JPH10299573A - エンジンのクランク軸オイルシール構造 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 エンジンのクランク軸オイルシール構造にお
いて、オイルシールの嵌合部からのオイル漏れを防止す
る。 【解決手段】 シリンダブロック20の下端部にロワケー
スを結合して、軸受部26によって、クランク軸を支持す
る。シリンダブロック20およびロワケースの後端部に、
半割状の嵌合部43を形成してクランク軸の周囲に円筒状
の嵌合部を形成する。この嵌合部にオイルシールを圧入
して、クランク軸との間をシールする。シリンダブロッ
ク20およびロワケースの嵌合部43の両側部にボス部47を
形成し、ボス部にボルト孔48を設ける。シリンダブロッ
ク20のボス部47とロワケースのボス部とをボルトによっ
て互いに結合させことにより、シリンダブロックの嵌合
部43とロワケースの嵌合部との間の結合面の面圧を高め
ることができ、嵌合部43およびロワケースの嵌合部から
のオイル漏れを確実に防止することができる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、クランク軸の軸受
部から漏れた潤滑油をシールするエンジンンのクランク
軸オイルシール構造に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】従来のエンジンのクランク軸オイルシー
ル構造の一例について、図６を参照して説明する。図６
は、エンジンのクランク軸後端部付近を示しており、こ
のエンジンでは、ピストン（図示せず）を摺動可能に嵌
装するシリンダブロック１の下端部にロワケース２が結
合されており、ロワケース２の下端部にオイルパン３が
結合されている。シリンダブロック１側に形成された軸
受部４およびロワケース２側に形成された軸受部５によ
ってクランク軸６が回転可能に支持されており、その後
端部が外部に延出されている。クランク軸６のクランク
ピン７には、コンロッド８を介してピストンが連結され
ている。また、クランク軸６の後端部には、ボルト９に
よってフライホィール10が取付けられている。

【０００３】シリンダブロック１およびロワケース２の
後端部には、それぞれ、軸受部４，５に隣接させて半割
状の嵌合部11，12が突出されており、これらを互いに結
合させることにより、クランク軸６の周囲に略円筒状の
オイルシール嵌合部Ａが形成されるようになっている。
オイルシール嵌合部Ａには、シリンダブロック１および
ロワケース２とクランク軸６との間をシールするオイル
シール13が圧入（嵌合）されている。また、ロワケース
２の後端部の軸受部５には、嵌合部11，12内の潤滑油を
オイルパン３内へ戻すオイル戻し通路（図示せず）が設
けられている。

【０００４】そして、ロワケース３に設けられたオイル
ギャラリ（図示せず）および油路（図示せず）を介して
軸受部４，５に潤滑油を供給し、クランク軸６のジャー
ナル部を潤滑して軸受部４，５から漏れる潤滑油をオイ
ルシール13によってシールし、オイル戻し孔通路を通し
てオイルパン４内へ戻している。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来のエンジンのクランク軸オイルシール構造では次のよ
うな問題がある。ロワケース２は、複数のボルト14（１
つのみ図示する）によってシリンダブロックに結合され
ているが、オイルシール13の嵌合部11，12は、ロワケー
ス２の後端部に突出されているため、ボルト14の張力に
よる嵌合部11，12間の結合面の面圧が低くなる傾向があ
る。このため、嵌合部11，12間のシール性が低下してオ
イル漏れを生じる虞がある。

【０００６】本発明は、上記の点に鑑みてなされたもの
であり、オイルシールの嵌合部からのオイル漏れを防止
するようにしたエンジンのクランク軸オイルシール構造
を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めに、請求項１の発明に係るエンジンのクランク軸オイ
ルシール構造は、シリンダブロックの下端部にロワケー
スを結合させて、前記シリンダブロックの軸受部と前記
ロワケースの軸受部とでクランク軸を支持し、前記軸受
部に隣接させて、前記シリンダブロックおよび前記ロワ
ケースの端部にそれぞれ設けた半割状の嵌合部を互いに
結合させてオイルシール嵌合部を形成し、該オイルシー
ル嵌合部に前記シリンダブロックおよび前記ロワケース
と前記クランク軸との間をシールするオイルシールを嵌
合させ、前記嵌合部の両側部に前記シリンダブロックと
前記ロワケースとを結合させるボルトを配置したことを
特徴とする。

【０００８】このように構成したことにより、シリンダ
ブロックおよびロワケースの半割状の嵌合部は、その両
側部に配置されたボルトによって、充分大きな面圧をも
って互いに結合される。

【０００９】また、請求項２の発明に係るエンジンのク
ランク軸オイルシール構造は、上記請求項１の構成に加
えて、嵌合部の両側部に配置されたボルトは、ロワケー
スの下部に結合されるオイルパンを共締めすることを特
徴とする。

【００１０】このように構成したことにより、嵌合部の
両側部に配置されたボルトによって、オイルパンがロワ
ケースに結合される。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて詳細に説明する。

【００１２】図５は、本実施形態に係るエンジンのクラ
ンク軸後端部付近を示しており、このエンジンでは、シ
リンダブロック20の下端部にロワケース21が複数のボル
ト22，23（各１つのみ図示する）によって結合され、ロ
ワケース21の下端部に、オイルパン24が複数のボルト25
（１つのみ図示する）によって結合されている。シリン
ダブロック20には、図１に示すように、複数の半割状の
軸受部26（図示もものでは５つ）が形成されている。ロ
ワケース21は、図２に示すように、略梯子状の部材であ
り、シリンダブロック20の軸受部26に対向させて、複数
の半割状の軸受部27（図示ものでは５つ）が設けられて
いる。そして、シリンダブロック20側の軸受部26とロワ
ケース21側の軸受部27とによって、ベアリング28を介し
て、クランク軸29が回転可能に支持されており、その後
端部がシリンダブロック20およびロワケース21の外部へ
延出されている。クランク軸29の外部へ延出された後端
部には、フライホィール30がボルト31によって取付けら
れている。

【００１３】シリンダブロック20には、ピストン（図示
せず）が摺動可能に嵌装されており、ピストンとクラン
ク軸29のクランクピン32とがコンロッド33によって互い
に連結されている。ロワケース21には、オイルギャラリ
（図示せず）および油路（図示せず）が設けられてお
り、潤滑油を軸受部25，26へ、さらに、クランク軸29に
設けられた油孔（図示せず）を介してクランクピン32へ
供給できるようになっている。

【００１４】図１に示すように、シリンダブロック20の
ロワケース21との結合面には、各軸受部26の両側部に配
置されたボルト穴34（ねじ穴）、並びに、外周部および
トランスミッション取付フランジ部35に配置されたボル
ト穴36が設けられている。また、図２に示すように、ロ
ワケース21には、シリンダブロック20のボルト穴34，36
のそれぞれに対向させて、軸受部27の両側部、並びに、
その外側およびトランスミッション取付フランジ部37に
ボルト孔38，39（貫通孔）が設けられている。そして、
複数のボルト22，23をそれぞれボルト孔38，39に挿通さ
せ、ボルト穴34，36に螺着させてシリンダブロック20と
ロワケース21とを結合させるようになっている。また、
ロワケース21の下端外周部には、オイルパン24を結合さ
せるボルト25を螺着するための複数のねじ穴40が設けら
れている。

【００１５】シリンダブロック20には、各軸受部26（前
端部のものを除く）の両側部のボルト穴34の外側に、上
下方向に貫通するオイル通路41（ブローバイガス通路）
が設けられている。また、ロワケース21には、各軸受部
27（前端部のものを除く）の両側部のボルト孔38の外側
に、オイル通路41に連通するオイル通路42（ブローバイ
ガス通路）が上下方向に貫通されている。そして、これ
らのオイル通路41，42によってシリンダヘッド（図示せ
ず）内部とオイルパン24内部とが連通されおり、潤滑油
をシリンダヘッドからオイルパン24へ戻すとともに、ブ
ローバイガスをオイルパン24からシリンダヘッドへ送る
ようになっている。

【００１６】図１ないし図４に示すように、シリンダブ
ロック20の後端部には、軸受部25に隣接させて半割状
（半円筒状）の嵌合部43が突出され、また、ロワケース
21の後端部には、軸受部27に隣接させて半割状（半円筒
状）の嵌合部44が突出されており、これらの嵌合部43，
44を結合させることにより、クランク軸29の周囲に円筒
状のオイルシール嵌合部Ｂが形成されるようになってい
る。そして、オイルシール嵌合部Ｂには、環状のオイル
シール45が圧入（嵌合）されており、そのリップ部がク
ランク軸29に摺接してシリンダブロック20およびロワケ
ース21とクランク軸29との間をシールするようになって
いる。また、ロワケース21のシリンダブロック20との結
合面には、嵌合部44の内側と、ロワケース21の後端部に
配置されたオイル通路42とを連通させるオイル戻し溝46
（図４参照）が形成されている。

【００１７】シリンダブロック20の後端部には、嵌合部
43の両側部にボス部47が形成されており、ボス部47には
ボルト穴48（ねじ穴）が設けられている。また、ロワケ
ース21の後端部には、ロワケース21のボス部47に対向さ
せて、嵌合部44の両側部にボス部49が形成されており、
ボス部49にはボルト孔50（貫通孔）が設けられている。
そして、複数のボルト23の内の２つをボルト孔50に挿通
させ、ボルト穴48に螺着させて、シリンダブロック20側
のボス部47とロワケース21側のボス部49とを互いに結合
させるようになっている。なお、ボス部47，49間を結合
させる２つのボルト23は、オイルパン24のフランジ部に
設けたボルト孔（図示せず）にも挿通され、オイルパン
24を共締めしてロワケース21に結合させる。

【００１８】なお、図２中の51はオイルストレーナ取付
部、図３中の52および図４中の53はトランスミッション
取付ボルト孔、また、図３中の54はスタータモータ取付
部である。

【００１９】以上のように構成した本実施形態の作用に
ついて次に説明する。

【００２０】オイルパン24内に貯留された潤滑油は、オ
イルポンプ（図示せず）によって吸上げられ、ロワケー
ス21のオイルギャラリ（図示せず）および油路（図示せ
ず）を通って軸受部26，27に供給され、クランク軸29の
ジャーナル部を潤滑する。シリンダブロック20およびロ
ワケース21の後端部の軸受部26，27から漏れる潤滑油
は、オイルシール45によってシールされ、オイル戻し溝
46を通ってオイル通路41へ流入し、オイルパン24内へ落
下する。このとき、オイルシール45からオイルパン24内
へ戻る潤滑油がクランク軸29のクランク部にかかること
がないので、潤滑油の飛散を防止することができ、潤滑
油への気泡の混入を防止してエアレーションによる潤滑
性能の低下を防止することができる。

【００２１】ロワケース21の嵌合部44内のオイル戻し溝
46の下方に、常時少量の潤滑油が保持されるので、エン
ジン始動時等におけるオイルシール45のリップ部の固着
による破損を防止することができる。このとき、エンジ
ンの搭載角度（一般にクランク軸28の回転方向に傾斜さ
せて搭載される）に応じて、オイル戻し溝46の深さを設
定することにより、嵌合部44内に常時適当量の潤滑油を
保持することができる。

【００２２】また、オイルシール45の嵌合部43，44の両
側部に形成したボス部47，49をボルト23によって互いに
結合させたことにより、嵌合部43，44の間の結合面が充
分大きな面圧をもって互いに結合されるので、嵌合部4
3，44の間のシール性を高めることができ、嵌合部43，4
4およびオイル戻し溝46からのオイル漏れを確実に防止
することができる。

【００２３】

【発明の効果】以上詳述したように、請求項１の発明に
係るエンジンのクランク軸オイルシール構造によれば、
オイルシールの嵌合部の両側部にシリンダブロックとロ
ワケースとを結合させるボルトを配置したことにより、
シリンダブロックおよびロワケースの半割状の嵌合部
は、その両側部に配置されたボルトによって、充分大き
な面圧をもって互いに結合されるので、嵌合部からのオ
イル漏れを確実に防止することができる。

【００２４】また、請求項２の発明に係るエンジンのク
ランク軸オイルシール構造によれば、オイルシールの嵌
合部の両側部に配置したボルトによって、オイルパンが
共締めされてロワケースの下部に結合される。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施形態に係るエンジンのシリンダ
ブロックの下面図である。

【図２】本発明の一実施形態に係るエンジンのロワケー
スの下面図である。

【図３】図１のシリンダブロックの後端部を示す側面図
である。

【図４】図２のロワケースの後端部を示す側面図であ
る。

【図５】本発明の一実施形態に係るエンジンのクランク
軸後端部付近を一部破断して示す側面図である。

【図６】従来のエンジンのクランク軸後端部付近を一部
破断して示す側面図である。

【符号の説明】

20 シリンダブロック 21 ロワケース 23 ボルト 24 オイルパン 26 軸受部 27 軸受部 29 クランク軸 43,44 嵌合部 45 オイルシール Ｂ オイルシール嵌合部

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 シリンダブロックの下端部にロワケース
   を結合させて、前記シリンダブロックの軸受部と前記ロ
   ワケースの軸受部とでクランク軸を支持し、前記軸受部
   に隣接させて、前記シリンダブロックおよび前記ロワケ
   ースの端部にそれぞれ設けた半割状の嵌合部を互いに結
   合させてオイルシール嵌合部を形成し、該オイルシール
   嵌合部に前記シリンダブロックおよび前記ロワケースと
   前記クランク軸との間をシールするオイルシールを嵌合
   させ、前記嵌合部の両側部に前記シリンダブロックと前
   記ロワケースとを結合させるボルトを配置したことを特
   徴とするエンジンのクランク軸オイルシール構造。
2. 【請求項２】 嵌合部の両側部に配置されたボルトは、
   ロワケースの下部に結合されるオイルパンを共締めする
   ことを特徴とする請求項１に記載のエンジンのクランク
   軸オイルシール構造。