JP2004137614A - 多色感温変色性繊維 - Google Patents
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Abstract
【課題】有色から無色、或いは、有色(1)から有色(2)への可逆的色変化を適正に視覚判別でき、色変化のバリエーションに富み、商品価値の高い多色感温変色性繊維を提供する。
【解決手段】熱可塑性樹脂中に可逆熱変色性組成物aを含む顔料A、及び、可逆熱変色性組成物bを含む顔料Bを分散してなり、前記組成物a及びbは色濃度−温度曲線において消色状態からの降温過程で発色開始温度(T2 )に達すると発色し始め、完全発色温度(T1 )に達すると完全に発色状態になり、発色状態からの昇温過程で消色開始温度(T3 )に達すると消色し始め、完全消色温度(T4 )に達すると完全に消色状態になるヒステリシス曲線を示し、一方の組成物の完全発色温度(T1 )より1℃以上低温側に他方の組成物の発色開始温度(t2 )を有する、或いは、一方の組成物の完全消色温度(t4 )より1℃以上高温側に他方の組成物の消色開始温度(T3 )を有する多色感温変色性繊維。
【選択図】 図2
【解決手段】熱可塑性樹脂中に可逆熱変色性組成物aを含む顔料A、及び、可逆熱変色性組成物bを含む顔料Bを分散してなり、前記組成物a及びbは色濃度−温度曲線において消色状態からの降温過程で発色開始温度(T2 )に達すると発色し始め、完全発色温度(T1 )に達すると完全に発色状態になり、発色状態からの昇温過程で消色開始温度(T3 )に達すると消色し始め、完全消色温度(T4 )に達すると完全に消色状態になるヒステリシス曲線を示し、一方の組成物の完全発色温度(T1 )より1℃以上低温側に他方の組成物の発色開始温度(t2 )を有する、或いは、一方の組成物の完全消色温度(t4 )より1℃以上高温側に他方の組成物の消色開始温度(T3 )を有する多色感温変色性繊維。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は多色感温変色性繊維に関する。更に詳細には、温度変化により多彩な色変化を呈する多色感温変色性繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、温度変化によって色変化を呈する感温変色性繊維が開示されている(特開平3−227402号公報等)。
前記感温変色性繊維は、温度変化により有色から無色、或いは、有色(1)から有色(2)への可逆的色変化を示し、装飾性に優れるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した可逆熱変色性を示す繊維について追求し、更に色変化のバリエーションに富み、商品価値の高い多色感温変色性繊維を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱可塑性樹脂中に可逆熱変色性組成物aを含む顔料A、及び、可逆熱変色性組成物bを含む顔料Bを分散してなる感温変色性繊維であって、前記可逆熱変色性組成物a及びbは色濃度−温度曲線において消色状態からの降温過程で発色開始温度(T2 )に達すると発色し始め、完全発色温度(T1 )に達すると完全に発色状態になり、発色状態からの昇温過程で消色開始温度(T3 )に達すると消色し始め、完全消色温度(T4 )に達すると完全に消色状態になるヒステリシス曲線を示す加熱消色型の組成物であり、一方の可逆熱変色性組成物の完全発色温度(T1 )より1℃以上低温側に他方の可逆熱変色性組成物の発色開始温度(t2 )を有する、或いは、一方の可逆熱変色性組成物の完全消色温度(t4 )より1℃以上高温側に他方の可逆熱変色性組成物の消色開始温度(T3 )を有する多色感温変色性繊維を要件とする。
更には、前記可逆熱変色性組成物aとbのヒステリシス曲線が互いに重複しないこと、可逆熱変色性組成物bのヒステリシス曲線は、可逆熱変色性組成物aのヒステリシス曲線に内在したものであること、前記可逆熱変色性組成物aのヒステリシス幅(ΔHa )と可逆熱変色性組成物bのヒステリシス幅(ΔHb )が下記(1)と(2)の条件を満たしてなる請求項3記載の多色感温変色性繊維。
ΔHa =[(T4 +T3 )/2−(T2 +T1 )/2]=10〜50℃ (1)ΔHb =[(t4 +t3 )/2−(t2 +t1 )/2]=0.5〜20℃(2)ここで,T1 、T2 、T3 、T4 は可逆熱変色性組成物aの完全発色温度、発色開始温度、消色開始温度、完全消色温度をそれぞれ示し、t1 、t2 、t3 、t4 は可逆熱変色性組成物bの完全発色温度、発色開始温度、消色開始温度、完全消色温度をそれぞれ示す。
更には、繊維の外径が30〜200μmであること等を要件とする。
【0005】
前記可逆熱変色性組成物a,bは、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び前記(イ)、(ロ)の電子授受反応による呈色反応を可逆的に生起させる(ハ)有機化合物媒体の三成分を含む熱変色性組成物である。
具体的には、特公昭51−35414号公報、特公昭51−44706号公報、特公平1−17154号公報、特開平7−186546号公報等に記載されているヒステリシス幅の比較的小さい熱変色性組成物、特公平1−29398号公報に記載されている3℃以下のヒステリシス幅を発現させる高感度の熱変色性組成物を挙げることができる。
この種の熱変色性組成物は、変色温度を境として、その前後で変色し、変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。即ち、もう一方の状態はその状態が発現するのに要した熱または冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する元の状態に戻るタイプの熱変色性組成物である。
また、特公平4−17154号公報に記載されている、大きなヒステリシス特性を示して変色する感温変色性色彩記憶性組成物、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から温度を上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、変色させた状態を互変的に記憶保持できる熱変色性組成物を用いることもできる。
なお、適用される可逆熱変色性組成物a,bは、同一色調の組成物を用いて色調の濃淡を現出させる構成であってもよいが、異なる色調の組成物を用いて多彩な色変化を現出させる構成のものは商品価値をより高めることができるため好適である。
【0006】
前記可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について詳しく説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する最低温度T4 (以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは完全呈色状態を保持できる最高温度T3 (以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは完全消色状態を保持できる最低温度T2 (以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全呈色状態に達する最高温度T1 (以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
温度TA においては呈色状態E点と消色状態F点の2相が共存する状態にあり、この温度TA を含む、呈色状態と消色状態が共存できる温度域が変色の保持可能な温度域であり、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きい(5℃〜80℃)と変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0007】
前記可逆熱変色性組成物は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中に分散して熱変色性顔料として用いたり、或いは、マイクロカプセルに内包して熱変色性マイクロカプセル顔料として用いられる。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、公知のマイクロカプセル化技術、例えば、界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等の適用により得られる。
前記した可逆熱変色性組成物を樹脂中に分散して用いたり、或いは、マイクロカプセルに内包して用いることにより、種々の使用条件において可逆熱変色性材料は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができ、化学的及び物理的に安定な顔料を構成できる。
尚、前記顔料の平均粒子径は、0.5〜30μm、好ましくは、5〜20μmのものが変色の鋭敏性に優れるため効果的である。
【0008】
前記可逆熱変色性組成物は、前述したヒステリシス曲線を示す加熱消色型の組成物であり、インキ組成物中に少なくとも2種類以上の変色温度の異なる組成物を併用する。
そこで、一方の可逆熱変色性組成物の完全発色温度(T1 )より1℃以上低温側に他方の可逆熱変色性組成物の発色開始温度(t2 )を満たす、或いは、一方の可逆熱変色性組成物の完全消色温度(t4 )より1℃以上高温側に他方の可逆熱変色性組成物の消色開始温度(T3 )を満たすことにより、熱変色性組成物の変色状態の視覚判別のための可視時間を適正に保持し、色変化を認識させる。1℃未満では,熱変色性組成物a、bの発色又は消色が連続的となり、色変化を認識し難い。
【0009】
これを図2の色濃度−温度曲線によって更に具体的に説明すると、一方の可逆熱変色性組成物の完全発色温度(T1 )より1℃以上低温側に他方の可逆熱変色性組成物の発色開始温度(t2 )を満たす系においては、可逆熱変色性組成物a,bはT4 以上の温度域では無色を呈してなり、降温によりT2 の温度に達すると一方の可逆熱変色性組成物が発色を開始し、T1 の温度に達すると完全に発色する。この時点で無色から有色(1)への色変化が視認される。
更に降温していくと、t2 の温度に達すると他方の可逆熱変色性組成物が発色を開始し、t1 の温度に達すると完全に発色するため、有色(1)と混色になった有色(2)の色調が視認される。
この状態から昇温していくと、t3 の温度に達すると一方の可逆熱変色性組成物が消色を開始し、t4 の温度に達すると完全に消色するため、有色(2)から有色(1)への色変化が視認される。
更に昇温していくと、T3 の温度に達すると他方の可逆熱変色性組成物が消色を開始し、T4 の温度に達すると完全に消色するため、有色(1)から無色の色変化が視認される。
従って、前記図2に示されるヒステリシス特性を示す可逆熱変色性組成物a,bを用いることにより、無色、有色(1)、有色(2)の3状態の色変化が視認される。
また、前記T3 とt3 、T4 とt4 が同一温度の場合は、昇温過程で有色(2)から無色の色変化が視認される。
なお、非変色性の着色剤を添加することにより、有色(1)、有色(2)、有色(3)の色変化が視認される。
一方、可逆熱変色性組成物の完全消色温度(t4 )より1℃以上高温側に他方の可逆熱変色性組成物の消色開始温度(T3 )を満たす系においては、前記とは逆に昇温過程で混色の有色(2)から有色(1)、更に有色(1)から無色の3状態の色変化が視認される。
【0010】
また、図3のような可逆熱変色性組成物aとbのヒステリシス曲線が互いに重複しない場合でも、前述のような降温過程で無色から有色(1)、更に有色(1)から有色(2)への3状態の色変化や、非変色性の着色剤を添加した有色(1)、有色(2)、有色(3)の色変化が視認でき、昇温過程で有色(2)から有色(1)、更に有色(1)から無色への3状態の色変化や、非変色性の着色剤を添加した有色(3)、有色(2)、有色(1)の色変化を視認できる。
【0011】
ここで、少なくとも一方の可逆熱変色性組成物の完全消色温度(T4 )が25℃以上37℃以下の温度域にあり、完全発色温度(T1 )が20℃以上25℃未満の温度域にあると、手触等の体温により変色させることができるため、より簡便に色変化を視認することができる。
また、一方の可逆熱変色性組成物の完全消色温度(T4 )が26℃以上37℃以下の温度域にあり、完全発色温度が(T1 )が25℃以上26℃未満の温度域にあり、且つ、他方の可逆熱変色性組成物の完全消色温度(t4 )が24℃以下であると、手触等の体温による変色と、冷却手段の併用により多様な色変化を視認でき、実用性に富む。
【0012】
また、図4のような一方の可逆熱変色性組成物のヒステリシス曲線に、他方の可逆熱変色性組成物のヒステリシス曲線が内在したものであってもよい。
この場合、T4 以上の温度域では無色を呈してなり、降温によりt2 の温度に達すると一方の可逆熱変色性組成物が発色を開始し、t1 の温度に達すると完全に発色する。この時点で無色から有色(1)への色変化が視認される。
更に降温していくと、T2 の温度に達すると他方の可逆熱変色性組成物が発色を開始し、T1 の温度に達すると完全に発色するため、有色(1)と混色になった有色(2)の色調が視認される。
この状態から昇温していくと、t3 の温度に達すると一方の可逆熱変色性組成物が消色を開始し、t4 の温度に達すると完全に消色するため、有色(2)から有色(3)への色変化が視認される。
更に昇温していくと、T3 の温度に達すると他方の可逆熱変色性組成物が消色を開始し、T4 の温度に達すると完全に消色するため、有色(3)から無色の色変化が視認される。
従って、前記図2に示されるヒステリシス特性を示す可逆熱変色性組成物a,bを用いることにより、無色、有色(1)、有色(2)、有色(3)の4状態の色変化が視認でき、非変色性の着色剤を添加することにより、有色(1)、有色(2)、有色(3)、有色(4)の色変化が視認される。
また、前記において内在される可逆熱変色性組成物のt1 が25℃以上、ΔHb が0.5〜5℃であり、t4 が36℃〜37℃以下である場合には、組成物bの呈する色彩は、指触等の体温(36℃〜37℃)により消色し、それ以下の室温域では発色状態を呈するので、前記第1色から、指触等による体温により第2色が発現し、摩擦等や湯等による加温により第3色が発現し、室温域への温度降下により第4色が発現し、室温、水道水又は氷水等によって、再び第1色の変色状態に戻すことができる。
前記した如く生活環境温度域での熱又は冷熱手段によって多彩な色変化を簡易に発現させて視覚可能であり、特殊な変色装置等を要しない。
【0013】
また、図4のような一方の可逆熱変色性組成物のヒステリシス曲線に、他方の可逆熱変色性組成物のヒステリシス曲線が内在した系において、大きなヒステリシス幅(ΔHa )を呈して変色する熱変色性組成物aと、該熱変色性組成物aのΔHa より小さいヒステリシス幅(ΔHb )を有し、前記熱変色性組成物aの変色温度域に内在して変色する熱変色組成物bとを用いると共に、前記熱変色性組成物a、bとの相互間に前記特定の温度特性を満たすことにより、特定温度域での高感度の変色性、色彩記憶性、多色変色性、変色の意外性、変色の妙味等を効果的に発現できる。
この点を説明すれば、熱変色性組成物aのΔHa 値を10〜50℃の範囲、好ましくは15〜35℃に特定することにより、生活環境温度或いは簡易な熱又は冷熱手段により発色或いは消色させ、前記発色状態或いは消色状態における色彩変化による様相を常温域で互変的に記憶保持できる。ΔHa 値が10℃未満では色彩記憶機能が不十分であり、50℃を越えると色彩記憶機能を果たすが、生活環境温度或いは簡易な熱又は冷熱手段によっては、互変的な色彩記憶機能を発現させ難い。
一方、熱変色性顔料bのΔHb 値は、0.5〜20℃、好ましくは0.5〜12℃の範囲を満たし、前記熱変色性組成物aの変色温度域に内在して変色する関係にある。
熱変色性組成物bのΔHb 値を前記範囲に特定することにより、温度変化に鋭敏に感応し、変化に要した熱又は冷熱の適用を取り去ると速やかに元の色彩に復帰し、前記色変化がΔHa の領域内で可逆的に発現されることになり、前記ΔHa の領域内で記憶保持されている熱変色性組成物aの色彩との混色により多彩な色変化を視覚させる。
より具体的には、大きなヒステリシス幅(ΔHa )を呈して変色する熱変色性組成物aのT4 が28℃〜70℃、T1 が−20℃〜23℃を満たすことにより、生活環境温度域での変色に伴う様相変化を常温域で好適に視認させることができ、小さなヒステリシス幅(ΔHb )を呈して変色する熱変色性組成物bのt1 が25℃以上であり、ΔHb が0.5〜12℃を満たすことにより、体温により変色に伴う様相変化を好適に視認できる。
【0014】
前記可逆熱変色性顔料を分散させる熱可塑性樹脂としては、6−ナイロン、6,6ナイロン、12−ナイロン、6,9ナイロン、6,12ナイロン、6−6,6共重合ナイロン、6−12共重合ナイロン、6−6,6−12共重合ナイロン、6,9−12共重合ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、高密度ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体樹脂、アクリロニトリル共重合樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合樹脂等のポリアミド系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエンブロック共重合樹脂等のスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン−エチレンプロピレンラバーブロック共重合樹脂等のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル系共重合体等の熱可塑性エラストマーの何れかより選ばれる重合体等を挙げることができる。
なお、初期のしなやかな柔軟性状を長期間保持するには、前記熱可塑性エラストマーを適用することが望ましい。前記エラストマーの適用により成形体が経時により、しなやかさが失われて硬質化することを回避できる。
【0015】
また、下記のガラス転移温度が40℃以下の樹脂を併用すると、生活温度範囲の温度、或いはその近傍の温度域で柔軟性を保持することができる。
前記樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂(未硬化物)、炭化水素樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル−共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂等を例示でき、特に好ましくは飽和ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン樹脂等が用いられる。
【0016】
また、前記熱変色性顔料を含む樹脂が芯部を形成し、その周囲を熱可塑性樹脂が鞘状に取り巻き接合された芯鞘型、或いは前記樹脂同士が並列に接合された接合型等の複合繊維形態であってもよい。
【0017】
前記した繊維は、溶融紡糸装置の適用による溶融紡糸により、モノフィラメント形態又はマルチフィラメント形態として製造される。
ここで、モノフィラメントの断面は、円形状に限らず、星型、Y型、その他の異形状のものも有効であり、触感、嵩高性、カール加工性等により適宜選択される。
【0018】
前記繊維外径は10〜300μm、好ましくは50〜150μm、更に好ましくは60〜100μmの範囲である。
10μm未満では細すぎるため、商品性を損ない易くなる。
300μmを越えると太くなり過ぎて、繊維としての柔軟性を示し難くなる。
【0019】
本発明における繊維とはフィラメント、短繊維、これらの糸状物の撚糸、加工糸、紡績糸、更にこれらの糸状物から形成された編物、織物、組物、不織布等の繊維素材を総称する。
また、前記繊維を用いた製品としては、例えば人形又は動物玩具が挙げられ、前記繊維を人形の頭部、顔部、胴部、手足部等の適宜部分、動物玩具の体毛等に用いることができる。前記人形類に毛髪を植毛する方法としては、毛髪の外径が比較的細い場合、植毛ミシン等により植毛したり、前記毛髪を複数本束ねることのできる固定片を用いて、毛髪の端部を固定し、前記固定片を人形類の植毛する部分に固定する方法等が挙げられる。
その他、人形の服、衣類、帽子、靴、鞄、リボン、袋物、タオル、ハンカチ、布団、毛布、カーペット、造花、カーテン、かつら、付け毛、つけまつげ等を例示できる。
【0020】
また、芯鞘型の繊維にあって、前記した顔料類等の添加に関しては、芯部に限らず、芯、鞘の両方、或いは鞘部のみに添加してもよい。特に、鞘部に顔料やフィラーが配合された場合、透明性や表面の光沢を低減させることになるが、成形された毛髪相互の密接による結着や、エラストマー特有のゴム質的触感を回避することができる。
【0021】
更には、従来より汎用の光安定剤、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素消光剤、オゾン消色剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤から選ばれる光安定剤を原料樹脂中に適宜配合して毛髪を形成したり、光安定剤を固着剤に含有させた光安定剤層を表面に設けることができる。
又、従来より汎用の各種可塑剤、例えば、フタル酸系、脂肪族二塩基酸エステル系、リン酸エステル系、エポキシ系、フェノール系、トリメリット酸系等を1〜30重量%配合して柔軟性を付与することもできる。
更に、加工性、物性等を改善するために、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、タルク等を添加することもできる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明多色感温変色性繊維を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。
尚、実施例中の配合は重量部を示す。
【0023】
実施例1
可逆熱変色性組成物a(ΔHa :14.5℃、T1 :14℃、T2 :20℃、3 :28℃、T4 :35℃、シアン色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料A3部、可逆熱変色性組成物b(ΔHb :7℃、t1 :16℃、t2 :20℃、t3 :23℃、t4 :27℃、マゼンタ色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料B7部、黄色顔料0.5部、分散剤1部、ポリアミド樹脂(ナイロン6,9−12共重合体、融点150℃)88.5部をエクストルーダーにて170℃で溶融混合し、可逆熱変色性ペレットを得た。
前記可逆熱変色性ペレットを芯部成形用押出機に供給し、前記可逆熱変色性ペレットに使用したポリアミド樹脂を鞘部成形用押出機に供給して、各々を溶融温度170℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍で巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸(多色感温変色性繊維)を得た。
【0024】
前記多色感温変色性繊維は、光沢性に優れると共に、14℃以下の水中に浸漬すると、芯部に含まれる繊維中の顔料A及び顔料Bが共に完全発色してシアン色とマゼンタ色、及び、黄色顔料の色調が混色となった黒色(第1色)が視覚される。
次に、35℃以上の水中に浸漬すると、27℃を越えた時点で顔料Bが完全に消色(t4 )して、シアン色と黄色が混色となった緑色(第2色)が視覚され、更に温度が上昇して28℃を越えた時点で顔料Aが消色を開始(T3 )し、35℃を越えると完全に消色(T4 )して、黄色(第3色)が視覚される。
前記黒色から緑色を経て黄色に変色する状態変化は、加温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。
なお、前記黄色を呈する繊維を14℃以下の水中に浸漬すると、元の黒色に復する。
また、前記黒色を呈する繊維を指触して緑色になった状態から冷却すると、再び元の黒色に復する。
前記した各色の色彩保持温度域は、23℃以下の温度域で黒色を保持でき、20℃以上の温度域で黄色を保持でき、20〜28℃の温度域では緑色を保持できる。
【0025】
実施例2
可逆熱変色性組成物a(ΔHa :13℃、T1 :10℃、T2 :16℃、T3 :35℃、T4 :43℃、マゼンタ色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料A4部、可逆熱変色性組成物b(ΔHb : 2.5℃、t1 : 28℃、t2 : 31℃、t3 : 30 ℃、t4 : 34℃、黄色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料B6部、シアン色顔料1部、分散剤1部、ポリアミド樹脂(ナイロン6,9−12共重合体、融点150℃)88部をエクストルーダーにて170℃で溶融混合し、可逆熱変色性ペレットを得た。
前記可逆熱変色性ペレットを芯部成形用押出機に供給し、前記可逆熱変色性ペレットに使用したポリアミド樹脂を鞘部成形用押出機に供給して、各々を溶融温度170℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍で巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸(多色感温変色性繊維)を得た。
【0026】
前記多色感温変色性繊維は、光沢性に優れると共に、10℃以下の水中に浸漬すると、芯部に含まれる繊維中の顔料A及び顔料Bが共に完全発色してマゼンタ色と黄色、及び、シアン色顔料の色調が混色となった黒色(第1色)が視覚される。
次に、43℃以上の水中に浸漬すると、34℃を越えた時点で顔料Bが完全に消色(t4 )して、マゼンタ色とシアン色が混色となった紫色(第2色)が視覚され、更に温度が上昇して35℃を越えた時点で顔料Aが消色を開始(T3 )し、43℃を越えると完全に消色(T4 )して、シアン色(第3色)が視覚される。
前記黒色から紫色を経てシアン色に変色する状態変化は、加温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。
更に、前記繊維を10℃以下の水中に浸漬すると、28℃以下になった時点で顔料Bが完全に発色(t1 )して、シアン色と黄色が混色となった緑色(第4色)が視覚され、更に温度が下降して16℃以下になった時点で顔料Aが発色を開始(T2 )し、10℃以下になった時点で完全に発色(T1 )して、元の黒色に復する。
前記シアン色から緑色を経て黒色に変色する状態変化は、降温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。
また、前記黒色を呈する繊維を指触して紫色になった状態から冷却すると、再び元の黒色に復し、シアン色を呈する繊維を冷却して緑色になった状態から加温すると再び元のシアン色に復する。
前記した各色の色彩保持温度域は、30℃以下の温度域で黒色を保持でき、31℃以上の温度域でシアン色を保持でき、16〜35℃の温度域では紫色を保持でき、16〜30℃の温度域で緑色を保持できる。
【0027】
実施例3
可逆熱変色性組成物a(ΔHa :8℃、T1 :12℃、T2 :17℃、T3 :19℃、T4 :26℃、青色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料A8部、可逆熱変色性組成物b(ΔHb :8.5℃、t1 :21℃、t2 :27℃、t3 :29℃、t4 :30℃、ピンク色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料B3部、ブロンド色顔料1部、分散剤1部、ポリアミド樹脂(ナイロン6,9−12共重合体、融点150℃)87部をエクストルーダーにて170℃で溶融混合し、可逆熱変色性ペレットを得た。 前記可逆熱変色性ペレットを芯部成形用押出機に供給し、前記可逆熱変色性ペレットに使用したポリアミド樹脂を鞘部成形用押出機に供給して、各々を溶融温度170℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍で巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸(多色感温変色性繊維)を得た。
【0028】
前記多色感温変色性繊維は、光沢性に優れると共に、12℃以下の水中に浸漬すると、芯部に含まれる繊維中の顔料A及び顔料Bが共に完全発色して青色とピンク色とブロンド色顔料の色調が混色となった紫色(第1色)が視覚される。
なお、ブロンド色顔料は色調が薄いため、混色となった色調に殆ど影響を示さない。
次に、30℃以上の水中に浸漬すると、26℃を越えた時点で顔料Aが完全に消色(T4 )して、ピンク色とブロンド色が混色となったピンク色(第2色)が視覚され、更に温度が上昇して29℃を越えた時点で顔料Bが消色を開始(t3 )し、30を越えると完全に消色(T4 )して、ブロンド色(第3色)が視覚される。
前記紫色からピンク色を経てブロンド色に変色する状態変化は、加温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。
更に、前記繊維を12℃以下の水中に浸漬すると、21℃以下になった時点で顔料Bが完全に発色(t1 )して、ブロンド色とピンク色が混色となったピンク色(第4色)が視覚され、更に温度が下降して17℃以下になった時点で顔料Aが発色を開始(T2 )し、10℃以下になった時点で完全に発色(T1 )して、元の紫色に復する。
前記ブロンド色からピンク色を経て紫色に変色する状態変化は、降温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。
【0029】
実施例4
可逆熱変色性組成物a(ΔHa :4℃、T1 :20℃、T2 :29℃、T3 :26℃、T4 :34℃、黄色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料A4部、可逆熱変色性組成物b(ΔHb :4℃、t1 :15℃、t2 :21℃、t3 :17℃、t4 :25℃、緑色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料B8部、ブロンド色顔料1部、分散剤1部、ポリアミド樹脂(ナイロン6,9−12共重合体、融点150℃))87部をエクストルーダーにて170℃で溶融混合し、可逆熱変色性ペレットを得た。
前記可逆熱変色性ペレットを芯部成形用押出機に前記芯に使用したポリアミド樹脂を鞘部成形用押出機に、それぞれ供給し、各々を溶融温度170℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍により巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸を得た。
前記可逆熱変色性ペレットを芯部成形用押出機に供給し、前記可逆熱変色性ペレットに使用したポリアミド樹脂を鞘部成形用押出機に供給して、各々を溶融温度170℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍で巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸(多色感温変色性繊維)を得た。
【0030】
前記多色感温変色性繊維は、光沢性に優れると共に、15℃以下の水中に浸漬すると、繊維中の顔料A及び顔料Bが共に完全発色して黄色と緑色、及び、ブロンド色顔料の色調が混色となった黄緑色(第1色)が視覚される。
なお、ブロンド色顔料は色調が薄いため、混色となった色調に殆ど影響を示さない。
次に、34℃以上の水中に浸漬すると、25℃を越えた時点で顔料Bが完全に消色(t4 )して、黄色とブロンド色が混色となった黄色(第2色)が視覚され、更に温度が上昇して26℃を越えた時点で顔料Aが消色を開始(T3 )し、34℃を越えると完全に消色(T4 )して、ブロンド色(第3色)が視覚される。前記黄緑色から黄色を経てブロンド色に変色する状態変化は、加温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。なお、前記ブロンド色を呈する繊維を15℃以下の水中に浸漬すると、元の黄緑色に復する。
【0031】
実施例5
可逆熱変色性組成物a(ΔHa :14℃、T1 :15℃、T2 :20℃、T 3:29℃、T4 :34℃、ピンク色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料A8部、可逆熱変色性組成物b(ΔHb :9.5℃、t1 :13℃、t2 :16℃、t3 :20℃、t4 :28℃、青色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料B4部:ブロンド色顔料1部、分散剤1部、ポリアミド樹脂(ナイロン6,9−12共重合体、融点150℃)86部をエクストルーダーにて170℃で溶融混合し、可逆熱変色性ペレットを得た。
前記可逆熱変色性ペレットを成形用押出機に供給し、溶融温度170℃にて、繊維紡糸装置を用いて18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍で巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸(多色感温変色性繊維)を得た。
【0032】
前記多色感温変色性繊維は、13℃以下の水中に浸漬すると、繊維中の顔料A及び顔料Bが共に完全発色して青色とピンク色、及び、ブロンド色顔料の色調が混色となった紫色(第1色)が視覚される。
なお、ブロンド色顔料は色調が薄いため、混色となった色調に殆ど影響を示さない。
次に、34℃以上の水中に浸漬すると、28℃を越えた時点で顔料Bが完全に消色(t4 )して、ピンク色とブロンド色が混色となったピンク色(第2色)が視覚され、更に温度が上昇して29℃を越えた時点で顔料Aが消色を開始(T3 )し、34℃を越えると完全に消色(T4 )して、ブロンド色(第3色)が視覚される。
前記紫色からピンク色を経てブロンド色に変色する状態変化は、加温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。
なお、前記ブロンド色を呈する繊維を13℃以下の水中に浸漬すると、元の紫色に復する。
前記した各色の色彩保持温度域は、20℃以下の温度域で紫色を保持でき、20℃以上の温度域でブロンド色を保持でき、16〜29℃の温度域ではピンク色を保持できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、一方の可逆熱変色性組成物の完全発色温度(T1 )より1℃以上低温側に他方の可逆熱変色性組成物の発色開始温度(T2 )を有する各組成物をそれぞれ含有する顔料Aと顔料Bを併用する、或いは、一方の可逆熱変色性組成物の完全消色温度(t4 )より1℃以上高温側に他方の可逆熱変色性組成物の消色開始温度(T3 )を有する各組成物をそれぞれ含有する顔料Aと顔料Bを併用することにより、有色から無色、或いは、有色(1)から有色(2)への可逆的色変化を適正に視覚判別でき、色変化のバリエーションに富み、商品価値の高い多色感温変色性繊維を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】可逆熱変色性組成物の温度−色濃度曲線を示す。
【図2】本発明の可逆熱変色性組成物a及び可逆熱変色性組成物bを含む多色感温変色性繊維の温度−色濃度曲線を示す。
【図3】本発明の他の可逆熱変色性組成物a及び可逆熱変色性組成物bを含む多色感温変色性繊維の温度−色濃度曲線を示す。
【図4】本発明の他の可逆熱変色性組成物a及び可逆熱変色性組成物bを含む多色感温変色性繊維の温度−色濃度曲線を示す。
【符号の説明】
T1 完全発色温度
T2 発色開始温度
T3 消色開始温度
T4 完全消色温度
t1 完全発色温度
t2 発色開始温度
t3 消色開始温度
t4 完全消色温度
【発明の属する技術分野】
本発明は多色感温変色性繊維に関する。更に詳細には、温度変化により多彩な色変化を呈する多色感温変色性繊維に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、温度変化によって色変化を呈する感温変色性繊維が開示されている(特開平3−227402号公報等)。
前記感温変色性繊維は、温度変化により有色から無色、或いは、有色(1)から有色(2)への可逆的色変化を示し、装飾性に優れるものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記した可逆熱変色性を示す繊維について追求し、更に色変化のバリエーションに富み、商品価値の高い多色感温変色性繊維を提供しようとするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明は、熱可塑性樹脂中に可逆熱変色性組成物aを含む顔料A、及び、可逆熱変色性組成物bを含む顔料Bを分散してなる感温変色性繊維であって、前記可逆熱変色性組成物a及びbは色濃度−温度曲線において消色状態からの降温過程で発色開始温度(T2 )に達すると発色し始め、完全発色温度(T1 )に達すると完全に発色状態になり、発色状態からの昇温過程で消色開始温度(T3 )に達すると消色し始め、完全消色温度(T4 )に達すると完全に消色状態になるヒステリシス曲線を示す加熱消色型の組成物であり、一方の可逆熱変色性組成物の完全発色温度(T1 )より1℃以上低温側に他方の可逆熱変色性組成物の発色開始温度(t2 )を有する、或いは、一方の可逆熱変色性組成物の完全消色温度(t4 )より1℃以上高温側に他方の可逆熱変色性組成物の消色開始温度(T3 )を有する多色感温変色性繊維を要件とする。
更には、前記可逆熱変色性組成物aとbのヒステリシス曲線が互いに重複しないこと、可逆熱変色性組成物bのヒステリシス曲線は、可逆熱変色性組成物aのヒステリシス曲線に内在したものであること、前記可逆熱変色性組成物aのヒステリシス幅(ΔHa )と可逆熱変色性組成物bのヒステリシス幅(ΔHb )が下記(1)と(2)の条件を満たしてなる請求項3記載の多色感温変色性繊維。
ΔHa =[(T4 +T3 )/2−(T2 +T1 )/2]=10〜50℃ (1)ΔHb =[(t4 +t3 )/2−(t2 +t1 )/2]=0.5〜20℃(2)ここで,T1 、T2 、T3 、T4 は可逆熱変色性組成物aの完全発色温度、発色開始温度、消色開始温度、完全消色温度をそれぞれ示し、t1 、t2 、t3 、t4 は可逆熱変色性組成物bの完全発色温度、発色開始温度、消色開始温度、完全消色温度をそれぞれ示す。
更には、繊維の外径が30〜200μmであること等を要件とする。
【0005】
前記可逆熱変色性組成物a,bは、(イ)電子供与性呈色性有機化合物、(ロ)電子受容性化合物、及び前記(イ)、(ロ)の電子授受反応による呈色反応を可逆的に生起させる(ハ)有機化合物媒体の三成分を含む熱変色性組成物である。
具体的には、特公昭51−35414号公報、特公昭51−44706号公報、特公平1−17154号公報、特開平7−186546号公報等に記載されているヒステリシス幅の比較的小さい熱変色性組成物、特公平1−29398号公報に記載されている3℃以下のヒステリシス幅を発現させる高感度の熱変色性組成物を挙げることができる。
この種の熱変色性組成物は、変色温度を境として、その前後で変色し、変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。即ち、もう一方の状態はその状態が発現するのに要した熱または冷熱が適用されている間は維持されるが、前記熱又は冷熱の適用がなくなれば常温域で呈する元の状態に戻るタイプの熱変色性組成物である。
また、特公平4−17154号公報に記載されている、大きなヒステリシス特性を示して変色する感温変色性色彩記憶性組成物、即ち、温度変化による着色濃度の変化をプロットした曲線の形状が、温度を変色温度域より低温側から温度を上昇させていく場合と逆に変色温度域より高温側から下降させていく場合とで大きく異なる経路を辿って変色し、変色させた状態を互変的に記憶保持できる熱変色性組成物を用いることもできる。
なお、適用される可逆熱変色性組成物a,bは、同一色調の組成物を用いて色調の濃淡を現出させる構成であってもよいが、異なる色調の組成物を用いて多彩な色変化を現出させる構成のものは商品価値をより高めることができるため好適である。
【0006】
前記可逆熱変色性組成物の色濃度−温度曲線におけるヒステリシス特性について詳しく説明する。
図1において、縦軸に色濃度、横軸に温度が表されている。温度変化による色濃度の変化は矢印に沿って進行する。ここで、Aは完全消色状態に達する最低温度T4 (以下、完全消色温度と称す)における濃度を示す点であり、Bは完全呈色状態を保持できる最高温度T3 (以下、消色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Cは完全消色状態を保持できる最低温度T2 (以下、発色開始温度と称す)における濃度を示す点であり、Dは完全呈色状態に達する最高温度T1 (以下、完全発色温度と称す)における濃度を示す点である。
温度TA においては呈色状態E点と消色状態F点の2相が共存する状態にあり、この温度TA を含む、呈色状態と消色状態が共存できる温度域が変色の保持可能な温度域であり、線分EFの長さが変色のコントラストを示す尺度であり、線分EFの中点を通る線分HGの長さがヒステリシスの程度を示す温度幅(以下、ヒステリシス幅ΔHと記す)であり、このΔH値が小さいと変色前後の両状態のうち常温域では特定の一方の状態しか存在しえない。また、前記ΔH値が大きい(5℃〜80℃)と変色前後の各状態の保持が容易となる。
【0007】
前記可逆熱変色性組成物は、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂中に分散して熱変色性顔料として用いたり、或いは、マイクロカプセルに内包して熱変色性マイクロカプセル顔料として用いられる。
なお、前記マイクロカプセル顔料は、公知のマイクロカプセル化技術、例えば、界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等の適用により得られる。
前記した可逆熱変色性組成物を樹脂中に分散して用いたり、或いは、マイクロカプセルに内包して用いることにより、種々の使用条件において可逆熱変色性材料は同一の組成に保たれ、同一の作用効果を奏することができ、化学的及び物理的に安定な顔料を構成できる。
尚、前記顔料の平均粒子径は、0.5〜30μm、好ましくは、5〜20μmのものが変色の鋭敏性に優れるため効果的である。
【0008】
前記可逆熱変色性組成物は、前述したヒステリシス曲線を示す加熱消色型の組成物であり、インキ組成物中に少なくとも2種類以上の変色温度の異なる組成物を併用する。
そこで、一方の可逆熱変色性組成物の完全発色温度(T1 )より1℃以上低温側に他方の可逆熱変色性組成物の発色開始温度(t2 )を満たす、或いは、一方の可逆熱変色性組成物の完全消色温度(t4 )より1℃以上高温側に他方の可逆熱変色性組成物の消色開始温度(T3 )を満たすことにより、熱変色性組成物の変色状態の視覚判別のための可視時間を適正に保持し、色変化を認識させる。1℃未満では,熱変色性組成物a、bの発色又は消色が連続的となり、色変化を認識し難い。
【0009】
これを図2の色濃度−温度曲線によって更に具体的に説明すると、一方の可逆熱変色性組成物の完全発色温度(T1 )より1℃以上低温側に他方の可逆熱変色性組成物の発色開始温度(t2 )を満たす系においては、可逆熱変色性組成物a,bはT4 以上の温度域では無色を呈してなり、降温によりT2 の温度に達すると一方の可逆熱変色性組成物が発色を開始し、T1 の温度に達すると完全に発色する。この時点で無色から有色(1)への色変化が視認される。
更に降温していくと、t2 の温度に達すると他方の可逆熱変色性組成物が発色を開始し、t1 の温度に達すると完全に発色するため、有色(1)と混色になった有色(2)の色調が視認される。
この状態から昇温していくと、t3 の温度に達すると一方の可逆熱変色性組成物が消色を開始し、t4 の温度に達すると完全に消色するため、有色(2)から有色(1)への色変化が視認される。
更に昇温していくと、T3 の温度に達すると他方の可逆熱変色性組成物が消色を開始し、T4 の温度に達すると完全に消色するため、有色(1)から無色の色変化が視認される。
従って、前記図2に示されるヒステリシス特性を示す可逆熱変色性組成物a,bを用いることにより、無色、有色(1)、有色(2)の3状態の色変化が視認される。
また、前記T3 とt3 、T4 とt4 が同一温度の場合は、昇温過程で有色(2)から無色の色変化が視認される。
なお、非変色性の着色剤を添加することにより、有色(1)、有色(2)、有色(3)の色変化が視認される。
一方、可逆熱変色性組成物の完全消色温度(t4 )より1℃以上高温側に他方の可逆熱変色性組成物の消色開始温度(T3 )を満たす系においては、前記とは逆に昇温過程で混色の有色(2)から有色(1)、更に有色(1)から無色の3状態の色変化が視認される。
【0010】
また、図3のような可逆熱変色性組成物aとbのヒステリシス曲線が互いに重複しない場合でも、前述のような降温過程で無色から有色(1)、更に有色(1)から有色(2)への3状態の色変化や、非変色性の着色剤を添加した有色(1)、有色(2)、有色(3)の色変化が視認でき、昇温過程で有色(2)から有色(1)、更に有色(1)から無色への3状態の色変化や、非変色性の着色剤を添加した有色(3)、有色(2)、有色(1)の色変化を視認できる。
【0011】
ここで、少なくとも一方の可逆熱変色性組成物の完全消色温度(T4 )が25℃以上37℃以下の温度域にあり、完全発色温度(T1 )が20℃以上25℃未満の温度域にあると、手触等の体温により変色させることができるため、より簡便に色変化を視認することができる。
また、一方の可逆熱変色性組成物の完全消色温度(T4 )が26℃以上37℃以下の温度域にあり、完全発色温度が(T1 )が25℃以上26℃未満の温度域にあり、且つ、他方の可逆熱変色性組成物の完全消色温度(t4 )が24℃以下であると、手触等の体温による変色と、冷却手段の併用により多様な色変化を視認でき、実用性に富む。
【0012】
また、図4のような一方の可逆熱変色性組成物のヒステリシス曲線に、他方の可逆熱変色性組成物のヒステリシス曲線が内在したものであってもよい。
この場合、T4 以上の温度域では無色を呈してなり、降温によりt2 の温度に達すると一方の可逆熱変色性組成物が発色を開始し、t1 の温度に達すると完全に発色する。この時点で無色から有色(1)への色変化が視認される。
更に降温していくと、T2 の温度に達すると他方の可逆熱変色性組成物が発色を開始し、T1 の温度に達すると完全に発色するため、有色(1)と混色になった有色(2)の色調が視認される。
この状態から昇温していくと、t3 の温度に達すると一方の可逆熱変色性組成物が消色を開始し、t4 の温度に達すると完全に消色するため、有色(2)から有色(3)への色変化が視認される。
更に昇温していくと、T3 の温度に達すると他方の可逆熱変色性組成物が消色を開始し、T4 の温度に達すると完全に消色するため、有色(3)から無色の色変化が視認される。
従って、前記図2に示されるヒステリシス特性を示す可逆熱変色性組成物a,bを用いることにより、無色、有色(1)、有色(2)、有色(3)の4状態の色変化が視認でき、非変色性の着色剤を添加することにより、有色(1)、有色(2)、有色(3)、有色(4)の色変化が視認される。
また、前記において内在される可逆熱変色性組成物のt1 が25℃以上、ΔHb が0.5〜5℃であり、t4 が36℃〜37℃以下である場合には、組成物bの呈する色彩は、指触等の体温(36℃〜37℃)により消色し、それ以下の室温域では発色状態を呈するので、前記第1色から、指触等による体温により第2色が発現し、摩擦等や湯等による加温により第3色が発現し、室温域への温度降下により第4色が発現し、室温、水道水又は氷水等によって、再び第1色の変色状態に戻すことができる。
前記した如く生活環境温度域での熱又は冷熱手段によって多彩な色変化を簡易に発現させて視覚可能であり、特殊な変色装置等を要しない。
【0013】
また、図4のような一方の可逆熱変色性組成物のヒステリシス曲線に、他方の可逆熱変色性組成物のヒステリシス曲線が内在した系において、大きなヒステリシス幅(ΔHa )を呈して変色する熱変色性組成物aと、該熱変色性組成物aのΔHa より小さいヒステリシス幅(ΔHb )を有し、前記熱変色性組成物aの変色温度域に内在して変色する熱変色組成物bとを用いると共に、前記熱変色性組成物a、bとの相互間に前記特定の温度特性を満たすことにより、特定温度域での高感度の変色性、色彩記憶性、多色変色性、変色の意外性、変色の妙味等を効果的に発現できる。
この点を説明すれば、熱変色性組成物aのΔHa 値を10〜50℃の範囲、好ましくは15〜35℃に特定することにより、生活環境温度或いは簡易な熱又は冷熱手段により発色或いは消色させ、前記発色状態或いは消色状態における色彩変化による様相を常温域で互変的に記憶保持できる。ΔHa 値が10℃未満では色彩記憶機能が不十分であり、50℃を越えると色彩記憶機能を果たすが、生活環境温度或いは簡易な熱又は冷熱手段によっては、互変的な色彩記憶機能を発現させ難い。
一方、熱変色性顔料bのΔHb 値は、0.5〜20℃、好ましくは0.5〜12℃の範囲を満たし、前記熱変色性組成物aの変色温度域に内在して変色する関係にある。
熱変色性組成物bのΔHb 値を前記範囲に特定することにより、温度変化に鋭敏に感応し、変化に要した熱又は冷熱の適用を取り去ると速やかに元の色彩に復帰し、前記色変化がΔHa の領域内で可逆的に発現されることになり、前記ΔHa の領域内で記憶保持されている熱変色性組成物aの色彩との混色により多彩な色変化を視覚させる。
より具体的には、大きなヒステリシス幅(ΔHa )を呈して変色する熱変色性組成物aのT4 が28℃〜70℃、T1 が−20℃〜23℃を満たすことにより、生活環境温度域での変色に伴う様相変化を常温域で好適に視認させることができ、小さなヒステリシス幅(ΔHb )を呈して変色する熱変色性組成物bのt1 が25℃以上であり、ΔHb が0.5〜12℃を満たすことにより、体温により変色に伴う様相変化を好適に視認できる。
【0014】
前記可逆熱変色性顔料を分散させる熱可塑性樹脂としては、6−ナイロン、6,6ナイロン、12−ナイロン、6,9ナイロン、6,12ナイロン、6−6,6共重合ナイロン、6−12共重合ナイロン、6−6,6−12共重合ナイロン、6,9−12共重合ナイロン等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、高密度ポリプロピレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、塩化ビニリデン−塩化ビニル共重合体樹脂、アクリロニトリル共重合樹脂、ポリウレタン系熱可塑性エラストマー、ポリアミド−ポリエーテルブロック共重合樹脂等のポリアミド系熱可塑性エラストマー、スチレン−ブタジエンブロック共重合樹脂等のスチレン系熱可塑性エラストマー、ポリプロピレン−エチレンプロピレンラバーブロック共重合樹脂等のポリオレフィン系熱可塑性エラストマー、ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、エチレン−酢酸ビニル系共重合体等の熱可塑性エラストマーの何れかより選ばれる重合体等を挙げることができる。
なお、初期のしなやかな柔軟性状を長期間保持するには、前記熱可塑性エラストマーを適用することが望ましい。前記エラストマーの適用により成形体が経時により、しなやかさが失われて硬質化することを回避できる。
【0015】
また、下記のガラス転移温度が40℃以下の樹脂を併用すると、生活温度範囲の温度、或いはその近傍の温度域で柔軟性を保持することができる。
前記樹脂としては、飽和ポリエステル樹脂、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂(未硬化物)、炭化水素樹脂、軟質塩化ビニル樹脂、エチレン酢酸ビニル−共重合樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−アクリル共重合樹脂、スチレン樹脂、アクリル−スチレン共重合樹脂等を例示でき、特に好ましくは飽和ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、スチレン樹脂等が用いられる。
【0016】
また、前記熱変色性顔料を含む樹脂が芯部を形成し、その周囲を熱可塑性樹脂が鞘状に取り巻き接合された芯鞘型、或いは前記樹脂同士が並列に接合された接合型等の複合繊維形態であってもよい。
【0017】
前記した繊維は、溶融紡糸装置の適用による溶融紡糸により、モノフィラメント形態又はマルチフィラメント形態として製造される。
ここで、モノフィラメントの断面は、円形状に限らず、星型、Y型、その他の異形状のものも有効であり、触感、嵩高性、カール加工性等により適宜選択される。
【0018】
前記繊維外径は10〜300μm、好ましくは50〜150μm、更に好ましくは60〜100μmの範囲である。
10μm未満では細すぎるため、商品性を損ない易くなる。
300μmを越えると太くなり過ぎて、繊維としての柔軟性を示し難くなる。
【0019】
本発明における繊維とはフィラメント、短繊維、これらの糸状物の撚糸、加工糸、紡績糸、更にこれらの糸状物から形成された編物、織物、組物、不織布等の繊維素材を総称する。
また、前記繊維を用いた製品としては、例えば人形又は動物玩具が挙げられ、前記繊維を人形の頭部、顔部、胴部、手足部等の適宜部分、動物玩具の体毛等に用いることができる。前記人形類に毛髪を植毛する方法としては、毛髪の外径が比較的細い場合、植毛ミシン等により植毛したり、前記毛髪を複数本束ねることのできる固定片を用いて、毛髪の端部を固定し、前記固定片を人形類の植毛する部分に固定する方法等が挙げられる。
その他、人形の服、衣類、帽子、靴、鞄、リボン、袋物、タオル、ハンカチ、布団、毛布、カーペット、造花、カーテン、かつら、付け毛、つけまつげ等を例示できる。
【0020】
また、芯鞘型の繊維にあって、前記した顔料類等の添加に関しては、芯部に限らず、芯、鞘の両方、或いは鞘部のみに添加してもよい。特に、鞘部に顔料やフィラーが配合された場合、透明性や表面の光沢を低減させることになるが、成形された毛髪相互の密接による結着や、エラストマー特有のゴム質的触感を回避することができる。
【0021】
更には、従来より汎用の光安定剤、例えば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、老化防止剤、一重項酸素消光剤、オゾン消色剤、可視光線吸収剤、赤外線吸収剤から選ばれる光安定剤を原料樹脂中に適宜配合して毛髪を形成したり、光安定剤を固着剤に含有させた光安定剤層を表面に設けることができる。
又、従来より汎用の各種可塑剤、例えば、フタル酸系、脂肪族二塩基酸エステル系、リン酸エステル系、エポキシ系、フェノール系、トリメリット酸系等を1〜30重量%配合して柔軟性を付与することもできる。
更に、加工性、物性等を改善するために、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化チタン、タルク等を添加することもできる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明多色感温変色性繊維を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこの実施例によって何ら限定されるものではない。
尚、実施例中の配合は重量部を示す。
【0023】
実施例1
可逆熱変色性組成物a(ΔHa :14.5℃、T1 :14℃、T2 :20℃、3 :28℃、T4 :35℃、シアン色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料A3部、可逆熱変色性組成物b(ΔHb :7℃、t1 :16℃、t2 :20℃、t3 :23℃、t4 :27℃、マゼンタ色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料B7部、黄色顔料0.5部、分散剤1部、ポリアミド樹脂(ナイロン6,9−12共重合体、融点150℃)88.5部をエクストルーダーにて170℃で溶融混合し、可逆熱変色性ペレットを得た。
前記可逆熱変色性ペレットを芯部成形用押出機に供給し、前記可逆熱変色性ペレットに使用したポリアミド樹脂を鞘部成形用押出機に供給して、各々を溶融温度170℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍で巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸(多色感温変色性繊維)を得た。
【0024】
前記多色感温変色性繊維は、光沢性に優れると共に、14℃以下の水中に浸漬すると、芯部に含まれる繊維中の顔料A及び顔料Bが共に完全発色してシアン色とマゼンタ色、及び、黄色顔料の色調が混色となった黒色(第1色)が視覚される。
次に、35℃以上の水中に浸漬すると、27℃を越えた時点で顔料Bが完全に消色(t4 )して、シアン色と黄色が混色となった緑色(第2色)が視覚され、更に温度が上昇して28℃を越えた時点で顔料Aが消色を開始(T3 )し、35℃を越えると完全に消色(T4 )して、黄色(第3色)が視覚される。
前記黒色から緑色を経て黄色に変色する状態変化は、加温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。
なお、前記黄色を呈する繊維を14℃以下の水中に浸漬すると、元の黒色に復する。
また、前記黒色を呈する繊維を指触して緑色になった状態から冷却すると、再び元の黒色に復する。
前記した各色の色彩保持温度域は、23℃以下の温度域で黒色を保持でき、20℃以上の温度域で黄色を保持でき、20〜28℃の温度域では緑色を保持できる。
【0025】
実施例2
可逆熱変色性組成物a(ΔHa :13℃、T1 :10℃、T2 :16℃、T3 :35℃、T4 :43℃、マゼンタ色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料A4部、可逆熱変色性組成物b(ΔHb : 2.5℃、t1 : 28℃、t2 : 31℃、t3 : 30 ℃、t4 : 34℃、黄色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料B6部、シアン色顔料1部、分散剤1部、ポリアミド樹脂(ナイロン6,9−12共重合体、融点150℃)88部をエクストルーダーにて170℃で溶融混合し、可逆熱変色性ペレットを得た。
前記可逆熱変色性ペレットを芯部成形用押出機に供給し、前記可逆熱変色性ペレットに使用したポリアミド樹脂を鞘部成形用押出機に供給して、各々を溶融温度170℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍で巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸(多色感温変色性繊維)を得た。
【0026】
前記多色感温変色性繊維は、光沢性に優れると共に、10℃以下の水中に浸漬すると、芯部に含まれる繊維中の顔料A及び顔料Bが共に完全発色してマゼンタ色と黄色、及び、シアン色顔料の色調が混色となった黒色(第1色)が視覚される。
次に、43℃以上の水中に浸漬すると、34℃を越えた時点で顔料Bが完全に消色(t4 )して、マゼンタ色とシアン色が混色となった紫色(第2色)が視覚され、更に温度が上昇して35℃を越えた時点で顔料Aが消色を開始(T3 )し、43℃を越えると完全に消色(T4 )して、シアン色(第3色)が視覚される。
前記黒色から紫色を経てシアン色に変色する状態変化は、加温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。
更に、前記繊維を10℃以下の水中に浸漬すると、28℃以下になった時点で顔料Bが完全に発色(t1 )して、シアン色と黄色が混色となった緑色(第4色)が視覚され、更に温度が下降して16℃以下になった時点で顔料Aが発色を開始(T2 )し、10℃以下になった時点で完全に発色(T1 )して、元の黒色に復する。
前記シアン色から緑色を経て黒色に変色する状態変化は、降温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。
また、前記黒色を呈する繊維を指触して紫色になった状態から冷却すると、再び元の黒色に復し、シアン色を呈する繊維を冷却して緑色になった状態から加温すると再び元のシアン色に復する。
前記した各色の色彩保持温度域は、30℃以下の温度域で黒色を保持でき、31℃以上の温度域でシアン色を保持でき、16〜35℃の温度域では紫色を保持でき、16〜30℃の温度域で緑色を保持できる。
【0027】
実施例3
可逆熱変色性組成物a(ΔHa :8℃、T1 :12℃、T2 :17℃、T3 :19℃、T4 :26℃、青色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料A8部、可逆熱変色性組成物b(ΔHb :8.5℃、t1 :21℃、t2 :27℃、t3 :29℃、t4 :30℃、ピンク色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料B3部、ブロンド色顔料1部、分散剤1部、ポリアミド樹脂(ナイロン6,9−12共重合体、融点150℃)87部をエクストルーダーにて170℃で溶融混合し、可逆熱変色性ペレットを得た。 前記可逆熱変色性ペレットを芯部成形用押出機に供給し、前記可逆熱変色性ペレットに使用したポリアミド樹脂を鞘部成形用押出機に供給して、各々を溶融温度170℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍で巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸(多色感温変色性繊維)を得た。
【0028】
前記多色感温変色性繊維は、光沢性に優れると共に、12℃以下の水中に浸漬すると、芯部に含まれる繊維中の顔料A及び顔料Bが共に完全発色して青色とピンク色とブロンド色顔料の色調が混色となった紫色(第1色)が視覚される。
なお、ブロンド色顔料は色調が薄いため、混色となった色調に殆ど影響を示さない。
次に、30℃以上の水中に浸漬すると、26℃を越えた時点で顔料Aが完全に消色(T4 )して、ピンク色とブロンド色が混色となったピンク色(第2色)が視覚され、更に温度が上昇して29℃を越えた時点で顔料Bが消色を開始(t3 )し、30を越えると完全に消色(T4 )して、ブロンド色(第3色)が視覚される。
前記紫色からピンク色を経てブロンド色に変色する状態変化は、加温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。
更に、前記繊維を12℃以下の水中に浸漬すると、21℃以下になった時点で顔料Bが完全に発色(t1 )して、ブロンド色とピンク色が混色となったピンク色(第4色)が視覚され、更に温度が下降して17℃以下になった時点で顔料Aが発色を開始(T2 )し、10℃以下になった時点で完全に発色(T1 )して、元の紫色に復する。
前記ブロンド色からピンク色を経て紫色に変色する状態変化は、降温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。
【0029】
実施例4
可逆熱変色性組成物a(ΔHa :4℃、T1 :20℃、T2 :29℃、T3 :26℃、T4 :34℃、黄色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料A4部、可逆熱変色性組成物b(ΔHb :4℃、t1 :15℃、t2 :21℃、t3 :17℃、t4 :25℃、緑色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料B8部、ブロンド色顔料1部、分散剤1部、ポリアミド樹脂(ナイロン6,9−12共重合体、融点150℃))87部をエクストルーダーにて170℃で溶融混合し、可逆熱変色性ペレットを得た。
前記可逆熱変色性ペレットを芯部成形用押出機に前記芯に使用したポリアミド樹脂を鞘部成形用押出機に、それぞれ供給し、各々を溶融温度170℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍により巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸を得た。
前記可逆熱変色性ペレットを芯部成形用押出機に供給し、前記可逆熱変色性ペレットに使用したポリアミド樹脂を鞘部成形用押出機に供給して、各々を溶融温度170℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍で巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸(多色感温変色性繊維)を得た。
【0030】
前記多色感温変色性繊維は、光沢性に優れると共に、15℃以下の水中に浸漬すると、繊維中の顔料A及び顔料Bが共に完全発色して黄色と緑色、及び、ブロンド色顔料の色調が混色となった黄緑色(第1色)が視覚される。
なお、ブロンド色顔料は色調が薄いため、混色となった色調に殆ど影響を示さない。
次に、34℃以上の水中に浸漬すると、25℃を越えた時点で顔料Bが完全に消色(t4 )して、黄色とブロンド色が混色となった黄色(第2色)が視覚され、更に温度が上昇して26℃を越えた時点で顔料Aが消色を開始(T3 )し、34℃を越えると完全に消色(T4 )して、ブロンド色(第3色)が視覚される。前記黄緑色から黄色を経てブロンド色に変色する状態変化は、加温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。なお、前記ブロンド色を呈する繊維を15℃以下の水中に浸漬すると、元の黄緑色に復する。
【0031】
実施例5
可逆熱変色性組成物a(ΔHa :14℃、T1 :15℃、T2 :20℃、T 3:29℃、T4 :34℃、ピンク色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料A8部、可逆熱変色性組成物b(ΔHb :9.5℃、t1 :13℃、t2 :16℃、t3 :20℃、t4 :28℃、青色から無色に可逆的に変色する)を含む顔料B4部:ブロンド色顔料1部、分散剤1部、ポリアミド樹脂(ナイロン6,9−12共重合体、融点150℃)86部をエクストルーダーにて170℃で溶融混合し、可逆熱変色性ペレットを得た。
前記可逆熱変色性ペレットを成形用押出機に供給し、溶融温度170℃にて、繊維紡糸装置を用いて18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍で巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸(多色感温変色性繊維)を得た。
【0032】
前記多色感温変色性繊維は、13℃以下の水中に浸漬すると、繊維中の顔料A及び顔料Bが共に完全発色して青色とピンク色、及び、ブロンド色顔料の色調が混色となった紫色(第1色)が視覚される。
なお、ブロンド色顔料は色調が薄いため、混色となった色調に殆ど影響を示さない。
次に、34℃以上の水中に浸漬すると、28℃を越えた時点で顔料Bが完全に消色(t4 )して、ピンク色とブロンド色が混色となったピンク色(第2色)が視覚され、更に温度が上昇して29℃を越えた時点で顔料Aが消色を開始(T3 )し、34℃を越えると完全に消色(T4 )して、ブロンド色(第3色)が視覚される。
前記紫色からピンク色を経てブロンド色に変色する状態変化は、加温により順次、適正に視覚判別でき、段階的な色変化のバリエーションに富むものであった。
なお、前記ブロンド色を呈する繊維を13℃以下の水中に浸漬すると、元の紫色に復する。
前記した各色の色彩保持温度域は、20℃以下の温度域で紫色を保持でき、20℃以上の温度域でブロンド色を保持でき、16〜29℃の温度域ではピンク色を保持できる。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、一方の可逆熱変色性組成物の完全発色温度(T1 )より1℃以上低温側に他方の可逆熱変色性組成物の発色開始温度(T2 )を有する各組成物をそれぞれ含有する顔料Aと顔料Bを併用する、或いは、一方の可逆熱変色性組成物の完全消色温度(t4 )より1℃以上高温側に他方の可逆熱変色性組成物の消色開始温度(T3 )を有する各組成物をそれぞれ含有する顔料Aと顔料Bを併用することにより、有色から無色、或いは、有色(1)から有色(2)への可逆的色変化を適正に視覚判別でき、色変化のバリエーションに富み、商品価値の高い多色感温変色性繊維を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】可逆熱変色性組成物の温度−色濃度曲線を示す。
【図2】本発明の可逆熱変色性組成物a及び可逆熱変色性組成物bを含む多色感温変色性繊維の温度−色濃度曲線を示す。
【図3】本発明の他の可逆熱変色性組成物a及び可逆熱変色性組成物bを含む多色感温変色性繊維の温度−色濃度曲線を示す。
【図4】本発明の他の可逆熱変色性組成物a及び可逆熱変色性組成物bを含む多色感温変色性繊維の温度−色濃度曲線を示す。
【符号の説明】
T1 完全発色温度
T2 発色開始温度
T3 消色開始温度
T4 完全消色温度
t1 完全発色温度
t2 発色開始温度
t3 消色開始温度
t4 完全消色温度
Claims (5)
- 熱可塑性樹脂中に可逆熱変色性組成物aを含む顔料A、及び、可逆熱変色性組成物bを含む顔料Bを分散してなる感温変色性繊維であって、前記可逆熱変色性組成物a及びbは色濃度−温度曲線において消色状態からの降温過程で発色開始温度(T2 )に達すると発色し始め、完全発色温度(T1 )に達すると完全に発色状態になり、発色状態からの昇温過程で消色開始温度(T3 )に達すると消色し始め、完全消色温度(T4 )に達すると完全に消色状態になるヒステリシス曲線を示す加熱消色型の組成物であり、一方の可逆熱変色性組成物の完全発色温度(T1 )より1℃以上低温側に他方の可逆熱変色性組成物の発色開始温度(t2 )を有する、或いは、一方の可逆熱変色性組成物の完全消色温度(t4 )より1℃以上高温側に他方の可逆熱変色性組成物の消色開始温度(T3 )を有することを特徴とする多色感温変色性繊維。
- 前記可逆熱変色性組成物aとbのヒステリシス曲線が互いに重複しない請求項1記載の多色感温変色性繊維。
- 可逆熱変色性組成物bのヒステリシス曲線は、可逆熱変色性組成物aのヒステリシス曲線に内在したものである請求項1記載の多色感温変色性繊維。
- 前記可逆熱変色性組成物aのヒステリシス幅(ΔHa )と可逆熱変色性組成物bのヒステリシス幅(ΔHb )が下記(1)と(2)の条件を満たしてなる請求項3記載の多色感温変色性繊維。
ΔHa =[(T4 +T3 )/2−(T2 +T1 )/2]=10〜50℃ (1)ΔHb =[(t4 +t3 )/2−(t2 +t1 )/2]=0.5〜20℃(2)ここで,T1 、T2 、T3 、T4 は可逆熱変色性組成物aの完全発色温度、発色開始温度、消色開始温度、完全消色温度をそれぞれ示し、t1 、t2 、t3 、t4 は可逆熱変色性組成物bの完全発色温度、発色開始温度、消色開始温度、完全消色温度をそれぞれ示す。 - 繊維の外径が30〜200μmである請求項1乃至4のいずれかに記載の多色感温変色性繊維。
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