JPH10298385A - 温度依存性色彩記憶性樹脂組成物及びこれを用いた積層体 - Google Patents

温度依存性色彩記憶性樹脂組成物及びこれを用いた積層体

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JPH10298385A
JPH10298385A JP9127958A JP12795897A JPH10298385A JP H10298385 A JPH10298385 A JP H10298385A JP 9127958 A JP9127958 A JP 9127958A JP 12795897 A JP12795897 A JP 12795897A JP H10298385 A JPH10298385 A JP H10298385A
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Japan
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temperature
resin
trigger
color
compound
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Application number
JP9127958A
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Hiroyuki Hayashi
宏幸 林
Kuniyuki Chiga
邦行 千賀
Tsutomu Kito
勤 鬼頭
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Original Assignee
Pilot Ink Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度変化に依存して色彩及び透明度が大きな
ヒステリシス特性を示して変化する温度依存性色彩記憶
性樹脂組成物及びこれを用いた積層体を提供する。 【構成】 (イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)
フェノール性水酸基を有する化合物、(ハ)アルコール
類、エステル類、ケトン類、またはカルボン酸類のいず
れかより選んだ化合物を含む均質相溶体が、塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体と、透明性向上剤として芳香族石
油系炭化水素樹脂がブレンドされた樹脂母体中に配合さ
れた温度依存性色彩記憶性樹脂組成物及びこれを用いた
積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は温度依存性色彩記憶
性樹脂組成物及びこれを用いた積層体に関する。さらに
詳細には、温度変化に依存して色彩及び透明度が大きな
ヒステリシス特性を示して変化し、低温側トリガーと高
温側トリガーとの温度差が10乃至50℃であり、前記
低温側トリガー以下及び高温側トリガー以上の温度で変
化させた各様相を択一的に前記低温側トリガーと高温側
トリガーとの間の温度域で記憶保持される、可逆性を有
する温度依存性色彩記憶性樹脂組成物及びこれを用いた
積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、温度−色濃度に関して大きなヒス
テリシス特性を示して変化する色彩記憶性熱変色性材料
について、特公平4−17154号公報等に開示されて
いる。前記提案は電子供与性呈色性有機化合物、電子受
容性化合物、及び前記両者の反応媒体の必須三成分から
なる熱変色性材料において、反応媒体として特定の化合
物を選択して適用することにより、大きなヒステリシス
特性を発現させ、変色に要した熱又は冷熱を取り去った
後にあっても変化前後の色彩を特定温度域で記憶保持さ
せようとするものであり、通常、この種の熱変色性材料
は、前記必須三成分を微小カプセルに内包させた微小カ
プセル顔料形態として実用に供されている。
【0003】これとは別に、本出願人は温度変化により
大きなヒステリシス特性を示して、着色不透明状態と無
色透明状態の両状態を互変的に呈し、前記両状態を択一
的に特定温度範囲で記憶保持させる熱変色性遮光−透光
性材料に関する提案を特開平6−135144号公報に
開示している。前記提案は、前記必須三成分からなる均
質相溶体を母体樹脂である塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体中に微粒子化して分散状に固着させることにより、
反応媒体として特定の化合物を適用することなく、前記
ヒステリシス特性を効果的に発現させ、色変化と共に透
明性−不透明性の変化を伴う非微小カプセル形態の熱変
色性材料に関するものである。
【0004】前記従来の微小カプセル形態の熱変色性材
料は、カプセル壁に覆われた顔料粒子自体の光散乱現象
により、これらの顔料粒子を透明樹脂中に分散状態に固
着させて得た熱変色層は、その透明性は著しく損なわれ
ており、下絵等に密接状態に積層させた系では、下絵が
視覚可能であるとしても、離隔状態に配した系では下絵
等の像は透視でき難いという欠点を有している。
【0005】これに対して、非微小カプセル形態のもの
は、微小カプセル形態の熱変色性材料と比べて消色時の
透明性を向上させているが、未だ不充分である。これは
人間の目で見た場合、透明と感じるのは曇価が概ね35
%程度以下であることに起因するものであり、曇価が3
5%以上になると、消色時における僅かな濁りが、特に
下地の光輝性や金属光沢を透過させる場合に十分な効果
を与えないためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明者は色変化と共
に透明性が大きなヒステリシス特性を示して変化する非
微小カプセル形態の温度依存性色彩記憶性樹脂組成物に
関して、更に検討した結果、前記母体樹脂に芳香族石油
炭化水素樹脂を配合することにより、着色時と消色時の
両状態に対して透明性を顕著に向上させることを見い出
した。よって、本発明は少なくとも消色時の透明性を顕
著に向上させた熱変色性材料、更に詳細には、温度変化
により色変化と共に透明度を変化させ、大きなヒステリ
シス特性を示して、消色透明状態と着色透明状態の互変
性、或いは消色透明状態と着色不透明状態の互変性を呈
し、変化前後の前記各様相を択一的に特定温度域で記憶
保持できる温度依存性色彩記憶性樹脂組成物及びそれを
用いた積層体を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、 (イ) 電子供
与性呈色性有機化合物、 (ロ) フェノール性水酸基を有
する化合物、 (ハ) アルコール類、エステル類、ケトン
類、またはカルボン酸類のいずれかより選んだ化合物を
含む均質相溶体が、樹脂母体中に微粒子状に分散状態、
又は固溶体状態に固定されており、前記樹脂母体は塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合体に、透明性向上剤として芳
香族石油炭化水素樹脂が混合されて構成されており、温
度変化に依存して色彩及び透明度が大きなヒステリシス
特性を示して変化し、低温側トリガーと高温側トリガー
との温度差が10乃至50℃であり、前記低温側トリガ
ー以下及び高温側トリガー以上の温度で変化させた各様
相を択一的に前記低温側トリガーと高温側トリガーとの
間の温度域で記憶保持される、可逆性を有する温度依存
性色彩記憶性樹脂組成物を要件とする。
【0008】更には、樹脂母体を構成する塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合体が平均分子量7,000 〜50,000、構成
モノマー重量比が塩化ビニル60% 〜92% 、酢酸ビニル8%
〜40% であり、且つ、芳香族石油系炭化水素樹脂が平均
分子量200 〜 2,000のビニルトルエン、スチレン、α−
メチルスチレンから選ばれるホモポリマー又は共重合体
であること、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体に対し
て、芳香族石油系炭化水素樹脂が8〜100重量%ブレ
ンドされてなること、前記樹脂母体100重量部に対
し、ピペリジン誘導体から選ばれるヒンダードアミン系
化合物0.1〜10重量部、 (イ) 電子供与性呈色性有
機化合物0.8〜33重量部、 (ロ) フェノール性水酸
基を有する化合物1.6〜50重量部、 (ハ) アルコー
ル類、エステル類、ケトン類、又はカルボン酸類のいず
れかより選んだ化合物が8〜83重量部の比率で構成さ
れること、フェノール性水酸基を有する化合物は下記一
般式から選択される化合物が少なくとも全フェノール性
水酸基を有する化合物の50重量%であること、一般式
【化1】[ 但し、R1 はH又はCH3 を、R2 はCn
2n+1(4<n<11)又はR1 =R2 =CF3 をそれぞ
れ表す。又、Cn 2n+1は直鎖及び側鎖のアルキル基を
表す。Xは芳香環の置換基を表す。又、X=H、又はC
3 、又はハロゲンを表す。〕更には、前記 (ハ) 成分
が、(a)一価の脂肪酸と、脂肪族一価アルコール又は
脂環を有する一価アルコールからなる総炭素数が10以
上のエステル類、(b)脂肪族二価又は多価カルボン酸
と、脂肪族一価アルコールまたは脂環を有する一価アル
コールからなる総炭素数28以上の多塩基酸エステル
類、(c)脂肪族二価または多価アルコールと一価の脂
肪酸からなる総炭素数26以上のエステル類、(d)芳
香環を有する二価アルコールと一価の脂肪酸からなる総
炭素数28以上のエステル類、(e)炭素数が10以上
の脂肪族一価の飽和アルコール類、から選ばれてなるこ
と、低温側トリガー以下及び高温側トリガー以上で変化
させた様相は、いずれも曇価が35%以下の値を示すこ
と等を要件とする。
【0009】更には、 (イ) 電子供与性呈色性有機化合
物、 (ロ) フェノール性水酸基を有する化合物、 (ハ)
アルコール類、エステル類、ケトン類、またはカルボン
酸類のいずれかより選んだ化合物を含む均質相溶体が、
樹脂母体中に微粒子状に分散状態、又は固溶体状態にて
固定されており、前記樹脂母体は塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合樹脂に、透明性向上剤として芳香族石油系炭化
水素樹脂が混合されて構成されており、温度の変化に依
存して色彩及び透明度が大きなヒステリシス特性を示し
て変化し、低温側トリガーと高温側トリガーとの温度差
が10℃乃至50℃であり、前記低温側トリガー以下及
び高温側トリガー以上の温度で変化させた様相を択一的
に前記低温側トリガーと高温側トリガーとの間の温度域
で記憶保持される、可逆性を有する温度依存性色彩記憶
性樹脂組成物からなる層を支持体上に積層してなる積層
体を要件とする。更には、支持体は透明性支持体である
こと、支持体表面にガラス転移点が80℃以上のメタク
リル樹脂層をアンダーコート層として設けてなること、
温度依存性色彩記憶性樹脂組成物からなる層上にアルコ
ール可溶性又は脂肪族炭化水素可溶性の透明性を有する
メタクリル樹脂およびアクリル樹脂、又はそれらの共重
合体からなる層を積層したこと、支持体表面に光輝性、
光輝度反射性、光干渉性、虹彩性、ホログラム性、金属
光沢性、真珠光沢性、蛍光性のいずれかの光学的性状を
呈する層が設けられてなること、前記積層体のいずれか
は、立体物の少なくとも一部を構成してなること等を要
件とするものである。
【0010】ここで、トリガーとは「色彩及び透明性の
変化」が起きる温度を表す。具体的には、低温側トリガ
ーを境とし、それ以下の温度では着色透明状態又は着色
不透明状態を呈し、高温側トリガーを境とし、それ以上
の温度では消色透明状態を呈し、前記低温側トリガーと
高温側トリガーの間の温度域で前記した両状態を択一的
に記憶保持できる。
【0011】前記した如く本発明の特徴は、熱変色要素
である必須三成分の均質相溶体を塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合体と、透明性向上剤として芳香族石油系炭化水
素樹脂が混合された母体樹脂中に微粒子状に分散状態、
又は、顕微鏡では粒径が確認できない固溶体状態にて固
定させた構成にあり、前記構成により安定的に熱変色要
素が母体樹脂中に保持され、温度変化に応答して大きな
ヒステリシス特性を発現させて、着色透明乃至着色不透
明状態と、消色透明状態の互変的変化と前記様相を特定
温度域での択一的な記憶保持機能を発現させると共にこ
れらの機能を持続的に正常に果たすことができ、殊に前
記消色時の透明性を顕著に高めるものである。
【0012】前記した塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体
と併用される芳香族石油系炭化水素樹脂は、ビニルトル
エン、スチレン、α−メチルスチレンから選ばれるホモ
ポリマー又は共重合体が挙げられ、透明性を顕著に向上
させるために機能し、通常、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体に対して8乃至100重量%の範囲でブレンドさ
れ、8重量%以下では透明性向上の効果が得られない。
100重量%以上では熱変色要素である必須三成分の母
体樹脂中での固着性が低下する結果、母体樹脂中、又は
表面に(ハ)成分の析出が起こり、均質な色変化を示さ
ない。ここで、前記芳香族石油系炭化水素樹脂は2種以
上を併用してもよい。
【0013】又、母体樹脂に対して、他の相溶可能な樹
脂を30% 以下の重量比率で混合することもできる。かか
る少量の樹脂成分は、本発明の基本的機能、即ち温度の
変化による色変化と透明性の変化を損わない範囲で、二
次加工時の接着性付与、皮膜強度の向上等の目的で使用
できる。かかる他の相溶性を有する樹脂としては、変性
アルキッド樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエ
ステル樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン
樹脂、油溶性セルロース樹脂、炭化水素樹脂、酢酸ビニ
ル樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、メチルメタク
リレート樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、エチ
レン- 酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹
脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、アクリル- スチレ
ン共重合樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、塩化ゴム、シ
リコン樹脂、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂、ケトン
樹脂等がある。
【0014】本発明で使用する(イ)電子供与性呈色性
有機化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合
物によって呈色する、いわゆるロイコ染料群が適用さ
れ、ジフェニルメタンフタリド類、フルオラン類、ジフ
ェニルメタンアザフタリド類、インドリルフタリド類、
フェニルインドリルフタリド類、フェニルインドリルア
ザフタリド類、スチリルキノリン類、ピペリジン化合
物、キゾリン系化合物、ビスキナゾリン系化合物等があ
る。以下これらの化合物を次に例示する。3,3−ビス
(P−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフ
タリド、3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−
(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタ
リド、3−(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニ
ル)−3−(1−エチル−2−メチル インドール−3
−イル)−4−アザフタリド、1,3−ジメチル−6−
ジエチルアミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−
6−ジメチルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−
6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルア
ミノ−6−メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエ
チルアミノ−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフル
オラン、3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−
n−ブトキシフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチ
ルアミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジブチルア
ミノフルオラン、1,2−ベンツ−6−エチルイソアミ
ルアミノフルオラン、2−メチル−6−(N−p−トリ
ル−N−エチルアミノ)フルオラン、2−(N−フェニ
ル−N−メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−エチ
ルアミノ)フルオラン、2−(3’−トリフルオロメチ
ルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、3−ク
ロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチ
ル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−メトキ
シ−4−ドデコキシスチリルキノリン等がある。更に
は、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効
な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合
物等を挙げることができる。
【0015】次に(ロ)フェノール性水酸基を有する化
合物としては、一価フェノール、二価フェノール及び多
価フェノールがあり、さらにベンゼン環の置換基として
アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボ
ニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、
ハロゲン等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノ
ール等がある。電子供与性呈色性有機化合物を呈色せし
めるフェノール化合物を以下に例示する。フェノール、
o−クレゾール、ターシャリーブチルフェノール、ノニ
ルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシル
フェノール、n−ステアリルフェノール、p −クロロフ
ェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノ
ール、P−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロ
キシ安息香酸n−オクチル、p−ヒドロキシ安息香酸n
−ドデシル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’
−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,
1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1
−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタ
ン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチル
プロピオネート、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェ
ニル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−チ
オビス(6−ターシャリーブチル−3−メチルフェノー
ル)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキ
サフルオロプロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4’
−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2
−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナン
等がある。
【0016】一般にフェノール化合物はそのフェノール
性水酸基のために比較的極性が高いため、極性の低い
(ハ) 成分に対する溶解性が乏しい。溶解性が悪いと、
母体樹脂中において、フェノール化合物と前記(ハ) 成
分は析出、分離現象を起こしやすく、ブリードの原因と
なったり、良好な可逆的色変化を生起しなくなり、実用
上の点で安定を欠くことが少なくない。
【0017】かかる理由から、好ましくは下記一般式で
示したフェノール性化合物をフェノール性水酸基を有す
る成分として100%(重量)或いは少なくとも50% (重
量)以上の比率で使用することが好ましい。前記 (ハ)
成分に対して、良好な溶解性を有するフェノール化合物
としては下記一般式に示す構造を有するフェノール性水
酸基を有する化合物が特に好ましい。
【化1】[ 但し、R1 はH又はCH3 を、R2 はCn
2n+1(4<n<11)又はR1 =R2 =CF3 をそれぞ
れ表す。又、Cn 2n+1は直鎖及び側鎖のアルキル基を
表す。Xは芳香環の置換基を表す。又、X=H、又はC
3 を表す。〕以下、前記一般式の化合物を例示する
が、これらに限定されるものではない。1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチルブタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ペンタ
ン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘ
キサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n
−ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)n−オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフ
ェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(3’−
メチル−4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフル
オロプロパン。
【0018】次に、(ハ)成分のアルコール類としては
炭素数が10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが使用さ
れる。以下に化合物を例示する。デカン1−オール、ウ
ンデカン1−オール、ラウリルアルコール、トリデカン
1−オールミリスチルアルコール、ペンタデカン1−オ
ール、セチルアルコール、ヘプタデカン1−オール、ス
テアリルアルコール、オクタデカン2−オール、エイコ
サン1−オール、ドコサン1−オール、6−(パーフル
オロ−7−メチルオクチル)ヘキサノール。
【0019】本発明に適用するエステル類化合物は下記
(a)〜(d)に大別される。 (a)一価の脂肪酸と、脂肪族一価アルコール又は脂環
を有する一価のアルコールからなる総炭素数が10以上
エステル類 (b)脂肪族二価又は多価カルボン酸と、脂肪族一価ア
ルコールまたは脂環を有する一価のアルコールからなる
総炭素数28以上の多塩基酸エステル類 (c)脂肪族二価または多価アルコールと一価の脂肪酸
からなる総炭素数26以上のエステル類 (d)芳香環を有する二価アルコールと一価の脂肪酸か
らなる総炭素数28以上のエステル類
【0020】前記(a)のエステル類を以下に例示す
る。カプリル酸エチル、カプリル酸n−ブチル、カプリ
ル酸n−オクチル、カプリル酸ラウリル、カプリル酸セ
チル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸n−ブチル、
カプリン酸n−ヘキシル、カプリン酸ミリスチル、カプ
リン酸ドコシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸2−エ
チルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ラウリン酸ステ
アリル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸3−メチル
ブチル、ミリスチン酸2−メチルペンチル、ミリスチン
酸n−デシル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ステ
アリル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオ
ペンチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−
ウンデシル、 パルミチン酸ラウリル、パルミチン酸ミ
リスチル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ステアリ
ル、パルミチン酸シクロヘキシル、パルミチン酸シクロ
ヘキシルメチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エ
チル、ステアリン酸n−プロピル、ステアリン酸n−ブ
チル、ステアリン酸n−アミル、ステアリン酸2─メチ
ルブチル、ステアリン酸n−ヘキシル、ステアリン酸n
−ヘプチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキ
シル、ステアリン酸n−オクチル、ステアリン酸2─エ
チルヘキシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸
n−デシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン
酸ラウリル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン
酸ミリスチル、ステアリン酸n−ペンタデシル、ステア
リン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸
エイコシル、ステアリン酸n−ドコシル、ステアリン酸
シクロヘキシル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、
ステアリン酸オレイル、ステアリン酸イソステアリル、
1,2−ヒドロキシステアリン酸n−ブチル、ベヘン酸
n−メチル、ベヘン酸n−エチル、ベヘン酸n−プロピ
ル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸n−ブチル、ベヘ
ン酸イソブチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸
n−アミル、ベヘン酸ネオペンチル、ベヘン酸n−ヘキ
シル、ベヘン酸2─メチルペンチル、ベヘン酸n−ヘプ
チル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸n−ノニ
ル、ベヘン酸ミリスチル、ベヘン酸n−ウンデシル、ベ
ヘン酸ラウリル、ベヘン酸n−トリデシル、ベヘン酸ミ
リスチル、ベヘン酸n−ペンタデシル、ベヘン酸セチ
ル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等がある。
【0021】前記(b)の脂肪族二価又は多価カルボン
酸と、脂肪族一価アルコールまたは脂環を有する一価の
アルコールからなる総炭素数28以上の多塩基酸エステ
ル類を以下に例示する。シュウ酸ジ−ミリスチル、シュ
ウ酸ジ−セチル、マロン酸ジ−ラウリル、マロン酸ジ−
セチル、マロン酸ジ−ステアリル、コハク酸ジ−ラウリ
ル、コハク酸ジ−ミリスチル、コハク酸ジ−セチル、コ
ハク酸ジ−ステアリル、グルタル酸ジ−ラウリル、アジ
ピン酸ジ−ウンデシル、アジピン酸ジ−ラウリル、アジ
ピン酸ジ−n−トリデシル、アジピン酸ジ−ミリスチ
ル、アジピン酸ジ−セチル、アジピン酸ジ−ステアリ
ル、アジピン酸ジ−n−ドコシル、アゼライン酸ジ−n
−デシル、アゼライン酸ジ−ラウリル、アゼライン酸ジ
−n−トリデシル、セバシン酸ジ−n−ノニル、セバシ
ン酸ジ−ミリスチル、セバシン酸ジ−ステアリル、1,
18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジ−n−ペン
チル、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジ
−n−オクチル 1,18−オクタデシルメチレンジカ
ルボン酸ジ−(シクロヘキシルメチル)、1,18−オ
クタデシルメチレレンジカルボン酸ジ−ネオペンチル、
1、18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジ−n−
ヘキシル、1、18−オクタデシルメチレンジカルボン
酸−n−ヘプチル、1、18−オクタデシルメチレンジ
カルボン酸−n−オクチル。
【0022】前記(c)の脂肪族二価及び多価アルコー
ルまたは脂環を有するか2価及び多価アルコールと一価
の脂肪酸からなる総炭素数26以上のエステル類を以下
例示する。エチレングリコールジ−ミリステート、エチ
レングリコールジ−パルミテート、エチレングリコール
ジ−ステアレート、プロピレングリコールジ−ラウレー
ト、プロピレングリコールジ−ミリステート、プロピレ
ングリコールジ−パルミテート、ブチレングリコールジ
−ステアレート、ヘキシレングリコールジ−ラウレー
ト、ヘキシレングリコールジ−ミリステート、ヘキシレ
ングリコールジ−パルミテート、ヘキシレングリコール
ジ−ステアレート、1,5−ペンタンジオールジ─ステ
アレート、1,2,6−ヘキサントリオール─ジミリス
テート、ペンタエリスリトールトリミリステート、ペン
タエリスリトールテトララウレート、1,4−シクロヘ
キサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジオ
ールジミリスチル、1,4−シクロヘキサンジオールジ
ステアリル、1,4−シクロヘキサンジメタノールのジ
ラウレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールのジ
ミリステート。
【0023】前記(d)の芳香環を有する二価アルコー
ルと一価の脂肪酸からなる総炭素数28以上のエステル
類を以下に例示する。キシレングリコールジ−カプリネ
ート、キシレングリコールジ−n−ウンデカネート、キ
シレングリコールジ−ラウレート、キシレングリコール
ジ−ミリステート、キシレングリコールジ−パルミテー
ト、キシレングリコールジ−ステアレート。
【0024】次に、ケトン類としては炭素数10以上の
化合物が使用され、デカン2−オン、ウンデカン2−オ
ン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
【0025】カルボン酸類としては炭素数12以上の高
級脂肪酸が使用され、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられる。前
記(ハ)成分として使用される化合物は前記アルコール
類、エステル類、ケトン類、カルボン酸類から一種、ま
たは二種以上を選択して使用してもよい。複数の化合物
を併用して用いる場合には、色の変化及び透明性の変化
を引き起こすトリガー温度の設定により自由度が増える
利点がある。次に、温度の変化に応じて色の変化と共に
透明性の変化を生起せしめる条件として、母体樹脂に対
する必須三成分からなる均質相溶体の占める比率が透明
性の変化及び色変化における濃度の決定に重要な要素を
もつ。例えば、母体樹脂100重量部に対し、(イ)電
子供与性呈色性化合物を3.3重量部、 (ロ) フェノー
ル性化合物を13重量部とした場合、 (ハ) 成分として
炭素数28のカプリン酸ステアリルを5重量部適用する
と、低温側トリガー以下の温度における着色濃度は極め
て低い。一方、116重量部とすると高温側トリガー以
上の温度における透明性が低下し、実質上透視できなく
なる。従って、良好なコントラストをもって透明性の変
化と共に熱変色性を得るためには、必須三成分からなる
均質相溶体の添加比率は母体樹脂100重量部に対し、
(イ)電子供与性呈色性有機化合物0.8〜33重量
部、 (ロ) フェノール性水酸基を有する化合物1.6〜
50重量部、 (ハ) アルコール類、エステル類、ケトン
類、又はカルボン酸類のいずれかより選んだ化合物が8
〜83重量部の比率が有効である。さらに好ましくは、
母体樹脂100重量部に対し、(イ)電子供与性呈色性
有機化合物は1.7〜83重量部、(ロ)フェノール性
水酸基を有する化合物3.3〜20重量部、前記 (ハ)
成分として17〜50重量部からなる比率で構成され
る。
【0026】更に、本発明では前記母体樹脂100重量
部に対して、0.1〜10重量部、より好ましくは0.
5〜5重量部のピペリジン誘導体から選ばれるヒンダー
ドアミン系化合物がブレンドされる。前記母体樹脂は、
塩化ビニル樹脂にみられる脱塩素化を極めて起こし難
く、酢酸ビニル樹脂にみられる減感性を実質上発揮させ
ない熱変色性材料の良好な母体として効果的であるが、
室温における長期の保存(2〜3ケ月)、又は50℃以
上における1週間以上の保存においては、塩化ビニルモ
ノマー系から微量に分離して発生する塩化水素によって
ロイコ染料と呈色反応を生起させ、不可逆発色、即ち、
消色時の色残りの発生を起こしがちであるが、前記ヒン
ダードアミン系化合物の配合により、前記した不具合は
解消される。前記化合物の配合により、未添加の系にお
ける初期状態における温度−色濃度曲線を実質上変化さ
せることなく、経時的にも熱的にも安定的に初期の変色
特性を持続させることができる。
【0027】従来から塩化ビニルモノマー系からの熱的
要因による遊離の塩素原子に基づく塩化水素の抑制手段
として種々の安定剤が知られているが、従来の添加剤は
単なる樹脂の熱的分解抑制のために使用されている。本
発明において塩化水素の微量の発生は更に敏感にロイコ
染料と呈色反応を生起させ、不可逆の残色の発生を引き
起こす。よって、これを防止するには従来の単なる分解
劣化抑制手段による効果を上回る手段を必要とする。
【0028】従来より知られている塩化ビニル樹脂の安
定剤としては、燐酸エステル、エポキシ化エステル、脂
肪酸金属塩、有機錫硫黄化合物、鉛化合物、ヒンダード
フェノール類が知られているが、燐酸エステル、エポキ
シ化エステルは変色鋭敏性に著しく悪影響を与えるた
め、熱変色材料としての機能を低下させる。又、本発明
組成物が着色状態で保存された場合には、前記(イ)、
(ロ)成分と、これら添加剤が非局在的に融合する結
果、消色し難くなるという影響を与える。一方、有機錫
化合物、鉛化合物は、重金属を含有するため安全性の面
から用途が限定され、添加初期から不可逆発色を生起さ
せる欠点を有する。又、脂肪酸金属塩は実質上、ロイコ
染料と樹脂の熱分解により発生する塩化水素とロイコ染
料との反応を抑制するには至らなかった。
【0029】従って、ロイコ染料と塩化ビニルを含む共
重合体より発生した塩化水素により起こる不可逆発色を
防止するためには、前記ヒンダードアミン系化合物が最
も効果的であり、該化合物は熱変色特性に悪影響を及ぼ
さない。即ち、変色鋭敏性を損なわないこと、発色濃度
を低下させないこと、良好な消色性を保つこと等の全て
の要件を満たす。
【0030】前記ヒンダードアミン系化合物としては、
例えば、ポリ〔〔6−(N−モルホリノ)−1,3,5
−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−
テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレ
ン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)イミノ〕〔商品名スミソルブ500、住友化学工業
(株)製〕、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸
テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)(アデカアーガス社製)、ポリ〔〔6−1,1,
3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−ト
リアジン−2、4-ジイル〕(2,2,6,6−テトラメチ
ル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕
(商品名:チヌビン944−LD、チバガイギー社
製)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチ
ル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン重縮合物(チヌビン622LD、チバガイギ
ー社製)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,
2,2,6,6−ペンタチル−4−ピペリジル)(チヌ
ビン144、チバガイギー社製)、N、N, −ビス(3
−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス
〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチ
ル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,
5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジル)セバケート〔商品名:サノー
ルLS770、三共(株)製〕、ビス(N −メチル−
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバ
ケート〔商品名:サノールLS292、三共(株)
製〕、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジン〔商品名:サノールLS−74
4、三共(株)製〕、8−アセチル−3−ドデシル−
7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザ
スピロ〔4.5〕デカン−2,4−ジオン〔サノールL
S−440、三共(株)製〕、1−〔2−〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン〔三共
(株)製〕、2,2,4,4−テトラメチル−20−
(βーラウリル−オキシカルボニル)−エチル−7−オ
キサ−3,20−ディアザデイスピオ(5,1,11,
2)ヘンエイコサン−21−オン(商品名:Sandu
vor305、サンド社製)、〔N−(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジル)−β−アラニン〕ド
デシルエステル、ミリスチルエステル混合物(商品名:
Sanduvor3052、サンド社製)、5−ノルボ
ルネン−2,3−ジカルボキシリックアシドビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステ
ル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシリックア
シドビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)エステル等が挙げられる。
【0031】次に、本発明の温度依存性色彩記憶性樹脂
組成物を調製する方法を説明する。前記したとおり、本
発明における最大の特徴である色の変化と透明性の変化
を温度の変化に応じて安定的に機能させるために、
(イ) 、 (ロ) 、 (ハ) の必須三成分を均質相溶状態で
母体樹脂中に、少なくとも2μm以下の微粒子状に分散
状態、又は、微粒子構造をとらない固溶体状態に固定さ
せる。通常、母体樹脂と前記三成分は、下記の一種、又
は二種以上の溶剤を用いて均一に溶解され、この過程で
ヒンダードアミン系化合物が添加される。
【0032】塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を含む母
体樹脂の溶解性の点から、ケトン系の溶剤を富溶剤とし
て使用する必要がある。当該溶剤は前記三成分に対して
も富溶剤として働く。ケトン系溶剤としては、アセト
ン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シ
クロヘキサノン、メチルイソプロピルケトン、メチルn
−プロピルケトン等がある。
【0033】芳香族系の溶剤は基体樹脂に対して貧溶剤
として働くが、前記ケトン系溶剤と併用して用いるのが
好ましい。芳香族系の溶剤としては、トルエン、キシレ
ン、等の溶剤が使用される。その他の溶剤としては、イ
ソプロピルアルコール、n−ブタノール等のアルコール
系溶剤、酢酸n−エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−
ブチル、酢酸イソブチル等のエステル系溶剤、ヘキサ
ン、シクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ミネラル
スピリット等の炭化水素溶剤、その他グリコールモノア
ルキルエーテル類の溶剤が希釈剤として或いは蒸発性の
調整用として使用できる。さらに、前記三成分相溶体を
母体樹脂中により均一且つ微少形状で分散、又は固溶体
状態に固定する方法として、いわゆる分散助剤の使用が
著しい効果を有する。かかる分散助剤は前記三成分に対
して、化学的悪影響の程度が小さい物質が好ましい。か
かる分散効果を有する化合物は概して表面張力、界面張
力を著しく低下する効果を有し、母体樹脂中に均質相溶
体の合一や凝集を起こさせることなく安定に固定する作
用を示す。
【0034】以下に、かかる化合物を例示する。シロキ
サン誘導体としては、ポリエーテル変性ジメチルポリシ
ロキサン、ポリエーテル変性メチルアルキルポリシロキ
サン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリ
エステル変性メチルアルキルポリシロキサン等が挙げら
れ、フッ素系化合物としては、フロラードFC−43
0、フロラードFC−431〔住友スリーエム(株)
製、フッ素化合物〕等のフッ素化アルキルエステル類が
挙げられ、特殊ポリマー系としては、アクリロニトリル
−(2−メタクリロイルオキシエチル)トリメチルアン
モニウム−メチルサルフェイト─ジメチルアミノエチル
メタクリレート等が挙げられる。前記添加剤は全量の
0.002〜0.05重量%の範囲で使用される(但
し、分散剤の量は固形分べース) 。
【0036】本発明組成物は、前述の溶剤類を適宜組み
合わせて、実質上均一に溶解されてスプレー塗装、スク
リーン印刷、グラビア印刷、ロールコート、リバースコ
ート等によって支持体に塗工され、室温乾燥又は加熱乾
燥によって前記溶剤を完全に蒸発乾燥させる。前記三成
分が蒸発の過程を経て、微粒子状に単核状に分散状態、
又は、固溶体状態に固着されるためには、組成物を溶解
する溶剤の選定が重要である。更に詳しく説明すれば、
乾燥の過渡期において、溶剤の蒸発が速すぎると三成分
からなる均質相溶体のうち、主に(ハ)成分が先行して
析出し、母体樹脂中に安定に固定されず、ブリード等の
現象を引き起こす。又、同様に溶剤の蒸発性が速い場合
や、貧溶剤を多量に配合した場合には、母体樹脂が先行
して析出するため、熱変色成分の均一な微粒子状での分
散状態、または固溶体状態での固定を妨げがちである。
【0037】一般に、本発明組成物に対して使用される
溶剤の量は、塗工方法によって各々異なるが、組成物1
重量部に対して1〜50重量部の溶剤が適用される。よ
り好ましくは3〜15重量部である。本発明の組成物を
用いた層の厚さは一般に4〜100μmである。これ以
下の厚みの場合は良好なコントラストが得られ難いとい
う欠点がある。通常10〜35μm程度の厚みの系が高
温側トリガー以上における透明性が得られ易く、50μ
m程度の厚みを越えると消色時の透明性を徐々に低下さ
せる傾向にある。本発明の組成物を含む溶液を物理的に
均一に塗工するためには、公知の各種添加剤、例えば、
タレ防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、耐摩擦向
上剤などが適用できる。但し、前記三成分に対する化学
的影響がない、又は、極力その影響が少ない添加剤を必
要最低限の量で使用することが好ましい。
【0038】更に、組成物による形成層が物理的に平滑
でないと当該層の表面において乱反射を伴うため、外観
は言うまでもなく高温側トリガー以上の温度において透
明性を著しく損なう。このため、前記組成物の層形成に
おいては、かかる表面の平滑性は透明性に対し重要な要
因となる。よって、化学的影響が少なく、且つ平滑性を
付与する各種公知の添加剤を使用することも重要であ
る。更に、耐光性、安定性を向上する目的で、紫外線吸
収剤、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、その他の光安定
剤を使用することもできる。
【0039】又、本発明組成物の色彩は基本的には低温
側トリガー以下の温度においては有色、高温側トリガー
以上では無色透明であるが、さらに一般の染料または透
明性を有する一般の顔料を併用することによって、有色
(1)と有色(2)の互変的変色を与えることもでき
る。
【0040】次に、本発明の積層体について説明する。
本発明の積層体は (イ) 電子供与性呈色性有機化合物、
(ロ) フェノール性水酸基を有する化合物、 (ハ) アル
コール類、エステル類、ケトン類、またはカルボン酸類
のいずれかより選んだ化合物を含む均質相溶体が、樹脂
母体中に微粒子状に分散状態、又は、固溶体状態にて固
定されており、前記樹脂母体は塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合体に、芳香族石油系炭化水素樹脂が配合されて構
成されており、温度変化に依存して色彩及び透明度が大
きなヒステリシス特性を示して変化し、低温側トリガー
と高温側トリガーとの温度差が10℃乃至50℃であ
り、前記低温側トリガー以下及び高温側トリガー以上の
温度で変化させた様相を択一的に前記低温側トリガーと
高温側トリガーとの間の温度域で記憶保持される、可逆
性を有する温度依存性色彩記憶性樹脂組成物からなる層
を支持体上に積層してなる積層体である。
【0041】本発明に使用する支持体としては、基本的
には透明材料が用いられるが、用途に応じては半透明又
は不透明の支持体を用いることもできる。透明な支持体
としては、ポリエステルフィルム(アモルファスポリエ
ステル)、ポリカーボネート、ポリスチレン、スチレン
−ブタジエンブロック共重合樹脂、アクリロニトリル−
スチレン共重合樹脂、アクリル樹脂、メチルメタクリレ
ート樹脂、エポキシ樹脂、ポリプロピレン樹脂、硬質ま
たは軟質塩化ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエ
ン─スチレン共重合樹脂(透明グレード)、ポリプロピ
レン樹脂等がある。不透明又は半透明の樹脂及び材料と
しては、中低圧ポリエチレン、アクリロニトリル−ブタ
ジエン−スチレン共重合樹脂、ナイロン樹脂、及び上記
の透明性樹脂を顔料で着色又は遮蔽した樹脂、紙類、合
成紙、繊維類、フィラメント類、ガラス、木材等が挙げ
られる。
【0042】前記積層体は、消色時の透明性が顕著に向
上しており、下層に配置の多様な像や色彩を視覚させる
ことができ、光学的特性、例えば、光輝性、光輝度反射
性、光干渉性、虹彩性、ホログラム性、金属光沢性、真
珠光沢性、蛍光性、燐光性等の性状を有する従来より公
知の材料による層が下層に形成されている系にあって
は、それらの特性を損なうことなく視覚させる。
【0043】本発明組成物を支持体に積層する場合、前
述したとおり溶剤類に溶解して塗工するが、この溶剤類
が支持体樹脂を溶解、膨潤させて、当該組成物に対して
熱変色性に関わる化学的悪影響と透明性に関わる物理的
悪影響を与えることが少なくない。例えば、ポリスチレ
ン樹脂の支持体にメチルイソブチルケトンに溶解された
該組成物をスプレーで塗工すると、前記溶剤が支持体樹
脂を溶解し、該組成物中にポリスチレン樹脂が移行す
る。この結果、当該組成物における熱変色性が化学的に
影響を受け、発色濃度が大幅に低下する。このため、か
かる化学的影響を遮断するために、前もって支持体の表
面にアンダーコートを施した後、組成物を積層すること
が好ましい。前記アンダーコート用樹脂としては、メタ
クリレート樹脂が好ましい効果を発揮し、塗工方法に応
じて支持体を侵さない溶剤組成で支持体上に塗工され
る。より好ましい樹脂としては、ガラス転移点(Tg)
が80℃以上のメタクリル樹脂であり、かかる樹脂とし
てはポリメチルメタクリレート(Tg:125℃)、お
よびポリイソプロピルメタクリレート(Tg:95
℃)、及び共重合によって得られるガラス転移点が80
℃以上の樹脂が挙げられる。
【0044】更に、当該組成物の上層にトップコート層
を積層することもできる。トップコート層を塗工する場
合にも、トップコート用の溶剤が組成物を含む層を再溶
解すると、該組成物の組成比率が変動するばかりでな
く、熱変色及び透明性機能にも重大な影響を与える。こ
のためトップコート層に適用される溶剤は組成物による
層を実質上溶解、又は膨潤しない組成のものを適用する
必要がある。好適な溶剤としては水、アルコール類、グ
リコールエーテル類、脂肪族炭化水素系溶剤である。
かかる溶剤類に易溶解性、又は分散系の樹脂で、母体樹
脂との接着性の良い樹脂として前記溶剤に可溶性のメタ
クリル樹脂、ビニル変性アルキッド樹脂、油溶性ポリウ
レタン樹脂、アクリル樹脂、アクリル共重合樹脂、エポ
キシ樹脂等が挙げられる。中でも、アルコール可溶性又
は脂肪族炭化水素可溶性の透明性を有するメタクリル樹
脂及びアクリル樹脂、又はそれらの共重合樹脂をアルコ
ール溶剤及び/又は脂肪族炭化水素溶剤が全溶剤分の4
0重量%以上を占める溶剤組成で溶解して積層すると組
成物に悪影響を及ぼすことなく、適正な塗布性を満た
し、密着性のある透明のトップコート層を得ることがで
きる。
【0045】前記アンダーコート及びトップコート樹脂
層中には、組成物の耐光性向上の目的で紫外線吸収剤、
酸化防止剤、一重項酸素消光剤、着色剤、その他の光安
定剤を配合することもできる。
【0046】以上のことから、本発明の樹脂母体中に
(イ)、(ロ)、(ハ)の必須三成分からなる熱変色性
要素の均質相溶体を微粒子状に分散状態、又は固溶体状
態にて固定させることにより、前記いずれの成分の樹脂
表面へのブリードもなく安定的に保持されると共に、温
度変化により大きなヒステリシス特性を発現させて、色
変化と共に透明度を変化させ、着色透明状態と消色透明
状態の互変性、着色不透明状態と消色透明状態の互変性
を呈し、高温側トリガーと低温側トリガーとの間の温度
域で前記した各様相を択一的に互変的に記憶保持する機
能を奏する。
【0048】
【発明の実施の形態】本発明を実施例によって更に詳し
く説明する。実施例中の部はすべて重量部である。尚、
ヒステリシス幅に関して、透明乃至不透明から無色透明
に変化させた後に低温側に冷却する時には、昇温時の温
度が高温側トリガー以下の近傍にあると、ヒステリシス
幅は小さくなる。本発明のヒステリシス幅はある一つの
組成物についての最大ヒステリシス幅をいう。
【0049】以下実施例における組成物の変色曲線、吸
光度曲線、及び曇価は次の方法により求めた。 (1)変色曲線 実施例1乃至3について、PET(ポリエチレンテレフ
タレート)フィルムに組成物を塗工し、塗工面の反対側
に厚さ60μmの白色合成紙を貼りつけ、測定用サンプ
ルとし、該測定用サンプルをさらに両面テープを用い
て、加熱・冷却用容器の底面に貼りつけ、組成物側を色
差計〔TC−3600型色差計、(株)東京電色製〕の
光源側に向けてセットする。加熱・冷却用容器中に水を
入れ、毎分10℃の条件で降温(50℃から0℃へ)と
昇温(0℃から50℃へ)を1サイクルとして変化さ
せ、各温度における試料の明度をグラフにプロットし
た。 (2)吸光度曲線 20℃の室温下、対象側に実施例に使用したフィルムと
同一のPETフィルムを用いて、各実施例に従い得られ
た組成物の印刷物を試料側にセットし、分光光度計〔U
−3210:(株)日立製作所製、自記分光光度計〕に
て400〜700nmの波長光の吸光度(反射方式によ
る)を測定した。図中の実線は20℃における着色状
態、消色状態についての吸光度を示す。実線は着色時の
吸光度を、破線は消色時の吸光度を示す。 (3)曇価 20℃の室温下、各実施例の印刷物を色差.濁度測定器
〔COH−300A:日本電色工業(株)製〕にセット
し着色状態、消色状態についての曇価を測定した。
【0050】実施例1(図1、2参照) 1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン4部、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン5
部、セチルアルコール4部、ステアリルアルコール4
部、マロン酸ジミリスチル7部、VYHH(塩化ビニル
−酢酸ビニル共重合体、ポリマー組成:塩ビ/酢ビ=8
6/14、ユニオンカーバイド社製)45部、ピコラス
チックA−75〔スチレンホモポリマー、平均分子量2
76、理化ハーキュレス(株)製〕15部からなる温度
依存性色彩記憶性樹脂組成物をMIBK(メチルエチル
ケトン)240部に溶解した。更に、Byk−310
(ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン、Byk
chemie社製)0.2部、ピペリジン誘導体〔商品
名サノールLS770:三共(株)製〕1部を添加し、
インキ(A)を調製した。
【0051】前記インキ(A)をアプリケーターを用い
てPETフィルム「100μm厚、リンテック(株)
製、商品名:NF PET トウメイ100〔A〕」に
乾燥時の膜厚が約25μmになるようコーティング後、
80℃で30分間乾燥して印刷物を得た。
【0052】得られた印刷物は低温側トリガー(約13
℃)、高温側トリガー(約37℃)を有しており、ヒス
テリシス幅は約24℃であった。前記高温側トリガー以
上では消色すると共に曇価15.1%の値を示し、一
方、低温側トリガー以下ではピンク色に発色すると共に
曇価30.2%の値を示した。前記低温側トリガーと高
温側トリガーの間の温度域では前記二状態を選択的にと
りうる。即ち、前記高温側トリガー以上の温度で得られ
た状態、或いは低温側トリガー以下の温度で得られた状
態は、それぞれの変化に要した熱又は冷熱を取り去った
後にあっても、前記両トリガー間の温度域で記憶保持さ
れる。
【0053】前記状態変化は500回の繰り返しにおい
ても同様の変化をブリード等なく、安定的に再現させる
ことができた。さらに60℃の恒温室に1週間放置して
も同様の状態変化と安定性を備えていることが確認され
た。上記印刷物の変色曲線を図1に、吸光度曲線を図2
にそれぞれ示す。
【0054】実施例2(図3、4参照) 2−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン2
部、1、1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタ
ン5部、グルタル酸ジミリスチル15部、VYHH(ポ
リマー組成:塩化ビニル/酢酸ビニル=86/14、ユ
ニオンカーバイド社製)50部、クリスタレックス30
85(α−メチルスチレン、平均分子量437、理化ハ
ーキュレス(株)製〕10部からなる温度依存性色彩記
憶性樹脂組成物をMIBK240部に溶解した。更に、
Byk−325(ポリエーテル変性ジメチルポリシロキ
サン、Byk chemie社製) 0.2部、ピペリジ
ン誘導体〔商品名サノールLS770:三共(株)製〕
1部を添加し、インキ(B)を調製した。
【0055】上記インキ(B)をアプリケーターを用い
てPETフィルム「100μm厚、リンテック(株)
製、商品名:NF PET トウメイ100〔A〕」に
乾燥時の膜厚が約25μmになるようコーティング後、
80℃×30分間乾燥して印刷物を得た。
【0056】得られた印刷物は低温側トリガー(約0
℃)、高温側トリガー(約45℃)を有しており、ヒス
テリシス幅が約45℃のものであった。前記高温側トリ
ガー以上では消色すると共に曇価10.2%の値を示
し、一方、低温側トリガー以下では橙色に発色すると共
に曇価20.5%の値を示した。前記低温側トリガーと
高温側トリガーの間の温度域では前記二状態を選択的に
とりうる。
【0057】前記状態変化は500回の繰り返しにおい
ても同様の状態変化をブリード等なく、安定に繰り返す
ことができた。さらに60℃の恒温室に1週間放置して
も同様の状態変化と安定性を備えていることが確認され
た。上記印刷物の変色曲線を図3に、吸光度曲線を図4
にそれぞれ示す。
【0058】実施例3(図5、6参照) 2−フェニル−6−(N−エチル−N−ヘキシルアミ
ノ)フルオラン1.5部、2,2−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)デカン8部、1,18−オクタメチルジ
カルボン酸ジ−n−ヘキシル20部、VYHH(ポリマ
ー組成:塩化ビニル/酢酸ビニル=86/14、ユニオ
ンカーバイド日本製)40部、ピコテックス100(α
−メチルスチレン/ビニルトルエン共重合体、平均分子
量870、理化ハーキュレス(株)製〕20部からなる
温度依存性色彩記憶性樹脂組成物をMIBK240部に
溶解した。更に、Byk−300(ポリエーテル変性ジ
メチルポリシロキサン、Byk chemie 社製)
0.2部、ピペリジン誘導体〔商品名サノールLS77
0:三共(株)製〕1部を添加し、インキ(C)を調製
した。
【0059】上記インキ(C)をアプリケーターを用い
てPETフィルム「100μm厚、リンテック(株)
製、商品名:NF PET トウメイ100〔A〕」に
乾燥時の膜厚が約25μmになるようコーティング後、
80℃で30分間乾燥して印刷物を得た。
【0060】得られた印刷物は低温側トリガー(約13
℃)、高温側トリガー(約36℃)を有しており、ヒス
テリシス幅が約23℃であった。前記高温側トリガー以
上では消色すると共に曇価15.5%の値を示し、一
方、低温側トリガー以下では緑色に発色すると共に曇価
29.4%の値を呈した。前記低温側トリガーと高温側
トリガーの間の温度域では前記二状態を選択的にとりう
る。
【0061】前記状態変化は500回の繰り返しにおい
ても同様の状態変化をブリード等なく、安定に繰り返す
ことができた。さらに60℃の恒温室に1週間放置して
も同様の状態変化と安定性を備えていることが確認され
た。上記印刷物の変色曲線を図5に、吸光度曲線を図6
にそれぞれ示す。
【0062】応用例1 熱変色性模造宝石 各インキの調製 (1)アンダーコートインキ アクリペットVK〔メチルメタクリレート樹脂、三菱レ
ーヨン(株)製〕10部をMIBK60部とプロピレン
グリコールモノメチルエーテル30部に溶解し、アンダ
ーコートインキ(a)を調製した。 (2)温度依存性色彩記憶性樹脂組成物を含むインキ 実施例1の組成物300部をMIBK250部、シクロ
ヘキサノン50部と混合して得た。 (3)トップコートインキ プラスサイズCB−2〔アルコール可溶性アクリル系樹
脂:50%エタノール溶液、互応化学(株)製〕20
部、チヌビン328(紫外線吸収剤、チバガイギー社
製)0.5部をイソプロパノール50部、n−ブタノー
ル30部に溶解し、トップコートインキを調製した。
【0063】積層体の形成 アルミニウムがホットスンピングにより裏打ちされたメ
チルメタクリレート樹脂製模造宝石の表面に前記アンダ
ーコートインキをスプレー塗装して80℃で30分間乾
燥させ、約5μmの膜厚のアンダーコート層を設けた。
次いで、その上層に前記方法に準じて本発明組成物を含
むインキにより、約15μmの膜厚の温度依存性色彩記
憶性樹脂層を設けた。更に、保護層として前記トップコ
ートインキをスプレー塗装し、膜厚約10μmのトップ
コート層を形成した。得られた模造宝石は低温側トリガ
ー(約13℃)、高温側トリガー(約37℃)を有して
状態変化し、5℃の氷水中に入れると、瞬時に透明感を
有するピンク色に発色し、下地のアルミニウム光沢層を
透視できた。次いでこれを50℃の温水中にいれると、
無色透明な模造宝石の様相に変化した。前記状態変化は
500回の繰り返しにおいても再現されることを確認し
た。
【0064】応用例2 熱変色性鏡 各インキの調製 (1)温度依存性色彩記憶性樹脂組成物を含むインキ 実施例2の組成物300部をMIBK250部及びシク
ロヘキサノン50部と混合して得た。 (2)トップコートインキ ダイヤナールBR102〔アルコール可溶性アクリル系
樹脂:三菱レーヨン(株)製〕10部、チヌビンPS
(紫外線吸収剤、チバガイギー社製)1部をイソプロパ
ノール60部、n−ブタノール30部に溶解して得た。 (3)積層体の形成 アルミニウムが蒸着されたメチルメタクリレート製の鏡
の表面に前記本発明組成物を含むインキを適用し、応用
例1と同様の方法で処理して膜厚約15μmの層を形成
した後、前記トップコートインキによる膜厚約10μm
のトップコート層を形成した。得られた熱変色性鏡を−
5℃のフリーザー中に入れると、瞬時に橙色に発色し、
アルミニウムの光沢層が僅かに視覚された。次いで、5
0℃の温水中に入れると、無色透明な鏡に変化した。前
記状態変化は500回の繰り返しにおいても同様の変化
が確認された。
【0065】応用例3 熱変色性ホログラム表示体(図
7参照) 各インキの調製 (1)本発明組成物を含むインキ 実施例3のインキを用いた。 (2)アンダーコートインキ ダイヤナールBR−85〔三菱レーヨン(株)製メチル
メタクリレート樹脂〕20部をMIBK80部に溶解
し、アンダーコートンインキを得た。 (3)トップコートインキ アクリディックA−188〔ターペン可溶型アクリル樹
脂:大日本インキ化学工業(株)製〕70部をミネラル
ターペン30部に溶解して得た。 (4)積層体の作成 支持体2としてホログラムフイルム〔商品名:ホログラ
スター101Surfwhisper、リンテック
(株)製〕の表面に前記アンダーコートインキをアプリ
ケーターを用いて乾燥時の膜厚が約5μmになるようコ
ーティング加工を行ってアンダーコート層3を設けた
後、同様にして実施例3のインキを塗布し、膜厚約15
μmの温度依存性色彩記憶性樹脂層3を設けた。得られ
た積層体1は低温側トリガー(約13℃)、高温側トリ
ガー(約36℃)を有し、前記低温側トリガー以下で緑
色に発色し、高温側トリガー以上で消色し、前記いずれ
の状態において、下地のホログラム像及び光輝性を視覚
させた。前記状態変化は500回の繰り返しにおいても
同様の変化が確認された。
【0075】
【発明の効果】本発明の温度依存性色彩記憶性樹脂組成
物は、芳香族石油系炭化水素樹脂を含む母体樹脂中に必
須三成分からなる熱変色性要素の均質相溶体を微粒子状
に分散状態、又は、固溶体状態にて固定されてなるもの
であり、温度変化により色及び透明性に関して大きなヒ
ステリシス特性を示して変化し、低温側トリガーと高温
側トリガーとの間の温度域で変化前後の両様相を互変的
に記憶保持できる。この際、熱変色要素と母体樹脂が適
正に組み合わせられているので温度変化による応答が永
続的に適正に機能することは勿論、消色時の透明性が顕
著に向上しており、消色時の透視効果を満足させる。
【0076】従って、前記樹脂組成物による印刷乃至塗
布層を積層した系にあっては、下層の状態が鮮明に透視
でき、熱変色効果と相まって種々の実用性を満たす。特
に、本発明の組成物は色の変化及び透明度変化による組
合わせが多様に選択でき、有色透明状態─無色透明状態
の互変性、或いは、有色不透明状態−無色透明状態の互
変性に加えて、染料や透明性顔料の配合により有色
(1)と有色(2)の互変性を備えることもできる。
【0077】かくして、本発明の組成物は多様な産業上
の分野、例えば玩具類、筆記具類、雑貨・日用品、教習
材、インテリア類、装飾品類、及びOA機器向け記録紙
など極めて幅広い分野での応用が可能である。本発明の
応用例は下記の例に限定されないが、本発明の効果をよ
り明瞭にするため、具体的な応用例を下記に列記する。
【0078】玩具類においては、有色不透明−無色透明
状態を有する組成物を透明な材料で成形された立体の表
面に積層し、その内部又は内容物を隠蔽−透視できる。
かかる応用例としては、 透明樹脂で成形されたミニュチュアカーの前部ボンネ
ット部品に彩色・積層することにより、ボンネット内部
のエンジン等の構造が隠蔽−透視できる。 透明樹脂で成形された飛行機の胴体部分に彩色・積層
することにより、胴体内部の構造や内部の乗客・乗員の
様子が隠蔽−透視(加温により透視でき、冷却すること
により元の隠蔽状態に繰り返し変化することを表す)で
きる。 玩具用ロボットの前面胸部の透明部材に彩色・積層す
ることにより、ロボッの胸部付近の機械構造・電子構造
が隠蔽−透視できる。 人形の透明樹脂で成形された胴体部分の前面に彩色・
積層することにより、腹蔵された宝石類、又は腹部の中
の胎児などを隠蔽−透視できる。 透明な球状成形物の全面に渡って、卵の模様を多色に
て塗装・積層することにより、卵の内部の鳥や恐竜など
を隠蔽−透視できる。 透明樹脂で成形された魔法のランプの全体を多色にて
塗装し、ランプをこすると中から金貨、或いは魔法使い
などが透視−隠蔽できる。
【0079】一方、玩具分野における有色透明−無色透
明状態を有する組成物を応用した例としては、変色の前
後で終始透明状態を保つ特性に基づいて、光輝性または
金属光沢、パール光沢などの光学効果を有する材料と組
み合わせると一層効果的な応用が可能である。なお、下
記の例示の応用は玩具分野の他、実用品としての応用も
可能である。 鏡の反射面側に多色にて彩色することにより、虹色の
鏡から通常の無色の鏡に変化させることが可能である。
虹色の場合には多色によるパターンの迷彩効果により、
鏡の反射像を視認することは難しいが、加温により消色
した状態では通常の鏡の通り、反射像が明瞭に映る。 背面に、所望に応じて、アルミホイルスタンピング、
又はアルミ蒸着加工された透明な宝石類に応用すること
により、ルビーからやダイヤモンドに、あるいはエメラ
ルドからトパーズに、あるいはアメシストからアクアマ
リンへの色変化が可能となると同時に、変色の前後を通
して透明感を保つことが可能である。 金色・銀色に蒸着加工された王冠、イヤリング、ブロ
ーチなどの光輝性装飾品にスプレー等により彩色するこ
とに、金属光沢を生かしたままで変色前後の2種類の色
を所望に応じて選択することができる。例えば、銀色調
に蒸着された王冠に対し、オレンジ色の本件組成物を積
層することにより、加温により銀色、冷却により金色の
状態を選択できる。 同様に、ホログラフィック効果を有する素材に対し本
件組成物を積層することにより、ホログラフィック効果
を維持したままでの色変化が可能である。筆記具類にお
ける応用としては、例えば、ボールペンや万年筆の軸胴
部分やキャップを透明な樹脂を用いて成形し、これに有
色不透明−無色透明状態を有する組成物を積層すること
により、所望に応じてインキの残量を確認した又、内部
機構を視認することもできる。
【0080】次に、雑貨、日用品の分野における応用と
しては、例えば、有色透明−無色透明状態を有する組成
物をサングラスや帽子サンバイザーに積層することによ
り、透視性機能を損なうことなく色変化又は色の選択を
することが可能となり、ファッション性を増加させるこ
とができる。
【0081】教習材類としては、有色不透明−無色透明
状態を有する組成物を用いて、人体模型、動物模型、昆
虫模型などの内部骨格、内部器官を隠蔽−透視すること
が出来きるので、教育用の教材として有効に使用するこ
とができる。また、教習材の典型的な応用として、解答
を隠蔽−透視することが可能であり、この場合には解答
部分のみが本発明の有色不透明−無色透明状態を有する
組成物によって積層されることによって、所望に応じて
解答を対照させることができる。
【0082】インテリア類としては、有色透明−無色透
明状態を有する組成物を透明なアクリル板に多色にて彩
色することにより、通常の無色のガラスとステンドグラ
ス模様の2種類を所望に応じて選択することができる。
【0083】装飾品類の応用例としては、有色透明−無
色透明状態を有する組成物が、より効果的であり、金
色、銀色、パール色とうの光輝性表面に対し彩色するこ
とにより、イヤリング、宝石、指輪、ネックレス、ブロ
ーチ等の装飾品の色をそれらの光輝性を損なうことなく
選択できる。
【0084】一方、本発明の組成物はコンピュターサプ
ライ関連のOA機器の出力用記録紙としての応用が可能
である。即ち、サーマルヘッド、熱ペン、冷ペンによ
り、印字又は描写により像を発現させることができ、さ
らにその記録像は所望に応じて冷却または加熱すること
により元の記録のない状態に復元させることができる為
リライタブル記録材料として有効に利用できる。又、有
色不透明−無色透明状態を有する組成物をオーバーヘッ
ドプロジェクター用透明フィルムに積層することによ
り、筆記された有色不透明の部分が光透過性に乏しいた
め、スクリーン上ではシャドーとして文字や図形の像を
生ずる。非筆記部分は透明となっているため、ハイライ
ト部としてスクリーン上に投射される。その結果、通常
のオーバーヘッドプロジェクター用フィルムの機能にさ
らにリライタブル機能が付加された有用な記録材料とし
て使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明温度依存性色彩記憶性樹脂組成物を適用
した実施例1の塗布層の温度−色濃度の関係を示すグラ
フである。
【図2】実施例1の塗布層の着色時及び消色時の吸光度
曲線を示す。実線は着色時、点線は消色時の状態をそれ
ぞれ示す。
【図3】実施例2の塗布層の温度−色濃度の関係を示す
グラフである。
【図4】実施例2の塗布層の着色時及び消色時の吸光度
曲線を示す。実線は着色時、点線は消色時の状態をそれ
ぞれ示す。
【図5】実施例3の塗布層の温度−色濃度の関係を示す
グラフである。
【図6】実施例3の塗布層の着色時及び消色時の吸光度
曲線を示す。実線は着色時、点線は消色時の状態をそれ
ぞれ示す。
【図7】本発明積層体の一実施例の縦断面図である。
【符号の説明】
1 積層体 2 支持体 3 アンダーコート層 4 温度依存性色彩記憶性樹脂層
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08K 5/04 C08K 5/3435 5/13 C08L 57/02 5/3435 101/00 C08L 57/02 C09K 3/00 Y 101/00 B41M 5/18 B C09K 3/00 108 111

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (イ) 電子供与性呈色性有機化合物、
    (ロ) フェノール性水酸基を有する化合物、 (ハ) アル
    コール類、エステル類、ケトン類、またはカルボン酸類
    のいずれかより選んだ化合物を含む均質相溶体が、樹脂
    母体中に微粒子状に分散状態、又は固溶体状態にて固定
    されており、前記樹脂母体は塩化ビニル−酢酸ビニル共
    重合体に、透明性向上剤として芳香族石油系炭化水素樹
    脂が配合されて構成されており、温度変化に依存して色
    彩及び透明度が大きなヒステリシス特性を示して変化
    し、低温側トリガーと高温側トリガーとの温度差が10
    ℃乃至50℃であり、前記低温側トリガー以下及び高温
    側トリガー以上の温度で変化させた各様相を択一的に前
    記低温側トリガーと高温側トリガーとの間の温度域で記
    憶保持される、可逆性を有する温度依存性色彩記憶性樹
    脂組成物。
  2. 【請求項2】 樹脂母体を構成する塩化ビニル−酢酸ビ
    ニル共重合体が平均分子量7,000 〜50,000、構成モノマ
    ー重量比が塩化ビニル60% 〜92% 、酢酸ビニル8%〜40%
    であり、且つ、芳香族石油系炭化水素樹脂が平均分子量
    200 〜 2,000のビニルトルエン、スチレン、α−メチル
    スチレンから選ばれるホモポリマー又は共重合体である
    請求項1又は2の温度依存性色彩記憶性樹脂組成物。
  3. 【請求項3】 塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体に対し
    て、芳香族石油系炭化水素樹脂が8〜100重量%ブレ
    ンドされてなる請求項1又は2の温度依存性色彩記憶性
    樹脂組成物。
  4. 【請求項4】 前記樹脂母体100重量部に対し、ピペ
    リジン誘導体から選ばれるヒンダードアミン系化合物
    0.1〜10重量部、 (イ) 電子供与性呈色性有機化合
    物0.8〜33重量部、 (ロ) フェノール性水酸基を有
    する化合物1.6〜50重量部、 (ハ) アルコール類、
    エステル類、ケトン類、又はカルボン酸類のいずれかよ
    り選んだ化合物が8〜83重量部の比率で構成される請
    求項1乃至3のいずれかのの温度依存性色彩記憶性樹脂
    組成物。
  5. 【請求項5】 前記(ロ)フェノール性水酸基を有する
    化合物は、下記一般式から選択される化合物が少なくと
    も全フェノール性水酸基を有する化合物の50重量%で
    ある請求項1又は4の温度依存性色彩記憶性樹脂組成
    物。 【化1】 [ 但し、R1 はH又はCH3 を、R2 はCn 2n+1(4
    <n<11)又はR1 =R2 =CF3 をそれぞれ表す。
    又、Cn 2n+1は直鎖及び側鎖のアルキル基を表す。X
    は芳香環の置換基を表す。又、X=H、又はCH3 、又
    はハロゲンを表す。〕
  6. 【請求項6】 前記 (ハ) アルコール類、エステル類、
    ケトン類、またはカルボン酸類のいずれかより選んだ化
    合物が、(a)一価の脂肪酸と、脂肪族一価アルコール
    又は脂環を有する一価アルコールからなる総炭素数が1
    0以上のエステル類、(b)脂肪族二価又は多価カルボ
    ン酸と、脂肪族一価アルコールまたは脂環を有する一価
    アルコールからなる総炭素数28以上の多塩基酸エステ
    ル類、(c)脂肪族二価または多価アルコールと一価の
    脂肪酸からなる総炭素数26以上のエステル類、(d)
    芳香環を有する二価アルコールと一価の脂肪酸からなる
    総炭素数28以上のエステル類、(e)炭素数が10以
    上の脂肪族一価の飽和アルコール類、から選ばれる請求
    項1又は4の温度依存性色彩記憶性樹脂組成物。
  7. 【請求項7】 低温側トリガー以下及び高温側トリガー
    以上で変化させた様相は、いずれも曇価が35%以下の
    値を示し、着色透明状態と消色透明状態の互変性を呈す
    る請求項1乃至6のいずれかの温度依存性色彩記憶性樹
    脂組成物。
  8. 【請求項8】(イ)電子供与性呈色性有機化合物、
    (ロ) フェノール性水酸基を有する化合物、 (ハ) アル
    コール類、エステル類、ケトン類、またはカルボン酸類
    のいずれかより選んだ化合物を含む均質相溶体が、樹脂
    母体中に微粒子状に分散状態、又は固溶体状態にて固定
    されており、前記樹脂母体は塩化ビニル−酢酸ビニル共
    重合体に、透明性向上剤として芳香族石油系炭化水素樹
    脂が配合されて構成されており、温度変化に依存して色
    彩及び透明度が大きなヒステリシス特性を示して変化
    し、低温側トリガーと高温側トリガーとの温度差が10
    ℃乃至50℃であり、前記低温側トリガー以下及び高温
    側トリガー以上の温度で変化させた様相を択一的に前記
    低温側トリガーと高温側トリガーとの間の温度域で記憶
    保持される、可逆性を有する温度依存性色彩記憶性樹脂
    組成物からなる層を支持体上に積層してなる積層体。
  9. 【請求項9】 前記積層体は、低温側トリガー以下及び
    高温側トリガー以上で変化させた様相は、いずれも曇価
    が35%以下の値を示し、着色透明状態と消色透明状態
    の互変性を呈する層を有する請求項8の積層体。
  10. 【請求項10】 支持体は透明性支持体である請求項8
    又は9の積層体。
  11. 【請求項11】 支持体表面にガラス転移点が80℃以
    上のメタクリル樹脂層をアンダーコート層として設けて
    なる請求項8乃至10のいずれかの積層体。
  12. 【請求項12】 温度依存性色彩記憶性樹脂組成物から
    なる層上にアルコール可溶性又は脂肪族炭化水素可溶性
    の透明性を有するメタクリル樹脂およびアクリル樹脂、
    又はそれらの共重合体からなる層を積層した請求項8乃
    至11のいずれかの積層体。
  13. 【請求項13】 支持体面に光輝性、光輝度反射性、光
    干渉性、虹彩性、ホログラム性、金属光沢性、真珠光沢
    性、蛍光性のいずれかの光学的性状を呈する層が設けら
    れてなる請求項8乃至12のいずれかの積層体。
  14. 【請求項14】 立体物の少なくとも一部を構成してな
    る請求項8乃至13のいずれかの積層体。
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