JP2000062075A - 熱変色性遮光−透光性積層体及び前記積層体を用いた内部隠顕立体物 - Google Patents

熱変色性遮光−透光性積層体及び前記積層体を用いた内部隠顕立体物

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JP2000062075A
JP2000062075A JP10251952A JP25195298A JP2000062075A JP 2000062075 A JP2000062075 A JP 2000062075A JP 10251952 A JP10251952 A JP 10251952A JP 25195298 A JP25195298 A JP 25195298A JP 2000062075 A JP2000062075 A JP 2000062075A
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Kuniyuki Chiga
邦行 千賀
Makoto Miyamoto
誠 宮本
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Pilot Ink Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 温度変化に伴う透明状態においては対面にあ
る物体を明確に視覚するのに充分な透明性を有すると共
に、温度変化に伴う不透明状態においては、対面にある
物体を不可視状態となす隠蔽性に優れた可逆性熱変色性
遮光−透光性積層体及び前記積層体を用いた内部隠顕立
体物を提供する。 【構成】 曇価が25%以下の平滑性を有する透明性プ
ラスチック基材2上に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
樹脂母体中に特定の可逆性熱変色性組成物を分散した可
逆熱変色性遮光−透光性組成物を含む可逆熱変色層3を
積層してなり、前記積層体は可逆熱変色層が消色透明状
態における曇価が55%以下であり、着色不透明状態に
おける曇価が70%以上である熱変色性遮光−透光性積
層体1及び前記積層体を用いた内部隠顕立体物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は熱変色性遮光−透光
性積層体及び前記積層体を用いた内部隠顕立体物に関す
る。さらに詳細には、温度変化によって、色の変化と共
に生じる透明状態と不透明状態の各状態が、透明状態に
おいては対面にある物体を明確に視覚するのに充分な透
明性を備え、且つ、不透明状態においては対面にある物
体を隠すのに充分な不透明性を備えた熱変色性遮光−透
光性積層体及び前記積層体を用いた内部隠顕立体物に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、(イ)電子供与性呈色性有機化合
物、(ロ)フェノール性水酸基を有する化合物、 (ハ)
アルコール類、エステル類、ケトン類、カルボン酸類の
いずれかより選んだ化合物の三成分からなる可逆熱変色
性組成物を微小カプセル化することなく、該三成分を直
接、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂中に安定に保持
した熱変色性遮光−透光性組成物及びこれを用いた積層
体が開示されている(特開平7−258569号公
報)。前記熱変色性遮光−透光性組成物は、可逆性熱変
色性組成物を塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂中に均
質な相溶体として微粒子状態にて分散することにより、
繰り返しの加熱、冷却に対して極めて安定的に存在し、
且つ、色の変化及びそれに伴う透明性の変化に優れたも
のである。しかしながら、前記した熱変色性遮光−透光
性組成物を用いて支持体上に可逆熱変色層を形成した積
層体は、たとえ該組成物が色変化及びそれに伴う透明性
の変化に優れたものであったとしても、支持体の透明性
や該組成物の塗布量等によって、温度変化により伴う透
明状態と不透明状態の各状態に関して、透明状態におい
て対面にある物体を明確に視覚するのに充分な透明性、
及び、不透明状態において対面にある物体を隠す隠蔽性
を共に満足させることは困難であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来の熱変色性遮光−透光性組成物を用いて支持体上に可
逆熱変色層を形成した積層体が、温度変化によって可逆
的に透明性に優れた状態と、不透明性、所謂、隠蔽性に
優れた状態を示すことのできる積層体を提供しようとす
るものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱変色性遮光
−透光性組成物を用いて支持体上に可逆熱変色層を形成
した積層体の温度変化により生じる透明性及び不透明性
について鋭意検討した結果、支持体の表面状態と曇価、
及び、前記支持体に可逆熱変色層を設けた積層体の曇価
を特定することによって、前記した従来の問題点を解消
できることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発
明は、透明性を有するプラスチック基材表面に、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合樹脂母体中に (イ) 電子供与性
呈色性有機化合物、 (ロ) フェノール性水酸基を有する
化合物、及び、 (ハ) アルコール類、エステル類、ケト
ン類、カルボン酸類のいずれかより選んだ化合物の均質
相溶体からなる、粒子径が0.1〜2.0μmの可逆性
熱変色性組成物を分散した可逆熱変色性遮光−透光性組
成物を含む可逆熱変色層を設けた熱変色性遮光−透光性
積層体であって、前記プラスチック基材は曇価が25%
以下の表面及び裏面が平滑性を有する基材であり、且
つ、前記積層体は可逆熱変色層が消色透明状態における
曇価が55%以下であり、着色不透明状態における曇価
が70%以上である熱変色性遮光−透光性積層体を要件
とする。更には、前記積層体が立体物の少なくとも一部
を構成し、前記立体物に内在の物体を温度変化により隠
顕可能に構成した内部隠顕立体物であること、前記立体
物の形態が玩具、文具、教習具、室内装飾品のいずれか
であること等を要件とする。
【0005】前記のように、透明性基材上に熱変色性遮
光性−透光性組成物を含む可逆熱変色層を積層し、前記
可逆熱変色層が消色時には対面の物体を透視でき、且
つ、着色時には対面を隠蔽する用途の積層体において
は、基材は曇りの少ないものを用いる必要がある。これ
は、熱変色性遮光性−透光性組成物が消色時に僅かなが
ら曇りを有しているからであり、前記基材の曇りと合わ
さって、視覚的に透明性を損なうからである。よって、
前記基材の曇価が25%以下の透明性に優れた材質を用
いて、しかも、前記基材は表面及び裏面が平滑面である
必要がある。基材に微細な凹凸を有すると、表面で光の
乱反射を生じて透明性が損なわれたり、或いは、可逆熱
変色層と基材の境面で光の屈曲を生じて透過性が損なわ
れる不具合を生じる。前記透明性基材を得るためには、
無色透明性又は着色透明性樹脂を用いることが必要であ
るが、平滑面を有する基材を得るためには成形加工用金
型のコア及びキャビティは十分に研磨して平滑にしたも
のを用いることが好ましい。
【0006】前記透明性樹脂としては、ポリエステル
(アモルファスポリエステル)、ポリカーボネート、ポ
リスチレン、スチレン−ブタジエンブロック共重合樹
脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリル
樹脂、メチルメタクリレート樹脂、エポキシ樹脂、ポリ
プロピレン樹脂(透明グレード)、硬質または軟質塩化
ビニル樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン
共重合樹脂(透明グレード)等が挙げられ、着色透明性
樹脂は前記した樹脂に適宜着色剤をブレンドして得られ
る。
【0007】次に、前記透明性基材上に可逆熱変色層を
形成するために用いられる熱変色性遮光−透光性組成物
について説明する。前記熱変色性遮光−透光性組成物
は、(イ) 、 (ロ) 、 (ハ) 三成分からなる可逆熱変色
性組成物を、母体マトリックス樹脂である塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合樹脂中に微粒子化して分散してなり、
温度の変化に依存して色変化と共に透明性が変化する。
前記可逆熱変色性遮光−透光性組成物は、低温側トリガ
ーと高温側トリガーを有し、低温側トリガー以下の温度
では有色、不透明であり、高温側トリガー以上では無
色、透明の基本的な変化を示す。ここで、トリガーとは
「変化」が起きる温度を表し、色が変化する温度及び透
明性が変化する温度を表す。
【0008】前記熱変色性遮光−透光性組成物は溶剤を
用いて所定濃度に希釈・溶解され、従来より公知の各種
塗装手段や印刷手段により透明性基材に塗工、乾燥して
可逆熱変色層を形成する。前記のように形成された積層
体は、可逆熱変色層が消色透明状態における曇価が55
%以下であることにより、透明状態において対面にある
物体を視覚するために十分な透明性を有する。なお、前
記曇価は好ましくは45%以下、より好ましくは30%
以下に設定されていることにより、一層明確に対面にあ
る物体を透視できる。また、着色不透明状態における曇
価が70%以上、好ましくは80%以上であることによ
り、不透明状態において対面にある物体を隠蔽するのに
十分な不透明性を備えることができる。この点について
説明すれば、前述した透明性基材がいかに透明性に優
れ、且つ、平滑であったとしても、基材に形成した可逆
熱変色層の膜厚や表面状態によって、若干透明性が損な
われるため、積層体全体の曇価を前記した範囲内に設定
する必要があり、可逆熱変色層が消色状態、所謂、透明
状態では 対面にある物体を明確に視覚するために積層
体全体の曇価が55%以下であり、且つ、可逆熱変色層
が発色状態、所謂、不透明状態では対面にある物体を隠
蔽するために積層体全体の曇価が70%以上であるとい
う要件と満たさなければならない。
【0009】前記可逆熱変色性遮光−透光性組成物を更
に詳しく説明する。前記組成物は、従来の可逆熱変色性
組成物を微小カプセルに内包させたものと異なり、当該
三成分を繰り返しの熱変色に対応できるよう安定な状態
で母体マトリックス樹脂中に均質相溶体として微粒子状
で分散してなり、三成分系の熱変色性組成物の分散状態
に関しては粒子の径が0.1μm〜2.0μmの範囲、
より好ましくは0.2μm〜1.5μmの範囲にあれ
ば、加熱と冷却の繰り返しの変化において当該微粒子体
は液相/固相の変化を繰り返すが、極めて安定に母体マ
トリックス樹脂中に安定に保持される。この点におい
て、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂は可逆熱変色性
組成物の分散性に重要かつ効果的な作用を発揮する。当
該樹脂中に保持される前記三成分からなる可逆熱変色性
組成物の微粒子の安定化に関する自由エネルギーの点に
ついて、その粒子径が0.1μm以上2.0μmの間で
エネルギー的により安定化するため、樹脂の内部に安定
的に存在可能となると考察される。概略2μmを越える
と、当該塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂中において
繰り返しの加熱/冷却によって樹脂表面にブリードして
くる傾向がある。粒子径が大きくなると自由エネルギー
が増大するため、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂中
に安定に存在し難くなる。一方、0.1 μm以下になる
と光学的に可視光が透過するため、低温側トリガー以下
で不透明性が損なわれる、即ち、透明性が増加するため
実質上良好な透明と不透明の変化が得られなくなる。
【0010】前記母体マトリックス樹脂について説明す
る。三成分系の可逆熱変色性組成物は外部の化学的影響
を受けやすく、母体のマトリックス樹脂自体の影響につ
いても例外ではない。例えば、100%塩化ビニル樹脂は通
常の保存状態においても、徐々に脱塩素反応により塩化
水素を発生しやすく、電子供与性呈色性有機化合物を不
可逆的に発色させる。また、100%酢酸ビニル樹脂は酢酸
ビニル基の強い極性により三成分系熱変色性材料に対し
強い減感性(永久的消色) を与え、その結果、熱変色性
をほとんど示さないため、いずれも単独樹脂の組成にお
いては母体マトリックス樹脂としては不適当である。一
方、塩化ビニル樹脂と酢酸ビニル樹脂を適当なモノマー
比率で共重合すると、脱塩素反応を極めて起こし難くな
るばかりでなく、酢酸ビニル樹脂の減感性が実質上発揮
されない良好な雰囲気を三成分系可逆熱変色性組成物に
与える。このように不可逆的な発色性もなく、減感性も
実質上ないような母体樹脂マリックス樹脂として、塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂が選定される理由がここ
にある。前述の永久的な減感性及び強い発色性を持たな
い樹脂としては、極性の小さい炭化水素系の樹脂やハロ
ゲン含有の樹脂も挙げられるが、かかる樹脂類は三成分
系の熱変色材料を分散という形態ではなく、非局在的に
母体マトリックス中に溶解又は相溶せしめる。その結
果、母体樹脂中に拡散されるために、熱変色性の効果を
著しく低下させると同時に、透明/不透明の効果をも損
なう傾向がある。三成分系の可逆熱変色性組成物は塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂中に局在的に粒子として
分散することによって、優れた熱変色性と透明性の変化
をもたらす。さらに、概して相溶する場合には、初期的
又は経時的に各化合物がブリードする傾向にありきわめ
て不安定である。かかる理由から微粒子状に分散される
ことは重要な要素となる。従って、単に有機化合物のみ
を母体マトリックス樹脂に分散して温度変化に対応して
透明性を変化させる組成物とは全く異なり、色と透明性
の両方の変化を満たすために、母体マトリックス樹脂は
以下の通りの組成となる。
【0011】本発明に使用される母体マトリックス樹脂
は光学的に実質上透明であることを前提とし、かかる樹
脂としては、その平均分子量は7,000 〜50,000の範囲に
あり、構成モノマー重量比が塩化ビニル60〜92%、酢酸
ビニル 8〜40%の塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂が
適用される。さらに、7%( 重量比) 以下の構成モノマ
ー比率で少量の他のモノマー成分、例えばヒドロキシル
基等を含有してもよい。但し、カルボキシル基は不可逆
的な発色を起こすため除外される。又、塩化ビニル−酢
酸ビニル共重合樹脂に対して、他の相溶可能な樹脂を30
% 以下の重量比率で混合してもよい。かかる少量の樹脂
成分は、本発明の基本的機能、即ち温度の変化による色
変化と透明性の変化を損わない範囲で、二次加工時の接
着性付与、皮膜強度の向上等の目的で使用できる。 か
かる他の相溶性を有する樹脂としては、変性アルキッド
樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、飽和ポリエステル樹
脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリウレタン樹脂、油
溶性セルロース樹脂、炭化水素樹脂、酢酸ビニル樹脂、
ブチラール樹脂、アクリル樹脂、メチルメタクリレート
樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、エチレン- 酢
酸ビニル共重合樹脂、塩素化ポリプロピレン樹脂、ポリ
アミド樹脂、スチレン樹脂、アクリル- スチレン共重合
樹脂、スチレンマレイン酸樹脂、塩化ゴム、シリコン樹
脂、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂、ケトン樹脂等が
ある。
【0012】前記熱変色性遮光−透光性組成物中に分散
される可逆熱変色性組成物について説明する。前記可逆
熱変色性組成物を構成する(イ)電子供与性呈色性有機
化合物としては、フェノール性水酸基を有する化合物に
よって呈色する、いわゆるロイコ染料群が適用され、ジ
フェニルメタンフタリド類、フルオラン類、ジフェニル
メタンアザフタリド類、インドリルフタリド類、フェニ
ルインドリルフタリド類、フェニルインドリルアザフタ
リド類、スチリルキノリン類、ピペリジン化合物、キナ
ゾリン系化合物、ビスキナゾリン系化合物、ジアザロー
ダミンラクトン系化合物等がある。以下これらの化合物
を次に例示する。3,3−ビス(P−ジメチルアミノフェ
ニル)−6−ジメチルアミノフタリド、3−(4−ジエ
チルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチル
インドール−3−イル)フタリド、3−(4−ジエチル
アミノ−2−エトキシフェニル)−3−(1−エチル−
2−メチル インドール−3−イル)−4−アザフタリ
ド、1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラ
ン、2−クロロ−3−メチル−6−ジメチルアミノフル
オラン、3−ジブチルアミノ−6−メチル−7−アニリ
ノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル−7−
アニリノフルオラン、3−ジエチルアミノ−6−メチル
−7−キシリジノフルオラン、2−(2−クロロアニリ
ノ)−6−ジブチルアミノフルオラン、3,6−ジメト
キシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラ
ン、1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン、1,
2−ベンツ−6−エチルイソアミルアミノフルオラン、
2−メチル−6−(N−p−トリル−N−エチルアミ
ノ)フルオラン、2−(N−フェニル−N−メチルアミ
ノ)−6−(N−p−トリル−エチルアミノ)フルオラ
ン、2−(3’−トリフルオロメチルアニリノ)−6−
ジエチルアミノフルオラン、3−クロロ−6−シクロヘ
キシルアミノフルオラン、2−メチル−6−シクロヘキ
シルアミノフルオラン、3−メトキシ−4−ドデコキシ
スチリルキノリン等がある。
【0013】次に(ロ)フェノール性水酸基を有する化
合物としては、一価フェノール、二価フェノール及び多
価フェノールがあり、さらにベンゼン環の置換基として
アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボ
ニル基、カルボキシル基及びそのエステル又はアミド
基、ハロゲン等を有するもの、及びビス型、トリス型フ
ェノール等がある。電子供与性呈色性有機化合物を呈色
させるフェノール化合物を以下に例示する。フェノー
ル、o−クレゾール、ターシャリーブチルフェノール、
ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデ
シルフェノール、n−ステアリルフェノール、p −クロ
ロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフ
ェノール、P−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒ
ドロキシ安息香酸n−オクチル、p−ヒドロキシ安息香
酸n−ドデシル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、2,
2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、4,
4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシ−3' −メチルフェニル)プロパ
ン、ビス(4’−ヒドロキシフェニル)メタン、ビス
(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、1−フェニル
−1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−メチ
ルブタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)
−3−メチルブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)ブタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフ
ェニル)エチルプロピオネート、2,2−ビス(4’−
ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、2,2−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−4−メチルヘキサ
ン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)−2−
メチルプロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェ
ニル)−2−エチルヘキサン、2,2−チオビス(6−
ターシャリーブチル−3−メチルフェノール)、2,2
−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプ
ロパン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n
−ヘキサン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)n−ヘプタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフ
ェニル)n−オクタン、1,1−ビス(4’−ヒドロキ
シフェニル)n−ノナン、1,1−ビス(4’−ヒドロ
キシフェニル)n−デカン、1,1−ビス(4’−ヒド
ロキシフェニル)n−ドデカン、2,2−ビス(4’−
ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、2,2−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナン等があ
る。一般にフェノール化合物はそのフェノール性水酸基
のために比較的極性が高いため、極性の低い前記 (ハ)
成分に対する溶解性が乏しい。溶解性が悪いと、母体樹
脂マトリックス中に微粒子状で分散された三成分からな
る熱変色性材料組成物において、フェノール性化合物と
前記(ハ) 成分は析出、分離現象を起こしやすく、ブリ
ードの原因となったり、良好な可逆的色変化を生起しな
くなり、実用上の点で安定を欠くことが少なくない。
【0014】かかる理由から、好ましくは下記一般式で
示したフェノール性化合物を、(ハ)成分に対して100%
(重量)或いは少なくとも50% (重量)以上の比率で使
用することが好ましい。前記 (ハ) 成分に対して、良好
な溶解性を有するフェノール化合物としては下記化1の
構造を有するフェノール性水酸基を有する化合物が特に
好ましい。
【化1】 [ 但し、R1 はH又はCH3 を、R2 はCn 2n+1(4
<n<11)又はR1=R2 =CF3 をそれぞれ表す。
又、Cn 2n+1は直鎖及び側鎖のアルキル基を表す。X
は芳香環の置換基を表す。又、X=H、又はCH3 を表
す。〕 以下、前記一般式の化合物を例示するが、これらに限定
されるものではない。1,1−ビス(4’−ヒドロキシ
フェニル)−4−メチルブタン、1,1−ビス(4’−
ヒドロキシフェニル)n−ペンタン、1,1−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、1,1−
ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、1,
1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ノナ
ン、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n−ド
デカン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)n
−ヘプタン、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフェニ
ル)n−ノナン、1,1−ビス(3’−メチル−4’−
ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、2,2−ビス
(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
等を挙げることができる。
【0015】次に、 (ハ) アルコール類、エステル類、
ケトン類、カルボン酸類のうち、アルコール類としては
炭素数が10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが使用さ
れる。以下に化合物を例示する。デカン1−オール、ウ
ンデカン1−オール、ラウリルアルコール、トリデカン
1−オールミリスチルアルコール、ペンタデカン1−オ
ール、セチルアルコール、ヘプタデカン1−オール、ス
テアリルアルコール、オクタデカン2−オール、エイコ
サン1−オール、ドコサン1−オール、6−(パーフル
オロ−7−メチルオクチル)ヘキサノール、等がある。
【0016】エステル類化合物は下記(a)〜(d)に
大別される。 (a)一価の脂肪酸と、脂肪族一価アルコール又は脂環
を有する一価のアルコールからなる総炭素数が10以上
のエステル類 (b)脂肪族二価又は多価カルボン酸と、脂肪族一価ア
ルコールまたは脂環を有する一価のアルコールからなる
総炭素数28以上の多塩基酸エステル類 (c)脂肪族二価または多価アルコールと一価の脂肪酸
からなる総炭素数26以上のエステル類 (d)芳香環を有する二価アルコールと一価の脂肪酸か
らなる総炭素数28以上のエステル類
【0017】前記(a)の一価の脂肪酸と、脂肪族一価
アルコールまたは脂環を有する1価のアルコールからな
る総炭素数が10以上エステル類を以下に例示する。総
炭素数が9以下のエステル類は分子自体の極性の増加に
より、母体マトリックス樹脂と相溶するため低温側トリ
ガー温度以下においても不透明性をほとんど付与しな
い。同様に芳香環を含むエステルも同様に不透明性をほ
とんど付与しない。カプリル酸エチル、カプリル酸n−
ブチル、カプリル酸n−オクチル、カプリル酸ラウリ
ル、カプリル酸セチル、カプリル酸ステアリル、カプリ
ン酸n−ブチル、カプリン酸n−ヘキシル、カプリン酸
ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸メチル、
ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシ
ル、ラウリン酸ステアリル、ミリスチン酸エチル、ミリ
スチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸2−メチルペ
ンチル、ミリスチン酸n−デシル、ミリスチン酸セチ
ル、ミリスチン酸ステアリル、パルミチン酸イソプロピ
ル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸n−ノニ
ル、パルミチン酸n−ウンデシル、 パルミチン酸ラウ
リル、パルミチン酸ミリスチル、パルミチン酸セチル、
パルミチン酸ステアリル、パルミチン酸シクロヘキシ
ル、パルミチン酸シクロヘキシルメチル、ステアリン酸
メチル、ステアリン酸エチル、ステアリン酸n−プロピ
ル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸n−アミ
ル、ステアリン酸2─メチルブチル、ステアリン酸n−
ヘキシル、ステアリン酸n−ヘプチル、ステアリン酸
3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−オ
クチル、ステアリン酸2─エチルヘキシル、ステアリン
酸n−ノニル、ステアリン酸n−デシル、ステアリン酸
n−ウンデシル、ステアリン酸ラウリル、ステアリン酸
n−トリデシル、ステアリン酸ミリスチル、ステアリン
酸n−ペンタデシル、ステアリン酸セチル、ステアリン
酸ステアリル、ステアリン酸エイコシル、ステアリン酸
n−ドコシル、ステアリン酸シクロヘキシル、ステアリ
ン酸シクロヘキシルメチル、ステアリン酸オレイル、ス
テアリン酸イソステアリル、1,2−ヒドロキシステア
リン酸n−ブチル、ベヘン酸n−メチル、ベヘン酸n−
エチル、ベヘン酸n−プロピル、ベヘン酸イソプロピ
ル、ベヘン酸n−ブチル、ベヘン酸イソブチル、ベヘン
酸2−メチルブチル、ベヘン酸n−アミル、ベヘン酸ネ
オペンチル、ベヘン酸n−ヘキシル、ベヘン酸2─メチ
ルペンチル、ベヘン酸n−ヘプチル、ベヘン酸2−エチ
ルヘキシル、ベヘン酸n−ノニル、ベヘン酸ミリスチ
ル、ベヘン酸n−ウンデシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘ
ン酸n−トリデシル、ベヘン酸ミリスチル、ベヘン酸n
−ペンタデシル、ベヘン酸セチル、ベヘン酸ステアリ
ル、ベヘン酸ベヘニル等がある。
【0018】前記(b)の脂肪族二価又は多価カルボン
酸と、脂肪族一価アルコールまたは脂環を有する一価の
アルコールからなる総炭素数28以上の多塩基酸エステ
ル類を以下に例示する。総炭素数が27以下のエステル
類は分子自体の極性の増加により、母体マトリックス樹
脂と相溶するため低温側トリガー温度以下においても不
透明性を付与しない。同様に芳香環を含むエステルも同
様に不透明性を付与しない。シュウ酸ジ−ミリスチル、
シュウ酸ジ−セチル、マロン酸ジ−ラウリル、マロン酸
ジ−セチル、マロン酸ジ−ステアリル、コハク酸ジ−ラ
ウリル、コハク酸ジ−ミリスチル、コハク酸ジ−セチ
ル、コハク酸ジ−ステアリル、グルタル酸ジ−ラウリ
ル、アジピン酸ジ−ウンデシル、アジピン酸ジ−ラウリ
ル、アジピン酸ジ−n−トリデシル、アジピン酸ジ−ミ
リスチル、アジピン酸ジ−セチル、アジピン酸ジ−ステ
アリル、アジピン酸ジ−n−ドコシル、アゼライン酸ジ
−n−デシル、アゼライン酸ジ−ラウリル、アゼライン
酸ジ−n−トリデシル、セバシン酸ジ−n−ノニル、セ
バシン酸ジ−ミリスチル、セバシン酸ジ−ステアリル、
1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジ−n−
ペンチル、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン
酸ジ−n−オクチル 1,18−オクタデシルメチレン
ジカルボン酸ジ−(シクロヘキシルメチル)、1,18
−オクタデシルメチレレンジカルボン酸ジ−ネオペンチ
ル等がある。
【0019】前記(c)の脂肪族二価及び多価アルコー
ルまたは脂環を有するか2価及び多価アルコールと一価
の脂肪酸からなる総炭素数26以上のエステル類を以下
例示する。エチレングリコールジ−ミリステート、エチ
レングリコールジ−パルミテート、エチレングリコール
ジ−ステアレート、プロピレングリコールジ−ラウレー
ト、プロピレングリコールジ−ミリステート、プロピレ
ングリコールジ−パルミテート、ブチレングリコールジ
−ステアレート、ヘキシレングリコールジ−ラウレー
ト、ヘキシレングリコールジ−ミリステート、ヘキシレ
ングリコールジ−パルミテート、ヘキシレングリコール
ジ−ステアレート、1,5−ペンタンジオールジ─ステ
アレート、1,2,6−ヘキサントリオール─ジミリス
テート、ペンタエリスリトールトリミリステート、ペン
タエリスリトールテトララウレート、1,4−シクロヘ
キサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジオ
ールジミリスチル、1,4−シクロヘキサンジオールジ
ステアリル、1,4−シクロヘキサンジメタノールのジ
ラウレート、1,4−シクロヘキサンジメタノールのジ
ミリステート等が挙げられる。
【0020】前記(d)の芳香環を有する二価アルコー
ルと一価の脂肪酸からなる総炭素数28以上のエステル
類を以下に例示する。キシレングリコールジ−カプリネ
ート、キシレングリコールジ−n−ウンデカネート、キ
シレングリコールジ−ラウレート、キシレングリコール
ジ−ミリステート、キシレングリコールジ−パルミテー
ト、キシレングリコールジ−ステアレート等が挙げられ
る。
【0021】次に、ケトン類としては炭素数10以上の
化合物が使用され、デカン2−オン、ウンデカン2−オ
ン、ラウロン、ステアロンが挙げられる。
【0022】カルボン酸類としては炭素数12以上の高
級脂肪酸が使用され、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸等が挙げられる。
【0023】(ハ)成分として使用される化合物は前
記、アルコール類、エステル類、ケトン類、カルボン酸
類から一種、または二種以上を選択して使用してもよ
い。複数の化合物を併用して用いる場合には、色の変化
及び透明性の変化を引き起こすトリガー温度の設定によ
り自由度が増える利点がある。次に、温度の変化に応じ
て色の変化と共に透明性の変化を生起せしめる条件とし
て、母体マトリックス樹脂に対する三成分からなる熱変
色性材料の占める比率が透明/不透明の変化及び色変化
における濃度の決定に重要な要素をもつ。例えば、母体
樹脂100重量部に対し、(イ)電子供与性呈色性化合
物を3.3重量部、 (ロ) フェノール性化合物を13重
量部とした場合、 (ハ) 成分として炭素数28のカプリ
ン酸ステアリルを5重量部適用すると、低温側トリガー
以下の温度における不透明性は極めて低く遮光性に欠け
る。一方、(ハ)成分を116重量部とすると低温側ト
リガー以下の温度における不透明性は著しく増加する
が、高温側トリガー以上の温度における透明性が低下
し、実質上透視できなくなる。従って、良好なコントラ
ストをもって透明性の変化と共に熱変色性を得るために
は、三成分からなる熱変色性材料の添加比率は次の範囲
に限定される。かかる比率の範囲は塩化ビニル−酢酸ビ
ニル樹脂100重量部に対し、(イ)電子供与性呈色性
有機化合物0.8〜33重量部、 (ロ) フェノール性水
酸基を有する化合物1.6〜50重量部、 (ハ) アルコ
ール類、エステル類、ケトン類、又はカルボン酸類のい
ずれかより選んだ化合物が8〜83重量部の比率で構成
される。さらに好ましくは、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合樹脂100重量部に対し、(イ)電子供与性呈色性
有機化合物は1.7〜83重量部、(ロ)フェノール性
水酸基を有する化合物3.3〜20重量部、前記 (ハ)
成分として17〜50重量部からなる比率で構成され
る。
【0024】更に、前記塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂1
00重量部に対して、0.1〜10重量部、より好まし
くは0.5〜5重量部のピペリジン誘導体から選ばれる
ヒンダードアミン系化合物をブレンドすることもでき
る。前記塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂は、既述の
とおり塩化ビニル樹脂の脱塩素を極めて起こし難く、酢
酸ビニル樹脂の減感性を実質上発揮させない熱変色性材
料の良好な母体として効果的であるが、室温における長
期の保存(2〜3ケ月)、又は50℃以上における1週
間以上の保存においては、塩化ビニルモノマー系から微
量に発生する塩化水素によってロイコ染料と呈色反応を
生起させ、不可逆発色、即ち、消色時の色残りの発生を
起こしがちであるが、前記ヒンダードアミン系化合物の
配合により、前記した不具合は解消される。前記化合物
の配合により、未添加の系における初期状態における温
度−色濃度曲線を実質上変化させることなく、経時的に
も熱的にも安定的に初期の変色特性を持続させることが
できる。前記ヒンダードアミン系化合物としては、例え
ば、ポリ〔〔6−(N−モルホリノ)−1,3,5−ト
リアジン−2,4−ジイル〕〔(2,2,6,6−テト
ラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン
〔(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)
イミノ〕(商品名スミソルブ500、住友化学工業
(株)製)、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸
テトラ(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジ
ル)(アデカアーガス社製)、ポリ〔〔6−1,1,
3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−ト
リアジン−2、4-ジイル〕(2,2,6,6−テトラメチ
ル−4−ピペリジル)イミノ〕ヘキサメチレン〔(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ〕
(商品名:チヌビン944−LD、チバガイギー社
製)、コハク酸ジメチル−1−(2−ヒドロキシエチ
ル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6−テトラメチル
ピペリジン重縮合物(チヌビン622LD、チバガイギ
ー社製)、2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロ
キシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,
2,2,6,6−ペンタチル−4−ピペリジル)(チヌ
ビン144、チバガイギー社製)、N、N, −ビス(3
−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス
〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタメチ
ル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,
5−トリアジン縮合物、ビス(2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジル)セバケート(商品名:サノー
ルLS770、三共(株)製)、ビス(N −メチル−
2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバ
ケート(商品名:サノールLS292、三共(株)
製)、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラ
メチル−4−ピペリジン(商品名:サノールLS−74
4、三共(株)製)、8−アセチル−3−ドデシル−
7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザ
スピロ〔4.5〕デカン−2,4−ジオン(サノールL
S−440、三共(株)製)、1−〔2−〔3−(3,
5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピ
オニルオキシ〕エチル〕−4−〔3−3,5−ジ−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキ
シ〕−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、三共
(株)製)、2,2,4,4−テトラメチル−20−
(βーラウリル−オキシカルボニル)−エチル−7−オ
キサ−3,20−ディアザデイスピオ(5,1,11,
2)ヘンエイコサン−21−オン(商品名:Sandu
vor305、サンド社製)、〔N−(2,2,6,6
−テトラメチル−4−ピペリジル)−β−アラニン〕ド
デシルエステル、ミリスチルエステル混合物(商品名:
Sanduvor3052、サンド社製)、5−ノルボ
ルネン−2,3−ジカルボキシリックアシドビス(2,
2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)エステ
ル、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシリックア
シドビス(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチル
−4−ピペリジル)エステル等が挙げられる。
【0025】次に、熱変色性遮光−透光性組成物を調製
する方法を説明する。前述した通り色の変化と透明性の
変化を温度の変化に応じて安定的に機能させるために、
(イ) 、 (ロ) 、 (ハ) 三成分からなる可逆性熱変色性
材料は母体マトリックス樹脂としての塩化ビニル−酢酸
ビニル共重合樹脂中に、0.1〜2.0μmの範囲で分
散されることが好ましい。通常、母体マトリックス樹脂
と前記三成分は、下記の一種、又は二種以上の溶剤を用
いて溶解され、この過程で必要によりヒンダードアミン
系化合物が添加される。塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
樹脂の溶解性の点から、ケトン系の溶剤を富溶剤として
使用する必要がある。当該溶剤は前記三成分に対しても
富溶剤として働く。ケトン系溶剤としては、アセトン、
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロ
ヘキサノン、メチルイソプロピルケトン、メチルn−プ
ロピルケトン等がある。芳香族系の溶剤は塩化ビニル−
酢酸ビニル共重合樹脂に対し貧溶剤として働くが、前記
ケトン系溶剤と併用して用いるのが好ましい。芳香族系
の溶剤としては、トルエン、キシレン、等の溶剤が使用
される。その他の溶剤としては、イソプロピルアルコー
ル、及びn−ブタノール等のアルコール系溶剤、酢酸n
−エチル、酢酸n−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イ
ソブチル等のエステル系溶剤、ヘキサン、シクロヘキサ
ン、エチルシクロヘキサン、ミネラルスピリット等の炭
化水素溶剤、その他グリコールモノアルキルエーテル類
の溶剤が使用できる。さらに、前記三成分相溶体を塩化
ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂の母体中により均一に微
小な形状で分散する方法として、いわゆる分散助剤の使
用が著しい効果を有する。かかる分散助剤は前記三成分
に対して、化学的悪影響の程度が小さい物質が好まし
い。かかる分散効果を有する化合物は概して表面張力、
界面張力を著しく低下する効果を有し、当該作用により
母体樹脂中に三成分系熱変色性組成物を単核状に微細分
散する作用を示す。
【0026】以下に、かかる化合物を例示する。シロキ
サン誘導体としてポリエーテル変性ジメチルポリシロキ
サン、ポリエーテル変性メチルアルキルポリシロキサ
ン、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエ
ステル変性メチルアルキルポリシロキサン等が、フッ素
系化合物として、フロラードFC−430、フロラード
FC−431(住友スリーエム(株)製、フッ素化合
物)等のフッ素化アルキルエステル類が、特殊ポリマー
系として、アクリロニトリル−(2−メタクリロイルオ
キシエチル)トリメチルアンモニウム−メチルサルフェ
イト─ジメチルアミノエチルメタクリレート等がそれぞ
れ挙げられる。熱変色性組成物が母体樹脂中で0.1μ
m〜2.0μmの微粒子を形成する際、単一核の形状で
均一に分散させる効果を有する。特に、合一及び凝集を
防止するのに特段の効果がある。かかる添加剤は熱変色
性遮光性組成物100 重量部に対して、0.002〜0.
05重量部の範囲で使用され、熱変色性遮光−遮光性組
成物に対する化学的影響を低減させるためには0.00
2〜0.05重量部の使用が好ましい。( 但し、分散剤
の量は固形分べース)
【0027】前述の溶剤類を適宜組み合わせて、実質上
均一に溶解された熱変色性遮光−透光性組成物の溶液
は、スプレー塗装、スクリーン印刷、グラビア印刷、ロ
ールコート、リバースコート等によって透明性基材に塗
工され、その後、室温乾燥、又は加熱乾燥等によって前
記溶剤を完全に蒸発乾燥させて可逆熱変色層を形成す
る。前記三成分は溶剤分の蒸発の過程で母体マトリック
ス樹脂中に微粒子状に分散される。一般に、熱変色性遮
光−透光性組成物に対して使用される溶剤の量は、塗工
方法によって各々異なるが、熱変色性遮光−透光性組成
物1重量部に対して1〜50重量部の溶剤が適用され、
より好ましくは3〜15重量部である。前記可逆熱変色
層の厚さは一般に2〜100μmである。これ以下の厚
みの場合は該組成物中の微粒子の安定性を欠く傾向があ
ること、及び良好なコントラストが得られ難いという欠
点がある。熱変色性遮光−透光性組成物溶液を物理的に
均一に塗工するために、種々の添加剤の添加が可能であ
る。かかる添加剤としては公知のものが適用され、タレ
防止剤、レベリング剤、消泡剤、増粘剤、耐摩擦向上剤
などが適用できる。但し、前記三成分に対する化学的影
響を持たない、又は極力その影響が少ない添加剤を必要
最低限の量で使用することが好ましい。更に、熱変色性
遮光−透光性組成物の耐光性、安定性を向上する目的
で、紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素消光剤、そ
の他の光安定剤が使用できる。
【0028】又、熱変色性遮光−透光性組成物により形
成した可逆熱変色層の表面も平滑であることが好まし
い。これは、当該層の表面において光の乱反射を生じ難
く、外観は言うまでもなく高温側トリガー以上の温度に
おいて透明性に優れるからである。前記熱変色性遮光−
透光性組成物は、基本的には低温側トリガー以下の温度
においては有色不透明、高温側トリガー以上では無色透
明であるが、さらに一般の染料または透明性を有する一
般の着色剤を併用することによって、有色不透明〔1〕
−有色透明〔2〕の変化も可能となる。
【0029】次に、本発明の積層体について説明する。
前記積層体は、 (イ) 電子供与性呈色性有機化合物、
(ロ) フェノール性 水酸基を有する化合物、 (ハ) ア
ルコール類、エステル類、ケトン類、またはカルボン酸
類のいずれかより選んだ化合物からなる可逆性熱変色性
材料を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂母体中に、
微粒子化して分散してなり、温度の変化に依存して色の
変化と共に透明度が可逆的に変化する熱変色性遮光−透
光性組成物からなる層を透明性基材上に積層した構成で
ある。
【0030】本発明の熱変色性遮光−透光性組成物を透
明性基材に積層する場合、前述した溶剤類に溶解して塗
工するが、この溶剤類が基材を溶解、膨潤させて、当該
組成物に対して熱変色性に関わる化学的悪影響と透明性
に関わる物理的悪影響を与えることが少なくない。この
ため、前もって基材表面にアンダーコートを施し、その
後に熱変色性遮光−透光性組成物を積層することが好ま
しい。前記アンダーコート用樹脂としては、メタクリレ
ート樹脂が好ましい効果を発揮し、塗工方法に応じて基
材を侵さない溶剤組成で基材上に塗工される。より好ま
しい樹脂としては、ガラス転移点が90℃以上のメタク
リル樹脂が良く、かかる樹脂としてはポリメチルメタク
リレート(Tg:125℃)、およびポリイソプロピル
メタクリレート(Tg:95℃)、及び共重合によって
得られるガラス転移点が90℃以上の樹脂があげられ
る。さらに、可逆熱変色層の上層にトップコート層を積
層することもできる。トップコート層を塗工する場合に
も、トップコート用の溶剤が熱変色性遮光−透光性組成
物層を再溶解すると、該組成物の組成比率が変動するば
かりでなく、熱変色機能及び透明性/不透明性機能にも
重大な影響を与える。このためトップコートに適用され
る溶剤は熱変色性遮光−透光性組成物層を実質上溶解、
又は膨潤しない組成を適用する必要がある。好適な溶剤
としては水、アルコール類、グリコールエーテル類、脂
肪族炭化水素系溶剤である。かかる溶剤類に易溶解性、
又は分散系の樹脂で、かつ塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合樹脂との接着性の良い樹脂として前記溶剤に可溶性の
メタクリル樹脂、ビニル変性アルキッド樹脂、油溶性ポ
リウレタン樹脂、アクリル樹脂、アクリル共重合樹脂、
エポキシ樹脂等があげられる。前記アンダーコート及び
トップコート樹脂中には、熱変色性遮光−透光性組成物
の耐光性向上の目的で紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重
項酸素消光剤、着色剤、その他の光安定剤が効果的に使
用される。
【0031】次に、内部隠顕立体物について説明する。
本発明内部隠顕立体物は、前記した積層体が、内蔵物を
収容する立体の少なくとも一部又は全部を構成し、前記
立体に内在の物体を温度変化により隠顕可能に構成した
ことを要件とする。前記立体物は、例えば、玩具、文
具、教習具、その他装飾性の要素等であり、立体物内に
所望の物体を内在させて温度変化により、立体表面の色
変化と共に透明、不透明の変化により前記物体を隠顕さ
せる。前記玩具の形態としては、例えば、人形、動物形
象玩具、人形の家や家具等の背景玩具、鞄や靴等の人形
用付属品、積木、パズル、こま、楽器玩具、鉄砲玩具、
船、飛行機、ヘリコプター、車、オートバイ、三輪車、
電車等の乗物形態があげられる。
【0032】
【発明の実施の形態】本発明は、射出成形等の成形方法
により成形される各種形態の透明性基材の表面、裏面、
或いは全面に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂母体
中に可逆熱変色性組成物を分散した可逆熱変色性遮光−
透光性組成物を適宜ビヒクルに希釈した塗料を塗布して
可逆熱変色層を設けた積層体を形成する。前記透明性基
材は玩具要素等が挙げられ、前記基材は玩具要素の全部
或いは玩具要素の一部分を構成することもできる。又、
透明性基材としてフィルムを用いた場合には、熱ペン、
冷ペン、サーマルヘッド等により印字または描写が可能
であり、記録媒体、或いは書き消し自由なボード類など
の教習具にも適用できる。更に、前記可逆熱変色層は適
宜図柄であってもよい。
【0033】
【実施例】本発明を以下の実施例及び比較例により更に
詳しく説明する。なお、実施例及び比較例中の部はすべ
て重量部である。以下の実施例及び比較例で作製した積
層体(試料片)の曇価は以下の方法に従って測定した。
各実施例及び比較例で作製した試料片をそれぞれ色差・
濁度測定器〔COH−300A、日本電色工業(株)
製〕にセットして可逆熱変色層が発色状態及び消色状態
における曇価を測定した。
【0034】実施例1(図1参照) 透明性プラスチック基材の成形 透明性メチルメタクリレート樹脂ペレットを用いて射出
成形を行ない、4×6cm、厚さ1mmの透明性プラス
チック基材2を得た。なお、前記射出成形を行なう際、
成形機のキャビティ及びコアは共に鏡面加工を施してな
り、得られた透明性プラスチック基材は表面が平滑で曇
価が2%の透明性に優れたものであった。
【0035】熱変色性遮光−透光性組成物の調製 2−シクロヘキシルアミノ−6−クロロフルオラン2
部、1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)オクタ
ン5部、グルタル酸ジミリスチル15部からなる可逆熱
変色性組成物(0℃以下で橙色、45℃以上で無色)
を、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(ポリマー組
成:塩ビ/酢ビ=86/14、ユニオンカーバイド日本
製)の25%メチルイソブチルケトン溶液240部に溶
解して熱変色性遮光−透光性組成物を得た。
【0036】積層体の作製 前記熱変色性遮光−透光性組成物288部とシクロヘキ
サノン200部を混合して、前記透明性プラスチック基
材2上に乾燥時の膜厚が25μmになるようにスプレー
塗装した後、乾燥して可逆熱変色層3を形成して熱変色
性遮光−透光性積層体1を得た。前記積層体1は、高温
側トリガー(45℃)以上で無色透明となり、曇価を測
定すると30%を示して透明性に優れ、対面にある物体
を明瞭に視認できた。又、低温側トリガー(0℃)以下
で橙色になり、曇価を測定すると78%を示して遮光性
を有し、対面にある物体の隠蔽性に優れていた。
【0037】実施例2(図2参照) 透明性プラスチック基材の成形 透明性ABS樹脂ペレットを用いて射出成形を行ない、
4×6cm、厚さ1mmの透明性プラスチック基材2を
得た。なお、前記射出成形を行なう際、成形機のキャビ
ティ及びコアは共に鏡面加工を施してなり、得られた透
明性プラスチック基材は表面が平滑で曇価が4%の透明
性に優れたものであった。
【0038】熱変色性遮光−透光性組成物の調製 1,2−ベンツ−6−ジブチルアミノフルオラン4部、
1,1−ビス(4’−ヒドロキシフェニル)ヘキサン5
部、マロン酸ジミリスチル7部、ステアリルアルコール
4部、セチルアルコール4部からなる可逆熱変色性組成
物(13℃以下でピンク色、37℃以上で無色)を、塩
化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂(ポリマー組成:塩ビ
/酢ビ=86/14、ユニオンカーバイド日本製)の2
5%MIBK溶液240部に溶解して熱変色性遮光−透
光性組成物を得た。
【0039】積層体の作製 前記透明性プラスチック基材上に、メチルメタクリレー
ト樹脂をメチルイソブチルケトン及びメチルグリコール
アセテートの混合溶剤に溶解した10%溶液をスプレー
塗装してアンダーコート層4を設け、前記アンダーコー
ト層4上に、前記熱変色性遮光−透光性組成物280部
とシクロヘキサノン200部を混合して、乾燥時の膜厚
が25μmになるようにスプレー塗装した後、乾燥して
可逆熱変色層3を形成して熱変色性遮光−透光性積層体
1を得た。前記積層体1は、高温側トリガー(37℃)
以上で無色透明となり、曇価を測定すると49%を示し
て透明性に優れ、対面にある物体を容易に視認できた。
又、低温側トリガー(13℃)以下でピンク色になり、
曇価を測定すると78%を示して遮光性を有し、対面に
ある物体の隠蔽性に優れていた。
【0040】実施例3 透明性プラスチック基材の成形 透明性アクリル樹脂ペレットを用いて射出成形を行な
い、4×6cm、厚さ1mmの透明性プラスチック基材
を得た。なお、前記射出成形を行なう際、成形機のキャ
ビティ及びコアは共に鏡面加工を施してなり、得られた
透明性プラスチック基材は表面が平滑で曇価が1%の透
明性に優れたものであった。
【0041】熱変色性遮光−透光性組成物の調製 2−N,N−ジベンジルアミノ−6−ジエチルアミノフ
ルオラン1.5部、2,2−ビス(4’−ヒドロキシフ
ェニル)オクタン8部、カプリン酸ステアリル7.5
部、セチルアルコール7.5部からなる可逆熱変色性組
成物(6℃以下で緑色、38℃以上で無色)を、塩化ビ
ニル−酢酸ビニル共重合樹脂(ポリマー組成:塩ビ/酢
ビ=86/14、ユニオンカーバイド日本製)の25%
MIBK溶液240部に溶解し、更に、Byk−310
(ポリエステル変性ジメチルポリシロキサン、Byk
chemie社製)0.2部、ピペリジン誘導体(商品
名サノールLS770:三共(株)製)1部を添加して
熱変色性遮光−透光性組成物を得た。
【0042】積層体の作製 前記熱変色性遮光−透光性組成物288部とシクロヘキ
サノン200部を混合して、前記透明性プラスチック基
材上に乾燥時の膜厚が25μmになるようにスプレー塗
装した後、乾燥して可逆熱変色層を形成して熱変色性遮
光−透光性積層体を得た。前記積層体は、高温側トリガ
ー(38℃)以上で無色透明となり、曇価を測定すると
50%を示して透明性に優れ、対面にある物体を容易に
視認できた。又、低温側トリガー(6℃)以下で緑色に
なり、曇価を測定すると85%を示して遮光性を有し、
対面にある物体の隠蔽性に優れていた。
【0043】応用例1 透明性メチルメタクリレート樹脂ペレットを用いて射出
成形を行ない、輸送用コンテナの形状の中空プラスチッ
ク基材を得た。なお、前記射出成形を行なう際、成形機
のキャビティ及びコアは共に鏡面加工を施してなり、得
られた透明性プラスチック基材は表面が平滑で曇価が1
%の透明性に優れたものであった。前記透明性プラスチ
ック基材上に、実施例2と同様の熱変色性遮光−透光性
組成物を用いて、実施例2と同様の方法で可逆熱変色層
を形成し、更に前記可逆熱変色層上にアクリル系樹脂1
0部及び紫外線吸収剤0.6部を、高沸点芳香族系溶剤
4部、高沸点脂肪族系溶剤6部、エチルシクロヘキサン
10部中に溶解したトップコート剤を乾燥時の膜厚が2
μmになるようにスプレー塗装してトップコート層を形
成し、熱変色性遮光−透光性積層体を得た。前記積層体
は、高温側トリガー(37℃)以上で無色透明となり、
曇価を測定すると51%であり、低温側トリガー(13
℃)以下でピンク色になり、曇価を測定すると78%で
あった。前記積層体をミニチュア列車に嵌め込んで玩具
を形成した。尚、前記積層体の内部には、馬形態の玩具
を収容してなり、37℃以上ではコンテナを透して馬形
態の玩具を明確に視認でき、且つ、13℃以下では 前
記コンテナがピンクになって馬形態の玩具を隠蔽するこ
とができた。
【0044】応用例2(図3、4、5参照) 透明性メチルメタクリレート樹脂ペレットを用いて射出
成形を行ない、車の窓ガラスの形状のプラスチック基材
2を得た。なお、前記射出成形を行なう際、成形機のキ
ャビティ及びコアは共に鏡面加工を施してなり、得られ
た透明性プラスチック基材は表面が平滑で曇価が1%の
透明性に優れたものであった。前記透明性プラスチック
基材の裏面に、実施例3と同様の熱変色性遮光−透光性
組成物を用いて、実施例3と同様の方法で可逆熱変色層
3を形成して熱変色性遮光−透光性積層体1を得た。前
記積層体1は、高温側トリガー(38℃)以上で無色透
明となり、曇価を測定すると50%であり、低温側トリ
ガー(6℃)以下で緑色になり、曇価を測定すると85
%であった。前記積層体1をミニチュアカーの窓の部分
にはめ込んで玩具5を形成した。前記玩具5は、38℃
以上では窓ガラスを透して内部の様相を明確に視認でき
(図4)、且つ、6℃以下では 前記窓ガラスが緑色に
なって内部を隠蔽することができた(図5)。
【0045】比較例1 透明性ABS樹脂ペレットを用いて射出成形を行ない、
4×6cm、厚さ1mmの透明性プラスチック基材を得
た。なお、前記射出成形を行なう際、成形機のコアは十
分に研磨されていないものを用いたため、得られた透明
性プラスチック基材に微細な凹凸を有しており、曇価が
30%であった。前記透明性プラスチック基材上に、実
施例1と同様の熱変色性遮光−透光性組成物を用いて、
実施例1と同様の方法で可逆熱変色層を形成して熱変色
性遮光−透光性積層体を得た。前記積層体は、低温側ト
リガー(0℃)以下では橙色になり、曇価を測定すると
88%を示して隠蔽性に優れるものであったが、高温側
トリガー(45℃)以上では可逆熱変色層が無色を示す
ものの、透明性に劣るものであり、曇価を測定すると6
4%であった。
【0046】比較例2 半透明性ポリプロピレン樹脂ペレットを用いて射出成形
を行ない、4×6cm、厚さ1mmの透明性プラスチッ
ク基材を得た。なお、前記射出成形を行なう際、成形機
のキャビティ及びコアは共に鏡面加工を施したものを用
いたが、得られた透明性プラスチック基材は曇価が30
%であった。前記透明性プラスチック基材上に、実施例
2と同様の熱変色性遮光−透光性組成物を用いて、実施
例2と同様の方法で可逆熱変色層を形成して熱変色性遮
光−透光性積層体を得た。前記積層体は、低温側トリガ
ー(13℃)以下ではピンク色になり、曇価を測定する
と89%を示して隠蔽性に優れるものであったが、高温
側トリガー(37℃)以上では可逆熱変色層が無色を示
すものの、透明性に劣るものであり、曇価を測定すると
69%であった。
【0047】比較例3 実施例3と同様に作製した透明性プラスチック基材上
に、実施例3と同様の熱変色性遮光−透光性組成物28
8部とシクロヘキサノン200部を混合して、乾燥時の
膜厚が40μmになるようにスプレー塗装した後、乾燥
して可逆熱変色層を形成して熱変色性遮光−透光性積層
体を得た。前記積層体は、低温側トリガー(6℃)以下
では緑色になり、曇価を測定すると90%を示して隠蔽
性に優れるものであったが、高温側トリガー(38℃)
以上では可逆熱変色層が無色を示すものの、層の厚みに
よって透明性に劣るものであり、曇価を測定すると68
%であった。
【0048】
【発明の効果】本発明の可逆性熱変色性遮光−透光性積
層体は、透明性基材の表面状態と曇価、及び、前記基材
に可逆熱変色層を設けた積層体の曇価を特定することに
よって、温度変化に伴う透明化状態においては対面にあ
る物体を明確に視覚するのに充分な透明性を有すると共
に、温度変化に伴う不透明化状態においては対面に存在
させた物体を不可視状態となす隠蔽性に優れた積層体を
提供することができる。更には、前記積層体が三次元の
立体物の系では、温度の変化に応じて色変化と共に透明
性が変化する特性を効果的に利用でき、立体の内部を隠
顕できる玩具類、インテリア類、雑貨、装飾品類等への
適用を満足させる積層体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の熱変色性遮光−透光性積層体の一実施
例の縦断面図である。
【図2】本発明の熱変色性遮光−透光性積層体の他の実
施例の縦断面図である。
【図3】本発明の熱変色性遮光−透光性積層体の他の実
施例の縦断面図である。
【図4】実施例3の熱変色性遮光−透光性積層体を適用
した玩具の、可逆熱変色層が消色状態における斜視図で
ある。
【図5】実施例3の熱変色性遮光−透光性積層体を適用
した玩具の、可逆熱変色層が発色状態における斜視図で
ある。
【符号の説明】
1 熱変色性遮光−透光性積層体 2 透明性基材 3 可逆熱変色層 4 アンダーコート層 5 玩具
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F100 AH02 AH02B AH03 AH05 AK01A AK15B AK15J AK22B AK22J AK25 AL01B AL05B AR00B BA02 BA07 CA13B DE01B EH36 EH361 EH46 EH462 GB81 GB84 GB90 JK15A JN01 JN01A JN02 JN02A JN02B JN08B JN28 JN28B YY00 YY00A YY00B

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明性を有するプラスチック基材表面
    に、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂母体中に (イ)
    電子供与性呈色性有機化合物、 (ロ) フェノール性水酸
    基を有する化合物、及び、 (ハ) アルコール類、エステ
    ル類、ケトン類、カルボン酸類のいずれかより選んだ化
    合物の均質相溶体からなる、粒子径が0.1〜2.0μ
    mの可逆性熱変色性組成物を分散した可逆熱変色性遮光
    −透光性組成物を含む可逆熱変色層を設けた熱変色性遮
    光−透光性積層体であって、前記プラスチック基材は曇
    価が25%以下の表面及び裏面が平滑性を有する基材で
    あり、且つ、前記積層体は可逆熱変色層が消色透明状態
    における曇価が55%以下であり、着色不透明状態にお
    ける曇価が70%以上であることを特徴とする熱変色性
    遮光−透光性積層体。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の積層体が立体物の少なく
    とも一部を構成し、前記立体物に内在の物体を温度変化
    により隠顕可能に構成した内部隠顕立体物。
  3. 【請求項3】 前記立体物が玩具、文具、教習具、室内
    装飾品のいずれかである請求項2記載の内部隠顕立体
    物。
JP10251952A 1998-08-20 1998-08-20 熱変色性遮光−透光性積層体及び前記積層体を用いた内部隠顕立体物 Pending JP2000062075A (ja)

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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
KR20020078720A (ko) * 2001-04-10 2002-10-19 주식회사 코오롱 온도감응형 태양광선 제어필름
JP2008158522A (ja) * 2006-12-22 2008-07-10 Samsung Corning Co Ltd 外光遮蔽フィルムおよびこれを含むディスプレイ装置用光学フィルタ
US8310064B2 (en) 2005-11-22 2012-11-13 Shocking Technologies, Inc. Semiconductor devices including voltage switchable materials for over-voltage protection

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KR20020078720A (ko) * 2001-04-10 2002-10-19 주식회사 코오롱 온도감응형 태양광선 제어필름
US8310064B2 (en) 2005-11-22 2012-11-13 Shocking Technologies, Inc. Semiconductor devices including voltage switchable materials for over-voltage protection
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