JP3618195B2 - 紫外線硬化性樹脂組成物を用いたシャドウマスクの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー受像管用のシャドウマスクの製造方法に関し、特に高精細のカラー受像管用のシャドウマスクの製造に用いられる2段エッチング法と呼ばれる方法において、シャドウマスクのバックコート層形成に最適な紫外線硬化性樹脂組成物をバックコート剤として用いたシャドウマスクの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
シャドウマスク型カラー受像管は、図7に示すように、外囲器を構成する透明なパネル61の内面に設けられた赤、緑、青に発光する蛍光体層からなる蛍光スクリーン62から所定間隔離れて、その全面に多数の開孔が所定の大きさとピッチで配列された色選別機能を有するシャドウマスク63が配置されており、このシャドウマスク63により、電子銃64から放出された電子ビーム65は、シャドウマスク63の開孔と幾何学的に一対一の関係にある所定の蛍光体層のみに正しく衝突するよう選別されている。
このシャドウマスク63には、図8(A)及び(B)に示すように、大別して開孔形状が円形状のもの63aと、矩形状のもの63bとが有り、一般的には、文字や図形などを表示するカラーディスプレイ管には開孔形状が円形状のシャドウマスク63aが、一般家庭で使用される動画像を表示するカラー受像管には開孔形状が矩形状のシャドウマスク63bが用いられている。
【0003】
ところで、近年、文字や図形などを表示するカラーディスプレイ管については、益々の高精細化及び高品質化が強く要求されている。一方、従来は動画像のみを表示するカラー受像管についても、マルチメディア管と称して、従来の動画像に加え、文字放送や、パソコンの端末として文字や図形などを表示でき、インターネットの使用に耐えられるように高精細化及び高品質化が強く要求されている。
シャドウマスクの開孔は、従来よりフォトリソグラフィを用いたフォトエッチング法により形成され、特に、高精細及び高品質が要求される開孔形状が円形状のカラーディスプレイ管用シャドウマスク及びマルチメディア管用の開孔形状が矩形状のシャドウマスクは、2段エッチング法と呼ばれる方法により形成される。
【0004】
以下、2段エッチング法について図9及び図10を参照して詳細に説明する。カラーディスプレイ管用シャドウマスクやマルチメディア管用のシャドウマスクは、アンバー材(Fe−36wt%Ni合金)やアルミキルド鋼などの金属薄板71を基材とし、圧延油や防錆油などの脱脂の目的でアルカリ系溶液を用いて脱脂洗浄、水洗を行った後、図10(A)に示すように、金属薄板71の両面にカゼインや変性PVA(ポリビニルアルコール)と重クロム酸塩からなる感光剤を、所定の厚さになるようにディピング法やキスコータなどを用いて塗布し、乾燥し、感光膜72を形成する(感光膜形成工程)。
次に、図10(B)に示すように、この両面の感光膜72に、シャドウマスクの開孔の電子銃側の小孔に対応するパターンが形成されたフォトマスク73aとシャドウマスクの開孔の蛍光スクリーン側の大孔に対応するパターンが形成されたフォトマスク73bからなる一対のフォトマスクを密着して、紫外光により露光し、これらフォトマスク73a及び73bのパターン通りに硬化させる(露光工程)。
【0005】
この後、このパターン通りに硬化された両面の感光膜72を、水や水とアルコールからなる現像液を用いて現像し、未感光部を除去し、乾燥、硬膜の為のベーキング(焼付け)を行ない、図10(C)に示すように、上記一対のフォトマスク73a,73bのパターンに対応するエッチングレジストパターン74a、74bを形成する(現像・焼付け工程)。
その後、図10(D)に示すように、シャドウマスクの開孔の蛍光スクリーン側の大孔に対応するエッチングレジストパターン74bが形成された面側に、PET(ポリエチレンテレフタレート)、CPP(キャスティングポリプロピレン)などの耐エッチング性の樹脂フィルムに粘着剤を塗工した保護フィルム75bを貼着し、シャドウマスクの開孔の電子銃側の小孔に対応するエッチングレジストパターン74aの形成された面側を、塩化第二鉄溶液をエッチング液に用いてエッチングし、水洗し、このエッチングレジストパターン74aの形成された面側に、シャドウマスクの電子銃側の小凹孔76aを形成する(第一エッチング工程)。
【0006】
次に、エッチングの終了した小凹孔76a側のエッチングレジストパターン74aをアルカリ系溶液で剥離、水洗し、エッチングレジストパターン74b上に形成された保護フィルム75bを取除き、図10(E)に示すように、小凹孔76a内に例えばカゼイン系の水溶性樹脂からなるバックコート剤を塗布、充填し、乾燥硬化させ、バックコート層77を形成し、更にこのバックコート層77上に保護フィルム75aを貼着する(バックコート層形成工程)。
この後、図10(F)に示すように、エッチングレジストパターン74bの形成された面側を、塩化第二鉄溶液をエッチング液に用いてエッチングし、水洗し、このエッチングレジストパターン74bの形成された面側に、シャドウマスクの蛍光スクリーン側の大孔76bを形成する(第二エッチング工程)。
最後に、保護フィルム75aを取除き、アルカリ系溶液にて、大孔76bが形成された面側のエッチングレジストパターン74b及び小孔76aが形成された側のバックコート層77を剥離除去して、図10(G)に示すように、小孔76aと大孔76bとが連通した開孔78を形成する(仕上げ工程)。
【0007】
以上のような2段エッチング法にて、高精細、高品質のシャドウマスクが形成されるが、得られるシャドウマスクの開孔径(小孔と大孔とが連通した開孔の合致点の径)を、小孔側で制御しているということが出来る。即ち、通常の両面からエッチングする方法では、小孔と大孔が合致した以降も小孔の横方向にエッチングが進行するサイドエッチングが避けられず、正確な開孔寸法のコントロールが難しいが、2段エッチング法においては、小孔側の凹部にバックコート層を充填し、第二のエッチング工程においては小孔はバックコート層により被覆されており、エッチングされないようにし、第一エッチング工程における正確な小孔パターンを維持できるようにしているため、正確な開孔寸法のコントロールが可能となる。
【0008】
このようにシャドウマスクの2段エッチング法においては、小孔側の凹部へのバックコート層形成が重要なプロセスとなるが、従来用いてきたバックコート剤では、益々の高精細及び高品質が要求される開孔形状が円形状のカラーディスプレイ管用シャドウマスクや、カラーディスプレイ管用シャドウマスクに比べ板厚の厚いマルチメディア管用の開孔形状が矩形状のシャドウマスクに適用する場合、以下に述べるような多くの問題が生じる。
まず、開孔形状が円形状のカラーディスプレイ管用シャドウマスクの場合、対角41cmのシャドウマスクでおよそ120万個〜150万個の、マルチメディア管用の開孔形状が矩形状のシャドウマスクの場合、対角66cmのシャドウマスクでおよそ50万個〜70万個の開孔が存在し、これら全ての小孔側の凹部に1個残らず正確にしかも気泡の巻き込みなくバックコート剤を充填する必要がある。これらが完全に行われないと、第二エッチング工程において、小孔側のサイドエッチングが進行し、開孔形状が拡大したり、所定の形状にならない孔径不良の原因となったり、孔径がばらつき、ムラや品位を劣化させる原因となる。
【0009】
従来、シャドウマスクの2段エッチングに用いられるバックコート剤としては、牛乳蛋白より抽出されたカゼインが、また、カゼインと第二、第三の樹脂との組合せが、特にコストが安いことから多用されてきた。しかしながら、これらのバックコート剤は、液に応力が加わると粘度が変化する特性を有し、液の管理状態や、塗工後オーバフローしている液と新液との混合状態で液特性が部分的に変わるなどの問題があり、正確な充填がしづらかった。また、カゼイン系のバックコート剤は、バクテリアが繁殖し易いため腐敗し易く、腐敗が、また腐敗を抑制する防腐剤の添加が、正確な充填を阻害する原因となっていた。また、カゼイン系のバックコート剤は水溶性であり、その後の乾燥が難しく、気泡の発生の一因となっていた。更に、カゼイン系のバックコート剤を始めとする溶媒が添加されたバックコート剤は、図11(A)に示すように、基材81上に塗布されたバックコート剤82aが乾燥時に体積収縮を起こすため、肩の所83の膜厚が薄くなるという問題があった。加えて、直接シャドウマスクの品位とは関係ないが、乾燥に時間がかかり、乾燥炉が長く、省エネに逆行するという問題もある。なお、無溶剤型のバックコート剤82bの場合、図11(B)に示すように体積収縮が殆ど起こらない。
【0010】
ところで、開孔形状が円形状のカラーディスプレイ管用シャドウマスクの場合、シャドウマスク基材として用いられる金属薄板の板厚は0.10mm〜0.15mmであり、これに第一エッチング工程において0.03mm〜0.05mm程度の深さの微小凹孔が設けられる。一方、マルチメディア管用の開孔形状が矩形状のシャドウマスクの場合、音声を出すセットに組み込まれるために、シャドウマスクが音によって振動し、画像が乱れるハウリングと呼ばれる現象を避けるため、通常0.18mm〜0.28mmの板厚の金属薄板が使用され、これに第一エッチング工程において0.06mm〜0.10mm程度の深さの深い微小凹孔が設けられ、また、矩形状のため縦方向と横方向で充填特性が異なるという問題も加わり、カゼイン系のバックコート剤では、正確な充填が益々困難になってきている。また、開孔形状が円形状のカラーディスプレイ管用シャドウマスクの場合においても、マルチメディア管用の開孔形状が矩形状のシャドウマスクの場合においても、この深さは同じで益々開孔寸法が小さくなり、カゼイン系のバックコート剤では、正確な充填が益々困難になってきている。
【0011】
このような状況の中、バックコート剤として、紫外線硬化性樹脂組成物を用いることが提案させている。しかしながら、従来の紫外線硬化性樹脂組成物では、微小凹孔への充填性、耐エッチング性、エッチング後の剥離性を同時に満足する物は得られなかった。即ち、耐エッチング性、エッチング後の剥離性を確保しようとすると、特に組成物の粘度が上がり、微小凹孔への充填性が著しく損なわれ、また、微小凹孔への充填性を確保しようとすると、耐エッチング性、エッチング後の剥離性が劣化し、第二エッチング工程において欠点の発生の原因になったり、エッチングで問題を生じなくとも、仕上げ工程でバックコート層が剥離できないという問題があった。また、紫外線硬化性樹脂組成物を溶媒に溶解し、特に液の粘度を下げて、樹脂本体の耐エッチング性、エッチング後の剥離性を劣化させないで微小凹孔への充填性を確保しようとする提案もあるが、逆に金属薄板表面でのはじき(表面張力により塗膜が被着していない斑点状部分が生ずる現象、クレーターともいう)が発生したり、はじきがなくとも、バックコート層形成の際に、紫外線硬化に先立って大量の溶媒を加熱蒸発させる必要があるため、乾燥炉や溶剤の回収装置が必要であるとともに、有機溶剤の取扱いに伴う毒性及び引火、爆発の危険性を生じる。一方、乾燥工程における引火、爆発及び火災の危険性を減少させるために、難燃性を有する塩素系溶剤の使用が考えられるが、近年、これら塩素系溶剤の使用は大気汚染等の問題から規制されている。
【0012】
これらの問題を解決するため、本質的に無溶剤である紫外線硬化性樹脂を用いる方法が考えられる。しかしながら、現在知られている、硬化塗膜が耐酸性でアルカリ溶解性を有する紫外線硬化性樹脂を、シャドウマスクのバックコート剤用紫外線硬化性樹脂組成物として用いた場合、微小な凹孔に気泡を生ずることなく均一に充填することが困難であり、また凹底部での硬化不良及びアルカリ溶解・剥離性の不足に起因した塗膜残存等の欠点が見られ、要求特性を全て満足する物は未だ知られていない。
従来、前記したような問題は使用する紫外線硬化性樹脂組成物の粘度が高いことに起因していると考えられており、例えば特開昭61−261410号には樹脂組成物の25℃における粘度を100cps以下にすることが提案されている。しかしながら、従来用いられている紫外線硬化性樹脂組成物を微小凹孔を有するシャドウマスク基材表面に、例えばロールを用いて塗布した場合、樹脂組成物の粘度が低くて流れ易いため、微小な凹孔にロール表層部の一部が食い込んで圧力が加わったときに、樹脂組成物が微小凹孔から流れ出て、微小凹孔内へ充分に充填されなくなり、また微小凹孔の肩部(エッジ部)の塗膜が薄くなり易いという問題がある。さらに、前記したように金属薄板表面でのはじきが発生したりする。また一般に、粘度が低過ぎる場合、硬化塗膜の耐エッチング性や剥離性が悪くなり易いという問題がある。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
前述したように、従来のカゼイン系のバックコート剤では、近年の益々の高精細化、高品位の要求を満足するシャドウマスクを得ることが困難になってきている。一方、従来のカゼイン系のバックコート剤の問題点を解決し、近年の益々の高精細化、高品位の要求を満足するシャドウマスクを得るために紫外線硬化性樹脂からなるバックコート剤を使用することが提案されているが、シャドウマスク製造工程に使用するために必要な微小凹孔への充填性、耐エッチング性、エッチング後の剥離性を同時に満足し、かつ安全な取扱いができる紫外線硬化性樹脂組成物は、未だ知られていない。
本発明は、このような状況に鑑み、従来の紫外線硬化性樹脂組成物が有する問題点を解決し、シャドウマスク製造工程において使用するバックコート剤として最適な紫外線硬化性樹脂組成物を開発し、この紫外線硬化性樹脂組成物の特性を最大限に発揮し、充填性の優れたバックコート層を形成することができる塗工方法を含むシャドウマスクの製造方法を提供することを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明によれば、帯状の金属薄板からなるシャドウマスク基材の両面に感光膜を形成する工程と、感光膜が形成された両面を所定のパターンに従って露光・現像し、所定のパターン通りに一部金属表面を露出させてエッチングレジスト層を形成する工程と、このエッチングレジスト層を形成し金属表面が一部露出した金属薄板の少なくとも一方の面をエッチングして、少なくともこの一方の面の金属表面露出部に凹孔を形成する第一エッチング工程と、第一エッチング工程において形成された凹孔を有する一方の面に、バックコート剤を塗布し、この凹孔内部にバックコート剤を充填し、バックコート層を形成する工程と、バックコート層を形成した面と反対の面をエッチングして、第一エッチング工程で形成された凹孔に通じる凹孔を形成する第二エッチング工程と、バックコート層とエッチングレジスト層を除去する剥離工程とを少なくとも含むシャドウマスクの製造方法であって、上記バックコート層形成工程において、(a)分子中に1個のカルボキシル基及び1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物、(b)分子中に1個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物、(c)レベリング剤、及び(d)光開始剤を含有し、25℃における粘度が100cps以上、3200cps以下であり、かつ、25℃における表面張力が39〜50mN/mである紫外線硬化性樹脂組成物を上記バックコート剤として用い、紫外線照射により硬化させ、バックコート層を形成することを特徴とするシャドウマスクの製造方法が提供される。
【0015】
好適な態様においては、前記バックコート剤として、前記紫外線硬化性樹脂組成物(b)成分として、(b−1)分子中に1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物、(b−2)分子中に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物を併せ含有する紫外線硬化性樹脂組成物が用いられる。
上記のような紫外線硬化性樹脂組成物は、実質的に無溶剤型の紫外線硬化性組成物であり、塗工性に優れると共に、硬化後の塗膜が高い耐エッチング性を示し、またエッチング後のアルカリ処理による優れた溶解・剥離性を示すという特性を有するため、シャドウマスク製造におけるバックコート剤用紫外線硬化性樹脂組成物として特に好適に用いることができる。ここでいう実質的に無溶剤型であるとは、有機溶剤に溶解して紫外線硬化性樹脂組成物に添加する添加剤に起因する有機溶剤の総和が3%以下であることを指す。
【0016】
さらに塗工方法の面での好適な態様においては、第一エッチング工程において形成された凹孔を有する一方の面にバックコート剤を塗布する方法として、この凹孔を形成する側壁に、紫外線硬化性樹脂組成物からなるバックコート剤を接触せしめることの出来る塗工方法を用いる。このような塗工方法としては、ダイレクトコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、押し込みコート法、ドクタノズルコート法を用いることができるが、この目的が達成できる塗工方法であれば、これに限定されるものではない。
【0017】
【発明の実施の形態】
前記したように、従来、シャドウマスクのバックコート剤に用いられている紫外線硬化性樹脂組成物は、微小な凹孔に気泡を生ずることなく均一に充填することが困難であり、また凹底部での硬化不良及びアルカリ溶解・剥離性の不足に起因した塗膜残存等の欠点が見られる。
従来、このような問題は使用する紫外線硬化性樹脂組成物の粘度が高いことに起因していると考えられており、前記したように粘度をかなり低くすることが提案されている。しかしながら、樹脂組成物の粘度が低くても、逆に流れ易くなるため、前記したようにロールによる塗工時に微小凹孔内から押し出されることによる充填不良や、金属薄板表面でのはじきなどの問題がある。
本発明者らは、このような現象について鋭意研究の結果、シャドウマスクの製造工程において、バックコート剤を微小凹孔内へ充填する際の充填性を規制するファクターは粘度ではなく、使用する組成物の表面張力であることを見い出し、また、表面張力を規定した紫外線硬化性樹脂組成物を用い、この紫外線硬化性樹脂組成物を微小凹孔の側壁に接触せしめることができる塗工方法を用いれば、容易に微小凹孔への充填ができることを見い出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0018】
すなわち、本発明のシャドウマスクの製造方法は、バックコート層形成工程において、25℃における粘度が100cps以上、3200cps以下であり、かつ、25℃における表面張力が39〜50mN/mの紫外線硬化性樹脂組成物を前記バックコート剤として用いることを特徴としている。この範囲内に表面張力が規制された紫外線硬化性樹脂組成物は、微小凹孔内のエッチング処理された面、第一エッチング工程においてはエッチングレジスト層に覆われ、バックコート剤を塗布、充填する前にアルカリ系溶液でエッチングレジスト層が剥離された面、及び小孔側に残るかもしれないエッチングレジスト層面のいずれのシャドウマスク基材面に対しても、良好な濡れ性を示し、バックコート層形成工程において微小凹孔を形成する凹部側壁に紫外線硬化性樹脂組成物からなるバックコート剤を接触せしめることの出来る塗工方法が適切に選択されれば、はじきや気泡の発生もなく微小凹孔内に完全に充填されるように均一に塗布できる。この為、本発明のシャドウマスクの製造方法の好適な態様においては、第一エッチング工程において形成された凹孔を有する一方の面にバックコート剤を塗布する工程において、凹孔を形成する側壁に、前述の紫外線硬化性樹脂組成物からなるバックコート剤を接触せしめることの出来る塗工方法を用いている。
【0019】
また、前記(a)〜(d)の各成分を含有する紫外線硬化性樹脂組成物は、前記したように塗工性に優れると共に、カルボキシル基を有する光重合性化合物(前記(a)成分)を含み、さらに2種以上の光重合性化合物(前記(a)成分及び(b)又は(b−1)、(b−2)成分)を含む。そのため、紫外線硬化性に優れ、凹底部での硬化不良を生ずることなく、紫外線の照射により容易に短時間で硬化させることができると共に、得られるバックコート層は、耐エッチング性及びエッチング後の剥離性に優れる。特に、本発明で用いる紫外線硬化性樹脂組成物が、第二成分として、分子中に2個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物を含む場合、シャドウマスクの製造工程に用いられるエッチング液中に0.1〜0.3%程度含まれる遊離塩酸による耐エッチング性の低下を完全に防止することができる。
【0020】
さらに、本発明で用いる紫外線硬化性樹脂組成物は、実質的に無溶剤型の紫外線硬化性樹脂組成物である為、安全性が高く、また、塗工後直接紫外線により硬化することが可能で、大幅な工程省略、設備の簡略化及び省エネルギーが期待される。また、実質的に無溶剤型の樹脂組成物である為、硬化時の体積収縮がなく、従来の硬化時に凹孔の肩の所(エッジ部)の膜厚が薄くなるという問題がなく、バックコート層全面にわたって耐エッチング性が確保できる。
また、本発明においてバックコート剤として用いる使用時の温度、例えば常温(約25℃)における表面張力が39〜50mN/mの紫外線硬化性樹脂組成物は、従来塗工が困難とされた100cps以上の粘度でも、液の輸送ができれば微小凹孔内への充填は容易にできる。このため、従来塗工時に加温して粘度を下げる試みも為されたが、上記紫外線硬化性樹脂組成物をバックコート剤として用いる本発明の方法では、常温での塗工も可能となり、塗工装置を簡略化できる。さらに、上記紫外線硬化性樹脂組成物を用いた場合、塗工後の(熱)レベリングが不要であり、この面からも塗工装置を簡略化できるとともに、塗工ムラのないバックコート層が容易に得られる。
【0021】
以下、本発明で用いる紫外線硬化性樹脂組成物を構成する各成分について説明する。
まず、前記(a)成分は、本発明で用いる紫外線硬化性樹脂組成物に主として耐エッチング性及びアルカリ剥離性を付与する成分であり、分子中に1個のカルボキシル基及び1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基(以下(メタ)アクリロイル基と総称する)を持つ化合物であって、例えば二塩基酸無水物と分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基及び1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体とのモノエステル化合物がある。
二塩基酸無水物としては、フタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物、メチルテトラヒドロフタル酸無水物、エチルテトラヒドロフタル酸無水物、プロピルテトラヒドロフタル酸無水物、ブチルテトラヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、エチルヘキサヒドロフタル酸無水物、プロピルヘキサヒドロフタル酸無水物、イソプロピルヘキサヒドロフタル酸無水物、ブチルヘキサヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、コハク酸無水物等が挙げられ、また、分子中に少なくとも1個のヒドロキシル基及び1個の(メタ)アクリロイル基を有する単量体としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクタムモノ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。なお、本明細書中において(メタ)アクリレートとは、アクリレート及びメタクリレートを総称する用語として用いられている。
【0022】
上記モノエステル化合物の合成は、酸無水物と単量体との開環付加反応により行われるのが好ましいが、通常のエステル化反応により合成することもできる。これらモノエステル化合物を合成する場合、酸無水物1 モルに対して単量体1モルを使用するのが好ましいが、一方を過剰に使用しても構わない。上記開環付加反応における反応温度は、通常50〜150℃、好ましくは80〜110℃の範囲である。上記開環付加反応を行う場合、促進剤としてトリエチルアミン、トリエタノールアミンなどの第3級アミン類、又はその第4級アンモニウム塩などを使用することができる。また、反応中に重合が生起するのを防ぐために、ヒドロキノン、ブチルヒドロキノン、ブチルカテコール、フェノチアジンなどの重合禁止剤を使用することもできる。上記開環付加反応の反応の進行は酸無水物の赤外吸収スペクトルにより容易に知る事ができ、酸無水物の赤外吸収スペクトルピークの消失により反応が完了したとみなせる。
【0023】
上記モノエステル化合物の具体例としては、例えば(メタ)アクリロイルオキシエチルモノフタレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルモノフタレート、(メタ)アクリロイルオキシブチルモノフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノテトラヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルモノテトラヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシブチルモノテトラヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノヘキサヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルモノヘキサヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシブチルモノヘキサヒドロフタレート、(メタ)アクリロイルオキシエチルモノサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシプロピルモノサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシブチルサクシネート、(メタ)アクリロイルオキシエチルマレート等が挙げられ、上記化合物の1種又は2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。
【0024】
前記(a)成分の好ましい配合量は、(a)成分及び(b)成分の合計量を100重量部(以下、部とあるものは重量部とする)として、50〜90部、より好ましくは60〜85部である。(a)成分の配合量が50部より少ない場合、硬化塗膜のアルカリ溶解性、剥離性が充分ではなく、一方、配合量が90部より多い場合、後述する(c)成分の添加によっても表面張力を前記した範囲内に規制することが困難であり、凹孔への充填性、表面平滑性が低下し易く、また、得られるバックコート層も脆くなり、割れが生じ易くなるという問題がある。
【0025】
前記(b)成分は、本発明で用いる紫外線硬化性樹脂組成物に主として耐エッチング性及び硬化性を付与する成分であり、また粘度調整にも有効な分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を持つ化合物であって、例えば多価アルコールと(メタ)アクリル酸との反応物(ここで、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸、メタクリル酸又はそれらの混合物を意味する。)、多塩基酸又はその無水物と(メタ)アクリル酸との反応物、分子中に1個以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物と(メタ)アクリル酸との反応物、分子中に1個以上のイソシアネート基を有するイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリレートとの反応物等が挙げられる。このような(b)成分の具体例としては、以下に例示するような(b−1)分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を持つ化合物と、(b−2)分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を持つ化合物が挙げられ、これらのいずれかを用いることができるが、好ましくは(b−2)の化合物、特に好ましくは、(b−1)の化合物と(b−2)の化合物を併用することが、樹脂組成物の紫外線硬化性や粘度調整のし易さ、硬化塗膜の特性等の点から好ましい。
【0026】
上記(b)成分のうち、分子中に1個の(メタ)アクリロイル基を持つ化合物(b−1)は組成物の粘度や硬化塗膜の特性の調整に有効であり、その具体例としては、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ベンゾイルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシフェノキシプロピル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、イソボニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンチルオキシエチル(メタ)アクリレート等の環状(メタ)アクリレート類、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノアルキル(メタ)アクリレート類、エトキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロキシエチルフォスフェート、フロロアルキル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンモノ(メタ)アクリレート、トリグリシジルイソシアヌレートモノ(メタ)アクリレート、テトラフェニルメタン型エポキシ−モノ(メタ)アクリレート、トリスフェニルメタン型エポキシ−モノ(メタ)アクリレート、グリセリンジグリシジルエーテルモノ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸モノ(メタ)アクリレート、メラミンモノ(メタ)アクリレート、及び上記化合物のエチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物等の単官能化合物が挙げられ、上記化合物の1種又は2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。
【0027】
また、上記分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を持つ化合物(b−2)は硬化塗膜の硬化特性の調整に有効であり、その具体例としては、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレートなどのアルキルジオールのジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール−ジ、−トリ又は−テトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール−ジ、−トリ、−テトラ、−ペンタ又は−ヘキサ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン−ジ又は−トリ(メタ)アクリレート、昭和高分子(株)製:リポキシSP−4010等のフェノールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、クレゾールノボラック型エポキシ(メタ)アクリレート、共栄社化学(株)製:エポキシエステル3000A等のビスフェノールA型エポキシ−ジ(メタ)アクリレート、トリグリシジルイソシアヌレート−ジ又は−トリ(メタ)アクリレート、テトラフェニルメタン型エポキシ−ジ、−トリ又は−テトラ(メタ)アクリレート、トリスフェニルメタン型エポキシ−ジ又は−トリ(メタ)アクリレート、グリセリンジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸−ジ又は−トリ(メタ)アクリレート、メラミン−ジ又は−トリ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート類、アミノアルキル(メタ)アクリレート類、及び上記化合物のエチレンオキシド付加物、プロピレンオキシド付加物等の多官能化合物が挙げられ、上記化合物の1種又は2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。
【0028】
前記(b)成分の好ましい配合量は、前記(a)成分及び(b)成分の合計量を100部として、10〜50部、より好ましくは15〜40部である。(b)成分の配合量が10部より少ない場合、高粘度化に起因して凹孔への充填性、表面平滑性が損なわれ、また得られるバックコート層も脆くなり、割れが生じ易くなる。また耐エッチング性も低下し易くなる。一方、配合量が50部より多い場合、バックコート層のアルカリ溶解性、剥離性が損なわれ易くなる。
なお、上記(b−1)成分と(b−2)成分を併用する場合、(b−1)成分の配合量は1〜20部、より好ましくは3〜15部であり、一方、(b−2)成分の配合量は5〜45部、より好ましくは15〜35部である。これら(b−1)成分の配合量及び(b−2)成分の配合量が上記範囲よりも低い場合、あるいは高い場合の不利益も上記と同様である。
【0029】
前記(c)成分のレベリング剤は、組成物の微小凹孔への充填性、硬化塗膜の表面平滑性、組成物の消泡性及び表面張力を調整する成分であり、表面張力を下げすぎない化合物が望ましい。そのような化合物としては、低級アルコール類、有機極性化合物類、鉱物油類、シリコーン樹脂類等があり、具体的な化合物としては、ポリオキシアルキレン誘導体、アクリル共重合体、脂肪酸誘導体、シリコーンオイルなどが挙げられ、上記化合物の1種又は2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。尚、一般的な消泡剤、表面平滑剤、湿潤分散剤等でも、本目的を達成できるものであれば使用することが出来る。
(c)成分の好ましい配合量は、前記(a)成分及び(b)成分の合計量を100部として、0.05〜5部、より好ましくは0.1〜2部である。(c)成分の配合量が0.05部より少ない場合、凹孔への充填性、表面平滑性が損なわれ、また発生した泡が消え難くなるなど組成物の消泡性に問題があり、一方、配合量が5部より多い場合、表面張力低下に起因して組成物塗布時の塗工膜のクレーター、フローティング、オレンジピール、フィッシュアイを生じ易くなり、また、組成物の消泡性等の問題も生じ易くなる。
【0030】
前記(d)成分の光開始剤は、紫外線硬化性樹脂組成物の光硬化性を充分に発揮させるための成分である。本発明に使用される光重合開始剤としては、公知のどのような光重合開始剤でも使用できるが、配合後の組成物の熱安定性、貯蔵安定性に優れた化合物が望ましい。このような光重合開始剤としては、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類、ジエチルアセトフェノン等のアセトフェノン類、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン等のプロピオフェノン類、2−エチルアントラキノン等のアントラキノン類、イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、及びベンジルジメチルケタール等のケタール類などが挙げられ、上記化合物の1種又は2種以上を任意の割合で混合して使用することができる。
光開始剤の配合量は、前記(a)成分及び(b)成分の合計量を100部として、1 〜10部、より好ましくは2〜8部である。光開始剤の配合量が1部より少ない場合、組成物の硬化不良を招いたり、耐エッチング性が低下し易くなる。一方、配合量が10部より多い場合、重合度が上がらず、やはり耐エッチング性が低下し易くなる。(d)成分としては、光重合開始剤に加えて光増感剤を添加してもよい。
【0031】
本発明で用いる紫外線硬化性樹脂組成物は、前記したように使用時の温度、通常は常温(約25℃)における表面張力が39mN/m以上、50mN/m以下の範囲内にあり、より好ましい表面張力は45mN/m以下である。紫外線硬化性樹脂組成物の表面張力は、前記(a)〜(d)の各成分を選択して使用することにより、容易に調整することができる。また、組成物の粘度は、従来、微小凹孔への充填性の観点から低い程良いと言われ、より好ましいのは100cps以下であると考えられてきた。しかし、このような従来の考えと異なり、本発明者らの研究によれば、組成物の表面張力を調整することにより、従来塗工が困難とされていた粘度100cpsより高い粘度の紫外線硬化性樹脂組成物でも容易に塗工する事ができ、また、1,000cps以上の組成物であっても塗工が可能であることが分かった。使用時の温度における表面張力が39mN/m未満の場合、表面張力低下に起因する塗膜のクレーター、フローティング、オレンジピール、フィッシュアイなどが生じ、また、組成物の発泡を生じて消泡性等の問題があり、直径が異なる円形状又は矩形状の多数の微小凹孔に気泡を生ずることなく均一に充填してバックコート層表面の平滑性を保つことは困難である。一方、表面張力が50mN/m以上の場合、表面張力が高いために、塗布するシャドウマスク基材に対する濡れ性が劣り、やはり均一に微小凹孔へ充填し、バックコート層表面の平滑性を保つことが困難である。
なお、樹脂組成物を室温以上の温度に加温することは、組成物の粘度低下により微小凹孔内への充填性が向上するので、装置等の制限がない場合、好ましい操作である。
【0032】
以下、本発明のシャドウマスクの製造方法について図面を参照しながら詳細に説明する。
図1及び図2は、シャドウマスクの製造方法の工程の流れと金属薄板の断面形状の変化を示す図である。
シャドウマスク基材としての金属薄板21 は、圧延油や防錆油などの脱脂の目的でアルカリ系溶液を用いて脱脂、洗浄、水洗を行い、図2(A)に示すように、金属薄板21 の両面に感光剤、例えばカゼインと重クロム酸アンモニウムからなる感光剤を所定の厚さになるようにディピング法により塗布し、乾燥し、厚さ数μmの感光膜22を形成する(感光膜形成工程)。
【0033】
次に図2(B)に示すように、この両面の感光膜22に、シャドウマスクの開孔の電子銃側の小孔に対応するパターンが形成されたフォトマスク23aと、シャドウマスクの開孔の蛍光スクリーン側の大孔に対応するパターンが形成されたフォトマスク23bからなる一対のフォトマスクを密着して、紫外光により露光し、これらフォトマスク23a及び23bのパターン通りに硬化させる(露光工程)。
この後、所定のパターン通りに硬化された両面の感光膜22を、例えば水を現像液として用いて現像し、未感光部を除去し、乾燥、硬膜の為のベーキング(焼付け)を行ない、図2(C)に示すように、上記一対のフォトマスク23a,23bのパターンに対応するパターンを有するエッチングレジストパターン24a、24bを形成する(現像・焼付け工程)。
【0034】
その後、図2(D)に示すように、シャドウマスクの開孔の蛍光スクリーン側の大孔に対応するエッチングレジストパターン24bが形成された面側に、例えばCPPからなる樹脂フィルムに粘着剤を塗工した保護フィルム25bを貼着し、シャドウマスクの開孔の電子銃側の小孔に対応するエッチングレジストパターン24aの形成された面側を、エッチング液、例えば塩化第二鉄溶液(比重1.500、液温70℃、遊離塩酸濃度0.2%)をエッチング液に用いてスプレーエッチングし、水洗し、このエッチングレジストパターン24aの形成された面側に、シャドウマスクの電子銃側の小凹孔26aを形成する(第一エッチング工程)。
【0035】
次に、エッチングの終了した小孔側のエッチングレジストパターン24aをアルカリ系溶液で剥離、水洗し、エッチングレジストパターン24b上に貼着された保護フィルム25bを取除き、図2(E)に示すように、小凹孔26a内に、前記したような紫外線硬化性樹脂組成物をバックコート剤として用い、図3に示すような塗布装置を用いて塗布、充填し、紫外線照射して硬化させ、バックコート層27を形成する(バックコート層形成工程)。露光光源としては、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等従来公知の種々の光源を用いることができる。
本発明においては、このバックコート層27上に、樹脂フィルムに粘着剤を塗工した保護フィルムを貼着せずに、この後の工程へ流すことができる。
【0036】
ここで、図3に示す塗工装置及び塗工原理について詳細に説明する。図3において、符号31は小孔側のエッチングが終了したシャドウマスク基材であり、31aが小孔側、31bが大孔側である。金属ロールからなるバックロール33の回転に伴ってその周面に沿って移動しているシャドウマスク基材31にはゴムロールからなる押込みロール32が押圧されており、バックコート剤34はシャドウマスク基材31の小孔側31aと押込みロール32の間にここには図示していない供給ノズルにより供給される。この時、図4(A)に示すように、ゴムロールからなる押込みロール32のもつ弾性によりゴムの表層部が小凹孔35内に食い込むように変形し、バックコート剤34を、小凹孔35の側壁35aに押し付け供給する。このため、ゴムロール32のゴム硬度はJIS−Aで70度以下、特に45度以下であることが望ましい。符号36はパイプドクターノズルと呼ばれる塗工部分で、押込みロール32により図4(B)に示すように小凹孔35の側壁35a全面に例えば1〜3μm程度のバックコート剤34の層を形成した後、小凹孔35内にバックコート剤34を充填すると共に基材表面に10〜15μm程度の必要な膜厚を形成するために使用される。
【0037】
この後、図2(F)に示すように、エッチングレジストパターン24bの形成された面側を、エッチング液、例えば塩化第二鉄溶液(比重1.500、液温70℃、遊離塩酸濃度0.2%)をエッチング液に用いてスプレーエッチングし、水洗し、このエッチングレジストパターン24bの形成された面側に、シャドウマスクの蛍光スクリーン側の大孔26bを形成する(第二エッチング工程)。
最後に、アルカリ水溶液、例えば8%、90℃の水酸化ナトリウム水溶液にて、大孔26bが形成された面側のエッチングレジストパターン24b及び小孔26aが形成された側のバックコート層27を剥離除去して、図2(G)に示すように、小孔26aと大孔26bとが連通した開孔28を形成する(仕上げ工程)。
【0038】
図5は、本発明の方法においてバックコート層形成工程に用いる塗工装置の他の例を示す。図5において、符号41は小孔側のエッチングが終了したシャドウマスク基材であり、41aが小孔側、41bが大孔側である。シャドウマスク基材41は、図において右方向から左方向に、塗工部において略水平に走行している。符号42は所定間隔を置いて対向して配設された上下方向に移動可能な一対の展張ロールを示し、シャドウマスク基材41は、小孔側41aの下方の面が2個の展張ロール42の中間部分に該展張ロールと平行に横架されたマイクログラビアロール43の周面上を摺接しながら走行する。
【0039】
マイクログラビアロール43は、約20〜50mmの直径を有し、その外周面にバックコート剤44を充填する彫刻部43aが刻設されている。塗工時、展張ロール42の下面は、マイクログラビアロール43上のシャドウマスク基材41の大孔側表面41bより下方に位置し、マイクログラビアロール43とシャドウマスク基材41のなす角度、接触面積を規制している。マイクログラビアロール43は、ここには図示していない駆動モータにより、直接又は間接にシャドウマスク基材41の走行方向とは逆方向に回転できるようになっている。このマイクログラビアロール43の下方には、図示していない基台上に載置されたバックコート剤44のオーバーフロー受け容器45が固定されており、このオーバーフロー受け容器45上には、マイクログラビアロール43にバックコート剤44を供給する塗工液供給ノズル46が設置されている。また、マイクログラビアロール43の近傍にはその彫刻部43aが塗工液供給ノズル46より供給されたバックコート剤44をシャドウマスク基材41に塗工する直前に、その彫刻部43aに充填されている余剰のバックコート剤44を掻き取るドクターブレード47が設けられている。
【0040】
上記塗工装置は、直径を約20〜50mmとした小径のマイクログラビアロール43を用いているため、シャドウマスク基材41との接触面積が小さく、また接触角も小さいため、シャドウマスク基材41とマイクログラビアロール43が接触する部分に出来るマイクログラビアロール43のバックコート剤溜りが1〜2mmと極めて狭く、かつ液溜りの泳ぎと呼ばれる不安定な現象がなくなり極めて安定したものとなる。また、マイクログラビアロール43をシャドウマスク基材41の走行方向とは逆方向に回転させているため、大きな力で微小凹孔内部へバックコート剤44を押し込むことが出来る。
なお、直径が約20〜50mm以上の大きな径を有するロールを用いる通常のグラビアコート法でも、グラビアの表面に刻設された彫刻部の形状、深さ、シャドウマスク基材とのなす角度、バックロールの材質等を適切に選択すれば、本発明の塗工方法として用いることができる。
【0041】
次に、図6に、本発明に適用可能な別の塗工方法を示す。図6において、符号51は小孔側のエッチングが終了したシャドウマスク基材であり、51aが小孔側、51bが大孔側である。52は金属ロールからなるバックロール、53はゴムロールからなる塗工ロールで、ゴム硬度はJIS−Aで70度以下、特に45度以下であることが望ましい。符号54はバックコート剤55を液浴56からゴムロール53に供給するための持上げロールである。本塗工方法によるシャドウマスク基材51の微小凹孔への充填は、前記図4に示されるように、ゴムロールからなる塗工ロール53のもつ弾性によりゴムの表層部が変形し、バックコート剤55を、微小凹孔の側壁に押し付け供給することによる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例及び比較例を示して、本発明について更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例のみに限定されるものでないことはもとよりである。
【0043】
実施例1
(a)成分としてアクリロイルオキシエチルモノフタレートを100部、(b−1)成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレートを5部、(b−2)成分としてジエチレングリコールジメタクリレートを20部、(c)成分としてブタジエン共重合物(ビックケミー・ジャパン社製:BYK−055)を0.2部を60℃に加熱混合した組成物に、(d)成分としてベンジルジメチルケタール5部を溶解混合し、紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
【0044】
実施例2
(a)成分としてアクリロイルオキシプロピルモノテトラヒドロフタレートを100部、(b−1)成分としてイソブチルメタクリレートを5部、(b−2)成分として1,9−ノナンジオールジアクリレートを30部配合した以外は、実施例1と同様にして紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
【0045】
実施例3
(a)成分としてアクリロイルオキシエチルヘキサヒドロモノフタレートを100部、(b−1)成分として2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートを5部、(b−2)成分としてトリエチレングリコールジアクリレートを20部配合した以外は、実施例1と同様にして紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
【0046】
実施例4
(a)成分としてアクリロイルオキシエチルモノサクシネートを100部、(b−1)成分として2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートを10部、(b−2)成分としてトリエチレングリコールジアクリレートを20部配合した以外は、実施例1と同様にして紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
【0047】
実施例5
(a)成分としてアクリロイルオキシエチルモノフタレートを100部、(b−1)成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレートを10部、(b−2)成分としてトリエチレングリコールジアクリレートを20部配合した以外は、実施例1と同様にして紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
【0048】
実施例6
(a)成分としてアクリロイルオキシエチルモノフタレートを100部、(b−1)成分としてイソボニルアクリレートを10部、(b−2)成分としてトリメチロールプロパントリアクリレートEO付加物(共栄社化学株式会社製:ライトアクリレートTMP−3EO−A)を30部配合した以外は、実施例1と同様にして紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
【0049】
実施例7
(a)成分としてアクリロイルオキシエチルモノフタレートを100部、(b−1)成分として2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートを20部、(c)成分としてブタジエン共重合物(ビックケミー・ジャパン社製:BYK−055)を0.2部を60℃に加熱混合した組成物に、(d)成分としてベンジルジメチルケタール5部を溶解混合し、紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
【0050】
実施例8
(a)成分としてアクリロイルオキシエチルヘキサヒドロモノフタレートを100部、(b−1)成分として2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレートを30部配合した以外は、実施例7と同様にして紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
【0051】
実施例9
(a)成分としてアクリロイルオキシエチルモノフタレートを100部、(b−2)成分としてポリエチレングリコールジアクリレート(PEG#200のアクリレート化物)を20部、(c)成分としてブタジエン共重合物(ビックケミー・ジャパン社製:BYK−055)を0.2部を60℃に加熱混合した組成物に、(d)成分としてベンジルジメチルケタール5部を溶解混合し、紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
【0052】
比較例1
(a)成分としてアクリロイルオキシエチルモノフタレートを100部、(b−1)成分として2−ヒドロキシエチルメタクリレートを10部、(b−2)成分としてジエチレングリコールジメタクリレートを20部、(c)成分としてフッ素系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製:メガファックF−177)を0.2部を60℃に加熱混合した組成物に、(d)成分としてベンジルジメチルケタール5部を溶解混合し、紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
【0053】
比較例2
(a)成分としてアクリロイルオキシエチルモノフタレートを100部、(b−1)成分としてイソブチルメタクリレートを10部、(b−2)成分としてトリエチレングリコールジアクリレートを20部配合した以外は、比較例1と同様にして紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
【0054】
比較例3
比較例1の(c)成分であるフッ素系界面活性剤(大日本インキ化学工業(株)製:メガファックF−177)を除いた以外は、比較例1と同様にして紫外線硬化性樹脂組成物を得た。
前記実施例1〜9及び比較例1〜3の組成を下記表1にまとめて示す。
【表1】
Figure 0003618195
【0055】
前記実施例1〜9及び比較例1〜3で得た各紫外線硬化性樹脂組成物を、一次エッチングを終了したシャドウマスクに、バーコーターを用いて膜厚15〜20ミクロンになるように塗布した後、80kw/cmの高圧水銀灯を用いて紫外線を照射、塗膜表面のタックがないことから、組成物塗膜が硬化したことを確認した。得られた各硬化塗膜の特性を評価したところ、表2に示す結果が得られた。また、実施例7の紫外線硬化性樹脂組成物を50℃に加温した後、一次エッチングを終了したシャドウマスクにバーコーターにて塗布し、同様に高圧水銀灯を用いて硬化させた。硬化塗膜の特性評価をしたところ、表2に示した充填性の△が○となり、組成物の微小凹部への充填性を向上させることができた。
【0056】
【表2】
Figure 0003618195
なお、前記実施例1〜9及び比較例1〜3の各組成物及びその硬化物における各種特性値の評価は以下の方法により行った。
【0057】
粘度:
25℃及び50℃における各組成物の粘度をE型粘度計を用いて測定した。
表面張力:
25℃及び50℃における各組成物の表面張力をダイノメーター(デュヌイ法)を用いて測定した。
【0058】
充填性:
一次エッチングを終了したシャドウマスクに各紫外線硬化性樹脂組成物を塗布したときの微小凹孔への充填性を目視にて判定した。
○:気泡無し。
△:若干の気泡あり。
×:気泡あり。
【0059】
表面平滑性:
シャドウマスク上に塗布した各組成物を、紫外線の照射により硬化させた後、硬化物の表面状態を目視にて判定した。
○:欠陥無し。
×:フィッシュアイ又はクレーター発生。
【0060】
耐エッチング性:
各組成物により硬化塗膜を形成させたシャドウマスクを、50%FeCl 水溶液(遊離塩酸濃度0.2%、液温75℃)に15分間浸漬させた後、硬化塗膜の表面状態を目視にて判定した。
○:変化無し。
×:剥がれ、変色発生。
【0061】
アルカリ溶解・剥離性:
各組成物により硬化塗膜を形成させたシャドウマスクを、8%NaOH水溶液(液温90℃)に1分間浸漬させた後、硬化塗膜の溶解・剥離性を目視にて判定した。
○:完全に溶解・剥離した。
×:溶解・剥離しない。
【0062】
【発明の効果】
以上のように、本発明のシャドウマスクの製造方法は、バックコート層形成工程において、25℃における粘度が100cps以上、3200cps以下であり、かつ、25℃における表面張力が39〜50mN/mの範囲内にある紫外線硬化性樹脂組成物をバックコート剤として用い、また、微小凹孔を形成する側壁に該組成物からなるバックコート剤を接触せしめることの出来る塗工方法を用いている為、はじきや気泡の発生もなく、微小凹孔内への完全な充填が容易にでき、塗工ムラのないバックコート層が容易に得られる。
また、本発明の紫外線硬化性樹脂組成物は、分子中に1個のカルボキシル基及び1個の(メタ)アクリロイル基を持つ化合物、分子中に1個以上の(メタ)アクリロイル基を持つ化合物、レベリング剤及び光開始剤からなる為、紫外線の照射によって容易かつ速やかに硬化し、優れた耐酸性、アルカリ溶解性・剥離性を発揮する。したがって、シャドウマスクの製造において、耐エッチング性、エッチング後のアルカリ剥離性に優れたバックコート層を形成できる。特に、本発明で用いる紫外線硬化性樹脂組成物が、第二成分として、分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を持つ化合物を含む場合、シャドウマスクの製造工程に用いられるエッチング液中に0.1〜0.3%程度含まれる遊離塩酸による耐エッチング性の低下を完全に防止することができる。
【0063】
また、本発明の組成物においては、紫外線硬化性樹脂組成物として従来困難であると言われていた高粘度での塗工が可能であるので、粘度を下げるために用いられていた低粘度の単官能モノマー等を多量に配合する必要がないため、硬化塗膜のエッチング耐性が向上し、大型のブラウン管に使われる厚板のシャドウマスクの長時間エッチングにも充分対応できる。
さらに、本発明で用いる紫外線硬化性樹脂組成物は、実質的に無溶剤型の紫外線硬化性樹脂組成物であり、安全性が高いと共に、取り扱う際の皮膚に対する刺激性が低いという利点を有し、また従来からのアルカリ性溶液に可溶性の膜を形成する樹脂を水又は有機溶剤に溶解させた組成物を用いなくてよく、従来法で必要であった水又は有機溶剤を蒸発させるための乾燥炉及び溶剤の回収装置は不要であり、短時間硬化による生産性向上、乾燥工程等のエネルギーコストの低減、大幅な工程省略を図ることができ、また設備の簡略化が期待でき、その工業的価値は極めて高い。また、本発明で用いる紫外線硬化性樹脂組成物は、実質的に無溶剤型の組成物である為、硬化時の体積収縮がなく、従来の硬化時に肩の所の膜厚が薄くなるという問題がなく、バックコート層全面にわたって耐エッチング性が確保できるという利点も得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシャドウマスクの製造方法における各工程の流れ図である。
【図2】本発明のシャドウマスクの製造方法における各工程での金属薄板の断面形状の変化を示す部分断面図である。
【図3】本発明に用いられる塗工装置の概略図である。
【図4】図3に示す塗工装置の原理を説明するための図である。
【図5】本発明に用いられる他の塗工装置の概略図である。
【図6】本発明に適用可能な別の塗工装置を説明するための概略図である。
【図7】シャドウマスク型カラー受像管の構造を示す概略断面図である。
【図8】シャドウマスクの2種の小孔形状を示す部分平面図である。
【図9】従来のシャドウマスクの製造方法における各工程の流れ図である。
【図10】従来のシャドウマスクの製造方法における各工程での金属薄板の断面形状の変化を示す部分断面図である。
【図11】水溶性のバックコート剤と、無溶媒型のバックコート剤の硬化の様子を模式的に比較した概略図である。
【符号の説明】
21,31,41,51,71 シャドウマスク基材(金属薄板)
22,72 感光膜
23a,23b,73a,73b フォトマスク
24a,24b,74a,74b エッチングレジストパターン
25b,75b 保護フィルム
26a,35,76a 小凹孔
26b,76b 大凹孔
27,77 バックコート層
28,78 開孔
34,44,55 バックコート剤
35a 小凹孔の側壁
61 パネル
62 蛍光スクリーン
63,63a,63b シャドウマスク

Claims (2)

  1. 帯状の金属薄板からなるシャドウマスク基材の両面に感光膜を形成する工程と、感光膜が形成された両面を所定のパターンに従って露光・現像し、所定のパターン通りに一部金属表面を露出させてエッチングレジスト層を形成する工程と、このエッチングレジスト層を形成し金属表面が一部露出した金属薄板の少なくとも一方の面をエッチングして、少なくともこの一方の面の金属表面露出部に凹部を形成する第一エッチング工程と、第一エッチング工程において形成された凹部を有する一方の面に、バックコート剤を塗布し、この凹部内部にバックコート剤を充填し、バックコート層を形成する工程と、バックコート層を形成した面と反対の面をエッチングして、第一エッチング工程で形成された凹部に通じる凹孔を形成する第二エッチング工程と、バックコート層とエッチングレジスト層を除去する剥離工程とを少なくとも含むシャドウマスクの製造方法であって、上記バックコート層形成工程において、(a)分子中に1個のカルボキシル基及び1個のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物、(b)分子中に1個以上のアクリロイル基又はメタクリロイル基を持つ化合物、(c)レベリング剤、及び(d)光開始剤を含有し、25℃における粘度が100cps以上、3200cps以下であり、かつ、25℃における表面張力が39〜50mN/mである紫外線硬化性樹脂組成物を上記バックコート剤として用い、紫外線照射により硬化させ、バックコート層を形成することを特徴とするシャドウマスクの製造方法。
  2. 第一エッチング工程において形成された凹部を有する一方の面にバックコート剤を塗布する方法として、ダイレクトコート法、グラビアコート法、マイクログラビアコート法、押し込みコート法、ドクタノズルコート法のいずれかを少なくとも用いることを特徴とする請求項に記載の方法。
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