JPH091935A - 温度依存性色彩記憶性樹脂積層体 - Google Patents

温度依存性色彩記憶性樹脂積層体

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JPH091935A
JPH091935A JP7180690A JP18069095A JPH091935A JP H091935 A JPH091935 A JP H091935A JP 7180690 A JP7180690 A JP 7180690A JP 18069095 A JP18069095 A JP 18069095A JP H091935 A JPH091935 A JP H091935A
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JP
Japan
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resin
layer
temperature
property
color
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JP7180690A
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English (en)
Inventor
Kuniyuki Chiga
邦行 千賀
Akio Nakajima
明雄 中島
Katsuyuki Fujita
勝幸 藤田
Atsushi Sukai
淳 須貝
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Pilot Ink Co Ltd
Original Assignee
Pilot Ink Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【目的】屈曲や伸縮を伴う材料、物品等に好適に用いる
ことができる温度依存性色彩記憶性樹脂積層体を提供す
る。 【構成】屈曲性を有する支持体上にアンダーコート層、
可逆熱変色層、オーバーコート層を積層した積層体であ
って、前記可逆熱変色層は、イ 電子供与性呈色性有機
化合物、ロ フェノール性水酸基を有する化合物、ハ
アルコール類、エステル類、ケトン類、またはカルボン
酸類のいずれかより選んだ化合物を含む均質相溶体から
なる可逆熱変色成分が、数平均分子量が4000乃至1
5000の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体中に微粒子
状に固着されてなり、温度の変化に依存して色の変化と
共に透明度が可逆的に変化し、温度差が少なくとも10
℃乃至50℃であり、各様相を択一的に記憶保持できる
温度依存性色彩記憶性樹脂積層体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は温度依存性色彩記憶性樹
脂積層体に関する。更に詳細には、屈曲性を有する支持
体に温度依存性色彩記憶性樹脂層を形成した積層体であ
って、折り曲げ或いは屈曲等によって、透明性の低下や
色調等の変調を起こさないよう構成した温度依存性色彩
記憶性樹脂積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】本出願人は、温度変化に依存して色彩及
び透明性が大きなヒステリシス特性を示して変化し、低
温側トリガーと高温側トリガーとの温度差が10℃乃至
50℃であり、前記低温側トリガー及び高温側トリガー
以上の温度で変化させた各様相を択一的に前記低温側ト
リガーと高温側トリガーとの間の温度域で記憶保持され
る、可逆性を有する温度依存性色彩記憶性樹脂組成物を
特開平6−135144号公報、特開平7−81229
号公報等に開示している。前記した提案は、熱変色成分
〔(イ) 電子供与性呈色有機化合物、 (ロ) フェノール
性水酸基を有する化合物、 (ハ) アルコール類、エステ
ル類、ケトン類、またはカルボン酸類のいずれかより選
んだ化合物〕を含む均質相溶体をマイクロカプセルに内
包させることなく、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を
主体とする母体樹脂中に微細状態に存在、固定されてな
るものであり、従来のマイクロカプセルに内包させた熱
変色性マイクロカプセル顔料の系が、カプセル表面にお
ける光拡散現象によって、その透明性が著しく低下して
下地層が透明性、光輝性或いは光沢性等の性状を有する
組み合わせにあっては、透明性、光輝性や光沢性等の性
状がそのまま透視できず、損なわれた状態で透視される
ことを余儀なくされているのに対して、透明性に優れて
おり、前記不具合もなく効果的に透視できるのでこの種
の分野に適用性を有している。しかしながら、前記非カ
プセル形態の系にあっても、支持体が屈曲性を有し、屈
曲や変曲を繰り返すような適用形態にあっては、前記母
体樹脂をベースとする熱変色性皮膜が白化現象や色調の
変調を起こしがちである。これは、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合樹脂中に均一な分散状態に配列している
(ハ)成分の微粒子が屈曲等により、局部的に粒子が集
合するなどの不均一状態となり、光の乱反射が発生し、
本来の透明性が失われるばかりか、着色時の色調も変わ
ってしまうためである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記非カプセ
ル形態の系における、屈曲や変曲の繰り返しによる透明
性の低下や色調の変調を起こさせることなく、所期の機
能を効果的に発現させる温度依存性色彩記憶性樹脂積層
体を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を図面について説
明する(図1参照)。本発明者、屈曲性を有する支持体
2上にアンダーコート層3を介して可逆熱変色層4を設
けると共に、可逆熱変色層4上にオーバーコート層5を
積層した積層体1であって、前記可逆熱変色層4は、
(イ) 電子供与性呈色性有機化合物、 (ロ) フェノール
性水酸基を有する化合物、 (ハ) アルコール類、エステ
ル類、ケトン類、またはカルボン酸類のいずれかより選
んだ化合物を含む均質相溶体からなる熱変色成分が、数
平均分子量が4000乃至15000の塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合体を必須成分として含む母体樹脂中に微
粒子状に分散状態、又は固溶体状態にて固着されてな
り、温度の変化に依存して色の変化と共に透明度が可逆
的に変化し、その高温側トリガーと低温側トリガーとの
温度差が少なくとも10℃乃至50℃であり、前記低温側ト
リガー以下及び高温側トリガー以上の温度で変化させた
各様相を択一的に記憶保持できることを特徴とする温度
依存性色彩記憶性樹脂積層体1を要件とする。更には、
前記アンダーコート層3及びオーバーコート層5は、ポ
リエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、メ
タクリル樹脂及び/又は前記各樹脂の共重合樹脂から選
ばれる透明性の層であること、更には、前記支持体2が
透明性支持体であること、更には、前記支持体2が光輝
性、光輝度反射性、光干渉性、虹彩性、ホログラム性、
金属光沢性、真珠光沢性、蛍光性、燐光性のいずれかの
光学的性状を呈する支持体であることを要件とする。
【0005】前記温度依存性色彩記憶性樹脂積層体1
は、ある一つの低温側トリガーとある一つの高温側トリ
ガーを有し、低温側トリガー以下の温度では有色、不透
明、場合によっては有色、透明であり、高温側トリガー
以上では無色、透明の基本的な変化を有する。ここで、
トリガーとは「変化」が起きる温度を表し、色が変化す
る温度、及び又は透明性が変化する温度を表す。
【0006】前記母体樹脂は数平均分子量を4000乃
至15000とし、樹脂中に熱変色成分を粒子状態で分
散したり、固溶体状態で固着させてなる。母体樹脂の数
平均分子量が15000を越えるものは、被膜形成能力
に優れ、持久性を満たす反面、該熱変色性皮膜を屈曲す
る際、その被膜内で(ハ)成分の分散粒子が物理的に圧
力を受けることで局所的に集中したり、或いは分子自体
がひずみにより変形する。それに応じて初期の分散状態
の際に得られた透明性、着色濃度等が著しく損なわれ
る。本発明の特徴である数平均分子量が4000乃至1
5000の範囲である母体樹脂は、熱変色成分を母体樹
脂中に微粒子状態に分散状態、或いは固溶体状態に保持
して、屈曲や変曲等の応力を加えても、必要最低限の強
度を備えて順応し、白化現象等を発生させ難いが、屈曲
頻度の高い用途に対しては、耐屈曲強度、或いは支持体
に対する接着性等の物理強度が十分でない場合がある。
これらの物理強度を更に向上させる手段として、アンダ
ーコート層3とオーバーコート層5を介在させ、前記熱
変色層4を前記層間に位置させる積層構造が有効であ
り、殊に前記層3及び4がポリエステル樹脂、ポリウレ
タン樹脂、アクリル樹脂及びメタクリル樹脂、及び/又
は前記各樹脂の共重合樹脂から選ばれてなる系が効果的
である。
【0007】このようにして得られた積層体1は母体樹
脂を含む熱変色層4がアンダーコート層3とトップコー
ト層5間に位置しており、母体樹脂が有していない物理
強度を付与することが可能であると共に、屈曲の前後に
おいて、色調、透明度への影響を著しく抑えることが可
能である。本発明に使用される母体樹脂は、数平均分子
量4000乃至15000の塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合樹脂のみで構成される他、マレイン酸或いはヒドロ
キシアルキルアクリレート等の三元共重合樹脂によって
構成されてもよいし、25%(重量比)以下の構成モノ
マー比率で他のモノマー成分、例えばポリビニルアルコ
ール、アルキルアクリレート、マレイン酸等を含有して
もよい。
【0008】更には、塩化ビニル−酢酸ビニル−ビニル
アルコール共重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重
合体の併用、或いは本発明の母体樹脂に対し、その機能
を低下させない範囲、具体的には全母体樹脂中の20重
量%以内であれば、他の相溶可能な樹脂、例えば分子量
15000以上の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、
変性アルキド樹脂、不飽和ポリステル樹脂、飽和ポリエ
ステル樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン
樹脂、油溶性樹脂、油溶性セルロース樹脂、炭化水素樹
脂、酢酸ビニル樹脂、ブチラール樹脂、アクリル樹脂、
メチルメタクリレート樹脂、スチレンブタジエン共重合
樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプ
ロピレン樹脂、ポリアミド樹脂、スチレン樹脂、アクリ
ル−スチレン共重合樹脂、スチレン・マレイン酸樹脂、
塩化ゴム・シリコン樹脂、塩化ビニル−アクリル共重合
樹脂、塩化ビニル塩化ビニリデン共重合樹脂、ケトン樹
脂等を含有することもできる。
【0009】前記熱変色層4は、塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合樹脂を主体とする母体樹脂中に熱変色成分が均
質相溶体として微粒子状に分散するか、或いは固溶体状
態で固定されていることにより、安定的に可逆熱変色機
能を持続させることができる。これ以外の系、例えば、
100%塩化ビニル樹脂は通常の保存状態においても、徐々
に脱塩素反応により塩化水素を発生しやすく、電子供与
性呈色性有機化合物を不可逆的に発色させる。又、100%
酢酸ビニル樹脂は酢酸ビニル基の強い極性により三成分
系熱変色成分に対し強い減感性(永久的消色) を与え、
その結果、熱変色性をほとんど示さないため、いずれも
単独樹脂の組成においては、本発明の母体マトリックス
樹脂としては不適当である。一方、塩化ビニル樹脂と酢
酸ビニル樹脂のモノマー比率が適正である共重合体は、
脱塩素反応を極めて起こし難くなるばかりでなく、酢酸
ビニル樹脂の減感性が実質上発揮されない良好な雰囲気
を三成分系熱変色成分に与える。このように不可逆的な
発色性もなく、減感性も実質上ないような母体樹脂マリ
ックス樹脂として、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂
が好適に選定される理由がここにある。
【0010】本発明で使用する電子供与性呈色性有機化
合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物によ
って呈色する、いわゆるロイコ染料群が適用され、ジフ
ェニルメタンフタリド類、フルオラン類、ジフェニルメ
タンアザフタリド類、インドリルフタリド類、フェニル
インドリルフタリド類、フェニルインドリルアザフタリ
ド類、スチリルキノリン類、ピペリジン化合物、キゾリ
ン系化合物、ビスキナゾリン系化合物等がある。以下こ
れらの化合物を次に例示する。3,3−ビス(P−ジメチ
ルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3
−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル
−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、3−
(4−ジエチルアミノ−2−エトキシフェニル)−3−
(1−エチル−2−メチル インドール−3−イル)−
4−アザフタリド、1,3−ジメチル−6−ジエチルア
ミノフルオラン、2−クロロ−3−メチル−6−ジメチ
ルアミノフルオラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル
−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−
メチル−7−アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ
−6−メチル−7−キシリジノフルオラン、2−(2−
クロロアニリノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、
3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブト
キシフルオラン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノ
フルオラン、1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフル
オラン、1,2−ベンツ−6−エチルイソアミルアミノ
フルオラン、2−メチル−6−(N−p−トリル−N−
エチルアミノ)フルオラン、2−(N−フェニル−N−
メチルアミノ)−6−(N−p−トリル−エチルアミ
ノ)フルオラン、2−(3’−トリフルオロメチルアニ
リノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、3−クロロ−
6−シクロヘキシルアミノフルオラン、2−メチル−6
−シクロヘキシルアミノフルオラン、3−メトキシ−4
−ドデコキシスチリルキノリン等がある。
【0011】次にフェノール性水酸基を有する化合物と
しては、一価フェノール、二価フェノール及び多価フェ
ノールがあり、さらにベンゼン環の置換基としてアルキ
ル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル
基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロ
ゲン等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール
等がある。電子供与性呈色性有機化合物を呈色せしめる
フェノール化合物を以下に例示する。フェノール、o−
クレゾール、ターシャリーブチルフェノール、ノニルフ
ェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェ
ノール、n−ステアリルフェノール、p −クロロフェノ
ール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノー
ル、P−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキ
シ安息香酸n−オクチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−
ドデシル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,2−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,4’−
ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス(4’
−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4’−
ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル−1,1−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エチルプロ
ピオネート、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)−4−メチルペンタン、1,1−ビス(4’−ヒド
ロキシフェニル)−2−メチルプロパン、2,2−チオ
ビス(6−ターシャリーブチル−3−メチルフェノー
ル)、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキ
サフルオロプロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)n−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒ
ドロキシフェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4’
−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)n−デカン、1,1−ビ
ス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、2,2
−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、
2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナン
等がある。一般にフェノール化合物はそのフェノール性
水酸基のために比較的極性が高いため、極性の低い前記
(ハ) 成分に対する溶解性が乏しい。溶解性が悪いと、
母体樹脂マトリックス中に微粒子状で分散された三成分
からなる熱変色成分において、フェノール性化合物と前
記(ハ) 成分は析出、分離現象を起こしやすく、ブリー
ドの原因となったり、良好な可逆的色変化を生起しなく
なり、実用上の点で安定を欠くことが少なくない。
【0012】かかる理由から、好ましくは下記一般式で
示したフェノール性化合物をフェノール性水酸基を有す
る成分として100%(重量)或いは少なくとも50%
(重量)以上の比率で使用することが好ましい。前記
(ハ) 成分に対して、良好な溶解性を有するフェノール
化合物としては下記一般式の構造を有するフェノール性
水酸基を有する化合物が特に好ましい。
【化1】 [ 但し、R1 はH又はCH3 を、R2 はCn 2n+1(4
<n<11)又はR1 =R2 =CF3 をそれぞれ表す。
又、Cn 2n+1は直鎖及び側鎖のアルキル基を表す。X
は芳香環の置換基を表す。又、X=H、又はCH3 、又
はハロゲンを表す。〕 以下、前記一般式の化合物を例示するが、これらに限定
されるものではない。1,1−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)−4−メチルブタン、1,1−ビス(4’−
ヒドロキシフェニル)n−ペンタン、1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,
1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナ
ン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ド
デカン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n
−ヘプタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)n−ノナン、1,1−ビス(3’−メチル−4’−
ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
等を挙げることができる。
【0013】次に、アルコール類としては炭素数が10
以上の脂肪族一価の飽和アルコールが使用される。以下
に化合物を例示する。デカン1−オール、ウンデカン1
−オール、ラウリルアルコール、トリデカン1−オー
ル、ミリスチルアルコール、ペンタデカン1−オール、
セチルアルコール、ヘプタデカン1−オール、ステアリ
ルアルコール、オクタデカン2−オール、エイコサン1
−オール、ドコサン1−オール、6−(パーフルオロ−
7−メチルオクチル)ヘキサノール、等がある。本発明
に適用するエステル類化合物は下記(a)〜(d)に大
別される。 (a)一価の脂肪酸と、脂肪族一価アルコール又は脂環
を有する一価のアルコールからなる総炭素数が10以上
エステル類 (b)脂肪族二価又は多価カルボン酸と、脂肪族一価ア
ルコールまたは脂環を有する一価のアルコールからなる
総炭素数28以上の多塩基酸エステル類 (c)脂肪族二価または多価アルコールと一価の脂肪酸
からなる総炭素数26以上のエステル類 (d)芳香環を有する二価アルコールと一価の脂肪酸か
らなる総炭素数28以上のエステル類
【0014】前記(a)の一価の脂肪酸と、脂肪族一価
アルコールまたは脂環を有する1価のアルコールからな
る総炭素数が10以上エステル類を以下に例示する。カ
プリル酸エチル、カプリル酸n−ブチル、カプリル酸n
−オクチル、カプリル酸ラウリル、カプリル酸セチル、
カプリル酸ステアリル、カプリン酸n−ブチル、カプリ
ン酸n−ヘキシル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸
ドコシル、ラウリン酸メチル、ラウリン酸2−エチルヘ
キシル、ラウリン酸n−デシル、ラウリン酸ステアリ
ル、ミリスチン酸エチル、ミリスチン酸3−メチルブチ
ル、ミリスチン酸2−メチルペンチル、ミリスチン酸n
−デシル、ミリスチン酸セチル、ミリスチン酸ステアリ
ル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペン
チル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウン
デシル、 パルミチン酸ラウリル、パルミチン酸ミリス
チル、パルミチン酸セチル、パルミチン酸ステアリル、
パルミチン酸シクロヘキシル、パルミチン酸シクロヘキ
シルメチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチ
ル、ステアリン酸n−プロピル、ステアリン酸n−ブチ
ル、ステアリン酸n−アミル、ステアリン酸2─メチル
ブチル、ステアリン酸n−ヘキシル、ステアリン酸n−
ヘプチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシ
ル、ステアリン酸n−オクチル、ステアリン酸2─エチ
ルヘキシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n
−デシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸
ラウリル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸
ミリスチル、ステアリン酸n−ペンタデシル、ステアリ
ン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸エ
イコシル、ステアリン酸n−ドコシル、ステアリン酸シ
クロヘキシル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ス
テアリン酸オレイル、ステアリン酸イソステアリル、
1,2−ヒドロキシステアリン酸n−ブチル、ベヘン酸
n−メチル、ベヘン酸n−エチル、ベヘン酸n−プロピ
ル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸n−ブチル、ベヘ
ン酸イソブチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸
n−アミル、ベヘン酸ネオペンチル、ベヘン酸n−ヘキ
シル、ベヘン酸2─メチルペンチル、ベヘン酸n−ヘプ
チル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸n−ノニ
ル、ベヘン酸ミリスチル、ベヘン酸n−ウンデシル、ベ
ヘン酸ラウリル、ベヘン酸n−トリデシル、ベヘン酸ミ
リスチル、ベヘン酸n−ペンタデシル、ベヘン酸セチ
ル、ベヘン酸ステアリル、ベヘン酸ベヘニル等がある。
【0015】前記(b)の脂肪族二価又は多価カルボン
酸と、脂肪族一価アルコールまたは脂環を有する一価の
アルコールからなる総炭素数28以上の多塩基酸エステ
ル類を以下に例示する。シュウ酸ジ−ミリスチル、シュ
ウ酸ジ−セチル、マロン酸ジ−ラウリル、マロン酸ジ−
セチル、マロン酸ジ−ステアリル、コハク酸ジ−ラウリ
ル、コハク酸ジ−ミリスチル、コハク酸ジ−セチル、コ
ハク酸ジ−ステアリル、グルタル酸ジ−ラウリル、アジ
ピン酸ジ−ウンデシル、アジピン酸ジ−ラウリル、アジ
ピン酸ジ−n−トリデシル、アジピン酸ジ−ミリスチ
ル、アジピン酸ジ−セチル、アジピン酸ジ−ステアリ
ル、アジピン酸ジ−n−ドコシル、アゼライン酸ジ−n
−デシル、アゼライン酸ジ−ラウリル、アゼライン酸ジ
−n−トリデシル、セバシン酸ジ−n−ノニル、セバシ
ン酸ジ−ミリスチル、セバシン酸ジ−ステアリル、1,
18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジ−n−ペン
チル、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジ
−n−オクチル 1,18−オクタデシルメチレンジカ
ルボン酸ジ−(シクロヘキシルメチル)、1,18−オ
クタデシルメチレレンジカルボン酸ジ−ネオペンチル、
1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸−ジ−n
−ヘキシル、1,18−オクタデシルメチレンジカルボ
ン酸−ジ−n−ヘプチル、1,18−オクタデシルメチ
レンジカルボン酸−ジ−n−オクチル等がある。
【0016】前記(c)の脂肪族二価及び多価アルコー
ルまたは脂環を有するか2価及び多価アルコールと一価
の脂肪酸からなる総炭素数26以上のエステル類を以下
に例示する。エチレングリコールジ−ミリステート、エ
チレングリコールジ−パルミテート、エチレングリコー
ルジ−ステアレート、プロピレングリコールジ−ラウレ
ート、プロピレングリコールジ−ミリステート、プロピ
レングリコールジ−パルミテート、ブチレングリコール
ジ−ステアレート、ヘキシレングリコールジ−ラウレー
ト、ヘキシレングリコールジ−ミリステート、ヘキシレ
ングリコールジ−パルミテート、ヘキシレングリコール
ジ−ステアレート、1,5−ペンタンジオールジ─ステ
アレート、1,2,6−ヘキサントリオール─ジミリス
テート、ペンタエリスリトールトリミリステート、ペン
タエリスリトールテトララウレート、1,4−シクロヘ
キサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジオ
ールジミリスチル、1,4−シクロヘキサンジオールジ
ステアリル、1,4−シクロヘキサンジメタノールのジ
ラウレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールのジ
ミリステート等が挙げられる。
【0017】前記(d)の芳香環を有する二価アルコー
ルと一価の脂肪酸からなる総炭素数28以上のエステル
類を以下に例示する。キシレングリコールジ−カプリネ
ート、キシレングリコールジ−n−ウンデカネート、キ
シレングリコールジ−ラウレート、キシレングリコール
ジ−ミリステート、キシレングリコールジ−パルミテー
ト、キシレングリコールジ−ステアレート等が挙げられ
る。
【0018】次に、ケトン類としては炭素数10以上の
化合物が使用され、デカン2−オン、ウンデカン2−オ
ン、ラウロン、ステアロンが挙げられる。カルボン酸類
としては炭素数12以上の高級脂肪酸が使用され、ラウ
リン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、
ベヘン酸等が挙げられる。(ハ)成分として使用される
化合物は前記、アルコール類、エステル類、ケトン類、
カルボン酸類から一種、または二種以上を選択して使用
してもよい。複数の化合物を併用して用いる場合には、
色の変化及び透明性の変化を引き起こすトリガー温度の
設定により自由度が増える利点がある。
【0019】更に、本発明においてブレンドされるヒン
ダードアミン系化合物は、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂
100重量部に対して、0.1〜10重量部、より好ま
しくは0.5〜5重量部のピペリジン誘導体から選ばれ
る。前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂は、既述の
とおり塩化ビニル樹脂の脱塩素を極めて起こし難く、酢
酸ビニル樹脂の減感性を実質上発揮させない熱変色成分
の良好な母体として効果的であるが、室温における長期
の保存(2〜3ケ月)、又は50℃以上における1週間
以上の保存においては、塩化ビニルモノマー系から微量
に発生する塩化水素によってロイコ染料と呈色反応を生
起させ、不可逆発色、即ち、消色時の色残りの発生を起
こしがちであるが、前記ヒンダードアミン系化合物の配
合により、前記した不具合は解消される。前記化合物の
配合により、未添加の系における初期状態における温度
−色濃度曲線を実質上変化させることなく、経時的にも
熱的にも安定的に初期の変色特性を持続させることがで
きる。従来、塩化ビニルモノマー系からの熱的要因によ
る遊離の塩素原子に基づく塩化水素の抑制手段として種
々の安定剤が知られているが、従来の添加剤は単なる樹
脂の熱的分解抑制のために使用された。本発明におい
て、微量の塩化水素の発生は、敏感にロイコ染料と呈色
反応を生起させ、不可逆の残色の発生を引き起こす。こ
れを防止するには従来の単なる分解劣化抑制による手段
による効果を上回る手段を必要とする。従来より知られ
ている塩化ビニル樹脂の安定剤として、燐酸エステル、
エポキシ化エステル、脂肪酸金属塩、有機錫化合物、鉛
化合物、ヒンダードフェノール類が知られているが、燐
酸エステル、エポキシ化エステルは変色鋭敏性に著しく
悪影響を与えるため、熱変色成分としての機能を低下さ
せる。更には、本発明組成物が着色状態で保存された場
合には、前記(イ)、(ロ)成分と、これら添加剤が局
所的に融合する結果、消色し難くなるという影響を与え
る。一方、有機錫化合物、鉛化合物は重金属を含有する
ため安全性の面から、用途が限定され、又、添加初期か
ら不可逆発色を生起させる大きな欠点をもつ。又、脂肪
酸金属塩は実質上、ロイコ染料と樹脂の熱分解により発
生する塩化水素とロイコ染料の反応を抑制するには至ら
なかった。よって、ロイコ染料と塩化ビニル−酢酸ビニ
ル共重合樹脂より発生した塩化水素により起こる不可逆
発色を防止する検討を加えた結果、前記ヒンダードアミ
ン系化合物が最も効果的である。該化合物は熱変色特性
に悪影響を及ぼさない、即ち変色鋭敏性を損なわないこ
と、発色濃度を低下させないこと、良好な消色性を保つ
こと等の全ての要件を満たす。
【0020】前記ヒンダードアミン系化合物としては、
例えば、ポリ〔〔6−(N−モルホリノ)−1,3,5
−トリアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−
テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレ
ン〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)イミノ〕(商品名スミソルブ500、住友化学工業
(株)製)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸
テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)(アデカアーガス社製)、ポリ〔〔6−1,1,
3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−ト
リアジン−2、4-ジイル〕(2,2,6,6−テトラメチ
ル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕
(商品名:チヌビン944−LD、チバガイギー社
製)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチ
ル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン重縮合物(チヌビン622LD、チバガイギ
ー社製)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,
2,2,6,6−ペンタチル−4−ピペリジル)(チヌ
ビン144、チバガイギー社製)、N、N, −ビス(3
−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス
〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチ
ル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,
5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:サノー
ルLS770、三共(株)製)、ビス(N −メチル−
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバ
ケート(商品名:サノールLS292、三共(株)
製)、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジン(商品名:サノールLS−74
4、三共(株)製)、8−アセチル−3−ドデシル−
7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザ
スピロ〔4.5〕デカン−2,4−ジオン(サノールL
S−440、三共(株)製)、1−〔2−〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、三共
(株)製)、2,2,4,4−テトラメチル−20−
(βーラウリル−オキシカルボニル)−エチル−7−オ
キサ−3,20−ディアザデイスピオ(5,1,11,
2)ヘンエイコサン−21−オン(商品名:Sandu
vor305、サンド社製)、〔N−(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジル)−β−アラニン〕ド
デシルエステル、ミリスチルエステル混合物(商品名:
Sanduvor3052、サンド社製)、5−ノルボ
ルネン−2,3−ジカルボキシリックアシドビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステ
ル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシリックア
シドビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)エステル等が挙げられる。
【0021】次に、本発明の熱変色性組成物を調製する
方法を説明する。色の変化を温度の変化に応じて安定的
に機能させるために、 (イ) 、 (ロ) 、 (ハ) 三成分か
らなる熱変色成分は母体樹脂中に、0.1 〜2.0 μm
の範囲の微粒子状態或いは微粒子構造をとらない固溶体
状態で分散されることが好ましい。
【0022】前記三成分相溶体を母体樹脂中に、より均
一に微小な形状で分散する方法として、いわゆる分散助
剤の使用が著しい効果を有する。かかる分散助剤は前記
三成分に対して、化学的悪影響の程度が小さい物質が好
ましい。かかる分散効果を有する化合物は概して表面張
力、界面張力を著しく低下する効果を有し、当該作用に
より母体樹脂中に三成分系熱変色成分を単核状に微細分
散する作用を示す。
【0023】以下に、かかる化合物を例示する。シロキ
サン誘導体としてポリエーテル変性ジメチルポリシロキ
サン、ポリエーテル変性メチルアルキルポリシロキサ
ン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエ
ステル変性メチルアルキルポリシロキサン等が、フッ素
系化合物として、フロラードFC−430、フロラード
FC−431(住友スリーエム(株)製、フッ素化合
物)等のフッ素化アルキルエステル類が、特殊ポリマー
系として、アクリロニトリル−(2−メタクリロイルオ
キシエチル)トリメチルアンモニウム−メチルサルフェ
イト─ジメチルアミノエチルメタクリレート等がそれぞ
れ挙げられる。
【0024】熱変色性ー材料が母体樹脂中で0.1μm
〜2.0μmの微粒子を形成する際、単一核の形状で均
一に分散させる効果を有し、且つ、合一及び凝集を防止
するために特段の効果を有する添加剤は、熱変色成分10
0 重量部に対して、0.002%〜0.05%の範囲で
使用され、熱変色性組成物に対する化学的影響を低減さ
せるためには0.002%〜0.05%の使用が好まし
い。( 但し、分散剤の量は固形分べース)
【0025】通常、母体樹脂と前記三成分は、下記の一
種、又は二種以上の溶剤を用いて溶解され、この過程で
必要によってヒンダードアミン系化合物が添加される。
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂の溶解性の点から、
ケトン系の溶剤を富溶剤として使用する必要がある。当
該溶剤は前記三成分に対しても富溶剤として働く。
【0026】ケトン系溶剤としては、アセトン、メチル
エチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサ
ノン、メチルイソプロピルケトン、メチルn−プロピル
ケトン等がある。
【0027】芳香族系の溶剤は塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合樹脂に対し貧溶剤として働くが、前記ケトン系溶
剤と併用して用いるのが好ましい。芳香族系の溶剤とし
ては、トルエン、キシレン、等の溶剤が使用される。
【0028】その他の溶剤としては、イソプロピルアル
コール、及びn−ブタノール等のアルコール系溶剤、酢
酸n−エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢
酸イソブチル等のエステル系溶剤、ヘキサン、シクロヘ
キサン、エチルシクロヘキサン、ミネラルスピリット等
の炭化水素溶剤、その他グリコールモノアルキルエーテ
ル類の溶剤が希釈剤或いは蒸発性の調整剤として使用で
きる。
【0029】前述の溶剤類を適宜組み合わせて、実質上
均一に溶解された熱変色性組成物溶液は、スプレー塗
装、スクリーン印刷、グラビア印刷、ロールコート、リ
バースコート等によってアンダーコート層上に塗工され
る。塗工後、室温乾燥、又は加熱乾燥によって前記溶剤
を完全に蒸発乾燥させる。前記三成分は蒸発の過程を通
して、母体樹脂中に微粒子状に分散される。本発明の効
果を最大限に発揮させるために、前述した通り、分散粒
子は実質上単一の粒子である事が好ましい。単一の粒子
で粒子径0.1〜2.0μmの範囲で発現させるために
は、熱変色性組成物を溶解する溶剤の選定が重要であ
る。熱変色性組成物溶液を物理的に均一に塗工するため
に、種々の添加剤の添加が可能である。かかる添加剤と
しては公知のものが適用され、タレ防止剤、レベリング
剤、消泡剤、増粘剤、耐摩擦向上剤などが適応できる。
但し、前記三成分に対する化学的影響を持たない、又は
極力その影響が少ない添加剤を必要最低限の量で使用す
ることが好ましい。
【0030】特に、積層体の形成に関し、形成層が物理
的に平滑でないと当該層の表面において乱反射を伴うた
め、外観は言うまでもなく高温側トリガー以上の温度に
おいて透明性を著しく損なう。このため、前記組成物の
層形成においてはかかる表面の平滑性は透明性に対し重
要な要因となる。化学的影響が少なく、且つ平滑性を付
与する各種公知の添加剤を使用することができる。更
に、熱変色性組成物の耐光性、安定性を向上する目的
で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、そ
の他の光安定剤が使用できる。又、本発明組成物は基本
的には低温側トリガー以下の温度においては有色不透
明、場合によっては有色透明、高温側トリガー以上では
無色透明であるが、さらに一般の染料または透明性を有
する一般の顔料を併用することによって、有色〔1〕─
有色〔2〕の互変性を付与することができる。
【0031】次に、屈曲性を有する支持体について説明
する。前記支持体は、透明フィルムとして、ポリエステ
ルフィルム(アモルファスポリエステル)、ポリカーボ
ネート、ポリスチレン、スチレン−ブタジエンブロック
共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、
アクリル樹脂、メチルメタクリレート樹脂、エポキシ樹
脂、ポリプロピレン樹脂、硬質または軟質塩化ビニル樹
脂、アクリロニトリル−ブタジエン─スチレン共重合樹
脂(透明グレード)、ポリプロピレン樹脂等が使用でき
る。又、軟質のプラスチック多孔体や織布等を例示でき
る。又、光輝性、光輝度反射性、光干渉性、虹彩性、ホ
ログラム性、金属光沢性、真珠光沢性、蛍光性、燐光性
等の光学性状を呈する支持体として、具体的には、有機
合成フィルム基材の片面もしくは両面に金属薄膜層を積
層してなる光輝〜光輝度反射フィルム(例えば、アルミ
ニウムの薄膜上に銀の薄膜を形成したもの、有機合成フ
ィルムにアルミニウム、クロム、銀、銅等の金属薄膜を
積層したもの、更に前記金属薄膜の表面に屈折率の異な
る透明な薄膜を交互に多層積層し光反射性を増大させた
もの)、支持体の表面に該支持体と屈折率が0.05以
上の差がある透明な金属化合物(例えば、酸化チタン、
酸化ケイ素、酸化亜鉛、硫化カドミウム、弗化マグネシ
ウム、弗化セリウム等)の薄膜層を形成し、該薄膜と屈
折率が0.05以上の差がある凹凸の透明樹脂層の順に
積層した虹彩模様を有する積層体、硫化亜鉛、酸化チタ
ン、酸化物、弗化マグネシウム及びヨウ化銅の如き化合
物を複層蒸着したもの、光線反射膜、凹凸状の干渉樹脂
膜及び半透明金属薄膜を設けたもの、結合剤としての有
機樹脂媒体中にレンズとしての一群の連続した高屈折率
ガラスビーズの単層とその背後の光反射層を含む多層複
合体からなるもの等の再帰性反射特性を有するものフイ
ルム、屈折率が異なる透明なプラスチック薄膜に多層に
積層し虹彩性を付与した光学干渉フイルム、微細な凹凸
模様の少なくとも片面に光反射層を有するホログラム、
金属性鏡面の表面に有色又は無色の塗料によって、光の
干渉を引き起こす程度に薄い膜厚となった透明皮膜を被
覆形成したもの、或いは前記透明皮膜の一部を所望点を
中心とした放射線に沿って肉厚として肉厚条部を形成し
た虹彩模様及び放射線模様を生ずるもの等の金属膜表面
で反射された光線と透明皮膜表面で反射されて光線との
重なりあって、いわゆる「薄膜干渉」を発生させるも
の、透明樹脂溶液に微細なアルミニウム、銅、真鍮、
金、銀、ニッケル等の金属粉末、又はプラスチック蒸着
粉末、例えば、ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、塩
化ビニル樹脂に常法により金属蒸着し、粉砕した粉末を
塗工したもの、リーフィングタイプのアルミニウム、
銅、亜鉛、銅合金をバインダーと共に塗布したもの、金
箔、銀箔等の金属箔にるもの、金属光沢顔料(例えば、
天然雲母の表面を酸化チタンで被覆した金色、銀色、メ
タリックレッド、メタリックブルー、メタリックグリー
ンその他のメタリック色)や真珠光沢顔料、蛍光染顔
料、燐光性顔料等による着色支持体等を挙げることがで
きる。
【0032】本発明の熱変色成分を含む母体樹脂を支持
体に積層する場合、前述した通り溶剤類に溶解して塗工
するが、この溶剤類が支持体を溶解・膨潤させて、熱変
色成分に対して熱変色機能に関わる化学的悪影響と透明
性に関わる物理的影響を与えることが少なくない。例え
ば、ポリスチレン樹脂の支持体にメチルイソブチルケト
ンに溶解された熱変色性組成物をスプレーで塗工する
と、前記溶剤が支持体樹脂を溶解し、母体樹脂中にポリ
スチレン樹脂が移行する。この結果、熱変色成分の熱変
色機能が化学的に影響を受けやすい。このため、まえも
って支持体の表面にアンダーコート層3を形成し、その
後に熱変色成分を含む母体樹脂を積層する。
【0033】前記アンダーコート用樹脂としては、、ポ
リエステル、ポリウレタン、アクリル樹脂、及びメタク
リル樹脂、又はそれらの共重合樹脂から選ばれる透明性
樹脂が挙げられる。
【0034】更に、熱変色層4の上層にトップコート層
5を塗工する場合にも、トップコート用の溶剤が熱変色
層(熱変色性組成物層)を再溶解すると、熱変色成分の
組成比率が変動するばかりでなく、熱変色機能及び透明
性/不透明性機能にも重大な影響を与える。このためト
ップコートに適用される溶剤は可逆熱変色層を実質上溶
解又は膨潤しない組成を適用する必要がある。好適な溶
剤としては水、アルコール類、グリコールエーテル類、
脂肪族炭化水素系溶剤である。かかる溶剤類に易溶解
性、又は分散系の樹脂で、かつ塩化ビニル−酢酸ビニル
共重合樹脂との接着性の良い樹脂としてポリエステル、
ポリウレタン、アクリル樹脂、及びメタクリル樹脂、又
はそれらの共重合樹脂から選ばれる透明性樹脂が挙げら
れる。中でも、前記樹脂をアルコール溶剤及び/又は脂
肪族炭化水素溶剤が全溶剤分の40%以上を占める溶剤
組成で溶解して積層すると熱変色性組成物に悪影響を及
ぼすことなく、適正な塗布性を満たし、密着性のある透
明のトップコート層となる。前記アンダーコート層及び
トップコート層は、熱変色性組成物の熱変色機能が阻害
されることを防止するのみでなく、前述した数平均分子
量4000乃至15000の塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合樹脂を主体とする層の強度を補強し、積層体の物理
強度を向上させる。
【0035】前記アンダーコート層3及びトップコート
層5中には、熱変色層の耐光性向上の目的で紫外線吸収
剤、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、着色剤、その他の
光安定剤を含有することもできる。
【0036】
【作用】本発明の温度依存性色彩記憶性樹脂積層体は、
数平均分子量4000乃至15000の塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合樹脂を主体とする母体樹脂中に、
(イ)、(ロ)、(ハ)三成分からなる熱変色成分を分
散させた熱変色性組成物による熱変色層が、前記いずれ
の成分の樹脂表面へのブリードもなく安定的に保持さ
れ、温度変化により色調が可逆的に変化し、高温側トリ
ガーと低温側トリガーとの温度差が少なくとも10℃以
上50℃以下の大きなヒステリシス特性を有すると共
に、屈曲等の曲げにより白化現象を起こすことがない。
よって、前記熱変色層の着色時の色調や透明性が損なわ
れない。又、前記熱変色層は、ポリエステル樹脂、ポリ
ウレタン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂から選ば
れる、又は、それらの共重合樹脂から選ばれる透明樹脂
からなるアンダーコート層及びトップコート層の中間に
存在させることによって、下地層との接着性、及び、積
層体の物理強度が向上する。又、本発明の温度依存性色
彩記憶性樹脂積層体は、支持体として用いられる、透明
性、光輝性、光沢性等の光学的性状を有する下地層の光
学的特性を損なうことなく明瞭に透視される。
【0037】
【実施例】本発明を実施例によって更に詳しく説明す
る。なお実施例中の部はすべて重量部である。尚、ヒス
テリシス幅に関して、有色から無色に変化させた後に、
低温側冷却する時には、昇温時の温度が高温側トリガー
以下の近傍にあると、ヒステリシス幅は小さくなる。本
発明のヒステリシス幅は、ある1つの可逆熱変色成分に
ついての最大ヒステリシス幅をいう。以下実施例1乃至
3及び比較例1、2の、熱変色成分の変色温度測定方
法、及び積層体の屈曲試験方法、及び曇価の測定方法を
示す。 (1)変色温度測定方法 熱変色性組成物が塗工されたPETフィルムの裏面に厚
さ60μmの白色合成紙に両面テープを貼りつけ、測定
用サンプルとした。測定用サンプルをさらに両面テープ
を用いて、加熱・冷却用容器の底面に貼りつける。可逆
熱変色成分が色差計(TC−3600型色差計、(株)
東京電色製)の光源側に向けてセットする。加熱・冷却
用容器中に水を入れ、毎分10℃の条件で降温(50℃
から0℃へ)と昇温(0℃から50℃へ)を1サイクル
として変化させ、各温度における試料の明度をグラフに
プロットした。 (2)屈曲試験方法 積層体の可逆熱変色成分が塗布された面を表面とし、P
ETフィルムを裏面とすると、積層体の裏面と裏面が全
面接合するように、中心部より180°屈曲させる。こ
の屈曲させた状態の積層体を元の状態まで戻し、前記屈
曲部より2mmの間隔をあけて前記方法と同様に屈曲さ
せ、元の状態まで戻す。この動作を2mm間隔にて5回
行った後、前記屈曲方向に直角方向にて同様の操作を5
回繰り返し行う。この屈曲試験により、積層体に格子状
に折り目ができる。 (3)曇価の測定方法 20℃の室温下、対象側に実施例に使用したフィルムと
同一のPETフィルムを用いて、各実施例及び比較例に
従って得られた積層体を試料側にセットし、色差・濁度
測定機〔CDH−300A 日本電色工業(株)製〕に
て屈曲試験前と試験後の、着色状態及び消色状態の曇価
を20℃にて測定した。
【0038】実施例1 1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン0.5
部、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサ
ン1.0部、カプリン酸ステアリル0.7部、セチルア
ルコール0.7部をデンカビニル1000ALK〔塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂 数平均分子量:138
00 電気化学工業(株)製〕を30%MEK溶液20
部に溶解した。更に、Byk−310(ポリエステル変
性ジメチルポリシロキサン、Byk chemie社
製)0.01部、サノールLS770(ピペリジン誘導
体、三共(株)製)0.06部を添加し、可逆熱変色性
インキを得た。上記インキをアンダーコート層3とし
て、乾燥塗膜が透明なポリエステル樹脂〔エリーテルU
E−3300ユニチカ(株)製〕が2μmの膜厚で塗工
された75μの透明PETフィルム(支持体2)上に、
アプリケーターを用いて、乾燥時の膜厚が約15μmに
なるようにコーティングして可逆熱変色層4とした後、
100℃×3分間乾燥し、更にその上面にトップコート
層5として乾燥塗膜が透明なポリウレタン樹脂〔レザミ
ンNE−8883HV、大日精化(株)製〕の50%イ
ソプロピルアルコール溶液を乾燥膜厚5μmになるよう
にアプリケーターに塗工し、70℃にて1分間乾燥し、
温度依存性色彩記憶性樹脂積層体1を得た。得られた積
層体1は低温側トリガー:約6℃、高温側トリガー:約
30℃の2つのトリガーであり、ヒステリシス幅は約1
6℃のものであり、前記高温側トリガー以上で消色する
とともに透明となり、低温側トリガー以下でピンク色に
発色する。低温側トリガーと高温側トリガーの間の温度
域では前記二状態を選択的にとりうることができ、繰り
返し何度も行うことができる。前記温度依存性色彩記憶
性樹脂積層体1の変色温度曲線を図2に示す。
【0039】実施例2 1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン0.5
部、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサ
ン1.0部、カプリン酸ステアリル0.7部、セチルア
ルコール0.7部をビニライトVYLF−X〔塩化ビニ
ル−酢酸ビニル共重合樹脂 数平均分子量:12000
ユニオンカーバイト(株)製〕を30%MEK溶液2
0部に溶解した。更に、Byk−310(ポリエステル
変性ジメチルポリシロキサン、Byk chemie社
製)0.01部、サノールLS770(ピペリジン誘導
体、三共(株)製)0.06部を添加し、可逆熱変色性
インキを得た。上記インキを乾燥塗膜が透明なポリウレ
タン樹脂〔オレスターNL−2371、三井東圧化学
(株)製〕が2μmの膜厚で塗工された75μの透明P
ETフィルム上に、アプリケーターを用いて、乾燥時の
膜厚が約15μmになるようにコーティング後、100
℃×3分間乾燥し、更にその上面に乾燥塗膜が透明な熱
可塑性アクリル樹脂〔ダイヤナールBR−101、三菱
レーヨン(株)製〕の20%イソプロピルアルコール溶
液を乾燥膜厚5μmになるようにアプリケーターに塗工
し、70℃にて1分間乾燥し、温度依存性色彩記憶性樹
脂積層体を得た。前記温度依存性色彩記憶性樹脂積層体
の変色特性及び変色温度曲線は実施例1と同様であっ
た。
【0040】実施例3 1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン0.5
部、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサ
ン1.0部、カプリン酸ステアリル0.7部、セチルア
ルコール0.7部をビニライトVYES〔塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合樹脂 数平均分子量:4000 ユニ
オンカーバイト(株)製〕を30%MEK溶液20部に
溶解した。更に、Byk−310(ポリエステル変性ジ
メチルポリシロキサン、Byk chemie社製)
0.01部、サノールLS770(ピペリジン誘導体、
三共(株)製)0.06部を添加し、可逆熱変色性イン
キを得た。上記インキを用いて、実施例1と同様の方法
で温度依存性色彩記憶性樹脂積層体を得た。前記温度依
存性色彩記憶性樹脂積層体の変色特性及び変色温度曲線
は実施例1と同様であった。
【0041】比較例1 1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン0.5
部、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサ
ン1.0部、カプリン酸ステアリル0.7部、セチルア
ルコール0.7部をビニライトVYHH〔塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合樹脂 数平均分子量:27000 ユ
ニオンカーバイト(株)製〕を30%MEK溶液20部
に溶解した。更に、Byk−310(ポリエステル変性
ジメチルポリシロキサン、Byk chemie社製)
0.01部、サノールLS770(ピペリジン誘導体、
三共(株)製)0.06部を添加し、可逆熱変色性イン
キを得た。上記インキを用いて、実施例1と同様の方法
で温度依存性色彩記憶性樹脂積層体を得た。前記温度依
存性色彩記憶性樹脂積層体の変色特性及び変色温度曲線
は実施例1と同様であった。
【0042】比較例2 1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン0.5
部、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサ
ン1.0部、カプリン酸ステアリル0.7部、セチルア
ルコール0.7部をビニライトVYHD〔塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合樹脂 数平均分子量:22000 ユ
ニオンカーバイト(株)製〕を30%MEK溶液20部
に溶解した。更に、Byk−310(ポリエステル変性
ジメチルポリシロキサン、Byk chemie社製)
0.01部、サノールLS770(ピペリジン誘導体、
三共(株)製)0.06部を添加し、可逆熱変色性イン
キを得た。上記インキを用いて、実施例1と同様の方法
で温度依存性色彩記憶性樹脂積層体を得た。前記温度依
存性色彩記憶性樹脂積層体の変色特性及び変色温度曲線
は実施例1と同様であった。
【0043】実施例1乃至3及び比較例1、2で得た温
度依存性色彩記憶性樹脂積層体の20℃の室温下におけ
る屈曲試験前の着色時と消色時の曇価、及び屈曲試験後
の着色時と消色時の曇価、更に、屈曲試験前と試験後の
曇価の上昇率の値を表1に示す。
【表1】 又、75μm厚の透明PETフィルムの屈曲試験前と試
験後の曇価を表2に示す。
【表2】
【0044】応用例1 実施例1の75μm厚の透明PETフィルムの代わり
に、光輝性及び立体感を有する、25μm厚のホログラ
ムフィルム(商品名、Sparkles、SPECTR
ATEK社製)を用いる以外は、同様の方法で温度依存
性色彩記憶性樹脂積層体を得た。得られた積層体は、低
温側トリガー:約6℃、高温側トリガー:約30℃の2
つのトリガーであり、ヒステリシス幅は約16℃のもの
であり、前記高温側トリガー以上で消色するとともに透
明となり、ホログラムフィルムの光沢感を有し、低温側
トリガー以下でピンク色に発色してホログラムフィルム
を隠蔽した。又、低温側トリガーと高温側トリガーの間
の温度域では前記二状態を選択的にとりうることがで
き、繰り返し何度も行うことができる。
【0045】
【発明の効果】本発明の温度依存性色彩記憶性樹脂積層
体は、熱変色層が温度変化に依存して着色状態及び消色
状態の両状態を互変的に呈して、色変化を視覚させると
共に、曲げによる透明性の低下や色調の変調が抑止され
る。又、特定の樹脂或いは、それらの共重合樹脂から選
ばれる透明樹脂からなるアンダーコート層及びトップコ
ート層を設けることによって、下地層との接着性が良
く、然も積層体の強度も向上するため、様々な用途、殊
に屈曲や伸縮を伴う材料、物品等に好適に用いることが
できる。更に、透明性、光輝性、光沢性等の光学的性状
を持つ下地層の、前記光学的性状を損なうことなく隠顕
させることができる。よって、玩具性、意外性、装飾
性、趣向性等を満たす熱変色性積層体として、玩具、人
形、娯楽用具、運動具、紙類、文房具、印刷物、被服、
布製身回り品、装身具、カバン、袋物、宝飾品、化粧用
品、合成皮革、履物、布帛、建具、屋内装置品、敷物、
壁紙、包装用容器、包装用材料、日用雑貨品、台所用
品、コップ等、多様な分野に適用され、顕著性、特異性
を付与でき、商品性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明色彩記憶性樹脂積層体の拡大縦断面図で
ある。
【図2】本発明色彩記憶性樹脂積層体の温度−色濃度の
関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 温度依存性色彩記憶性樹脂積層体 2 支持体 3 アンダーコート層 4 可逆熱変色層 5 トップコート層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 須貝 淳 愛知県名古屋市昭和区緑町3丁目17番地 パイロットインキ株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】屈曲性を有する支持体上にアンダーコート
    層を介して可逆熱変色層を設けると共に、可逆熱変色層
    上にオーバーコート層を積層した積層体であって、前記
    可逆熱変色層は、 (イ) 電子供与性呈色性有機化合物、
    (ロ) フェノール性水酸基を有する化合物、 (ハ) アル
    コール類、エステル類、ケトン類、またはカルボン酸類
    のいずれかより選んだ化合物を含む均質相溶体からなる
    可逆熱変色成分が、数平均分子量が4000乃至150
    00の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体を必須成分とし
    て含む母体樹脂中に微粒子状に分散状態、又は固溶体状
    態にて固着されてなり、温度の変化に依存して色の変化
    と共に透明度が可逆的に変化し、その高温側トリガーと
    低温側トリガーとの温度差が少なくとも10℃乃至50℃で
    あり、前記低温側トリガー以下及び高温側トリガー以上
    の温度で変化させた各様相を択一的に記憶保持できるこ
    とを特徴とする温度依存性色彩記憶性樹脂積層体。
  2. 【請求項2】 前記アンダーコート層及びオーバーコー
    ト層は、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリ
    ル樹脂、メタクリル樹脂及び/又は前記各樹脂の共重合
    樹脂から選ばれる透明性の層である請求項1記載の温度
    依存性色彩記憶性樹脂積層体。
  3. 【請求項3】 前記支持体が透明性支持体である請求項
    1記載の温度依存性色彩記憶性樹脂積層体。
  4. 【請求項4】 前記支持体が光輝性、光輝度反射性、光
    干渉性、虹彩性、ホログラム性、金属光沢性、真珠光沢
    性、蛍光性、燐光性のいずれかの光学的性状を呈する支
    持体である請求項1記載の温度依存性色彩記憶性樹脂積
    層体。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10193871A (ja) * 1997-01-10 1998-07-28 Pilot Ink Co Ltd 熱変色性積層シート及びその製造方法
JP2022000354A (ja) * 2016-11-18 2022-01-04 ソニーグループ株式会社 可逆性記録媒体、外装部材、icカード、鞄およびリストバンド

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH10193871A (ja) * 1997-01-10 1998-07-28 Pilot Ink Co Ltd 熱変色性積層シート及びその製造方法
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