JPH10307390A - 紫外線硬化性樹脂組成物及びそれを用いたシャドウマスクの製造方法 - Google Patents

紫外線硬化性樹脂組成物及びそれを用いたシャドウマスクの製造方法

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JPH10307390A
JPH10307390A JP13441597A JP13441597A JPH10307390A JP H10307390 A JPH10307390 A JP H10307390A JP 13441597 A JP13441597 A JP 13441597A JP 13441597 A JP13441597 A JP 13441597A JP H10307390 A JPH10307390 A JP H10307390A
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shadow mask
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etching
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curable resin
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JP13441597A
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Yasuhisa Otake
康久 大竹
Masaru Nikaido
勝 二階堂
Sachiko Hirahara
祥子 平原
Shigeaki Kurabayashi
成明 倉林
Nobuyuki Suzuki
信之 鈴木
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Toshiba Corp
Taiyo Holdings Co Ltd
Original Assignee
Toshiba Corp
Taiyo Ink Mfg Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 微小凹孔への充填性、耐エッチング性、エッ
チング後のアルカリ剥離性に優れ、安全な取扱いができ
る紫外線硬化性樹脂組成物、及びそれを用いて充填性の
優れたバックコート層を得ることができる塗工方法を含
むシャドウマスクの製造方法を提供する。 【解決手段】 2段エッチング法によるシャドウマスク
の製造方法のバックコート層形成工程において、カルボ
キシル基を有する光重合性化合物を含み、シャドウマス
ク基材に対して25度以下の接触角を示すシャドウマス
クのバックコート層形成用紫外線硬化性樹脂組成物をバ
ックコート剤として用い、紫外線照射により硬化させて
バックコート層を形成する。上記組成物は好適には、
(a)分子中に1個のカルボキシル基及び1個のアクリ
ロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物、(b)分
子中に1個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基
を持つ化合物、(c)レベリング剤、及び(d)光開始
剤を含有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、カラー受像管用の
シャドウマスクの製造に用いて最適なバックコート層形
成用紫外線硬化性樹脂組成物及びそれを用いたシャドウ
マスクの製造方法に関し、特に高精細のカラー受像管用
のシャドウマスクの製造に用いられる2段エッチング法
と呼ばれる方法において、シャドウマスクのバックコー
ト層形成に用いて最適な紫外線硬化性樹脂組成物及びそ
れを用いたシャドウマスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】シャドウマスク型カラー受像管は、図8
に示すように、外囲器を構成する透明なバネル61の内
面に設けられた赤、緑、青に発光する蛍光体層からなる
蛍光スクリーン62の内側に、所定間隔離れて、その全
面に多数の開孔が所定の大きさとピッチで配列された色
選別機能を有するシャドウマスク63が配置されてお
り、このシャドウマスク63により、電子銃64から放
出された電子ビーム65は、シャドウマスク63の開孔
と幾何学的に一対一の関係にある所定の蛍光体層のみに
正しく衝突するよう選別されている。このシャドウマス
ク63には、図9(A)及び(B)に示すように、大別
して開孔形状が円形状のもの63aと、矩形状のもの6
3bとが有り、一般的には、文字や図形などを表示する
カラーディスプレイ管には開孔形状が円形状のシャドウ
マスク63aが、一般家庭で使用される動画像を表示す
るカラー受像管には開孔形状が矩形状のシャドウマスク
63bが用いられている。
【0003】ところで、近年、文字や図形などを表示す
るカラーディスプレイ管については、益々の高精細化及
び高品質化が強く要求されている。一方、従来は動画像
のみを表示するカラー受像管についても、マルチメディ
ア管と称して、従来の動画像に加え、文字放送や、パソ
コンの端末として文字や図形などを表示でき、インター
ネットの使用に耐えられるように高精細化及び高品質化
が強く要求されている。シャドウマスクの開孔は、従来
よりフォトリソグラフィを用いたフォトエッチング法に
より形成され、特に、高精細及び高品質が要求される開
孔形状が円形状のカラーディスプレイ管用シャドウマス
ク及びマルチメディア管用の開孔形状が矩形状のシャド
ウマスクは、2段エッチング法と呼ばれる方法により形
成される。
【0004】以下、2段エッチング法について図10及
び図11を参照して詳細に説明する。カラーディスプレ
イ管用シャドウマスクやマルチメディア管用のシャドウ
マスクは、アンバー材(Fe−36wt%Ni合金)や
アルミキルド鋼などの金属薄板71を基材とし、圧延油
や防錆油などの脱脂の目的でアルカリ系溶液を用いて脱
脂洗浄、水洗を行った後、図11(A)に示すように、
金属薄板71の両面にカゼインや変性PVA(ポリビニ
ルアルコール)と重クロム酸塩からなる感光剤を、所定
の厚さになるようにディピング法やキスコータなどを用
いて塗布し、乾燥し、感光膜72を形成する(感光膜形
成工程)。次に、図11(B)に示すように、この両面
の感光膜72に、シャドウマスクの開孔の電子銃側の小
孔に対応するパターンが形成されたフォトマスク73a
とシャドウマスクの開孔の蛍光スクリーン側の大孔に対
応するパターンが形成されたフォトマスク73bからな
る一対のフォトマスクを密着して、紫外光により露光
し、これらフォトマスク73a及び73bのパターン通
りに硬化させる(露光工程)。
【0005】この後、このパターン通りに硬化された両
面の感光膜72を、水や水とアルコールからなる現像液
を用いて現像し、未感光部を除去し、乾燥、硬膜の為の
ベーキング(焼付け)を行ない、図11(C)に示すよ
うに、上記一対のフォトマスク73a,73bのパター
ンに対応するエッチングレジストパターン74a、74
bを形成する(現像・焼付け工程)。その後、図11
(D)に示すように、シャドウマスクの開孔の蛍光スク
リーン側の大孔に対応するエッチングレジストパターン
74bが形成された面側に、PET(ポリエチレンテレ
フタレート)、CPP(キャスティングポリプロピレ
ン)などの耐エッチング性の樹脂フィルムに粘着剤を塗
工した保護フィルム75bを貼着し、シャドウマスクの
開孔の電子銃側の小孔に対応するエッチングレジストパ
ターン74aの形成された面側を、塩化第二鉄溶液をエ
ッチング液に用いてエッチングし、水洗し、このエッチ
ングレジストパターン74aの形成された面側に、シャ
ドウマスクの電子銃側の小凹孔76aを形成する(第一
エッチング工程)。
【0006】次に、エッチングの終了した小凹孔76a
側のエッチングレジストパターン74aをアルカリ系溶
液で剥離、水洗し、エッチングレジストパターン74b
上に形成された保護フィルム75bを取除き、図11
(E)に示すように、小凹孔76a内に例えばカゼイン
系の水溶性樹脂からなるバックコート剤を塗布、充填
し、乾燥硬化させ、バックコート層77を形成し、更に
このバックコート層77上に保護フィルム75aを貼着
する(バックコート層形成工程)。この後、図11
(F)に示すように、エッチングレジストパターン74
bの形成された面側を、塩化第二鉄溶液をエッチング液
に用いてエッチングし、水洗し、このエッチングレジス
トパターン74bの形成された面側に、シャドウマスク
の蛍光スクリーン側の大孔76bを形成する(第二エッ
チング工程)。最後に、保護フィルム75aを取除き、
アルカリ系溶液にて、大孔76bが形成された面側のエ
ッチングレジストパターン74b及び小孔76aが形成
された側のバックコート層77を剥離除去して、図11
(G)に示すように、小孔76aと大孔76bとが連通
した開孔78を形成する(仕上げ工程)。
【0007】以上のような2段エッチング法にて、高精
細、高品質のシャドウマスクが形成されるが、得られる
シャドウマスクの開孔径(小孔と大孔とが連通した開孔
の合致点の径)を、小孔側で制御しているということが
出来る。即ち、通常の両面からエッチングする方法で
は、小孔と大孔が合致した以降も小孔の横方向にエッチ
ングが進行するサイドエッチングが避けられず、正確な
開孔寸法のコントロールが難しいが、2段エッチング法
においては、小孔側の凹部にバックコート層を充填し、
第二のエッチング工程においては小孔はバックコート層
により被覆されており、エッチングされないようにし、
第一エッチング工程における正確な小孔パターンを維持
できるようにしているため、正確な開孔寸法のコントロ
ールが可能となる。
【0008】このようにシャドウマスクの2段エッチン
グ法においては、小孔側の凹部へのバックコート層形成
が重要なプロセスとなるが、従来用いてきたバックコー
ト剤では、益々の高精細及び高品質が要求される開孔形
状が円形状のカラーディスプレイ管用シャドウマスク
や、カラーディスプレイ管用シャドウマスクに比べ板厚
の厚いマルチメディア管用の開孔形状が矩形状のシャド
ウマスクに適用する場合、以下に述べるような多くの問
題が生じる。まず、開孔形状が円形状のカラーディスプ
レイ管用シャドウマスクの場合、対角41cmのシャド
ウマスクでおよそ120万個〜150万個の、マルチメ
ディア管用の開孔形状が矩形状のシャドウマスクの場
合、対角66cmのシャドウマスクでおよそ50万個〜
70万個の開孔が存在し、これら全ての小孔側の凹部に
1個残らず正確にしかも気泡の巻き込みなくバックコー
ト剤を充填する必要がある。これらが完全に行われない
と、第二エッチング工程において、小孔側のサイドエッ
チングが進行し、開孔形状が拡大したり、所定の形状に
ならない孔径不良の原因となったり、孔径がばらつき、
ムラや品位を劣化させる原因となる。
【0009】従来、シャドウマスクの2段エッチングに
用いられるバックコート剤としては、牛乳蛋白より抽出
されたカゼインが、また、カゼインと第二、第三の樹脂
との組合せが、特にコストが安いことから多用されてき
た。しかしながら、これらのバックコート剤は、液に応
力が加わると粘度が変化する特性を有し、液の管理状態
や、塗工後オーバフローしている液と新液との混合状態
で液特性が部分的に変わるなどの問題があり、正確な充
填がしずらかった。また、カゼイン系のバックコート剤
は、バクテリアが繁殖し易いため腐敗し易く、腐敗が、
また腐敗を抑制する防腐剤の添加が、正確な充填を阻害
する原因となっていた。また、カゼイン系のバックコー
ト剤は水溶性であり、その後の乾燥が難しく、気泡の発
生の一因となっていた。更に、カゼイン系のバックコー
ト剤を始めとする溶媒が添加されたバックコート剤は、
図12(A)に示すように、基材81上に塗布されたバ
ックコート剤82aが乾燥時に体積収縮を起こすため、
肩の所83の膜厚が薄くなるという問題があった。加え
て、直接シャドウマスクの品位とは関係ないが、乾燥に
時間がかかり、乾燥炉が長く、省エネに逆行するという
問題もある。なお、無溶剤型のバックコート剤82bの
場合、図12(B)に示すように体積収縮が殆ど起こら
ない。
【0010】ところで、開孔形状が円形状のカラーディ
スプレイ管用シャドウマスクの場合、シャドウマスク基
材として用いられる金属薄板の板厚は0.10mm〜
0.15mmであり、これに第一エッチング工程におい
て0.03mm〜0.05mm程度の深さの微小凹孔が
設けられる。一方、マルチメディア管用の開孔形状が矩
形状のシャドウマスクの場合、音声を出すセットに組み
込まれるために、シャドウマスクが音によって振動し、
画像が乱れるハウリングと呼ばれる現象を避けるため、
通常0.18mm〜0.28mmの板厚の金属薄板が使
用され、これに第一エッチング工程において0.06m
m〜0.10mm程度の深さの深い微小凹孔が設けら
れ、また、矩形状のため縦方向と横方向で充填特性が異
なるという問題も加わり、カゼイン系のバックコート剤
では、正確な充填が益々困難になってきている。また、
開孔形状が円形状のカラーディスプレイ管用シャドウマ
スクの場合においても、マルチメディア管用の開孔形状
が矩形状のシャドウマスクの場合においても、この深さ
は同じで益々開孔寸法が小さくなり、カゼイン系のバッ
クコート剤では、正確な充填が益々困難になってきてい
る。
【0011】このような状況の中、バックコート剤とし
て、紫外線硬化性樹脂組成物を用いることが提案させて
いる。しかしながら、従来の紫外線硬化性樹脂組成物で
は、微小凹孔への充填性、耐エッチング性、エッチング
後の剥離性を同時に満足する物は得られなかった。即
ち、耐エッチング性、エッチング後の剥離性を確保しよ
うとすると、特に組成物の粘度が上がり、微小凹孔への
充填性が著しく損なわれ、また、微小凹孔への充填性を
確保しようとすると、耐エッチング性、エッチング後の
剥離性が劣化し、第二エッチング工程において欠点の発
生の原因になったり、エッチングで問題を生じなくと
も、仕上げ工程でバックコート層が剥離できないという
問題があった。また、紫外線硬化性樹脂組成物を溶媒に
溶解し、特に液の粘度を下げて、樹脂本体の耐エッチン
グ性、エッチング後の剥離性を劣化させないで微小凹孔
への充填性を確保しようとする提案もあるが、逆に金属
薄板表面でのはじき(表面張力により塗膜が被着してい
ない斑点状部分が生ずる現象、クレーターともいう)が
発生したり、はじきがなくとも、バックコート層形成の
際に、紫外線硬化に先立って大量の溶媒を加熱蒸発させ
る必要があるため、乾燥炉や溶剤の回収装置が必要であ
るとともに、有機溶剤の取扱いに伴う毒性及び引火、爆
発の危険性を生じる。一方、乾燥工程における引火、爆
発及び火災の危険性を減少させるために、難燃性を有す
る塩素系溶剤の使用が考えられるが、近年、これら塩素
系溶剤の使用は大気汚染等の問題から規制されている。
【0012】これらの問題を解決するため、本質的に無
溶剤である紫外線硬化性樹脂を用いる方法が考えられ
る。しかしながら、現在知られている、硬化塗膜が耐酸
性でアルカリ溶解性を有する紫外線硬化性樹脂を、シャ
ドウマスクのバックコート剤用紫外線硬化性樹脂組成物
として用いた場合、微小な凹孔に気泡を生ずることなく
均一に充填することが困難であり、また凹底部での硬化
不良及びアルカリ溶解・剥離性の不足に起因した塗膜残
存等の欠点が見られ、要求特性を全て満足する物は未だ
知られていない。従来、前記したような問題は使用する
紫外線硬化性樹脂組成物の粘度が高いことに起因してい
ると考えられており、例えば特開昭61−261410
号には樹脂組成物の25℃における粘度を100cps
以下にすることが提案されている。しかしながら、従来
用いられている紫外線硬化性樹脂組成物を微細な凹凸を
有する材料表面に、例えばロールを用いて塗布した場
合、樹脂組成物の粘度が低くて流れ易いため、微小な凹
孔にロール表層部の一部が食い込んで圧力が加わったと
きに、樹脂組成物が微小凹孔から流れ出て、微小凹孔内
へ充分に充填されなくなり、また微小凹孔の肩部(エッ
ジ部)の塗膜が薄くなり易いという問題がある。さら
に、前記したように金属薄板表面でのはじきが発生した
りする。また一般に、粘度が低過ぎる場合、硬化塗膜の
耐エッチング性や剥離性が悪くなり易いという問題があ
る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】前述したように、従来
のカゼイン系のバックコート剤では、近年の益々の高精
細化、高品位の要求を満足するシャドウマスクを得るこ
とが困難になってきている。一方、従来のカゼイン系の
バックコート剤の問題点を解決し、近年の益々の高精細
化、高品位の要求を満足するシャドウマスクを得るため
に紫外線硬化性樹脂からなるバックコート剤を使用する
ことが提案されているが、シャドウマスク製造工程に使
用するために必要な微小凹孔への充填性、耐エッチング
性、エッチング後の剥離性を同時に満足し、かつ安全な
取扱いができる紫外線硬化性樹脂組成物は、未だ知られ
ていない。本発明は、このような状況に鑑み、従来の紫
外線硬化性樹脂組成物が有する問題点を解決し、シャド
ウマスク製造工程において使用するバックコート剤とし
て最適な紫外線硬化性樹脂組成物を提供することと、こ
の紫外線硬化性樹脂組成物の特性を最大限に発揮し、充
填性の優れたバックコート層を得ることができる塗工方
法を含むシャドウマスクの製造方法を提供することを目
的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明によれば、カルボキシル基を有する光重合性
化合物を含み、シャドウマスク基材に対して25度以下
の接触角を示すことを特徴とするシャドウマスクのバッ
クコート層形成用紫外線硬化性樹脂組成物が提供され
る。好適な態様においては、紫外線硬化性樹脂組成物
は、(a)分子中に1個のカルボキシル基及び1個のア
クリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物、
(b)分子中に1個以上のアクリロイル基又はメタクリ
ロイル基を持つ化合物、(c)レベリング剤、及び
(d)光開始剤を含有することを特徴としており、さら
に好適な態様においては、上記(b)成分として、(b
−1)分子中に1個のアクリロイル基又はメタクリロイ
ル基を持つ化合物、(b−2)分子中に2個以上のアク
リロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物を併せ含
有する。上記のような紫外線硬化性樹脂組成物は、実質
的に無溶剤型の組成物であり、塗工性に優れると共に、
硬化後の塗膜が高い耐エッチング性を示し、またエッチ
ング後のアルカリ処理による優れた溶解・剥離性を示す
という特性を有するため、シャドウマスク製造における
バックコート剤用紫外線硬化性樹脂組成物として特に好
適に用いることができる。本発明の紫外線硬化性樹脂組
成物はまた、実質的に無溶剤型の紫外線硬化性樹脂組成
物であることを特徴としている。ここでいう実質的に無
溶剤型であるとは、有機溶剤に溶解して紫外線硬化性樹
脂組成物に添加する添加剤に起因する有機溶剤の総和が
3%以下であることを指す。
【0015】さらに本発明によれば、シャドウマスクの
製造工程においてバックコート層形成に上記紫外線硬化
性樹脂組成物を用いたシャドウマスクの製造工程も提供
される。本発明の方法は、帯状の金属薄板からなるシャ
ドウマスク基材の両面に感光膜を形成する工程と、感光
膜が形成された両面を所定のパターンに従って露光・現
像し、所定のパターン通りに一部金属表面を露出させて
エッチングレジストを形成する工程と、このエッチング
レジストを形成し金属表面が一部露出した金属薄板の少
なくとも一方の面をエッチングして、少なくともこの一
方の面の金属表面露出部に凹孔を形成する第一エッチン
グ工程と、第一エッチング工程において形成された凹孔
を有する一方の面に、バックコート剤を塗布し、この凹
孔内部にバックコート剤を充填し、バックコート層を形
成する工程と、バックコート層を形成した面と反対の面
をエッチングして、第一エッチング工程で形成された凹
孔に通じる凹孔を形成する第二エッチング工程と、バッ
クコート層とエッチングレジストを除去する剥離工程と
を少なくとも含むシャドウマスクの製造方法において、
バックコート層形成工程において、使用するシャドウマ
スク基材に対して25度以下の接触角を示す紫外線硬化
性樹脂組成物をバックコート剤として用い、紫外線照射
により硬化させることを特徴としている。好適な態様に
おいては、第一エッチング工程において形成された凹孔
を有する一方の面にバックコート剤を塗布する方法とし
て、この凹孔を形成する側壁に、紫外線硬化性樹脂組成
物からなるバックコート剤を接触せしめることの出来る
塗工方法を用いる。このような塗工方法としては、ダイ
レクトコート法、グラビアコート法、マイクログラビア
コート法、押し込みコート法、ドクタノズルコート法を
用いることができるが、この目的が達成できる塗工方法
であれば、これに限定されるものではない。
【0016】
【発明の実施の形態】前記したように、従来、シャドウ
マスクのバックコート剤に用いられている紫外線硬化性
樹脂組成物は、微小な凹孔に気泡を生ずることなく均一
に充填することが困難であり、また凹底部での硬化不良
及びアルカリ溶解・剥離性の不足に起因した塗膜残存等
の欠点が見られる。従来、このような問題は使用する紫
外線硬化性樹脂組成物の粘度が高いことに起因している
と考えられており、前記したように粘度をかなり低くす
ることが提案されている。しかしながら、樹脂組成物の
粘度が低くても、逆に流れ易くなるため、前記したよう
にロールによる塗工時に微小凹孔内から押し出されるこ
とによる充填不良や、金属薄板表面でのはじきなどの問
題がある。本発明者らは、このような現象について鋭意
研究の結果、シャドウマスクの製造工程において、バッ
クコート剤を微小凹孔内へ充填する際の充填性を規制す
るファクターは粘度ではなく、以下に述べる接触角であ
ることを見い出し、また、接触角を規定した紫外線硬化
性樹脂組成物を用い、この紫外線硬化性樹脂組成物を微
小凹孔の側壁に接触せしめることができる塗工方法を用
いれば容易に微小凹孔への充填ができることを見い出
し、本発明を完成するに至ったものである。
【0017】すなわち、本発明の紫外線硬化性樹脂組成
物は、使用するシャドウマスク基材に対する接触角が2
5度以下であることを特徴としている。ここでいう接触
角とは、図1に示すように、シャドウマスク基材11の
上に紫外線硬化性樹脂組成物の液適を静かに滴下した時
に生じる滴弧状の液滴12の、シャドウマスク基材11
表面となす接線13方向の角度θと定義する。このよう
な接触角θは、例えば、協和界面科学(株)製の接触角
計を用いて容易に測定することができる。実際のシャド
ウマスク製造工程においては、バックコート剤を塗布、
充填する面は、微小凹孔内のエッチング処理された面
と、第一エッチング工程においてはエッチングレジスト
に覆われ、バックコート剤を塗布、充填する前にアルカ
リ系溶液でエッチングレジストが剥離された面の2つの
面を含み、この両者の基材表面に対し、接触角が25度
以下であることが必要である。また、第一エッチング工
程終了後に小孔側のエッチングレジストを剥離除去せず
に、バックコート剤を塗布、充填する場合においても、
エッチングレジストに対する接触角が、25度以下であ
ることが必要である。
【0018】本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、微小
凹孔内のエッチング処理された面、第一エッチング工程
においてはエッチングレジストに覆われ、バックコート
剤を塗布、充填する前にアルカリ系溶液でエッチングレ
ジストが剥離された面、及び小孔側に残るかもしれない
エッチングレジスト面のいずれのシャドウマスク基材面
に対しても、接触角が25度以下である様に設計されて
いる為、バックコート層形成工程において微小凹孔を形
成する凹部側壁に紫外線硬化性樹脂組成物からなるバッ
クコート剤を接触せしめることの出来る塗工方法が適切
に選択されれば、はじきや気泡の発生もなく微小凹孔内
への完全な充填が容易にできる。接触角が25度以下で
あれば、従来塗工が困難とされた粘度100cps以上
の紫外線硬化性樹脂組成物でも、液の輸送ができれば微
小凹孔内への充填は容易にできる。このため、従来塗工
時に加温して粘度を下げる試みも為されたが、本発明の
紫外線硬化性樹脂組成物では、常温での塗工も可能とな
り、塗工装置を簡略化できる。また、本発明の紫外線硬
化性樹脂組成物は、シャドウマスク基材に対しても接触
角が25度以下である様に設計されている為、塗工後の
(熱)レベリングが不要であり、この面からも塗工装置
を簡略化できるとともに、塗工ムラのないバックコート
層が容易に得られる。一方、本発明のシャドウマスクの
製造方法は、第一エッチング工程において形成された凹
孔を有する一方の面にバックコート剤を塗布する工程に
おいて、凹孔を形成する側壁に、前述の紫外線硬化性樹
脂組成物からなるバックコート剤を接触せしめることの
出来る塗工方法を用いている為、はじきや気泡の発生も
なく微小凹孔内への完全な充填が容易にできる。
【0019】また、前記(a)〜(d)の各成分を含有
する本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、前記したよう
に塗工性に優れると共に、カルボキシル基を有する光重
合性化合物(前記(a)成分)を含み、さらに2種以上
の光重合性化合物(前記(a)成分及び(b)又は(b
−1)、(b−2)成分)を含む。そのため、紫外線硬
化性に優れ、凹底部での硬化不良を生ずることなく、紫
外線の照射により容易に短時間で硬化させることができ
ると共に、得られるバックコート層は、耐エッチング性
及びエッチング後の剥離性に優れる。特に、本発明の紫
外線硬化性樹脂組成物が、第二成分として、分子中に2
個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化
合物を含む場合、シャドウマスクの製造工程に用いられ
るエッチング液中に0.1〜0.3%程度含まれる遊離
塩酸による耐エッチング性の低下を完全に防止すること
ができる。また、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、
実質的に無溶剤型の紫外線硬化性樹脂組成物である為、
安全性が高く、また、塗工後直接紫外線により硬化する
ことが可能で、大幅な工程省略、設備の簡略化及び省エ
ネルギーが期待される。更に、実質的に無溶剤型の樹脂
組成物である為、硬化時の体積収縮がなく、従来の硬化
時に凹孔の肩の所(エッジ部)の膜厚が薄くなるという
問題がなく、バックコート層全面にわたって耐エッチン
グ性が確保できる。
【0020】以下、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を
構成する各成分について説明する。まず、前記(a)成
分は、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物に主として耐エ
ッチング性及びアルカリ剥離性を付与する成分であり、
分子中に1個のカルボキシル基及び1個のアクリロイル
基又はメタクリロイル基(以下(メタ)アクリロイル基
と総称する)を持つ化合物であって、例えば二塩基酸無
水物と分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基及び1
個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体とのモノエ
ステル化合物がある。二塩基酸無水物としては、フタル
酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラ
ヒドロフタル酸無水物、エチルテトラヒドロフタル酸無
水物、プロピルテトラヒドロフタル酸無水物、ブチルテ
トラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水
物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、エチルヘキサ
ヒドロフタル酸無水物、プロピルヘキサヒドロフタル酸
無水物、イソプロピルヘキサヒドロフタル酸無水物、ブ
チルヘキサヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、
コハク酸無水物等が挙げられ、また、分子中に少なくと
も1個のヒドロキシル基及び1個の(メタ)アクリロイ
ル基を有する単量体としては、例えば、ヒドロキシエチ
ル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレー
ト、ポリカプロラクタムモノ(メタ)アクリレートなど
が挙げられる。なお、本明細書中において(メタ)アク
リレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称
する用語として用いられている。
【0021】上記モノエステル化合物の合成は、酸無水
物と単量体との開環付加反応により行われるのが好まし
いが、通常のエステル化反応により合成することもでき
る。これらモノエステル化合物を合成する場合、酸無水
物1 モルに対して単量体1モルを使用するのが好ましい
が、一方を過剰に使用しても構わない。上記開環付加反
応における反応温度は、通常50〜150℃、好ましく
は80〜110℃の範囲である。上記開環付加反応を行
う場合、促進剤としてトリエチルアミン、モルホリン、
トリエタノールアミンなどの第3級アミン類、又はその
第4級アンモニウム塩などを使用することができる。ま
た、反応中に重合が生起するのを防ぐために、ヒドロキ
ノン、ブチルヒドロキノン、ブチルカテコール、フェノ
チアジンなどの重合禁止剤を使用することもできる。上
記開環付加反応の反応の進行は酸無水物の赤外吸収スペ
クトルにより容易に知る事ができ、酸無水物の赤外吸収
スペクトルピークの消失により反応が完了したとみなせ
る。
【0022】上記モノエステル化合物の具体例として
は、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルモノフタ
レート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルモノフタ
レート、(メタ)アクリロイルオキシブチルモノフタレ
ート、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノテトラヒ
ドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピル
モノテトラヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオ
キシブチルモノテトラヒドロフタレート、(メタ)アク
リロイルオキシエチルモノヘキサヒドロフタレート、
(メタ)アクリロイルオキシプロピルモノヘキサヒドロ
フタレート、(メタ)アクリロイルオキシブチルモノヘ
キサヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエ
チルモノサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシプ
ロピルモノサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシ
ブチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチ
ルマレート等が挙げられ、上記化合物の1種又は2種以
上を任意の割合で混合して使用することができる。
【0023】前記(a)成分の好ましい配合量は、
(a)成分及び(b)成分の合計量を100重量部(以
下、部とあるものは重量部とする)として、50〜90
部、より好ましくは60〜85部である。(a)成分の
配合量が50部より少ない場合、硬化塗膜のアルカリ溶
解性、剥離性が充分ではなく、一方、配合量が90部よ
り多い場合、後述する(c)成分の添加によっても接触
角が充分に下がらず、凹孔への充填性、表面平滑性が低
下し易く、また、得られるバックコート層も脆くなり、
割れが生じ易くなる。
【0024】前記(b)成分は、本発明の紫外線硬化性
樹脂組成物に主として耐エッチング性及び硬化性を付与
する成分であり、分子中に1個以上の(メタ)アクリロ
イル基を持つ化合物であって、例えば多価アルコールと
(メタ)アクリル酸との反応物(ここで、(メタ)アク
リル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混
合物を意味する。)、多塩基酸又はその無水物と(メ
タ)アクリル酸との反応物、分子中に1個以上のエポキ
シ基を有するエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との
反応物、分子中に1個以上のイソシアネート基を有する
イソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレー
トとの反応物等が挙げられる。このような(b)成分の
具体例としては、以下に例示するような(b−1)分子
中に1個の(メタ)アクリロイル基を持つ化合物と、
(b−2)分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基
を持つ化合物が挙げられ、これらのいずれかを用いるこ
とができるが、好ましくは(b−2)の化合物、特に好
ましくは、(b−1)の化合物と(b−2)の化合物を
併用することが、樹脂組成物の紫外線硬化性や粘度調整
のし易さ、硬化塗膜の特性等の点から好ましい。
【0025】上記(b)成分のうち、分子中に1個の
(メタ)アクリロイル基を持つ化合物(b−1)は組成
物の粘度や硬化塗膜の特性の調整に有効であり、その具
体例としては、プロピル(メタ)アクリレート、イソプ
ロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アク
リレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキ
ル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、シ
クロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)
アクリレート、ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリ
レート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェ
ノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒ
ドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、テ
トラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニ
ル(メタ)アクリレート、ジシクロペンチルオキシエチ
ル(メタ)アクリレート等の環状(メタ)アクリレート
類、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート、シ
アノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル
(メタ)アクリレート類、エトキシエチル(メタ)アク
リレート、(メタ)アクリロキシエチルフォスフェー
ト、フロロアルキル(メタ)アクリレート、スルホプロ
ピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリ
レート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ジエチレ
ングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレン
グリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレング
リコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレング
リコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリト
ールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルモノ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンモ
ノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ
(メタ)アクリレート、トリグリシジルイソシアヌレー
トモノ(メタ)アクリレート、テトラフェニルメタン型
エポキシ−モノ(メタ)アクリレート、トリスフェニル
メタン型エポキシ−モノ(メタ)アクリレート、グリセ
リンジグリシジルエーテルモノ(メタ)アクリレート、
イソシアヌル酸モノ(メタ)アクリレート、メラミンモ
ノ(メタ)アクリレート、及び上記化合物のエチレンオ
キシド付加物、プロピレンオキシド付加物等の単官能化
合物が挙げられ、上記化合物の1種又は2種以上を任意
の割合で混合して使用することができる。
【0026】また、上記分子中に2個以上の(メタ)ア
クリロイル基を持つ化合物(b−2)は硬化塗膜の硬化
特性の調整に有効であり、その具体例としては、1,6
−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−
ノナンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキル
ジオールのジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコ
ールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコール
ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ
(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール−ジ、−
トリ又は−テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリ
スリトール−ジ、−トリ、−テトラ、−ペンタ又は−ヘ
キサ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンジ
(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−ジ又
は−トリ(メタ)アクリレート、昭和高分子(株)製:
リポキシSP−4010等のフェノールノボラック型エ
ポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型
エポキシ(メタ)アクリレート、共栄社化学(株)製:
エポキシエステル3000A等のビスフェノールA型エ
ポキシ−ジ(メタ)アクリレート、トリグリシジルイソ
シアヌレート−ジ又は−トリ(メタ)アクリレート、テ
トラフェニルメタン型エポキシ−ジ、−トリ又は−テト
ラ(メタ)アクリレート、トリスフェニルメタン型エポ
キシ−ジ又は−トリ(メタ)アクリレート、グリセリン
ジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、イソシ
アヌル酸−ジ又は−トリ(メタ)アクリレート、メラミ
ン−ジ又は−トリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メ
タ)アクリレート類、アミノアルキル(メタ)アクリレ
ート類、及び上記化合物のエチレンオキシド付加物、プ
ロピレンオキシド付加物等の多官能化合物が挙げられ、
上記化合物の1種又は2種以上を任意の割合で混合して
使用することができる。
【0027】前記(b)成分の好ましい配合量は、前記
(a)成分及び(b)成分の合計量を100部として、
10〜50部、より好ましくは15〜40部である。
(b)成分の配合量が10部より少ない場合、後述する
(c)成分の添加によっても接触角が充分に下がらず、
凹孔への充填性、表面平滑性が損なわれ易く、また得ら
れるバックコート層も脆くなり、割れが生じ易くなる。
また耐エッチング性も低下し易くなる。一方、配合量が
50部より多い場合、バックコート層のアルカリ溶解
性、剥離性が著しく損なわれ易くなる。
【0028】前記(c)成分はレベリング剤であり、本
発明の紫外線硬化性樹脂組成物のシャドウマスク基材に
対する接触角を規定する最も重要な役割を担う成分であ
る。本発明に適合するレベリング剤としては、低級アル
コール類、有機極性化合物類、鉱物油類、シリコーン樹
脂類等があり、具体的な化合物としては、ポリオキシア
ルキレン誘導体、アクリル共重合体、脂肪酸誘導体、シ
リコーンオイルなどが挙げられ、上記化合物の1種又は
2種以上を任意の割合で混合して使用することができ
る。(c)成分の好ましい配合量は、前記(a)成分及
び(b)成分の合計量を100部として、0.05〜5
部、より好ましくは0.1〜2部である。(c)成分の
配合量が0.05部より少ない場合、充分な接触角の低
下が図れず、また発生した泡が消え難くなるなど組成物
の消泡性に問題があり、一方、配合量が5部より多い場
合、塗工膜のはじきが発生し易くなり、また、組成物に
泡が発生し易くなる。尚、一般的な消泡剤、表面平滑
剤、湿潤分散剤等でも、本目的を達成できるものであれ
ば使用することが出来る。
【0029】前記(d)成分の光開始剤は、紫外線硬化
性樹脂組成物の光硬化性を充分に発揮させるための成分
である。本発明に使用される光重合開始剤としては、公
知のどのような光重合開始剤でも使用できるが、配合後
の組成物の熱安定性、貯蔵安定性に優れた化合物が望ま
しい。このような光重合開始剤としては、ベンゾインイ
ソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル
類、ジエチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、2
−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1
−オン等のプロピオフェノン類、2−エチルアントラキ
ノン等のアントラキノン類、イソプロピルチオキサント
ン等のチオキサントン類、及びベンジルジメチルケター
ル等のケタール類などが挙げられ、上記化合物の1種又
は2種以上を任意の割合で混合して使用することができ
る。その好ましい配合量は、前記(a)成分及び(b)
成分の合計量を100部として、1 〜10部、より好ま
しくは2〜8部である。光開始剤の配合量が1部より少
ない場合、組成物の硬化不良を招いたり、耐エッチング
性が低下し易くなる。一方、配合量が10部より多い場
合、重合度が上がらず、やはり耐エッチング性が低下し
易くなる。(d)成分としては、光重合開始剤に加えて
光増感剤を添加してもよい。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例について図面等を参照
しながら詳細に説明する。 紫外線硬化性樹脂組成物の準備;本発明の紫外線硬化性
樹脂組成物として、下記の5種の組成物を準備した。
【0031】組成物1 (a)成分としてアクリロイルオキシエチルモノフタレ
ートを100部、(b)成分としてジエチレングリコー
ルジメタクリレートを20部、(c)成分としてブタジ
エン共重合体系レベリング剤(ビックケミー・ジャパン
社製:BYK−055)を0.2部を60℃に加熱混合
した組成物に、(d)成分としてベンジルジメチルケタ
ノール5部を溶解混合し、冷却し、最終5μmのフィル
タリングを実施し、第1の紫外線硬化性樹脂組成物を調
製した。
【0032】組成物2 (a)成分としてアクリロイルオキシエチルモノメチル
テトラヒドロフタレートを100部、(b)成分として
1,9−ノナンジオールジアクリレートを30部配合し
た以外は、組成物1と同様にして第2の紫外線硬化性樹
脂組成物を調製した。
【0033】組成物3 (a)成分としてアクリロイルオキシエチルヘキサヒド
ロモノフタレートを100部、(b)成分としてトリエ
チレングリコールジアクリレートを20部配合した以外
は、組成物1と同様にして第3の紫外線硬化性樹脂組成
物を調製した。
【0034】組成物4 (a)成分としてアクリロイルオキシエチルモノフタレ
ートを100部、(b)成分として2−ヒドロキシエチ
ルメタアクリレートを20部配合した以外は、組成物1
と同様にして第4の紫外線硬化性樹脂組成物を調製し
た。
【0035】組成物5 (a)成分としてアクリロイルオキシエチルモノフタレ
ートを100部、(b−1)成分として2−ヒドロキシ
−3−フェノキシプロピルアクリレートを5部、(b−
2)成分として1,9−ノナンジオールジアクリレート
を20部、(c)成分としてブタジエン共重合体系レベ
リング剤(ビックケミー・ジャパン社製:BYK−05
5)を0.2部を60℃に加熱混合した組成物に、
(d)成分としてベンジルジメチルケタノール5部を溶
解混合し、冷却し、最終5μmのフィルタリングを実施
し、第5の紫外線硬化性樹脂組成物を調製した。
【0036】また、比較例として、下記の紫外線硬化性
樹脂組成物及び従来の熱乾燥型の水溶性カゼイン樹脂を
用意した。 比較組成物1 (a)成分としてアクリロイルオキシエチルモノフタレ
ートを100部、(b)成分としてジエチレングリコー
ルジメタクリレートを20部、(c)成分としてフッ素
系レベリング剤(大日本インキ化学工業(株)製:メガ
ファックF−177)を0.2部を60℃に加熱混合し
た組成物に、(d)成分としてベンジルジメチルケタノ
ール5部を溶解混合し、冷却し、最終5μmのフィルタ
リングを実施し、比較例となる紫外線硬化性樹脂組成物
を調製した。
【0037】比較組成物2 アンモニウムカゼネート10部と4硼酸2ナトリウム・
10水和物1部をプレミキシング後、少量ずつ、40℃
に加熱した0.15%水酸化ナトリウム水溶液75部に
高速のホモジナイザーで攪拌、分散させる工程を繰り返
し、全量を分散させた。その後、70℃に加熱、1時間
保持し、完全に溶解させた後、この温度に保持したま
ま、最終5μmのフィルタリングを行なった。冷却後、
更に14部の純水を加え、熱乾燥型の水溶性カゼイン樹
脂からなるバックコート剤を得た。得られた組成物の固
形分は12%であった。
【0038】以上のようにして得られた各組成物につい
て、その粘度、シャドウマスク基材に対する接触角を次
のように評価した。粘度は、E型粘度形を使用し、25
℃及び50℃の各温度で測定した。一方、接触角は以下
のように評価した。まず、評価用のシャドウマスク基材
として次の3種類を準備した。すなわち、5cm角の
0.12mmの板厚をもつアンバー材を3枚準備し、圧
延油や防錆油などの脱脂の目的でアルカリ系溶液を用い
て脱脂洗浄、水洗後、一方の面にカゼインと重クロム酸
アンモニウムからなる感光剤を塗布、乾燥し、感光層を
形成した。この後、2枚は全面を紫外光により露光し
た。この後、現像液の水で水洗し、乾燥し、ベーキング
した。この後、比重1.500、液温70℃の塩化第二
鉄溶液に15分浸漬し、水洗し、エアーナイフで乾燥
し、2枚のうち1枚はここで第1のサンプルとした。こ
の後、1枚は液温90℃の8%NaOH水溶液で感光層
を剥離し、水洗し、エアーナイフで乾燥し、第2のサン
プルとした。感光層を形成した残りの1枚は、露光なし
で現像して感光層を除去し、塩化第二鉄溶液(比重1.
500、液温70℃、遊離塩酸濃度0.2%)に15分
浸漬し、水洗し、エアーナイフで乾燥し、第3のサンプ
ルを得た。これらの3種類のシャドウマスク基材上に、
協和界面科学(株)製接触角計CA−Xを用いて、各組
成物を滴下し、接触角を測定した。
【0039】これらの各組成物の粘度、各シャドウマス
ク基材に対する接触角を表1に示す。表1から明らかに
判るように、本発明に係る紫外線硬化性樹脂組成物は、
50℃の粘度が下がった領域のみならず、25℃の高粘
度の領域においても、いずれのシャドウマスク基材に対
しても25度以下の接触角を有することが判る。
【0040】シャドウマスク製造工程への適用例; 適用例1 本発明のシャドウマスクの製造方法の第一の実施例とし
て、ピッチ0.20mm、径100μm、深さ50μm
の小孔を有するシャドウマスクを、0.12mmの板厚
をもつアンバー材で形成する場合を示す。図2及び図3
は、本実施例の工程の流れと金属薄板の断面形状の変化
を示す図である。0.12mmの板厚をもつアンバー材
からなる金属薄板21 を基材とし、圧延油や防錆油など
の脱脂の目的でアルカリ系溶液を用いて脱脂、洗浄、水
洗を行い、図3(A)に示すように、金属薄板21 の両
面にカゼインと重クロム酸アンモニウムからなる感光剤
を所定の厚さになるようにディッピング法により塗布
し、乾燥し、厚さ数μmの感光膜22を形成する(感光
膜形成工程)。
【0041】次に図3(B)に示すように、この両面の
感光膜22に、シャドウマスクの開孔の電子銃側の小孔
に対応するパターンが形成されたフォトマスク23a
と、シャドウマスクの開孔の蛍光スクリーン側の大孔に
対応するパターンが形成されたフォトマスク23bから
なる一対のフォトマスクを密着して、紫外光により露光
し、これらフォトマスク23a及び23bのパターン通
りに硬化させる(露光工程)。露光光源としては、高圧
水銀灯、メタルハライドランプ、キセノンランプなど従
来公知の種々の光源を採用できる。この後、所定のパタ
ーン通りに硬化された両面の感光膜22を、水を現像液
として用いて現像し、未感光部を除去し、乾燥、硬膜の
為のベーキング(焼付け)を行ない、図3(C)に示す
ように、上記一対のフォトマスク23a,23bのパタ
ーンに対応するパターンを有するエッチングレジストパ
ターン24a、24bを形成する(現像・焼付け工
程)。
【0042】その後、図3(D)に示すように、シャド
ウマスクの開孔の蛍光スクリーン側の大孔に対応するエ
ッチングレジストパターン24bが形成された面側に、
CPPからなる樹脂フィルムに粘着剤を塗工した保護フ
ィルム25bを貼着し、シャドウマスクの開孔の電子銃
側の小孔に対応するエッチングレジストパターン24a
の形成された面側を、塩化第二鉄溶液(比重1.50
0、液温70℃、遊離塩酸濃度0.2%)をエッチング
液に用いてスプレーエッチングし、水洗し、このエッチ
ングレジストパターン24aの形成された面側に、シャ
ドウマスクの電子銃側の小凹孔26aを形成する(第一
エッチング工程)。
【0043】次に、エッチングの終了した小孔側のエッ
チングレジストパターン24aをアルカリ系溶液で剥
離、水洗し、エッチングレジストパターン24b上に貼
着された保護フィルム25bを取除き、図3(E)に示
すように、小凹孔26a内に、前記のように調製した組
成物1〜5、比較組成物1及び2をそれぞれバックコー
ト剤として用い、図4に示すような塗布装置を用いて塗
布、充填し、紫外線硬化性樹脂組成物については高圧水
銀灯を用いて積算光量1,000mJ/cm2 の条件で
硬化させ、熱硬化型の組成物については赤外線乾燥炉と
熱風乾燥炉の組合せで最高温度150℃の条件で硬化
し、バックコート層27を形成した(バックコート層形
成工程)。この時の小凹孔26a内への樹脂組成物の充
填の様子を光学顕微鏡で、また表面の平滑性を目視及び
触診にて観察し、次の基準で判定した。
【0044】充填性: ○:全く気泡やはじきがなく全面に充填。 △:一部に気泡やはじきがある。 ×:全面に気泡やはじきがある。 表面平滑性: ○:塗布ムラもなく表面平滑。 △:一部に塗布ムラや凹凸有り。 ×:全面塗布ムラや凹凸発生。 本実施例においては、このバックコート層27上に、樹
脂フィルムに粘着剤を塗工した保護フィルムを貼着せず
に、この後の工程へ流した。
【0045】ここで、図4に示す塗工装置及び塗工原理
について詳細に説明する。図4において、符号31は小
孔側のエッチングが終了したシャドウマスク基材であ
り、31aが小孔側、31bが大孔側である。金属ロー
ルからなるバックロール33の回転に伴ってその周面に
沿って移動しているシャドウマスク基材31にはゴムロ
ールからなる押込みロール32が押圧されており、バッ
クコート剤34はシャドウマスク基材31の小孔側31
aと押込みロール32の間にここには図示していない供
給ノズルにより供給される。この時、図5(A)に示す
ように、ゴムロールからなる押込みロール32のもつ弾
性によりゴムの表層部が小凹孔35内に食い込むように
変形し、バックコート剤34を、小凹孔35の側壁35
aに押し付け供給する。このため、ゴムロール32のゴ
ム硬度はJIS−Aで70度以下、特に45度以下であ
ることが望ましい。符号36はパイプドクターノズルと
呼ばれる塗工部分で、本実施例においては、押込みロー
ル32により図5(B)に示すように小凹孔35の側壁
35a全面に1〜3μm程度のバックコート剤34の層
を形成した後、小凹孔35内にバックコート剤34を充
填すると共に基材表面に10〜15μm程度の必要な膜
厚を形成するために使用される。尚、本実施例において
は、小凹孔への充填性が組成物の粘度ではなく接触角に
依存することを実証するために、塗工温度を25℃及び
50℃にそれぞれ設定し、粘度を変えて塗工を行った。
なお、比較のために、パイプドクターノズルと呼ばれる
塗工部分だけで紫外線硬化性樹脂組成物を塗工したが、
液が小凹孔35の側壁35aに接触する前に前後へ逃げ
るため、小凹孔35への充填はできなかった。
【0046】この後、図3(F)に示すように、エッチ
ングレジストパターン24bの形成された面側を、塩化
第二鉄溶液(比重1.500、液温70℃、遊離塩酸濃
度0.2%)をエッチング液に用いてスプレーエッチン
グし、水洗し、このエッチングレジストパターン24b
の形成された面側に、シャドウマスクの蛍光スクリーン
側の大孔26bを形成する(第二エッチング工程)。こ
の時のバックコート層27の表面状態を、目視及び光学
顕微鏡で観察し、次の基準で判定した。 耐エッチング性: ○:変化なし。 △:薄い変色があるが、割れ、剥がれなし。 ×:変色発生し、割れやはがれあり。
【0047】最後に、8%、90℃の水酸化ナトリウム
水溶液にて、大孔26bが形成された面側のエッチング
レジストパターン24b及び小孔26aが形成された側
のバックコート層27を剥離除去して、図3(G)に示
すように、小孔26aと大孔26bとが連通した開孔2
8を形成する(仕上げ工程)。この時のバックコート層
の剥離状態を、目視で観察し、次の基準で判定した。 剥離性: ○:完全に溶解、剥離した。 △:一部に剥離残りがあった。 ×:剥離しなかった。
【0048】以上のシャドウマスク製造の各工程で評価
した充填性、表面平滑性、耐エッチング性、剥離性及び
シャドウマスク製造用のバックコート剤の総合評価結果
を、まとめて表1に示す。表1から明らかなように、本
発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、充填性、表面平滑
性、耐エッチング性及び剥離性とも、優れた特性を示し
た。特に、常温での組成物の粘度が高い領域において
も、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、シャドウマス
ク基材に対する接触角が25度以下であるため、優れた
充填性を示した。
【表1】
【0049】適用例2 本発明のシャドウマスクの製造方法の第二の実施例とし
て、縦ピッチ0.50mm、横ピッチ0.55mm、縦
寸法350μm、横寸法150μm、深さ100μmの
矩形の小孔を有するシャドウマスクを、0.25mmの
板厚をもつアンバー材で形成する場合を示す。本実施例
の工程の流れ及び使用した組成物は適用例1と同様であ
る。
【0050】本実施例のバックコート層形成工程に用い
た塗工装置を図6に示す。図6において、符号41は小
孔側のエッチングが終了したシャドウマスク基材であ
り、41aが小孔側、41bが大孔側である。シャドウ
マスク基材41は、図において右方向から左方向に、塗
工部において略水平に走行している。符号42は所定間
隔を置いて対向して配設された上下方向に移動可能な一
対の展張ロールを示し、シャドウマスク基材41は、小
孔側41aの下方の面が2個の展張ロール42の中間部
分に該展張ロールと平行に横架されたマイクログラビア
ロール43の周面上を摺接しながら走行する。マイクロ
グラビアロール43は、約20〜50mmの直径を有
し、その外周面にバックコート剤44を充填する彫刻部
43aが刻設されている。塗工時、展張ロール42の下
面は、マイクログラビアロール43上のシャドウマスク
基材41の大孔側表面41bより下方に位置し、マイク
ログラビアロール43とシャドウマスク基材41のなす
角度、接触面積を規制している。マイクログラビアロー
ル43は、ここには図示していない駆動モータにより、
直接又は間接にシャドウマスク基材41の走行方向とは
逆方向に回転できるようになっている。このマイクログ
ラビアロール43の下方には、図示していない基台上に
載置されたバックコート剤44のオーバーフロー受け容
器45が固定されており、このオーバーフロー受け容器
45上には、マイクログラビアロール43にバックコー
ト剤44を供給する塗工液供給ノズル46が設置されて
いる。また、マイクログラビアロール43の近傍にはそ
の彫刻部43aが塗工液供給ノズル46より供給された
バックコート剤44をシャドウマスク基材41に塗工す
る直前に、その彫刻部43aに充填されている余剰のバ
ックコート剤44を掻き取るドクターブレード47が設
けられている。
【0051】本実施例の塗工装置は、直径を約20〜5
0mmとした小径のマイクログラビアロール43を用い
ているため、シャドウマスク基材41との接触面積が小
さく、また接触角も小さいため、シャドウマスク基材4
1とマイクログラビアロール43が接触する部分に出来
るマイクログラビアロール43のバックコート剤溜りが
1〜2mmと極めて狭く、かつ液溜りの泳ぎと呼ばれる
不安定な現象がなくなり極めて安定したものとなる。ま
た、マイクログラビアロール43をシャドウマスク基材
41の走行方向とは逆方向に回転させているため、大き
な力で微小凹孔内部へバックコート剤44を押し込むこ
とが出来る。本実施例においても、小孔への充填性が組
成物の粘度ではなく接触角であることを実証するため
に、塗工温度を25℃及び50℃にそれぞれ設定し、粘
度を変えて塗工を行った。
【0052】以上の適用例2のシャドウマスク製造の各
工程で評価した充填性、表面平滑性、耐エッチング性、
剥離性及びシャドウマスク製造用のバックコート剤の総
合評価結果を、まとめて表2に示す。表2から明らかな
ように、前記適用例2においても、本発明の紫外線硬化
性樹脂組成物は、充填性、表面平滑性、耐エッチング性
及び剥離性とも、優れた特性を示した。特に、本適用例
においても、常温での組成物の粘度が高い領域において
も、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、シャドウマス
ク基材に対する接触角が25度以下であるため、優れた
充填性を示した。本適用例においては、塗工方法として
直径を約20〜50mmとした小径のマイクログラビア
ロールを用いたマイクログラビアコート法について述べ
たが、これ以上の大きな径を有する通常のグラビアコー
ト法でも、グラビアの表面に刻設された彫刻部の形状、
深さ、シャドウマスク基材とのなす角度、バックロール
の材質等を適切に選択すれば、本発明の塗工方法として
用いることができる。
【0053】次に、図7に、本発明に適用可能な別の塗
工方法を示す。図7において、符号51は小孔側のエッ
チングが終了したシャドウマスク基材であり、51aが
小孔側、51bが大孔側である。52は金属ロールから
なるバックロール、53はゴムロールからなる塗工ロー
ルで、ゴム硬度はJIS−Aで70度以下、特に45度
以下であることが望ましい。符号54はバックコート剤
55を液浴56からゴムロール53に供給するための持
上げロールである。本塗工方法によるシャドウマスク基
材51の微小凹孔への充填は、前記図5に示されるよう
に、ゴムロールからなる塗工ロール53のもつ弾性によ
りゴムの表層部が変形し、バックコート剤55を、微小
凹孔の側壁に押し付け供給することによる。
【0054】
【発明の効果】以上のように、本発明の紫外線硬化性樹
脂組成物は、シャドウマスク基材に対して接触角が25
度以下となる様に設計されている為、バックコート層形
成工程において、微小凹孔を形成する凹部側壁に紫外線
硬化性樹脂組成物からなるバックコート剤を接触せしめ
ることの出来る塗工方法が適切に選択されれば、はじき
や気泡の発生もなく微小凹孔内への完全な充填が容易に
できる。接触角が25度以下であれば、従来塗工が困難
とされた粘度100cps以上の紫外線硬化性樹脂組成
物でも、液の輸送ができれば、微小凹孔内への充填は容
易にできる。このため、従来塗工時に加温して粘度を下
げる試みも為されたが、常温での塗工も可能となり、塗
工装置を簡略化できる。また、本発明の紫外線硬化性樹
脂組成物は、シャドウマスク基材に対して接触角が25
度以下となる様に設計されている為、塗工後の(熱)レ
ベリングが不要であり、この面からも塗工装置を簡略化
できとともに、塗工ムラのないバックコート層が容易に
得られる。
【0055】また、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物
は、分子中に1個のカルボキシル基及び1個の(メタ)
アクリロイル基を持つ化合物、分子中に1個以上の(メ
タ)アクリロイル基を持つ化合物、レベリング剤及び光
開始剤からなる為、得られる硬化膜の耐エッチング性、
エッチング後のアルカリ剥離性に優れる。特に、本発明
の紫外線硬化性樹脂組成物が、第二成分として、分子中
に2個以上の(メタ)アクリロイル基を持つ化合物を含
む場合、シャドウマスクの製造工程に用いられるエッチ
ング液中に0.1〜0.3%程度含まれる遊離塩酸によ
る耐エッチング性の低下を完全に防止することができ
る。さらに、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、実質
的に無溶剤型の紫外線硬化性樹脂組成物である為、安全
性が高く、また、塗工後、直接紫外線により硬化するこ
とが可能で、大幅な工程省略、設備の簡略化及び省エネ
ルギーが期待される。また、本発明の紫外線硬化性樹脂
組成物は、実質的に無溶剤型の組成物である為、硬化時
の体積収縮がなく、従来の硬化時に肩の所の膜厚が薄く
なるという問題がなく、バックコート層全面にわたって
耐エッチング性が確保できる。
【0056】また、本発明のシャドウマスクの製造方法
は、第一エッチング工程において形成された凹部を有す
る一方の面にバックコート剤を塗布する工程において、
凹部を形成する側壁に、前述の紫外線硬化性樹脂組成物
からなるバックコート剤を接触せしめることの出来る塗
工方法を用いている為、はじきや気泡の発生もなく微小
凹孔内への完全な充填が容易にできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紫外線硬化性樹脂組成物を規定する接
触角を説明するための図である。
【図2】本発明のシャドウマスクの製造方法における各
工程の流れ図である。
【図3】本発明のシャドウマスクの製造方法における各
工程での金属薄板の断面形状の変化を示す部分断面図で
ある。
【図4】本発明の適用例1に用いられる塗工装置の概略
図である。
【図5】図4に示す塗工装置の原理を説明するための図
である。
【図6】本発明の適用例2に用いられる塗工装置の概略
図である。
【図7】本発明に適用可能な別の塗工装置を説明するた
めの概略図である。
【図8】シャドウマスク型カラー受像管の構造を示す概
略断面図である。
【図9】シャドウマスクの2種の小孔形状を示す部分平
面図である。
【図10】従来のシャドウマスクの製造方法における各
工程の流れ図である。
【図11】従来のシャドウマスクの製造方法における各
工程での金属薄板の断面形状の変化を示す部分断面図で
ある。
【図12】水溶性のバックコート剤と、無溶媒型のバッ
クコート剤の硬化の様子を模式的に比較した概略図であ
る。
【符号の説明】
11,21,31,41,51,71 シャドウマスク
基材(金属薄板) 12 液滴 13 接線 22,72 感光膜 23a,23b,73a,73b フォトマスク 24a,24b,74a,74b エッチングレジスト
パターン 25b,75b 保護フィルム 26a,35,76a 小凹孔 26b,76b 大凹孔 27,77 バックコート層 28,78 開孔 34,44,55 バックコート剤 35a 小凹孔の側壁 61 パネル 62 蛍光スクリーン 63,63a,63b シャドウマスク θ 接触角
【表2】
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C23F 1/00 C23F 1/00 C (72)発明者 平原 祥子 埼玉県深谷市幡羅町1−9−2 株式会社 東芝深谷工場映像管事業部内 (72)発明者 倉林 成明 埼玉県比企郡嵐山町大字大蔵388番地 太 陽インキ製造株式会社嵐山事業所内 (72)発明者 鈴木 信之 埼玉県比企郡嵐山町大字大蔵388番地 太 陽インキ製造株式会社嵐山事業所内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カルボキシル基を有する光重合性化合物
    を含み、シャドウマスク基材に対して25度以下の接触
    角を示すことを特徴とするシャドウマスクのバックコー
    ト層形成用紫外線硬化性樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 (a)分子中に1個のカルボキシル基及
    び1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化
    合物、(b)分子中に1個以上のアクリロイル基又はメ
    タクリロイル基を持つ化合物、(c)レベリング剤、及
    び(d)光開始剤を含有することを特徴とする請求項1
    に記載の紫外線硬化性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 実質的に無溶剤型の紫外線硬化性樹脂組
    成物であることを特徴とする請求項1又は2に記載の紫
    外線硬化性樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 帯状の金属薄板からなるシャドウマスク
    基材の両面に感光膜を形成する工程と、感光膜が形成さ
    れた両面を所定のパターンに従って露光・現像し、所定
    のパターン通りに一部金属表面を露出させてエッチング
    レジストを形成する工程と、このエッチングレジストを
    形成し金属表面が一部露出した金属薄板の少なくとも一
    方の面をエッチングして、少なくともこの一方の面の金
    属表面露出部に凹部を形成する第一エッチング工程と、
    第一エッチング工程において形成された凹部を有する一
    方の面に、バックコート剤を塗布し、この凹部内部にバ
    ックコート剤を充填し、バックコート層を形成する工程
    と、バックコート層を形成した面と反対の面をエッチン
    グして、第一エッチング工程で形成された凹部に通じる
    凹孔を形成する第二エッチング工程と、バックコート層
    とエッチングレジストを除去する剥離工程とを少なくと
    も含むシャドウマスクの製造方法において、上記バック
    コート層形成工程において、使用するシャドウマスク基
    材に対して25度以下の接触角を示す紫外線硬化性樹脂
    組成物をバックコート剤として用い、紫外線照射により
    硬化させることを特徴とするシャドウマスクの製造方
    法。
  5. 【請求項5】 第一エッチング工程において形成された
    凹部を有する一方の面にバックコート剤を塗布する方法
    として、この凹部を形成する側壁に紫外線硬化性樹脂組
    成物からなるバックコート剤を接触せしめることの出来
    る塗工方法を用いることを特徴とする請求項4に記載の
    方法。
  6. 【請求項6】 前記塗工方法として、ダイレクトコート
    法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、押
    し込みコート法、ドクタノズルコート法のいずれかを少
    なくとも用いることを特徴とする請求項5に記載の方
    法。
JP13441597A 1997-05-08 1997-05-08 紫外線硬化性樹脂組成物及びそれを用いたシャドウマスクの製造方法 Withdrawn JPH10307390A (ja)

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