JP4587467B2 - 可逆熱変色性ホース - Google Patents

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本発明は可逆熱変色性ホースに関する。更に詳細には、温度変化により有色から無色、或いは、有色(1)から有色(2)に色変化する可逆熱変色性ホースに関する。
従来より、温度変化により色変化するホースとして、樹脂中に可逆熱変色性組成物を混入したホース(例えば、特許文献1参照)、温度により変色する繊維層を有するホース(例えば、特許文献2参照)が開示されている。
従来のホースは、柔軟性を付与するためにポリ塩化ビニル樹脂等の可塑剤を含む樹脂により形成されたものが汎用されており、このようなホースは経時により可塑剤が溶出し易く、特にホース内を飲料が流通する場合は飲料に可塑剤が混入する虞があり、衛生上好ましくないものであった。
また、ホース自体の温度を検知したり、ホース内を流通する液体や気体の温度を検知するため、可逆熱変色性材料をホース中に混合したり、或いは、ホースに温度により変色する繊維層を設けることが考えられるが、これらのホースに適用される可逆熱変色性組成物は耐光性が十分ではなく、光により劣化して変色前後のコントラストが乏しくなったり、変色機能を示さなくなる。
前述した問題を解消するために、可逆熱変色性組成物と共に光安定剤を併用して耐光性を向上させることが考えられるが、光安定剤がブリードアウトしてホースの見栄えや色変わりの視認性を損なったり、或いは、可塑剤と共に溶出して安全性を損なうことがあった。
特開昭64−26087号公報 特開平4−331883号公報
本発明は、前記した従来の温度変化により色変化するホースの問題点を解消するものであって、即ち、ホース内を流通する物質の安全衛生性に優れ、且つ、ホース自体の熱変色機能の永続性に優れた可逆熱変色性ホースを提供しようとするものである。
本発明は、スチレン系熱可塑性エラストマーからなるホース中に、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体からなる可逆熱変色性組成物と、光安定剤と、溶解度パラメーターが9以上の樹脂とから少なくともなる可逆熱変色性繊維により形成された可逆熱変色性樹脂相を前記スチレン系熱可塑性エラストマーに接着固定して存在させてなり、前記スチレン系熱可塑性エラストマーの溶解度パラメーターは、可逆熱変色性繊維を形成する樹脂の溶解度パラメーターよりも低い可逆熱変色性ホースを要件とする。
更には、前記可逆熱変色性樹脂相が点形、線形、破線形から選ばれる形状であること、前記可逆熱変色性繊維が可逆熱変色相と非変色相とから構成される複合繊維であり、両相又はいずれか一方の相に溶解度パラメーターが9以上の樹脂を含んでなること、前記可逆熱変色性繊維の芯部を可逆熱変色相とし、鞘部を非変色相とした複合繊維であること、前記可逆熱変色性繊維の鞘部に光安定剤を含有してなること、前記光安定剤がベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、又は、アミン系光安定剤から選ばれること、前記ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選ばれる1種又は2種以上と、ヒンダードアミン系光安定剤とを併用してなること、溶解度パラメーターが9以上の樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール変性ポリオレフィン樹脂、無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂のいずれかより選ばれる樹脂であること、前記光安定剤と共に酸化防止剤を併用してなること、前記酸化防止剤がフェノール系、リン系、イオウ系から選ばれる酸化防止剤であること、前記可逆熱変色性組成物がマイクロカプセルに内包されてなること等を要件とする。
本発明は前述した構成により、ホース自体、或いは、ホース内を流通する物質の安全衛生性に優れ、種々の用途に適用できると共に、該ホースは熱変色機能の視認性、永続性に優れるため、ホース自体或いはホース内を流通する物質の温度を明瞭且つ恒久的に視認できる利便性に富む可逆熱変色性ホースを提供できる。
前記ホースを形成する樹脂中に形成される可逆熱変色性樹脂相は、可逆熱変色性組成物と光安定剤を含む樹脂により、該ホースを形成する樹脂とは独立した状態でホース中に存在する相である。
前記可逆熱変色性樹脂相を構成する樹脂としては、溶解度パラメーター(SP値)が9以上の樹脂を含んでおり、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール変性ポリオレフィン樹脂、無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂が挙げられる。
一般に、ポリマーの溶解度パラメーター(SP値)は次式で定義される。
SP=ρΣG/M
ここで、Gは原子及び原子団の凝集エネルギー定数、Mはポリマーの構造単位の分子量
を示す。
前記SP値が9以上の樹脂を含むことにより、相中の可逆熱変色性組成物と光安定剤の分散安定性に優れると共に、外面にはSP値が約8.1であるスチレン系熱可塑性エラストマーが位置するため、光安定剤はよりSP値の低い、親和性の劣るスチレン系熱可塑性エラストマー側に移行し難く、よって、熱変色機能が光により劣化することを防止する効果を永続して満足させることができる。
前記ホースを形成する軟質材質層にはスチレン系熱可塑性エラストマーが用いられる。
前記スチレン系熱可塑性エラストマーとして具体的には、水素添加スチレン−ジエンモノマー共重合体の「商品名:ハイブラー7125」クラレ(株)製、「商品名:ダイナロン1320P」JSR(株)製などを例示できる。
前記スチレン系熱可塑性エラストマーは可塑剤を含有することなくホースを形成できる樹脂であり、安全性に優れると共に極性の低い樹脂である。
また、前記スチレン系熱可塑性エラストマーと共に芯材を用いることもでき、前記芯材としては、特に限定されるものではなく、あらゆる熱可塑性樹脂が使用できるが、炭素原子と水素原子、またはこれらの原子と酸素原子から構成される硬質樹脂が好ましく、代表的にはポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエステル(PET)、ポリスチレン(PS)等が挙げられる。
このうち、硬度、耐候性、汎用性の点からポリプロピレン(PP)が最適である。
硬質樹脂としては、硬質Rスケール(JIS K7202Rスケール ロックウェル硬さ)70〜130の範囲のものが好適に用いられる。
前記可逆熱変色性樹脂相中に含まれる可逆熱変色性組成物は、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び(ハ)前記両者の呈色反応の生起温度を決める反応媒体とから少なくともなり、発色状態からの加熱により消色する加熱消色型の可逆熱変色性組成物が挙げられる。
前記可逆熱変色性組成物は所定の温度(変色点)を境としてその前後で変色し、完全消色温度以上の温度域で消色状態、完全発色温度以下の温度域で発色状態を呈し、前記両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しない。即ち、もう一方の状態は、その状態が発現するのに要した熱又は冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する状態に戻る、ヒステリシス幅が比較的小さい特性(ΔH=1〜7℃)を有する(図1参照)。
また、大きなヒステリシス特性(ΔH=8〜70℃)、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、完全発色温度(t)以下の低温域での発色状態、又は完全消色温度(t)以上の高温域での消色状態が、特定温度域〔t〜tの間の温度域(実質的二相保持温度域)〕で色彩を記憶保持できる加熱消色型の可逆熱変色性組成物であってもよい(図2参照)。
図1、2において、色濃度−温度曲線を詳しく説明すると、温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度t(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは完全発色状態を保持できる温度t(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは完全消色状態を保持できる温度t(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度t(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
ここで、T(t)とT(t)の差、或いは、T(t)とT(t)の差(ΔT、Δt)が変色の鋭敏性を示す尺度であり、1℃乃至10℃の範囲が実用的である。
更に、電子受容性化合物として炭素数3乃至18の直鎖又は側鎖アルキル基を有する特定のアルコキシフェノール化合物を用いたり(特開平11−129623号公報、特開平11−5973号公報)、特定のヒドロキシ安息香酸エステルを用いたり(特開2001−105732号公報)、没食子酸エステル等を用いた(特公昭51−44706号公報、特開2003−253149号公報)加熱発色型の可逆熱変色性組成物であってもよい(図3参照)。
図3において、色濃度−温度曲線を詳しく説明すると、温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する温度T(以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは完全発色状態を保持できる温度T(以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは完全消色状態を保持できる温度T(以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全発色状態に達する温度T4(以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
以下に各(イ)、(ロ)、(ハ)成分について具体的に説明する。
前記(イ)電子供与性呈色性有機化合物としては、従来より公知のジフェニルメタンフタリド類、フェニルインドリルフタリド類、インドリルフタリド類、ジフェニルメタンアザフタリド類、フェニルインドリルアザフタリド類、フルオラン類、スチリノキノリン類、ジアザローダミンラクトン類等が挙げられ、以下にこれらの化合物を例示する。
3,3−ビス(p−ジメチルアミノフェニル)−6−ジメチルアミノフタリド、
3−(4−ジエチルアミノフェニル)−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(1−n−ブチル−2−メチルインドール−3−イル)フタリド、
3,3−ビス(2−エトキシ−4−ジエチルアミノフェニル)−4−アザフタリド、
3−〔2−エトキシ−4−(N−エチルアニリノ)フェニル〕−3−(1−エチル−2−メチルインドール−3−イル)−4−アザフタリド、
3,6−ジメトキシフルオラン、3,6−ジ−n−ブトキシフルオラン、
2−メチル−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
3−クロロ−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−メチル−6−シクロヘキシルアミノフルオラン、
2−(2−クロロアニリノ)−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−(3−トリフルオロメチルアニリノ)−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−(N−メチルアニリノ)−6−(N−エチル−N−p−トリルアミノ)フルオラン、
1,3−ジメチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−クロロ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
2−アニリノ−3−メチル−6−ジ−n−ブチルアミノフルオラン、
2−キシリジノ−3−メチル−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−ジエチルアミノフルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソブチルアミノ)フルオラン、
1,2−ベンツ−6−(N−エチル−N−イソアミルアミノ)フルオラン、
2−(3−メトキシ−4−ドデコキシスチリル)キノリン、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジエチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−メチル−、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジエチルアミノ)−4−メチル−、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(N−エチル−N−i−アミルアミノ)−4−メチル−、
スピロ〔5H−(1)ベンゾピラノ(2,3−d)ピリミジン−5,1′(3′H)イソベンゾフラン〕−3′−オン,2−(ジ−n−ブチルアミノ)−8−(ジ−n−ブチルアミノ)−4−フェニル。
更には、蛍光性の黄色〜赤色の発色を発現させるのに有効な、ピリジン系、キナゾリン系、ビスキナゾリン系化合物等を挙げることができる。
前記(ロ)電子受容性化合物としては、活性プロトンを有する化合物群、偽酸性化合物群(酸ではないが、組成物中で酸として作用して成分(イ)を発色させる化合物群)、電子空孔を有する化合物群等がある。
活性プロトンを有する化合物を例示すると、フェノール性水酸基を有する化合物としては、モノフェノール類からポリフェノール類があり、さらにその置換基としてアルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、カルボキシ基及びそのエステル又はアミド基、ハロゲン基等を有するもの、及びビス型、トリス型フェノール等、フェノール−アルデヒド縮合樹脂等が挙げられる。
又、前記フェノール性水酸基を有する化合物の金属塩であってもよい。
以下に具体例を挙げる。
フェノール、o−クレゾール、ターシャリーブチルカテコール、ノニルフェノール、n−オクチルフェノール、n−ドデシルフェノール、n−ステアリルフェノール、p−クロロフェノール、p−ブロモフェノール、o−フェニルフェノール、4−(4−(1−メチルエトキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ブチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ペンチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ヘキシルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−ヘプチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、4−(4−オクチルオキシフェニル)スルホニルフェノール、p−ヒドロキシ安息香酸n−ブチル、p−ヒドロキシ安息香酸n−オクチル、レゾルシン、没食子酸ドデシル、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−2−メチルプロパン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘキサン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−オクタン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−デカン、
1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ドデカン、
1−フェニル−1,1−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エタン、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)エチルプロピオネート、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタン、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ヘプタン、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)n−ノナン、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、
2,2−ビス(4′−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、
4,4′,4″−メチリデントリスフェノール、
2,6−ビス〔(2−ヒドロキシ−5−メチルフェノール)メチル〕−4−メチルフェノール、
4,4′−〔1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン〕ビスフェノール、
4,4′,4″−エチリデントリス〔2−メチルフェノール〕、
4,4′−〔(2−ヒドロキシフェニル)メチレン〕ビス[2,3,6−トリフェニルフェノール]、
2,2−メチレンビス[6−[(2−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)メチル]−4−メチルフェノール]、
2,4,6−トリス(4−ヒドロキシフェニルメチル)1,3−ベンゼンジオール、
4,4′,4″−エチリデントリスフェノール、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル]メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシ−3−メトキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
2,4−ビス[(5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)メチル]−6−シクロヘキシルフェノール、
4,4′−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシ−3−メチルフェノール)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビス[2−メチルフェノール]、
4,4′−[(4−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2−シクロヘキシル−5−メチルフェノール]、
4,6−ビス[(4−ヒドロキシフェニル)メチル]1,3−ベンゼンジオール、
4,4′−[(3,4−ジ−ヒドロキシフェニル)メチレン]ビス[2,6−ジメチルフェノール]、
4,4′−(1−フェニルエチリデン)ビスフェノール、
5,5′−(1−メチルエチリデン)ビス[1−フェニル−2−オール]、
4,4′,4″−メチリデントリスフェノール、
4,4′−[1−[4−[1−(4−ヒドロキシフェニル)−1−メチルエチル]フェニル]エチリデン]ビスフェノール、
4,4′−(フェニルメチレン)ビスフェノール、
4,4′−[1,4−フェニレンビス(1−メチルエチリデン)]ビス[2−メチルフェノール]、
5,5′−(1,1−シクロヘキシリデン)ビス−[1−ビフェニル−2−オール]、
ビス(3−メチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)、
ビス(3−エチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5−ジエチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3−プロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5−ジプロピル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3−ペンチル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3−ヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(3−ヘプチル−4−ヒドキシフェニル)スルフィド、
ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、
ビス(5−オクチル−2−ヒドロキシフェニル)スルフィド等が挙げられる。
前記フェノール性水酸基を有する化合物が最も有効な熱変色特性を発現させることができるが、それらの金属塩や、芳香族カルボン酸及び炭素数2〜5の脂肪族カルボン酸及びそれらの金属塩、カルボン酸金属塩、酸性リン酸エステル及びそれらの金属塩、1、2、3−トリアゾール及びその誘導体から選ばれる化合物等であってもよい。
更に、フルオロアルコール化合物を用いることもでき、以下に例示する。
2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピルベンゼン、
1、3−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、
1、4−ビス(2−ヒドロキシヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、
1、3−ビス(2−ヒドロキシメチル−ヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、
1、3−ビス(3−ヒドロキシ−1、1−ビストリフルオロメチルプロピル)ベンゼン、
1、4−ビス(2−ヒドロキシメチル−ヘキサフルオロイソプロピル)ベンゼン、
1、4−ビス(3−ヒドロキシ−1、1−ビストリフルオロメチルプロピル)ベンゼン、
2−ヒドロキシメチル−ヘキサフルオロイソプロピルベンゼン、
3−ヒドロキシ−1、1−ビストリフルオロメチルプロピルベンゼン、
前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体の(ハ)成分について説明する。前記(ハ)成分としては、アルコール類、エステル類、ケトン類、エーテル類、酸アミド類が挙げられる。
なお、マイクロカプセル化及び二次加工に応用する場合は低分子量のものは高熱処理を施すとカプセル系外に蒸散するので、安定的にカプセル内に保持させるために、炭素数10以上の化合物が好適に用いられる。
アルコール類としては、炭素数10以上の脂肪族一価の飽和アルコールが有効であり、具体的にはデシルアルコール、ウンデシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、テトラデシルアルコール、ペンタデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、ヘプタデシルアルコール、オクタデシルアルコール、エイコシルアルコール、ドコシルアルコール等が挙げられる。
エステル類としては、炭素数10以上のエステル類が有効であり、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する一価カルボン酸と、脂肪族及び脂環或いは芳香環を有する多価アルコールの任意の組み合わせから得られるエステル類が挙げられ、具体的にはカプリル酸エチル、カプリル酸オクチル、カプリル酸ステアリル、カプリン酸ミリスチル、カプリン酸ドコシル、ラウリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸n−デシル、ミリスチン酸3−メチルブチル、ミリスチン酸セチル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸ネオペンチル、パルミチン酸ノニル、パルミチン酸シクロヘキシル、ステアリン酸n−ブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸ペンタデシル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシルメチル、ベヘン酸イソプロピル、ベヘン酸ヘキシル、ベヘン酸ラウリル、ベヘン酸ベヘニル、安息香酸セチル、p−tert−ブチル安息香酸ステアリル、フタル酸ジミリスチル、フタル酸ジステアリル、シュウ酸ジミリスチル、シュウ酸ジセチル、マロン酸ジセチル、コハク酸ジラウリル、グルタル酸ジラウリル、アジピン酸ジウンデシル、アゼライン酸ジラウリル、セバシン酸ジ−(n−ノニル)、1,18−オクタデシルメチレンジカルボン酸ジネオペンチル、エチレングリコールジミリステート、プロピレングリコールジラウレート、プロピレングリコールジステアレート、ヘキシレングリコールジパルミテート、1,5−ペンタンジオールジステアレート、1,2,6−ヘキサントリオールトリミリステート、1,4−シクロヘキサンジオールジデシル、1,4−シクロヘキサンジメタノールジミリステート、キシレングリコールジカプリネート、キシレングリコールジステアレート等が挙げられる。
又、飽和脂肪酸と分枝脂肪族アルコールのエステル、不飽和脂肪酸又は分枝もしくは置換基を有する飽和脂肪酸と分岐状であるか又は炭素数16以上の脂肪族アルコールのエステル、酪酸セチル、酪酸ステアリル及び酪酸ベヘニルから選ばれるエステル化合物も有効である。
具体的には、酪酸2−エチルヘキシル、ベヘン酸2−エチルヘキシル、ミリスチン酸2−エチルヘキシル、カプリン酸2−エチルヘキシル、ラウリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、パルミチン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、ステアリン酸3,5,5−トリメチルヘキシル、カプロン酸2−メチルブチル、カプリル酸2−メチルブチル、カプリン酸2−メチルブチル、パルミチン酸1−エチルプロピル、ステアリン酸1−エチルプロピル、ベヘン酸1−エチルプロピル、ラウリン酸1−エチルヘキシル、ミリスチン酸1−エチルヘキシル、パルミチン酸1−エチルヘキシル、カプロン酸2−メチルペンチル、カプリル酸2−メチルペンチル、カプリン酸2−メチルペンチル、ラウリン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸2−メチルブチル、ステアリン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸2−メチルブチル、ベヘン酸3−メチルブチル、ステアリン酸1−メチルヘプチル、ベヘン酸1−メチルヘプチル、カプロン酸1−エチルペンチル、パルミチン酸1−エチルペンチル、ステアリン酸1−メチルプロピル、ステアリン酸1−メチルオクチル、ステアリン酸1−メチルヘキシル、ラウリン酸1,1−ジメチルプロピル、カプリン酸1−メチルペンチル、パルミチン酸2−メチルヘキシル、ステアリン酸2−メチルヘキシル、ベヘン酸2−メチルヘキシル、ラウリン酸3,7−ジメチルオクチル、ミリスチン酸3,7−ジメチルオクチル、パルミチン酸3,7−ジメチルオクチル、ステアリン酸3,7−ジメチルオクチル、ベヘン酸3,7−ジメチルオクチル、オレイン酸ステアリル、オレイン酸ベヘニル、リノール酸ステアリル、リノール酸ベヘニル、エルカ酸3,7−ジメチルオクチル、エルカ酸ステアリル、エルカ酸イソステアリル、イソステアリン酸セチル、イソステアリン酸ステアリル、12−ヒドロキシステアリン酸2−メチルペンチル、18−ブロモステアリン酸2−エチルヘキシル、2−ケトミリスチン酸イソステアリル、2−フルオロミリスチン酸2−エチルヘキシル、酪酸セチル、酪酸ステアリル、酪酸ベヘニル等が挙げられる。
また、色濃度−温度曲線に関し、大きなヒステリシス特性(温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線が、温度を低温側から高温側へ変化させる場合と、高温側から低温側へ変化させる場合で異なる)を示して変色する、色彩記憶性を示す可逆熱変色性組成物を得るためには、融点と曇点の差が5〜50℃を示すカルボン酸エステル化合物、例えば、分子中に置換芳香族環を含むカルボン酸エステル、無置換芳香族環を含むカルボン酸と炭素数10以上の脂肪族アルコールのエステル、分子中にシクロヘキシル基を含むカルボン酸エステル、炭素数6以上の脂肪酸と無置換芳香族アルコール又はフェノールのエステル、炭素数8以上の脂肪酸と分岐脂肪族アルコール又はエステル、ジカルボン酸と芳香族アルコール又は分岐脂肪族アルコールのエステル、ケイ皮酸ジベンジル、ステアリン酸ヘプチル、アジピン酸ジデシル、アジピン酸ジラウリル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジセチル、アジピン酸ジステアリル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、ジミリスチン、ジステアリン等が好適に用いられる。
炭素数9以上の奇数の脂肪族一価アルコールと炭素数が偶数の脂肪族カルボン酸から得られる脂肪酸エステル化合物、n−ペンチルアルコール又はn−ヘプチルアルコールと炭素数10乃至16の偶数の脂肪族カルボン酸より得られる総炭素数17乃至23の脂肪酸エステル化合物も有効である。
具体的には、酢酸n−ペンタデシル、酪酸n−トリデシル、酪酸n−ペンタデシル、カプロン酸n−ウンデシル、カプロン酸n−トリデシル、カプロン酸n−ペンタデシル、カプリル酸n−ノニル、カプリル酸n−ウンデシル、カプリル酸n−トリデシル、カプリル酸n−ペンタデシル、カプリン酸n−ヘプチル、カプリン酸n−ノニル、カプリン酸n−ウンデシル、カプリン酸n−トリデシル、カプリン酸n−ペンタデシル、ラウリン酸n−ペンチル、ラウリン酸n−ヘプチル、ラウリン酸n−ノニル、ラウリン酸n−ウンデシル、ラウリン酸n−トリデシル、ラウリン酸n−ペンタデシル、ミリスチン酸n−ペンチル、ミリスチン酸n−ヘプチル、ミリスチン酸n−ノニル、ミリスチン酸n−ウンデシル、ミリスチン酸n−トリデシル、ミリスチン酸n−ペンタデシル、パルミチン酸n−ペンチル、パルミチン酸n−ヘプチル、パルミチン酸n−ノニル、パルミチン酸n−ウンデシル、パルミチン酸n−トリデシル、パルミチン酸n−ペンタデシル、ステアリン酸n−ノニル、ステアリン酸n−ウンデシル、ステアリン酸n−トリデシル、ステアリン酸n−ペンタデシル、エイコサン酸n−ノニル、エイコサン酸n−ウンデシル、エイコサン酸n−トリデシル、エイコサン酸n−ペンタデシル、ベヘニン酸n−ノニル、ベヘニン酸n−ウンデシル、ベヘニン酸n−トリデシル、ベヘニン酸n−ペンタデシル等が挙げられる。
ケトン類としては、総炭素数が10以上の脂肪族ケトン類が有効であり、2−デカノン、3−デカノン、4−デカノン、2−ウンデカノン、3−ウンデカノン、4−ウンデカノン、5−ウンデカノン、2−ドデカノン、3−ドデカノン、4−ドデカノン、5−ドデカノン、2−トリデカノン、3−トリデカノン、2−テトラデカノン、2−ペンタデカノン、8−ペンタデカノン、2−ヘキサデカノン、3−ヘキサデカノン、9−ヘプタデカノン、2−ペンタデカノン、2−オクタデカノン、2−ノナデカノン、10−ノナダカノン、2−エイコサノン、11−エイコサノン、2−ヘンエイコサノン、2-ドコサノン、ラウロン、ステアロン等が挙げられる。
更には、総炭素数が12乃至24のアリールアルキルケトン類、例えば、n−オクタデカノフェノン、n−ヘプタデカノフェノン、n−ヘキサデカノフェノン、n−ペンタデカノフェノン、n−テトラデカノフェノン、4−n−ドデカアセトフェノン、n−トリデカノフェノン、4−n−ウンデカノアセトフェノン、n−ラウロフェノン、4−n−デカノアセトフェノン、n−ウンデカノフェノン、4−n−ノニルアセトフェノン、n−デカノフェノン、4−n−オクチルアセトフェノン、n−ノナノフェノン、4−n−ヘプチルアセトフェノン、n−オクタノフェノン、4−n−ヘキシルアセトフェノン、4−n−シクロヘキシルアセトフェノン、4−tert−ブチルプロピオフェノン、n−ヘプタフェノン、4−n−ペンチルアセトフェノン、シクロヘキシルフェニルケトン、ベンジル−n−ブチルケトン、4−n−ブチルアセトフェノン、n−ヘキサノフェノン、4−イソブチルアセトフェノン、1−アセトナフトン、2−アセトナフトン、シクロペンチルフェニルケトン等が挙げられる。
エーテル類としては、総炭素数10以上の脂肪族エーテル類が有効であり、ジペンチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジヘプチルエーテル、ジオクチルエーテル、ジノニルエーテル、ジデシルエーテル、ジウンデシルエーテル、ジドデシルエーテル、ジトリデシルエーテル、ジテトラデシルエーテル、ジペンタデシルエーテル、ジヘキサデシルエーテル、ジオクタデシルエーテル、デカンジオールジメチルエーテル、ウンデカンジオールジメチルエーテル、ドデカンジオールジメチルエーテル、トリデカンジオールジメチルエーテル、デカンジオールジエチルエーテル、ウンデカンジオールジエチルエーテル等が挙げられる。
酸アミド類としては、アセトアミド、プロピオン酸アミド、酪酸アミド、カプロン酸アミド、カプリル酸アミド、カプリン酸アミド、ラウリン酸アミド、ミリスチン酸アミド、パルミチン酸アミド、ステアリン酸アミド、ベヘニン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミド、ベンズアミド、カプロン酸アニリド、カプリル酸アニリド、カプリン酸アニリド、ラウリン酸アニリド、ミリスチン酸アニリド、パルミチン酸アニリド、ステアリン酸アニリド、ベヘニン酸アニリド、オレイン酸アニリド、エルカ酸アニリド、カプロン酸N−メチルアミド、カプリル酸N−メチルアミド、カプリン酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−メチルアミド、ミリスチン酸N−メチルアミド、パルミチン酸N−メチルアミド、ステアリン酸N−メチルアミド、ベヘニン酸N−メチルアミド、オレイン酸N−メチルアミド、エルカ酸N−メチルアミド、ラウリン酸N−エチルアミド、ミリスチン酸N−エチルアミド、パルミチン酸N−エチルアミド、ステアリン酸N−エチルアミド、オレイン酸N−エチルアミド、ラウリン酸N−ブチルアミド、ミリスチン酸N−ブチルアミド、パルミチン酸N−ブチルアミド、ステアリン酸N−ブチルアミド、オレイン酸N−ブチルアミド、ラウリン酸N−オクチルアミド、ミリスチン酸N−オクチルアミド、パルミチン酸N−オクチルアミド、ステアリン酸N−オクチルアミド、オレイン酸N−オクチルアミド、ラウリン酸N−ドデシルアミド、ミリスチン酸N−ドデシルアミド、パルミチン酸N−ドデシルアミド、ステアリン酸N−ドデシルアミド、オレイン酸N−ドデシルアミド、ジラウリン酸アミド、ジミリスチン酸アミド、ジパルミチン酸アミド、ジステアリン酸アミド、ジオレイン酸アミド、トリラウリン酸アミド、トリミリスチン酸アミド、トリパルミチン酸アミド、トリステアリン酸アミド、トリオレイン酸アミド、コハク酸アミド、アジピン酸アミド、グルタル酸アミド、マロン酸アミド、アゼライン酸アミド、マレイン酸アミド、コハク酸N−メチルアミド、アジピン酸N−メチルアミド、グルタル酸N−メチルアミド、マロン酸N−メチルアミド、アゼライン酸N−メチルアミド、コハク酸N−エチルアミド、アジピン酸N−エチルアミド、グルタル酸N−エチルアミド、マロン酸N−エチルアミド、アゼライン酸N−エチルアミド、コハク酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−ブチルアミド、グルタル酸N−ブチルアミド、マロン酸N−ブチルアミド、アジピン酸N−オクチルアミド、アジピン酸N−ドデシルアミド等が挙げられる。
前記可逆熱変色性組成物は、前記(イ)、(ロ)、(ハ)成分を必須成分とする相溶体であり、各成分の割合は、濃度、変色温度、変色形態や各成分の種類に左右されるが、一般的に所望の特性が得られる成分比は、(イ)成分1に対して、(ロ)成分0.1〜100、好ましくは0.1〜50、より好ましくは0.5〜20、(ハ)成分1〜800、好ましくは5〜200、より好ましくは5〜100の範囲である(前記割合はいずれも重量部である)。
前記三成分から少なくともなる均質相溶混合物は、マイクロカプセルに内包させて可逆熱変色性マイクロカプセル顔料を形成することが好ましく、カプセル膜壁で保護することによって酸性物質、塩基性物質、過酸化物等の化学的に活性な物質又は他の溶剤成分と接触しても、その機能を低下させることがないことは勿論、耐熱安定性を向上させることができる。
更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセルは、平均粒子径0.5〜50μm、好ましくは0.5〜30μm、より好ましくは、0.5〜20μmの範囲が実用性を満たす。
前記マイクロカプセルは、最大外径の平均値が、50μmを越える系では、樹脂中へのブレンドに際して、分散安定性や加工適性に欠ける。
一方、最大外径の平均値が0.1μm以下の系では、高濃度の発色性を示し難い。
また、カプセルを微小粒子化することにより、ΔH値は必須3成分の組成物の均質相溶体のΔHと比較し、更にΔHを拡大することができる。
前記マイクロカプセルは、内包物/壁膜=7/1〜1/1(重量比)の範囲が有効であり、壁膜の比率が前記範囲より大になると発色時の色濃度及び鮮明性の低下を免れず、好適には、内包物/壁膜=6/1〜1/1(重量比)である。
前記マイクロカプセル化は、従来より公知のイソシアネート系の界面重合法、メラミン−ホルマリン系等のin Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。
なお、マイクロカプセル顔料中或いは相中には、一般の染顔料(非熱変色性)を配合し、有色(1)から有色(2)への変色挙動を呈することもできる。
前記可逆熱変色相中に含まれる光安定剤は、(イ)、(ロ)、(ハ)成分からなる可逆熱変色性組成物の光劣化を防止するために含有され、(イ)成分1重量%に対して0.3〜24重量%、好ましくは0.3〜16重量%の割合で含有される。
前記光安定剤のうち、紫外線吸収剤は、太陽光等に含まれる紫外線を効果的にカットして、(イ)成分の光反応による励起状態によって生ずる光劣化を防止する。
前記光安定剤は単独で用いてもよいし、2種以上を併用して用いてもよい。
前記光安定剤としては、
コハク酸ジメチル−1−(2、ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシ−2,2,6,6,テトラメチルピペリジン重縮合物
ポリ〔「6−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)イミノ−1,3,5−トリアジン−2−4−シイル」「(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)イミノ」〕
2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタペチル−4−ピペリジル)
N,N′−ビス(3−アミノプロピル)エチレンジアミン−2,4−ビス〔N−ブチル−N−(1,2,2,6,6−ペンタペチル−4−ピペリジル)アミノ〕−6−クロロ−1,3,5−トリアジン縮合物
ビス〔1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジルセバシン酸〕
4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート
8−アセチル−3−ドデシル−7,7,9,9−テトラメチル−1,3,8−トリアザスピロ「4,5」デカン−2,4−ジオン等のヒンダードアミン系光安定剤が挙げられる。
また、光安定剤として紫外吸収収剤を用いることもできる。
前記紫外線吸収剤としては、
2−〔5−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン−PS、チバガイギー社製〕
2−〔5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール
2−〔2、ヒドロキシ−3,5−ビス(a,a−ジメチルベンジル)フェニル〕−2Hベンゾトリアゾール
2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール
2−〔3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール
2−〔3,5−ジ−t−ブチル−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール
2−〔3,5−ジ−t−アミル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン328、チバガイギー社製〕
メチル−3−〔3−t−ブチル−5−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量300〔商品名:チヌビン1130、チバガイギー社製〕
2−〔3−ドデシル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル〕ベンゾトリアゾール
メチル−3−〔3−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)−5−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル〕プロピオネート−ポリエチレングリコール分子量300
2−〔3−t−ブチル−5−プロピルオクチレート−2−ヒドロキシフェニル〕−5−クロロベンゾトリアゾール
2−〔2−ヒドロキシフェニル−3,5−ジ−(1,1′−ジメチルベンジル)フェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール
2−〔2−ヒドロキシ−5−t−オクチルフェニル〕−2H−ベンゾトリアゾール
2−〔3−t−ブチル−5−オクチルオキシカルボニルエチル−2−ヒドロキシフェニル〕−ベンゾトリアゾール〔商品名:チヌビン384、チバガイギー社製〕
2−〔2−ヒドロキシ−5−テトラオクチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール 2−〔2−ヒドロキシ−4−オクトオキシ−フェニル〕−ベンゾトリアゾール 2−〔2′−ヒドロキシ−3′−(3″4″5″6″−テトラヒドロフタルイミドメチル)−5′−メチルフェニル〕−ベンゾトリアゾール
2−(2−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)−ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤。
2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ペントキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−(2−ブトキシエトキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジ−p−トレイル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジ−p−トレイル−6−(2−ヒドロキシ−4−プロポキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジ−p−トレイル−6−(2−ヒドロキシ−4−ブトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジ−p−トレイル−6−(2−ヒドロキシ−4−ヘキシルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジ−p−トレイル−6−(2−ヒドロキシ−4−ペントキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジ−p−トレイル−6−(2−ヒドロキシ−4−オクチルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジ−p−トレイル−6−(2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、
2,4−ジ−p−トレイル−6−(2−ヒドロキシ−4−(2−ヘキシルオキシエトキシ)フェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系紫外線吸収剤。
2,4−ヒドロキシベンゾフェノン
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
2,2′−ジヒドロキシ−4,4′−ジメトキシベンゾフェノン
2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノン
2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸
2−ヒドロキシ−4−オクトキシベンゾフェノン
ビス−(2−メトキシ−4−ヒドロキシ−5−ベンゾイルフェニル)−メタン 2−〔2′−ヒドロキシ−3′−5′−ジ−t−アミルフェニル〕−ベンゾフェノン
2−ヒドロキシ−4−ドデシルオキシ−ベンゾフェノン〔商品名:シーソーブ103、シプロ化成(株)製〕
2−ヒドロキシ−4−オクタデシルオキシベンゾフェノン
2,2′−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン
2−ヒドロキシ−4−ベンジルオキシベンゾフェノン
2−〔2′−ヒドロキシ−3′−5′−ジ−t−アミルフェニル〕−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系紫外線吸収剤。
サリチル酸フェニル
サリチル酸パラ−t−ブチルフェニル
サリチル酸パラオクチルフェニル
2−4−ジ−t−ブチルフェニル−4−ヒドロキシベンゾエート
1−ヒドロキシベンゾエート
1−ヒドロキシ−3−t−ブチル−ベンゾエート
1−ヒドロキシ−3−t−オクチルベンゾエート
レゾシノールモノベンゾエート等のサリチル酸系紫外線吸収剤。
エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート
2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート
2−エチルヘキシル−2−シアノ−3−フェニールシンナート等のシアノアクリレート系紫外線吸収剤。
エタンジアミド−N−(2−エトキシフェニル)−N′−(4−イソドデシルフェニル)
2,2,4,4−テトラメチル−20−(β−ラウリル−オキシカルボニル)−エチル−7−オキサ−3,20−ジアゾジスピロ(5,1,11,2)ヘンエイコ酸−21−オン等の蓚酸アニリド系紫外線吸収剤等が挙げられる。
前記した光安定剤のうち、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、又は、ヒンダードアミン系光安定剤が好適に用いられる。
更に、ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選ばれる化合物と、ヒンダードアミン系光安定剤とを併用することにより、いっそうの光劣化を防止効果を奏する。
更に、前記光安定剤と共に酸化防止剤を併用することにより、いっそう耐光性を向上させることができる。
酸化防止剤としては、
2,6、ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール
2−t−ブチル−4−メトキシフェノール
2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール
オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート
2,2−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
4,4−チオビス(2−メチル−6−t−ブチルフェノール)
2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
4,4−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)
3,9−ビス〔1,1−ジメチル−2−〔β−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル〕2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5,5〕−ウンデカン
1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン
1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン
テトラキス〔メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕−メタン
2,2−エチレンビス(4,6−ジ−t−ブチルフェノール)
ビス〔3,3′−ビス−(4′−ヒドロキシ−3′−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド〕−グリコールエステル
1,3,5−トリス(3′5′−ジ−t−ブチル−4′−ヒドロキシベンジル)−S−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン
トコフェノール
1,3,5−トリス(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)イソシアヌレート
ペンタエリスリトールテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)
トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−t−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
1,6−ヘキサジオール−ビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
2,2−チオエチレンビス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕
N,N′−ヘキサメチレンビス(3,5−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナマミド)
トリス−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート
2,2,4−トリメチル−1,2−ハイドロキノン
スチレートフェノール
2,5−ジ−t−ブチル−ハイドロキノン
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4、ピペリジル)セバケート等のフェノール系酸化防止剤。
トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト
3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ−ベンジルホスファネート−ジエチルエステル
トリフェニルホスファイト
ジフェニルイソデシルホスファイト
フェニルイソデシルフォスファイト
4,4′−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシル)ホスファイト
オクタデシルホスファイト
トリス(ノニルフェニル)ホスファイト
ジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト
9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン
10−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド
10−デシロキシ−9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン
サイクリックネオペンタテトライルビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
サイクリックネオペンタンテトライルビス(2,6,−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ホスファイト
2,2−メチレンビス(4,6−ジーt−ブチルフェニル)オクチルホスファイト
2,4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジン
オクチル化ジフェニルアミン等のリン系酸化防止剤、
ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート
ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート
ジステアリル−3,3′−チオジプロピオネート
ステアリルチオプロピルアミド等の硫黄系酸化防止剤が挙げられる。
その他、所望により一重項酸素消光剤、スーパーオキシドアニオン消光剤、オゾン消光剤、赤外線吸収剤等を併用することもできる。
尚、前記マイクロカプセル中に可逆熱変色性組成物を内包する場合、前記光安定剤は可逆熱変色性組成物と共にマイクロカプセルに内包してもよいし、マイクロカプセルに内包しない場合は相中に添加される。
又、前記光安定剤をマイクロカプセルに内包すると共に、相中にも添加することができる。
可逆熱変色性樹脂相はホース中で点形、線形、破線形等の形状で存在してなる。
線形状で存在させる場合、相は可逆熱変色性繊維により形成され、この場合、繊維は可逆熱変色相と非変色相とから構成される複合繊維であることが好ましく、両相又はいずれか一方の相に溶解度パラメーターが9以上の樹脂を含有してなる。
前記複合繊維としてより具体的には芯部を可逆熱変色相とし、鞘部を非変色相とした複合繊維が挙げられ、鞘部に光安定剤を含有する構成が耐光性向上効果に適している。
本発明の可逆熱変色性ホースの製造方法としては、例えばスチレン系熱可塑性エラストマーと螺旋状の硬質芯材とを同時に溶融共押出して成形したテープ状素材(スチレン系熱可塑性エラストマーの中央内部に芯材が内蔵)を、管成形機の複数本の回転軸上に螺旋状に巻き付け、半溶融時に硬質芯材の頂点上にあるスチレン系熱可塑性エラストマー上部へ、一定の荷重をかけて可逆熱変色性繊維を位置させて接着固定しホース芯材上に内蔵し、テープ素材を順次融着させた可撓性の可逆熱変色性ホースの製造方法が挙げられる。
以下に可逆熱変色性ホースの実施例をしめすが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例中の部は重量部を示す。
実施例1
可逆熱変色性繊維の作製
50℃以下で青色、55℃以上で無色に変色する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料5部、分散剤1部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤1部、12ナイロン(SP値:約12.0)93部をエスクトルーダーにて200℃で溶融混合して可逆熱変色性ペレットを得た。
前記ペレットを用いて汎用の溶融紡糸装置に供給し、溶融温度200℃で20孔の吐出口より紡糸し、太さ100μmの単色20本からなる可逆熱変色性繊維を得た。
前記可逆熱変色性繊維は、50℃以下で青色、55℃以上で無色に可逆的に変色する。
可逆熱変色性ホースの作製(図4参照)
熱可塑性樹脂からなる軟質樹脂1〔硬度シェアA60水添スチレン系熱可塑性エラストマー、クラレ(株)製、商品名:ハイブラー〕と、螺旋状の芯材となる硬質樹脂芯材2〔剛性率2000MPa/cm、硬度Rスケール115のポリプロピレン〕とを、同時に溶融押出し、軟質樹脂と硬質樹脂が複合された溶融状態のテープ状素材(軟質樹脂の中央内部に芯材が内蔵)を、管成形機の複数本の回転軸上に螺旋状に巻き付け、内径50mm、外径60mm、芯材径4.0mmのホースとし、半溶融時に芯材の頂点上にある軟質樹脂層上部へ一定の荷重をかけて前記可逆熱変色性繊維(ナイロン1200dtexと可逆熱変色性組成物の溶融紡糸品の3本引き揃え)を位置させて接着固定しホース芯材上に内蔵して可逆熱変色性樹脂相3を形成して可逆熱変色性ホース4を得た。
前記ホースの螺旋状部分の頂点は50℃以下で青色、55℃以上で無色に可逆的に変色し、内部を流通させる物質の温度に依存して変化した。
実施例2
可逆熱変色性繊維の作製
30℃以下で青色、32℃以上で無色に変色する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料5部、非変色性ピンク色顔料1部、分散剤1部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤0.5部、ヒンダードピペリジン系光安定剤0.5部、12ナイロン(SP値:約12.0)92部をエスクトルーダーにて200℃で溶融混合して可逆熱変色性ペレットを得た。
前記ペレットを用いて汎用の溶融紡糸装置に供給し、溶融温度200℃で20孔の吐出口より紡糸し、太さ100μmの単色20本からなる可逆熱変色性繊維を得た。
前記可逆熱変色性繊維は、30℃以下で紫色、32℃以上でピンク色に可逆的に変色する。
可逆熱変色性ホースの作製
前記可逆熱変色性繊維を用いる以外は実施例1と同様の方法により可逆熱変色性ホースを得た。
前記ホースの螺旋状部分の頂点は30℃以下で青色、32℃以上でピンク色に可逆的に変色し、内部を流通させる物質の温度に依存して変化した。
比較例1
可逆熱変色性繊維の作製
50℃以下で青色、55℃以上で無色に変色する可逆熱変色性組成物を内包したマイクロカプセル顔料5部、分散剤1部、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤1部、ポリプロピレンランダムコポリマー(SP値:約8.1)93部をエスクトルーダーにて200℃で溶融混合して可逆熱変色性ペレットを得た。
前記ペレットを用いて汎用の溶融紡糸装置に供給し、溶融温度200℃で20孔の吐出口より紡糸し、太さ100μmの単色20本からなる可逆熱変色性繊維を得た。
前記可逆熱変色性繊維は、50℃以下で青色、55℃以上で無色に可逆的に変色するものの、繊維表面に紫外線吸収剤がブリードアウトしており、ホースの作製に用いても耐光性が低下することは明らかであった。
加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。 色彩記憶性を有する加熱消色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。 加熱発色型の可逆熱変色性マイクロカプセル顔料の変色挙動を示す説明図である。 本発明の可逆熱変色性ホースの一部断面を含む側面図である。 本発明の他の可逆熱変色性ホースの一部断面を含む側面図である。
符号の説明
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の完全発色温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の発色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の消色開始温度
加熱消色型の可逆熱変色性組成物の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の完全消色温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の消色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の発色開始温度
加熱発色型の可逆熱変色性組成物の完全発色温度
1 スチレン系熱可塑性エラストマー
2 硬質樹脂芯材
3 可逆熱変色性樹脂相(繊維)
4 可逆熱変色性ホース
5 可逆熱変色性ホース

Claims (11)

  1. スチレン系熱可塑性エラストマーからなるホース中に、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、(ハ)前記(イ)、(ロ)成分による電子授受反応を特定温度域において可逆的に生起させる反応媒体からなる可逆熱変色性組成物と、光安定剤と、溶解度パラメーターが9以上の樹脂とから少なくともなる可逆熱変色性繊維により形成された可逆熱変色性樹脂相を前記スチレン系熱可塑性エラストマーに接着固定して存在させてなり、前記スチレン系熱可塑性エラストマーの溶解度パラメーターは、可逆熱変色性繊維を形成する樹脂の溶解度パラメーターよりも低い可逆熱変色性ホース。
  2. 前記可逆熱変色性樹脂相が点形、線形、破線形から選ばれる形状である請求項1記載の可逆熱変色性ホース。
  3. 前記可逆熱変色性繊維が可逆熱変色相と非変色相とから構成される複合繊維であり、両相又はいずれか一方の相に溶解度パラメーターが9以上の樹脂を含んでなる請求項1記載の可逆熱変色性ホース。
  4. 前記可逆熱変色性繊維の芯部を可逆熱変色相とし、鞘部を非変色相とした複合繊維である請求項3記載の可逆熱変色性ホース。
  5. 前記可逆熱変色性繊維の鞘部に光安定剤を含有してなる請求項4記載の可逆熱変色性ホース。
  6. 前記光安定剤がベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、又は、ヒンダードアミン系光安定剤から選ばれる請求項1乃至5のいずれかに記載の可逆熱変色性ホース。
  7. 前記ベンゾトリアゾール系、トリアジン系、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤から選ばれる1種又は2種以上と、ヒンダードアミン系光安定剤とを併用してなる請求項6記載の可逆熱変色性ホース。
  8. 溶解度パラメーターが9以上の樹脂が、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリメタクリル酸エステル樹脂、ビニルアルコール変性ポリオレフィン樹脂、無水カルボン酸変性ポリオレフィン樹脂のいずれかより選ばれる樹脂である請求項1乃至7のいずれかに記載の可逆熱変色性ホース。
  9. 前記光安定剤と共に酸化防止剤を併用してなる請求項1乃至8のいずれかに記載の可逆熱変色性ホース。
  10. 前記酸化防止剤がフェノール系、リン系、イオウ系から選ばれる請求項9記載の可逆熱変色性ホース。
  11. 前記可逆熱変色性組成物がマイクロカプセルに内包されてなる請求項1乃至10のいずれかに記載の可逆熱変色性ホース。
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