JP3808996B2 - 光硬化型印刷インク及びプリント配線板製造用インク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性化可能な光硬化型印刷インクに関し、さらに詳しくは、印刷版からの洗浄除去を水により容易にできる水性化可能な光硬化型印刷インクであって、特にプリント配線板製造用として有用なものに関するものであり、さらにまた、本発明は、着色を水性顔料分散体により自由に変えることを可能にした水性化可能な光硬化型印刷インクに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
紫外線等の放射線を用いる光硬化型印刷インクは、紫外線等の放射線により反応させるため反応効率が高く、印刷性が向上する等、種々の利点を有する。このため上記光硬化型印刷インクは、近年、プリント配線板製造用インク及び銘板製造用インク等の分野に盛んに利用されており、例えば、特開平1−256278号、特開平6−166721号において提案されているものがある。
【0003】
上記の光硬化型印刷インクを、例えばプリント配線板製造用インクとして用いる場合は、スクリーン印刷、グラビア印刷等各種印刷方法を用いて積層版にパターン形成された光硬化型印刷インクを紫外線等による光重合反応により硬化皮膜を形成させることにより、エッチングレジスト、あるいはめっきレジストとして利用し、積層板上に回路形成した後、硬化皮膜を積層板上から取り除くものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、これら公知の光硬化型印刷インクは、いずれも印刷版からの洗浄除去を水により行うことが困難なため、溶剤による洗浄除去が必要であり、労働安全衛生、環境汚染、火災防止などの点で未だ問題が残っている。
そのため水性化可能な光硬化型印刷インクが求められているが、従来の水性化可能な光硬化型印刷インクの多くは、カルボキシル基および重合性不飽和基を有する樹脂溶液を三級アミンなどで中和することを水性化手段としており、光硬化型印刷インクの光重合反応により形成する硬化皮膜の耐水性が不十分であった。
【0005】
また、従来はこうしたインクの着色には着色顔料をインクに練り込まねばならず、その作業が煩雑かつ時間を要した。
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、エッチングレジスト、めっきレジスト、ソルダーレジスト及びマーキングインク等のプリント配線板製造用インク、並びに銘板製造用レジスト等として有用であって、水性化が可能であり、さらに印刷版からの洗浄除去を水により容易にでき、かつ硬化皮膜の耐水性が高い光硬化型印刷インクを提供することを目的とするものであり、またさらに、水性顔料分散体を使うことにより、容易かつ簡便に、自由な着色を可能とする光硬化型印刷インクを提供することを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に記載の光硬化型印刷インクは、
(A)ポリビニルアルコール系重合体にN−アルキロール(メタ)アクリルアミドを付加してなる水溶性の感光性樹脂、
(B)分子中に少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物、
(C)光重合開始剤及び、
(D)水
を含んで成ることを特徴とするものである。
【0007】
また、化合物(B)の一部又は全部が、(b)分子中に少なくとも1個のカルボキシル基、及び少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物であることを特徴とするものである。
また本発明の請求項2に記載の光硬化型印刷インクは、請求項1の構成に加えて、化合物(b)が、分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物であることを特徴とするものである。
【0008】
また本発明の請求項3に記載の光硬化型印刷インクは、請求項1又は2の構成に加えて、(E)水性顔料分散体を含んで成ることを特徴とするものである。
また本発明の請求項4に記載のプリント配線板製造用インクは、請求項1乃至3のいずれかに記載の光硬化型印刷インクから成り、印刷法により基板上にパターンを印刷した後に光硬化により硬化皮膜を形成するものであることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を説明する。
〈(A)ポリビニルアルコール系重合体にN−アルキロール(メタ)アクリルアミドを付加して成る水溶性の感光性樹脂について〉
本発明に係る光硬化型印刷インクは、ポリビニルアルコール系重合体にN−アルキロール(メタ)アクリルアミドを付加して成る水溶性の感光性樹脂(A)を含むものである。
【0010】
この感光性樹脂(A)の製造に用いられるポリビニルアルコール系重合体としては、例えばポリ酢酸ビニルを完全ケン化又は部分ケン化して得られるポリビニルアルコール、完全ケン化又は部分ケン化して得られるポリビニルアルコール中の−OH基や−OCOCH3 基に酸無水物含有化合物、カルボキシ含有化合物、エポキシ基含有化合物若しくはアルデヒド基含有化合物等の種々の化合物を反応させて得られる水溶性ポリビニルアルコール誘導体、及びポリ酢酸ビニルを部分ケン化又は完全ケン化して成るビニルアルコール単位を有するポリビニルアルコール系共重合体であって、酢酸ビニルの共重合体成分として、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、スチレン、エチレン、プロピレン、無水マレイン酸、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸エステル等を用いたもの等が挙げられる。
【0011】
ここで、このポリビニルアルコール系重合体中には、その繰り返し単位の内、ビニルアルコール単位を60モル%以上含有することが望ましいものであり、80モル%以上乃至完全ケン化物の場合は特に水溶性に優れ、水性可能な光硬化型印刷インクを得るのに最適な結果が得られる。ここでビニルアルコール単位が60モル%に満たないとポリビニルアルコール系重合体は水に溶け難くなり、本発明の光硬化型印刷インクを良好な水性インクとし難い。
【0012】
上記感光性樹脂(A)の製造方法は公知であり、例えば特公昭49−5923号、特開昭62−267302号等に開示される方法により合成可能である。具体的には、例えばN−メチルピロリドンや水のようなポリビニルアルコール系重合体の良溶媒の溶液中又はポリビニルアルコール系重合体の貧溶媒懸濁液中で、無機酸、スルホン酸誘導体等の酸触媒の存在下、ポリビニルアルコール系重合体とN−アルキロール(メタ)アクリルアミドとのエーテル化反応により感光性樹脂(A)が得られる。
【0013】
感光性樹脂(A)の製造に用いられるN−アルキロール(メタ)アクリルアミドとしては、例えば、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−エチロール(メタ)アクリルアミド、N−プロピロール(メタ)アクリルアミド、N−ブチロール(メタ)アクリルアミド等を挙げることができる。これらのN−アルキロール(メタ)アクリルアミド系化合物はポリビニルアルコール系重合体に付加させる際、一種のみを付加させることができる他、二種以上を適宜組み合わせたものを付加させることもできる。
【0014】
このようにして得られる感光性樹脂(A)を他のインク成分と共に水(D)若しくは水(D)と水性有機溶剤等の混合溶媒中に溶解、乳化又は分散することにより、本発明の光硬化型印刷インクを調製でき、このようにして調製される光硬化型印刷インクは水性化可能であり、また印刷版からの洗浄除去を水により容易にできるものである。なお、溶解、乳化、又は分散の方法は特に限定するものではなく、例えば他のインク成分中に、感光性樹脂(A)の水溶液を加えることによって溶解、乳化、又は分散させても良いし、感光性樹脂(A)の水溶液に他のインク成分を加えることによって溶解、乳化、又は分散させても良い。また溶解、乳化、又は分散に際しては、ホモミキサー、パイプラインホモミキサー、ビーズミル、ロールミル、ボールミル等の各種の攪拌機、混練機を用いることができる。
【0015】
またこのようにして得られる感光性樹脂(A)は、他の光重合性不飽和化合物と光重合反応が可能であり、その硬化物は耐水性及び耐熱性が優れている。このため、従来のカルボキシル基を中和して水性化するタイプの光硬化型印刷インクと比べた場合、本発明の光硬化型印刷インクにより形成される硬化皮膜は、より耐水性に優れ、また皮膜硬度の高いものにすることができる。
【0016】
また感光性樹脂(A)においてN−アルキロール(メタ)アクリルアミドの付加率は、感光性樹脂(A)を構成するビニルアルコール重合単位当たり0.05〜25モル%であることが好ましい。ここで付加率が0.05モル%よりも少ないと光硬化性樹脂の重合性が低下し、逆に25モル%よりも多くなると水溶性が乏しくなる。また、0.05〜15モル%の場合、光硬化性と水溶性のバランスが最適な結果が得られる。
【0017】
また感光性樹脂(A)の配合割合は、本発明の光硬化型印刷インクに用いる水(D)を除いた全成分に対して0.1〜50重量%であることが好ましく、更に好ましくは1〜30重量%である。配合割合が0.1重量%に満たない場合は、水性化が困難となり、50重量%を超える場合、とインクの硬化後の耐水性が不足し易い。また配合割合が1〜30重量%のときには、露光前に予備乾燥が不要であり、露光時間も短くすることができるものである。
〈(B)分子中に少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物について〉
また本発明に係る光硬化型印刷インクは、分子中に少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物(B)を含むものである。
【0018】
この化合物(B)としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル〕プロパン、2,2−ビス〔4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル〕プロパン、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、1−メトキシシクロドデカジエニル(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ビスフェノールA−ジエポキシアクリル酸付加物、(メタ)アクリルアミド、N−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、メチレンビス(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,2−ビス〔4−メタクリロイルオキシ・ポリエトキシフェニル〕プロパン、等を挙げることができる。これらの化合物は単独又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができるものである。
【0019】
この化合物(B)は、上記感光性樹脂(A)と共に用いることにより、本発明のインクの光反応性を高めるために用いられる。
化合物(B)の配合割合は、本発明の光硬化型印刷インクから水(D)を除外した全成分に対して、20〜98重量%であることが望ましい。ここで配合割合が20重量%に満たないと、硬化後の皮膜の耐水性が低くなり、98重量%を超えると本発明の光硬化型印刷インクの水性化及び印刷版からの水による洗浄性を好適なものとすることが困難になる。
〈(b)分子中に少なくとも1個のカルボキシル基及び少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物について〉
化合物(B)の一部又は全部として、分子中に少なくとも1個のカルボキシル基及び少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物(b)を用いる。
【0020】
この化合物(b)を用いることにより、本発明の光硬化型印刷インクの光重合反応による硬化皮膜の耐酸性を向上させることができ、また本発明の光硬化型印刷インクの光重合反応による硬化皮膜を剥離させるためには硬化皮膜を過ヨウ素酸ソーダ等により洗浄して除去するものであるが、化合物(b)を用いることにより、過ヨウ素酸ソーダ等による剥離だけなく、アルカリ水溶液においても剥離可能なものとすることができる。このため本発明の光硬化型印刷インクをプリント配線板製造用のエッチングレジストインク、めっきレジストインク等として使用する場合に好適なものである。ここで、本発明の光硬化型印刷インクの光重合反応による硬化皮膜をアルカリ水溶液においても剥離可能なものとするためには、本発明の光硬化型印刷インク中に、化合物(b)を化合物(B)全量に対して50〜100重量%含有するように配合することが好ましいものである。
【0021】
この化合物(b)としては特に限定はされないが、例えば、分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物(b1)、エポキシ基及びエチレン性不飽和基を各1個のみ有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物(b2)を挙げることができる。
〈(b1)分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物について〉
化合物(b)として、部分エステル化物(b1)を用いる場合、その製造方法は公知であり、例えば、二塩基酸、三塩基酸等の無水物と分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物とを、必要に応じて触媒を用い、加熱反応させることによって得られる。この反応の場合、モノエステル化で留めることが望ましい。
【0022】
この酸無水物としては、例えばコハク酸、フタル酸、マレイン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナジック酸、メチルナジック酸、ドテシルコハク酸、クロレンディック酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメート)、ポリアゼライン酸、テトラヒドロフタル酸、3−メチルテトラヒドロフタル酸、4−メチルテトラヒドロフタル酸、3−エチルテトラヒドロフタル酸、4−エチルテトラヒドロフタル酸、3−プロピルテトラヒドロフタル酸、4−プロピルテトラヒドロフタル酸、3−ブチルテトラヒドロフタル酸、4−ブチルテトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、3−メチルヘキサヒドロフタル酸、4−メチルヘキサヒドロフタル酸、3−エチルヘキサヒドロフタル酸、4−エチルヘキサヒドロフタル酸、3−プロピルヘキサヒドロフタル酸、4−プロピルヘキサヒドロフタル酸、3−ブチルヘキサヒドロフタル酸、4−ブチルヘキサヒドロフタル酸等の多価カルボン酸に対応する無水物等を挙げることができる。これらの酸無水物は単独又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができるものである。
【0023】
また分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物としては、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート等との反応物等を挙げることができ、また、ヒドロキシル基は有さないがポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート等も用いることができる。これらのものは、単独又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。〈(b2)エポキシ基及びエチレン性不飽和基を各1個のみ有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物について〉
化合物(b)として、部分エステル化物(b2)を用いる場合、この化合物の製造方法は公知であり、例えばエポキシ基及びエチレン性不飽和基を各1個のみ有するエチレン性不飽和化合物と二塩基酸、三塩基酸等の酸無水物とを、必要に応じ触媒を用い、加熱反応させることによって得られる。この反応の場合、モノエステル化で留めることが望ましい。
【0024】
このエポキシ基を1個のみ有するエチレン性不飽和化合物としては、例えばグリシジル(メタ)アクリレート、2−メチルグリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル(メタ)アクリレート類、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸のエポキシシクロヘキシル誘導体類等が挙げられる。これらのものは、単独又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。また多価カルボン酸としては、化合物(b1)の製造に用いる上記酸無水物に対応するものを用いることができる。
〈(C)光重合開始剤について〉
本発明に係る光硬化型印刷インクは、光重合開始剤(C)を含むものである。
【0025】
この光重合開始剤(C)としては、極性溶媒溶解性のもの、或いは非溶解性のもののいずれも使用することが可能である。例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとそのアルキルエーテル類、アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル−(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン等のアセトフェノン類、2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類、ベンゾフェノン、3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、3,3’,4,4’−テトラ−(tert−ブチルペルオキシルカルボニル)ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルスルフィド等のベンゾフェノン類又はキサントン類、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2−ベンゾイル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、4,4’−ビス−ジエチルアミノベンゾフェノン等の窒素原子を含むもの、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド等が挙げられ、これらは安息香酸系又はp−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、2−ジメチルアミノエチルベンゾエート等の第三級アミン系等の光重合促進剤及び増感剤等と併用しても良い。ここでこれらの光重合開始剤(C)は単独又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0026】
また、カチオン重合反応を誘起させる光重合触媒を光重合開始剤(C)と併用することができ、この光重合触媒としては例えば、アリールジアゾニウム、ジアリールハロニウム、トリフェニルホスホニウム、ジアルキル−4−ヒドロキシスルホニウム、ジアルキル−4−ヒドロキシジフェニルスルホニウム、アレン−鉄錯体等のPF6-、AsF6-、BF4-、SbF6-塩等を挙げることができる。
【0027】
光重合開始剤(C)の配合割合は、本発明の光硬化型印刷インクから、水(D)を除外した全成分中で0.1〜20重量%であることが望ましい。配合割合が0.1重量%に満たない場合は、本発明の光硬化型印刷インクに充分な光硬化性を付与することが困難であり、また、20重量%を超えて配合しても、光硬化性をより向上させることに寄与しない。
〈(D)水について〉
本発明の光硬化型印刷インクは水(D)を必須の媒体としている。その配合割合は本発明の光硬化型印刷インク全成分に対して10〜97重量%であることが望ましい。配合割合が10重量%未満の場合、インクの流動性が不充分となり、印刷或いは塗布性等を良好なものとするのが困難であり、また97重量%を超えると本発明の光硬化型印刷インクを対象面に塗布した際の塗布皮膜が薄くなりすぎ、エッチングレジストインク、めっきレジストインク、ソルダーレジストインク、或いはマーキングインクとして充分な性能を発揮できなくなり好ましくない。
【0028】
また、本発明の光硬化型印刷インクに任意成分として水(D)と併せて用いることのできるものとして、例えば親水性に優れる水溶性有機溶剤等の媒体を挙げることができる。具体的には、例えばエタノール、プロパノール、2−プロパノール、ブタノール、2−ブタノール、ヘキサノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ブチレングリコール、トリメチロールプロパン、ネオペンチルグリコール、グリセリン、1,2,4−ブタントリオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ダイアセトンアルコール等の直鎖、分岐、2級或いは多価のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエチレングリコールアルキルエーテル類、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等のポリエチレングリコールアルキルエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のプロピレングリコールアルキルエーテル類、並びにジプロピレングリコールモノメチルエーテル等のポリプロピレングリコールアルキルエーテル類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、グリセリンモノアセテート、グリセリンジアセテート等の酢酸エステル類、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類、ジエチレングリコールジエチルエーテル等のジアルキルグリコールエーテル類等が挙げられる。また、疎水性の有機溶剤を使用することも可能である。これら水Dと併せて用いることのできる媒体は、単独又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができるものである。
【0029】
ただし、水(D)と併せて用いることのできる上記の媒体は、上記感光樹脂(A)による光反応性のエチレン性不飽和化合物の溶解性、乳化性、又は分散性を損ねない範囲の量を使用しなければならないものである。
〈(E)水性顔料分散体について〉
本発明の光硬化型印刷インクには任意成分として水性顔料分散体(E)を配合することができる。
【0030】
水性顔料分散体(E)とは、例えばフタロシアニン系の有機顔料をノニオン界面活性剤等で水中に分散したもの等のように、界面活性剤若くは水溶性樹脂等により着色顔料を水性系に微粒子状に分散したものをいう。具体的には、例えば、「DISPERSE SD Color」、「DISPERSE UNI Color」、「DISPERSE SDP Color」、「DISPERSE
HG Color」、「DISPERSE KR Color」等の商品名で大日本インキ化学工業(株)から市販されているものや、「ニューラクチミンカラーRedFL2R Conc.」、「Violet FL3R」、「Violet F2R」、「Blue FLB Conc.」、「Green FLB Conc.」等の商品名で大日精化工業(株)から市販されているもの等が挙げられる。これらの水性顔料分散体(E)は単独又は二種以上を適宜組み合わせて用いることができるものである。
【0031】
この水性顔料分散体(E)を用いると、光硬化型印刷インクの着色の際、着色顔料をインクに練り込む必要がなく、容易かつ簡便に、自由な着色を可能とすることができるものであり、また水性染料の場合と異なり、印刷版からの印刷インクの洗浄除去を水により行う場合に、着色成分の溶け出しを防ぐことができるものである。
【0032】
水性顔料分散体(E)を光硬化型印刷インクに用いる場合、その配合割合は本発明の光硬化型印刷インク全量に対し30重量%以下とすることが好ましい。水性顔料分散体(E)には界面活性剤等が配合されているので30重量%を超えて配合した場合、硬化皮膜の硬度を低下させる恐れがある。また、水性顔料分散体(E)を用いる場合、その配合量の実用上の下限は0.1重量%である。また水性顔料分散体(E)中の着色顔料の配合割合は、本発明の光硬化型印刷インクの水(D)を除いた全成分中で、20重量%以下とすることが好ましく、20重量%を超えると、光硬化型印刷インクの光の透過性が悪化し、光重合反応による硬化が困難になる。また水性顔料分散体(E)中の着色顔料の配合割合の実用上の下限は0.01重量%である。
【0033】
また、本発明の光硬化型印刷インクには、酢酸ビニル系重合体、(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル系共重合体、スチレン−マレイン酸樹脂、ジアリルフタレート樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂等或いはこれらにエチレン性不飽和基を導入したもの、ビスフェノールA型、フェノールノボラック型、クレゾールノボラック型、脂環型エポキシ樹脂に(メタ)アクリル酸を付加したもの、あるいはこれらにさらに飽和若しくは不飽和多塩基酸無水物を付加したもの等の高分子化合物あるいはこれらのエマルジョンを加えることができる。
【0034】
さらに、本発明の光硬化型印刷インクには、印刷適性を調節する等の目的で、必要に応じてシリコーン、(メタ)アクリレート共重合体或いはフッ素系界面活性剤等のレベリング剤、アエロジル等のチクソトロピー剤、ハイドロキノン、ハイドロキノンモノメチルエーテル、ピロガロール、tert−ブチルカテコール、フェノチアジン等の重合禁止剤、ハレーション防止剤、難燃剤、消泡剤、酸化防止剤、顔料湿潤剤、粉末ゴム等の各種添加剤及び分散安定性を向上させるための界面活性剤や高分子分散剤等を加えても良い。
【0035】
このようにして成る本発明の光硬化型印刷インクは、水性化が可能であり、かつ印刷版からの洗浄除去を水により容易にでき、また水性顔料分散体(E)を用いることにより、光硬化型印刷インクの着色の際、着色顔料をインクに練り込む必要がなく、容易かつ簡便に、自由な着色を可能とすることができるものであり、また染料の場合と異なり、印刷版からの印刷インクの洗浄除去を水により行う場合に、着色成分の溶け出しを防ぐことができるものである。また本発明の光硬化型印刷インクを紫外線等による光重合反応により硬化させて形成される硬化皮膜は耐水性に優れ、かつ皮膜強度も高いものである。また、本発明の光硬化型印刷インクにおいては、印刷法により対象面にパターンが形成されるが、その印刷方法としてはスクリーン印刷、グラビア印刷等各種印刷方法を用いることができるものであり、このようにしてパターン形成された光硬化型印刷インクを紫外線等による光重合反応により硬化させるものである。また化合物(B)の一部又は全部として化合物(b)を用いることにより、本発明の光硬化型印刷インクの光重合反応による硬化皮膜の耐酸性を向上させると共に、硬化皮膜をアルカリ水溶液において剥離可能なものとすることができるものである。
【0036】
従って、本発明の光硬化型印刷インクは特にプリント配線板製造用のエッチングレジスト、めっきレジスト、ソルダーレジスト及びマーキングインク、並びに銘板製造用レジスト好適に用いることができ、また紙、木工、ビニル印刷用インクとしても好適に用いることができるものである。
本発明の光硬化型印刷インクを用いて基板上にパターンを形成する方法としては、印刷法を用いることができる。
【0037】
本発明の光硬化型印刷インクを用いて印刷法により基板上にパターンを形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、以下のような方法が採られる。
・印刷工程
スクリーン印刷、グラビア印刷等各種印刷方法を用い、基板上に光硬化型インクのパターンを印刷する。ここで本発明の光硬化型印刷インクをプリント配線板製造用インクとして用いる場合には、基材として銅張積層板等のプリント配線板製造用基板等が用いられる。ここで用いた印刷版は洗浄した後再び使用されるが、本発明の光硬化型印刷インクを使用することにより、印刷板を水により容易に洗浄することができる。
・硬化工程
タングステンランプ、ケミカルランプ、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドランプ等を用いて基板に紫外線を照射して光硬化型印刷インクのパターンを露光する。
・エッチング、めっき工程
本発明の光硬化型印刷インクを、エッチングレジスト又はめっきレジストとして用いる場合は、上記のようにプリント配線板製造用基板に印刷されたパターンをマスクとして、露出している基板の表面を、エッチング、めっき等の公知の方法で処理する。
【0038】
エッチング処理を行う場合は、基板上の導電性層の種類に応じて選択されたエッチング剤を用いることができる。例えば、塩化第二銅などの酸性エッチング液、アンモニア系エッチング液等を用いて行うことができる。
まためっき処理を行う場合には、例えば、硫酸銅めっき、ピロリン酸銅めっき等の銅めっき、ハイスローはんだめっき等のはんだめっき、スルファミン酸ニッケルめっき等のニッケルめっき、ソフト金めっき、ハード金めっき等の金めっき等を行うことができる。
・剥離工程
本発明の光硬化型印刷インクは、ソルダーレジスト、マーキングインクとして用いる場合、その硬化皮膜を残存させて用いることもできるが、エッチングレジスト、めっきレジスト等として用いる場合には、その硬化皮膜を最終的に剥離することもできる。
【0039】
硬化物は、酸化物中の感光性樹脂(A)由来部分を過ヨウ素酸ソーダ、次亜塩素酸ソーダ等で分離することのより剥離できる。また本発明の光硬化型印刷インクに上記化合物(B)の一部又は全部として化合物(b)を含有させた場合は、一般的なエッチングレジスト、めっきレジストと同様に、アルカリ金属水酸化物等のアルカリ性の水溶液により剥離することもできる。
【0040】
【実施例】
以下、本発明を実施例によって詳述する。なお、本発明はこれらに限定されるものではない。また、以下に使用される「%」は、特に示さない限り、全て重量基準である。
(合成例1)
ケン化度88モル%の部分ケン化ポリ酢酸ビニル(日本合成化学工業(株)製、商品名「ゴーセノールGH−17」、重合度1700、)200gを水1000gに溶解した。
【0041】
この水溶液にN−メチロールアクリルアミド40gを溶解し、0.1%メトキシハイドロキノン水溶液2g、85%リン酸3gを添加後、60℃で20時間反応させた。反応終了後、5%カセイソーダーで中和し、さらに水にて溶液の総量を1500gとなるように調整し、ポリビニルアルコールのN−メチロールアクリルアミド付加体の水溶液(N−1)を得た。
(合成例2)
ケン化度88モル%の酢酸ビニル重合体−不飽和カルボン酸Na共重合体部分ケン化物((株)クラレ製、商品名「ポバールKL318」、重合度1800)に200gを水1000gに溶解した。
【0042】
この水溶液にN−メチロールアクリルアミド60gを溶解し、0.1%メトキシハイドロキノン水溶液2g、85%リン酸3gを添加後、80℃で5時間反応した。反応終了後、5%カセイソーダーで中和し、さらに水にて溶液の総量を1500gとなるように調整し、ポリビニルアルコール共重合体のN−メチロールアクリルアミド付加体の水溶液(N−2)を得た。
(実施例1)
ビスフェノールA系ビニルエステル(昭和高分子(株)製、商品名「リポキシSP−1507」)50g、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成化学工業(株)製、商品名「アロニックスM−309」)60g、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートP−200A」)60g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトエステル HO」)20g、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー(株)製、商品名「イルガキュアー651」)10g、酸化チタン15g、タルク30g、シリカ30g、及び消泡剤(東レ・シリコーン(株)製、商品名「SH−30PA」)0.2gを加えたものを混合した。
【0043】
この混合物を三本ロール((株)井上製作所製)を用いて充分に混練して組成物を得た。
この組成物を、合成例1の水溶液(N−1)400g中に、撹拌しながら乳化分散し、水性の光硬化型印刷インクからなる白色紫外線硬化型マーキングインク(M−1)を得た。
【0044】
この白色紫外線硬化型マーキングインク(M−1)を用いて、文字パターンを描いた200メッシュポリエステル製スクリーン版により、厚み35μmの銅箔のガラスエポキシ基材からなる片面銅張積層板の銅箔の張られていない面に、文字パターンをスクリーン印刷し、80W/cmの高圧水銀灯を用いて1000mJ/cm2 の紫外線を照射して、膜厚15μmの硬化皮膜を得た。
(実施例2)
実施例1のものと同様にして得られた組成物を、合成例1の(N−1)400g中に、撹拌しながら乳化分散した後、青色水性顔料分散体(大日精化工業(株)製、商品名「ニューラクチミンカラー Blue FLB Conc.」)1gを加えて混合し、水性の光硬化型印刷インクからなる青色紫外線硬化型マーキングインク(M−2)を得た。
【0045】
この青色紫外線硬化型マーキングインク(M−2)を用いて、実施例1と同様にして、片面銅張積層板の銅箔の張られていない方の面上に文字パターンをスクリーン印刷し、紫外線硬化して膜厚13μmの硬化皮膜を得た。
(実施例3)
2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートHOA−HH」)120g、ロジン変性マレイン酸樹脂(酸価160、軟化点95℃)10g、フェノキシエチルアクリレート(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートPO−A」)50g、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成化学工業(株)製、商品名「アロニックスM−309」)10g、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー社製、商品名「イルガキュアー651」)10g、消泡剤(東レ・シリコーン(株)製、商品名「SH−30PA」)0.2g、レベリング剤(モンサント(株)製、商品名「モダフロー」)2g、硫酸バリウム80g、カオリン40g、フタロシアニンブルー2g、微粉シリカ(日本アエロジル(株)製、商品名「アエロジル#360」)4gを加えて混合した。
【0046】
この混合物を、三本ロール((株)井上製作所製)を用いて充分に混練して組成物を得た。
この組成物を、合成例1の水溶液(N−1)500g中に、撹拌しながら乳化分散し、水性の光硬化型印刷インクからなるエッチングレジストインク(E−1)を得た。
【0047】
このエッチングレジストインク(E−1)を用いて、配線パターンを描いた200メッシュポリエステル製スクリーン版により、厚み35μmの銅箔とガラスエポキシ基材からなる銅張積層板上に配線パターンをスクリーン印刷し、80W/cmの高圧水銀灯を用いて1000mJ/cm2 の紫外線を照射して、膜厚15μmの硬化皮膜を得た。
(実施例4)
2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートHOA−HH」)60g、2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートHOA−MPL」)60g、重合ロジン(酸価140、軟化点95℃)20g、テトラヒドロキシフルフリルアクリレート(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートTHF−A」)50g、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー(株)製、商品名「イルガキュアー651」)10g、消泡剤(東レ・シリコーン(株)製、商品名「SH−21PA」)0.2g、レベリング剤(モンサント(株)製、商品名「モダフロー」)2g、タルク20g及びケイ酸アルミニウム60gを加えて混合した。
【0048】
この混合物を、三本ロール((株)井上製作所製)を用いて充分に混練して組成物を得た。
この組成物を、合成例1の水溶液(N−1)280g中に、撹拌しながら乳化分散した後、青色水性顔料分散体(大日精化工業(株)製、商品名「ニューラクチミンカラー Blue FLB Conc.」)1gを加えて混合し、水性の光硬化型印刷インクからなるエッチングレジストインク(E−2)を得た。
このエッチングレジストインク(E−2)を用いて、実施例3と同様にして、銅張積層板上に配線パターンをスクリーン印刷し、紫外線硬化したところ、膜厚18μmの硬化皮膜を得た。
(参考例1)
ビスフェノールA系ビニルエステル(昭和高分子(株)製、商品名「リポキシSP−1507」)50g、トリメチロールプロパントリアクリレート(東亜合成化学工業(株)製、商品名「アロニックスM−309」)60g、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトエステル HO」)20g、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートP−200A」)60g、光重合開始剤としてベンジルジメチルケタール(チバ・ガイギー(株)製、商品名「イルガキュアー651」)10g、消泡剤(東レ・シリコーン(株)製、「SH−30PA」)0.2g、酸化チタン15g、タルク30g、及びシリカ30gを加えて混合した。
【0049】
この混合物を、三本ロール((株)井上製作所製)を用いて充分に混練して組成物を得た。
この組成物を、合成例2で得た水溶液(N−2)400g中に、撹拌しながら乳化分散した後、紫色水性顔料分散体(大日精化工業(株)製、商品名「ニューラクチミンカラー Violet FL3R」)1gを加えて混合し、水性の光硬化型印刷インクからなる紫色紫外線硬化型マーキングインク(M−3)を得た。
【0050】
この紫色紫外線硬化型マーキングインク(M−3)を用いて、実施例1と同様にして、片面銅張積層板の銅箔の張られていない面に、文字パターンをスクリーン印刷し、紫外線硬化したところ、膜厚15μmの硬化皮膜を得た。
(比較例1)
2−メタクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトエステルHO−HH」)92g、2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「ライトアクリレートHOA−HH〕)87g、光重合開始剤として、2−エチルアントラキノン7g、表面平滑剤(共栄社油脂化学工業(株)製、商品名「MKコンク」)7g、メタクリルアミド14g、フタロシアニンブルー0.4g、及び硫酸バリウム160gを加えて混合した。
【0051】
この混合物を、三本ロール((株)井上製作所製)を用いて充分に混練して、非水性の光硬化型印刷インクから成るエッチングレジストインクを得た。
このエッチングレジストインクを用いて、実施例3と同様にして、銅張積層板上に配線パターンをスクリーン印刷し、紫外線硬化して、膜厚18μmの硬化皮膜を得た。
(比較例2)
メチルメタクリレート40g、ブチルアクリレート40g、アクリル酸20g、及びアゾビスイソブチロニトリル2gから成る混合液を窒素雰囲気下において110℃に保持したプロピレングリコールモノメチルエーテル90g中に3時間を要して滴下した。
【0052】
滴下後、1時間熟成させ、次にアゾビスジメチルバレロニトリル1g及びプロピレングリコールモノメチルエーテル10gから成る混合液を1時間を要し滴下し、更に5時間熟成させて高酸化アクリル樹脂溶液を得た。
この溶液にグリシジルメタクリレート24g、ハイドロキノン0.12g、及びテトラエチルアンモニウムブロマイド0.6gを加えて空気を吹き込みながら110℃で5時間反応させて光硬化性樹脂溶液を得た。
【0053】
この光硬化性樹脂溶液227gにトリエチルアミン6.7gを加えて充分に中和した後、光開始剤であるα−ヒドロキシイソブチルフェノン6g、及び水性染料(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名「AIZEN COLOUR CATHILON BULUE FB−DP」)を添加し、水性の光硬化型印刷インクから成るエッチングレジストインクを得た。
【0054】
このエッチングレジストインクを用いて実施例3と同様にして、銅箔張積層板上に配線パターンをスクリーン印刷し、紫外線硬化したところ、膜厚15μmの硬化皮膜を得た。
(評価試験)
[1]洗浄性
実施例、参考例及び比較例の全てのものについて、印刷後使用したスクリーン版を水で洗浄して、光マーキングインク又はエッチングレジストインクの水による洗浄性を目視で観察し、水で容易に洗浄できたものを「良」、洗浄した結果インクが一部残存したものを「不良」、洗浄できなかったものを「不可」として評価した。
[2]インクの着色成分の耐溶出性
実施例2、4、参考例1及び比較例2について、インクを水で0.1%に希釈し、4000回転/分の条件で10分間遠心分離器にかけて固形分を沈降させ、その沈降物及び上澄み液が無色透明の状態となったものを「良」、上澄み液の着色が残ったものを「不良」として評価した。
[3]粘着テープ剥離試験
実施例、参考例及び比較例の全てのものについて、紫外線硬化により得られた硬化皮膜の、JIS D 0202−1988の4.15に準拠したクロスカットによるセロハン粘着テープ剥離試験を行い、有効面に形成した碁盤目の数に対する完全に剥がれないで残った碁盤目の数をカウントした。
[4]硬度
実施例、参考例及び比較例の全てのものについて、紫外線硬化により得られた硬化皮膜の硬度(鉛筆硬度)を測定した。
[5]耐エッチング液性
実施例3、4及び比較例1、2のものについて、紫外線硬化により得られた硬化皮膜を形成した銅張積層板を40℃の40%塩化第二鉄水溶液で3分間エッチング処理した場合の、硬化皮膜の観察し、剥がれのないものを「良」、一部に剥がれが発生するものを「不良」として評価した。
[6]アルカリ性水溶液による剥離性
実施例3、4及び比較例1のものについて、耐エッチング液性の試験に供したエッチング後の銅張積層板を25℃の3%水酸化ナトリウム水溶液で処理し、硬化皮膜が完全に剥離するまでに要した時間を測定した。
[7]エッチング性評価
[6]の操作によって断線、ピンホール等のないプリント基板が得られたものを「良」として評価した。
[8]耐水性評価
実施例、参考例及び比較例の全てのものについて、紫外線硬化により得られた硬化皮膜を有する基材を40℃の温水に24時間浸漬し、硬化皮膜の状態を観察し、皮膜に変化を生じなかったものを「良」、皮膜が膨潤し、指で軽く擦っただけで剥離するようになったものを「不良」とし評価した。
【0055】
以上の結果を表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
表1から判るように、実施例全てのものでは印刷後使用したスクリーン版は、水で簡単に洗い流すことができ、また硬化皮膜の耐水性が良好であったのに対して、比較例1のものでは、印刷版からの洗浄除去を水により行うことが困難なものであり、また比較例2のものでは、使用したスクリーン版のインクを水で完全に洗い流すことはできず、また硬化皮膜の耐水性が不良であった。
【0058】
また実施例全てのものでは、エッチングレジストインクを硬化させて得られた硬化皮膜は硬度が高く、かつ剥がれが生じにくいものであるのに対して、比較例2のものでは硬度が低く、かつ剥がれが発生し易いものであった。なお、比較例2においては印刷後使用したスクリーン版を1重量%の炭酸ナトリウム水溶液を用いて洗浄したところ、エッチングレジストインクを簡単に洗浄できた。
【0059】
また化合物(b1)に相当する2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸を含み、この化合物(b1)の配合割合が、(B)成分の約66.7重量%である実施例3のもの、並びに化合物(b1)に相当する2−アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、及び2−アクリロイルオキシエチル−2−ヒドロキシエチルフタル酸、を含み、この化合物(b)の配合割合が化合物(B)の総量の約70.6%である実施例4のものでは、得られた硬化皮膜は耐エッチング液性が良好であることから酸性の水溶液に対する耐水性が良好であり、またアルカリ性の水溶液で剥離可能なものであるのに対して、比較例2のものでは、耐エッチング液性が悪く、酸性の水溶液に対する耐水性が不良であった。
【0060】
また青色水性顔料分散体(大日精化工業(株)製、商品名「ニューラクチミンカラー Blue FLB Conc.」)を添加した実施例2、並びに紫色水性顔料分散体(大日精化工業(株)を添加した、実施例4及び参考例1のものでは、インクの着色成分の耐溶出性が良好であったのに対して、水性染料(保土ヶ谷化学工業(株)製、商品名「AIZEN COLOUR CATHILON BULUE FB−DP」)を添加した比較例2のものではインクの着色成分の耐溶出性が不良であった。
【0061】
【発明の効果】
本発明の請求項1に記載の光硬化型印刷インクは、
(A)ポリビニルアルコール系重合体にN−アルキロール(メタ)アクリルアミドを付加してなる水溶性の感光性樹脂、
(B)分子中に少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物、
(C)光重合開始剤及び
(D)水
を含むため、水性化が可能であり、また感光性樹脂(A)を用い、他のインク成分を水中に溶解、乳化、又は分散することができ、洗浄除去を水により容易にできるものであり、また光重合反応により生成する硬化皮膜を耐水性に優れ、かつ皮膜硬度の高いものとすることができる。
【0062】
また、光硬化型印刷インク中に配合してある化合物(B)の一部又は全部が、(b)分子中に少なくとも1個のカルボキシル基、及び少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物であるため、本発明の光硬化型印刷インクの光重合反応により生成する硬化皮膜の耐酸性を向上させると共に、この硬化皮膜をアルカリ水溶液において剥離可能なものにすることができるものである。
【0063】
また本発明の請求項2に記載の光硬化型印刷インクは、請求項1の構成に加えて、光硬化型印刷インク中に配合してある化合物(b)が、分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物であるため、本発明の光硬化型印刷インクの光重合反応により生成する硬化皮膜の耐酸性を向上させると共に、この硬化皮膜をアルカリ水溶液において剥離可能なものにすることができるものである。
【0064】
また本発明の請求項3に記載の光硬化型印刷インクは、請求項1又は2の構成に加えて、(E)水性顔料分散体を含むため、光硬化型印刷インクの着色の際、着色顔料をインクに練り込む必要がなく、容易かつ簡便に、自由な着色を可能とすることができるものであり、また水性染料の場合と異なり、印刷インクの洗浄除去を水により行う場合に、着色成分の溶け出しを防ぐことができるものである。
【0065】
また本発明の請求項4に記載のプリント配線板製造用インクは、請求項1乃至3に記載の光硬化型印刷インクから成り、印刷法により基板上にパターンを印刷した後に光硬化により硬化皮膜を形成するものであるため、エッチングレジスト、めっきレジスト、ソルダーレジスト及びマーキングインクとして好適なものである。
Claims (4)
- (A)ポリビニルアルコール系重合体にN−アルキロール(メタ)アクリルアミドを付加してなる水溶性の感光性樹脂、
(B)分子中に少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物、
(C)光重合開始剤及び
(D)水
を含んで成り、前記化合物(B)の一部又は全部が、(b)分子中に少なくとも1個のカルボキシル基、及び少なくとも1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物であることを特徴とする光硬化型印刷インク。 - 化合物(b)が、分子中に1個のヒドロキシル基及び1個の光反応性のエチレン性不飽和基を有する化合物と多価カルボン酸との部分エステル化物であることを特徴とする請求項1に記載の光硬化型印刷インク。
- (E)水性顔料分散体を含んで成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の光硬化型印刷インク。
- 請求項1乃至3のいずれかに記載の光硬化型印刷インクから成り、印刷法により基板上にパターンを印刷した後に光硬化により硬化皮膜を形成するものであることを特徴とするプリント配線板製造用インク。
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