JP2007256357A - カラーフィルタおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 透明基板1上に撥インキ性を有する遮光パターンにより隔壁2を形成し、この隔壁2に仕切られた領域に着色層3を形成したカラーフィルタであり、着色層3を形成するときの遮光パターン表面をTOF−SIMSで負イオン分析を行った結果が、全負イオンの検出強度の合計を1としたときに、フッ素イオンの検出強度が0.3〜0.6であり、着色層3形成後、UV洗浄処理を施し、遮光パターン表面をTOF−SIMSで負イオン分析を行った結果が、全負イオンの検出強度の合計を1としたときに、フッ素イオンの検出強度が0.05以下となるように調整し、続いて、前記着色層3上に保護層またはITO(酸化インジウムスズ)層4を形成する。
【選択図】図1
Description
インクジェット方式により着色パターンを形成すると、隣り合う画素間のインキが混合して発生する混色が問題となる。インクジェット方式で混色を防止して形成したカラーフィルタの製造方法としては特許文献1、特許文献2、特許文献3等が挙げられる。特許文献1には、ガラス基板上の所望する着色領域外への着色インキの広がりを防止するため、予め遮光パターン(ブラックマトリックス)にフッ素系撥水・撥油剤を含有させてパターン形成し、着色領域内のみに着色インクを定着させ着色層を形成するインクジェット方式が記載されている。また、特許文献2、特許文献3には、着色工程におけるインクにじみ、混色を防止するための仕切り壁として含フッ素化合物及び/または含ケイ素化合物を含有するブラックマトリックスを用い、着色領域内のみに着色インキを定着させ着色層を形成するインクジェット方式が記載されている。
本発明者らは上記問題点を解決するため、鋭意研究した結果、撥インキ材料を有する遮光パターンにより隔壁を形成し、この隔壁に仕切られた領域にインクジェット方式で着色層を形成したカラーフィルタであって、着色層を形成するときの遮光パターン表面を飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)で負イオン分析を行った結果が、全負イオンの検出強度の合計を1と(正規化)したときに、フッ素イオンの検出強度が0.3〜0.6であるため、つまり遮光パターンが強い撥インキ性を有するため、着色層を形成する際、混色不良は発生しなくなる。また、着色層形成後UV洗浄処理を施し、遮光パターン表面を飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)で負イオン分析を行った結果が、全負イオンの検出強度の合計を1と(正規化)したときに、フッ素イオンの検出強度が0.05以下にしてから保護層もしくはITO層を形成するため、保護層もしくはITO層は均一で、かつ密着性がよく、はがれやクラックのないカラーフィルタとなる事実を見いだし、本発明を完成するに至った。
<隔壁(遮光パターン)の作成>
透明基板として無アルカリガラス(コーニング社製、品番1737)を用いた。次に下記に示す方法で透明基板上に撥インキ性を有する隔壁(遮光パターン)を形成した。まずフッ素樹脂を含む感光性樹脂組成物(クレゾール−ノボラック樹脂、シクロヘキサノン、カーボン顔料、分散剤、ラジカル重合性を有する化合物トリメチロールプロパントリアクリレート、光重合開始剤、 含フッ素化合物で形成)を透明基板上に厚さ2μmとなるようスピンコート法により塗布した後、オーブンで90℃20分間溶剤を乾燥させた。次に隔壁の所望のパターンが形成されたフォトマスク介して300mJ/cm2の露光を行った後に、アルカリ水溶液で現像し、最後にオーブンで230℃1時間加熱・硬化を行い、ブラックマトリクス状の隔壁(遮光パターン)を得た。飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)により、この隔壁(遮光パターン)表面の負イオン分析を行ったところ、全負イオンの検出強度の合計を1と(正規化)したときに、フッ素イオンの検出強度が約0.5であり、撥インキ材料である含フッ素化合物が隔壁表面に多く存在し、強い撥インキ性であることを確認した。
着色インクとして顔料を、溶剤を除くインクの全固形分の合計質量に締める割合が50質量%で必要な分光特性となるように調整し、溶剤をインクに締める全固形分濃度が30質量%となるように調整した。
この基板にインクジェット方式を用いて赤、青、緑からなる着色インキをそれぞれ隔壁で区切られた領域に付与し、その後加熱硬化してカラーフィルタを得た。このカラーフィルタの各画素を観察したところ、混色不良が1つも発生していないことを確認した。
照射光強度が約10mW/cm2の低圧水銀ランプのUV洗浄装置を用い、UV照射時間としては7分、UV照射光量としては、約4200mJ/cm2の条件で、着色層を有する基板のUV洗浄処理を行った。飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)により、この隔壁(遮光パターン)表面の負イオン分析を行ったところ、全負イオンの検出強度の合計を1と(正規化)したときに、フッ素イオンの検出強度が約0.03であり、隔壁表面に存在した撥インキ材料である含フッ素化合物が除去でき、撥インキ性を低下させることができたことを確認した。
UV洗浄処理をした基板に保護層を形成する透明樹脂組成物(固形分20%のアクリルワニス50質量部、トリメチロールプロパントリアクリレート5質量部、シクロヘキサノン45質量部で形成)を厚さ2μmとなるようスピンコート法により塗布した後、オーブンで90℃20分間溶剤を乾燥させた。次にオーブンで230℃1時間加熱・硬化を行い、保護層付きのカラーフィルタを得た。得られたカラーフィルタの保護層を確認したところ塗布後ムラもなく、均一で、はがれもない良好なカラーフィルタであることを確認した。またUV洗浄処理をした基板に厚さ1500Åになるようにスパッタ装置にてITO層を形成し、ITO層付きのカラーフィルタを得た。得られたカラーフィルタのITO層を確認したところムラもなく、均一で、はがれやクラックのないカラーフィルタであることを確認した。
撥インキ材料を撥インキ性の弱い(着色層を形成するときの遮光パターン表面を飛行時間型二次イオン質量分析計で負イオン分析を行った結果が、全負イオンの検出強度の合計を1と(正規化)したときに、フッ素イオンの検出強度が0.25となる)材料であることに変えたこと以外は、実施例と同様にカラーフィルタを作成した。得られたカラーフィルタの各画素を観察したところ混色不良が発生していた。
Claims (8)
- 透明基板上に撥インキ性を有する遮光パターンにより隔壁を形成し、この隔壁に仕切られた領域に着色層を形成したカラーフィルタにおいて、前記着色層を形成するときの遮光パターン表面を飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)で負イオン分析を行った結果が、全負イオンの検出強度の合計を1と(正規化)したときに、フッ素イオンの検出強度が0.3〜0.6であることを特徴とするカラーフィルタ。
- 前記着色層形成後、UV洗浄処理を施し、前記遮光パターン表面を飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)で負イオン分析を行った結果が、全負イオンの検出強度の合計を1と(正規化)したときに、フッ素イオンの検出強度が0.05以下であることを特徴とする請求項1に記載のカラーフィルタ。
- 前記着色層が、インクジェット方式により形成されたことを特徴とする請求項1または2に記載のカラーフィルタ。
- 前記遮光パターンがカーボンブラックを含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のカラーフィルタ。
- 前記撥インキ性を有する遮光パターン中に含まれる撥インキ材料が、含フッ素系化合物を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のカラーフィルタ。
- 前記着色層上に少なくとも保護層を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のカラーフィルタ。
- UV洗浄処理後、着色層を有する透明基板上に少なくともITO(酸化インジウムスズ)層を有することを特徴とする請求項2〜6のいずれかに記載のカラーフィルタ。
- 透明基板上に撥インキ性を有する遮光パターンにより隔壁を形成し、この隔壁に仕切られた領域に着色層を形成するカラーフィルタの製造方法において、前記着色層を形成するときの遮光パターン表面を飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)で負イオン分析を行った結果が、全負イオンの検出強度の合計を1と(正規化)したときに、フッ素イオンの検出強度が0.3〜0.6となるように前記遮光パターンを形成し、前記着色層形成後、UV洗浄処理を施し、前記遮光パターン表面を飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF−SIMS)で負イオン分析を行った結果が、全負イオンの検出強度の合計を1と(正規化)したときに、フッ素イオンの検出強度が0.05以下となるように調整し、続いて、前記着色層上に保護層またはITO(酸化インジウムスズ)層を形成することを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
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