッ素は表面積の
2%以下で、ほとんど存在しておらず、表面積の95%
にポリビニルアルコールが存在していた。実施例16と
同様に評価した結果結果、セル作製直後では、一部のス
ペーサ周辺に暗いドメイン状の異常配向が認められ、電
荷印加後にはドメイン部分が光り抜けへと変わる現象が
認められた。
【0169】実施例18 シード粒子(A)の製造 ポリビニルピロリドン(重量平均分子量3万)1.2重
量部、アニオン系界面活性剤(和光純薬社製、エアロゾ
ルOT)0.57重量部及びアゾビスイソブチロニトリ
ル1.43重量部を、エタノール83.8重量部に溶解
させた溶液を撹拌しながら窒素気流下でスチレン20重
量部を加えた後70℃に昇温して24時間重合反応を行
い、シード粒子(A)を得た。このシード粒子(A)
は、重量平均分子量(Mw)9000、平均粒径3.2
μmであった。
【0170】スペーサの合成 上記重合体シード粒子(A)5重量部に、イオン交換水
200重量部と界面活性剤としてパーフルオロアルキル
カルボン酸(大日本インキ社製、F120)0.13重
量部を加え均一に分散させた後、ジビニルベンゼン2
2.1重量部、ペンタフルオロプロピルメタクリレート
9.5重量部及び過酸化ベンゾイル3重量部を混合して
ホモジナイザーで分散させ、0.2μmに微分散乳化し
た。
【0171】得られた乳化液をシード粒子(A)の分散
液に加え、25℃、200rpmの回転数で3時間撹拌
してシード粒子(A)に吸収させた。この分散液にパー
フルオロアルキルカルボン酸の3重量%水溶液100重
量部を加えた後200rpmで攪拌しながら、窒素気流
下、70℃で12時間重合を行った。得られた分散液か
ら遠心分離によりポリマー粒子を取り出し、80℃以上
に加熱したイオン交換水及びメタノールで分散剤を完全
に洗浄した後乾燥し、平均粒径6μmの重合体微粒子
(液晶表示素子用スペーサ)を得た。
【0172】液晶表示素子の評価 上記方法で合成したスペーサを用いて基板サイズ50
(mm)×50(mm)、セルギャップ6.0μmのS
TN型液晶表示素子を作製した後、以下のようにしてセ
ル評価を行った。液晶表示素子にAC3Vの電圧を印加
し初期状態のセル表示特性を評価し、ついで、装置に4
00Hz、20〜50Vの電圧を印加した後、更に3V
の電圧を印加して電圧印加状態でのセル表示特性を評価
した。
【0173】その結果、基板への散布性は良好であり、
セル作製直後及び電荷印加後ともにスペーサ周りに異常
配向は認められなかった。
【0174】このスペーサについて、下記の評価を行
い、その結果を表5に示した。 (1)スペーサ表面のフッ素含有量 スペーサ表面におけるフッ素含有量を、飛行時間型二次
イオン質量分析計(Charles Evans社製、
TOF−SIMS)を使用して測定した。 (2)スペーサ中の全フッ素含有量 フラスコ燃焼法により得られた溶液を、イオンクロマト
グラフィー(DIONEX 2000i)にかけてフッ
素イオンを定量した。
【0175】(3)比表面積 高精度比表面積測定装置(日本ベル社製、BELSOR
P28SA)を用いてCO2 ガスにより測定した。 (4)散布性 乾式散布方法によって評価した。 (5)付着性 基板上にスペーサを150〜200個/mm2 散布した
後、1kg/cm2 圧のエアブローを5秒間吹きつける
エアブロー試験を行った後、残存する個数から残存率を
計算した。 (6)K値 上記した計算式により10%K値(Kgf/mm2 )を
求めた。
【0176】実施例19 シード粒子の合成において、スチレンの添加量を15重
量部に変えたこと以外は、実施例18と同様にしてシー
ド粒子(B)を得た。スペーサの合成において、シード
粒子(A)に代えてシード粒子(B)を使用し、ジビニ
ルベンゼンの使用量を22.1重量部から65重量部に
変えたこと以外は、実施例18と同様にして、平均粒径
6.0μmの重合体微粒子(液晶表示素子用スペーサ)
を得た。
【0177】更に、このスペーサを使用して、実施例1
8と同様なSTN型液晶表示素子を作製した後、実施例
18と同様なセル評価を行ったところ、基板への散布性
は良好であり、セル作製直後及び電荷印加後ともにスペ
ーサ周りに異常配向は認められなかった。このスペーサ
について、実施例18と同様に評価を行い、その結果を
表5に示した。
【0178】実施例20 シード粒子の合成において、スチレンの添加量を10重
量部に変えたこと以外は、実施例18と同様にしてシー
ド粒子(C)を得た。スペーサの合成において、シード
粒子(A)に代えてシード粒子(C)を使用し、ジビニ
ルベンゼン40重量部、ペンタフルオロプロピルメタク
リレートに代えてテトラフルオロプロピルメタクリレー
ト25重量部、パーフルオロアルキルカルボン酸に代え
てパーフルオロアルキルリン酸エステル(旭硝子社製、
S−112)を使用したこと以外は、実施例18と同様
にして、平均粒径4.0μmの重合体微粒子(液晶表示
素子用スペーサ)を得た。
【0179】更に、このスペーサを使用して、実施例1
8と同様なSTN型液晶表示素子を作製した後、実施例
1と同様なセル評価を行ったところ、基板への散布性は
良好であり、セル作製直後及び電荷印加後ともにスペー
サ周りに異常配向は認められなかった。このスペーサに
ついて、実施例18と同様に評価を行い、その結果を表
5に示した。
【0180】実施例21 セパラブルフラスコに、ジビニルベンゼン80重量部、
ペンタフルオロプロピルメタクリレート20重量部、ト
ルエン40重量部、パーフルオロアルキルスルホン酸
(大日本インキ社製、F116)の3重量%水溶液50
0重量部及びベンゾイルパーオキサイド15重量部を攪
拌して80℃に昇温した後24時間重合した。得られた
分散液から遠心分離によりポリマー粒子を取り出し、8
0℃以上に加熱したイオン交換水及びメタノールで分散
剤を完全に洗浄した後、分級により平均粒径6.0μm
の重合体微粒子(液晶表示素子用スペーサ)を得た。
【0181】更に、このスペーサを使用して、実施例1
8と同様なSTN型液晶表示素子を作製した後、実施例
18と同様なセル評価を行ったところ、基板への散布性
は良好であり、セル作製直後及び電荷印加後ともにスペ
ーサ周りに異常配向は認められなかった。このスペーサ
について、実施例18と同様に評価を行い、その結果を
表5に示した。
【0182】比較例17 シード粒子(B)を使用し、スペーサの合成において、
ジビニルベンゼン250重量部、ポリビニルアルコール
水溶液(3重量%)20重量部使用したこと以外は、実
施例18と同様にして、平均粒径5.9μmの重合体微
粒子(液晶表示素子用スペーサ)を得た。
【0183】更に、このスペーサを使用して、実施例1
8と同様なSTN型液晶表示素子を作製した後、実施例
18と同様なセル評価を行ったところ、基板への散布性
は良好であったが、セル作製直後及び電荷印加後ともに
スペーサ周りに非常に小さな異常配向が認められた。こ
のスペーサについて、実施例18と同様に評価を行い、
その結果を表5に示した。
【0184】比較例18 スペーサの合成において、重合性単量体としてジビニル
ベンゼン75重量部のみを用い、界面活性剤としてラウ
リル硫酸ナトリウムを用いたこと以外は、実施例19と
同様にして、平均粒径6.1μmの重合体微粒子(液晶
表示素子用スペーサ)を得た。
【0185】更に、このスペーサを使用して、実施例1
8と同様なSTN型液晶表示素子を作製した後、実施例
18と同様なセル評価を行ったところ、基板への散布性
は良好であったが、セル作製直後及び電荷印加後ともに
スペーサ周りに非常に小さな異常配向が認められた。こ
のスペーサについて、実施例18と同様に評価を行い、
その結果を表5に示した。
【0186】比較例19 スペーサの合成において、ジビニルベンゼンを5重量部
使用したこと以外は、実施例18と同様にして、平均粒
径4.0μmの重合体微粒子(液晶表示素子用スペー
サ)を得た。更に、このスペーサを使用して、実施例1
8と同様なSTN型液晶表示素子を作製しようとした
が、スペーサが割れたためセル評価を行うことができな
かった。
【0187】比較例20 スペーサの合成において、トルエンを全く使用しなかっ
たこと以外は、実施例21と同様にして、平均粒径6.
1μmの重合体微粒子(液晶表示素子用スペーサ)を得
た。更に、このスペーサを使用して、実施例18と同様
なセル評価を行ったところ、基板への散布時に数個のス
ペーサの凝集体が多く発生し、セル作製直後及び電荷印
加後ともにスペーサ周りに非常に小さな異常配向が認め
られた。
【0188】このスペーサについて、実施例18と同様
に評価を行い、その結果を表5に示した。
【0189】
【表5】
【0190】実施例22 シード粒子の調製 ポリビニルピロリドン(PVP)(重量平均分子量3
万)1.2重量部、エアロゾルOT(和光純薬社製、ア
ニオン系界面活性剤)0.57重量部及びアゾビスイソ
ブチロニトリル1.43重量部をエタノール83.8重
量部に溶解させた溶液を攪拌しながら窒素気流下でスチ
レン20.0重量部を投入し、70℃に昇温して24時
間重合反応を行った。得られた粒子は、重量平均分子量
(Mw)9000、平均粒径3.2μmであった(シー
ド粒子A)。
【0191】液晶表示素子用スペーサの合成 上記シード粒子Aの0.5重量部にイオン交換水200
重量部とラウリル硫酸ナトリウム0.02重量部を加え
均一に分散させた。ジビニルベンゼン(DVB)6.0
重量部、ペンタフルオロプロピルメタクリレート1.5
重量部、過酸化ベンゾイル0.4重量部を混合してホモ
ジナイザーで分散させ、0.2μmに微分散乳化した。
得られた乳化液をシード粒子Aの分散液に加え25℃、
200rpmで3時間攪拌しシード粒子Aに吸収させ
た。この分散液に界面活性剤としてパーフルオロアルキ
ルカルボン酸F120(大日本インキ杜製)の3%水溶
液20重量部を加えた後200rpmで攪拌しながら窒
素下70℃で12時間重合を行った。
【0192】得られた分散液を遠心分離してポリマー粒
子を取り出し、80℃以上に熱したイオン交換水及びメ
タノールで分散剤を完全に洗浄した後、乾燥してスペー
サを得た。得られた粒子の平均粒径、K値を表6に示し
た。
【0193】液晶表示素子の評価 上記方法で合成した液晶表示素子用スペーサを用いて基
板サイズ50(mm)×50(mm)、セルギャップ
6.0μmのSTN型液晶表示素子を作製した。セル評
価は、以下のようにして行い、結果を表6に示した。 (i)初期状態 セル作製後液晶表示素子にAc3Vの電圧を印加してセ
ル表示特性を評価した。 (ii)電圧印加状態 液晶表示素子に400Hz、20〜50Vの電圧を印加
した後、更に3Vの電圧を印加してセル表示特性を評価
した。
【0194】なお、フッ素含有量の定量は、フラスコ燃
焼法により得られた溶液をイオンクロマトグラフィー
(DIONEX 2000i)にかけ、フッ素イオンを
定量することにより行った。液晶表示素子用スペーサ表
面のフッ素含有量の定量は、Charles Evan
s社製、飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−S
IMS)によって行った。K値は、上記した計算式によ
った。
【0195】これらの結果を表6に示した。
【0196】実施例23 液晶表示素子用スペーサの合成にDVB7.5重量部を
用いたこと以外は実施例22と同様に行い、スペーサを
得た。得られたスペーサの平均粒径、K値を表6に示し
た。この液晶表示素子用スペーサを用いて実施例22と
同様に液晶表示素子を作製し評価した。結果を表6に示
した。
【0197】実施例24 液晶表示素子用スペーサの合成にDVB6.7重量部、
テトラフルオロプロピルメタクリレート0.8重量部、
界面活性剤にパーフルオロアルキルスルホン酸F116
(大日本インキ社製)を用いたこと以外は実施例22と
同様に行い、スペーサを得た。得られたスペーサの平均
粒径、K値を表6に示した。
【0198】この液晶表示素子用スペーサを用いて実施
例22と同様に液晶表示素子を作製し評価した。結果を
表6に示した。
【0199】実施例25 シード粒子Aの分散にラウリル硫酸ナトリウムに代えて
F116を使用し、液晶表示素子用スペーサの合成にD
VB6.7重量部、テトラフルオロプロピルメタクリレ
ート0.8重量部、界面活性剤にパーフルオロアルキル
スルホン酸FI16(大日本インキ工業社製)を用いた
こと以外は実施例22と同様に行い、スペーサを得た。
得られたスペーサの平均粒径、K値を表6に示した。
【0200】この液晶表示素子用スペーサを用いて実施
例22と同様に液晶表示素子を作製し評価した。結果を
表6に示した。
【0201】比較例21 液晶表示素子用スペーサ重合時に界面活性剤に代えてて
ポリビニルアルコール3%水溶液を用いたこと以外は実
施例22と同様に行い、スペーサを得た。得られたスペ
ーサの平均粒径、K値を表6に示した。この液晶表示素
子用スペーサを用いて実施例22と同様に液晶表示素子
を作製し評価した。結果を表6に示した。
【0202】比較例22 液晶表示素子用スペーサの合成にDVB1.5重量部、
ペンタフルオロプロピルメタクリレート6.0重量部を
使用したこと以外は実施例22と同様に行い、スペーサ
を得た。得られたスペーサの平均粒径、K値を表6に示
した。この液晶表示素子用スペーサを用いて実施例22
と同様に液晶表示素子を作製し評価した。結果を表6に
示した。
【0203】比較例23 液晶表示素子用スペーサ重合時に界面活性剤としてラウ
リル硫酸ナトリウムを使用したこと以外は実施例22と
同様に行い、スペーサを得た。得られたスペーサの平均
粒径、K値を表6に示した。この液晶表示素子用スペー
サを用いて実施例22と同様に液晶表示素子を作製し評
価した。結果を表6に示した。
【0204】
【表6】
【0205】
【発明の効果】本発明の液晶表示素子用スペーサは、上
述の構成よりなるので、液晶表示素子の製造工程におい
て、スペーサ同士の凝集がなく基板上への良好な散布性
を有すると共に基板への付着性にも優れる。本発明の液
晶表示素子は、上記液晶表示素子用スペーサを使用する
ことにより、液晶表示素子用スペーサの間及び周りで液
晶の異常配向現象が起こらず、均質で良好な画像を得る
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子を示す模式断面図であ
る。
【符号の説明】 1 シール部材 2 透明基板 3 透明電極 4 配向制御膜 5 透明基板 6 透明電極 7 配向制御膜 8 基板 9 スペーサ 10 基板 11 ネマティック液晶 12 偏光シート 13 偏光シート

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 懸濁重合により得られる重合体微粒子で
    あって、前記重合体微粒子の表面を構成する重合体にフ
    ッ素が0.2〜15重量%存在することを特徴とする液
    晶表示素子用スペーサ。
  2. 【請求項2】 重合体微粒子からなる液晶表示素子用ス
    ペーサであって、前記重合体微粒子の表面を構成する重
    合体に水酸基を有するフッ素系官能基が存在することを
    特徴とする液晶表示素子用スペーサ。
  3. 【請求項3】 重合体微粒子からなる液晶表示素子用ス
    ペーサであって、前記重合体微粒子の表面を構成する重
    合体にスルホアミド基を有するフッ素系官能基が存在す
    ることを特徴とする液晶表示素子用スペーサ。
  4. 【請求項4】 重合体微粒子からなる液晶表示素子用ス
    ペーサであって、前記重合体微粒子の表面を構成する重
    合体にフッ素及び下記式(1)で表される非イオン性親
    水ユニットが存在することを特徴とする液晶表示素子用
    スペーサ。 【化1】 式中、Rは、アルキレン基を表す。
  5. 【請求項5】 重合体微粒子からなる液晶表示素子用ス
    ペーサであって、前記重合体微粒子は、コア−シェル重
    合体微粒子であり、前記コアは、架橋性単量体及び非架
    橋性単量体からなる重合体により形成されてなるもので
    あり、前記シェルは、フッ素を有する少なくとも1種の
    (メタ)アクリレート単量体からなる重合体により形成
    されてなるものであることを特徴とする液晶表示素子用
    スペーサ。
  6. 【請求項6】 重合体微粒子からなる液晶表示素子用ス
    ペーサであって、前記重合体微粒子の表面が平滑なもの
    として算出された表面積(S0 )と実際に測定された表
    面積(S1 )との比表面積(S1 /S0 )が1.2〜8
    であり、前記重合体微粒子は、ラジカル重合性単量体を
    水分散系に分散して重合することにより得られ、前記分
    散時にフッ素含有界面活性剤が用いられることを特徴と
    する液晶表示素子用スペーサ。
  7. 【請求項7】 シード粒子を重合した後、前記シード粒
    子及び重合性単量体を水系分散媒中に分散させ、界面活
    性剤を添加して調製する液晶表示素子用スペーサの製造
    方法、又は、シード粒子重合用単量体及び重合性単量体
    を水系分散媒中に分散させ、界面活性剤を添加して調製
    する液晶表示素子用スペーサの製造方法であって、前記
    界面活性剤が、フッ素含有界面活性剤であることを特徴
    とする液晶表示素子用スペーサの製造方法。
  8. 【請求項8】 請求項5記載のコア−シェル重合体微粒
    子からなる液晶表示素子用スペーサの製造方法であっ
    て、前記コアを、架橋性単量体及び非架橋性単量体の懸
    濁重合により形成するにあたって、同時にフッ素を有す
    る少なくとも1種の(メタ)アクリレート単量体を添加
    して重合させることにより、前記シェルを形成させるこ
    とを特徴とする液晶用スペーサの製造方法。
  9. 【請求項9】 配向膜及び透明電極が配置された2枚の
    ガラス基板が、請求項1、2、3、4、5又は6記載の
    液晶表示素子用スペーサを介して対向され、前記ガラス
    基板間に液晶が封入されていることを特徴とする液晶表
    示素子。
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JP27272195 1995-10-20
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JP7-272708 1996-04-18
JP7-272721 1996-04-18
JP8-96666 1996-04-18
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007256357A (ja) * 2006-03-20 2007-10-04 Toppan Printing Co Ltd カラーフィルタおよびその製造方法
JP2011153198A (ja) * 2010-01-26 2011-08-11 Nippon Shokubai Co Ltd 重合体微粒子及びその用途
JP2013182014A (ja) * 2012-02-29 2013-09-12 Toshiba Corp 液晶光学素子及び立体画像表示装置
JP2015163717A (ja) * 2009-05-29 2015-09-10 日産化学工業株式会社 含フッ素高分岐ポリマー及びそれを含む樹脂組成物

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