JP3808998B2 - フォトレジストインク及びプリント配線板製造用インク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性化可能なフォトレジストインクに関し、さらに詳しくは水又は希アルカリ溶液で現像可能である水性化可能なフォトレジストインクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
希アルカリ溶液で現像可能なフォトレジストインクは、現像時に溶剤を用いる必要がないので、溶剤にて現像するフォトレジストインクと比較して労働安全衛生面、環境汚染防止性、火災防止性などに優れていることから、近年、特にプリント配線板製造用インク、並びにグラビアロール蝕刻用インク等の分野に盛んに利用されていおり、このようなフォトレジストインクとして、例えば、特開平5−197145号公報、特開平6−138659号公報等に開示されているようなものが提案されている。このようなフォトレジストインクを用い、現像法にて基板上にインクパターンを形成するには、インクを基板上に塗布し、マスクパターンを介して紫外線等を照射して露光部分に光重合反応により硬化皮膜を形成させた後、非露光部分を希アルカリ溶液で洗浄除去していたものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし希アルカリ溶液で現像可能なフォトレジストインクは、一般的には、インク成分を基材表面に均一に塗布して、その後の露光現像過程に供することができるように、その成分を各種有機溶剤に溶解若くは分散させたものであるため、露光に際しては、あらかじめ予備乾燥によりこれら有機溶剤を揮散させておく必要がある。従って、塗布から予備乾燥塗膜形成の過程においては、有機溶剤に起因する労働安全衛生、環境汚染、火災防止などの問題は未解決のままである。
【0004】
一方、従来の水性化可能なフォトレジストインクの多くは、カルボキシル基および重合性不飽和基を有する樹脂の溶液を三級アミンなどで中和することを水性化手段としている例えば特開平4−294354号、特開平5−140251号に開示されているようなものである。
しかし、これらアミン中和型の光硬化性のインクは、予備乾燥塗膜或いは光硬化後の皮膜中の残存アミン量の制御が困難であり、また、その耐水性等のレジスト硬化膜一般の物性が不十分であった。
【0005】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、基材ヘ塗布した後予備乾燥塗膜を形成する過程における有機溶剤の揮発に起因する労働安全衛生、環境汚染、火災防止等の問題を低減することができ、エッチングレジスト、めっきレジスト、ソルダーレジスト等のプリント配線板製造用インク、並びに銘板製造用レジスト等として有用であって、水性化が可能であり、予備乾燥皮膜の粘着性が小さくてフォトツールアートワーク等の汚染の問題が無く、またフォトレジストインクの光重合反応により形成される硬化皮膜は基材に対する密着性が良好であり、またエッチング液、めっき液等に対する耐水性に優れ、更にアルカリ溶液等で容易に剥離できる、水又は希アルカリ溶液により現像可能なフォトレジストインクを提供することを目的とするものである
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載のフォトレジストインクは、
(A)ポリビニルアルコール系重合体にN−アルキロール(メタ)アクリルアミドを付加してなる水溶性の感光性樹脂、
(B)分子中に少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物、
(C)光重合開始剤及び
(D)水
を含んで成り、水又は希アルカリ溶液により現像可能であることを特徴とするものである。
【0007】
また、化合物(B)の一部又は全部が、(b)分子中に少なくとも1個のカルボキシル基、及び少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物であることを特徴とするものである。
また本発明の請求項2に記載のフォトレジストインクは、請求項1の構成に加えて、化合物(b)が、分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物であることを特徴とするものである。
【0008】
また本発明の請求項3に記載のプリント配線板製造用インクは、請求項1又は2の記載のフォトレジストインクから成ることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
〈(A)ポリビニルアルコール系重合体にN−アルキロール(メタ)アクリルアミドを付加して成る水溶性の感光性樹脂について〉
本発明に係るフォトレジストインクは、ポリビニルアルコール系重合体にN−アルキロール(メタ)アクリルアミドを付加して成る水溶性の感光性樹脂(A)を含むものである。
【0010】
この感光性樹脂(A)の製造に用いられるポリビニルアルコール系重合体としては、例えばポリ酢酸ビニルを完全ケン化又は部分ケン化して得られるポリビニルアルコール、完全ケン化又は部分ケン化して得られるポリビニルアルコール中の−OH基や−OCOCH3 基に酸無水物含有化合物、カルボキシ含有化合物、エポキシ基含有化合物若しくはアルデヒド基含有化合物等の種々の化合物を反応させて得られる水溶性ポリビニルアルコール誘導体、及びポリ酢酸ビニルを部分ケン化又は完全ケン化して成るビニルアルコール単位を有するポリビニルアルコール系共重合体であって、酢酸ビニルの共重合体成分として、例えば(メタ)アクリル酸、メタアクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、スチレン、エチレン、プロピレン、無水マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル等を用いたもの等が挙げられる。
【0011】
ここで、このポリビニルアルコール系重合体中には、その重合単位の内、ビニルアルコール単位を60モル%以上含有することが望ましいものであり、80モル%乃至完全ケン化物の場合は特に水溶性に優れ、水性可能なフォトレジストインクを得るのに最適な結果が得られる。ここでビニルアルコール単位が60モル%に満たないとポリビニルアルコール系重合体は水に溶け難くなり、本発明のフォトレジストインクを良好な水性インクとし難い。
【0012】
上記感光性樹脂(A)の製造方法は公知であり、例えば特公昭49−5923号、特開昭62−267302号等に開示される方法により合成可能である。具体的には、例えばN−メチルピロリドンや水のようなポリビニルアルコール系重合体の良溶媒の溶液中又はポリビニルアルコール系重合体の貧溶媒懸濁液中で、無機酸、スルホン酸誘導体等の酸触媒の存在下、ポリビニルアルコール系重合体とN−アルキロール(メタ)アクリルアミドとのエーテル化反応により感光性樹脂(A)が得られる。
【0013】
感光性樹脂(A)の製造に用いられるN−アルキロール(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−プロピロール(メタ)アクリルアミド、N−ブチロール(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。これらのN−アルキロール(メタ)アクリルアミド系化合物はポリビニルアルコール系重合体に付加させる際、一種のみを付加させることができる他、二種以上を適宜組み合わせたものを付加させることもできる。
【0014】
このようにして得られる感光性樹脂(A)を他のインク成分と共に水(D)若しくは水(D)と水性有機溶剤等の混合溶媒中に溶解、乳化、又は分散することにより、本発明のフォトレジストインクを調製できる。このように本発明のフォトレジストインクは水性化可能であり、基材からの洗浄除去を水により容易にできるものである。またフォトレジストインクを基材ヘ塗布した後予備乾燥塗膜を形成する過程において、インク成分を各種有機溶剤に溶解若くは分散させたものと比較して、有機溶剤の揮発を抑制し、有機溶剤に起因する労働安全衛生、環境汚染、火災防止等の問題を低減することができるものである。なお、溶解、乳化、分散の方法は特に限定するものではなく、例えば他のインク成分中に、感光性樹脂(A)の水溶液を加えることによって溶解、乳化、分散させても良いし、感光性樹脂(A)の水溶液に他のインク成分を加えることによって溶解、乳化、分散させても良い。また溶解、乳化、分散に際しては、ホモミキサー、パイプラインホモミキサー、ビーズミル、ロールミル、ボールミル等の各種の攪拌機、混練機を用いることができる。
【0015】
またこのようにして得られる感光性樹脂(A)は、他の光重合性不飽和化合物と光重合反応が可能であり、その硬化物は耐水性及び耐熱性が優れ、また強度が高い。このため、従来のカルボキシル基を中和して水性化するタイプのフォトレジストインクと比べた場合、本発明のフォトレジストインクにより形成される硬化皮膜は、より耐水性に優れ、また皮膜硬度の高いものにすることができる。
【0016】
また感光性樹脂(A)自体が成膜性を有し、この感光性樹脂(A)から形成される皮膜の粘着性が低いため、感光性樹脂(A)を含む本発明のフォトレジストインクを基材上に塗布した後予備乾燥させて形成した予備乾燥皮膜の粘着性が小さくなり、本発明のフォトレジストインクの現像の際のフォトツールアートワーク等の汚染の問題が無いものである。
【0017】
また感光性樹脂(A)においてN−アルキロール(メタ)アクリルアミドの付加率は、感光性樹脂(A)を構成するビニルアルコール重合単位当たり0.05〜25モル%であることが好ましい。ここで付加率が0.05モル%よりも少ないと光硬化性樹脂の重合性が低下し、逆に25モル%よりも多くなると水溶性が乏しくなる。また、0.05〜15モル%の場合、光硬化性と水溶性のバランスが最適な結果が得られる。
【0018】
また感光性樹脂(A)の配合割合は、本発明のフォトレジストインクに用いる水(D)を除いた全成分に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは1〜30重量%である。配合割合が0.1重量%に満たない場合は、水性化が困難であり、また50重量%を越える場合、フォトレジストインク中の水分量を多くしなければならないため、インクを予備乾燥させる時間が長くなり実用的でなく、また光重合反応による硬化後の硬化皮膜の耐水性が不足し、硬化皮膜の形成時に硬化皮膜の剥がれを生じやすい。また0.5重量%以上配合した場合には、特に水による現像が容易となる。
〈(B)分子中に少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物について〉
また本発明に係るフォトレジストインクは、分子中に少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)を含むものである。
【0019】
この化合物(B)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、1−メトキシシクロドデカジエニル(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジエポキシアクリル酸付加物、(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−メタクリロイルオキシ・ポリエトキシフェニル〕プロパン等を挙げることができる。これらの化合物は単独又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができるものである。
【0020】
この化合物(B)は、上記感光性樹脂(A)と共に用いることにより、本発明のインクの光反応性を高めるために用いられる。
化合物(B)の配合割合は、本発明のフォトレジストインクから水(D)を除外した全成分に対して、20〜98重量%であることが望ましい。ここで20重量%に満たないと、フォトレジストインクの光重合反応により生成する硬化皮膜の耐水性が低くなる。また98重量%を越えると本発明のフォトレジストインクを良好に水性化することが困難になる。
〈(b)分子中に少なくとも1個のカルボキシル基及び少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物について〉
化合物(B)の一部又は全部として、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基及び少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物(b)を用いる。
【0021】
この化合物(b)を用いることにより、本発明のフォトレジストインクを、水ばかりでなく希アルカリ溶液により容易に現像可能なものにすることができる。また併せて、本発明のフォトレジストインクの光重合反応により生成する硬化皮膜の耐酸性を向上させ、また、硬化皮膜を過ヨウ素酸ソーダ等による剥離だけでなく、アルカリ金属水酸化物等のアルカリ性の水溶液においても剥離可能なものとすることも可能である。これらの性質は、本発明のインクを現像法によりエッチングレジストインクや、画像形成可能なめっきレジストインク等として使用する場合に好適なものである。ここで本発明のフォトレジストインクの光重合反応により生成する硬化皮膜をアルカリ溶液においても剥離可能なものとするには、化合物(b)を化合物(B)全量に対して50〜100重量%となるように配合することが好ましいものである。
【0022】
この化合物(b)としては特に限定はされないが、例えば、分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物である化合物(b1)や、エポキシ基及びエチレン性不飽和基を各1個のみ有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物(b2)を挙げることができる。
〈(b1)分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物について〉
化合物(b)として、部分エステル化物(b1)を用いる場合、その製造方法は公知であり、例えば、二塩基酸、三塩基酸等の無水物と分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物とを、必要に応じて触媒を用い、加熱反応させることによって得られる。この反応の場合、モノエステル化で留めることが望ましい。
【0023】
この酸無水物としては、例えばコハク酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナジック酸、メチルナジック酸、ドテシルコハク酸、クロレンディック酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、ポリアゼライン酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、3−プロピルテトラヒドロフタル酸、4−プロピルテトラヒドロフタル酸、3−ブチルテトラヒドロフタル酸、4−ブチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、3−プロピルヘキサヒドロフタル酸、4−プロピルヘキサヒドロフタル酸、3−ブチルヘキサヒドロフタル酸、4−ブチルヘキサヒドロフタル酸等の多価カルボン酸に対応する無水物等を挙げることができる。これらの酸無水物は単独又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができるものである。
【0024】
また分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等との反応物等を挙げることができ、また、ヒドロキシル基は有さないがポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等も用いることができる。これらのものは、単独又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。〈(b2)エポキシ基及びエチレン性不飽和基を各1個のみ有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物について〉
化合物(b)として、部分エステル化物(b2)を用いる場合、この化合物の製造方法は公知であり、例えばエポキシ基及びエチレン性不飽和基を各1個のみ有するエチレン性不飽和化合物と二塩基酸、三塩基酸等の酸無水物とを、必要に応じ触媒を用い、加熱反応させることによって得られる。この反応の場合、モノエステル化で留めることが望ましい。
【0025】
このエポキシ基を1個のみ有するエチレン性不飽和化合物としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル(メタ)アクリレート類、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエポキシシクロヘキシル誘導体類等が挙げられる。これらのものは、単独又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。また多価カルボン酸としては、化合物(b1)の製造に用いる上記酸無水物に対応するものを用いることができる。
〈(C)光重合開始剤について〉
本発明に係るフォトレジストインクは、光重合開始剤(C)を含むものである。
【0026】
この光重合開始剤(C)としては、極性溶媒溶解性のもの、或いは非溶解性のもののいずれも使用することが可能である。例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン等のアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、ベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(tert−ブチルペルオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等のベンゾフェノン類又はキサントン類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンゾイル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4,4’−ビス−ジエチルアミノベンゾフェノン等の窒素原子を含むもの、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられ、これらは安息香酸系又はp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート等の第三級アミン系等の光重合促進剤及び増感剤等と併用しても良い。ここでこれらの光重合開始剤(C)は単独又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0027】
また、カチオン重合反応を誘起させる光重合触媒を光重合開始剤(C)と併用することができ、この光重合触媒としては例えば、アリールジアゾニウム、ジアリールハロニウム、トリフェニルホスホニウム、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム、ジアルキル−4−ヒドロキシジフェニルスルホニウム、アレン−鉄錯体等のPF6-、AsF6-、BF4-、SbF6-塩等を挙げることができる。
【0028】
光重合開始剤(C)の配合割合は、本発明のフォトレジストインクから、水(D)を除外した全成分中で0.1〜20重量%であることが望ましい。配合割合が0.1重量%に満たない場合は、本発明のフォトレジストインクに充分な光硬化性を付与することが困難であり、また、20重量%を超えて配合しても、光硬化性をより向上させることに寄与しない。
〈(D)水について〉
本発明のフォトレジストインクは水(D)を必須の媒体としている。その配合割合は本発明のフォトレジストインク全成分に対して10〜97重量%であることが望ましい。配合割合が10重量%未満の場合、インクの流動性が不充分となり、塗布性等を良好なものとするのが困難であり、また97重量%を超えると本発明のフォトレジストインクを対象面に塗布した際の塗布皮膜が薄くなりすぎ、エッチングレジストインク、めっきレジストインク、ソルダーレジストインクとして充分な性能を発揮できなくなり好ましくない。
【0029】
また、本発明のフォトレジストインクに任意成分として水(D)と併せて有機溶剤等の媒体を用いることができる。具体的には、水に易溶性の溶剤のみならず、難溶性、非溶性の有機溶剤を用いることができ、これら有機溶剤の例としてはエタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ダイアセトンアルコール等の直鎖、分岐、2級或いは多価のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート等の酢酸エステル類、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のジアルキルグリコールエーテル類、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、スワゾールシリーズ(丸善石油化学社製)、ソルベッソシリーズ(エクソン・ケミカル社製)等の石油系芳香族系混合溶剤、n−ヘキサン、シクロヘキサン、テトラヒドロフラン等例えば親水性に優れる水溶性有機溶剤等の媒体を挙げることができる。これら水(D)と併せて用いることのできる媒体は、単独又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができるものである。
【0030】
ただし、水(D)と併せて用いることのできる上記の媒体は、上記感光樹脂(A)による光反応性のエチレン性不飽和化合物の溶解性、乳化性、又は分散性を損ねない範囲の量を使用しなければならないものである。
また、本発明のフォトレジストインクには、酢酸ビニル系重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル系共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等或いはこれらにエチレン性不飽和基を導入したもの、並びにビスフェノールA型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、脂環型エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加したもの、或はこれらにさらに飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物を付加したもの等の高分子化合物或いはこれらのエマルジヨンを加えることができる。
【0031】
さらに、本発明のフォトレジストインクには、印刷適性を調節する等の目的で、必要に応じてシリコーン、(メタ)アクリレート共重合体或いはフッ素系界面活性剤等のレベリング剤、アエロジル等のチクソトロピー剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、フェノチアジン等の重合禁止剤、ハレーション防止剤、難燃剤、消泡剤、酸化防止剤、顔料湿潤剤、粉末ゴム等の各種添加剤及び分散安定性を向上させるための界面活性剤や高分子分散剤等を加えても良い。
【0032】
また、耐めっき性向上剤として例えばジシアンジアミド、ベンゾトリアゾール、5−カルボキシ−1,2,3−ベンゾトリアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、1−(ジ−2−エチルヘキシルアミノ)メチル−5−カルボキシベンゾトリアゾール、1−ジオクチルアミンメチルベンゾトリアゾール等を配合することもできる。
【0033】
上記のように本発明のフォトレジストインクは水又は希アルカリ溶液により洗浄除去することができ、露光硬化させた後に非露光部分を水又は希アルカリ溶液で除去することができるものであり、すなわち水又は希アルカリ溶液で現像可能なものである。またインク成分を水(D)若しくは水(D)と水性有機溶剤等の混合溶媒中に溶解、乳化、又は分散させて水性化することが可能なものである。従って現像時に有機溶剤を使用する必要がなく、またフォトレジストインクを基材ヘ塗布した後予備乾燥塗膜を形成する過程におけるインクからの有機溶剤の揮発を抑制することができ、有機溶剤に起因する労働安全衛生、環境汚染、火災防止等の問題を低減することができるものである。また他の光重合性不飽和化合物と光重合反応が可能である感光性樹脂(A)を含有するので、その硬化物は耐熱性及び耐水性に優れ、強度が高く、本発明のフォトレジストインクの光重合反応により生成する硬化皮膜を、より耐水性に優れ、皮膜硬度が高く、また基材に対する密着性の高いものとすることができるものである。
【0034】
また感光性樹脂(A)自体が成膜性を有し、この感光性樹脂(A)から形成される皮膜の粘着性が低いため、感光性樹脂(A)を含む本発明のフォトレジストインクを基材上に塗布した後予備乾燥させて形成した予備乾燥皮膜の粘着性が小さくなり、本発明のフォトレジストインクの現像の際のフォトツールアートワーク等の汚染の問題が無いものである。
【0035】
また化合物(B)の一部又は全部として化合物(b)を用いることにより、本発明のフォトレジストインクを水だけでなく希アルカリ溶液により容易に除去可能なものとすることができ、併せて、本発明のフォトレジストインクの硬化物の耐酸性を向上させ、また硬化皮膜を過ヨウ素酸ソーダ等による剥離だけでなく、アルカリ金属水酸化物等の水溶液においても剥離可能なものとすることができる。
【0036】
従って、本発明のフォトレジストインクは特にプリント配線板製造用のエッチングレジスト、めっきレジスト、ソルダーレジスト、及びマーキングインク、並びに銘板製造用レジスト、及びグラビアロール蝕刻用レジストインクとして用いる場合、好適に用いることができるものである。
本発明のフォトレジストインクを用い、基板上にパターンを成形する方法としては、現像法を用いることができる。
【0037】
本発明のフォトレジストインクを用いて現像法により基材上にパターンを形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、以下のような方法が採られる。
・塗布工程
基材上にフォトレジストインクを浸漬法、スプレー塗装、スピンコート法、ロール塗装、カーテンフロー塗装又はスクリーン印刷法等により塗布する。ここで本発明のフォトレジストインクをプリント配線板製造用インクとして用いる場合には、基材として銅張積層板等のプリント配線板製造用基板等が用いられる。
・予備乾燥工程
上記のフォトレジストインクを、熱風加熱、電磁誘導加熱、ホットプレス或いは遠赤外線乾燥等を用いて乾燥させ、予備乾燥皮膜を形成する。
・露光工程
フォトツールアートワークを上記の予備乾燥したフォトレジストインクの塗膜表面に直接又は間接的に当てがい、タングステンランプ、ケミカルランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を用いて紫外線を照射して選択的に露光される。また、ヘリウムカドミウムレーザー、アルゴンレーザー、YAGレーザー等を用いたレーザ直接画描法によって露光しても良い。
・現像工程
本発明のフォトレジストインクは露光工程の後、水若くは希アルカリ溶液にて非露光部を洗浄除去することにより現像することが可能である。
【0038】
ここで、水による場合はその温度は特に限定はされないが常温水若くは温水によるのが好ましい。
ここで、希アルカリ溶液によっても露光できるのは、本発明のフォトレジストインクに上記化合物(B)の一部又は全部として化合物(b)を含有させた場合であり、ここで用いることのできる希アルカリ溶液としては、例えば、ナトリウム、カリウム又はリチウム等の水酸化アルカリ、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の炭酸アルカリの水溶液などを例示することができる。
【0039】
また、水若くは希アルカリ溶液としては、その溶媒として、水単独のみならず、例えば水とアルコール系等の親水性のある有機溶媒を混合したものを用いることも可能である。
・エッチング、めっき工程
本発明のフォトレジストインクをプリント配線板のエッチングレジスト又はめっきレジストとして用いる場合には、例えば、上記の現像法によってプリント配線板製造用基板上に形成されたレジストパターンをマスクとして、露出している基板の表面を、エッチング、めっき等の公知の方法で処理する方法等が挙げられる。
【0040】
エッチングを行う場合は、基板上の導電性層の種類に応じて選択されたエッチング剤を用いることができる。例えば、塩化第二銅などの酸性エッチング液、アンモニア系エッチング液等を用いて行うことができる。
まためっきを行う場合には、例えば、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき等の銅めっき、ハイスローはんだめっき等のはんだめっき、スルファミン酸ニッケルめっき等のニッケルめっき、ソフト金めっき、ハード金めっき等の金めっき等を行うことができる。
・剥離工程
本発明のフォトレジストインクは、ソルダーレジスト、マーキングインクとして用いる場合、その硬化物を残存せて用いることもできるが、エッチングレジスト又はめっきレジスト等として用いる場合には、その硬化物を最終的に剥離することもできる。
【0041】
硬化物は硬化物中の感光性樹脂(A)由来部分を過ヨウ素酸ソーダ、次亜塩素酸ソーダ等で分解することにより剥離できる。
ここで、本発明のフォトレジストインクに上記化合物(B)の一部又は全部として化合物(b)を含有させた場合はアルカリ金属水酸化物等のアルカリ性の水溶液や上記現像工程に用いるアルカリ溶液により剥離することもでき、この場合には現像に用いたものよりさらに強アルカリ性の溶液を用いることが好ましい。
【0042】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下に使用される「%」は、特に示さない限り、全て重量基準である。
以下、本発明を実施例によって詳述する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下に使用される「%」は、特に示さない限り、全て重量基準である。
(合成例1)
ケン化度88モル%の部分ケン化ポリ酢酸ビニル(日本合成化学工業(株)製、商品名「ゴーセノールGH−17」、重合度1700、)200gを水1000gに溶解した。
【0043】
この水溶液にN−メチロールアクリルアミド40gを溶解し、0.1%メトキシハイドロキノン水溶液2g、85%リン酸3gを添加後、60℃で20時間反応させた。反応終了後、5%カセイソーダーで中和し、さらに水にて溶液の総量を1500gとなるように調整し、ポリビニルアルコールのN−メチロールアクリルアミド付加体の水溶液(N−1)を得た。
(合成例2)
ケン化度88モル%の酢酸ビニル重合体−不飽和カルボン酸Na共重合体部分ケン化物((株)クラレ製、商品名「ポバールKL318」、重合度1800)に200gを水1000gに溶解した。
【0044】
この水溶液にN−メチロールアクリルアミド60gを溶解し、0.1%メトキシハイドロキノン水溶液2g、85%リン酸3gを添加後、80℃で5時間反応した。反応終了後、5%カセイソーダーで中和し、さらに水にて溶液の総量を1500gとなるように調整し、ポリビニルアルコール共重合体のN−メチロールアクリルアミド付加体の水溶液(N−2)を得た。
(実施例1)
2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートHOA−HH」)120g、ロジン変性マレイン酸樹脂(酸価160、軟化点95℃)10g、フェノキシエチルアクリレート(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートPO−A」)30g、トリメチロールプロパントリメタクリレート(三菱レイヨン(株)製、アクリエステルTMP)30g、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(チバ・ガイギー(株)製、商品名「イルガキュアー907」)7g及び4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製,商品名「カヤキュアDETX」)3g、硫酸バリウム80g、カオリン40g、有機染料(保土ヶ谷化学工業(株)社製、商品名「ビクトリアピュアブルーBOH」)2g、微粉シリカ(日本アエロジル(株)製、「アエロジル#360」)4g、消泡剤(東レ・シリコーン(株)製、商品名「SH−30PA」)0.2g、レベリング剤(モンサント(株)製、商品名「モダフロー」)2g、ジシアンジアミド0.3gを混合した後、三本ロール((株)井上製作所製)を用いて十分に混練して組成物を得た。
【0045】
このようにして得られた組成物中に、合成例1で得た水溶液(N−1)490gを、加えホモミキサーで乳化分散し、水性のフォトレジストインク(A−1)が得られた。
このフォトレジストインク(A−1)を、基材厚1.6mm 銅箔厚35μmのFR−4両面銅張積層板(住友ベークライト(株)社製 ELC 4762)に縦型ロールコーター((株)ファーネス社製)を用いて塗布し、熱風対流式乾燥機にて80℃、15分乾燥させた後、室温まで冷却し、膜厚は15μmの予備乾燥皮膜を得た。
(実施例2)
2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートHOA−HH」)60g、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートHOA−MPL」)60g、重合ロジン(酸価140、軟化点95℃)20g、テトラヒドロキシフルフリルアクリレート(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートTHF−A」)50g、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(チバ・ガイギー(株)製、商品名「イルガキュアー907」)7g及び2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製、商品名「カヤキュアDETX」)3g、タルク20g、ケイ酸アルミニウム60g、消泡剤(東レ・シリコーン(株)製、商品名「SH−21PA」)0.2g、レベリング剤(モンサント(株)製、商品名「モダフロー」)2g、ジシアンジアミド0.3gを混合した後、三本ロール((株)井上製作所製)を用いて十分に混練して組成物を得た。
【0046】
このようにして得られた組成物中に、合成例1で得た水溶液(N−1)300gを加え、ホモミキサーで乳化分散した後、青色水性顔料分散体(大日精化工業(株)製、商品名「ニューラクチミンカラー Blue FLB Conc.」)10gを加えて混合し、水性のフォトレジストインク(A−2)が得られた。このフォトレジストインク(A−2)を用いて、実施例1と同様にして、膜厚18μmの予備乾燥皮膜を得た。
(実施例3)
2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートHOA−HH」)120g、ロジン変性マレイン酸樹脂(酸価250、軟化点130℃)20g、フェノキシエチルアクリレート(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートPO−A」)20g、トリメチロールプロパントリメタクリレート(三菱レイヨン(株)製商品名「アクリエステルTMP」)30g、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(チバ・ガイギー(株)製、商品名「イルガキュアー907」)7g及び2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製、商品名「カヤキュアDETX」)3g、タルク60g、シリカ20g、有機染料(オリエント化学工業(株)社製、商品名「オイルブルー2N」)3g、消泡剤(東レ・シリコーン(株)製、商品名「SH−21PA」)0.2g、レベリング剤(モンサント(株)製、商品名「モダフロー」)4g、ジシアンジアミド0.3gを混合した後、三本ロール((株)井上製作所製)を用いて十分に混練して組成物を得た。
【0047】
このようにして得られた組成物中に、合成例2で得た水溶液(N−2)430gを加え、ホモミキサーで乳化分散し、水性のフォトレジストインク(A−3)が得られた。
このフォトレジストインク(A−3)を用いて、実施例1と同様にして、膜厚16μmの予備乾燥皮膜得た。
(実施例4)
2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートHOA−HH」)60g、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートHOA−MPL」)70g、ロジン変性マレイン酸樹脂(酸価200、軟化点110℃)20g、エチルカビトールアクリレート(大阪有機化学工業(株)製、商品名「ビスコート#190」)40g、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(チバ・ガイギー(株)製、商品名「イルガキュアー907」)7g及び2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製、商品名「カヤキュアDETX」)3g、硫酸バリウム60g、タルク40g、微粉シリカ(日本アエロジル(株)製、商品名「アエロジル#200」)4g、消泡剤(東レ・シリコーン(株)製、商品名「SH−21PA」)0.2g、レベリング剤(モンサント(株)製、商品名「モダフロー」)2g、ジシアンジアミド0.3gを混合した後、三本ロール((株)井上製作所製)を用いて十分に混練して組成物を得た。
【0048】
このようにして得られた組成物中に、合成例2で得た水溶液(N−2)300gを加え、ホモミキサーで乳化分散した後、紫色水性顔料分散体(大日精化工業(株)製、商品名「ニューラクチミンカラー Violet FL3R」)10g加えて混合し、水性のフォトレジストインク(A−4)が得られた。
このフォトレジストインク(A−4)を用いて、実施例1と同様にして、膜厚20μmの予備乾燥皮膜を得た。
(参考例1)
ビスフェノールA系ビニルエステル(昭和高分子(株)製、商品名「リポキシSP−1507」)50g、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成化学工業(株)製、商品名「アロニックスM−309」)60g、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートP−200A」)60g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトエステル HO」)20g、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(チバ・ガイギー(株)製、商品名「イルガキュアー907」)7g及び2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製、商品名「カヤキュアDETX」)3g、有機染料(オリエント化学工業(株)社製、商品名「オイルブルー2N」)5g、タルク30g、シリカ30g、ジシアンジアミド0.3g、消泡剤(東レ・シリコーン(株)製、商品名「SH−30PA」)0.2gを混合した後、三本ロール((株)井上製作所製)を用いて十分に混練して組成物を得た。
【0049】
このようにして得られた組成物中に、合成例1で得た水溶液(N−1)400gを加え、ホモミキサーで乳化分散し、フォトレジストインク(A−5)が得られた。
このフォトレジストインク(A−5)を用いて、実施例1と同様にして、膜厚16μmの予備乾燥皮膜を得た。
(参考例2)
ビスフェノールA系ビニルエステル(昭和高分子(株)製、商品名「リポキシSP−1507」)50g、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成化学工業(株)製、商品名「アロニックスM−309」)60g、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートP−200A」)60g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトエステル HO」)20g、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(チバ・ガイギー(株)製、商品名「イルガキュアー907」)7g及び2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製、商品名「カヤキュアDETX」)3g、タルク45g、シリカ30g、ジシアンジアミド0.3g、消泡剤(東レ・シリコーン(株)製、商品名「SH−30PA」)0.2gを混合した後、三本ロール((株)井上製作所製)を用いて十分に混練して組成物を得た。
【0050】
このようにして得られた組成物中に、合成例2で得た水溶液(N−2)400gを加え、ホモミキサーで乳化分散した後、紫色水性顔料分散体(大日精化工業(株)製、商品名「ニューラクチミンカラー Violet FL3R」)10gを加えて混合し、水性のフォトレジストインク(A−6)が得られた。
このフォトレジストインク(A−6)を用いて、実施例1と同様にして、膜厚15μmの予備乾燥皮膜を得た。
(比較例1)
メチルメタクリレート40g、ブチルアクリレート40g、アクリル酸20gおよびアゾビスイソブチロニトリル2gからなる混合液を窒素ガス雰囲気下において110℃に保持したプロピレングリコールモノメチルエーテル90g中に3時間を要して滴下した。滴下後、1時間熟成させ、アゾビスジメチルバレロニトリル1gおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル10gからなる混合液を1時間要して滴下し、さらに5時間熟成させて高酸価アクリル樹脂溶液を得た。次に、この溶液にグリシジルメタクリレート24g、ハイドロキノン0.12gおよびテトラエチルアンモニウムブロマイド0.6gを加えて空気を吹き込みながら110℃で5時間反応させて光硬化性樹脂溶液を得た。
【0051】
この光硬化性樹脂溶液227gにトリエチルアミン6.7gを加えて十分に中和した後、光重合開始剤として2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(チバ・ガイギー(株)製、商品名「イルガキュアー907」)7g及び2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製、商品名「カヤキュアDETX」)3g、有機染料(保土ヶ谷化学工業(株)社製、商品名「ビクトリアピュアブルーBOH」)1g、ジシアンジアミド0.1gを添加し、固形分含有率が20%になるように脱イオン水を加えてプリント配線板用水性フォトレジストインク(B−1)を得た。
【0052】
この水性フォトレジストインク(B−1)を、実施例1と同じ両面銅張積層板に縦型ロールコーター((株)ファーネス社製)を用いて塗布し、熱風対流式乾燥機にて80℃、20分乾燥させた後、室温まで冷却し、膜厚10μmの予備乾燥膜を得た。
(比較例2)
βーアクリロイルオキシエチルハイドロジエンサクシネート184.8g、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム0.36g、ハイドロキノン0.1g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート257gからなる混合液を115℃に昇温し、次にグリシジルメタクリレート121.6gとプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート50gの混合溶液を30分かけて均一に滴下した。滴下後、115℃で約20時間撹拌を続けた後、室温に冷却し、不飽和化合物(C−1)を得た。次に、この不飽和化合物(C−1)を用いて以下の通り、不飽和高分子化合物を合成した。すなわち、スチレン/無水マレイン酸共重合体(日本モンサント社製、商品名「RPC−1022」)100gとジオキサン356gを混合して100℃に昇温し、上記不飽和化合物(C−1)141.7g、トリエチレンジアミン0.11g、ハイドロキノン0.1g、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート208gの混合溶液を30分かけて均一に滴下した。滴下後、100℃で約20時間撹拌を続けた後、室温に冷却し、不飽和高分子化合物(R−1)得た。
【0053】
次に、この不飽和高分子化合物(R−1)53gにビスフェノールAポリオキシエチレンジメタクリレート(新中村化学工業(株)製、商品名「BEPー10」)47g、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン(チバ・ガイギー(株)製、商品名「イルガキュアー907」)7g及び2,4−ジエチルチオキサントン(日本化薬(株)製、商品名「カヤキュアDETX」)3g、有機染料(保土ヶ谷化学工業(株)社製、商品名「ビクトリアピュアブルーBOH」)0.04g、ジシアンジアミド0.6g、メチルエチルケトンを混合してフォトレジストインク(B−2)を得た。
【0054】
このフォトレジストインク(B−2)を、実施例1と同じ両面銅張積層板に縦型ロールコーター((株)ファーネス社製)を用いて塗布し、熱風対流式乾燥機にて80℃、10分乾燥させた後、室温まで冷却し、膜厚15μmの予備乾燥膜を得た。
(評価試験)
〈露光・現像工程〉
[1]予備乾燥皮膜の粘着性
実施例、参考例及び比較例の積層板に配線パターンを描いたフォトツールアートワークを両面から直接貼付し、超高圧水銀灯を有する両面同時露光機(オークHMW−201GX)を用いて積算光量200mJ/cm2になるように露光し、露光後において、フォトツールアートワークを予備乾燥皮膜上からの剥離させる際の予備乾燥皮膜上の張り跡の有無を観察すると共に、フォトツールアートワークの予備乾燥皮膜上からの剥離容易性を評価し、予備乾燥皮膜の粘着性が小さいために張り跡が無く、フォトツールアートワークが容易に剥離できたものを「良」として評価した。
[2]現像性
[1]の操作に続いて、実施例1乃至4、参考例1及び2、比較例1及び2について、それぞれ下記(i)、(ii)の二条件を用いて現像性の評価を行った。
【0055】
(i)30℃、1重量%炭酸ソーダ水溶液を、スプレー圧1.5Kg/cm2 で1分間吹きつけて未露光部分を除去して現像した。
(ii)30℃の水をスプレー圧1.5kg/cm2 で3分間吹きつけて未露光部分を除去して現像した。
上記(i)及び(ii)について、現像性を目視で観察し、硬化皮膜が形成された露光部分が残存すると共に未露光部分が除去され、現像残りの全く無いものを「良」と判定した。また露光部分と未露光部分が共に除去されたものを「不良」として評価した。また露光部分と未露光部分が共に除去不能であったものを「不可」として評価した。
[3]粘着テープ剥離試験による密着性の評価
得られたレジストの基材に対する密着性を確認するため、硬化皮膜の、JISD 0202−1988の4.15に準拠したクロスカットによるセロハン粘着テープ剥離試験を行い、有効面に形成した碁盤目の数に対する完全に剥がれないで残った碁盤目の数をカウントした。
〈エッチング工程〉
[4]耐エッチング液性(酸性の水溶液に対する耐水性)
[2]の現像処理の後、
40重量%塩化第二鉄溶液で45℃、240秒エッチングを行い、硬化皮膜の剥がれの有無を観察し、剥がれの無いものを「良」として評価した。
[5]硬化皮膜の皮膜剥離性
続いて、
(i)実施例1乃至3、比較例1について、45℃、3%水酸化ナトリウム水溶液を、スプレー圧2kg/cm2 で吹きつけてレジストを剥離除去した場合の硬化皮膜の剥離を観察した。
【0056】
(ii)実施例4、参考例1,2について、20℃、3%過ヨウ素酸水溶液に2分間浸漬後、スプレー圧2kg/cm2で吹きつけてレジストを剥離除去した場合の硬化皮膜の剥離を観察した。
上記(i)及び(ii)につき、硬化皮膜が完全に剥離されるのに要する時間を測定した。
[6]エッチング性の評価
[5]により硬化皮膜が剥離された積層板上に形成された導体パターンに、断線、欠線、線細り、ピンホール、ラインキザ(導体の直線パターンの直線性不良)及びエッチングのもぐり等がないものを「良」として評価した。
〈めっき工程〉
[7]耐めっき液性
[2]の現像処理の後、
・脱脂(メルテックス(株)製、商品名「PC−455」の薬剤の25重量%水溶液に30℃で5分間浸漬)
・水洗
・ソフトエッチング(過硫酸アンモニウムタイプソフトエッチング剤(三菱ガス化学(株)社製、商品名「NPE−300」)20重量%水溶液に室温で2分浸漬)
・水洗
・硫酸洗浄(10重量%硫酸に室温で1分間浸漬)
の工程を経た後、ニッケルめっき浴(硫酸ニッケル 300g、塩化ニッケル40g、硼酸40g、水620g)に入れ、ニッケルめっきを45℃,1.5A/dm2で10分間行った。ニッケルめっき終了後直ちに水洗し、続いて、金めっき浴(日本高純度化学(株)製、商品名「オーロブライトHS−2」)を用いて、液温40℃、1.0A/dm2で10分間金めっきを行った。
【0057】
以上の工程の間における、硬化皮膜の剥がれの有無を観察し、剥がれの無いものを「良」として評価した。
[8]めっき終了後の硬化皮膜の粘着テープ剥離試験
[7]の操作の後、水洗、乾燥を行い、乾燥後の硬化皮膜について、JISD 0202−1988の4.15に準拠したクロスカットによるセロハン粘着テープ剥離試験を行い、有効面に形成した碁盤目の数に対する完全に剥がれないで残った碁盤目の数をカウントした。
[9]めっき性評価
続いて、実施例1乃至3及び比較例2について、45℃の3%水酸化ナトリウム水溶液を、スプレー圧2kg/cm2で吹きつけてレジストを剥離除去し、また実施例4、参考例1,2について、20℃の3%過ヨウ素酸水溶液に2分間浸漬後、スプレー圧2kg/cm2で吹きつけてレジストを剥離除去した。
【0058】
上記のものを拡大鏡で目視観察し、めっき性が良好で、めっきもぐりの無いものを「良」として評価した。
[10]アルカリエッチング後の金の回路パターンの評価
続いて、アルカリエッチングを行い、銅を剥離した後のラインキザ(金の直線パターンの直線性不良)を光学顕微鏡にて確認し、凹部と凸部の幅の差を測定した。
【0059】
以上の結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
表1から判るように、比較例1では露光部の耐アルカリ性が低く、希アルカリ溶液により露光部分が取り除かれてしまい、また水現像では露光部分、非露光部分共に除去することができず、水及び希アルカリ溶液では現像することができなかった。また比較例2では希アルカリ溶液では現像できたが水では現像できなかった。それに対して実施例の全てのものでは、水、希アルカリ溶液双方によって現像可能であることが確認できた。
【0062】
また実施例及び参考例のものでは、予備乾燥皮膜の粘着性が小さく、また硬化皮膜の基材への密着性が高く、また耐エッチング性が高いことが確認できた。また化合物(b)を含む実施例1乃至3では硬化皮膜をアルカリ溶液により剥離することができ、更にエッチングレジストとして用いた場合、硬化皮膜が剥離された積層板上に形成された導体パターンに、断線、欠線、線細り、ピンホール、ラインキザ及びエッチングのもぐりが無くエッチング性が良好であり、まためっきレジストとして用いた場合、めっきもぐりが無くめっき性が良好であり、アルカリエッチング後の金回路パターンのラインキザが小さいことが確認された。
【0063】
以上により、実施例の全てのものは、現像法を用いたエッチングレジストインク及びめっきレジストインクとして好適であることが確認された。
【0064】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載のフォトレジストインクは、
(A)ポリビニルアルコール系重合体にN−アルキロール(メタ)アクリルアミドを付加してなる水溶性の感光性樹脂、
(B)分子中に少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物、
(C)光重合開始剤、及び
(D)水
を含み、水又は希アルカリ溶液で現像可能であるため、露光硬化させた後に非露光部分を水又は希アルカリ溶液で除去することができるものであり、また感光性樹脂(A)を用い、他のインク成分を水若くは水と水性有機溶剤等の混合溶媒中に溶解、乳化又は分散することができて水性化が可能なものであり、従って、現像時に有機溶剤を使用する必要がなく、またフォトレジストインクを基材ヘ塗布した後予備乾燥塗膜を形成する過程におけるインクからの有機溶剤の揮発を抑制することができ、有機溶剤に起因する労働安全衛生、環境汚染、火災防止等の問題を低減することができるものである。またその光重合反応により生成する硬化皮膜は皮膜硬度が高く、基材に対する密着性が良好であり、またエッチング液、めっき液等に対する耐水性及び耐熱性に優れたものとすることができる。また感光性樹脂(A)自体が成膜性を有し、この感光性樹脂(A)から形成される皮膜の粘着性が低いため、感光性樹脂(A)を含む本発明のフォトレジストインクを基材上に塗布した後予備乾燥させて形成した予備乾燥皮膜の粘着性が小さくなり、本発明のフォトレジストインクの現像の際のフォトツールアートワーク等の汚染の問題が無いものである。
【0065】
また、化合物(B)の一部又は全部が、(b)分子中に少なくとも1個のカルボキシル基、及び少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物であるため、本発明のフォトレジストインクを希アルカリ溶液により容易に現像可能なものとすることができ、併せて、本発明のフォトレジストインクの光重合反応により生成する硬化皮膜の耐酸性を向上させ、また硬化皮膜を過ヨウ素酸ソーダ等による剥離だけでなく、アルカリ金属水酸化物等の水溶液においても剥離可能なものとすることができるものである。
【0066】
また本発明の請求項2に記載のフォトレジストインクは、請求項1の構成に加えて、化合物(b)が、分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物である化合物であるため、本発明のフォトレジストインクを水だけでなく希アルカリ溶液により容易に現像可能なものとすることができ、併せて、本発明のフォトレジストインクの光重合反応により生成する硬化皮膜の耐酸性を向上させ、また硬化皮膜を過ヨウ素酸ソーダ等による剥離だけでなく、アルカリ金属水酸化物等の水溶液においても剥離可能なものとすることが可能なものである。
【0067】
また本発明の請求項3に記載のプリント配線板製造用インクは、請求項1又は2に記載のフォトレジストインクから成るため、エッチングレジストめっきレジスト用インク、又はソルダーレジストインクとして好適なものである。
Claims (3)
- (A)ポリビニルアルコール系重合体にN−アルキロール(メタ)アクリルアミドを付加してなる水溶性の感光性樹脂、
(B)分子中に少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物、
(C)光重合開始剤及び
(D)水
を含んで成り、前記化合物(B)の一部又は全部が、(b)分子中に少なくとも1個のカルボキシル基、及び少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物である、水又は希アルカリ溶液で現像可能であることを特徴とするフォトレジストインク。 - 化合物(b)が、分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物であることを特徴とする請求項1に記載のフォトレジストインク。
- 請求項1又は2に記載のフォトレジストインクから成ることを特徴とするプリント配線板製造用インク。
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JP33743397A JP3808998B2 (ja) | 1997-12-08 | 1997-12-08 | フォトレジストインク及びプリント配線板製造用インク |
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-
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- 1997-12-08 JP JP33743397A patent/JP3808998B2/ja not_active Expired - Lifetime
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