JP3300165B2 - 微細繊維およびその製造方法 - Google Patents

微細繊維およびその製造方法

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JP3300165B2
JP3300165B2 JP16898794A JP16898794A JP3300165B2 JP 3300165 B2 JP3300165 B2 JP 3300165B2 JP 16898794 A JP16898794 A JP 16898794A JP 16898794 A JP16898794 A JP 16898794A JP 3300165 B2 JP3300165 B2 JP 3300165B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、分離膜、濾過材、保温
材などとして有用な微細繊維およびその製造方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】繊維径が例えば2μm以下の微細繊維
は、構成する繊維の繊維径が極めて小さいことから多方
面での利用が期待できる。例えば、微細繊維の集合体は
微細孔を形成し得るため、通常の繊維では捕捉されない
粒子を捕捉できるので、分離膜や濾過材などの材料とし
て好適に利用できる。また、空気を多量に保有すること
から保温材としても有用である。さらに、印刷特性が良
好なため、紙および紙力補強材として使用できる。ま
た、近年、単一繊維からなる微細繊維集合体の有する特
性をさらに向上させたり、耐熱性、機械的強度、耐摩耗
性、柔軟性、透明性、耐薬品性、耐水性、電気特性など
の諸特性を改善し、高機能または多機能の多孔質膜材料
等として利用するため、2種以上の繊維からなる多成分
系の微細繊維の開発も進められている。
【0003】このような微細繊維の製造法として、特開
昭56−100801号公報及び特開平4−12689
1号公報には、単一の繊維の分散液を、大きな圧力差の
下、小径オリフィスを通過させ、高速度で器壁に衝突さ
せて急速に減速させるという操作を繰返して、前記分散
液に剪断力を作用させることにより繊維を微細化する方
法が開示されている。しかし、上記方法では、繊維に大
きな剪断力を加えて繊維を微細化するため、ポリアクリ
ロニトリル系合成繊維のような剛直性繊維の場合には微
細繊維化できるが、ポリプロピレンなどの柔軟性の高い
樹脂から得られた繊維の場合には、微細繊維化が困難で
ある。また、この方法において、多成分系の微細繊維を
得るため、単に複数種の繊維を分散させて剪断力を加え
ても、各繊維の剛性等が異なるため、均一な多成分系の
微細繊維を得ることができない。
【0004】また、微細繊維の製造法として、繊維やフ
ィルムをビーティング(叩解)により微細化する方法が
知られている。しかし、この方法では、繊維等を乾式に
より微細化するため、繊維が切れ易く、繊維長の長い繊
維が得られにくい。また、繊維が髭状になったり、繊維
長や繊維径に大きなバラツキが生じやすい。そのため、
均一で高品質の微細繊維を得ることが困難である。
【0005】一方、多成分系の微細繊維の製造法とし
て、2つの異なる樹脂が長さ方向に交互に張合わされた
繊維を紡糸し、この繊維を剥離、分割して2成分系の微
細繊維集合体を得る方法が知られている。しかし、この
剥離型複合繊維の剥離による方法は、分割の数に限度が
あり、さほど微細な繊維は得られない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的
は、均一で、しかも繊維径が小さい微細繊維及びその簡
易で効率的な製造方法を提供することにある。
【0007】本発明の他の目的は、均一な多成分系の微
細繊維及びその簡便且つ効率的な製造方法を提供するこ
とにある。
【0008】本発明のさらに他の目的は、柔軟性の高い
微細繊維であっても、容易にしかも均一に得ることので
きる微細繊維の製造方法を提供することにある。
【0009】また、本発明の他の目的は、安定性が高く
凝集しにくい微細繊維懸濁液を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記目的
を達成するために鋭意検討の結果、オレフィン系重合体
とスチレン系重合体とを含む樹脂組成物から形成された
特定の微細構造を有する複合体に、剪断力を作用させる
、均一で繊維径の小さい微細繊維が簡便にかつ効率よ
く得られることを見出し、本発明を完成した。
【0011】すなわち、本発明の微細繊維の製造方法で
は、オレフィン系重合体とスチレン系重合体とを主成分
として含む樹脂組成物で形成され、平均アスペクト比が
3以上の島を有する海島構造の複合体に、剪断力を作用
させて微細繊維を得る。
【0012】前記組成物は、例えば、オレフィン系重合
体とスチレン系重合体との割合が前者/後者=90〜1
0/10〜90(重量比)であってもよい。前記島は、
平均径2μm以下の繊維状であってもよい。海を構成す
る海成分と島を構成する成分との割合は、例えば海成
分/島成分=35〜90/65〜10(重量比)程度で
ある。
【0013】えば、前記海成分がオレフィン系重合体
であり、島成分がスチレン系重合体で構成されていても
よい
【0014】前記剪断力は、前記海島構造の複合体を溶
媒に分散させて作用させてもよい。例えば、前記海島構
造の複合体を溶媒に分散させた分散液を少なくとも20
0Kg/cm2 の圧力差で小径オリフィスを通過させ、
高速度で器壁に衝突させて急速に減速させることによ
り、剪断力を作用させることができる。
【0015】本発明の微細繊維は、前記製造方法により
得られた微細繊維であって、平均繊維径0.05〜2μ
mである。前記微細繊維の平均繊維長と平均繊維径との
比(前者/後者)は10以上であってもよい。好ましい
微細繊維では、微細繊維が全体として乱雑な方向で存在
している。
【0016】本発明の微細繊維懸濁液では、前記微細繊
維が溶媒に分散している。
【0017】以下、必要に応じて添付図面を参照しつ
つ、本発明を詳細に説明する。
【0018】なお、本明細書において、繊維の繊維径お
よび繊維長は乾燥状態における値を示す。また、海島構
造を有する複合体がフィルムの場合において、島の「ア
スペクト比」は、フィルムの表面側から観察したときの
アスペクト比を意味し、島の厚みは、フィルムのエッジ
面、すなわち側部端面側から観察したときの厚みを意味
する。
【0019】本発明における樹脂組成物は、繰り返し単
位の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂を主成分とする。
【0020】前記熱可塑性樹脂としては、例えば、下記
(1)〜(14)のポリマーが例示される。
【0021】(1)オレフィン系重合体 この重合体には、オレフィンの単独又は共重合体が含ま
れる。オレフィンとしては、例えば、エチレン、プロピ
レン、1−ブテン、4−メチル−1−ブテン、1−ペン
テン、3ーメチル−1−ペンテン、4−メチル−1−ペ
ンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセン、1
−ドデセン、1−テトラデセン、1−ヘキサデセン、1
−オクタデセンおよび1−エイコセンなどのα−オレフ
ィン;イソブテンなどの他のオレフィンが挙げられる。
【0022】オレフィン系重合体は、オレフィンと共重
合可能なモノマーとの共重合体であってもよい。共重合
可能なモノマーとしては、例えば、アクリル酸、メタク
リル酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコ
ン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、メサコン酸、アン
ゲリカ酸などのエチレン系不飽和カルボン酸;無水マレ
イン酸、無水シトラコン酸、無水イタコン酸などのエチ
レン系不飽和多価カルボン酸とその酸無水物;アクリル
酸エステル及びメタクリル酸エステル;カルボン酸のビ
ニルエステル(例えば、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニ
ルなど)などのエチレン性不飽和カルボン酸エステル;
ノルボルネン、エチリデンノルボルネンおよびシクロペ
ンタジエンなどの環状オレフィン;およびジエンなどが
例示される。共重合可能なモノマーは、1種または2種
以上使用できる。
【0023】ジエン成分としては、1,3−ブタジエ
ン、イソプレンなどの鎖状共役ジエン;1,4−ヘキサ
ジエン、1,6−オクタジエン、2−メチル−1,5−
ヘキサジエン、6−メチル−1,5−ヘプタジエン、7
−メチル−1,6−オクタジエンなどの鎖状非共役ジエ
ン;シクロヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、メチ
ルテトラヒドロインデン、5−ビニルノルボルネン、5
−エチリデン−2−ノルボルネン、5−メチレン−2−
ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネ
ン、6−クロロメチル−5−イソプロペニル−2−ノル
ボルネンなどの環状非共役ジエン;2,3−ジイソプロ
ピリデン−5−ノルボルネン、2−エチリデン−3−イ
ソプロピリデン−5−ノルボルネン、2−プロペニル−
2,2−ノルボルナジエンなどの環状共役ジエンが挙げ
られる。
【0024】好ましい重合体には、次のようなオレフィ
ン系重合体が含まれる。
【0025】(1a)ポリエチレン、ポリプロピレン、
エチレン−プロピレン共重合体、エチレン及び/又はプ
ロピレンと他のモノマーとの共重合体(例えば、エチレ
ン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−アクリル酸エチル
共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、プ
ロピレン−(メタ)アクリル酸共重合体など) (1b)少なくとも2種のα−オレフィンからなる非晶
性ないし低結晶性の軟質共重合体(例えば、エチレンと
炭素数3〜20のα−オレフィンとの共重合体、プロピ
レンと炭素数4〜20のα−オレフィンとの共重合体な
ど) (1c)軟質重合体としてのα−オレフィン−ジエン系
共重合体(例えば、エチレン−炭素数3〜20のα−オ
レフィン−ジエン共重合体ゴム、プロピレン−炭素数4
〜20のα−オレフィン−ジエン系共重合体ゴムなど) (1d)ゴム質軟質重合体(例えば、ポリイソブチレン
ゴム、ポリイソプレンゴム、ポリブタジエンゴム、イソ
プレン−イソブチレン共重合体ゴムなど) (1e)環状オレフィン単位を有する軟質重合体(例え
ば、環状オレフィン又は環状ジエンとα−オレフィンと
の共重合体など)。
【0026】共重合体は、通常、ランム共重合体であ
る場合が多い。前記単独重合体及び/又は共重合体は、
2種以上の混合物として使用することもできる。
【0027】特に好ましい前記オレフィン系重合体に
は、前記(1a)に属するポリマーのうち、エチレン、
プロピレンを主成分とする単独又は共重合体が含まれ
る。このようなオレフィン系重合体としては、ポリエチ
レン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合
体、エチレン及び/又はプロピレンと、炭素数1〜6程
度の直鎖状又は分岐鎖状α−オレフィンとの共重合体が
含まれる。前記オレフィン系共重合体においてエチレン
及び/又はプロピレンの含有量は、65重量%以上であ
る。より具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレンお
よびエチレン−プロピレン共重合体が好ましい。
【0028】共重合体は、通常、ランタム共重合体であ
る場合が多い。前記単独重合体及び/又は共重合体は、
2種以上の混合物として使用することもできる。
【0029】(2)ハロゲン含有ビニル重合体 ハロゲン含有ビニル重合体には、例えば、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニル(例えば、
ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロプロピ
レンなど)、ポリクロロプレンなどのハロゲン含有モノ
マーの単独重合体;塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、
塩化ビニリデン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニリデン
−アクリロニトリル共重合体、塩化ビニリデン−(メ
タ)アクリル酸共重合体、塩化ビニリデン−(メタ)ア
クリル酸エステル共重合体などのハロゲン含有モノマー
と他のモノマーとの共重合体;塩素化ポリプロピレン、
塩素化ゴムなどのハロゲン化ポリマーが例示される。
【0030】(3)アクリル系重合体 この重合体には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、アクリル
アミド、アクリロニトリルなどのアクリル系モノマーの
単独重合体又は共重合体;アクリル系モノマーと他のモ
ノマーと共重合体などが含まれる。
【0031】前記アクリル系単独重合体又は共重合体と
しては、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アク
リル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ポリ
アクリルアミド、ポリアクリロニトリルなどが挙げられ
る。アクリル系モノマーとの共重合体としては、(メ
タ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体、(メタ)
アクリル酸−スチレン共重合体、アクリロニトリル−ブ
タジエン−スチレン共重合体、アクリロニトリル−スチ
レン共重合体、アクリロニトリル−スチレン−(メタ)
アクリル酸エステル共重合体などが挙げられる。これら
のアクリル系重合体は単独で又は混合して使用できる。
【0032】好ましいアクリル系重合体には、ポリメタ
クリル酸メチル、(メタ)アクリル酸−スチレン共重合
体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体な
どが含まれる。
【0033】(4)ビニル系重合体 ビニル系重合体には、ビニル系モノマーの単独又は共重
合体およびこれらの重合体から誘導される重合体が含ま
れる。前記ビニル系モノマーとしては、例えば、酢酸ビ
ニル、プロピオン酸ビニル、クロトン酸ビニル、ラウリ
ン酸ビニル、オレイン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、
マレイン酸ビニル、安息香酸ビニルなどのビニルエステ
ル;メチルビニルケトン、メチルイソプロペニルケトン
などのビニルケトン類;ビニルメチルエーテル、ビニル
エチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニ
ルエーテル類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルピ
ロリドンなどのビニルアミン類などが例示される。ビニ
ル系モノマーは、他の共重合可能なモノマーとの共重合
体(例えば、エチレン−酢酸ビニル共重合体など)であ
ってもよい。
【0034】前記ビニル系単独重合体から誘導される重
合体としては、ポリビニルアルコール、ポリビニルホル
マールやポリビニルブチラールなどのポリビニルアセタ
ールなどが例示される。前記ビニル系共重合体から誘導
される重合体としては、エチレン−酢酸ビニル共重合体
から誘導されるエチレン−ビニルアルコール共重合体な
どが例示される。
【0035】好ましいビニル系共重合体には、ポリビニ
ルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル)、ポリビニルケ
トン、ポリビニルエーテル、ポリビニルアルコール、ポ
リビニルアセタール、エチレン−酢酸ビニル共重合体、
エチレン−ビニルアルコール共重合体などが含まれる。
【0036】(5)芳香族ビニル系重合体 芳香族ビニル系重合体には、(5a)スチレン系重合体
と(5b)スチレン系モノマー−共役ジエン系共重合体
が含まれる。
【0037】(5a)スチレン系重合体 スチレン系重合体には、スチレン、α−メチルスチレ
ン、クロロスチレンなどのスチレン系モノマーの単独重
合体又は共重合体、スチレン系モノマーと、ビニルモノ
マー(例えば、アクリロニトリルなどの不飽和ニトリ
ル、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸エステ
ル、無水マレイン酸などのα,β−モノオレフィン性不
飽和カルボン酸又は酸無水物あるいはそのエステルな
ど)との共重合体、耐衝撃性ポリスチレン(ハイインパ
クトポリスチレンHIPS)や、耐衝撃性スチレン系樹
脂などが挙げられる。
【0038】耐衝撃性ポリスチレンは、ジエン系ゴムエ
ラストマーに、ポリスチレンを混合したり、ジエン系ゴ
ムエラストマーに、スチレン系モノマーをグラフト重合
することにより得られる。また、耐衝撃性スチレン系樹
脂は、ポリブタジエンなどのジエン系ゴムエラストマ
ー、不飽和基を含むアクリルゴム、塩素化ポリエチレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピ
レンゴムなどのポリマーに、ビニルモノマー(例えば、
アクリロニトリルやメタクリル酸メチルなど)ととも
に、スチレン系モノマーをグラフト共重合することによ
っても得られる。
【0039】好ましいスチレン系重合体には、例えば、
ポリスチレン(GPPS)、スチレン−(メタ)アクリ
ル酸共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体
(MAS樹脂)などのスチレン−(メタ)アクリル酸エ
ステル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、
スチレン−アクリロニトリル共重合体(AS樹脂)、耐
衝撃性ポリスチレン、耐衝撃性スチレン系樹脂(例え
ば、ポリブタジエンにスチレン及びアクリロニトリルを
グラフト重合したABS樹脂、アクリルゴムにスチレン
及びアクリロニトリルをグラフト重合したAAS樹脂、
塩素化ポリエチレンにスチレン及びアクリロニトリルを
グラフト重合したACS樹脂、エチレン−酢酸ビニル共
重合体にスチレン及びアクリロニトリルをグラフト重合
した重合体、エチレン−プロピレンゴムにスチレン及び
アクリロニトリルをグラフト重合した重合体、ポリブタ
ジエンにスチレンとメタクリル酸メチルをグラフト重合
したMBS樹脂など)が含まれる。これらのスチレン系
重合体は、一種又は二種以上混合して使用できる。
【0040】特に好ましいスチレン系重合体には、透明
性の高いスチレン系重合体(例えば、ポリスチレン、ス
チレン−(メタ)アクリル酸共重合体、メタクリル酸メ
チル−スチレン共重合体などのスチレン−(メタ)アク
リル酸エステル共重合体、スチレン−アクリロニトリル
共重合体など)、耐衝撃性ポリスチレン、耐衝撃性スチ
レン系樹脂、スチレン−無水マレイン酸共重合体などが
含まれる。
【0041】なお、以下、特に断りがない限り、耐衝撃
性ポリスチレンと耐衝撃性スチレン系樹脂を総称して、
単に「ゴム変性耐衝撃性ポリスチレン」と称する。
【0042】透明性の高いスチレン系重合体を、例え
ば、ポリエステルと組合せてフィルム化すると、透明性
が高く、引裂き性に優れるフィルムが得られる。また、
スチレン系重合体をポリエステルと組合せると、フィル
ムの引取り方向のみならず、引取り方向と直交する方向
に対しても引裂き性の高いフィルムが得られる。このよ
なフィルムは、本発明の微細繊維集合体の原材料として
好適に用いられる。
【0043】なお、ポリエステルと組合せて用いる場
合、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレンが、(メタ)アクリ
ル酸などのα,β−不飽和脂肪族カルボン酸、無水マレ
イン酸などのα,β−不飽和脂肪族多価カルボン酸又は
その酸無水物あるいはそのエステルにより変性されてい
ると、ポリエステルとの親和性が大きくなり、フィルム
の引裂き性が低下する場合がある。そのため、ポリエス
テルと組合せるゴム変性耐衝撃性ポリスチレンは、α,
β−不飽和脂肪族カルボン酸、α,β−不飽和脂肪族多
価カルボン酸又はその酸無水物或いはそのエステルを除
くモノマーとの共重合体であるのが好ましい。
【0044】(5b)スチレン系モノマー−共役ジエン
系共重合体 この共重合体には、スチレン系モノマーと、共役ジエン
とのランダム共重合体、ブロック共重合体またはこれら
の水素添加共重合体が含まれる。前記共重合体は、通
常、軟質重合体を構成する。
【0045】このような共重合体としては、スチレン−
ブタジエン共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレン
(SBS)ブロック共重合体、スチレン−イソプレンブ
ロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン(S
IS)ブロック共重合体、スチレン−エチレン・ブチレ
ン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン・
プロピレン−スチレンブロック共重合体、水素添加スチ
レン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素添
加スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、
スチレン−ブタジエンランダム共重合体などが挙げられ
る。
【0046】水素添加共重合体は、上記共重合体中に存
在する二重結合の一部または全部を水素化した共重合体
である。水素添加によりベンゼン環も水素添加されてシ
クロヘキサン環を生成してもよいが、通常、共役ジエン
に由来する二重結合が水素添加される場合が多い。水素
添加率は、通常、50%以上、好ましくは70%以上で
ある。好ましい水素添加共重合体には、水素添加スチレ
ン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、水素添加
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体など
が含まれる。
【0047】共重合体は、無水マレイン酸、(メタ)ア
クリル酸、(メタ)アクリル酸エステル、グリシジル
(メタ)アクリレートなどにより変性されていてもよ
い。
【0048】(6)ポリカーボネート ポリカーボネートには、ジヒドロキシ化合物と、ホスゲ
ン又はジフェニルカーボネートなどの炭酸エステルとの
反応により得られる重合体が含まれる。ジヒドロキシ化
合物は、脂環族化合物などであってもよいが、好ましく
はビスフェノール化合物である。
【0049】ビスフェノール化合物としては、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン、1,1−ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン(ビスフェノールA)、2,2−
ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、2,2−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−3−メチルブタン、2,
2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘキサン、2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−メチルペンタ
ン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペ
ンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シク
ロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニ
ル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチ
ルフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−
3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒ
ドロキシ−3−エチルフェニル)プロパン、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシ−3−isoプロピルフェニル)プ
ロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−secブ
チルフェニル)プロパン、ビス(4−ヒドロキシフェニ
ル)フェニルメタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフ
ェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒ
ドロキシフェニル)−1−フェニルプロパン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)ジベンジルメタン、4,4′−ジ
ヒドロキシジフェニルエーテル、4,4′−ジヒドロキ
シジフェニルスルホン、4,4′−ジヒドロキシジフェ
ニルスルフィドなどが挙げられる。
【0050】好ましいポリカーボネートには、ビスフェ
ノールA型ポリカーボネートが含まれる。
【0051】(7)ポリエステル ポリエステルには、ジカルボン酸又はその低級アルキル
エステルとグリコールとから誘導されるポリエステル;
オキシカルボン酸、必要に応じてジカルボン酸又はその
低級アルキルエステル及び/又はグリコールを併用して
得れるポリエステル;ラクトンから誘導されたポリエス
テルが含まれる。
【0052】ジカルボン酸成分としては、例えば、グル
タル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼラ
イン酸、セバシン酸などの脂肪族ジカルボン酸;シクロ
ヘキサン−1,4−ジカルボン酸などの脂環族ジカルボ
ン酸;テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フ
タル酸、p−β−エトキシ安息香酸、2,6−ナフタレ
ンジカルボン酸、ジ(p−カルボキシフェニル)ケト
ン、ジ(p−カルボキシフェニル)エーテル、ビス(4
−カルボキシフェノール)エタン、5−ナトリウムスル
ホイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸などが挙げら
れる。
【0053】グリコール成分としては、エチレングリコ
ール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコー
ル、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、
ポリプロピレングリコール、ブタンジオール、ポリテト
ラメチレングリコール、ヘキサンジオール、ネオペンチ
ルグリコールなどの脂肪族ジオール;シクロヘキサンジ
オールなどの脂環族ジオール;ビスフェノールAなどの
芳香族ジオール;ビスフェノールAのアルキレンオキサ
イド(例えばエチレンオキサイド)付加物などが挙げら
れる。
【0054】オキシカルボン酸成分としては、p−オキ
シ安息香酸などが挙げられる。
【0055】ラクトンとしては、プロピオラクトン、ブ
チロラクトン、バレロラクトン、カプロラクトン、ラウ
ロラクトン、パルミトラクトン、ステアロラクトンなど
が例示される。
【0056】ポリエステルには、ポリエステルエラスト
マーも含まれる。このエラストマーは、ポリエステルを
主成分とし、ポリテトラメチレングリコールなどのセグ
メントを有していてもよい。
【0057】ポリエステルは、アミド結合、ウレタン結
合、エーテル結合、カーボネート結合を含有する少量の
共重合成分の単位を含んでいてもよい。
【0058】好ましいポリエステルには、テレフタル酸
単位を含むポリエステル、例えば、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリアル
キレンテレフタレート、ポリ−1,4−ジメチロール−
シクロヘキサンテレフタレートなどが含まれる。これら
のポリエステルは、通常、結晶性を有している。なお、
結晶性ポリエステルは、構成成分以外のジカルボン酸成
分及び/又はグリコール成分により変性されていてもよ
い。
【0059】(8)ポリアミド ポリアミドには、ジアミンとジカルボン酸とから誘導さ
れるポリアミド;アミノカルボン酸、必要に応じてジア
ミン及び/又はジカルボン酸を併用して得れるポリアミ
ド;ラクタムから誘導されたポリアミドが含まれる。ポ
リアミドにはコポリアミドも含まれる。
【0060】ジアミンとしては、一般式H2 N−L−N
2 (式中、Lは二価の脂肪族基、二価の脂環式基また
は二価の芳香族基であって、これらの基は置換基を有し
ていてもよい)で示される化合物が用いられる。
【0061】ジアミンとしては、トリメチレンジアミ
ン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、2,2,4−トリメチル
ヘキサメチレンジアミン、2,4,4−トリメチルヘキ
サメチレンジアミン、オクタメチレンジアミンなどの脂
肪族ジアミン;フェニレンジアミン、メタキシリレンジ
アミンなどの芳香族ジアミン;ビス(4−アミノ−3−
メチルシクロヘキシル)メタンなどの脂環族ジアミンが
挙げられる。これらのジアミンは1種又は2種以上使用
できる。
【0062】ジカルボン酸としては、一般式HOOC−
M−COOH(式中、Mは二価の脂肪族基、二価の脂環
式基または二価の芳香族基であって、これらの基は置換
基を有していてもよい)で示される化合物とその酸無水
物が用いられる。
【0063】ジカルボン酸としては、フタル酸、無水フ
タル酸、イソフタル酸やテレフタル酸などの芳香族ジカ
ルボン酸;シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸やシ
クロヘキサン−1,3−ジカルボン酸などの脂環式ジカ
ルボン酸;グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベ
リン酸、アゼライン酸、セバシン酸、オクタデカン二酸
などの脂肪族ジカルボン酸;二量体化脂肪酸などが挙げ
られる。二量体化脂肪酸は、脂肪酸、例えば炭素原子数
8〜24の不飽和の天然または合成塩基性脂肪酸を重合
して得た重合脂肪酸である。このような二量体化脂肪酸
としては、リノレン酸の二量体などが挙げられる。
【0064】アミノカルボン酸としては、アミノヘプタ
ン酸、アミノノナン酸、アミノウンデカン酸などが例示
される。アミノカルボン酸も一種又は二種以上使用でき
る。
【0065】ラクタムとしては、例えば、ブチロラクタ
ム、ビバロラクタム、カプロラクタム、カプリルラクタ
ム、エナントラクタム、ウンデカノラクタム、ドデカラ
クタムなどが挙げられる。これらのラクタムも1種又は
2種以上組み合せて使用できる。
【0066】ポリアミドとしては、ナイロン46、ナイ
ロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン61
2、ナイロン11、ナイロン12、テレフタル酸および
/又はイソフタル酸とヘキサメチレンジアミンとから得
られるポリアミド、アジピン酸とメタキシリレンジアミ
ンとから得られるポリアミド、テレフタル酸とアジピン
酸とヘキサメチレンジアミンとから得られるポリアミ
ド、共重合成分として二量体化脂肪酸を含む共重合ポリ
アミド、及びこれらのうち少なくとも2種の異なったポ
リアミド形成成分により形成されるコポリアミドなどが
挙げられる。これらのポリアミドは単独で又は混合して
使用できる。なお、ポリアミドには、ポリアミドエラス
トマーも含まれる。
【0067】好ましいポリアミドには、ナイロン6、ナ
イロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロ
ン11、ナイロン12などが含まれる。なお、ポリアミ
ドとして、ナイロン11やナイロン12を用いると、オ
レフィン系重合体と組合せても、透明性の高い易引裂き
性フィルムが得られる。
【0068】(9)エポキシドから誘導される重合体 この重合体には、エチレンオキサイド、プロピレンオキ
サイドなどのアルキレンオキサイドの単独又は共重合体
が含まれる。前記重合体としては、例えば、ポリエチレ
ンオキサイド、ポリプロピレンオキサイド、エチレンオ
キサイドとプロピレンオキサイドとの共重合体などが挙
げられる。
【0069】(10)ポリアセタール ポリアセタールには、ホルムアルデヒド、トリオキサン
などのアルデヒド類の単独重合体又は前記モノマーを主
成分とする共重合体が含まれる。共重合体としては、ホ
ルムアルデヒド又はトリオキサンと、他のモノマー(例
えば、アセトアルデヒドなどの他のアルデヒド、エチレ
ンオキサイド、1,3−ジオキソランなどの環状エーテ
ル、環状カーボネート、エポキシド、イソシアネート、
ビニル化合物など)との共重合体が挙げられる。ポリア
セタールの末端は、酢酸などの有機酸によりエステル化
されていてもよい。
【0070】(11)ポリフェニレンオキシド ポリフェニレンオキシドには単独重合体および共重合体
が含まれる。単独重合体としては、ポリ(2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチ
ル−6−エチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ
(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)オキシド、
ポリ(2−メチル−6−n−プロピル−1,4−フェニ
レン)オキシド、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−
1,4−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6
−n−ブチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ
(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレ
ン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−クロロ−1,4
−フェニレン)オキシド、ポリ(2−メチル−6−ヒド
ロキシエチル−1,4−フェニレン)オキシド、ポリ
(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレ
ン)オキシドなどが挙げられる。
【0071】ポリフェニレンオキシドの共重合体として
は、ベンゼンホルムアルデヒド樹脂やアルキルベンゼン
ホルムアルデヒド樹脂に、クレゾール、p−tert−
ブチルフェノールなどのアルキルフェノールを反応させ
て得られるアルキルフェノール変性ベンゼンホルムアル
デヒド樹脂ブロックと、主体構造としてのポリフェニレ
ンオキシドブロックとで構成された変性ポリフェニレン
オキシド共重合体、ポリフェニレンオキシド又はその共
重合体にスチレン系重合体がグラフトしている変性グラ
フト共重合体などが挙げられる。
【0072】(12)ポリスルホン ポリスルホンには、下記一般式で表される構造単位を有
する熱可塑性ポリスルホンが含まれる。
【0073】−(Ar2 −B−Ar2 −SO2 )−又は
−(Ar2 −SO2 )− (式中、Ar2 はアリーレン基(例えば、フェニレン
基)を示し、Bは酸素原子、硫黄原子または芳香族ジオ
ール残基を示す) ポリスルホンとしては、ポリ(エーテルスルホン)、ポ
リ(4,4′−ビスフェノールエーテルスルホン)など
が挙げられる。
【0074】(13)ポリウレタン ポリウレタンには、トリレンジイソシアネートなどのジ
イソシアネート化合物と、前記グリコール及び/又は前
記ジアミンとの反応により得られる重合体が含まれる。
また、ポリウレタンには、ポリウレタンを主成分とし、
ポリテトラメチレングリコールなどのセグメントを有し
ていてもよいポリウレタンエラストマーも含まれる。
【0075】(14)その他の熱可塑性樹脂 その他の熱可塑性樹脂としては、例えば、(14a)ポ
リアリレート、(14b)ポリフェニレンスルフィド、
(14c)ポリエーテルサルホン、(14d)ポリエー
テルエーテルケトン、(14e)ポリオキシベンジレン
などが例示される。
【0076】本発明の製造方法において、剪断力を作用
させる複合体は、その構成成分により海島構造を有して
いる。前記海島構造は連続相と分散相とで構成される場
合が多い。前記複合体の形状、形態は、特に限定され
ず、フィルム(シートを含む)、繊維、ロッド状などの
何れであってもよい。前記複合体として、フィルム又は
繊維が使用される場合が多い。
【0077】本発明では、前記熱可塑性樹脂のうち、繰
り返し単位の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂を適当に
組合せて使用する。好ましくは、海を構成する海成分と
島を構成する島成分とが互いに非相溶となる複数の熱可
塑性樹脂、特に異種の熱可塑性樹脂が組合せられる。
【0078】なお、海島構造が形成される限り、同系列
の2種以上の熱可塑性樹脂を用いてもよい。すなわち、
2種以上の熱可塑性樹脂は、例えば、ポリブチレンテレ
フタレートとポリエチレンテレフタレートとの組合せの
ように、一部の繰返し単位が同一又は類似していてもよ
い。また、2種以上の熱可塑性樹脂は、部分的に相溶し
てもよい。好ましくは、相溶性の尺度となる溶解度パラ
メータSPが0.2〜7、好ましくは0.5〜5程度異
なる熱可塑性樹脂を主成分として含んでいる場合が多
い。
【0079】熱可塑性樹脂の溶解度パラメータは、繰返
し単位だけでなく変性の有無などにより変動するととも
に、市販の熱可塑性樹脂の繰返し単位が明確でない場合
が多い。そのため、熱可塑性樹脂の溶解度パラメータは
一概に断定できないが、一般的な熱可塑性樹脂の溶解度
パラメータを参考までに記載する。
【0080】好ましい熱可塑性樹脂組成物は、(a)オ
レフィン系重合体(SP=7.5〜8.5)、(b)ア
クリル系重合体(SP=9〜10)、(c)スチレン系
重合体(SP=8〜10.5)、(d)ポリカーボネー
ト、(e)ポリエステル(SP=10〜12)、(f)
ポリアミド(SP=12.5〜14.5)を適当に組合
せて構成できる。
【0081】海を構成する好ましい熱可塑性樹脂は、フ
ィルムまたは繊維形成能に優れる重合体、例えば、オレ
フィン系重合体(特に、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン、エチレン−プロピレン共重合体など)、スチレン系
重合体(特に、ポリスチレン、ゴム変性耐衝撃性ポリス
チレンなど)、ポリカーボネート(特に、ビスフェノー
ルA型ポリカーボネートなど)、ポリエステル(特にポ
リエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレー
ト、ポリ−1,4−ジメチロール−シクロヘキサンテレ
フタレートなど)およびポリアミド(特に、ナイロン
6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、
ナイロン11、ナイロン12など)から選択される。よ
り好ましくは、前記複合体における海は、オレフィン系
重合体、スチレン系重合体およびポリエステルで構成で
きる。
【0082】より具体的には、(a)オレフィン系重合
体で形成された海に対する島は、(b)アクリル系重合
体、(c)スチレン系重合体、(d)ポリカーボネー
ト、(e)ポリエステル、(f)ポリアミドおよび
(g)ビニル系重合体で形成できる。好ましい分散相
は、(c)スチレン系重合体、(d)ポリカーボネー
ト、(e)ポリエステル、(f)ポリアミドおよび
(g)ビニル系重合体の少なくとも一種の熱可塑性樹脂
で構成できる。
【0083】(c)スチレン系重合体で形成された海に
対する島は、(a)オレフィン系重合体、(b)アクリ
ル系重合体、(d)ポリカーボネート、(e)ポリエス
テル、および(f)ポリアミドで形成できる。好ましい
分散相は、(a)オレフィン系重合体、(e)ポリエス
テルおよび(f)ポリアミドから選ばれた少なくとも一
種の熱可塑性樹脂で構成できる。
【0084】さらに、海を形成する(e)ポリエステル
と好ましく組合せられ、かつ島を形成する熱可塑性樹脂
は、(a)オレフィン系重合体、(b)アクリル系重合
体、(c)スチレン系重合体、(d)ポリカーボネー
ト、および(f)ポリアミドから選択された少なくとも
一種の熱可塑性樹脂である。
【0085】さらに、海を形成する(f)ポリアミドと
好ましく組合せられ、かつ島を形成する熱可塑性樹脂
は、(a)オレフィン系重合体、(c)スチレン系重合
体、(d)ポリカーボネートおよび(e)ポリエステル
から選ばれた少なくとも一種の熱可塑性樹脂である。
【0086】海を構成する熱可塑性樹脂(海成分)と島
を構成する熱可塑性樹脂(島成分)との割合は、通常、
海成分/島成分=35〜90/65〜10(重量%)、
好ましくは50〜85/50〜15(重量%)、さらに
好ましくは50〜80/50〜20(重量%)程度であ
る。上記範囲を外れると、前記複合体の微細繊維化が困
難になりやすい。
【0087】これらの樹脂組成物には、前記海成分及び
/又は島成分に対して親和性ないし相溶性を有する相溶
化剤、界面活性剤などの分散剤からなる成分を添加して
もよい。このような成分を添加すると、分散樹脂粒子を
微細にし、微細繊維の繊維径や繊維長を調整したり、微
細繊維の特性を改善できる利点がある。
【0088】なお、相溶化剤としては、海を構成する熱
可塑性樹脂の構成単位および島を構成する熱可塑性樹脂
の構成単位と同一又は近似する単位を有するポリマーが
通常使用される。また、相溶化剤の溶解度パラメータ
は、海を構成する熱可塑性樹脂と島を構成する熱可塑性
樹脂の溶解度パラメータの中間又は一部重複する場合が
多い。そのため、相溶化剤は、前記二種以上の熱可塑性
樹脂の種類に応じて適当に選択できる。
【0089】以下に、海を構成する熱可塑性樹脂および
島を構成する熱可塑性樹脂と組合せて使用できる相溶化
剤について記載する。
【0090】(a)オレフィン系重合体と(b)アクリ
ル系重合体及び/又は(e)ポリエステルとを組合せる
場合、相溶化剤としては、変性ポリオレフィン(例え
ば、無水マレイン酸変性ポリオレフィン、(メタ)アク
リル酸エステル−オレフィン共重合体、グリシジル(メ
タ)アクリレート−オレフィン共重合体)などが挙げら
れる。
【0091】(a)オレフィン系重合体と(c)スチレ
ン系重合体とを組合せる場合、相溶化剤としては、例え
ば、水添又は変性されていてもよいスチレン系モノマー
−共役ジエン系共重合体(例えば、スチレン−ブタジエ
ンブロック共重合体、スチレン−ジエン−スチレンブロ
ック共重合体、スチレン−オレフィン−(スチレン)ブ
ロック共重合体、無水マレイン酸変性スチレン−ジエン
−スチレンブロック共重合体、グリシジル(メタ)アク
リレート変性スチレン−ジエン−スチレンブロック共重
合体など)、オレフィン−(メタ)アクリル酸エステル
共重合体、環状オレフィン単位を有するオレフィン系重
合体、塩素化ポリオレフィンなどが例示される。
【0092】(a)オレフィン系重合体と(d)ポリカ
ーボネートとを組合せる場合、相溶化剤としては、変性
ポリオレフィン(例えば、無水マレイン酸−オレフィン
共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート−オレフィ
ン共重合体)、環状オレフィン単位を有するオレフィン
系重合体、オレフィン系エラストマー、水添又は変性さ
れていてもよいスチレン系モノマー−共役ジエン系軟質
共重合体などが例示される。
【0093】(a)オレフィン系重合体と(f)ポリア
ミドとを組合せる場合、相溶化剤としては、変性ポリオ
レフィン(例えば、(メタ)アクリル酸−オレフィン共
重合体、無水マレイン酸−オレフィン共重合体、グリシ
ジル(メタ)アクリレート−オレフィン共重合体)、環
状オレフィン単位を有するオレフィン系重合体などが例
示される。
【0094】また、相溶化剤には、前記オレフィンとス
チレン系モノマーとの共重合体(例えば、積水化学
(株)製の「ダイラーク」、大日本インキ化学工業
(株)製の「リューレックス」など);オレフィンとス
チレン系モノマーとα,β−エチレン性不飽和カルボン
酸及び/又はα,β−エチレン性不飽和多価カルボン酸
又はその酸無水物との共重合体(例えば、三菱化成
(株)製の「ノバテックAP」、三菱油化(株)製の
「モディーク」など)も含まれる。なお、これらの相溶
化剤も変性ポリオレフィンの範疇に含むものとする。
【0095】(b)アクリル系重合体と(c)スチレン
系重合体とを組合せる場合、相溶化剤としては、スチレ
ン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−
(メタ)アクリル酸共重合体、無水マレイン酸−スチレ
ン共重合体、水添又は変性されていてもよいスチレン系
モノマー−共役ジエン系軟質共重合体などが挙げられ
る。
【0096】(b)アクリル系重合体と(d)ポリカー
ボネートとを組合せる場合、相溶化剤としては、スチレ
ン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、水添又は変
性されていてもよいスチレン系モノマー−共役ジエン系
軟質共重合体などが挙げられる。
【0097】(b)アクリル系重合体と(e)ポリエス
テルとを組合せる場合、相溶化剤には、変性ポリ(メ
タ)アクリル酸エステル(例えば、オキサゾリン変性ポ
リ(メタ)アクリル酸エステル、無水マレイン酸−(メ
タ)アクリル酸エステル共重合体、グリシジル(メタ)
アクリレート−(メタ)アクリル酸エステル共重合体な
ど)、ポリエステル系エラストマーなどが含まれる。
【0098】(b)アクリル系重合体と(e)ポリアミ
ドとを組合せる場合、相溶化剤としては、カルボキシル
変性アクリル系重合体、無水マレイン酸変性アクリル系
重合体などが挙げられる。
【0099】(c)スチレン系重合体と(d)ポリカー
ボネートとを組合せる場合、相溶化剤としては、例え
ば、ビニルオキサゾリン−スチレン共重合体、エポキシ
変性ポリスチレン(例えば、グリシジル(メタ)アクリ
レート−スチレン共重合体)などが例示される。
【0100】(c)スチレン系重合体と(e)ポリエス
テルとを組合せる場合、相溶化剤としては、変性ポリス
チレン(例えば、オキサゾリン変性ポリスチレン、無水
マレイン酸−スチレン(アクリロニトリル)共重合体、
(メタ)アクリル酸−スチレン共重合体、グリシジル
(メタ)アクリレート−スチレン(アクリロニトリル)
共重合体)などが含まれる。
【0101】(c)スチレン系重合体と(f)ポリアミ
ドとを組合せる場合、相溶化剤としては、変性ポリスチ
レン、変性アクリロニトリル−スチレン共重合体、(メ
タ)アクリル酸−スチレン共重合体、無水マレイン酸−
スチレン共重合体、グリシジル(メタ)アクリレート−
スチレン共重合体などが挙げられる。
【0102】(d)ポリカーボネートと(e)ポリエス
テルとを組合せる場合、相溶化剤としては、カルボキシ
ル変性ポリエステル、エポキシ変性ポリエステルなどが
挙げられる。
【0103】(d)ポリカーボネートと(f)ポリアミ
ドとを組合せる場合、相溶化剤には、変性ポリアミド、
変性スチレン系重合体などが含まれる。
【0104】(e)ポリエステルと(f)ポリアミドと
を組合せる場合、相溶化剤には、カルボキシル変性ポリ
エステル、エポキシ変性ポリエステルなどが含まれる。
【0105】相溶化剤は、海を構成する熱可塑性樹脂と
島を構成する熱可塑性樹脂の種類に応じて、単独で使用
してもよく、複数組合せて使用してもよい。
【0106】相溶化剤の添加量は、海を構成する熱可塑
性樹脂と島を構成する熱可塑性樹脂との総量100重量
部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは0.5〜
25重量部、さらに好ましくは1〜20重量部程度であ
り、2〜10重量部程度使用する場合が多い。相溶化剤
の添加量が0.1重量部未満であると、添加効果が少な
く、30重量部を越えると、海島構造が消失する場合が
ある。
【0107】本発明において、下記の組成物で形成され
たフィルム、繊維などの複合体は、剪断力により、特
に、繊維径が小さく、均一性に優れた微細繊維が得られ
やすいという特色がある。なお、この複合体がフィルム
又は繊維の場合、通常、島はフィルムの引取り方向また
は繊維の長さ方向に配向している。
【0108】繰返し単位の異なる複数の熱可塑性樹脂を
含む好ましい組成物には、次のような組合せが含まれ
る。
【0109】(I) (c)スチレン系重合体と(e)ポリ
エステルとの組合せ、 (II)(c)スチレン系重合体と(a)オレフィン系重合
体との組合せ、 (III) (c)スチレン系重合体と(f)ポリアミドとの
組合せ、 (IV)(a)オレフィン系重合体と(f)ポリアミドとの
組合せ、 (V) (a)オレフィン系重合体と(e)ポリエステルと
の組合せ、および (VI)(a)オレフィン系重合体と(g)ビニル系重合体
との組合せ。
【0110】前記組合せ(I)において、スチレン系重
合体として透明性を有するスチレン系重合体やゴム変性
耐衝撃性ポリスチレンを用いる場合が多い。(I)スチ
レン系重合体とポリエステルとを組合せて用いる場合、
両者の割合は、例えば、スチレン系重合体/ポリエステ
ル=10〜90/90〜10(重量%)、好ましくは1
5〜85/85〜15(重量%)、さらに好ましくは2
0〜80/80〜20(重量%)程度であり、25〜7
5/75〜25(重量%)程度である場合が多い。この
ような組成物において、透明性を有するスチレン系重合
体を用いたフィルムまたは繊維からは、透明性及び耐熱
性の高い微細繊維集合体を含む懸濁液が得られる。
【0111】また、前記組合せ(I)において、ゴム変
性耐衝撃性ポリスチレンとポリエステルとを組合せる場
合、両者の割合は、例えば、ゴム変性耐衝撃性ポリスチ
レン/ポリエステル=50〜90/50〜10(重量
%)、好ましくは60〜90/40〜10(重量%)程
度である。
【0112】前記(II)の組合せにおいて、スチレン系
重合体としては、前記種々のポリマーが使用できるが、
好ましいスチレン系重合体には、例えば、ポリスチレ
ン、ゴム変性耐衝撃性ポリスチレンおよびこれらの混合
物が含まれる。
【0113】スチレン系重合体とオレフィン系重合体と
の割合は、例えば、スチレン系重合体/オレフィン系重
合体=10〜90/90〜10(重量%)、好ましくは
15〜50/85〜50(重量%)、さらに好ましくは
20〜40/80〜60(重量%)程度であり、20〜
35/80〜65(重量%)程度である場合が多い。
【0114】前記スチレン系重合体およびオレフィン系
重合体に、例えば、水素添加されたスチレン系モノマー
−共役ジエン系共重合体を添加すると、微細繊維化効率
がさらに向上すると共に、均質な微細繊維が得られやす
い。水素添加された共重合体は、相溶化剤として機能す
るようである。
【0115】前記水素添加された共重合体の割合は、例
えば、スチレン系重合体およびオレフィン系重合体の樹
脂組成物100重量部に対して0.5〜25重量部、好
ましくは1〜20重量部、さらに好ましくは2〜10重
量部程度である。
【0116】前記(III)の組合せにおいて、スチレン系
重合体とポリアミドの割合は、適当に選択できるが、例
えば、スチレン系重合体/ポリアミド=55〜90/4
5〜10(重量%)、好ましくは60〜85/40〜1
5(重量%)、さらに好ましくは60〜75/40〜2
5(重量%)程度であり、65〜75/35〜25(重
量%)程度である場合が多い。
【0117】前記(IV)の組合せにおいて、オレフィン
系重合体とポリアミドとの割合は、適当に選択できる
が、微細繊維の透明性を高めるためには、オレフィン系
重合体/ポリアミド=55〜90/45〜10(重量
%)、好ましくは60〜85/40〜15(重量%)、
さらに好ましくは60〜75/40〜25(重量%)程
度であり、65〜75/35〜25(重量%)程度であ
る場合が多い。
【0118】前記オレフィン系重合体とポリアミドに、
例えば、オレフィンとスチレン系モノマーとα,β−エ
チレン性不飽和カルボン酸及び/又はα,β−エチレン
性不飽和多価カルボン酸又はその酸無水物との共重合体
などの変性ポリオレフィンを添加すると、均質な微細繊
維がより効率よく得られる。
【0119】前記変性ポリオレフィンの割合は、例え
ば、オレフィン系重合体およびポリアミドの樹脂組成物
100重量部に対して0.5〜30重量部、好ましくは
1〜15重量部、さらに好ましくは1〜10重量部程度
である。
【0120】前記(V)の組合せにおいて、オレフィン
系重合体とポリエステルとの割合は、適当に選択できる
が、例えば、オレフィン系重合体/ポリエステル=55
〜90/45〜10(重量%)、好ましくは60〜85
/40〜15(重量%)、さらに好ましくは60〜75
/40〜25(重量%)程度であり、65〜75/35
〜25(重量%)程度である場合が多い。
【0121】さらに、前記(VI)の組合せにおいて、オ
レフィン系重合体とビニル系重合体との割合は、例え
ば、オレフィン系重合体/ビニル系重合体=55〜90
/45〜10(重量%)、好ましくは60〜85/40
〜15(重量%)、さらに好ましくは60〜75/40
〜25(重量%)程度であり、65〜75/35〜25
(重量%)程度である場合が多い。
【0122】本発明において、前記複合体における島の
平均アスペクト比は3以上である。島の平均アスペクト
比が3未満の場合には微細繊維を得ることが困難であ
る。
【0123】フィルム、繊維などの前記海島構造を有す
る複合体の表面からみたときの島(分散粒子)のアスペ
クト比は、透過型電子顕微鏡(TEM)、走査型電子顕
微鏡(SEM)、共焦点レーザー顕微鏡、光学顕微鏡を
用いて撮影した写真に基づいて算出できる。また、適当
な有機溶剤などを用いて分散成分をエッチングすること
により、分散粒子の構造をさらに鮮明に観察することも
可能である。
【0124】平均アスペクト比とは、下記式に示すよう
に、分散粒子の最小幅Wに対する分散粒子の長手方向の
長さLの比の数平均値である。
【0125】アスペクト比=(分散粒子の長手方向の長
さL)/(分散粒子の最小幅W) 前記複合体における島(分散粒子)の形状および分散状
態は、フィルムの側部端面または繊維の長さ方向と平行
にスライスした超薄切片の断面などを、TEMで観察す
ることにより調べることができる。また、適当な有機溶
剤などで、切断した端面の分散成分をエッチングし、S
EMや共焦点レーザー顕微鏡で観察することによっても
調べることができる。フィルムの側部端面から観察した
場合の分散粒子の形状およびその厚みは、顕微鏡写真に
基づいて求めることができる。
【0126】前記島は、前記複合体がフィルムの場合に
はフィルムの引取り方向に、前記複合体が繊維の場合に
は繊維の長さ方向に沿って、繊維状ないしロッド状に配
向している。フィルム、繊維などの前記複合体に剪断力
を作用させると、これらの島は、略対応する大きさの微
細繊維となる場合が多い。好ましい島には、繊維状の島
が含まれる。
【0127】島がロッド状に分散している場合、島のア
スペクト比は3以上(例えば3〜50程度)、好ましく
は10以上(例えば10〜50程度)であり、繊維状に
分散している場合、島のアスペクト比は50以上であっ
てもよい。
【0128】島の長手方向の長さ(島が繊維状の場合に
は繊維長)は、例えば1〜1000μm、好ましくは5
〜500μm、さらに好ましくは10〜100μm程度
である。島の幅及び厚みは、例えば0.01〜10μ
m、好ましくは0.01〜5μm、さらに好ましくは
0.02〜1.5μm程度である。島が繊維状の場合、
その平均繊維径は、通常2μm以下(例えば0.05〜
2μm)、好ましくは0.06〜1.5μm、さらに好
ましくは0.08〜1.0μm程度である。
【0129】このような微細構造を有する前記複合体
は、剪断力を作用させることにより極めて容易に微細繊
維化できる。
【0130】前記複合体は、滑性層やガスバリア層など
のコーティング層やラミネート層で被覆されていてもよ
い。また、複合体には、コロナ放電処理、火炎処理、超
音波処理、プラズマ処理などの表面処理が施されていて
もよい。さらに複合体は、酸化防止剤、紫外線吸収剤な
どの耐熱・耐光安定剤、可塑剤、帯電防止剤、滑剤、染
顔料、充填剤などの種々の添加剤を含んでいてもよい。
【0131】本発明における前記複合体は、前記樹脂組
成物から慣用の方法により製造することができる。
【0132】例えば、フィルムは、Tダイを用いた押出
し成形法、インフレーション成形法などの方法で製造で
きる。Tダイ成形法においては、繰り返し単位の異なる
2種類以上の熱可塑性樹脂を主成分として含む樹脂組成
物を、押出し成形機により溶融してTダイから押出し、
延伸処理することなくフィルム成形すればよい。
【0133】また、インフレーション成形法において
は、溶融した前記樹脂組成物を、サーキュラーダイから
押出す際、ブロー比(膨比)Dに対するドロー比(溶融
延伸比)Vの割合(変形比)V/D=0.5〜8、好ま
しくは0.5〜5、さらに好ましくは0.5〜3程度で
フィルム成形すればよい。変形比が0.5未満では、微
細繊維化効率が低下しやすい。また、変形比が8を越え
ると、成膜時のバブルの安定性が著しく低下し、成膜が
困難となり易い。
【0134】なお、前記「ドロー比」Vとは、環状ダイ
リップから溶融した樹脂が吐出される速度V1 と、成形
されたフィルムが巻き取られる速度V2 との比V2 /V
1 である。「ブロー比」Dとは、環状ダイリップの径d
1 と巻き取られるフィルムの径d2 との比2 /d1 であ
る。ドロー比及びブロー比は、フィルムの微細繊維化が
損なわれない範囲、例えば、ドロー比1〜20、ブロー
比1〜10程度の範囲内で適当に選択できる。
【0135】一方、前記複合体の例として、繊維は、溶
融紡糸法などの慣用の紡糸法により製造できる。すなわ
ち、繰り返し単位の異なる2種類以上の熱可塑性樹脂を
主成分として含む樹脂組成物を、押出し成形機により溶
融して紡糸口金から押出すことにより紡糸できる。
【0136】なお、前記フィルム成形または紡糸の際、
二種以上の熱可塑性樹脂は、混合して押出機に供給し、
押出機内で溶融混練して熱可塑性樹脂を分散させてもよ
く、二種以上の熱可塑性樹脂を主成分として含む組成物
を予め溶融混練して得られるペレットを、押出機に供給
してもよい。二種以上の熱可塑性樹脂を主成分として含
む混合物は、慣用の方法、例えば、リボンブレンダー、
タンブルミキサー、ヘンシェルミキサーなどの混合機を
用いて調製できる。また、前記ペレットは、オープンロ
ール、バンバリミキサー、単軸スクリュー押出機、2軸
押出機、単軸往復動スクリュー混練機などを用いて調製
できる。
【0137】また、前記フィルムまたは繊維は、必要に
応じて、一軸または二軸延伸処理により、破断強度など
の特性を調整してもよい。少なくとも一方の方向の延伸
倍率は、1.1倍程度以上(例えば、1.1〜50倍程
度)、好ましくは2〜30倍程度の範囲内で適当に選択
できる。
【0138】前記複合体の大きさは微細繊維化効率を低
下させない範囲で選択できる。前記複合体がフィルムの
場合、フィルムの厚みは、例えば5〜100μm、好ま
しくは8〜50μm程度であり、剪断力を作用させる際
には、幅0.05〜5mm、好ましくは0.1〜1mm
程度、長さ0.1〜10mm、好ましくは0.2〜5m
m程度に予め細分化しておくのが好ましい。また、前記
複合体が繊維の場合、繊維径は、例えば0.05〜2m
m、好ましくは0.1〜1mm程度であり、剪断力を作
用させる際には、例えば、繊維長0.1〜10mm、好
ましくは0.2〜5mm程度に、予め細断しておくのが
好ましい。
【0139】本発明では、前記複合体に剪断力を作用さ
せる。剪断力を作用させることにより、前記複合体がほ
ぐされ、切断される。前記複合体がフィルム又は繊維の
場合には、フィルムの引取り方向または繊維の巻取り方
向及び/又はそれらに直交する方向にフィルム等がほぐ
され、切断されて微細繊維化される場合が多い。
【0140】剪断力を作用させる方式としては、乾式又
は湿式の何れの方式であってもよいが、均一に剪断力を
作用させると共に、微細繊維化効率を高めるため、前記
複合体を溶媒に分散して剪断力を作用させる湿式による
のが好ましい。
【0141】湿式により剪断力を作用させる方法におい
て、前記複合体の使用量は、複合体の分散性、微細繊維
化効率などを考慮して定めることができ、例えば、複合
体と溶媒の総量に対して、0.1〜40重量%、好まし
くは0.5〜10重量%、さらに好ましくは1〜8重量
%程度である。
【0142】前記複合体を分散する溶媒としては、前記
複合体を構成する樹脂を溶解せず、繊維の分散性を損な
わない溶媒であればよく、前記樹脂の種類によって適宜
選択できる。例えば、以下のような有機溶媒または水を
使用できる。なお、以下、アルコール(エタノール)、
エーテル(ジエチルエーテル)、ベンゼン、アセトン、
ガソリンおよびパークレン(テトラクロロエチレン)を
纏めて一般溶剤という。
【0143】オレフィン系重合体を溶解しない有機溶媒
には、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノ
ールなどのアルコール類;ジエチルエーテル、ジイソプ
ロピルエーテルなどのエーテル類;アセトンなどのケト
ン類;酢酸エチルなどのエステル類などが挙げられる。
ハロゲン含有ビニル重合体を溶解しない有機溶媒として
は、例えば、アルコール類、エーテル類、ガソリンなど
の脂肪族炭化水素類などが挙げられる。アクリル系重合
体を溶解しない有機溶媒としては、一般溶剤(ただし、
アセトンに溶解する重合体もある)などが挙げられる。
ビニル系重合体を溶解しない有機溶媒としては、一般溶
剤などが挙げられる。スチレン系重合体を溶解しない有
機溶媒には、メタノール、エタノール、イソプロパノー
ルなどの低級アルコールなどが含まれる。ポリカーボネ
ートを溶解しない有機溶媒としては、アルコール類、エ
ーテル類、脂肪族炭化水素類などが挙げられる。ポリエ
ステルおよびポリアミドを溶解しない有機溶媒として
は、アルコール類、エーテル類、芳香族炭化水素類、ア
セトンなどのケトン類、脂肪族炭化水素類などが例示で
きる。また、水は、ポリビニルアルコールなどの水溶性
樹脂を除き、樹脂を溶解しないので、前記溶媒として用
いられる場合が多い。また、水を前記溶媒として用いる
と、誘電率が高いため、微細繊維化が促進される。
【0144】前記溶媒には、各種の分散助剤を添加する
こともできる。分散助剤とは、前記フィルム又は繊維の
表面に付着して、溶媒との親和性を増大させる効果を有
するものをいう。特に、溶媒が水である場合には、分散
助剤として界面活性剤を使用することができる。
【0145】界面活性剤としては、陰イオン界面活性
剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面活性剤、両性界
面活性剤が挙げられる。より具体的には、陰イオン界面
活性剤には、高級脂肪酸アルカリ金属塩、アルキル硫酸
塩(例えば、オクチル硫酸ナトリウム、デシル硫酸ナト
リウム、ドデシル硫酸ナトリウム、テトラデシル硫酸ナ
トリウムなど)、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリ
ールスルホン酸塩(例えば、アルキルベンゼンスルホン
酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩など)、スルホ
コハク酸エステル塩、リグニンスルホン酸塩等が含まれ
る。陽イオン界面活性剤には、高級アミンハロゲン化水
素塩、ハロゲン化アルキルピリジニウム(例えば、塩化
ドデシルピリジニウムなど)、第四級アンモニウム塩
(例えば、塩化ドデシルトリメチルアンモニウムなど)
等が含まれる。非イオン界面活性剤には、ポリエチレン
グリコールアルキルエーテル、ポリエチレングリコール
脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸モ
ノグリセリド、脂肪酸多価アルコールポリオキシエチレ
ンエーテル、脂肪酸ショ糖エステル、ポリオキシアルキ
レンブロックコポリマー等が含まれる。両性界面活性剤
には、アルキルベタイン、アルキルジエチレントリアミ
ノ酢酸、ポリアクリルアミド等が含まれる。
【0146】界面活性剤などの分散助剤の使用量は、例
えば、溶媒に対して、0.0001〜10重量%、好ま
しくは0.001〜5重量%程度である。前記分散助剤
を添加することにより、前記複合体の溶媒に対する分散
性を向上させることができる。
【0147】剪断力を作用させる方法としては、特に限
定されず、慣用の方法が採用できる。前記複合体に剪断
力を作用させる装置としては、高圧ホモジナイザー、デ
ィスクリファイナー、ジョルダン、ピーターなどが使用
される。なかでも、高圧ホモジナイザーなどが特に好ま
しい。
【0148】高圧ホモジナイザーとしては、例えばMa
nton−Gaulin(商品名)として市販されてい
る装置などが例示できる。この種の装置とその作動につ
いては、公知の文献、例えばケミカル エンジニアリン
グ(Chemical Engineering)、13(5)、第86頁〜
第92頁(1974年)に記載されている。
【0149】図1は、代表的な高圧ホモジナイザーの弁
装置部分を示す概略断面図である。この装置は、高圧ポ
ンプ、高圧ポンプから被処理液を高圧で吐出する弁装置
1、および吐出液を高圧ポンプの吸入側へ循環させる循
環流路を備えている。そして、前記弁装置1は、弁4、
弁座2、壁体5から構成されている。この装置におい
て、高圧ポンプから送液された繊維又はフィルムなどの
複合体の溶媒分散液は、弁4と弁座2との間隙に形成さ
れた小径オリフィス3を通過する。この際、少なくとも
200Kg/cm2 以上の圧力差の下、前記分散液を高
速度で前記オリフィスを通過させ、次にオリフィス出口
近傍の壁体5に衝突させて急速に減速させると、前記分
散液に大きな剪断力が作用し、分散液中の複合体が微細
繊維化され、安定な微細繊維懸濁液が得られる。処理圧
力および処理回数(分散液の循環回数)は、懸濁液の安
定性を損なわない範囲で、所望する微細繊維の繊維径、
繊維長に応じて適宜定めることができる。処理圧力は、
通常200〜1000Kg/cm2 、好ましくは300
〜800Kg/cm2 程度、処理回数は、通常1〜50
回、好ましくは3〜20回程度である。処理温度は、例
えば0〜100℃、好ましくは10〜40℃程度であ
る。
【0150】こうして、溶媒中で前記複合体に剪断力を
作用させることにより、微細繊維が溶媒に分散した懸濁
液が得られる。懸濁液中の微細繊維濃度は、使用したフ
ィルム、繊維などの複合体及び溶媒の量により定まる
が、希釈または濃縮により前記微細繊維濃度を調整する
こともできる。なお、乾式法により得られた微細繊維を
適当な溶媒中に分散させることによって、微細繊維懸濁
液を得ることもできる。微細繊維懸濁液中の微細繊維濃
度は、例えば、0.1〜40重量%、好ましくは0.5
〜10重量%、さらに好ましくは1〜10重量%程度で
ある。前記懸濁液は極めて安定であって、微細繊維の凝
集が起こりにくい。前記懸濁液を、例えば濾過、遠心分
離などの慣用の分離方法に供することにより、微細繊維
を得ることができる。
【0151】本発明の製造方法では、2種以上の熱可塑
性樹脂を含む樹脂組成物から形成された特定の海島構造
を有する複合体に剪断力を作用させるので、前記複合体
が容易にほぐれ、切断されるため、繊維径の小さい均一
な微細繊維が簡便に且つ効率的に得られる。また、柔軟
性の高い樹脂を含む複合体であっても容易に微細繊維化
できる。
【0152】前記方法により、単一の樹脂成分からなる
微細繊維、又は海島構造により、複数の樹脂成分からな
る多成分系の微細繊維が得られる。前記多成分系の微細
繊維には、略単一成分からなる繊維が複数種集まって構
成された微細繊維、及び複数成分からなる繊維が多数集
まって構成された微細繊維が含まれる。好ましい多成分
系微細繊維には、例えば、オレフィン系重合体を主成分
とする繊維とスチレン系重合体を主成分とする繊維とか
らなる微細繊維などの、略単一成分からなる繊維が複数
種集まって構成された微細繊維が含まれる。
【0153】前記方法により得られる微細繊維は、繊維
径が通常0.01〜10μm、好ましくは0.01〜5
μm、さらに好ましくは0.02〜1.5μm程度の繊
維からなる。前記微細繊維を構成する繊維の平均繊維径
は、例えば0.05〜2μm、好ましくは0.06〜
1.5μm、さらに好ましくは0.08〜1.0μm程
度である。また、前記微細繊維の平均繊維長は、例えば
1〜1000μm、好ましくは5〜500μm、さらに
好ましくは10〜100μm程度であり、平均繊維長と
平均繊維径との比(前者/後者)は、例えば3倍以上
(3〜500倍程度)、好ましくは10倍以上(10〜
500倍程度)、さらに好ましくは20〜300倍程度
(特に20〜100倍程度)である。
【0154】好ましい微細繊維では、繊維が結束するこ
となく、全体として乱雑な方向で存在している。
【0155】本発明の微細繊維は、高機能又は多機能の
分離膜、濾過材、保温材などとして有用である。例え
ば、微細繊維の懸濁液を流延抄紙することにより、均一
な微細孔(例えば孔径0.1μm程度以下)を有する不
織布状多孔膜を簡便に得ることができる。
【0156】
【発明の効果】本発明によれば、2種以上の熱可塑性樹
脂を含む樹脂組成物から形成された特定の微細構造を有
するフィルムまたは繊維に剪断力を作用させるため、繊
維径の小さい均一な微細繊維を簡便に且つ効率的に得る
ことができる。また、均一な多成分系の微細繊維を容易
に得ることができる。さらに、柔軟性の高い繊維からな
る均一な微細繊維を簡易に得ることができる。
【0157】本発明の微細繊維懸濁液は安定で、凝集し
にくい。
【0158】
【実施例】以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。
【0159】実施例1 ポリプロピレン(ユニオンポリマー(株)製、YK12
1)75重量部とポリスチレン(ダイセルスチロール
(株)製、30)25重量部とを、ペレット状のまま十
分混合した。得られた樹脂組成物を、一軸押出機(25
mmφ)を用いて加熱混練し、押出し温度220℃、回
転数100rpmの条件下、円形ダイより溶融押出しし
て、直径0.3mmの繊維を得た。繊維を透過型電子顕
微鏡で観察したところ、分散粒子の形状は繊維状であっ
た。分散粒子の平均アスペクト比は10以上であった。
【0160】得られた繊維5gを、長さ約1mmに切断
した後、水95gに分散させ、繊維分5重量%の分散液
を調製した。
【0161】この分散液を高圧ホモジナイザー(Man
ton Gaulin 15M・8TA)に常温(25
℃)で仕込み、圧力500Kg/cm2 Gの条件で均質
化処理した(分散液の循環回数:10回)。得られた懸
濁液中の白色の浮遊物を乾燥させ、共焦点レーザー顕微
鏡(レーザーテック(株)製)により観察すると共に、
写真撮影した。共焦点レーザー顕微鏡により得られた写
真を図2に示す。図2に示されるように、得られた懸濁
液中の浮遊物は、直径が1μm程度以下の微細繊維の集
合体であった。微細繊維の平均繊維径は0.8μm程
度、平均繊維長は20μm程度であった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の方法に使用される高圧ホモジナ
イザーの弁装置部分の一例を示す概略断面図である。
【図2】図2は実施例1で得られた多成分系微細繊維集
合体の繊維の形状を示す共焦点レーザー顕微鏡写真であ
る。
【符号の説明】
1…弁装置 2…弁座 3…小径オリフィス 4…弁 5…壁体

Claims (12)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 オレフィン系重合体とスチレン系重合体
    を主成分として含む樹脂組成物で形成され、平均アス
    ペクト比が3以上の島を有する海島構造の複合体に、剪
    断力を作用させて微細繊維を得る微細繊維の製造方法。
  2. 【請求項2】 オレフィン系重合体とスチレン系重合体
    との割合が前者/後者=90〜10/10〜90(重量
    比)である請求項記載の微細繊維の製造方法。
  3. 【請求項3】 島が平均径2μm以下の繊維状である請
    求項1記載の微細繊維の製造方法。
  4. 【請求項4】 海を構成する海成分と島を構成する島成
    分との割合が、海成分/島成分=35〜90/65〜1
    0(重量比)である請求項1記載の微細繊維の製造方
    法。
  5. 【請求項5】 海成分がオレフィン系重合体であり、島
    成分がスチレン系重合体である請求項1記載の微細繊維
    の製造方法。
  6. 【請求項6】 海島構造の複合体を溶媒に分散させて剪
    断力を作用させる請求項1記載の微細繊維の製造方法。
  7. 【請求項7】 海島構造の複合体を溶媒に分散させた分
    散液を少なくとも200Kg/cm2の圧力差で小径オ
    リフィスを通過させ、高速度で壁体に衝突させて急速に
    減速させることにより剪断力を作用させる請求項記載
    の微細繊維の製造方法。
  8. 【請求項8】 オレフィン系重合体とスチレン系重合体
    とを前者/後者=50〜80/50〜20(重量比)の
    割合で含む樹脂組成物で形成され、平均アスペクト比1
    0以上、平均径0.05〜2μmの繊維状の島を有する
    海島構造の複合体を、前記オレフィン系重合体およびス
    チレン系重合体を溶解しない溶媒に分散し、得られた分
    散液を200〜1000Kg/cm2の圧力差で小径オ
    リフィスを通過させ、高速度で壁体に衝突させて急速に
    減速させることにより剪断力を作用させて微細繊維を得
    る微細繊維の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1記載の方法により得られた微細
    繊維であって、平均繊維径0.05〜2μmの微細繊
    維。
  10. 【請求項10】 平均繊維長と平均繊維径との比(前者
    /後者)が10以上である請求項記載の微細繊維。
  11. 【請求項11】 オレフィン系重合体を主成分とする繊
    維とスチレン系重合体を主成分とする繊維とからなる微
    細繊維であって、平均繊維径が0.06〜1.5μm、
    平均繊維長と平均繊維径との比が前者/後者=10〜3
    00であり、繊維が全体として乱雑な方向で存在してい
    る微細繊維。
  12. 【請求項12】 請求項記載の微細繊維が溶媒に分散
    した微細繊維懸濁液。
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